鳩山政権の郵政改革断行への期待と不安
鳩山政権は日本郵政の役員人事を刷新する方針を固めた。
西川善文日本郵政社長は28日の日本郵政取締役会で正式に辞表を提出する。後任社長には元大蔵省事務次官の斎藤次郎氏が就任することが内定している。
日本郵政株式会社の現在の取締役は以下の9名である。
代表取締役 西川 善文(にしかわ よしふみ)
代表取締役 高木 祥吉(たかぎ しょうきち)
社外取締役 牛尾 治朗(うしお じろう)
ウシオ電機株式会社代表取締役会長
社外取締役 奥田 碩(おくだ ひろし)
トヨタ自動車株式会社取締役相談役
社外取締役 西岡 喬(にしおか たかし)
三菱重工業株式会社相談役
社外取締役 丹羽 宇一郎(にわ ういちろう)
伊藤忠商事株式会社取締役会長
社外取締役 奥谷 禮子(おくたに れいこ)
株式会社ザ・アール代表取締役社長
社外取締役 高橋 瞳(たかはし ひとみ)
青南監査法人代表社員
社外取締役 下河邉 和彦(しもこうべ かずひこ)
弁護士
日本郵政が財界人に占拠されてきたことが明白である。竹中平蔵氏などは、日本郵政取締役人事は日本郵政の指名委員会が提案するべきだとして、政府日による日本郵政取締役人事が適正でないと主張する。
しかし、日本郵政株式会社法は総務大臣に認可権を与えており、総務大臣に指名委員会に優越した権限を付与している。また、現状では日本郵政の全株式を日本政府が保有している。日本郵政は完全な国有会社である。
総務大臣は国政選挙を通じて選出された国会議員によって指名された内閣総理大臣を首班として組織された内閣の一員であり、国民の負託を受けて行政権を担う存在である。
日本郵政株式会社が100%政府出資企業である以上、総務大臣は日本郵政の経営事項全般に対して責任を負う存在である。麻生政権下における日本郵政経営の最大の欠陥は、日本郵政が総務大臣の意向を無視して経営事項を決定した点にある。
日本郵政の指名委員会と異なる方針を示した総務大臣が問題だったのではなく、総務大臣の意向に反する方針を決定した指名委員会の行動が問題だったのである。現在の日本郵政取締役の布陣は、竹中平蔵氏や菅義偉氏が総務大臣であった時代に任命された人々である。
竹中氏は自分の意向に従う取締役の布陣を維持したかっただけである。所管大臣が鳩山邦夫氏に代わり、鳩山邦夫氏が総務大臣に就任した以上、日本郵政は所管大臣の意向を十分に尊重する義務を負っていた。ところが、麻生政権は所管大臣の意向を無視して、日本郵政の暴走を容認するスタンスを採用した。ここに問題があった。
鳩山由紀夫政権が樹立され、新政権が郵政改革の方針を公約に掲げたことを踏まえれば、新政権の下で日本郵政の取締役の布陣を一新することは順当な行動である。鳩山政権が民意の信託を尊重し、日本郵政の経営改革に迅速に着手していることは、鳩山新政権の高い行動力を示している。
小泉竹中政権時代の最大の問題点は、日本郵政が一部の利害関係者に私物化されていたことだった。「郵政民営化」の美名の下で推進されたのは、貴重な国民資産が一部の利害関係者私物化される「売国政策」だったのだ。
日本郵政を国民の利益を目的に運営するには、日本郵政の取締役に国民の利害関係者を登用することが不可欠である。また、これまでの日本郵政取締役には、郵政プロパー職員が一人も登用されていなかった。
消費者、利用者、地域生活者を新経営陣に起用するとともに、郵政プロパー職員を経営陣に据えるべきである。鳩山政権は日本郵政常務理事を経験し、小泉政権の郵政民営化に反対して辞職した中央大学客員教授の稲村公望氏を新たに取締役に登用する方針を示しているが、極めて順当で適正な人事方針であると思われる。
ただし、斎藤次郎氏に加えて元大蔵官僚である坂篤郎・前内閣官房副長官補も新たに取締役に起用される方針が示されており、財務省勢力の突出は非常に気がかりである。鳩山政権が掲げる「官権政治から民権政治への転換」の大きな核が財務省権力の抑制にあるからだ。
竹中氏は政府が100%株式を保有する状態でも、「民営化」が実現したと述べてきた。したがって、鳩山政権が日本郵政株式を100%保有した状態を維持する方針を示したとしても、「民営化」そのものを変更することにはならない。
国民に利益を提供する「郵政改革」を実現するには、日本郵政株式を政府が保有し続けることを定めるべきである。
