テレ朝サンプロ西川善文氏擁護偏向報道が続く
テレビ朝日「サンデープロジェクト」がようやく日本郵政問題を取り上げた。本ブログ6月28日付記事
7月1日記事
に記述したように、同番組は「かんぽの宿疑惑」について徹底検証を行なうことを視聴者に約束したが、この約束は無責任に破られていた。
7月6日に
を記述した。
以後、問題は放置されてきたが、11月15日放送で日本郵政の西川善文前社長を出演させ、日本郵政社長辞任問題についてインタビューが行なわれた。
討論に加わったのは、西川善文氏のほか、丹羽宇一郎日本郵政前取締役、エコノミストの吉崎達彦氏、田原総一朗氏である。
鳩山政権が推進している日本郵政改革に賛成する論者が一人も論議に加わっていない。政治的公平を確保して論議をするなら「2プラス2」、=「2対2」で論議するのが当然である。ところが、政治的偏向を特徴とする同番組は、「4対0」の出演者構成で番組を制作した。
正当な論議が成り立つはずがない。事件が発生したときに、被疑者と被疑者を擁護する者だけを出演させて話を聞くようなものである。
「かんぽの宿疑惑」についても論議が行なわれたが、不正は存在しないとする一方的な説明が示されただけである。
鳩山政権が示す「日本郵政改革」の基本方向は基本的に正しい。
鳩山首相は6月17日に麻生前首相との間で行なわれた党首討論の場で、政権交代が実現すれば西川善文社長の辞任を求める考えを明言した。また、民主、社民、国民の現与党3党は、8月30日の総選挙に際して「郵政改革」の基本方針を公約として提示して選挙戦を戦った。
このなかで民主党が総選挙に大勝し政権交代が実現したのである。鳩山政権が公約に沿って日本郵政改革を推進することは正当であり、国民に対する責務でもある。
私は『月刊日本』
販売元:ケイアンドケイプレス
月刊 日本 2009年 12月号 [雑誌]
Amazon.co.jpで詳細を確認する
に「小泉竹中改革の破綻と政治の新潮流」と題する12回連載記事を執筆している。11月22日に発行される『月刊日本12月号』
には、第6回連載記事として
「鳩山政権郵政改革を批判する竹中平蔵氏の厚顔無恥」
と題する記事を執筆した。
鳩山政権の郵政改革の概要、小泉竹中政権の進めた郵政民営化のどこに問題があったのかを詳述しているので、ぜひご一読賜りたい。
「かんぽの宿」疑惑に関連して、「サンプロペンタゴン」の主張が間違っていることの詳細については、これまでに繰り返し記述してきた。
「テレ朝報道ステーションの救いようのない欺瞞」(6月13日)
「鳩山総務相更迭問題を逃げたテレ朝サンプロ」(6月14日)
「千葉市長選民主大勝と日本郵政の巨大犯罪疑惑」(6月15日)
「それでも日本郵政西川社長を解任すべき理由」(6月23日)
「国会出頭要請をもう逃げられない竹中平蔵氏」(6月24日)
を参照いただきたい。
西川社長直結の「チーム西川」がかんぽの宿売却を仕切り、不透明極まりない対応が示されてきたことは紛れもない事実である。
15日の放送では、
①日本郵政が4200億円の利益を計上したこと
②日本郵政取締役人事は日本郵政の指名委員会に権限があること
③郵政民営化は300兆円の資金を民間に還流するさせることを目的に推進されたもので、この流れをかえるべきでないこと
を西川氏や丹羽氏が強調した。
しかし、①については、10月21日付記事
に記述したように、
「日本郵政株式会社が発足して収益体質が改善したかのような報道がなされているが、事実誤認も甚だしい。日本郵政公社は日本郵政株式会社へ引き継ぐ最後の決算である2007年9月決算で1兆5800億円の特別損失を計上している。新会社である日本郵政株式会社の決算計数の見栄えを良くするために、巨額損失をその前に計上しているのだ。
日本郵政はゆうちょ銀行に190兆円、かんぽ生命に100兆円の資金を保持している。ゆうちょ銀行の資金利鞘は0.8%であり、ゆうちょ銀行の資金利鞘から発生する粗利益だけで年間1兆5200億円の収益が確保される。
300兆円弱の資金を抱えているのであるから、誰が経営者であっても利益を計上することは可能である。そもそも郵政3事業は赤字事業ではない。税金を投入せずに運営されてきた事業部門なのである。」
