天下り根絶に向けて鳩山政権がなすべきこと
予算委員会審議では予想されたように、日本郵政人事における官僚OBの起用についての質問が活発化している。
「官僚主導」を排すること、「脱官僚」を旗印に掲げる鳩山政権が日本郵政社長および副社長に官僚OBを3名起用したことが批判の対象になっている。
日本郵政経営幹部は日本最大級の企業幹部であり、力のある人材を起用することが求められる。その視点から言えば、官僚経験者であっても選任の対象から除かれるべきではないと言えるだろう。
また、日本郵政の場合、旧郵政省官僚を「プロパー職員」であると認定することができ、郵政省職員経験者が経営陣に一人も起用されないことの方が異常であると言わざるを得ない。この意味で旧郵政省職員が取締役に起用されたことは順当である。
社長に起用された斎藤次郎氏は退官後10年以上の時間が経過しており、人選の対象から除外する必然性は低いと思われる。鳩山政権が人物本位で人選を進めたのであれば、新しい経営者の布陣には一定の説明が成り立つものと考えられる。
しかし、鳩山新政権が「脱官僚」を総選挙の旗印に掲げ、無血の平成維新が成立したと表明している以上、「脱官僚」=「天下り根絶」を具体的に示してゆくことは必要不可欠である。
今後の政権運営において、「脱官僚」、「天下り根絶」の方針を確実に実行してゆかなければならない。今回の人事を通じて、鳩山政権の「天下り根絶」方針に対して国民のなかに大きな疑念が生じていることは否定できない現実である。この印象が拡大してゆけば、新政権に対する主権者である国民の失望が広がってしまうことも十分に予想されてしまう。
麻生政権も言葉の上では「天下り禁止」を謳(うた)っていた。しかし、その現実においては、「役所による斡旋」を通じる官僚OBの再就職を「天下り」と定義し、官僚OBの公益法人等への再就職でも、「役所による斡旋」によらないものは「天下り」でないと定義していた。
この結果、実質的な天下りが広く容認されていたわけで、この点を民主党は強く批判していたのである。したがって、民主党を中心とする新政権は、実質的な意味での「天下り」を根絶しなければならない。これを実行しなければ公約違反のそしりを免れない。
鳩山政権は政権発足直後に、天下り人事の実施を一時凍結した。年末までに各機関が公募することとされた。しかし、結果として官僚OBが再就職に応募して任用されることが決定されれば、結果としては天下りが容認されたことになってしまう。
天下りについて、抜け穴や不透明さを取り除く明確なルールを設定することが必要である。官僚OBの所管公益法人、独立行政法人幹部への再就職を禁止しなければ、天下り禁止の実効性はあがらない。
また、民間企業への再就職についても、退職直前10年間に所管した業界企業・団体への再就職は、10年間禁止するといった程度の規定を定め、罰則規定を設けることが不可欠である。
憲法で保障された「職業選択の自由」に抵触するとの意見があるが、公益性の視点から、一定の年限、再就職を禁止することは正当化されると考えられる。
公務員の天下りを禁止する一方で、公務員の定年までの雇用を保証する必要がある。年次に従って給与が増加する仕組みを温存したままでは、公務員の人件費コストが膨張してしまうため、役職に応じて給与が低下する仕組みを導入する必要もある。
制度を刷新する過程で、一時的に人件費コストが増大することは新制度への移行のためのコストと認識するべきである。
鳩山新政権が「天下り根絶」の選挙公約を確実に実行しなければ、国民の政権支持は音を立てて崩れることになるだろう。政権交代は日本政治刷新の手段ではなく、民主党による権力掌握の手段に過ぎなかったと云うことになってしまう。
①「官権政治」から「民権政治」への転換
が、政権交代の第一の意義である。これに加えて、
②「政治権力と大資本の癒着」排除
③「対米隷属外交」から「自主独立・日米基軸外交」への転換
が、政権交代実現の最大の目的である。
日本郵政は小泉竹中政治によって「私物化」、「売国化」されてしまった。鳩山政権が国民の支持を受けて、日本郵政の経営体制を刷新したことは、大きな成果であり、この人事を断行した亀井静香郵政担当相の力量は高く評価されなければならない。
しかし、この人事が「官権政治温存」の契機になることは断じて許されるものでない。鳩山政権は「天下り」に関する厳格なルールを早期に確立しなければならない。その新ルールには、実効性を高めるための罰則規定も必要である。
日本郵政人事が問題にされたことを「てこ」として活用し、実効性の高い「天下り根絶ルール」を提示し、早期に法整備を図ることが求められる。
また、年末に期限を迎える凍結された「天下り人事問題」については、け結果あまくだとしての天下り根絶を確実に示さなければならない。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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今回は、
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頭を使わない人には厳しいかもしれません。
私のブログに影響を受けた方に限って
なかなか私のサイトのリンクを公に出さないし
ランキングクリックも押してくれない気がする。
一番勉強になったブログよりもてきとうなもののほうがすきなのか。
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がある。この前、城内先生にTBしましたが
受付されていなかったので。
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