小泉竹中政権下の郵政民営化では、地方に在住する国民から、これまで郵政事業が提供してきた貴重な金融サービスをはく奪することが実行され、また、地域コミュニティーの核として機能してきた特定郵便局ネットワークが破壊されてきた。
この悪政に対する批判が8月の総選挙結果にも反映されたのである。鳩山政権が示す郵政改革の方針は国民の利害に沿ったものである。大胆な郵政改革を支持し、事態が改善されることが強く望まれる。
![]() |
![]() |
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
![]() |
![]() |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
« 平成の無血革命成功を期す鳩山首相演説 | トップページ | 日米株価1万ポイント割れと今後の経済政策 »
「鳩山民主党の課題」カテゴリの記事
- 国民との約束無視前原国交相更迭を検討すべし(2010.05.18)
- 鳩山総理は米代理人更迭内閣改造を実施すべし(2010.05.11)
- 官房機密費に群がる御用言論人実名が明らかに(2010.05.07)
- 公約違反料金案責任を小沢氏に転嫁する前原氏(2010.04.27)
- 総理は前原国交相ごり押しを容認すべきでない(2010.04.22)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 鳩山政権の郵政改革断行への期待と不安:
» 2009年10月26日 鳩山首相所信表明演説 [ライジング・サン(甦る日本~世界へ)日はまた昇る]
10月26日、歴史に刻まれるであろう素晴らしい所信表明演説が、鳩山首相の口から国民に向けて発せられた。
すでに沢山のブログ等に全文が載せられていますが、私のブログにもこの素晴らしい演説の全文を載せようと思います。 自民党の某議員は演説の中で”青森のおばあちゃん... [続きを読む]
» 喜べない…日本郵政の新役員 [東京サバイバル情報 ☆一時避難せよ☆]
日本郵政、斎藤氏が社長就任 株主総会で正式決定(朝日)
…作家の曽野綾子氏らも社外取締役に選ばれた。取締役はこれまでの9人から倍増。取締役副社長を1人から4人に増やすなど、持ち株会社の機能を強めた。社長、副社長5人のうち元官僚が3人を占めるなど、従来の民営化路線を転換させる体制を整えた。…
社長を含めた元官僚の起用については、
「毒をもって、毒を制する」という意図の可能性のあるので ('';)ウーン
今後の推移を見守りながら判断したいと思うのだが、
日本郵政:役員異動のお知らせ... [続きを読む]
» 郵政改革推進室設置 小泉・竹中路線との決別 [ライフログ ダイアリー]
NIKKEI NET(日経ネット):主要ニュース−各分野の重要ニュースを掲載
政府は郵政事業の見直し作業を進める実務部隊として郵政改革推進室を新設、室長に清水英雄・ゆうちょ財団理事長を充てる人事を発表しました。
同時に郵政民営化推進室は27日付で廃止し、小泉・竹中路線....... [続きを読む]
» 「郵政民営化はいったい誰のための改革だったのか?」そこから伝えたい [父さんの日記]
総務省の 郵政疑惑解明特別チーム発足のニュース は、読売の第一報に続き 毎日新聞 [続きを読む]
» 脱官僚・脱派閥の新しい政治の確立に向けて・・・新しい 「派閥」 を作ります! 中川秀直 [ラ・ターシュに魅せられて]
まったく、もう! 自民とうさん も笑わせてくれます。
ナニがそう可笑しいかは、このあと書くとして、本日はまず昨日の続きから (笑)... [続きを読む]
» 「民主政権下で郵政民営化どうなる?」(5)中間まとめ~政権側の体制は固まってきた [金貸しは、国家を相手に金を貸す]
郵政民営化見直しの基本法案の閣議決定され、新社長に斎藤次郎氏が就任。 日本郵政の取締役も、今までの財界中心のメンバーから大きく変わった。 また、総務省では「郵政改革推進室」と「日本郵政疑惑解明特別チーム」が設置された。 それぞれのメンバーを見れば、郵政民営化に反対してきた国益派が中心であり、今後の真相解明と国益を第一とした新しい郵政への転換に、多いに期待したい。 一方、危機にさらされている竹中氏+大手マスコミは相変わらず株式凍結反対キャンペーンを張っている。日本だけでは無理と考えたのか、竹中氏... [続きを読む]