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2009年12月

2009年12月31日 (木)

本格検討開始の普天間移設と日米密約問題

民主党の小沢一郎幹事長が12月8日、国会内で新党大地の鈴木宗男衆院外務委員長と会談し、普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設について、「あのきれいな海を埋め立てていいのか」と否定的な考えを伝えていたことが明らかにされた。

私も沖縄の辺野古地域に視察に訪れたことがあるが、辺野古の美しい海岸を破壊して軍事基地を建設することの非合理性は明確である。辺野古の美しい海岸を破壊して巨大滑走路を建設するべきでない。普天間移設に伴い、本来必要な代替施設とはヘリコプター離着陸用の施設であった。

ところが、日米協議を通じて、1300メートルの滑走路が2本、V字形に建設されることになった。米国軍部はそもそも辺野古地域にV字形滑走路を建設する計画を有していた。老朽化した普天間飛行場の施設に代えて、新しい滑走路を日本政府負担で建設させようとの考えがあったと考えられる。

日本政府側がV字形滑走路建設に同意したのは、海上滑走路建設が巨大な公共事業であり、建設を受注する事業者と間を取り持つ政治家にとって、巨大な利権になるからだったと考えられる。

私は辺野古に移設するなら、当初の条件に沿ってヘリコプター離着陸施設のみを建設するべきものと考えてきた。かけがえのない美しい海岸を破壊して軍事基地を建設することに対して、地元の住民が極めて強く反対するのは当然のことである。

自民党政権は、米国政府と辺野古に海上滑走路を建設することで合意を成立させてしまった。鳩山政権が発足し、鳩山政権は辺野古での海上滑走路建設を回避するための方策を、必死に模索している。米国に対して、これまでの小泉政権に代表される、隷属の姿勢から脱却し、粘り強く日本の主張を貫こうとしている。

日本国籍のメディアであるなら、日本国民の利益を守ろうとする鳩山政権を懸命に支援すべきである。ところが、ほとんどのマスメディアが「売国報道機関」になり下がってしまっている。鳩山政権を攻撃することにいそしみ、日本政府が米国政府に隷従するべきと受け取れる主張を展開し続けている。

普天間飛行場の機能をいくつかに分散して、国内に再配備すれば辺野古の海岸を破壊する海上滑走路建設を回避することが出来るかも知れないのだ。その方策を見出すために半年程度の時間を費やすことは賢明な対応以外の何者でもない。ヒステリックに鳩山政権を批判する方がどうかしている。

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自民党政権は13年間も問題を解決できずに今日に至っているのだ。石破茂元防衛相は、テレビ番組で自分が防衛問題の第一人者であるかのごとくに振る舞い、同じ内容の説明をくどくどと繰り返すが、13年間も問題を解決できなかった自民党の政策責任者に、偉そうな講釈を垂れる資格はない。

自民党が無責任に成立させてしまった日米合意の最大の問題は、沖縄県民の意向だけがまったく反映されなかったことにある。新しい滑走路を日本の費用負担で建設させようとする米国と、海岸を破壊する巨大公共事業で巨大利権を確保しようとする自民党が、沖縄県民の意向を無視して勝手に合意を成立させてしまっただけなのだ。

マスメディアの鳩山政権批判が続いているが、鳩山政権にはぜひ、じっくりと時間をかけて最善の方策を見出して欲しいと思う。鳩山首相が明確な結論を示さないことをマスメディアが攻撃するが、すべての評価は結果が示されたあとに定められる。結論を見ぬうちから性急に評価を下すならば、結果が出たときに不明を恥じなければならなくなるだろう。

普天間基地移設問題以上の重大性を持つのが「日米密約」問題である。沖縄返還に際して核持ち込みについての密約が日米政府間で交わされた等の疑惑である。

問題の最大のポイントは、密約の存在についてこれまで繰り返し国会で質問が行われた際に、政府が密約の存在を否定してきたことである。国会で虚偽の答弁が繰り返されてきた疑いが存在するのだ。

したがって、問題の名称を「日米密約問題」でなく、「国会での偽証問題」とするべきである。日本国憲法の基本を蹂躙する巨大犯罪が行われてきた可能性が高い。

日本国憲法の下で主権者は国民であることが明確にされている。主権者が代表者を選び、この代表者が国会を舞台に政治を司る。内閣は国民に責任を負う存在である。

この内閣が国会で虚偽の証言を続けてきたのならば、許されざる国民に対する背信行為である。石破氏は普天間基地移設問題で低劣な鳩山政権批判を行う前に、密約問題=偽証問題について責任ある見解を示すべきである。

密約問題はこれまでの自民党政権の深い闇を示す極めて分かりやすい事例になる。徹底的な真相解明が求められる。

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2009年12月29日 (火)

「悪徳ペンタゴン」との最終決戦になる参院選

2009年も残すところあと2日になった。

2009年の最大の出来事は政権交代の実現だった。総選挙に向けて「悪徳ペンタゴン」の民主党攻撃は激しさを増した。「悪徳ペンタゴン」が最大の脅威だと位置付けたのは小沢一郎現民主党幹事長だった。

私は2008年5月28日に、

「自民党が恐れる最大の存在は小沢一郎民主党代表である」

を書いた。

1955年体制樹立以後、54年にわたって維持されてきた自民党支配の構造、1890年の大日本帝国憲法施行以降の120年、1867年の明治維新以降の140年の間、維持されてきた官僚支配の構造、1945年の第二次政界大戦終結後、64年間維持されてきた米国による日本支配の構造、これらの構造を根底から変革することが政権交代の目的である。

政治屋・官僚・大資本・米国・マスメディアの五者が巨大な利権複合体を形成し、日本政治を支配し続けてきた。私は「政・官・業・外・電=悪徳ペンタゴン」と命名したが、悪徳ペンタゴンは政権交代の実現阻止に向けて懸命の工作活動を展開した。

民主党は2005年9月の総選挙に大敗した。小泉首相の郵政民営化路線に対して、民主党岡田克也代表は明確な対立軸を示すことができなかった。

岡田代表が辞任したのちに代表に就任した前原誠司氏が率いることになった民主党は、耐震構造偽装、輸入牛肉への危険部位混入、ライブドア事件、防衛施設庁汚職事件などの問題で小泉政権攻略の機会を得たにもかかわらず、偽メール問題で自滅してしまった。

民主党は存亡の危機に直面した。この危機を救済する形で登場したのが小沢一郎氏であった。小沢氏の民主党代表就任は2006年4月だった。小沢氏の民主党代表就任直後、民主党は千葉7区の衆議院議員補欠選挙で劇的な逆転勝利を収めた。

2007年7月の参議院選挙で民主党は「国民の生活が第一」の基本方針を提示して選挙を戦い、大勝した。参議院で与野党逆転を実現させると同時に、民主党は参議院で第一党の地位を確保した。

民主党は解党の危機から脱出し、政権交代をうかがう地点にまで歩を進めることに成功した。民主党大躍進の原動力が小沢一郎氏にあったことは紛れもない現実だった。

「悪徳ペンタゴン」は小沢一郎氏攻撃に総力を結集し続けた。2007年7月の参議院選挙では徹底的な小沢一郎氏に対するネガティブキャンペーンが展開された。この基本はいまもまったく変わっていない。

習近平中国副主席来日に際しての天皇との会見は、政治判断として順当なものであった。この会見を公然と批判した宮内庁職員に対して小沢一郎氏が厳しく批判したのは当然のことである。ところが、マスメディアは小沢一郎氏に非があるかのような印象操作を徹底して実行した。

2007年11月の自民党と民主党の大連立構想も、小沢一郎氏の影響力を低下させるための工作であった可能性が高い。民主党が大連立に乗れば自民党が下野するリスクが低下し、民主党が大連立を拒否すれば小沢氏の党内での影響力が低下する。これが大連立構想の背後にある考え方であったと思われる。

2008年4月の日銀幹部人事では、財務省出身の渡辺博史氏の副総裁就任を小沢代表が拒絶した。民主党内部では渡辺氏の副総裁就任を容認する動きがあった。これも小沢氏の影響力を低下させるための工作活動であった可能性が高い。

2008年9月の民主党代表選では、マスメディアが執拗に複数候補による代表選実施を要求した。客観情勢を冷静に見つめれば、小沢氏の無投票再選が順当そのものであったが、メディアは執拗に小沢氏の無投票再選を批判した。小沢氏を排除したい、あるいは、民主党内の反小沢代表の動きを活発化させたいという「悪徳ペンタゴン」の意向を反映したものであったと考えられる。

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究極の小沢氏攻撃が2009年3月3日の大久保隆規氏の逮捕だった。政治謀略以外のなにものでもないとしか言えない恐るべき権力行使が実行された。小沢氏は瞬時に真相を見抜いたと思われる。同日の記者会見において、検察捜査の不当性を強く指摘した。

必死の小沢一郎氏攻撃、民主党攻撃をはね返し、民主党はついに政権交代実現の偉業を成し遂げた。小沢一郎氏は5月11日、民主党代表辞任を表明し、後任の代表に鳩山由紀夫氏が就任した。マスメディアは必死に小沢前代表の院政だと主張し、鳩山新代表選出を攻撃した。

テレビ番組で御用コメンテーター業にいそしむ偏向放送局NHK出身の池上彰氏は、鳩山氏を新代表に選出したことについて、「民主党は愚かな選択をした」と断言した。

しかし、鳩山新代表を国民は好意的に受け止めた。8月30日に設定された総選挙で、民主党は地すべり勝利を獲得し、ついに政権交代が実現したのである。

これまで日本政治を支配し続けてきた官僚、大資本、米国と癒着する政治屋と、これらの利権複合体の走狗として情報操作にいそしむマスメディアは、これまで維持し続けてきた巨大利権を喪失する危機に直面している。

政権交代は実現したが、利権複合体が完全消滅したわけではない。悪徳ペンタゴンは首の皮ひとつ、生命を維持しているのである。最後の望みの綱が2010年夏の参議院選挙である。

2010年夏の参院選で自民党が大敗すれば、「悪徳ペンタゴン」は自己崩壊過程に移行する。民主党を軸とする与党は2013年の衆議院の任期満了まで衆議院の解散を行わないであろう。丸3年の時間を確保すれば、これまでの日本政治に巣食っていた利権構造を根絶することも可能になる。

逆に言えば、「悪徳ペンタゴン」は断末魔の叫びとして、2010年夏の参院選での逆転に望みをつないでいるのだ。

鳩山政権発足以後の常軌を逸した鳩山政権攻撃、小沢一郎民主党幹事長攻撃の背後にはこうした「悪徳ペンタゴン」の意向が反映されている。

検察権力も必死である。自民党議員の政治利権スキャンダルをまったく捜査する意思を示さぬ一方で、鳩山首相および小沢幹事長周辺の調査に全精力を注いでいる。

予算編成も天皇会見も、普天間基地移設問題も、鳩山政権にほとんど落ち度はない。政権支持率の低下はメディアの情報操作によって人為的にもたらされているものである。

2010年夏の参院選に向けて、情報操作がさらに激化する可能性が高い。こうした状況を念頭に入れて、対応を考えなければならないのが現状だ。

これまでの利権複合体による利権政治に戻るのか。それとも日本政治を刷新して、国民の国民による国民のための政治実現を目指すのか。決定権は主権者である国民にある。日本政治刷新を希求する国民は、マスメディアによる情報操作の悪質さを口コミですべての国民に伝えてゆかねばならない。

国民が情報操作に誘導されて、悪徳ペンタゴンの術中にはまることを阻止しなければならない。2009年、激しい情報操作を克服し、日本国民は偉大な選択を示すことに成功した。2010年も流れを変えてはならない。激しい闘いが予想されるが、主権者である国民はこの闘いに勝利を収めなければならない。

2010年の闘いに勝利して、初めて日本政治刷新の基礎は固められるのだと思う。

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2009年12月28日 (月)

ゴミ分別細分化とレジ袋撤廃運動の非合理性

地球環境に対する関心が高まり、温暖化ガスの排出量削減に各国が取り組んでいる。生命が存在できる地球環境を維持することは重要である。

①地球温暖化の傾向が確かである、

②その原因が明確である、

③原因を除去することが技術的に可能である、

④原因を除去することによる効用が原因を除去することに伴う弊害を上回る、

のすべての条件が正しければ、温暖化対策を進めることは是認される。

しかし、このなかの①と②とは必ずしも明確でない。地球温暖化に関する論議は『気候変動に関する政府間パネル』によって発行された『IPCC第4次評価報告書』に依拠している。同報告書は、人為的な温室効果ガスが温暖化の原因である確率を「90%を超える」とする。

『IPCC第4次評価報告書』は現在世界で最も多くの学術的知見を集約しかつ世界的に認められた報告書であるとされることから、原因に関する議論においても主軸とされるようになっている。

しかし、地球温暖化の事実認定、および地球の表面温度変化の原因について、各種の懐疑論、異論が存在することも知っておかねばならない。

過去あるいは将来の温暖化をもたらす要因のうち、人為的な要因が占める割合は低い、あるいは無いとの主張がある。また、温暖化の原因が人為的な二酸化炭素の増加にはないとする主張もある。

地球の表面温度は歴史的に大きな変動を繰り返してきており、現在観測されている温暖化もこれまで繰り返されてきた寒冷期と温暖期の繰り返しの一部ではないかとする見解もある。

地球温暖化論議と切り離せないのが政府の環境対策関連予算である。地球温暖化に関連して膨大な政府予算が計上されるようになった。昨年7月の北海道洞爺湖サミットに向けて、マスメディアが環境問題を大々的に取り上げた。その延長上に各種エコ電化製品、エコカーなどの環境対応商品の広告宣伝が氾濫した。

電気機器産業、自動車産業にとって政府の環境対策予算は極めて大きな利権を意味する点も見落とすことができない。

石油や石炭などの炭素エネルギーの消費抑制方針は、直ちに原子力利用推進に結び付く傾向を有する。世界の原子力産業にとって、地球温暖化問題の拡大と炭素エネルギーの消費抑制運動は、願ってもない環境である。

直観的な感覚で判断しても、有毒ガスの排出、エネルギーの過剰消費を抑制すべきことは肯定できる。地球の資源は有限であり、過剰消費が早期の資源枯渇をもたらすことも合理的に予測できる。この意味で省エネの運動を否定する考えを私も持ってはいない。

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しかし、地球の表面温度が炭酸ガスの発生増加によって温暖化しており、炭酸ガスの発生抑制が何よりも優先されるとの結論については、より慎重で十分な論議が求められる。

環境問題の美名の下に、巨大な政府予算の利権に群がる悪徳行為が蔓延している疑いが濃厚に存在することを見落とすわけにはいかない。環境問題関連の広報活動費がマスメディアに湯水のように注ぎこまれているが、これらが政治権力によるマスメディア・コントロールの一要因として活用されてきたのなら由々しき問題である。

環境問題に関して独自の立場から意見を表明されている一人が武田邦彦氏である。武田氏は多くの著作を発表されているが、そのなかのひとつである

『偽善エコロジー』

 

 

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にも、興味深い記述が多数盛り込まれている。環境問題に関心のある人は、一度必ず目を通すべき著作である。

最近のスーパーマーケットでは、レジ袋を有料化し、エコバッグ保有を推進しているところが多い。武田氏はこの運動にも疑問を投げかける。武田氏はレジ袋が石油の不必要な成分を活用して作られるもので、石油を効率よく利用するにはレジ袋を使った方が良いと主張する。

また、自治体はゴミ出しにレジ袋を利用することを禁止して、自治体指定のゴミ袋購入を義務付けるが、この規制そのものが無駄であり、むしろ資源の過剰消費を招いていると主張する。

また、各自治体が競い合うようにゴミ分別の細分化に取り組んでいるが、武田氏はこれにも合理性がないと指摘する。30年前にはゴミの焼却技術や処理技術が不完全でゴミ分別には一定の合理性があった。

しかし、現在の高性能焼却炉は家庭用のゴミを全部まとめて焼却しても、①二酸化炭素と水の気体、②飛灰、③スラグ、④金属の4つの成分に分類されるとのことである。

細分化されたゴミ分別に多くの個人が多大の労力と時間を投入しているが、高性能焼却炉を活用することにより、その労力と時間という貴重な資源を節約することができるのである。

各種リサイクル事業には膨大な政府支出、政府予算が組み込まれている。環境事業の既得権益化、利権ビジネス化が、合理的な判断を歪めている可能性を排除できない。

自然環境を大切に考え、地球環境を良好な状態で維持することは重要なことである。しかし、地球環境対策の美名の下に各種利権が渦巻いていることに十分な目配りが必要である。

同時に、環境問題にたいする懐疑論、異論を封じ込めず、建設的な論議を活発化させることが求められる。

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2009年12月27日 (日)

政治の刷新なくして豊かな社会は実現しない

『金利・為替・株価特報』ご購読お申し込み受付のFAX番号を

050-3444-9587

に変更させていただいた。旧来の番号に送信下さっている方には大変ご面倒をおかけしておりますことをこの場を借りてお詫び申し上げます。

ご購読お申し込みを上記新FAX番号に送信下さいますようお願い申し上げます。

『金利・為替・株価特報』2009年12月25日号を発行させていただいた。2005年1月の創刊号から99回目の発行となり、2010年1月8日には第100号を刊行予定である。ご購読読者の皆様に心よりお礼申し上げたい。

