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2009年10月29日 (木)

日米株価1万ポイント割れと今後の経済政策

NYダウ、日経平均株価がともに10,000の大台を割り込んだ

2008年夏から2009年前半にかけて、世界の金融市場を襲ったサブプライム金融危機。株価が暴落しただけでなく、経済活動が急激に低下した。

サブプライム金融危機の最大の特徴は、デリバティブと呼ばれる金融派生商品が制御不能な規模にまで拡大するなかで、本源的金融商品の価値を裏付ける米国住宅不動産価格が急落した点にある。

株価暴落、経済悪化に連動して大手金融機関の経営危機が表面化して、金融恐慌に陥るリスクが表面化した。米国FRBのバーナンキ議長は過去の資産バブル崩壊についての研究を重ねてきた人物である。

金融危機発生に際して、流動性の十分な供給、金融機関資本不足への対応が危機拡大を回避する重要な施策であることを強く認識した。経営責任、株主責任を問わない金融機関救済は、深刻な倫理的問題=モラル・ハザードを引き起こす。この意味で米国政策当局が採用した政策には重大な副作用がもたらすものではある。

しかし、オバマ政権下の米国は、大胆な財政政策発動、ゼロ金利政策と流動性の潤沢な供給を軸とする超緩和金融政策、金融機関への巨大な資本供給策を総動員した。この政策総動員によって、株価暴落に歯止めをかけて、経済の急激な悪化に一定の歯止めをかけることに成功した。

マクロ経済政策の活用は国際的な政策協議を通じて、グローバルに展開された。グローバルなマクロ経済政策協調と米国株価反発を背景に世界的に株価が反発した。日経平均株価、NYダウはともに10,000ポイントの大台を回復した。

世界経済、世界の株式市場は最悪の状況を抜け出すことに成功した。日本の生産活動も本年2月を底に改善を実現している。日経平均株価も3月の7000円割れから1万円の大台を回復するところまで反発した。

しかし、金融市場は2010年春以降の経済に対する不安を徐々に強めつつある。生産活動は大底から浮上したものの、2008年初頭の活動水準と比較すれば、依然として2割程度低い水準に留まっている。2010年春以降の経済再悪化についての懸念が浮上し始めている。

米国においても、巨大な財政政策発動に伴い、財政赤字が年間1兆5000億ドル水準に激増している。GDP比10%を突破する急増が表面化している。米国は国全体が赤字体質を継続している。経常収支赤字国は不足資金を海外からの資本流入に頼らなければならない。

経常収支赤字と財政赤字の双子の赤字の拡大は、米ドルに対する不信感を増大させる要因になる。米ドルの下落傾向が強まっているが、外国資本が米国から流出し始めれば、米ドル下落・米国金利上昇・米国株価下落のドル暴落の図式が表面化しかねない。

こうした状況を踏まえれば、先行きの経済金融情勢には警戒を怠れないのが現状である。

このなかで、日本のマクロ経済政策運営においては、2010年度当初予算編成をめぐる論議が極めて重要な意味を持ってくる。

本ブログでも再三指摘しているが、2009年度に麻生政権が14兆円もの巨大な規模の補正予算を編成し、補正後予算が102.5兆円規模に膨れ上がった以上、この2009年度補正後予算をベースに2010年度当初予算を検討せざるを得ない。

この点を踏まえずに、2010年度に強度のデフレ予算を編成すれば、その予算編成が日本経済再悪化の引き金を引く原因になる可能性が高い点を踏まえるべきである。

『金利・為替・株価特報』2009年10月24日号にもこの問題を詳述した。経済が崩壊すれば鳩山政権の日本政治刷新政策を実現する基盤が崩壊してしまう。マクロ経済政策の適切な運営が強く望まれる。

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