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2009年10月19日 (月)

マスメディアの的外れな鳩山政権批判

マスメディアの鳩山新政権攻撃が続いているなかで、鳩山政権は高支持率を維持している。マスメディアの創出する論調に対する国民の抵抗力が増大し始めている。

メディアの攻撃対象は、

①2009年度に国債増発が必要になること

②2010年度予算が2009年度当初予算を上回ること

③八ツ場ダム建設中止に地元住民が反発していること

④沖縄普天間基地移設問題が難航していること

⑤インド洋での自衛隊給油活動中止に米国が難色を示していること

⑥生活保護母子加算復活、障害者自立支援法本人負担軽減が、概算要求で事項要求とされたこと

⑦国家戦略室が十分に機能を発揮していないこと

などである。

①について、菅直人国家戦略相は、麻生政権が税収見積もりを誤り、6兆円の歳入不足が生まれることになるなら、国債増発を検討しなければならないが、これは麻生政権の「負の遺産」であるとの見解を示した。正しい指摘である。

②2010年度当初予算は2009年度当初予算規模を上回る必要がある。麻生政権は2009年度予算に対して、すでに14兆円規模の増額補正を実行した。2009年度補正後予算は103兆円規模に膨張している。

2010年度当初予算を2009年度補正後予算よりも著しく小規模に編成すれば、2010年度予算が日本経済再悪化の引き金を引くことになる。2010年度当初予算は2009年度当初予算規模を大幅に上回る規模で編成するべきなのだ。

③国民は必要性の乏しいコンクリート投資を根本から見直すべきとの考えを有している。これまで、自民党はダム等の必要性を論じることなく、過去からの惰性(だせい)で建設活動を維持してきた。地元住民はその歴史に巻き込まれた被害者であるが、建設の適否は歴史的経緯だけに依存して決定されるべきでない。

必要性を認めることができないのなら、建設を中止する英断を下すべきである。その代わり、地元住民、地方自治体には十分な補償措置が検討されるべきである。世論調査では、八ツ場ダム建設中止に賛成意見多数の現実が示されている。

④沖縄の基地問題は処理が難しいが、これまでの日本政府が普天間飛行場のキャンプシュワブへの移転を認めてきたことから、現段階で県外への移転を決定することは難しい。滑走路計画の見直しなどでの着地点を見出すことが現実的な選択であると考えられる。

⑤民主党などの与党はインド洋での自衛隊給油活動からの撤退を政権公約に盛り込んだ。この公約に従い、給油活動から撤退することは正当化される。一方、日本の国際貢献活動として、アフガニスタンでの民生支援活動などが検討されており、米国も日本の姿勢を評価している。米国の言いなりではない、日本の主体的な外交姿勢を示す重要な機会になると考えられる。

⑥障害者自立支援法改正、生活保護母子加算復活などは、細目の検討が遅れて「事項要求」とされたが、鳩山新政権はいずれの施策も実施の方向で検討を進めている。これらの政策が実施されないとの見方は誤りである。

⑦国家戦略室を局に格上げする法整備が2010年の通常国会に先送りされる見通しである。このため、菅直人国家戦略相の活躍の場が制約されているが、もう少し、じっくりと問題を見極める必要がある。新しい制度を構築するのであるから、拙速ではなく、時間をかけても充実した機能を盛り込むことが望ましい。

革命的変化を期待するなら、ある程度の時間の経過を許容しなければならない。2010年夏の参議院選挙で与党が勝利すれば、衆議院の4年の任期をフルに活用することができる。4年間の時間を確保しなければ、「革命的変化」を実現することは難しい。

この意味で、鳩山新政権の当面の最大の政治課題は2010年夏の参議院選挙での勝利ということになる。逆に言えば、悪徳ペンタゴン勢力は、2010年夏の参院選での与党勝利阻止に必死に取り組むことになる。マスメディアの偏向した鳩山政権攻撃はその一環と見て間違いない。

マスメディアの鳩山政権批判はほとんどが的外れである。チンピラの言いがかりの域を出ていない。この実相を、広く一般国民全体に正しく伝えることが必要だ。主権者である国民に正しい情報を提供し、メディアコントロールの害毒を取り払う必要がある。

日本の財政赤字が急拡大したのは、100年に1度の経済危機に伴い、税収が急減したこと、麻生政権が巨大な規模の景気対策を策定されたことが主因である。その実行部隊が麻生政権であったことを正しく認識しなければならない。鳩山政権はこの流れを引き継いだうえで、中長期の財政構造改革に取り組むべきである。性急な財政再建原理主義は百害あって一利なしであることを認識し、無責任なマスメディア報道の誤りを的確に指摘しなければならない。

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