本レポートは私が野村総研時代に発行していた『金利・為替・株価週報』、『金利為替株価旬報』をリニューアルして刊行を開始したものである。当初の『金利・為替・株価週報』の発刊は1990年である。2003年4月から2004年末までの休刊期間があるが、発行開始から20年の年月が経過したことが感慨深い。

1985年から2009年にかけての25年間における世界経済、政治、金融は、文字通り激動の連続であった。日本のバブル生成と崩壊、冷戦の終結、米国のS&L金融危機、湾岸紛争、細川政権の成立、消費税増税と大銀行倒産、ユーロ発足、ITバブルとその崩壊、9.11テロとイラク戦争、りそな銀行救済、オバマ政権発足、郵政私物化、日本の政権交代など、激動を象徴する歴史が刻まれてきた。

この間、日本の名目GDPは1995年から2009年まで、まったく増えなかった。15年間ゼロ成長が持続しているのだ。

物価は下落し、短期金利はゼロ、長期金利は2%という状況が持続している。1989年末に38,915円だった日経平均株価は2009年には7086円にまで下落した。いまも10,500円の水準にある。

日本経済のパイがまったく変わらないなかで、分配の構造が激変した。弱肉強食奨励の経済政策は、ほんの一握りの人々に法外な所得獲得を認める一方、大多数の国民の所得を減少させた。年収が200万円に満たない労働者が3分の1を占めるという新しい貧困問題を日本にもたらしたのである。

日本は世界第2位の経済大国の地位にありながら、極めて多数の国民が生活苦にあえいでいる。年間に自殺者が3万人を超す状況が10年以上も持続している。生活保障、年金、医療、介護の不足は極めて深刻である。また、ハンディキャップを背負った人々に対する施策もあまりにも貧困である。

社会の構造、経済の構造を変革するためには、まず政治が変わらなければならない。残念ながらこれまでの日本では、国民を幸福にする政治が行われてこなかった。特定勢力が政治を支配し、特定勢力の幸福が追求されてきたのだ。

『金利・為替・株価特報』では、こうした問題意識を念頭に置きながら、内外の政治、経済、金融の分析を示してきた。経済活動にとって、金利、為替、株価の変動は極めて重大である。

金融変動を洞察するには、単に経済動向を分析するだけでなく、経済に重大な影響を与える政策動向を考察しなければならない。政策決定はまさに政治過程である。

私の経済政策に関する研究ならびに政策提言は、現在の民主党、国民新党、社会民主党と軌を一にする部分が極めて大きかった。鳩山政権与党議員との個人的な関係が極めて深い。

こうした経緯から、『金利・為替・株価特報』が多数の与党国会議員の手元に届けられているのである。日本政治を主権者である国民の幸福を実現するための存在に変革するために、私も微力ながら力を注いで参りたいと考えている。

ブログでの情報発信もその一環であるが、レポートもこの目的実現のために生かされることを願っている。

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『金利・為替・株価特報』2009年12月25日号=099号

のタイトルは

「株価危機脱出も、拭いきれない景気リスク」

以下に目次を紹介する。

1.【新春展望】算命学から見る2009年

2.【政策】焦点の2010年度予算

3.【政治】政権交代と抵抗勢力

4.【株価】株価反発はいつまで続くか

5.【為替】ドル反発の持続力

6.【金利】長期金利は急上昇するか

7.【日本経済】停滞感続く日本経済

8.【世界経済】比重増す中国経済

9.【投資】投資戦略

日本政治刷新を希求する国民は、政権交代の目的を実現するために、鳩山政権をしっかりと支えてゆかねばならない。守旧派勢力=悪徳ペンタゴンは鳩山政権攻撃を激化させているが、原点に立ち返って現実を見つめ直す必要がある。

守旧派勢力=悪徳ペンタゴンの政治への逆戻りを許してしまえば、日本に未来はない。利権複合体による政治支配を根絶し、主権者国民による政治を確実に定着させなければならないのだ。

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2009年12月25日 (金)

政治スキャンダルを政治闘争の断面と見る視点

元秘書が政治資金規正法違反容疑で在宅ならびに略式起訴された問題で、鳩山由紀夫総理大臣が12月24日、記者会見した。鳩山総理大臣は「国民に率直に深くお詫びする」と述べるとともに、引責については、「(辞任してしまえば)政権交代を選択した国民の多くへの責任を放棄してしまう。使命を果たしていくことが私の責任だ」と述べて、引き続き内閣総理大臣の職責を果たしてゆく考えを述べた。

偏向マスメディアは懸命に鳩山総理辞任の道筋をつけようとしているが、鳩山総理の判断は妥当である。ルール違反があったのなら正す必要があるが、進退についての検討は、ものごとの本質に則して考えるべきだからだ。

鳩山総理が会見で示したように、問題とされている事案は企業と癒着して賄賂を受け取ることや、政治の本質をねじ曲げる性格のものでない。しかも、問題の概要は総選挙前に明らかになっていた。金額等の変化は生じたが、問題の本質は変わっていない。

主権者である国民は、問題の存在を認知したうえで、鳩山由紀夫氏を内閣総理大臣に就任させることに同意したと解釈することができる。これまでの各種世論調査でも鳩山総理の辞任を求める声は少数である。

マスメディアが偏向報道を繰り返し、世論を無理やり操作すれば、異なる結果を得ることも可能かも知れないから、今後発表される「世論調査」と称されれるものについては、歪んだ情報操作が行われていないかを十分にチェックする必要がある。

検察庁に対して多くの刑事告発が行われているが、鳩山総理大臣周辺や小沢一郎民主党幹事長周辺に関する捜査だけが突出して実行されている感を否めない。

警察・検察権力、裁判所権力は、究極の国家権力と言ってよいだろう。日本の最大の構造問題は、この三者、警察・検察・裁判所の公正性、公平性が著しく損なわれている点にある。警察・検察・裁判所の機能が歪んでいる国家を暗黒国家という。日本はこの意味で世界有数の暗黒国家であると言えるのだろう。

今、マスメディアを通して国民に伝えられる情報は、すべて、ひとつの目標点に向けて発せられていると考えるべきである。

その目標点とは、2010年7月に見込まれる次期参議院選挙である。鳩山政権は記録的な高支持率で発足した。この高支持率が維持されて2010年夏の参議院選挙が実施されれば、野党自民党に勝機はない。2013年に見込まれる衆参同日選挙までの丸3年間が民主党を軸とする与党政権に付与されることになる。

十分条件ではないが、日本政治刷新が実現する可能性は飛躍的に高まる。これまで日本政治を支配してきた利権複合体=政官業外電悪徳ペンタゴンの構造は崩壊せざるを得ない。

政治利権を欲しいままにむさぼる構造が根本から破壊される可能性が著しく高まるのである。

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「悪徳ペンタゴン」の一角を占め、主権者である国民の意思決定に深く関与できる立場にあるのがマスメディアである。当然のことながら「官・業・外」の勢力は「電」=「電波」=「マスメディア」を完全に支配下に収めてきた。

政権交代は実現したが、悪徳ペンタゴンによるマスメディア支配の構造は、現段階ではほとんど変化していない。この偏向マスメディアが朝から晩まで偏向報道を繰り返すのだから、国民が影響されないはずがない。

西松建設事件でもあてはまることだが、「政治とカネ」の問題で限りなく黒に近いグレー色に染め抜かれているのは、多数の自民党議員である。検察捜査が多数の自民党議員にほとんど波及しない「構造」こそ、真相を解明すべき真のターゲットである。

自民党二階俊博議員の秘書が略式起訴されたが、この立件でさえ、政権交代が実現していなければ実行されなかった可能性が高い。

千葉県知事の森田健作氏に対しても、「かんぽの宿」疑惑に関しても、正式に刑事告発がなされている。

しかし、これらの問題についての検察捜査は一向に進展する気配を見せない。

次期通常国会に合わせて、「悪徳ペンタゴン」の「日本政治刷新」に対する攻撃は激しさを増すことは目に見えている。主権者である国民は、偏向マスメディアが取り上げる問題に目を奪われてしまいがちだが、こうした「情報操作」の裏側にある「大きな構造」を意識して考える習慣を持たねばならない。

主権者である国民にとって最も重大な事案は、表面を彩る「小悪」ではない。「情報操作」の裏側で蠢(うごめ)く「巨悪」なのである。

日本政治の本当の正念場は2010年に訪れる。この壁を打破して、初めて日本政治刷新の黎明が日本国民全体に届くことになる。

われわれの目の前で繰り広げられている「人為的な光景」は、すべてが「政治闘争」の一場面なのである。この基本を確実に押さえて、すべての問題を見ることを主権者である全国民が意識しなければならない。

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2009年12月24日 (木)

『金利為替株価特報』申込FAX番号変更のお知らせ

スリーネーションズリサーチ株式会社のHP修正が完了しておりませんが、『金利・為替・株価特報』ご購読お申し込み受付のFAX番号が以下のように変更になりました。

ご購読お申し込みの皆様には大変ご面倒をお掛け申し上げますが、下記番号に送信下さいますようお願い申し上げます。

会社HP上の表記も変更させていただきますので、なにとぞご理解賜りますようお願い申し上げます。

新FAX番号は

050-3444-9587

になります。

なお、『金利・為替・株価特報』090号=2009年12月下旬号は12月25日発行になります。あしからずご了承ください。

政治、経済、金融、政策に関する半歩先を読む情報のご提供に努めてまいります。なにとぞ今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう謹んでお願い申し上げます。

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2009年12月23日 (水)

主権者が樹立した鳩山新政権を支援すべき理由

鳩山首相はガソリン暫定税率の実質的撤廃を断念する方針を示した。このことをマスメディアがこぞって攻撃している。年末に際して政治関連のバラエティー番組が編成されているが、これまでの流れを維持して、鳩山新政権を攻撃する内容が目立つ。

2005年9月の総選挙で小泉政権が大勝した際には、マスメディア報道は小泉万歳一色に染まった。小泉万歳報道は2001年4月の小泉政権発足当初から持続したものだった。

2001年から2006年にかけて、小泉政権の失政は明白だった。日経平均株価は14,500円の水準から7600円の水準に暴落した。戦後最悪の不況が日本を覆い尽くし、史上最悪の失業・倒産・経済苦自殺が国民を追い詰めた。

「退出すべき企業を退出させる」と公言しながら、俎上に載せたりそな銀行を自己資本不足に追い込んだあげく、税金による銀行救済を実行した。日本の金融行政に最大の汚点を残した。

このような実績を持つ小泉政権だったが、マスメディアは一貫して小泉万歳報道を続けた。

小泉竹中政治が完全に否定された現在でさえ、日本破壊の主犯格の竹中平蔵氏を登場させ続けるメディアが多く存在する。小泉ジュニアを意味もなく持ち上げるテレビ番組も後を絶たない。

本年8月30日の総選挙で、日本国民は民主党を大勝させた。2007年7月の参院選以来継続した衆参ねじれ現象も解消した。8月30日の総選挙は政権交代の是非を問う選挙だった。主権者である国民は満を持して政権交代実現に舵を切った。

メディアは本来、こうした国民の意思を尊重すべき存在である。

ところが現実には、激しい新政権批判が展開されている。小泉政権と鳩山政権の最大の違いは、「米国の言いなりになる隷属政権」と「米国にも言うべきことを言う独立政権」との差にある。

沖縄普天間基地移設問題で鳩山政権は沖縄県民の意向、沖縄議会の動向をも踏まえて、日本の正当な主張を米国に向けている。過去の自民党政権が利権の思惑を優先して米国政府と合意を形成してしまったことが大きな呪縛になっているが、鳩山政権はこの呪縛を必死に解除しようと努力している。

この姿勢を日本のマスメディアが正当に評価するなら、鳩山政権を支援する強力な世論が形成されるはずである。ところが、マスメディアは足並みをそろえて鳩山政権に対するネガティブキャンペーンを展開する。

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デンマーク・コペンハーゲンでのCOP15会合の席上で鳩山首相がクリントン米国務長官と会話した内容について、米国サイドに疑義があるからといって、大使を呼び出したことを、日本のマスメディアは米国の対応が絶対で、米国から詰問される日本との図式で報道する。

このような報道を続けるなら、これらの報道機関は国籍を米国に転じるべきである。日本に日本独自の主張があって当然である。意見が異なる場合に、すべて米国の言いなりになるべきとの習慣が染みついて離れないのであろう。

こうしたマスメディアの偏向報道をつぶさに観察すると、その裏側に米国による日本支配の実相が透けて見えてくる。政官業外電=悪徳ペンタゴンは日本に対米隷属の利権複合体による政治を必死で復活させようとあがいているのである。

国民は自分の目で見て、自分の頭で考えて判断しなくてはならない。いま国民に求められる行動は、偏向メディアに流されて、鳩山政権攻撃に加担することではなく、偏向メディア報道の裏側にある大きな力の存在を認知して、メディアコントロール=洗脳工作に対する免疫力を高めることである。

年末に向けて、2010年度予算編成が焦点になる。92兆円水準の予算規模を誘導する財務省派と95兆円規模の予算編成を求める国民派がぶつかり合う。鳩山首相がどのようなリーダーシップを発揮するのかが注目される。

『金利・為替・株価特報』の発行日を諸事情により12月25日に変更させていただく。ご購読の皆様にはご理解賜りたい。『金利・為替・株価特報』では当面の経済政策対応の焦点について詳述する。

なお、スリーネーションズリサーチ株式会社のシステムメンテナンスのため、12月23日はFAXでの新規ご購読お申し込みを停止させていただく。24日以降、新FAX番号での受付再開になるので、なにとぞご理解賜りたい。詳しくは弊社HPをご参照くださるようお願い申し上げます。

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2009年12月22日 (火)

『月刊日本』新春号刊行と日本政治刷新のゆくえ

『月刊日本』2010年1月号が刊行された。

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巻頭特集「混迷の政局を打開せよ!」

には、

亀井静香 「対米自立は神の声だ!」

平野貞夫 「敢えて民主党を叱る」

中村慶一郎「鳩山首相よ、岩倉具視たれ!」

の各論考が掲載されている。

また、

青木 理「検察とマスコミは共犯だ」

も掲載されている。

私の連載記事

「小泉竹中改革の破綻と政治の新潮流」

は第7回を迎えた。本号のサブタイトルは

「新生銀行上場認可と「かんぽの宿」不正売却疑惑」

である。以下に小見出しを紹介する。

・りそな銀行救済の深い闇

・出来レースだったリップルへの旧長銀払い下げ

・ゴールドマン・サックスの一人芝居

・暗躍した政商竹中平蔵氏

・『売国者たちの末路』

・サンプロペンタゴンの「かんぽの宿」売却正当化

・「かんぽの宿」安値売却実現のからくり

である。

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 私は、①経済政策の失敗、②弱肉強食症例の政策、③外国資本への利益供与、④官僚利権の温存、⑤権力の濫用、を「小泉竹中政治五つの大罪」と認定してきた。

 「りそな銀行救済」、「旧長銀再上場認可」、「かんぽの宿不正売却未遂疑惑」は、③外国資本への利益供与、にかかる重大疑惑である。国会における竹中平蔵氏の参考人聴取、証人喚問が実現していないが、次期通常国会では必ず実現させる必要がある。

 菅直人国会戦略相は政府の会議に竹中氏を招致したが、このような会議に招致する前に国会での参考人招致、証人喚問が先決である。

 『月刊日本』2009年12月号巻頭に、同誌主幹の南丘喜八郎氏が

「古の武士道を存して全き者は、独り君有るのみ」

と題する巻頭言を掲載された。

 「東洋のルソー」と呼ばれ、自由民権論者として知られた中江兆民に関する論考である。

 中江兆民はフランスに留学し、帰国後ジャン・ジャック・ルソーの「社会契約論」を日本に紹介した。中江兆民の「民約論」が20年早く日本の倒幕運動に影響を与えていたなら、日本の歴史は異なるものになっていた可能性が高いと私は考える。

 明治政府が確立した「官権政治」の対極に置かれるのが「民権政治」であると考えるからだ。この問題についてここでは深く立ち入らない。

 中江兆民は勝海舟と親しく交わり、西郷隆盛の生きざまを知るに至り、西郷隆盛を高く評価した。中江兆民は真の維新革命を実現しようと決起し、敢えなく敗れた西郷隆盛を評価する一方で、人格低劣なる明治政府元勲を嘆き、晩年に至るまで烈々たる批判精神を失わなかった。

 以下に南丘喜八郎氏の著述を引用する。

「兆民は当時、勝海舟と親しく交わり、薩摩・城山で自刃して果てた西郷隆盛の第二維新に賭けた夢を知り、西郷こそ抜山蓋世(ばつざんがいせ)の英雄と高く評価した。西郷が生きていたならば、彼を担ぎ出してクーデターを断行し、西郷・勝連合政権を樹立、第二維新を成就したかったと慨嘆した。幸徳秋水は『兆民先生』にこう書いている。

「先生又海舟翁の談に依て、西郷南洲翁の風彩を想望し、欣仰措(きんぎょうお)かず、深く其時を同じくせざるを恨みとせり。西郷南洲をして在らしめば、想うに我をしてを其材を伸ぶるを得せしめならん。而(しこう)して今や即ち亡し」

