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2009年10月21日 (水)

鳩山政権の郵政改革本格始動と今後の課題

鳩山新政権の郵政改革が本格的に動き始めた。

10月20日、日本郵政株式会社の西川善文社長は記者会見を開き、辞任の意向を正式に表明した。「かんぽの宿」疑惑が表面化してレッドカードが突き付けられるなか、西川氏はこれまで日本郵政社長職にしがみついてきたが、鳩山新政権に退路を断たれ、ようやく辞職の決断を下した。遅すぎる決断だった。

小泉竹中政治を礼賛してきた偏向マスメディア勢力は、西川氏辞任に際しても偏向報道を維持している。その代表であるテレビ朝日は、自民党大島理森幹事長、山本一太参議院議員、小泉政権御用コメンテーターの松原聡氏、さらに竹中平蔵氏のコメントを紹介するとともに、新たに開設された簡易郵便局の利用者が少ない事例と日本郵政の収益が改善したことだけを紹介した。

コメントを提供した4名は、すべて小泉竹中政治万歳の人々だ。何をコメントするかは話を始める前に明らかだ。この反対側に、郵政民営化の欺瞞(ぎまん)を指摘する多数の論者が存在するが、テレビ朝日はその声を一切報道しない。

日本郵政株式会社が発足して収益体質が改善したかのような報道がなされているが、事実誤認も甚だしい。日本郵政公社は日本郵政株式会社へ引き継ぐ最後の決算である2007年9月決算で1兆5800億円の特別損失を計上している。新会社である日本郵政株式会社の決算計数の見栄えを良くするために、巨額損失をその前に計上しているのだ。

日本郵政はゆうちょ銀行に190兆円、かんぽ生命に100兆円の資金を保持している。ゆうちょ銀行の資金利鞘は0.8%であり、ゆうちょ銀行の資金利鞘から発生する粗利益だけで年間1兆5200億円の収益が確保される。

300兆円弱の資金を抱えているのであるから、誰が経営者であっても利益を計上することは可能である。そもそも郵政3事業は赤字事業ではない。税金を投入せずに運営されてきた事業部門なのである。

小泉竹中政治万歳派は以下の点が郵政民営化の利点だとしてきた。

①民営化することによって経営の効率が上がる

②ゆうちょ、かんぽの資金が民間部門に還流して経済の発展に資する

③民営化によってサービスが向上する

しかし、現実にこのような結果は生まれていない。収益については、2007年10月の日本郵政発足前に巨額損失を計上したために、日本郵政発足後の損益が見かけ上改善したが、経営が効率化されたわけではない。日本郵政が計上している利益は従来の郵政公社の時代にも確保していたものである。

民営化するとこれまで財政投融資制度の下で政府部門にしか回らなかった資金が民間部門に還流すると説明されてきたが、そのような事実はまったく観察されていない。

2009年3月末現在、ゆうちょ銀行の総資産196兆円のうち、有価証券が173兆円、このなかの162兆円が公共債である。貸出金は4兆円に過ぎない。かんぽ生命では総資産107兆円のうち、有価証券が83兆円、このなかの74兆円が公共債である。貸付金は18兆円あるが大半が機構貸付で一般貸付は2170億円に過ぎない。

つまり、民営化すると300兆円の資金が民間に還流して日本経済の発展に寄与するかのような話はまったくのでたらめだったのだ。

民営化された郵政では、全国一律の金融サービス提供義務が取り除かれた。これまで郵便局職員は地域住民に対して極めてきめ細かいサービスを提供してきたが、郵便、銀行、保険業務が明確に区分され、総合的なサービス提供が著しく縮小したことが指摘されている。

小泉竹中郵政民営化は外国資本に利益を提供するために仕組まれた売国政策であったと言わざるを得ない。銀行、保険、郵便、郵便局に4分社化して持株会社として日本郵政を位置付けたのは、日本国民の貴重な財産を外国勢力に安価で提供するための手法だったと考えられる。

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日本郵政公社24万人の人員の配分には著しい偏りがある。

郵便事業   10.01万人

郵便局    12.07万人

ゆうちょ銀行  1.16万人

かんぽ生命   0.54万人

ゆうちょ銀行、かんぽ生命には最小の人員しか配分していない。この2社の株式はすべて売却される予定とされた。この株式の過半を取得すれば、300兆円の国民資金を丸取りできる。

日本郵政が保持する一等地不動産は郵便局会社、および持株会社の日本郵政が保有することとされた。郵便事業会社と郵便局会社を傘下に持つ日本郵政株式会社株式の3分の2が売却される予定だった。

ここには、22万人の人員が配置されるから、売却される株式は低い価格になるだろう。この株式全体の過半を獲得すると日本郵政の経営権を取得できる。そののち、郵政事業を多数の人員とともに国営事業として国に返還してしまえば、日本最大級の不動産会社だけが残る。外国資本は日本郵政が保有する巨大不動産に狙いをつけていたと考えられる。

4分社化は外国資本が日本の国民資産を収奪するためのスキームであった可能性が高い。マスメディア報道は4年前の郵政民営化選挙で自民党が大勝し、郵政民営化が実現したことを強調するが、今回の総選挙では民主、社民、国民の3党が郵政民営化見直しの方針を明確に公約に掲げた。このなかで国民が民主党を圧勝させたのであり、郵政民営化の根本見直しは正当な施策である。

竹中氏は、政府が100%株式を保有している日本郵政について、「民営化した日本郵政に政府が口を出すべきでない」と述べていた。つまり、株式を政府が100%保有している状態を「民営化」した姿と捉えていたのである。

この主張によるなら、鳩山新政権が日本郵政各社の株式売却を凍結しても「民営化」そのものを変えることにはならない。

地域住民がどこに住んでいても金融取引口座から排除されない状況を確保することは極めて重要なことである。特定郵便局を地域の行政サービスの拠点として活用することは行政サービスの効率化、地方公共団体の統合を進める上で、極めて有効な手法である。

鳩山政権は、

①郵政4社株式売却を凍結する

②郵便貯金・簡易生命保険の基本的なサービスをユニバーサルサービスとするための法的措置を講じる

③郵便局ネットワークを「地域や生活弱者の権利を保障し格差を是正する拠点」と位置づけ、地域のワンストップ行政の拠点として活用する

④現在の持株会社・4分社化体制を見直し、経営形態を再編成する

⑤郵政事業を抜本的に見直す「郵政改革法案」(仮称)を次期通常国会に提出し、成立を目指す

ことを打ち出した。いずれも正しい対応である。

日本郵政の新社長に元大蔵省事務次官の斎藤次郎氏を起用することが示された。民主党の小沢一郎幹事長との近い関係が背景にあると考えられる。鳩山政権は「官僚主権」から「国民主権」への転換を訴えている。「官僚主権」の中核を担ってきたのが旧大蔵省と検察・警察・司法権力である。

斎藤氏の起用を、「官権主義」を復活させる契機としないための取り組みが不可欠だ。12月末に先送りした公的部門への天下り人事問題と併せ、鳩山政権は「官権主義」からの明確な脱却の方針を改めて明示する必要に迫られている。民主党が「官権主義」から「民権主義」への転換公約を反故(ほご)にするなら、民主党に対する国民支持が急落することを肝に銘じなければならない。

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