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2009年11月28日 (土)

亀井静香郵政相との直接対決完敗の竹中平蔵氏

 11月28日の読売テレビ「ウェークアッププラス」に亀井静香郵政担当相と竹中平蔵氏が生出演し、直接対決した。論議は明らかに亀井郵政担当相の勝利だった。

 郵政改革と経済政策が論議された。いずれも竹中平蔵氏が日本政治史に大きな汚点を残した分野である。

 鳩山政権与党は8月30日の決選の総選挙に際して、「郵政改革の実現」を政権公約に掲げて選挙を戦った。国民は鳩山政権与党を全面的に支持し、圧倒的多数の議席を付与した。「郵政改革の実現」は国民の強い意志である。

 1995年の総選挙で国民は小泉竹中政治の郵政民営化路線にゴーサインを与えた。この選挙結果を受けて郵政民営化が実施されたが、郵政民営化は国民の意思を離れた方向に向かってしまった。「郵政民営化」の美名の下で進展したのは「郵政米営化」あるいは「郵政私物化」と呼ばれるものであった。

 竹中平蔵氏は昨年4月20日の朝日ニュースター「ニッポンの作り方」と題するCS番組で、「民営化された郵政マネーを米国に出資せよ」との主張を展開した。サブプライム金融危機救済のためにゆうちょマネーを米国に出資するべきだと主張したのだ。

 この主張に従ってゆうちょマネーを米国の金融危機対策に投入していたら、貴重な国民資金は半分以下の資産価値に目減りしたであろう。そもそも郵政民営化の最大の狙いのひとつは、日本の350兆円の国民資金を米国がかすめ取ろうとしたことにあったと考えられる。危うくそのよこしまな目論見が実行に移されるところであった。

 小泉竹中郵政民営化を正当化する主張は以下の通り。

①地方の郵便局が減ったと言うが、日本郵政株式会社になってからは減っていない。むしろ増えている。

②日本の郵便料金は国際比較で2倍の料金である。このままいけば事業が立ち行かなくなるのは目に見えており、事業改革が必要。

③地域の郵便局が減らないように設置基準が定められており、郵便局を維持するために基金が設けられる。

④公的部門に滞留していた資金を民間に還元することが郵政民営化の最大の目的である。

⑤郵政民営化の成果を引き出すには政治が事業展開の邪魔をしてはいけない。

⑥郵政民営化して郵政の経営成績は急激に改善した。

 これらの主張はことごとく論破されている。

①竹中氏が郵政民営化を担当したのは2003年である。2005年10月に法律が成立し、2007年10月に日本郵政株式会社が正式発足した。

 竹中氏は日本郵政が発足してからは郵便局が閉鎖されていないと言うが、それは日本郵政が発足するまでに不要な郵便局を閉鎖したことを明確に示しているのである。竹中氏が郵政民営化担当に就任したのが2007年10月なら竹中氏の主張は通用するが、竹中氏は2006年9月に小泉内閣の消滅とともに担当をはずれ、ただちに議員辞職しているのだ。

 竹中氏が直接の担当をはずれてから、郵便局の閉鎖がなくなったというのが実態である。

⑥日本郵政が大きな利益を計上するようになったと言うが、日本郵政公社は日本郵政株式会社へ引き継ぐ最後の決算である2007年9月決算で1兆5800億円の特別損失を計上している。新会社である日本郵政株式会社の決算計数の見栄えを良くするために、巨額損失をその前に計上しているのだ。

日本郵政の決算数値の見栄えが良くなるのは当然のことだ。

日本郵政はゆうちょ銀行に190兆円、かんぽ生命に100兆円の資金を保持している。資金利鞘0.8%をあてはめれば、これだけで年間2兆3200億円の収益が確保される。

300兆円弱の資金を抱えているのであるから、誰が経営者であっても巨大利益が計上されるのは当然なのだ。それを民営化の成果と主張するのはまやかし以外のなにものでもない。そもそも郵政3事業は赤字事業ではない。税金を投入せずに運営されてきた事業部門である。

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③について、竹中氏は地域の郵便局が維持されると主張するが、法律に地域の郵便局維持、金融サービス提供は義務付けられていない。長期的に不採算の地域郵便局が切り捨てられることは明白だった。