 薩長藩閥政府は民権運動・国会開設運動の昂まりに抗しきれず、国会開設を約束した。

兆民は国会開設二年前の明治二十年、『三酔人経綸問答』を著し、洋学紳士君と東洋豪傑君、そして兆民の分身とも言うべき南海先生を登場させ、三人で酒を酌み交わしながら、日本の行く末を巡って激しい議論を展開させる。

洋学紳士君は、民主共和・軍備廃止・戦争放棄など進歩主義を主張する民権論者、一方の東洋豪傑君は欧米の侵略勢力に抗して、目本の自尊自立を主張する国権論者である。而して、兆民は分身たる南海先生に「いかなる知識も学説も、品質高尚なる人間の作用を助けるときには価値高きものとなるが、品質低劣なる人間と結びついたのでは、なんらの価値なきものとなる」(草津珍彦著『武士道』)と論じさせる。兆民は南海先生の口吻を借りて、如何に優れた知識や学説であっても、それを実践する人間が人格低劣であっては、全くの没価値であると喝破したのだ。」

南丘氏は、中江兆民が明治の元勲伊藤博文について、

「大勲位(伊藤博文)は、誠に翩々(へんぺん)たる好才子也。然れども、宰相者の資に非ず。総理大臣と為るに及では、唯だ失敗あるのみにて一の成績なし。其器に非(あらざ)るを知るべし。一言之を断ずれば野心余口有りて胆識足らず、内閣書記官長に止まらしめば、正に其所を得たらんか。伊藤以下皆死に去ること一目早ければ一目国家の益と成る可し」(『一年有半』)

と記述したことも紹介している。

 日本政治は本年8月30日の総選挙を経て政権交代を実現し、新しい時代を迎えた。日本政治刷新が2010年の最大の課題である。

 しかし、いかに優れた知識や学説が存在しても、政策論議に際して人格低劣な人間が跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)するなら正しい道は実現しない。

 鳩山首相は高潔なる人格により、政治の理想を実現しようと粉骨砕身(ふんこつさいしん)の努力を払い続けるだろう。日本政治刷新を希求する主権者である国民は、悪徳ペンタゴンによる利権政治復活への執拗な工作活動の本質を見抜き、マスメディアの低劣な情報操作に対する免疫力、抵抗力を身につけなければならない。

 2010年、日本政治は真の正念場を迎えることになる。

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2009年12月21日 (月)

埋蔵金活用で95兆円予算を決断すべき鳩山首相

沖縄普天間基地移設問題、献金問題、天皇会見問題でマスメディアが鳩山政権攻撃を激化させたために、各種世論調査での鳩山内閣支持率が低下した。しかし、鳩山政権に失策はない。政官業外電の悪徳ペンタゴン勢力が2010年参院選に向けて、利権政治復活のために情報操作を中心とする工作活動を活発化させていることが、世論調査結果変化の基本的背景である。

鳩山政権はこうした特殊な力が強烈に働いていることを認識して、今後の戦術を構築する必要がある。

このなかで、2010年の参院選に向けて最重要課題になるのが経済政策運営である。グリーンスパン前FRB議長が「100年に1度の金融津波」と表現した米国発の金融崩壊が世界経済に重い影を落とした。

米国も日本も巨大な財政政策を発動して経済の最悪期を抜け出したものの、先行き不安は依然として強い。2010年に向けて、日本の経済政策は経済回復誘導に軸足を置かねばならない。

日本の財政収支が劇的に悪化してしまったことが経済政策運営の大きな足かせになっており、現に鳩山政権は財政収支悪化に強い警戒感を払い始めている。

日本財政を立て直すことは中期的に極めて重要な課題である。100兆円の予算規模で税収が36兆円しかないことは、誰が見ても非常事態だと言わざるを得ない。鳩山政権が財政収支悪化に極めて神経質になることは当然のことである。

しかし、財政収支が悪化しているから、直ちに「超緊縮財政政策」を実行すべきかと言えば、そうではない。経済に強い下方圧力がかかっている局面での緊縮財政は「百害あって一利なし」である。1997年度も2001年度も、財政収支改善を最優先課題に位置付けて、政府は大失策を犯した。

「急がば回れ」が正しい判断である。

2010年度に向けて鳩山政権は「経済回復優先」に軸足を置かねばならない。そのためには、国民新党と社会民主党が一致して求めている、「第2次補正と2010年度当初予算で102.5兆円超え」を実行することが不可欠である。

補正規模を7.2兆円と置くと、当初予算規模が95.3兆円でこの基準を満たすことになる。

2010年度税収見積もりを仮に36兆円とし、国債発行金額を44兆円とすると、税外収入で15.3兆円調達しなければならない計算になる。

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読売新聞報道によると、国民新党代表の亀井静香金融相が12月20日、名古屋市で講演し、2010年度予算編成に関して鳩山首相と電話で協議したことを明らかにした。

亀井氏の発言によると、亀井氏は首相に対して「財務省があなたの組もうとしている予算に対し、財源として特別会計から15兆円程度出すことに『どうしてだ』と(反対の意見を)言ったら、勝(栄二郎)主計局長を首にすべきだ。人事を一新しなさい」と助言したとのことである。

亀井金融相は、95兆円規模の予算規模を確保するためには、税外収入を15兆円確保する必要があることを指摘したのである。

これまで本ブログで指摘したように、不足する財源を、国債発行に求めることと、いわゆる「埋蔵金」と呼ばれる政府資産取り崩しによって調達することとの間に経済効果上の差はない。

しかし、経済学の素養がまったくない低質なマスメディアが「国債発行44兆円の公約を守れ」と五月蠅(うるさ)いのなら、国債発行ではなく、埋蔵金活用を選択するのが賢明だろう。

政府は膨大な資産を保有しているから、15兆円の埋蔵金を活用することに障害はまったく存在しない。税外収入を15兆円確保して当初予算規模を95兆円にすることは、現在の経済情勢を踏まえると正しい選択である。

金融市場は政府の基本スタンスを見極めようとしている。予算規模を92兆円とするのか95兆円とするのかに実はそれほど大きな差があるわけではない。しかし、92兆円が「財政収支優先」を示し、95兆円が「経済回復優先」を示すと市場が受け取るなら、その違いは決定的に重要なものになる。

金融市場は政策当局の基本姿勢を何よりも重視するからである。

詳細は12月24日発行予定の『金利・為替・株価特報099号』に記述するが、年末の政府予算案決定に向けて、この点が最大の焦点になると考えられる。

鳩山首相がリーダーシップを発揮して2010年度予算を景気回復優先予算にすることを宣言し、民主党の政権公約を守ることを軸に当初予算規模を95兆円に拡張することを決定すれば、大きなプラスの「サプライズ」が生じることになる。

「景気」の「気」は「気学」の「気」に通じるものである。政策方針の旗幟を鮮明にすることが、経済主体の心理に大きな影響を与えることを重視するべきだ。

年末の予算編成に向けて、政権与党内での権力闘争が再現される可能性が高いが、亀井金融相が指摘するように、鳩山政権の経済政策運営が財務省に主導されてしまうなら、鳩山政権は2010年にかけて大きな重荷を背負うことになる。鳩山首相の賢明な判断が強く求められる。

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2009年12月20日 (日)

大久保隆規氏初公判が示した検察捜査の不当性

小沢一郎民主党幹事長の公設第一秘書大久保隆規氏が政治資金規正法違反を問われている事件の初公判が12月18日に東京地裁(登石郁朗裁判長)で開かれた。

大久保氏が準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)からの政治献金をダミーの政治団体からの献金として政治資金収支報告書に虚偽記載したとの疑いがかけられている。

検察側は大久保氏が西松建設からの企業献金であることを知りながら、ダミー団体からの献金であると虚偽の記載をしたと主張するが、大久保氏は政治団体には実体があり、政治団体名を収支報告書に記載したことは虚偽記載にはあたらないと主張している。

初公判を報道するメディアの大半は、検察側の冒頭陳述をベースに伝えているが、検察側と大久保氏側の主張は真っ向から対立しており、報道のあり方としては双方を同等に扱うことが必要である。

日本の裁判報道では、被告が全面否認している事件でも、検察側の主張に大きく偏った報道が展開されることが圧倒的に多い。裁判員裁判が開始され、各報道機関は裁判員制度の下での事件報道について、被告を犯人視しない中立な報道を心がける方針を示してはいるが、現実には従来同様の検察サイドに過度に依拠した報道が継続されている。

この事件は本年3月3日に突然、任意の事情聴取もなく大久保氏が逮捕・勾留されたところから始まった。

総選挙を目前にした時期に、民主党代表を務める小沢一郎氏の公設第一秘書が極めて不透明な事由で逮捕・起訴されたことは、重大な政治謀略であったとの批判を免れない。

事案の不透明性、不自然さについて、大久保氏側が冒頭陳述で指摘した。この指摘こそ、この事件の本質を衝くものである。

検察サイドは「天の声」なる陳腐な表現を用いて、小沢氏サイドが企業献金を受けて公共事業を配分してきたかのような印象を生みだすことに懸命である。しかし、本年7月に示された西松建設元社長元社長に対する東京地裁判決では、「献金は特定工事の受注の見返りではなかった」と認定された。

多くのマスメディア報道は検察が用いた陳腐な「天の声」の表現を強調し、また、大久保氏が政治団体からの献金を西松建設からの建設であったことを認識していたのかどうかが焦点であるかのように伝えている。

しかし、問題はそれほど単純ではない。政治資金規正法は寄付行為者を収支報告書に記載することを求めているのであって、寄付行為の裏側にある資金拠出者を収支報告書に記載することを求めていないからである。

「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」という二つの政治団体に実体があるのなら、収支報告書にこの二つの団体名を寄付行為者として記載することは虚偽記載にはあたらないとの解釈が有力である。

つまり、仮に大久保氏が二つの政治団体から提供される資金の拠出者が西松建設であるとの感触を有していたとしても、二つの政治団体に実体があるのなら、収支報告書に二つの政治団体名を記載することは法律違反には該当しない可能性が高いのである。

問題とされている政治資金が「賄賂」に該当するのなら「悪質性」は高いということになるだろう。しかし、もし「賄賂」であることが立証されるのなら、事件は政治資金規正法違反だけでの立件に終わっていないはずである。ところが、現実の事件処理は虚偽記載だけとされており、このこと自体が問題の「悪質性」を否定する何よりの根拠となる。

仮に「虚偽記載」だけが問題とされるとするなら、今回の「事件化」はあまりにも異常と言わざるをえない。この点についての指摘が、弁護側の冒頭陳述に明瞭に示されている。以下にその概要を読売新聞報道から転載する。

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弁護側の冒頭陳述

(大久保被告の弁護側の冒頭陳述の要旨)

 二つの政治団体の献金額

 (西松建設のOBが代表だった)新政治問題研究会と未来産業研究会はそれぞれ設立から解散までに4億2670万円、5153万円の寄付などを行っているが、その多くが小沢氏以外の政党や政治団体向けのものだ。2003~06年に両団体が陸山会などに行った寄付は3500万円。同じ期間に他の政治団体などが受け取った寄付などは約7860万円で、陸山会などへの寄付が突出しているとは言えない。

 公訴権の乱用

 過去に政治資金規正法違反のみで起訴された事件は、弁護人の知る限り、すべて寄付を受領したのに収支報告書に記載しなかったという裏献金やヤミ献金のたぐいであり、ほとんどが1億円を超えている。本件は、寄付自体は収支報告書に事実の通り記載しているにもかかわらず、寄付者の記載が正しくないとして刑事責任を問われているという点で、裏献金とは性質を異にする。金額という点でも、従前の起訴例と比較して異例だ。

 大久保被告は今年3月3日の出頭直後に逮捕、拘置され、任意の事情聴取が行われず、強制捜査で証拠保全が図られた。一方、2団体から寄付を受けている他の(政治家の)政治団体などはそもそも捜査対象にされず、現在も不問に付されたままだ。

 ダミー団体ではない

 新政治問題研究会と未来産業研究会は、それぞれ政治資金規正法に基づいて設立届を提出し、受理された。事務所の賃借料も支出し、西松の資金とは区別される資金を保有。会員の加入は西松従業員の任意であり、会費も、上乗せされる賞与支給の前に支払いをしていた者が多数いた。両団体の資金が西松の資金と評価することはできない。

 談合関与の事実なし

 検察官は小沢氏の元秘書が2000年6月まで東北地方の公共工事受注の決定権限を有しており、それ以降は大久保被告が引き継いだと主張するが、元秘書は同月に衆議院議員に選出されてから小沢氏の事務所と一線を画しており、実際の引き継ぎもなく、大久保被告が元秘書の地位を引き継ぐことはなかった。

 大久保被告は、03年6月以降にようやく建設会社などからの陳情の窓口として認識されるようになったものの、受注への力添えを依頼されても、実際に何かできるわけではなかった。

 ダミー性の認識なし

 小沢氏の事務所は、毎年、前年度実績に基づいて寄付を依頼しており、(西松建設側と)寄付金額を取り決めた事実はない。寄付先も、西松側の意向で変更しており、小沢氏の関係者が依頼したことはない。

 大久保被告は、2団体は西松が紹介してくれた団体だと認識し、03年暮れ頃、寄付の依頼を初めてした時、西松幹部から「ちゃんと届け出もされている」と説明を受けた。2団体の資金の管理や帳簿の作成を行っていたのが西松の元従業員であったことや、原資の調達などの内部事情は全く認識していなかったし、知りうる立場になかった。」

(12月18日読売新聞)

 弁護側が指摘するように、新政治問題研究会と未来産業研究会は、それぞれ政治資金規正法に基づいて設立届を提出し、受理されている。事務所の賃借料も支出し、西松の資金とは区別される資金を保有している。

 政治資金収支報告書に二つの政治団体名を記載して報告したことは「虚偽記載」にあたらないとの弁護側の主張は強い説得力を持っている。

 本年3月25日午前零時のNHKニュースは大久保氏が、「献金が西松建設からの献金であることを知っていた」との供述を始めた模様と報道した。しかし、初公判では、「献金が西松建設からの献金と認識していた」との私設秘書の供述調書の存在が示されたものの、大久保氏が同様の供述を示したとの事実は示されなかった。

 NHK報道問題も全容を解明し、問題があるなら関係者の責任が問われなければならない。

 裁判が公正に行われることを期待したいが、初公判で明らかにされた事実は、大久保氏の無罪主張の正当性を改めて裏付けるものであったと判断できる。

 公正な裁判を確保することに力が注がれるべきであるが、同時に並行して、このような政治謀略がどのようなプロセスを経て実行されたのかも明らかにされる必要がある。

 政権交代に伴い実現しなければならない最重要の課題のひとつが、日本の警察・検察・裁判所制度の近代化である。この問題解決なくして、日本の暗黒社会を解消することはできない。

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2009年12月18日 (金)

「副島隆彦を囲む会」定例会への招聘に感謝

 さる11月28日、東京・永田町の社会文化会館で「副島隆彦を囲む会」主催定例講演会が開催され、私も講師としてお招きに預かった。

申し込みは途中で打ち切られたとのことだが、多数の立ち見の方が出るほどの盛況で、熱気に満ち溢れた会になった。

 

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10月の解放以後、初めて多数の聴衆の皆様の前で講演をさせていただいた。

副島隆彦先生には、本年7月に、

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を共著で出版する機会を賜り、身に余るご厚誼を賜っている。解放後に多数の方が参集される講演会で発言機会を賜ったことに、改めて心からの謝意を表したい。

私の演題は、

「日本政治の現状と展望
2010年日本経済再悪化懸念の拡大」

で、小泉竹中政治の総括、政権交代の意味、鳩山新政権の課題と2010年に向けての経済政策運営上のリスクについて解説させていただいた。

内容が多岐にわたり、また、りそな問題、かんぽの宿問題など、詳細な説明が必要な素材が多かったために、後段の経済政策についてのお話が十分には尽くせなかった点をお詫び申し上げたい。

25枚のパワーポイントデータを用意させていただき、説明をさせていただいたが、とりわけ財政運営については、会場にお配りいただいた数表が重要で、数表の数値をご覧いただきながら説明をさせていただいた。

講演会翌日の11月29日テレビ番組で鳩山政権の仙谷由人行政刷新相が財政運営の軌道修正について言及されたが、鳩山政権が2010年に向けて、目先の財政収支尻を取り繕うことを優先することのリスクを中心に説明させていただいた。

私は財政状況の悪化促進を主張したことは一度もない。財政金融の研究を始めた1983年以来、私は一貫して財政健全化のための論議をし続けてきた。私が批判してきたのは、経済状況を無視した緊縮財政による「財政収支改善至上主義」なのである。

近視眼的な「財政再建原理主義」と呼ぶことができる。経済状況が極めて不安定なときに超緊縮財政を強行することの愚を説いてきた。1997年度も2001年度も時の政権はこの誤りを犯した。2001年の小泉政権の罪がはるかに深いのは、2001年の政策運営に際して、97年度に失敗した橋本龍太郎元首相が「同じ轍を踏むな」と警告したにもかかわらず、まったく同じ失敗を繰り返した点にある。

亀井静香金融相がしばしば発言するように、お父さんにがんばって働いてもらい、借金を返さなくてはならないが、そのお父さんに無理をさせては元も子もないのである。

病み上がりのお父さんには栄養と睡眠が不可欠である。不安定な経済は、まず元気にさせることが先決なのである。97年も2001年も病み上がりの日本経済に寒中水泳だの千本ノックを見舞わせた。その結果、病気は再発し、結局治療費も借金も激増してしまったのだ。

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2010年に向けて、経済政策運営の基軸に据えなければならないことは、「経済の回復誘導」なのである。「経済の回復誘導」を犠牲にして、目先の財政収支改善を優先する政策は必ず失敗する。

この「政策基本方針」を定めることが何よりも重要である。菅直人国家戦略相と藤井裕久財務相が主導する緊縮財政論が主導権を握るなら、大きな禍根を残すことになる。菅直人国家戦略相が竹中平蔵氏を会議に招いたと伝えられているが、意味のないことに時間を空費する余裕などないことを重視するべきである。

「副島隆彦の学問道場」様に、11月28日講演会収録DVDについての案内が告知されている。 

講演会のアンケート結果の一部も紹介されている。多くの皆様の身に余るお言葉に心からの感謝を申し上げたい。

なお、感想の一部に

「・9.11テロの女活動家と呼ばれたとのきくちゆみ氏のブログによると、電話で「失礼な奴だ」とか「お前」と呼ばれた由、案外傲慢な素顔かと少し失望していました(女性 60歳 会社役員)」

との記述があった。意味が判然としないが、私はきくちゆみ氏と電話で話したことはないので、誤解のないようにお願い申し上げたい。

 詳しくは副島隆彦先生のサイトをご高覧賜りたいが、私にとってもとても意義深い講演会に参加させていただいたことに深く感謝している。

 11月28日の講演会には、セキュリティー上の理由から、事前告知なしで出演させていただいた。そのなかで、この上なく温かく講演を聞いて下さった出席の皆様にこの場をお借りして改めて心から感謝申し上げる。

 また、副島先生はもちろんのこと、会の司会をご担当下さった中田安彦氏、DVDを告知された須藤喜直氏をはじめとする「副島隆彦を囲む会」のスタッフならびにボランティアの皆様、そのほか多数の関係者の皆様に改めて深く感謝申し上げる。

 講演で日本政治の課題について話をさせていただいたが、現在、日本政治についての執筆を進めている。内容がまとまれば、皆様に報告できる機会をいずれの日にか持ちたいと考えている。

 この稿の結びとして副島隆彦先生のサイトに紹介くださった須藤喜直氏の紹介文を転載させていただく

「今回の定例会には、私達の会の初のゲストとして、なんとエコノミストの植草一秀先生(スリーネーションズリサーチ代表)にご講演をいただきました!