利益が急増したように見えるのは決算操作による部分が圧倒的に大きいのである。
②の人事問題について、丹羽氏は会社法に基づく意思決定を尊重するべきだと述べるが、それ以前に、日本郵政が現状で100%政府出資企業であることを踏まえることが不可欠である。日本郵政取締役は100%株主である日本政府の意向を尊重する責任を負っている。日本郵政人事に認可権を持つ総務大臣の意向を無視した経営が許されるはずがない。
丹羽氏はコーポレートガバナンスなる言葉を口にするからには、株主から経営を委託されている取締役が株主の意向を尊重するべきであるという「コーポレートガバナンスのいろはのい」を踏まえる必要がある。この基本を見失って「コーポレートガバナンス」を口にすることは笑止千万である。
鳩山邦夫元総務相が西川氏の辞任を求めたことにつていは、正当な根拠が存在した。西川氏が作ったお手盛り委員会の報告には疑惑を払拭する説明力はなかったのだ。
③の資金還流についても私は10月21日付記事に記述した。
「民営化するとこれまで財政投融資制度の下で政府部門にしか回らなかった資金が民間部門に還流すると説明されてきたが、そのような事実はまったく観察されていない。
2009年3月末現在、ゆうちょ銀行の総資産196兆円のうち、有価証券が173兆円、このなかの162兆円が公共債である。貸出金は4兆円に過ぎない。かんぽ生命では総資産107兆円のうち、有価証券が83兆円、このなかの74兆円が公共債である。貸付金は18兆円あるが大半が機構貸付で一般貸付は2170億円に過ぎない。
つまり、民営化すると300兆円の資金が民間に還流して日本経済の発展に寄与するかのような話はまったくのでたらめだったのだ。」
他方、小泉竹中郵政民営化による弊害が大きいことについて番組はまったく触れなかった。地域に居住する多数の国民から金融口座をはく奪してしまう「金融排除」の問題が今後深刻化することは間違いなかった。また、4分社化によってこれまで郵政職員が提供してきたきめ細かい有機的な総合サービスが供給されなくなったことも事実である。地域コミュニティーの核としての機能を担ってきた特定郵便局ネットワークの貴重な機能も破壊された。
公共の電波を用いて郵政改革を論じるのであるなら、中立公正な論議が行なわれる状況を確保して放送を行なうべきである。放送法の規定に反する番組制作を続ける同番組について、テレビ朝日には番組打ち切りを含めた検討が求められる。鳩山政権は放送法違反の疑いのある民放番組に対する適正な指導・監督体制を整えるべきである。
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
« 財務省利権への切り込みが脱官僚政策の原点 | トップページ | 直嶋正行経産相のGDP統計発表フライング »
「西川善文日本郵政社長解任」カテゴリの記事
- かんぽの宿疑惑不起訴こそ検察審査会起訴の対象(2011.04.02)
- 亀井静香郵政相との直接対決完敗の竹中平蔵氏(2009.11.28)
- テレ朝サンプロ西川善文氏擁護偏向報道が続く(2009.11.15)
- 日本郵政西川社長解任の方向が明らかになった(2009.10.20)
- 「かんぽの宿」論議を逃げたテレ朝サンプロ(2009.07.06)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: テレ朝サンプロ西川善文氏擁護偏向報道が続く:
» (ねとらじ)普天間移設問題についてのご紹介 [日本国憲法擁護本当の自由主義と民主主義連合〜法大OBのブログ]
★ポチっとblogランキング(^^ゞにご協力ください
普天間移転 現行計画に「反対」67%沖縄・世論調査(毎日新聞) (引用)「県外か国外への移設を目指して米国と交渉すべきだ」と の回答が70%を占め、 普天間飛行場移設先「県外」が最高点 米軍、96年に比較(琉球新報) 普天間移設、県外を要求=那覇市議会(時事通信) 普天間移転:「県民投票を」57% 沖縄・世論調査(毎日新聞) 普天間県外移設、改めて意欲示す鳩山首相(読売新聞) 普天間「県...