また、これまでの郵政三事業の展開では、郵便の集配人がさまざまな付帯サービスを有機的に提供し、過疎地に住む高齢者に重要なサービスを提供してきたが、郵政民営化によってこれらのサービスも冷酷に切り捨てられた。

特定郵便局ネットワークは日本の津々浦々にまで張り巡らされた貴重な公的サービス提供のインフラであり、これらのインフラを最大限活用してゆきたいとの亀井郵政担当相の主張は正当なものである。

④郵政民営化の最大の狙いは、公的部門に滞留した資金を民間に還流することとされたが、郵政民営化によってそれが実現したのかというと、現実はまったく違う。逆に資金の公的部門への滞留は強まったのだ。

 2009年3月末現在、ゆうちょ銀行の総資産196兆円のうち、有価証券が173兆円、このなかの162兆円が公共債である。貸出金は4兆円に過ぎない。かんぽ生命では総資産107兆円のうち、有価証券が83兆円、このなかの74兆円が公共債である。貸付金は18兆円あるが大半が機構貸付で一般貸付は2170億円に過ぎない。

つまり、民営化すると300兆円の資金が民間に還流して日本経済の発展に寄与するかのような話はまったくのでたらめだった

 竹中氏が指揮した郵政民営化では、奥谷禮子氏が日本郵政株式会社社外取締役に起用された。奥谷氏が社長を務める株式会社ザ・アールの第2位株主はオリックスであるとも伝えられている。奥谷禮子氏は、経済同友会メンバーで、宮内義彦氏が議長を務めた総合規制改革会議の委員も務めた。

 この株式会社ザ・アールは、日本郵政公社から職員マナー研修で7億円もの業務の発注を受けたと伝えられている。週刊ダイヤモンド2009年5月23日号によると、株式会社ザ・アールが受注したマナー研修に関連してスタートした接客態度ランク付け制度は、2007年10月の日本郵政発足後に雲散霧消してしまったという。週刊ダイヤモンドは「七億円はどぶに捨てたようなもの」という郵政関係者の声を紹介している。

週刊ダイヤモンドが紹介した「マナー研修」とは次のようなものだった。

「「これがスカイブルーの挨拶です」--元キャビンアテンダント(CA)だという講師はそう言うと、深々とお辞儀をしてみせた。お辞儀をされたお客さんが青空のような爽快さを感じるから「スカイブルー」なのだそうな。

続いて、書留配達のロールプレイング。配達先でまず自身の所属局と部署、名前を言ってスカイブルーのお辞儀をし、満面の笑みで「○○様、本日は書留をお届けに上がりました」と告げなければならない。

参加した職員はたまらず、研修を見守る幹部に尋ねた。「あんなことをしたら配達先が気味悪がってドアを開けてくれなくなるけど、本当にやるんですか」--。

職員全員の接客態度をランク付けするとし、ランクは上から三つ星、二つ星、一つ星、星なし。星の獲得には研修参加が不可欠で、二つ星、三つ星には筆記試験が課される。獲得すれば星の絵柄入りのバッジが支給される。

当初、「星のない職員は接客業務からはずす」とまで宣言していたが、現実には慢性的人手不足のために職員が星を獲得するまで待っている余裕などなかった。加えて、7億円もの取引がある奥谷氏が日本郵政の社外取締役に就任したことが国会で問題となり、民営化後は星の認定制度そのものが雲散霧消してしまった。

「7億円はどぶに捨てたようなもの」(郵政関係者)だ。「人にマナーを説く前に、経営者としての“マナー違反”をなんとかしてほしい」」

これが、竹中氏が推進した郵政民営化の実態であった。

竹中氏は政治が民営化の邪魔をするなと言うが、「かんぽの宿」不正売却未遂疑惑問題で明らかになったのは、時価1000億円程度とみられる日本郵政資産が109億円の安値で関係の深い民間事業者に横流しされようとしていた事実である。

政治がこのような不正を糾すべく介入するのをやめろというのが竹中氏の主張らしい。CIAと関わりの深いと見られる読売は、竹中氏を出演させ続けている。視聴者は偏向報道から真実を読み取らねばならないという難業をこなさなければならないが、マスメディアの情報操作を洞察し、真実を知らなければ、日本政治の刷新は実現しない。

感覚を研ぎ澄まして真実を洞察し、不正な人々を排除してゆかねばならない。

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