・「副島隆彦を囲む会」主催・定例会、講演会
「民主党新政権と米ドル体制はいつまで続くか」 

講師:副島隆彦先生、植草一秀先生
開催日時:2009年11月28日(土)
会場:社会文化会館 三宅坂ホール
収録時間:約187分
収録内容:副島隆彦先生の講演[約111分]
     /植草一秀先生の講演[約76分]
民主党新政権の行方は?
ベストセラー『売国者たちの末路』で官僚の権力構造に切り込んだ日本最高の知識人2人が、混迷する金融経済の今後を予測しました!!

植草先生は、大人気ブログ「知られざる真実」の中で、政・官・業・外・電の5つの権力からなる「悪徳ペンタゴン」の利権構造による、世論操作の実態を暴いてきたエコノミストです。

本公演では、日頃ブログに書かれていた諸事項が、更に判りやすく解説されています。ソフトな語り口ながら、その内容は高度かつ過激。デフレ脱却のために、「民主党政権はいかなる政策を取るべきか」についても提言します。

副島先生は、後半の講演において「植草一秀の今回の話は、本来であれば衆議院予算委員会で話されることなんですよ」と、絶賛されていました。

民主党新政権の閣僚の派閥構造を解説するほか、新政権をとりまく金融・経済情勢、最新の経済予測を披露。ドル価格下落と連動するように上昇する国際金価格など、金融経済の動きをグラフや表を駆使して解説されています。

最後に行われた「質疑応答」も、歴史や国際政治、資産運用から人生相談に至るまで幅広く、正に談論風発、見ごたえ抜群です。」

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2009年12月17日 (木)

咽元過ぎて熱さ忘れる政策が鳩山政権のリスク

 鳩山政権が直面する三大難問は①個人献金、②沖縄普天間飛行場移設、③景気対策・予算編成である。

献金問題については、メディアが懸命に鳩山総理大臣攻撃を展開しているが、首相の進退問題につながるような問題ではないことが明確化しつつある。

政治資金管理団体への貸し付けは違法行為ではない。鳩山首相の母親から提供された資金が贈与にあたると認定されるなら、贈与税の支払いが実行されることになるだろう。税務上の解釈の問題である。

鳩山首相の元公設秘書が政治資金収支報告書に事実と異なる記載を行ったことが政治資金規正法違反に該当するとされる見通しだが、鳩山首相の資金を秘書の独断で個人からの献金と記載したことは、虚偽記載に該当するのかも知れないが悪質性の見地から、重大な問題とみなすことはできない。

「政治とカネ」の問題の本質は「政治権力と大資本の癒着」にある。政治家が企業からの資金を隠ぺいする、いわゆる「ウラ金」や「賄賂性のある資金」が重大な問題なのだ。自民党は通常国会で鳩山首相を攻撃しようとしているのだろうが、「政治とカネ」の問題で本来追及されなければならないのは多数の自民党議員であることを十分に自覚する必要があるだろう。

沖縄普天間飛行場移設問題で鳩山政権は米国のごり押しに押し切られずに、日本国民の利益を守る行動を毅然と示している。鳩山政権を懸命に攻撃しているマスメディアと御用言論人は、ほとんどが心を外国勢力に売ってしまっている

 

「売国者たち」

 

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  である。

基軸である日米安保、沖縄の負担軽減、米軍の再編をすべて満たす解を追求するべきである。そのために半年程度の時間を費やすことを躊躇するべきでない。自民党は13年もの時間を要しながら、問題を解決できずに今日まできたのだ。

ヘリコプター離着陸施設の機能と戦闘機離着陸用の滑走路機能とを区分して問題解決を図れば、解を必ず見出せるはずである。辺野古に1300メートル滑走路を建設することを既得権益として離したくない勢力が、即時決着を大声で叫んでいるに過ぎない。

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鳩山政権が抱える最大の問題は景気・予算編成問題である。

この点を本ブログで再三指摘してきた。11月27日までの期間、鳩山政権が示していた財政政策運営姿勢は極めて危険なものであった。2009年度は前政権である麻生政権が14兆円もの補正予算を編成したために、強い景気支持予算になった。

ただし、麻生政権が編成した14兆円規模の第1次補正予算には重大な問題があった。公的施設の営繕費2.8兆円や天下りの温床となる58の政府基金への4.8兆円の拠出など、官僚利権に対するお手盛り予算が満載だったからだ。

予算を論じるときには、予算の規模と予算の内容の双方に十分な検討を加える必要があるのだ。鳩山政権が抱えた重大リスクは2010年度に規模の面で超緊縮財政を実行する可能性を高めていた点にある。

『金利・為替・株価特報』にこの問題を詳述してきた。鳩山政権幹部もこのレポートを熟読されていることと思う。11月29日以降、鳩山政権の政策姿勢が大きく変化した。2010年度に向けての「超超緊縮財政運営姿勢」が「中立の財政政策運営」に転換する方向が示されたのである。

『金利・為替・株価特報』099号は12月24日発行予定で、これが年内発行最終号になる。099号に改めて詳述するが、2010年度財政が日本経済に対して強い下方圧力を与える可能性は、現段階で完全に払拭されていない。

この問題が鳩山政権の最大のアキレス腱になると考えられる。

11月下旬にかけて、強い警鐘を発したのは株式市場だった。日経平均株価は11月27日に9081円の水準にまで下落した。9000円の大台割れ寸前に下落したが、この水準はチャート分析上も極めてクリティカルなポイントだった。

日経平均株価終値が7月13日の9050円を下回ると、株価の三尊天井が成立し、株価下落トレンド入りが強く印象付けられる局面だった。

このタイミングで仙谷由人行政刷新相がテレビ番組で「景気配慮型予算編成の考え方」を述べた。これまでの杓子定規な超緊縮財政政策運営を景気配慮型運営に転換する方針を示唆したのである。

この方針転換が12月8日決定の緊急経済対策に反映された。2009年度第2次補正予算規模は当初3兆円弱の規模とされてきたが、これが7.2兆円に拡張された。

政策方針の変化を敏感に反映したのが株価である。日経平均株価は12月4日に1万円の大台を回復した。日経平均株価はわずか5営業日で1000円以上も急騰したのだ。その後、日経平均株価は12月16日に10,177円にまで上昇した。

ところが、12月17日の日本経済新聞朝刊に、2010年度一般会計予算規模が92兆円前後に調整されるとの記事が掲載された。

国民新党と社会民主党は2009年度第2次補正予算と2010年度当初予算を合わせて、2009年度第1次補正後の102.5兆円を下回らないようにするべきとの方針を示している。2010年度当初予算が92兆円規模で編成されると、2009年度第2次補正予算と2010年度当初予算の合計は99兆円強の水準になる。

実際には2009年度第1次補正予算が3兆円弱執行停止になっていること、地方交付税交付金が3兆円程度減額されることなどがあり、細かな再計算が必要である。この点については『金利・為替・株価特報』2009年12月24日号=099号に詳述する。問題は鳩山政権の財政政策運営がもう一度「緊縮」の方向に引き寄せられ始めた点にある。

11月末の株価下落局面は鳩山政権の大きな危機であった。この危機から鳩山政権を救出したのが、国民新党や社会民主党が主導した財政政策運営の軌道修正だった。その成果で株価も上昇し、鳩山政権は一息ついた。自民党は「鳩山政権不況」を喧伝(けんでん)しようと待ち構えていたが、肩すかしを喰らった。

ところが、「喉元過ぎて熱さ忘れる」だろうか。株価反発のなかで、再び緊縮財政論が政府内で息を吹き返してきた。緊縮財政論を主導しているのは菅直人国家戦略相と藤井裕久財務相であるように見える。政権内部での権力争奪戦が展開されているように見えなくもない。

12月17日の株価が前日比下落で取引を終了したのは、同日の日経新聞朝刊が報じた2010年度予算編成方針を背景にしたものであると考えられる。

金融市場は鳩山政権が景気回復と目先の財政収支尻のいずれを重視するのかを注視している。「経済あっての財政」の基本を無視した政権が、過去にいずれも重大な失敗を犯した歴史から、正しい政策姿勢を学ばねばならない。

鳩山政権がもう一度緊縮方向に財政政策運営の舵を切るなら、致命的な結果が待ち受けるに違いない。為政者は歴史と合理性の前に謙虚でなければならないはずだ。

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2009年12月16日 (水)

市民によるメディア、スポンサー監視が必要

 鳩山政権が沖縄普天間飛行場移設問題の結論先送りを決定した。現状で最善の決定を示したと評価すべきである。

米国の利害を代表する日本のマスメディアが大騒ぎして鳩山政権を攻撃しているが、日本国民は日本国民の利益を踏まえて、米国に対しても言うべきことを言う姿勢を貫く鳩山政権を支持し、鳩山政権をしっかりと支えてゆかねばならないと思われる。

米国との関係が取りざたされる読売-日本テレビ系列の鳩山政権批判は激しさを増している。うっかりすると国民もこうした悪質メディアに洗脳されかねないが、報道内容があまりに偏向していると、かえってそのいびつさが目に付きやすくなり、一般国民の警戒を誘ってしまうようにも思われる。

沖縄の普天間基地移設について、米国は老朽化した普天間の滑走路に代わる新しい滑走路を手に入れたいのだと思われる。キャンプシュワブにはもとより沿岸部にV字型滑走路を建設する計画があったことが明らかにされている。

普天間飛行場移設の機会に乗じて、もとより米国が欲しかった滑走路を日本政府負担で建設させることが検討されたのだろう。

日本サイドでは辺野古地区にV字型滑走路を海上に建設すれば、大手ゼネコンにとって巨大収益機会が生まれる。その事業者と事業者に巣食う利権政治家が結託して海上V字形滑走路建設が日米政府間で合意されたのだと考えられる。

この合意形成の最大の欠陥は沖縄の一般市民の声が反映されていない点にあった。8月30日の総選挙に際して鳩山政権与党は在日米軍の見直しを政権公約に掲げた。普天間飛行場移設については、自民党政権と米国との間の合意が存在していることを踏まえてマニフェストでは言及しなかった。

こうした背景を抱えるなかで鳩山政権が発足したが、鳩山首相は状況を慎重に見極めながら着地点を見出す努力を重ねている。自民党政権は13年の時間を空費した。13年かけても普天間移設を実現できなかったのが自民党政治の実績なのである。

自民党は辺野古への移設を決定し、海上にV字形滑走路を建設する方針を定めたが、肝心かなめの地元の賛同を十分には得ていない。海上滑走路を建設するには県知事の建設許可が必要だが、知事が建設を許可すれば県議会が知事不信任決議を可決させる可能性が高い。不信任決議が可決されれば知事は議会を解散するか失職するかしか選択肢はない。つまり、海上滑走路建設は地元の賛成を得ない限り、先に進ませることができないのだ。

もともと普天間基地機能の移設とは、ヘリコプター離着陸施設の移設問題であったはずだ。この原点を踏まえるなら、辺野古に移設するにしても、ヘリコプター離着陸施設だけを整備する計画でよいのではないかと考えられる。

美しい海岸線を破壊してV字形滑走路を建設するのではなく、小規模なヘリコプター離着陸施設だけを建設する計画が検討されるのなら、地元の理解はずっと得やすいはずである。

鳩山政権はこうした点を含めて原点に立ち返って問題を再検証、再検討しようとしている。そのために数ヵ月の時間をかけることを妨げる理由は何もない。

この問題を大声で非難するのは、日本の費用負担で2本の1300メートル滑走路を建設させて貢がせようとする米国軍とその建設事業で巨大利権を手にしようとしている勢力である可能性が高い。

テレビ朝日「スクランブル」は、コメンテーターの川村晃司氏が政権交代に伴う政府方針の変更が、必ずしも異例のものではなく、一概に非難されるべきことではないことを強調し、バランスのとれた報道を展開した。これに対して、読売テレビ「ミヤネ屋」は偏向コメンテーターだけを出演させ、偏向コメントだけを垂れ流している。

マスメディアによる偏向報道、情報操作を排除するためには一般市民がメディアコントロールを監視しなければならないと思われる。

「誰も通らない裏道」様が今回の羽毛田宮内庁長官の突出発言問題に関連する世論操作工作の可能性を指摘され、ネットからの情報発信の必要性を指摘されているが、まったく同感である。

日本の政治もメディアも、多くが「売国勢力」によって支配されてしまっている現実を認識しなければならない。

沖縄海兵隊のグアム移転に際して、なぜ1戸当たり7000万円もの住居建設を日本が負担しなければならないのか。こうした事業を実施することを喜ぶのはいったい誰なのかをよく考えなければならない。

辺野古の美しい海岸を破壊して1300メートル滑走路を2本も建設する必要が本当にあるのかどうか。沖縄の人々の意向を踏まえて結論を得ようとすることは問題解決に向けての正しいプロセスである。

日本テレビ「太田総理」

読売テレビ「ウェークアッププラス」

テレビ朝日「TVタックル」

テレビ朝日「サンデープロジェクト」

テレビ東京「週刊ニュース新書」

などの偏向番組に対する監視を強める必要がある。民主党はこれらの番組に対する議員出演を党本部でコントロールする必要もある。

 市民はこれらの番組の内容を監視し、番組出演者の属性を調査するとともに、スポンサー企業を明らかにして状況によっては不買運動提唱などを検討するべきだろう。

 中国の習近平副主席来日に際しての天皇との会見に関する問題で、突出した異常な対応を示したのは羽毛田宮内庁長官である。1ヵ月前の内規を適用することが政治性を排除するための要件であるかのように説されるが意味不明だ。

 天皇との会見を認める外国賓客を選別する部分に「政治」判断が介在するのであって、「時間」の問題ではない。読売新聞などは「国事行為」と「公的行為」の違いを強調するが、象徴天皇を定めた日本国憲法の基本精神は、天皇の国事行為と、国事行為に準ずる公的行為を、国民の意思を反映した内閣がコントロールする点にある。羽毛田宮内庁長官の言動こそ、この基本精神を逸脱するものである。

 2010年夏の参議院選挙まで、日本政治刷新を希求する国民はまったく気の抜けない状況が続く。

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2009年12月15日 (火)

小沢一郎氏の正論を批判する低劣なメディア

 本ブログで繰り返し警鐘を鳴らしているが、マスメディアの鳩山政権批判が激しさを増している。批判の対象とされているのは、2010年度予算編成問題、普天間基地移設問題がその中心であったが、ここにきて中国の習近平副主席と天皇の会見問題も大きく取り上げられている。

 客観的にみて鳩山政権の対応に批判される事柄はまったくない。鳩山政権は2009年度補正予算および2010年度当初予算編成の基本方針を、従来の超緊縮から景気中立に柔軟に変化させつつある。鳩山政権の政策スタンスの変化を反映して、日経平均株価は9000円割れ目前の水準から1万円の大台回復を実現した。鳩山政権の極めて柔軟で的確な判断が功を奏したといえる。