普天間移転 現行計画に「反対」67%沖縄・世... [続きを読む]
» サンデープロジェクト 西川善文氏出演 ひどい偏向報道 [ライフログ ダイアリー]
テレビ朝日、サンデープロジェクトに日本郵政前社長、西川善文氏が出演した。
前日に録画したインタビューを放送したのですが、あまりにもひどい偏向報道です。
司会の田原総一郎氏はことあるごとに「再国有化」と口にし、出演者も丹羽宇一郎前取締役、双日総合研究所取締役....... [続きを読む]
» おかげさまで、訪問者10万人♪ [地 獄 へ の 階 段]
{{{
おかげさまで、当ブログの訪問者が10万人を超えておりました。
民主政治の健全な発達に寄与するべく、みなさまの訪問を励みに4月から続けて参りました。
思えば、小沢一郎議員公設第一秘書の逮捕という試練の場面において、
一部の心ない民主党議員による自己保身と猟官目的の卑劣な小沢批判を目にしたのを契機に、
「あなたに小沢一郎を批判する資格があるのですか?」
をテーマに清廉潔白を装う議員の政治資金収支報告を読み解き、素朴な疑問を情報発信することで、
..... [続きを読む]
» オバマ米大統領宣言「米は太平洋国家」は、欧州勢力の多極化戦略の再開 [日本を守るのに右も左もない]
オバマ米大統領が11月14日、今後の米国のアジア政策を示す演説を行った。そこで「米国は太平洋国家」と延べ、米国がアジア・太平洋地域の一員であることを強調している。このオバマ米大統領の東京宣言は何を意味するのか? 『新ベンチャー革命』2009年11月15日「オバマ東京宣言の成功は小沢流日本郵政人事にあり」からの引用。 いつも応援ありがとうございます。 ...... [続きを読む]
» 国民新党・新党日本・平沼グループが合流か? [Kirokuroの毒吐き空間]
国民新・新党日本・平沼グループ、年内にも新党
国民新党(代表・亀井金融相)、新党日本(田中康夫代表)と、無所属の平沼赳夫・元経済産業相が率いる「平沼グループ」が合流し、年内の新党結成を模索していることが15日、わかった。
これは朗報。
平沼さんも、人権擁護法案や永住外国人の地方参政権を阻止するには無所属でいるより与党入りしたほうが有効だと判断したのだろう。
ま、城内実さんのブログに住み着いてるネット右翼どもは「売国ミンスと手を組むとはナニゴトダーーーーーーッ!!」とか大騒ぎしそうだけど(笑)... [続きを読む]
» 国際オペレータ通話を存続させよう!(2) [喜八ログ]
■2009年11月05日、参議院議員会館で行なわれた「(KDDIの)国際オペレータ通話の存続を求める院内集会」の報告エントリ第2回です。
「国際オペレータ通話を存続させよう!(1)」
(「喜八ログ」2009-11-09)
■「国際オペレータ通話ってなんだ?」と仰る方もいらっしゃるだろうと思いま...... [続きを読む]
» 「民主党政権下で郵政民営化どうなる?」(7)~金貸しにとって、民営化とは何か? [金貸しは、国家を相手に金を貸す]
10月初めからスタートした「民主政権下で郵政民営化どうなる?」シリーズ、このシリーズの間に、郵政株式売却凍結が閣議決定され、西川旧郵政社長は辞任、新郵政の社長及び取締役人事が決定しました。また、総務省では「郵政改革推進室」と「日本郵政疑惑解明特別チーム」が設置され、今後の郵政の闇の真相解明に期待が掛かっています。 今後、無事に臨時国会での郵政株式売却凍結が確定すれば、次期通常国会を目標に新郵政の全体像が検討されます。 しかし、竹中氏を初めとする売国郵政民営化論者と大手マスコミは、相変わ... [続きを読む]
» 西川善文氏の犯罪と郵政米営化への米国の意思を認識しよう [父さんの日記]
西川善文氏が日本郵政社長を辞任し1ヶ月程経った11月15日、テレビ朝日のサンデー [続きを読む]