日本の警察・検察・裁判所制度の前近代性
旧日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)の粉飾決算事件で、旧証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われた元会長窪田弘被告(78)など旧経営陣3名の上告審判決で、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は12月7日、「審理が不十分」として3人を執行猶予付き有罪とした二審東京高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。
予想通りの最高裁決定である。
私は本ブログに2008年7月19日、
と題する記事を記述した。
以下にその全文を転載する。
「旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で、最高裁判所は7月18日、執行猶予付き有罪とした1、2審判決を破棄、元頭取ら3人に逆転無罪を言い渡した。
刑事事件で最高裁が逆転無罪判決を出すのは極めて異例である。
日本の三権分立はおとぎ話である。内閣総理大臣が三権を掌握し得るのが実態である。政治権力は司法、警察、検察に対しても支配力を及ぼすことが可能である。
今回の最高裁判決の真のターゲットはこの事件にはないはずだ。旧長銀と類似した事案で裁判が行われている「日債銀事件」が謎を解く鍵である。
「日債銀事件」では大蔵省OBで国税庁長官を務めた窪田弘氏が起訴され、1審、2審で執行猶予付き有罪判決が出されている。
大蔵省、財務省は、同省最高幹部を経て日債銀に天下りした窪田氏の有罪確定を回避することを最重要視してきた。
長銀事件が最高裁で逆転したことが、日債銀事件に影響する。
日債銀事件で同様の逆転無罪判決が出されるなら、ここに示した仮説が間違いでないことが判明すると考える。
日本の権力構造の闇は限りなく深い。」
私はこの記事に続いて2008年7月20日に
と題する記事を掲載した。
以下にその全文を再掲する。
「旧長銀粉飾決算事件における異例の最高裁逆転無罪判決の裏側に、財務省主軸「官僚主権構造」の闇が存在することは、確かであるように思われる。
旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で最高裁判所は7月18日、1、2審で執行猶予付き有罪判決を受けた元頭取ら3人に逆転無罪を言い渡した。この問題に関連する追記。
担当裁判官の一人である、津野修最高裁判所判事の経歴は以下の通り。
1961年 国家公務員採用上級試験合格
1961年 司法試験合格
1962年 京都大学法学部卒業
1962年 大蔵省入省
1967年 板橋税務署長
1971年 日本貿易振興会フランクフルト事務所駐在員
1978年 内閣法制局参事官
1983年 大蔵省主税局税制第三課長
1985年 福岡財務支局長
1986年 内閣法制局第三部長
1992年 内閣法制局第一部長
1996年 内閣法制次長
1999年 内閣法制局長官
2003年 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)
2004年 2月26日- 最高裁判所判事
(出典 Wikipedia)
津和野氏は正真正銘の元大蔵官僚である。
財務省(大蔵省)による内閣法制局支配は、「財務省(大蔵省)主軸官僚主権構造」を支える根幹のひとつである。
今回の判決には財務省の意向が深く関わった可能性が高い。
判決の真の狙いは、「日債銀事件」の被告人の一人である、旧大蔵省最高幹部で国税庁長官を務めた窪田弘氏の無罪獲得にあると考えられる。
日本は暗黒権力の下に統治されている。」
このときに指摘した通りの展開になっている。
元財務省職員の高橋洋一氏は数十万円相当の金品を窃盗し、現行犯で捕捉されたにも関わらず、逮捕もされず起訴もされず、無罪放免になった。
防衛医大教授の強制わいせつ事件では、最高裁が事実誤認を理由に異例の逆転無罪判決を示した。
この事件の基本構造は、私が巻き込まれた痴漢冤罪事件とまったく同じものである。この点については、
2009年4月15日付記事
および、2009年4月16日付記事
に記述した。
名倉正博氏に無罪判決が示されたのは、同氏が防衛医大教授であることが強く影響したのだと考えられる。
不審死が相次いだ問題で結婚詐欺容疑により逮捕されている埼玉県の無職女性の実名は木村佳苗氏であるが、マスメディアは木村氏に関しては実名報道を避けている。
107人が死亡した2005年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で、神戸地検は12月4日、神戸第一検察審査会が業務上過失致死傷罪で「起訴相当」と議決したJR西日本の歴代社長3人を再び不起訴処分(嫌疑不十分)とした。
政治資金規正法違反について、検察内部には1億円という立件に関する内規が存在したが、前民主党代表小沢一郎氏の公設第一秘書のケースでは、被疑事実が1億円をはるかに下回るにもかかわらず逮捕、起訴された。
政治資金の問題では、賄賂性のある事案、裏献金などが「悪質性」が高いものとして立件の対象とされてきたはずであるが、小沢氏秘書の事案はいずれにも該当しない。
自民党議員である二階俊博氏の秘書が政治資金規正法違反容疑でようやく略式起訴されたが、政権交代が実現していなければ恐らく立件されなかったであろう。
つまり、日本の警察、検察、裁判所制度では、政治が絡むと正義も公正も「法の下の平等」も消えてなくなる現実が厳然と存在する。日本の警察・検察・裁判所制度の近代化が急務である。
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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| 大和 | 2009/12/16 10:26 PM |●このコメントの趣旨にあてはまる意見がないかとさがしたらこういうのがみつかりました。ビデオニュース・ドットコムという 番組を聞いた人のコメントです:http://www.videonews.com/
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