沖縄の普天間基地移設問題も、米国の強硬姿勢に怖気づいて拙速に最終決着を求めることをせずに、時間をかけて結論を得る方針を定めた。米国の言うがままに戦争に加担し、国益を喪失してきた小泉政治の対米隷属外交から明確に一線を画す姿勢は高く評価されるべきものだ。

マスメディアが歪んだ主張を全面的に展開して鳩山政権を攻撃する理由は、政官業外電の悪徳ペンタゴン=利権複合体による利権政治を復活しようとの執念の表れである。今後の政局の最大の焦点は2010年夏の参院選である。参院選に向けて鳩山政権を攻撃し、鳩山政権の支持率を引き下げ、参院選の与党勝利をいかなる手段を用いてでも阻止しようとする悪徳ペンタゴンの思惑が透けて見える。

日本政治刷新を希求する心ある主権者は悪徳ペンタゴンの魔手から国民本位の政権を守らなければならない。言論空間を支配するマスメディアの大半が悪徳ペンタゴンの一角を占めている現実を直視し、草の根から真実の情報を伝えてゆく努力を怠ることができない。意識をもった行動が不可欠である。

中国の習近平副主席の来日に際しての天皇と会見が行われることについて、

民主党の小沢一郎幹事長が12月14日の記者会見で見解を表明したが、極めて明快な説明である。読売新聞は外国賓客との会見が天皇の国事行為でないとして、内閣の助言と承認の対象外であるかのごとくに主張するが、会見は天皇の国事行為に準じる「公的行為」である。

したがって、その運用に際しては国事行為に準ずる対応が求められる。実際、歴代の内閣や宮内庁幹部は「象徴の行為として、内閣が責任を持つ」ものと答弁してきている

会見が国事行為そのものでないことを理由に、会見についての判断を宮内庁の裁量に完全に委ねるべきとの主張は正当性を持たない。

日本国憲法に以下の条文がある。

第3条 天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

第7条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。

1.憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。

2.国会を召集すること。

3.衆議院を解散すること。

4.国会議員の総選挙の施行を公示すること。

5.国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。

6.大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。

7.栄典を授与すること。

8.批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。

9.外国の大使及び公使を接受すること。

10.儀式を行ふこと。

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外国要人との会見は日本国憲法第7条に定める国事行為が直接あてはまるわけではないが、天皇の国事行為に準ずる行為として取り扱うべきことは明らかだ。

小沢一郎民主党幹事長は、今回の会見設定について、①天皇の公的行為は内閣の助言と承認によるべきこと、②健康上の問題があるなら、優位性の低い行事をとりやめればよい、との見解を表明した。

天皇と外国賓客との会見については、これまでも内閣が判断をしてきた。天皇の国事行為、公的行為を内閣がコントロールするのが日本国憲法の基本精神である。

宮内庁の判断が内閣の判断に優越するかのようにふるまう羽毛田宮内庁長官の行動こそ、日本国憲法の基本精神を逸脱するもので、小沢幹事長の「辞表を提出してから発言すべき」との見解は正論そのものである。

メディアは会見予定申し入れを1ヵ月前としていることを「ルール」と表現しているが、「内規」、あるいは「慣例」と表現するべきものである。この運用方法は法律事項でも政省令事項でもない。日本国憲法第三条および第七条が唯一の法文上の規定であり、実際の運用に際して、日本国憲法の条文が優越することは当然である。

マスメディアや自民党は天皇の政治利用と批判するが、この点を批判するなら、日本国憲法第七条第三項の「衆議院の解散」も問題になる。これまでの自民党政権は日本国憲法第七条に定める衆議院の解散を内閣総理大臣の専権事項との解釈を示してきた。

内閣総理大臣が政治上の判断から内閣を解散しようとするときに、この条文を活用していわゆる「七条解散」を実行してきた。つまり、内閣総理大臣が衆議院を政治上の理由で解散したいと考えるときに、日本国憲法の第七条の規定を利用して、天皇の国事行為として衆議院を解散してきたのである。これこそ、天皇の政治利用そのものである。

この問題について、マスメディアのなかで異彩を放つ論評を掲載しているのが北海道新聞である。極めて冷静で的確な論評を示している。一部を下記に転載する。

「中国の国家指導者が来日して天皇に会う意義は大きい。日本と中国の経済関係は切っても切れないほど深まってきた。政治や文化、国民間の交流も着実に前進している。 

 胡錦濤主席も副主席当時に天皇と会見した。有力後継候補の習副主席にも中国が同じ対応を求めてくることは予想できたのではないか。 

 天皇と外国賓客の会見は、いわゆる「公的行為」として、自民党政府が長く推進してきた。 

 外国訪問と同様、国事行為ではないものの「象徴の行為として、内閣が責任を持つ」と、歴代の内閣や宮内庁幹部が答弁している。 

 国事行為に準ずるとみてよい。憲法は国事行為を「国民のために」と明記している。同じ見地で会見に応じた内閣の判断は妥当だろう。 

 むしろ、会わない理由をこじつける方が難しいのではないか。」

 歪んだ主張を振りかざし、鳩山政権に血道をあげるメディアが大半を占めるなかで、このような正論を堂々と示すメディアが存在することは心強い。

 主権者である国民は、歪んだマスメディア情報に流されることなく、正しい情報、正しい判断をしっかりと確保しなければならない。

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2009年12月14日 (月)

月刊日本「小泉竹中改革破綻と政治の新潮流」

月刊誌『月刊日本』に

「小泉竹中改革政策の破綻と政治思潮の新潮流」

と題する連載記事を掲載させていただいている。

 最新刊は

『月刊日本』2009年12月号

 

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で、「対米自立は可能か」が巻頭特集になっている。

 私が出稿している記事は

「小泉竹中改革政策の破綻と政治思潮の新潮流」

第六回「鳩山政権郵政改革を批判する竹中平蔵氏の厚顔無恥」

である。

 鳩山政権は政権発足後、直ちに精力的な行動を開始し、「郵政改革」にも大胆な取り組みを示している。そもそも小泉竹中政治が推進した「郵政民営化」とは何であったのか。

 竹中平蔵氏は「民営化」された日本郵政人事に政治が介入すべきでないと主張するが、日本郵政は株式会社方式が採用されたものの、現段階では株式のすべてを日本政府が保有する「完全国有会社」である。

「完全国有会社」である日本郵政に対して、国民の代表である国会や、国会の多数勢力によって組織される内閣が監視と指導を行うことは当然である。竹中氏は企業統治=コーポレイトガバナンスのいろはから学び直す必要があるように思われる。

 この日本郵政を舞台に国民財産である「かんぽの宿」が不当に低い価格で特定業者に払い下げられようとした。ぎりぎりのところで未遂で終わった。また、日本郵政および傘下企業の株式が危うく市場で売却されるところだった。鳩山政権が発足し、迅速な立法措置が取られ、株式売却が凍結された。300兆円の国民資金が米国に収奪されることが、寸前で回避されたと評価できる。

 以下に「小泉竹中改革政策の破綻と政治思潮の新潮流」第六回記事の小見出しを紹介する。ぜひ本編をご高覧賜りたい。

第六回「鳩山政権郵政改革を批判する竹中氏の厚顔無恥」

「郵政民営化見直し」は新政権の最重要公約

負け犬の遠吠えを繰り返す竹中平蔵氏

ぎりぎりで回避された巨大国民資産の収奪

竹中郵政民営化・五つの重大欠陥

コーポレイトガバナンスを理解できない竹中氏

期待される日本郵政の経営刷新

不可解極まる木村剛氏の言動

自民党の機関銀行と化したりそな銀行

 参考までに、これまでの掲載記事についてサブタイトルと小見出しを掲載させていただく。バックナンバーご購読を希望される方は出版社までお問い合わせ賜りたい。

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第一回「小泉竹中改革政策はなぜ破綻したか」

第二回「国民生活を破壊した経済悪化推進の政策」

経済政策第一の課題は雇用の確保

御用学者の主張が急変

2001年3月自由党研究会

竹中平蔵氏の異論と小泉政権の失敗

財政健全化の正しい手法

金融危機脱出の模範になった小渕政権の手法

小泉首相からの反論

灼熱地獄に追い込まれた日本経済

対応を誤った民主党

企業破綻処理のダブルスタンダード

第三回「市場原理主義が破壊した日本の共生社会」

政策逆噴射による二度の日本経済破壊

金融行政の根本原則を放棄したりそな銀救済

がんばっているのに切り捨てられた大多数の国民

変化を加速させた日本経済を取り巻く環境の激変

ホワイトカラー労働者を没落させたBPR

政策のかじ取りの方向を誤った小泉竹中政治

国民の生存権まで脅かされる格差社会の惨状

第四回「官僚の天下り利権を死守した小泉政権の矛盾」

社会を構成する鎖の輪は弱い部分の強さで測られる

「共生社会」が「格差社会」、「生存競争社会」に変質

「お上と民の精神構造」が天下りの構造を支えた

「天下り」存続を目論む官僚機構の詭弁

「天下り」を根絶すべき五つの理由

「天下り」利権を握って離さない財務省

麻生政権も引き継いだ官僚利権の温存

倒錯した小泉政権の「小さな政府」論

第五回「りそな銀行処理に見る売国政策の真相」

天下り利権排除が国民負担増加策検討の前提条件

 天下り利権排除が国民負担増加策検討の前提条件

 小泉政権最大の悪徳は売国政策にある

 「りそな銀行問題」とは何か

 竹中氏の金融相就任は米国の指示によるもの

繰延税金資産計上ルール変更に失敗

竹中平蔵氏と西川善文氏、蜜月の始まり

KPMG‐朝日監査法人‐木村剛氏を結ぶ点と線

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2009年12月13日 (日)

2009第2次補正と2010本予算で102.5超が正論

日本政治は戊辰戦争で言えば箱館戦争の局面を迎える。政権与党の座を追われた自民党はなおも必死に最後の闘いに望みをかける。2010年夏の参院選に勝利すれば、これまでの利権複合体政治を存続させることが出来るかも知れない。利権複合体の一角を占めるマスメディアに歪んだ情報操作を強制し、鳩山政権攻撃を続けている。

献金問題、沖縄普天間基地移設問題、景気・予算編成問題で、鳩山政権を追い詰めようとしているように見える。献金問題では鳩山首相の母からの資金提供について、修正申告と納税が行われれば済む話だろう。鳩山首相が政治資金管理団体に貸し付けを行ったとのことであれば、政治資金規正法上の問題は生じないとのことだ。

元公設秘書が独自の判断で鳩山首相の資金を個人からの献金として処理したことが「偽装」と指摘され、元公設秘書が在宅起訴されると報道されているが、首相の進退につながるような悪質な事案ではない。政治とカネの問題の本質は「資本と政治権力との癒着」にある。鳩山首相の問題にこの種の「資本と政治権力の癒着」の問題はない。

沖縄の普天間基地移転問題では、日本で政権交代があり、日本政府が日本の実情に沿って着地点を見出そうと努めている。海上滑走路を建設するには県の許可が必要だが、国民新党の下地幹郎議員が指摘するように、沖縄県議会は海上滑走路建設に反対の意向を示している。

米国は日本の実情を理解するべきであるし、鳩山政権はマスメディアの歪んだ攻撃をかわして、日本国民の意思を尊重した着地点をじっくりと探り当てるべきである。日本は米国の隷属国ではない。小泉政権によって定着させられてしまった対米隷属外交を払拭するべき大切な局面である。

2010年に向けて鳩山政権が直面する最大の難問は景気悪化懸念と財政収支悪化の進行である。2009年度の日本財政は102.5兆円の歳出規模、36.9兆円の税収、53.5兆円の国債発行に陥る。国債発行金額が税収を大幅に下回る状況は危機的と言わざるを得ない。

財政バランスの悪化は深刻であるが、他方、2010年の日本経済に重大な懸念が存在する。景気再悪化懸念=景気二番底懸念が広がっている。日本経済は戦後最悪の経済状況に直面している。失業率は5%を突破し、企業倒産も高水準で推移している。

この局面で経済政策がどこに軸足を置くべきかについて、私は会員制レポート『金利・為替・株価特報』に記述してきた。鳩山政権は、当初、超緊縮財政運営を唱えていたが、11月29日以降、抜本的な軌道修正の方向を示し始めている。『金利・為替・株価特報』の主張が取り入れられたのだと思われる。

財政の機能には、①資源配分、②所得再分配、③景気安定化、の三つがある。事業仕分けなどでクローズアップされたのは、「資源配分」の機能だ。無駄な政府支出を根本から見直す。無駄な支出を排除し、本当に必要な対象に政府支出を振り向ける。これが「資源配分」機能に着目した対応である。

これまでの財政政策では「資源配分」機能がほとんど吟味されてこなかった。官僚利権そのものの政府支出が膨大な規模で温存されてきたのである。

小泉竹中政治は、弱者切り捨て=弱肉強食奨励の経済政策を推進した。財政の「所得再分配」機能を著しく弱める政策を実行し、日本の中間所得者層が破壊された。

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「資源配分」、「所得再分配」機能も重要であるが、2010年にかけての経済政策運営で最も重要な事項は、「景気安定化」である。財政が経済に対して、「景気刺激」に作用するか、「景気抑制」に作用するかは、端的に表現すれば、「歳出規模と税収の差=財政赤字」が前年度に比べて増えるのか減るのかに依存する。

「財政赤字」を増やす政策運営が「景気刺激」、「財政赤字」を減らす政策運営が「景気抑制」に作用する。日本財政が深刻な事態に陥っているのは紛れもない事実なのだが、この赤字を縮小させる政策運営が「景気抑制」政策になる点を正しく認識しなければならない。

詳細は『金利・為替・株価特報』をご高覧賜りたいが、1990年代以降の歴史の事実を正しく知る必要がある。92年、97年、2000年-01年にかけて、時の政権は景気情勢が不安定ななかで緊縮財政運営を実行した。

その結果、いずれのケースにおいても、株価下落-景気悪化-金融不安の悪循環が発生した。95年、98年の株価暴落、経済危機の局面で時の政権は財政金融政策を総動員して、日本経済の救出に成功している。

2010年度の経済政策において最重要の事項は、財政政策が日本経済に対して抑制的にならないように配慮することである。2010年度の税収は2009年度並みになると見込まれている。この前提で考えると、2010年度の財政支出が2009年度補正後予算並みの水準を確保することが不可欠になる。

鳩山政権が検討している2009年度第2次補正予算が実施されるのは2010年度にずれ込む可能性が高い。したがって、2009年度第2次補正予算と2010年度当初予算の合計が2009年度第1次補正後予算規模102.5兆円を下回らないようにすることが必要ということになる。

国民新党と社会民主党が2010年度当初予算編成について、「2009年度第2次補正と2010年度本予算合計で102.5兆円を下回らないようにするべきこと」で意見一致を見た。これは、「2010年度予算を緊縮予算にするべきでない」との私の主張を分かりやすく表現したものである。

民主党内でもこの考え方が浸透し始めている。原口一博総務相や川内博史議員などが記者会見やテレビ番組などでこの考え方を強調している。

菅直人国家戦略相、藤井裕久財務相、野田佳彦財務副大臣などが、歳出規模の拡大に抵抗するスタンスを示しているが、与党内部の意見調整を経て、2010年度当初予算を緊縮予算にしない意思が決定されるものと思われる。

マスメディアは2010年度当初予算での国債発行金額が44兆円を超えることを攻撃しようと待ち構えている。結論から言えば、現在の状況下で国債発行金額が44兆円を超えることはやむを得ないと考えられる。2009年度の国債発行は53.5兆円にまで拡大するわけで、44兆円を数兆円上回ることは容認されなければならない。

それでも、マスメディアが攻撃を加速させるなら、国債発行の代わりに「政府資産取り崩し=埋蔵金活用」で対処すればよい。政府債務増加と政府資産取り崩しはバランスシート上の実質効果はまったく同じである。小泉政権も2001年度、33兆円の国債発行を30兆円に偽装するために埋蔵金を活用した。マスメディアがあまりにも鬱陶(うっとう)しい場合には、埋蔵金を活用すればよい。

日本テレビ「NEWS ZERO」の村尾信尚氏は財務省の主張をそのまま述べているが、財務省の政策運営が日本経済長期低迷の元凶であった事実を認識するべきである。国民新党と社会民主党が提示した「補正と本予算で102.5兆円兆」の主張がまさに正しい政策主張である。

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2009年12月12日 (土)

マスメディア偏向報道と田原総一朗氏の降板

マスメディアの鳩山政権攻撃に拍車がかかっている。CIAとの関わりが深いと見られる読売系列テレビの偏向報道も激しい。土曜日朝の「ウェークアッププラス」、金曜日夜の「太田光の私が総理大臣になったら」、平日夜の「NEWS ZERO」がその代表である。「太田総理」12月11日の放送では、2010年1月開会の通常国会で鳩山由紀夫内閣総理大臣を追い込むための必死の工作が示された。

献金問題、普天間基地問題、2010年度予算編成で、悪徳ペンタゴンは必死に鳩山政権を攻撃しようとしている。日本政治の最大の焦点は2010年夏の参議院選挙である。参院選で鳩山政権与党が勝利すれば連立与党政権は衆議院の任期4年をフルに活用することができる。日本政治刷新に十分な時間が与えられることになる。

参院選で与党が敗北すれば、再び衆参ねじれ状況に逆戻りし、日本政治は混沌の極みに舞い戻る。日本政治刷新の大事業実現は難しくなるだろう。民主党の基本戦略構築を担う小沢一郎幹事長は、8月30日の総選挙当日から2010年夏の参院選に焦点を定めて行動を開始している。

悪徳ペンタゴンにとっては、2010年夏の参院選が利権政治復活に向けてのラストチャンスになる。偏向マスメディアがなりふり構わず鳩山政権攻撃に腐心しているのはこのためである。

石原慎太郎東京都知事が巨大な都民の税金を垂れ流して奔走した東京オリンピック招致事業は築地地区の巨大利権プロジェクトでもあった。築地市場を安全性が確保されていない江東区豊洲地区に移転する計画が東京都から示されているが、その背後に築地・汐留地域を根拠地とするメディア企業の巨大利権が見え隠れしている。

汐留に本拠地を置くメディア関連企業の代表が日本テレビと電通である。東京都がコペンハーゲンで開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会での10分間の最終プレゼンテーション映像作成に5億円を支払ったことが明らかにされた。支払いを受けたのが汐留に本拠地を置く電通である。

日テレ番組「太田総理」は、鳩山政権攻撃のための番組と言って過言でない。低俗で不正確、偏向しきった内容が毎週、公共の電波で垂れ流されている。政治番組を制作するのなら、放送法の規定に従い「政治的公平」を確保することが不可欠であるが、小泉政権登場以降、メディアの政治的公平は完全に破壊され尽くされている。

鳩山邦夫元総務相は「かんぽの宿」問題では良い仕事をしたが、実兄の問題に絡むと、完全に冷静さを失う点が見るに堪えない。兄を追い落とすために贈与税を支払い、党の役職を辞任する行動は、その目的が見え透いている。兄が総理大臣に就任し、記録的な高支持率を獲得していることに対して、どうにもならない嫉妬とやっかみを感じることを理解できなくはないが、そのさもしい行動は人間としての品格を疑わせるに十分である。

自民党は鳩山総理大臣を攻撃するために二階俊博氏の役職はく奪を画策しているが、鳩山首相はいかなる風圧が生じようとも総理大臣職をしっかりとまっとうするべきである。身内の資金を大規模に政治活動に投入してきたことは、政治姿勢としては賞賛されるべきものである。

事務処理に問題があったのなら問題を正すべきではあるし、税の問題については事実関係を正確に究明することが求められるが、ことの悪質性を十分に吟味する必要がある。賄賂性のある資金を隠蔽したことで立件された二階俊博氏の秘書の問題と、身内の資金を政治活動に注いできた鳩山首相秘書の問題とは基本的に性格が異なる。政策を論じずに政争に明け暮れる政治姿勢が問題にされるべきである。

また、小沢一郎民主党幹事長の秘書の問題では、政治資金の寄付行為者をそのまま隠さずに収支報告書に記載してきたにもかかわらず、寄付行為者と資金拠出者が相違するとの検察当局の解釈によって無理な立件が行われた。鳩山政権はマスメディアの政権攻撃工作の風圧をはねのけて、しっかりと政権を維持してゆくべきだ。

普天間飛行場移設問題でもマスメディアは声をそろえて「日米関係の危機」を叫び、キャンプシュワブ地区の海上滑走路建設の決断を鳩山政権に迫る。

自民党政権が成立させてしまった合意は重いが、それがすべてではない。辺野古に移転するにしても、本来はヘリコプターの離着陸施設があれば良いはずだったのが、いつの間にか話が1300メートル滑走路建設にすり変わった。

ワーキンググループ設置の最大の目的は、ヘリ離着陸施設がどのような経緯を経て1300メートル海上滑走路建設に変化したのかを明らかにする点にある。米国の本音は日本の費用で滑走路を造らせること、日本の本音は防衛利権に群がる業者が海上滑走路建設を求めたことにあったのだと考えられる。この利害が一致して日米合意が形成されたのではないか。

こうした経緯をしっかりと調べ直すことは当然であり、そのためにある程度の時間がかかることも当然だ。米国は、「日本は圧力をかければ狼狽して米国の言いなりになる」との基本観の下に行動していると考えられる。日本のマスメディアは米国のこのシナリオに沿って鳩山政権攻撃に拍車をかけているのだ。

このようなメディアは国籍を日本から米国に変更するべきだ。日本国民には有害な影響しか与えない。小泉政権が確立した「対米隷属外交」を打破するべき局面がきた。多少の摩擦が生じることを恐れるべきでない。日本は日本の主張を正々堂々と展開するべきである。その結果として米国が非常識な行動を示すなら、その責任は日本にあるのではなく、米国にあると考えるべきだ。辺野古にヘリ離着陸施設だけを整備するのなら、環境への負荷や地元の負担ははるかに小さく済むはずである。

マスメディアでは、偏向報道代表のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」の偏向司会者である田原総一朗氏がようやく番組を降ろされることになったことが伝えられている。日本を悪くした元凶のひとつがこの番組であったと言って良いだろう。

汚染され尽くされてきた日本のマスメディア情報空間の一角が清浄化される可能性が生まれてきた。鳩山政権は衆議院の任期4年をまっとうして日本政治刷新、日本浄化を実現しなければならない。

2010年度予算編成に向けて、鳩山政権が正しい方向に方針修正を示し始めた。私の主張が浸透し始めていることを大いに歓迎したい。日本テレビ「NEWS ZERO」司会者の村尾信尚氏は財務省職員出身である。懸命に歪んだ財務省理論流布に努めているが、その主張はまったく筋違いである。この点は稿を改めて説明したい。

12月12日朝は「ウェークアッププラス」の偏向をチェックしなければならない。

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2009年12月11日 (金)

ZAITEN1月号B.フルフォードの憂国対談

『ZAITEN』2010年1月号

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「B.フルフォードの憂国対談」

インタビュー記事を掲載いただいた。

 見開き4ページの記事で、見出しを紹介させていただく。

大見出し

「いかなる危険があろうとも

 ひるまず“悪”と闘い続けます!」

小見出し

「バラマキ麻生財政と金融危機を

 引き継いだ民主党のジレンマ」

「腸(はらわた)の煮えくり返る冤罪から

 「この世の理不尽」を学んだ」

「官僚や族と連携する輩を

 鳩山首相は断固排除すべき」

である。

 末尾にベンジャミン・フルフォード氏が

「対談を終えて」と題する囲み記事を寄せて下さったので紹介させていただく。

・・・・・対談を終えて・・・・・

「植草一秀さんは、今回話してもらったとおり、幾多の困難に直面してきた経済学者である。私も彼とともに闘ってきたが、「正論」を吐く人間の多くは、そんな目に遇わされてしまう。それが権力の怖さだ。しかし、ようやく日本にも政権交代が訪れた。私自身は、民主党が必ずしも正しいとは思っていないが、これで自民党時代、特に小泉・竹中時代に頻発した「国策捜査」といったものは、かなり減ることになるだろうと思う。日本ばかりでなく、世界が激動しているなか、植草さんには、その素晴らしい英知をもって、これからも積極的に「正論」を吐き続けてもらいたい。今後も、私は植草一秀という人間を応援していきます!」

 フルフォード氏には、身に余るお言葉を賜り、心から感謝申し上げたい。

微力ではあるが、日本刷新のために努力を重ねて参る所存である。

記事の詳細は、ぜひ『ZAITEN』2010年1月号をご高覧賜りたい。

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2009年12月10日 (木)

日本の警察・検察・裁判所制度の前近代性

旧日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)の粉飾決算事件で、旧証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)罪に問われた元会長窪田弘被告(78)など旧経営陣3名の上告審判決で、最高裁第二小法廷(古田佑紀裁判長)は12月7日、「審理が不十分」として3人を執行猶予付き有罪とした二審東京高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。

予想通りの最高裁決定である。

私は本ブログに2008年7月19日、

「長銀事件逆転無罪判決の闇」

と題する記事を記述した。

以下にその全文を転載する。

「旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で、最高裁判所は7月18日、執行猶予付き有罪とした1、2審判決を破棄、元頭取ら3人に逆転無罪を言い渡した。

刑事事件で最高裁が逆転無罪判決を出すのは極めて異例である。

日本の三権分立はおとぎ話である。内閣総理大臣が三権を掌握し得るのが実態である。政治権力は司法、警察、検察に対しても支配力を及ぼすことが可能である。

今回の最高裁判決の真のターゲットはこの事件にはないはずだ。旧長銀と類似した事案で裁判が行われている「日債銀事件」が謎を解く鍵である。

「日債銀事件」では大蔵省OBで国税庁長官を務めた窪田弘氏が起訴され、1審、2審で執行猶予付き有罪判決が出されている。

大蔵省、財務省は、同省最高幹部を経て日債銀に天下りした窪田氏の有罪確定を回避することを最重要視してきた。

長銀事件が最高裁で逆転したことが、日債銀事件に影響する。

日債銀事件で同様の逆転無罪判決が出されるなら、ここに示した仮説が間違いでないことが判明すると考える。

日本の権力構造の闇は限りなく深い。」

私はこの記事に続いて2008年7月20日に

「長銀事件逆転無罪判決の闇(2)

と題する記事を掲載した。

 以下にその全文を再掲する。

「旧長銀粉飾決算事件における異例の最高裁逆転無罪判決の裏側に、財務省主軸「官僚主権構造」の闇が存在することは、確かであるように思われる。

旧日本長期信用銀行の粉飾決算事件で最高裁判所は7月18日、1、2審で執行猶予付き有罪判決を受けた元頭取ら3人に逆転無罪を言い渡した。この問題に関連する追記。

  担当裁判官の一人である、津野修最高裁判所判事の経歴は以下の通り。

1961 国家公務員採用上級試験合格

1961 司法試験合格

1962 京都大学法学部卒業

1962 大蔵省入省 

1967 板橋税務署長

1971 日本貿易振興会フランクフルト事務所駐在員

1978 内閣法制局参事官

1983 大蔵省主税局税制第三課長

1985 福岡財務支局長

1986 内閣法制局第三部長

1992 内閣法制局第一部長

1996 内閣法制次長

1999 内閣法制局長官

2003 弁護士登録(第一東京弁護士会所属)

2004 226- 最高裁判所判事

(出典 Wikipedia

津和野氏は正真正銘の元大蔵官僚である。

財務省(大蔵省)による内閣法制局支配は、「財務省(大蔵省)主軸官僚主権構造」を支える根幹のひとつである。

 今回の判決には財務省の意向が深く関わった可能性が高い。

判決の真の狙いは、「日債銀事件」の被告人の一人である、旧大蔵省最高幹部で国税庁長官を務めた窪田弘氏の無罪獲得にあると考えられる。 

日本は暗黒権力の下に統治されている。」

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このときに指摘した通りの展開になっている。

元財務省職員の高橋洋一氏は数十万円相当の金品を窃盗し、現行犯で捕捉されたにも関わらず、逮捕もされず起訴もされず、無罪放免になった。

防衛医大教授の強制わいせつ事件では、最高裁が事実誤認を理由に異例の逆転無罪判決を示した。

この事件の基本構造は、私が巻き込まれた痴漢冤罪事件とまったく同じものである。この点については、

2009年4月15日付記事

「痴漢冤罪事件に最高裁が逆転無罪判決を示した」

および、2009年4月16日付記事

「痴漢冤罪事件最高裁逆転無罪判決に関する補論」

に記述した。

 

名倉正博氏に無罪判決が示されたのは、同氏が防衛医大教授であることが強く影響したのだと考えられる。

 不審死が相次いだ問題で結婚詐欺容疑により逮捕されている埼玉県の無職女性の実名は木村佳苗氏であるが、マスメディアは木村氏に関しては実名報道を避けている。

 107人が死亡した2005年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故で、神戸地検は12月4日、神戸第一検察審査会が業務上過失致死傷罪で「起訴相当」と議決したJR西日本の歴代社長3人を再び不起訴処分(嫌疑不十分)とした。

 政治資金規正法違反について、検察内部には1億円という立件に関する内規が存在したが、前民主党代表小沢一郎氏の公設第一秘書のケースでは、被疑事実が1億円をはるかに下回るにもかかわらず逮捕、起訴された。

 政治資金の問題では、賄賂性のある事案、裏献金などが「悪質性」が高いものとして立件の対象とされてきたはずであるが、小沢氏秘書の事案はいずれにも該当しない。

 自民党議員である二階俊博氏の秘書が政治資金規正法違反容疑でようやく略式起訴されたが、政権交代が実現していなければ恐らく立件されなかったであろう。

 つまり、日本の警察、検察、裁判所制度では、政治が絡むと正義も公正も「法の下の平等」も消えてなくなる現実が厳然と存在する。日本の警察・検察・裁判所制度の近代化が急務である。

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2009年12月 9日 (水)

亀井金融相の財政政策主張に歴史的正当性あり

鳩山政権は12月8日、事業規模24.4兆円、経済対策7.2兆円の緊急経済対策を閣議決定した。8日朝の基本政策閣僚委員会での菅直人国家戦略相と亀井静香金融相の意見対立がメディアに大きく伝えられているが、連立政権内の意見対立を超えて経済対策が決定されたことは意義深い。

『金利・為替・株価特報』098号を12月8日に発行した。本レポートは鳩山政権閣僚をはじめ120名を超す与党国会議員120名以上の手元に届けられているが、11月29日の仙谷行政刷新相の発言は本レポートの内容を熟読されてのものであると思われる。

11月27日、日経平均株価は9081円の水準にまで下落した。7月13日の9050円を下回ると、チャート上は三尊天井が成立し、株価の下落トレンド入りが示唆される局面にあった。

円高の進行とあいまって日本経済の再悪化懸念が広がっていた。本ブログおよび『金利・為替・株価特報』に詳述してきたが、株価の下落傾向、日本経済の再悪化懸念が強まっている最大の要因は、鳩山政権の財政政策運営が2010年度に向けて超超緊縮に向かい始めたことにある。

詳細は『金利・為替・株価特報』をご高覧賜りたいが、2009年度財政が第1次補正予算で大幅に増額された一方で、2010年度予算が2009年度当初予算をベースに編成されつつあるために、2010年度当初予算が2009年度補正後予算と比較して著しく小型の予算になることが懸念されるのだ。

過去を検証すると、1997年度、2000年度、2001年度が強度の緊縮予算だった。経済状況に不安がある情勢の下で超緊縮財政を強行した結果、いずれのケースも日本経済を破壊してしまった。

97年度の大増税政策のケースでは、96年6月に22,666円の水準にあった日経平均株価は98年10月には12,879円にまで暴落した。2000年のケースでは、2000年4月に20,833円の水準にあった日経平均株価が2003年4月に7607円にまで暴落した。いずれも、性急な緊縮財政政策を強行したために日本経済は破壊されたケースである。

日本経済破壊を誘導したのは財務省だった。亀井静香金融相が財務省の言いなりになる政策の危険性を指摘したことは正鵠を射ている。

2009年度財政は、税収が36.9兆円に減少し、国債発行が53.5兆円にまで拡大する。税収と国債発行のバランスは、日本財政の危機を鮮明に示している。藤井裕久財務相が「財政は危機的な状況にある」と発言するのは当然である。

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問題は、こうした現状のなかで、経済政策の舵をどの方向に切るのかである。菅直人国家戦略相は財政支出の追加に慎重な姿勢を示す。これに対して亀井静香金融相は財政支出の追加が不可欠であることを強調する。

歴史を検証する限り、亀井金融相の発言に正当性がある。過去、日本経済が激しく破壊されたのは、いずれも財務省が近視眼的な発想で、目先の財政収支悪化を回避しようとしたために生じたものである。

2009年度、麻生政権は14兆円の史上最大の補正予算を編成した。公的施設の営繕費や天下り団体への基金積み増しなど、役人お手盛り予算満載という質的な問題があったが、規模としては十分な予算追加を決めた。これだけの補正予算を追加しても経済が十分浮上していないのは、それほど今回の不況圧力がすさまじいことを示している。

米国政府も7800億ドル規模の財政出動を実施している。米国も「平時」ではない「有事」対応を敷いているのだ。

財政収支改善を優先して国民生活を犠牲にする意思決定は間違っている。2010年に向けて日本経済の回復誘導を優先するべきである。過去の歴史は、財政収支を優先する緊縮財政が財政収支の改善につながらなかった事実を残している。景気不安の強い局面での超緊縮財政は、景気悪化を加速させ税収を激減させる。挙句の果てにより大型の景気対策が必要な状況を招く。

「経済あっての財政」でその逆でない。財政を健全化するには、経済の回復が不可欠なのだ。景気回復なくして財政再建はあり得ない。

私が主張しているのは「積極財政」ではない。「超緊縮財政」を否定しているだけである。2010年度にかけての財政運営を「超緊縮」から「中立」に戻すことが必要なのである。

本来は、追加財政支出は2009年度補正予算にではなく、2010年度当初予算に盛り込むべきである。補正予算よりも本予算の方が、骨太の政策を実施しやすいからだ。ただし、本予算に追加を盛り込むと、次年度以降にもその影響が強く残りやすい。財政状況が危機的状況に直面するなかで、財政当局が当初予算の規模拡大に慎重になることは理解できなくはない。

現段階で補正予算を策定しても、国会提出は年明けになる。補正予算の実行は2010年度にずれ込む。この意味で2010年度支出の追加を2009年度補正予算に盛り込むことは窮余の一策ではあると考えられる。

11月29日のテレビ番組で仙谷行刷相が財政運営の軌道修正を表明して以来、日経平均株価はたったの5営業日で1万円の大台を超えた。鳩山政権の危機が国民新党の主導する財政支出追加主張によって救済されたというのが現実の正しい評価である。

菅直人国家戦略相が財政事情を心配する心情は理解できるが、これまでの日本経済財政の歴史について、財務省の歪んだ説明でなく、正しい客観的事実に基いた検証を把握し直す必要があると思われる。

とえあえず2009年度補正については決着を見たが、2010年度予算編成に向けて、再び財務省流の近視眼的発想が表面化してくると、金融市場では先行き不安が再び台頭してくるだろう。鳩山政権の経済政策運営の軸が定まらないところに大きな不安が残されている。

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2009年12月 8日 (火)

偏向解説者田崎史郎氏起用の報道ステーション

12月7日のテレビ朝日番組「報道ステーション」に偏向コメンテーターの田崎史郎氏が出演した。田崎氏は本年1月に「かんぽの宿」疑惑が表面化して以来、また、本年3月3日に民主党代表小沢一郎氏の公設第一秘書が政治資金規正法違反容疑で逮捕されて以来、徹底して偏向民主党攻撃を続けてきた人物である。

「かんぽの宿」疑惑では、小泉竹中一家が展開するまったく筋の通らない詭弁をそのまま代弁する姿勢を貫いてきた。このような偏向コメンテーターが依然として跋扈(ばっこ)しているのがマスメディアの現状であり、鳩山政権の影響力は現段階ではまだ弱いことを痛感させられる。

小沢前代表の秘書逮捕事件では、田崎氏は無理やり小沢氏の民主党代表辞任を誘導しようとした。「かんぽの宿」疑惑では、2400億円投入した施設を109億円で売却することが問題とされたにもかかわらず、田崎氏は「109億円の価値しかなくなったものに2400億円もの資金を投入したことが問題」だと発言した。

また、かんぽの宿売却に際しては3000人の雇用維持が義務付けられており、オリックスへの売却決定は正当だとの主張を展開した。いずれも竹中平蔵氏が発言する詭弁と軌を一にするものだった。

「かんぽの宿」の固定資産税評価額は857億円であり、時価評価するなら1000億円程度と見られる物件である。日本郵政が安値売却を実現するために、無理やり簿価を引き下げる工作活動を展開したことも、各種調査によって明らかにされつつある。

簿価を無理やり引き下げる手法は、「かんぽの宿」事業収支において赤字を多額計上し、この赤字を事業収支として収益還元法をあてはめるという、意図的な簿価引き下げ工作が実施されたものであると判断される。

「かんぽの宿」は加入者に対する利益還元施設であり、「かんぽの宿」収支を通常のホテル業における収支と同列に扱うことは経済合理性を持たない。

また、雇用維持条件も正規社員620人のうちの550人について、1年限りで雇用条件を維持するというもので、3000人の雇用維持義務というのは事実無根も甚だしいものだった。

12月7日の放送では、本ブログ12月7日記事

「沖縄基地移設問題と追加経済対策に関する考察」

に記述した二つの問題が論じられた。

 田崎氏は沖縄基地問題について、鳩山首相が最終的な判断を米国に提示すると言いながら、方針を示さないのはリーダーシップに欠けると発言した。追加経済対策については、麻生政権の補正予算を2.9兆円凍結しながら、今度は第2次補正予算を編成するのなら、麻生政権の補正予算をそのまま実施していれば良かったのだと述べた。

 沖縄問題について鳩山首相は、「政府としての考え方を、最終的にどういう風に米国に申し上げるか決める時が来た」と述べたのである。

鳩山首相は結論を述べると発言したのではない。米国にどのように日本政府の考え方を伝えるのかを近々に決めると発言したのだ。この二つはまったく異なる。

田崎氏も日本語の文章を書く機会があるのなら、この程度の違いを把握することは必要不可欠ではないか。

例えば、日本政府の最終結論は1月の名護市長選の結果などを踏まえて、年が明けてから判断するとの考え方を米国に伝えることも、選択肢のひとつにはなり得るのだ。近く、最終結論を提示するとは一言も言っていない。

日本語を不正確に解釈して、その不正確な発言内容を前提にして批判をするのは、文章を扱う立場の人間としては失格ではないか。

景気対策についての鳩山首相批判は自民党の石破茂政調会長の発言をそのままなぞったものである。自分の意見ではなく、石破氏や竹中氏の発言をそのままなぞるところに田崎氏の本質が如実に表れている。

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鳩山政権の補正予算凍結と、補正予算の再編成には大きな意味がある。

12月3日付記事

「2010年度景気抑制型当初予算を回避すべし」

に記述したように、麻生政権の補正予算には重大な欠陥があった。以下に記事の一部を転載する。

「麻生政権が編成した第2次補正予算は14兆円規模で、極めて大型の対策だったが、その支出内容は公的施設の営繕費2.8兆円や天下りの温床となる58の政府基金への4.8兆円の拠出など、官僚利権に対するお手盛り満載のものだった。

鳩山政権の対応は、貴重な国費の支出先として妥当でないもの、無駄と思われるものに大胆にメスを入れ、そのうえで国民生活を支えるための支出を適切に確保しようとするものである。

鳩山政権は2010年度予算編成に向けて「事業仕分け」を実施した。極めて短い時間での作業であったが、予算に計上される事業の15%を対象とした査定作業で1兆8000億円予算削減の道筋を確保した。短時間での予算査定であったため、きめ細かさの不足など多くの問題点をあげることができるが、鳩山政権が総選挙の際に示していた予算の無駄排除は確実な第一歩を印したと言える。」

財政支出には三つの機能がある。資源配分、所得再分配、景気安定化の三つの機能だ。

これまでの財政政策に欠落していたのは、「資源配分」の吟味だった。無駄なところに貴重な国費が大量に注がれる一方で、本当に必要なところには財政支出が配分されていなかった。

支出を精査して無駄な支出を排除し、そのうえで、本当に必要な対象に財政支出を振り向ける。鳩山政権が着手した支出凍結、事業仕分けによる無駄な支出排除とマニフェストに基く新規支出政策の実行により、初めてこの課題が実現し始めているのだ。

無駄な支出をそのまま実施することと、無駄を排除して真に必要な支出に振り向けることを同一視する判断が大きな間違いであることに、田崎氏は気付いていない。自民党の代表者の主張をそのまま代弁することが、恐らく田崎氏のミッション(使命)なのだろう。

このような偏向コメンテーターを起用し、歪んだ情報が公共の電波に乗せて垂れ流しにされたのでは、国民はたまらない。放送法の規定にも反していると言ってよいだろう。

これほどまでに日本のマスメディアが汚染され尽くされていることを、広く国民に伝えてゆかねばならないことを痛感する。

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2009年12月 7日 (月)

沖縄基地移設問題と追加経済対策に関する考察

マスメディアが鳩山政権攻撃を続けるなかで、二つの問題に焦点が当てられている。

沖縄普天間基地移設問題と景気対策である。

沖縄普天間基地問題の処理が極めて困難である最大の理由は、これまでの自民党政権が米国との間で、基地移設に関する基本合意を取り交わしてしまっていることにある。

自公政権から政権を引き継いだ鳩山政権は、日本外交の基本方針について、抜本的な見直しの方向を明示している。これまでの「対米隷属外交」から脱却して、「日米同盟」を基軸に据えながらも「自主独立外交」を展開する意思表示を明確に示した。「対等な日米関係」の樹立は正しい基本方針である。

沖縄基地問題について鳩山首相および鳩山政権与党は、総選挙の期間中から沖縄の基地負担軽減の方針を明示してきた。

鳩山政権が樹立されて、これまでの日米合意を踏まえながら、日本外交の新たな展開、沖縄の基地負担軽減の方向を懸命に模索しているのが現状である。

大阪府の橋下徹知事が沖縄嘉手納基地の機能の一部を関西空港に移設することについて、論議をする余地があることを表明しているという。嘉手納の機能の一部を関空に移設できるなら、普天間飛行場の機能を嘉手納に移設することも検討する余地が生まれるとも伝えられている。

辺野古地区への移設以外の選択肢が生まれる可能性も否定はできない。

普天間飛行場の辺野古以外の地域への移設が困難である場合、辺野古への移設が無理となれば、普天間飛行場の返還そのものが空中分解する危険も生じる。この点を踏まえれば、辺野古への移転について、海上滑走路の建設ではない、ヘリコプター離着陸のための小規模施設を整備することで着地を図ることも検討に値するというのが、私の提案である。

私も辺野古地域へ現地視察に行った経験を有するが、貴重な自然資源を破壊して海上滑走路を建設し、新たな基地負担を負うことに対する現地の反発は極めて強い。また、美しい自然を破壊して基地を建設することを回避するために、知恵を絞ることは極めて重要であると考える。

普天間飛行場の返還方針決定当初の問題設定に従って、辺野古に1300メートル滑走路ではない、ヘリコプター離着陸施設を、自然環境を破壊しない形で整備することを検討するべきではないのか。

もちろん、基地の県外、あるいは海外移設の可能性があるのなら、その可能性を追求するべきことは言うまでもない。

マスメディアは鳩山政権の対応が日米関係を悪化させていることを強調し、早期にこれまでの日米合意に沿っての決着を図るべきだと主張するが、これでは日本のメディアとは言えない。

日本の主権者の意思によって日本の政治に根本的な変化が生じた。新しい政権が新しい外交を展開しようと努力することは当然のことである。米国に対しても言うべきことを言い、日本国民の利益を代表して、米国とぎりぎりの交渉を展開することが新政権の責務である。

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自民党政権が米国との間で合意を成立させてしまったとの事実、現実は極めて重い。したがって、民主的な手続きを経て自民党政治を引き継いだ鳩山政権は、自民党政権が取り結んだ日米合意を継承する責任を有しているため、鳩山政権は過去の日米合意を引き継ぐところからしか出発できない。

このことが、鳩山政権の対応を困難にしているのであり、この問題については、日米合意の枠組みを踏まえて、そのなかから活路を見出すとの方針を当初に示すこともひとつの選択肢ではあったはずだ。

しかし、鳩山首相は、かなり明確にこれまでの日米合意から距離を置くスタンスを明示した。これもひとつの見識である。その方針を示した以上、その方針に沿って、ぎりぎりの日米調整を進めるべきである。

日本のマスメディアであるなら、日本国民、沖縄県民の意思を反映する外交努力を注ごうとする鳩山政権の基本姿勢を支援するべきである。米国の意向に沿って、鳩山政権を攻撃することだけに注力するなら、それらのメディアは国籍を日本から米国に変更するべきである。

鳩山政権には、日本国民、沖縄県民の利益のために、この問題について、最大の努力を払い続けてもらいたい。懸命の努力を注ぐなら、辺野古基地整備計画の抜本的な見直し、あるいは関空を活用した沖縄基地の県外移設など、大きな成果が必ず生まれるはずである。

このような調整努力を注ぐことに対して、米国が一方的に圧力をかけるなら、日本政府は米国に対して毅然とした対応を示すべきである。そのために日米関係が一時的に悪化することはやむを得ないであろう。

景気対策については、2009年度第2次補正予算規模が当初の4兆円規模から7兆円ないし8兆円規模に拡大される方向で調整が進展している。

本ブログで記述してきたように、本来は2009年度補正予算ではなく、2010年度予算規模を拡大することが求められるが、2009年度補正予算に計上しても、その執行は2010年度にずれ込むから、経済的な効果は2010年度予算に計上することと変わらなくなってくる。

11月28日に仙谷行刷相が予算編成方針についての基本見解を修正する発言を示してから、鳩山政権の財政政策対応に大きな変化が生じた。その一端が2009年度第2次補正予算規模の拡大になって表れた。

この重要な政策方針変化を反映して、日本の株価は日経平均株価の9000円割れ危機から一転、1万円の大台回復に変化した。これほどまでに、経済政策運営の基本姿勢転換は重要である。

鳩山政権は2009年度補正予算規模確定を含めて追加景気対策を12月8日に決定すると見込まれるが、財政政策の超緊縮を是正する方針を明示したことは極めて重要であり高く評価される。この方針転換が株式市場の流れを転換させた点を見落とすことができない。

この問題についての詳論は、稿を改めて提示したい。

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2009年12月 6日 (日)

日本郵政株式売却凍結法を成立させた鳩山政権

12月4日、日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式売却を停止する日本郵政株式売却凍結法が参院本会議で与党と共産党などの賛成多数で可決、成立した。

今臨時国会では、政府提出12法案のうち10法案が成立。議員立法の肝炎対策基本法、原爆症認定集団訴訟の敗訴原告救済基金創設法も成立した。政府提出の北朝鮮関連船舶を対象とする貨物検査特別措置法案と、社会保険病院などを原則存続させる独立行政法人地域医療機能推進機構法案は継続審議となり、政府、与党は来年の通常国会での成立を図ることになった。

第173臨時国会は4日午後、参院に続き衆院本会議で閉会中審査の手続きを行い、4日間延長された40日間の会期を終えて閉幕した。鳩山政権は2010年度予算の年内編成に全力を挙げることになる。

鳩山政権与党は8月30日の総選挙に際して、郵政改革の実現を政権公約に掲げて選挙を戦った。国民は鳩山政権与党を圧勝させた。鳩山政権樹立後に郵政改革が実行されるのは当然のことだ。政治の主権者は日本国民なのである。

2005年9月の総選挙では小泉政権が大勝し、郵政民営化が公約通りに実行された。これもまた、民意を反映した政治行動だった。

日本郵政公社は2007年10月に日本郵政株式会社に移行し、「民営化」の第一歩が印された。

ゆうちょ、かんぽの300兆円強の資金が、これまで政府部門内に滞留していた。この資金を民間に還流させ、日本経済を活性化することが郵政民営化の大きな狙いであるとされた。

また、民営化によって郵政事業のサービスが向上し、国民が便益を受けるとも説明されてきた。

しかし、そのような現実は実現しなかった。

ゆうちょの残高は激減し、すでに資金量は300兆円を下回った。この資金が民間に還流すると喧伝(けんでん)されてきたが、これもまったくのでたらめだった。

11月28日付記事

「亀井静香郵政相との直接対決完敗の竹中平蔵氏」

にも記述したが、民営化実現後も郵政資金は政府部門に滞留したままである。政府部門内への資金供給の比率は逆に上昇した。

2009年3月末現在、ゆうちょ銀行の総資産196兆円のうち、有価証券が173兆円、このなかの162兆円が公共債である。貸出金は4兆円に過ぎない。かんぽ生命では総資産107兆円のうち、有価証券が83兆円、このなかの74兆円が公共債である。貸付金は18兆円あるが大半が機構貸付で一般貸付は2170億円に過ぎない。

つまり、民営化すると300兆円の資金が民間に還流して日本経済の発展に寄与するかのような話はまったくのでたらめだったのだ。

過疎地の採算の悪い郵便局は2007年10月の日本郵政正式発足までに、激しい勢いで消滅させられた。地域コミュニティーの重要な核が無残に破壊されたのである。

郵政事業4分社化によって、これまで実施されてきたきめ細かい、血の通った温かなサービスが廃止された。

過疎地域に住む高齢者は年金資金の受け取りにも多大の困難を伴う状況に追い込まれている。

また、金融口座を持つことのできない国民が大量に発生する「金融排除」の問題も深刻化している。

人間性を無視した効率至上主義の経営が強行され、郵政職員の士気の低下も深刻化している。

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このなかで表面化したのが、「かんぽの宿」不正売却未遂疑惑だった。固定資産税評価金額が857億円、時価が1000億円程度と見られる「かんぽの宿」79施設がたったの109億円で、オリックス不動産に売却されることが決定された。

鳩山邦夫元総務相が、不正売却の疑いを指摘し、国会で厳しい追及が行われた結果、オリックス不動産への売却は白紙に還元された。

79施設のうちのひとつである「ラフレさいたま」だけで100億円の時価はあると見られている。都内にある9ヵ所の社宅施設だけで、時価は47億円と見られている。これ以外に、全国の69ヵ所の豪華な宿泊施設が109億円で横流しされようとしていた。

「かんぽの宿」売却規定を法律案にもぐり込ませたのは竹中平蔵氏で、この工作は法律案決定直前に行われた。

オリックスの社長は宮内義彦氏で、宮内氏は小泉内閣の総合規制改革会議議長として、2003年10月まで、郵政民営化を論じていた人物である。しかも、著書のなかで「かんぽの宿」に対する強い関心を明記していた。

オリックスは旅館ビジネスに本格進出する途上にあったが、「かんぽの宿」79施設売却計画は、オリックスのビジネスモデルに合わせて策定された疑いもある。

多くの国民は「国民のための郵政民営化」だと理解して、2005年9月の総選挙で郵政民営化にゴーサインを出した。しかし、実際に実行された郵政民営化は国民のためのものではなかった。

一部の政商と外国資本に利益供与するためのものだったのだ。このことが明白になり、郵政改革を掲げた鳩山政権与党が国民から圧倒的な支持を受けたのだ。

ゆうちょ銀行、かんぽ生命、そして日本郵政の株式が市場で売却されてしまったなら、300兆円の国民資金、簿価ベースで2兆8000億円の巨大不動産がハゲタカに収奪されてしまっただろう。

ぎりぎりのところで、郵政私物化、郵政米営化の惨事を回避することができた。鳩山政権はとてつもなく大きな成果をあげたのである。

国民の視点に立って、郵政三事業の体制を根本から再構築する必要がある。マスメディアは主権者である国民が全面否定した竹中平蔵氏などをいまだに登場させて、でたらめ満載の詭弁を垂れ流しているが、良識をもって自己規制するべきである。

小泉竹中政治は主権者である国民によってすでに全面否定されたのである。新しい基準に従って問題解決を図るべく、貢献するのがマスメディアの本来の役割であることを忘れてもらっては困る。

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2009年12月 4日 (金)

高橋洋一氏テレビ出演が罷り通る恐ろしい国

「神州の泉」主宰者の高橋博彦氏が11月29日付記事

「植草一秀氏と高橋洋一氏に対するテレビの向き合い方の違い

に、元財務省職員の高橋洋一氏についての論考を掲載された。

「神州の泉」様は12月1日には、

Conspiracy(「Tokyonotes 東京義塾」氏から全文転載)」

と題する記事を掲載された。

Tokyonotes東京義塾」様が掲載された11月30日付記事

Conspiracy

を全文転載された。

 驚くべきことは、窃盗事件で書類送検された高橋洋一氏がテレビ朝日番組「朝まで生テレビ」に出演したことである。

 日本の警察・検察・司法における「法の下の平等」がいかに空虚なものであるのかがわかる。

 また、マスメディアの出演者に対する報道自己規制がいかに歪んだものであるのかもよく分かる。

 高橋洋一氏は本年3月24日午後8時ごろ、練馬区にある天然温泉施設「豊島園庭の湯」の脱衣所で、鍵のかかっていなかったロッカーから同区の会社員男性(67)の現金約5万円入りの財布やイタリア製ブルガリ高級腕時計(数十万円相当)などを盗んだとの疑いで書類送検された。

高橋氏は現行犯で身柄拘束されたが逮捕されずに直ちに釈放された。その後、書類送検されたが不起訴とされ、結局、無罪放免された。

警察、検察の裁量次第で、人の運命が大きく変わる現実がある。

私は4月25日に

「人間の運命を左右できる警察・検察の「裁量権」」

と題する記事を書いた。

4月28日には、

「窃盗現行犯高橋洋一氏無罪放免の背景」

を書いた。

このなかで以下の事実を指摘した。

「日本国憲法は第31条に「罪刑法定主義」、第14条に「法の下の平等」を定めている。この規定の原典になっているのがフランス人権宣言であると考えられる。フランス人権宣言の第6条から第9条を以下に転載する。

第6条(一般意思の表明としての法律、市民の立法参加権)

法律は、一般意思の表明である。すべての市民は、みずから、またはその代表者によって、その形成に参与する権利をもつ。法律は、保護を与える場合にも、処罰を加える場合にも、すべての者に対して同一でなければならない。すべての市民は、法律の前に平等であるから、その能力にしたがって、かつ、その徳行と才能以外の差別なしに、等しく、すべての位階、地位および公職に就くことができる。

第7条(適法手続きと身体の安全


何人も、法律が定めた場合で、かつ、法律が定めた形式によらなければ、訴追され、逮捕され、または拘禁されない。恣意的(しいてき)な命令を要請し、発令し、執行し、または執行させた者は、処罰されなければならない。ただし、法律によって召喚され、または逮捕されたすべての市民は、直ちに服従しなければならない。その者は、抵抗によって有罪となる。

第8条(罪刑法定主義)

法律は、厳格かつ明白に必要な刑罰でなければ定めてはならない。

何人も、犯行に先立って設定され、公布され、かつ、適法に適用された法律によらなければ処罰されない。

第9条(無罪の推定)

何人も、有罪と宣告されるまでは無罪と推定される。ゆえに、逮捕が不可欠と判断された場合でも、その身柄の確保にとって不必要に厳しい強制は、すべて、法律によって厳重に抑止されなければならない。」

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 数十万円相当の物品を窃盗し、現行犯で身柄拘束され、無罪放免との措置が一般市民であり得るだろうか。私の知識の及ぶ限りではNOである。

 通常は逮捕・拘留され、少なくとも略式命令で罰金刑が科せられるだろう。手錠、縄で捕捉され、護送車で検察庁に押送され、取り調べ後、警察署に逆送される。地獄の経験を強いられるのが通常の対応である。

 ところが、高橋洋一氏は逮捕もされず、起訴もされず、無罪放免となった。小泉・竹中一派に所属して郵政民営化を推進した人物であることが、特別扱いの背景であると考えられる。

 この高橋氏が今度はテレビ番組に通常の出演者として登場した。テレビ局が判断しなければ、このような措置は実現しない。とても分かりやすい事例である。

 本ブログ2008年7月19日、20日に

「長銀事件逆転無罪判決の闇」

「長銀事件逆転無罪判決の闇()

を記述したが、長銀粉飾決算事件での最高裁逆転無罪判決の狙いは、同種の日債銀粉飾決算事件で、高裁において有罪判決を受けた大蔵省OBの窪田弘氏を救済することにあると見られる。長銀事件最高裁判裁判では大蔵省出身の津野修氏が担当裁判官の一人となっていた。

2009年4月14日には、防衛医大教授が痴漢冤罪事件上告審で最高裁逆転無罪判決を得た。私が巻き込まれた事件と酷似する事件構造であったが、防衛医大教授は無罪判決を得た。

他方、2008年10月26日に発生した「渋谷事件」では、まったく罪のない市民が、公安警察職員の意図的な接触により、公務執行妨害容疑で不当逮捕、勾留された。

「渋谷事件」では、公安警察職員の犯罪的行為が一部始終動画撮影され、この動画がインターネットで広く配信されたことから、被疑者は無事に無罪放免されたが、証拠映像が保全されていなければ、無実の市民が犯罪者として取り扱われたはずである。

私が巻き込まれた事件でも、私の無実を確実に証明する品川駅防犯カメラ映像が存在したが、警察の手によって闇に葬られてしまった。

元財務省職員、元大蔵省高官、防衛医大教授は、犯罪者とされない。一般市民で権力に立ち向かう者は、無実であっても犯罪者に仕立て上げる。

残念ながらこれが日本の警察・検察・裁判所の実態である。

本年3月3日には小沢一郎氏の公設第一秘書が突然逮捕された。自民党議員により重大な疑惑が存在しても検察は素知らぬふりであった。森田健作氏に対する刑事告発が実行されたにもかかわらず、検察当局の行動はまったく見えてこない。

「かんぽの宿」不正売却未遂容疑でも国会議員が刑事告発しているが、その後の操作状況についての報道がまったく示されない。

日本の警察・検察・裁判所の現状は、近代以前の段階にある。警察・検察・裁判所の近代化を実現しなければ、市民は安心して暮らすことができない。

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2009年12月 3日 (木)

2010年度景気抑制型当初予算を回避すべし

鳩山政権が12月2日、2009年度第2次補正予算に盛り込む追加経済対策の事業規模を20兆円程度とする方針を固めたことが報道されている。

日本経済新聞の報道によれば、

「国の財政支出である「真水」は4兆円程度で、財源調達のために赤字国債を発行しない。中小企業の資金繰り支援のための緊急信用保証枠を従来の30兆円から36兆円に積み増すなど、財源を直接、予算に計上する必要がない事業を中心にする」

とのことである。

鳩山政権は政権発足直後に麻生政権が本年5月に成立させた14兆円の第1次補正予算を見直し、2兆9000億円分を執行停止にした。第2次補正予算には、この2兆9000億円分の財源が優先して充当されるが、これに財源を追加投入して4兆円規模の真水が投入されることになる。

日本経済は深刻な不況のなかにあり、政府に求められる最優先課題は、経済の立て直しによる国民生活の改善である。不況の背景は米国発のサブプライム金融危機であり、米国でもオバマ政権が7800億ドルの財政政策を発動するなど、通常の判断を大きく超えた対応が示されている。

自民党の石破茂政調会長が鳩山政権の政策方針に対して、「麻生政権の補正予算を一部執行停止にしておきながら、第2次補正予算で4兆円規模の財政政策対応を示すのは、結局、麻生政権の政策が正しかったことを鳩山政権が認めることだ」と批判しているが、まったく的外れな論評である。

麻生政権が編成した第2次補正予算は14兆円規模で、極めて大型の対策だったが、その支出内容は公的施設の営繕費2.8兆円や天下りの温床となる58の政府基金への4.8兆円の拠出など、官僚利権に対するお手盛り満載のものだった。

鳩山政権の対応は、貴重な国費の支出先として妥当でないもの、無駄と思われるものに大胆にメスを入れ、そのうえで国民生活を支えるための支出を適切に確保しようとするものである。

鳩山政権は2010年度予算編成に向けて「事業仕分け」を実施した。極めて短い時間での作業であったが、予算に計上される事業の15%を対象とした査定作業で1兆8000億円予算削減の道筋を確保した。短時間での予算査定であったため、きめ細かさの不足など多くの問題点をあげることができるが、鳩山政権が総選挙の際に示していた予算の無駄排除は確実な第一歩を印したと言える。

鳩山政権は単に予算を圧縮しようとしているのではない。無駄を排除し、他方で必要な政府支出を実行しようとするものである。これまで、「業」、「官」に振り向けられてきた貴重な国費を削減し、主権者である国民=「民」に直接給付する方向に、日本の財政支出構造を根本から変えようとしているのである。

これまでの予算論議では、規模の論議だけが行われてきた。景気との関連で予算規模は重要だが、一方で、政治に求められる最重要の機能は、予算の中味を徹底的に吟味することである。

「業」と「官」と癒着した政府支出を排除し、「民」のために国費を投入することが、予算組み替えの基本精神である。

予算を論議する際には、①適正規模、②適正な予算配分、の2点を十分に検討することが求められる。鳩山政権が②の「適正な予算配分」について、精力的に対応を進めていることは高く評価されるものである。

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問題は、①の「適正規模」である。

本ブログで指摘しているように、2009年度予算が補正後ベースで見て、強度の景気刺激予算になっている一方、2010年度当初予算が、このまま進むと強度の景気抑制予算になることが懸念される。

この問題の詳細については、『金利・為替・株価特報』2009年11月25日号に記述した。11月28日放送のテレビ朝日番組での仙谷由人行政刷新相の発言は、レポートで指摘した重要事実を的確に認識したものであった。

財務省は2010年度当初予算の圧縮に向けて、さまざまな工作活動を展開している。財務省は当初予算圧縮に懸命に取り組んでいるが、その行動は日本の予算編成方式の特徴に起因している。

日本の予算は前年度当初予算をベースに編成される。したがって、財務省としては補正予算での予算拡張には抵抗を示さないが、当初予算での拡張には強烈な抵抗を示すのだ。

この予算編成方式を根本的に見直す必要がある。2009年度から2010年度にかけての大きな問題は、2009年度予算が拡張される一方、2010年度当初予算が圧縮される点にある。

これまでもしばしば指摘されてきた点だが、補正予算には多くの無駄が混入しやすい。一時的なその場限りの支出が盛り込まれやすいからだ。当初予算は基本的に中長期の制度設計に基いて編成される。

民主党は2010年度予算に、民主党が総選挙に際して公約として掲げた基本政策を前倒しで計上することを検討するべきである。

政府の「財政に対する市場の信認確保に関する検討会」が12月2日、中長期的な財政規律のあり方の提言を盛り込んだ「論点整理」をまとめたことが伝えられている。

論点整理では、「経済成長と財政健全化の両立」、「歳出構造の抜本的な見直し」、「中長期的な財政健全化計画の策定」など原則が設定されたとのことだが、このなかに、国家戦略室がとりまとめる2010年度の「予算編成の基本方針」に国債発行額の上限を盛り込むこと、11~13年度3年間の歳入見込みや歳出削減などを含めた「中期財政フレーム」を設定することなどが盛り込まれた。

2010年度当初予算での国債発行金額をさまざまな要因を考慮して44兆円以下に留めることは、ひとつの見識であるが、この制約に縛られて2010年度予算を超緊縮予算にしてしまうことは避けなければならない。

2009年度補正後予算と比較して著しく小さな2010年度当初予算規模にすることは、日本経済に強い下方圧力を与えることを適正に認識しなければならない。適正な予算規模を確保し、しかも国債発行を44兆円に留めるためには、いわゆる「埋蔵金」を活用しなければならない。

11月28日の仙谷行刷相の発言は、埋蔵金活用を示唆するものであったが、有言不実行になってもらっては困る。仙谷発言を契機に日本の株価も大きく反発した。金融市場は政策責任者の一挙手一投足を注目している。日本経済浮揚に向けて、景気抑制型でない2010年度当初予算を編成することが強く求められる。

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2009年12月 2日 (水)

日銀追加政策決定と絶妙の呼吸示す鳩山政権

日本銀行は12月1日午後2時から臨時の金融政策決定会合を開き、追加の金融緩和策を決定した。政策金利の誘導目標を現行のまま据え置く一方で、国債や社債、コマーシャルペーパー(CP)を担保に0.1%の固定金利で資金を供給する新たな仕組み(3カ月物、10兆円程度)を導入することを決めた。

日銀の追加金融政策決定を受けて株価が大幅に上昇した。日経平均株価の午前の取引引け値は9256円と前日比88円安であったが、前引け後に日銀の臨時会合開催のニュースが伝わり、後場(ごば)は寄り付きから株価が急騰し、前日比終値は前日比226円高の9572円で高値引けとなった。終値で9500円台を回復したのは11月19日以来、7営業日ぶりである。

鳩山政権の平野博文官房長官は1日夕の記者会見で、鳩山由紀夫首相と日銀の白川方明総裁が2日に会談することを明らかにした。また、平野官房長官は1日の臨時日銀政策決定会合で日銀が追加の金融緩和を決めたことについて、「経済対策と歩調を合わせて現下の経済状況の変化に適切に、迅速に対応されたと評価している」と述べた。

日経平均株価は先週末の11月27日に9081円の水準にまで下落した。9000円の大台割れ寸前にまで下落した。また、チャート上の分析では、日経平均株価終値が7月13日の終値9050円を下回ると三尊天井を形成し、株価の下落トレンド入りが示唆されることになり、株式市場は厳しい局面を迎えていた。

本ブログで指摘してきたように、鳩山政権の2010年度当初予算が日本経済に対して強い下方圧力を与える形で編成される可能性が高まっていた。1997年度当初予算、2001年度当初予算を上回る強い景気抑制力を持つ2010年度当初予算が編成されようとしていた。

また、米ドルの下落傾向が強まり、裏側に生じる円高が日本経済の短期的な悪化を示唆したことも株価下落を誘導する要因になった。

このなかで、週末から週初にかけて、機動的な政策対応、政策方針が示された。

11月29日記事

「サンプロで仙谷行刷相予算編成軌道修正を示唆」

に記述したように、鳩山政権の仙谷由人行政改革相が11月29日のテレビ朝日番組で、2010年度予算編成に際しては、

①102.5兆円に拡張した2009年度予算をベースに考察しなければならないこと、

②2010年度当初予算を92兆円規模に絞り、国債発行を44兆円に留めることが景気抑圧予算となることについて十分な再検討が必要であること、

の2点を踏まえる必要があることを指摘した。

私が『金利・為替・株価特報』2009年11月25日号で指摘したことがらを踏まえた発言と考えられるが、2010年度予算編成に向けての最大の警戒要因が排除される可能性が指摘された意味は極めて大きい。

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一方、日銀の白川方明総裁は、高度な政治判断を下し得る有能な人材であると見られるが、為替市場の円高進行を踏まえて、日銀の政策スタンスを効果的にアピールする方策を模索していたのだと思われる。

日銀の追加政策対応の経済効果は極めて限られているが、財政金融政策当局が政策を総動員して、経済改善に向けて全力をあげていることを意思表示することには、極めて大きな意味がある。

橋本政権の超緊縮財政で株価下落-景気悪化-金融不安の悪循環が発生してしまった1998年夏、バトンを引き継いだ小渕政権発足初期に、政府が財政政策を大胆に発動するとともに、日銀が1999年2月にゼロ金利政策を実施して、政策総動員を印象付けた。日経平均株価は98年10月の12,879円から2000年4月の20,833円に急騰した。

財政金融政策を総動員し、戦後最悪の不況克服に向けて政策当局の意思を明示することが何よりも重要である。鳩山政権の政策対応の歯車が、適正な方向に回転する兆候を示し始めたことは喜ばしい。

経済悪化が深刻な状況下では、経済回復を優先することが何よりも重要である。経済回復最優先の経済政策は、短期的には財政赤字を拡大させてしまうように見える。しかし、経済が回復軌道に回帰すれば、予想以上に財政収支は改善するものである。

財政収支の悪化抑止を優先して、経済悪化局面で緊縮財政を強行すると、経済悪化が税収減少と追加景気対策出動要請をもたらすために、財政収支は改善するどころか、かえって悪化してしまう。

金融政策は超金融緩和政策を継続しなければならないが、金融政策にだけ依存した政策対応は大きな効果を発揮しない。

株価が反発しても鳩山政権は景気回復最優先の政策スタンスを変えてはならない。ぶれない政策スタンスを明示することが、経済主体の心理改善をもたらすのである。

11月28日以降に示されている鳩山政権の景気回復最優先の政策スタンスを維持することが何よりも大切である。

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