責任放り出し中田宏市長に重責を委ねられない
無責任な人物に政治を委ねることはできない。
日本では政治家の無責任が横行している。
自民党総裁兼内閣総理大臣は二代続けて総理大臣の要職を放り出した。安倍晋三元首相は健康上の理由が主因だったのだと思うが、福田康夫元首相は政権を無責任に放り出したうえで、「私は行く末を客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」と逆切れまでして政権放り出しを正当化した。
政治家が無責任に仕事を投げ出したのでは、選挙で一票を投じた主権者である有権者は救われない。
選挙で有権者に「清き1票を」とお願いするとき、候補者は、もし選出されたら全身全霊を注いで政治家としての職務に邁進(まいしん)することを誓っているはずだ。
任期途中で無責任に仕事を放り出すような人物に、「清き1票」を投じようとは誰も思わない。
政治家の仕事は、主権者である有権者の負託を受けている、非常に重い職責である。有権者に対して、全身全霊を注いで職責を全うすることを誓い、「清き1票」を得て、当選を果たしたならば、個人的な事情で仕事を放り出すことなど許される訳がない。
そもそも、そのような無責任な行動を取る人物に政治など委ねることなどできない。
ところが、言語道断の「無責任族」が政治の世界に横行している。
宮崎県知事に当選した東国原知事。知事に就任して2年しか経たないのに、国政への転出意向を示す騒ぎを引き起こした。
「自民党さんが私を次期総選挙で総裁候補としてお戦いになるお覚悟がおありですか」と自民党古賀誠選挙対策委員長に申し入れたという。古賀誠選対委員長は東京都議選後の自民党総務会で、都議選敗北の責任を取って選対委員長を辞任すると発表したが、その後、自民党選対本部長代理に就任した。
「ぶれる」ことが問題とされる昨今、古賀氏の行動に明快な説明をつけられる人はいない。「究極のぶれ」である。
国政に野心を持つのは自由だが、選挙を通じて宮崎県知事に就任した以上、任期を全うすることは当たり前のことだ。国政に転出するなら、知事職を全うしたのちに検討するべきだ。
さすがに宮崎県の県民も、東国原氏の国政転出意向に対して「NO」の意志表示を示したが、当たり前の反応だ。
東国原氏は世論調査の結果について、「県民の声は、私に県を出ていってほしくない、あるいは、出て行かれたらさびしい、というものだと理解している」と述べたが、おめでたいお方だ。
県民は、東国原氏が知事選に立候補し、知事に当選させていただいた以上、知事職を全うするのが最低限の務めだと考えているにすぎないはずだ。大きな勘違いをしている人物に知事職を委ねたことを後悔している県民も多いだろう。
国政にも無責任人物が存在した。2004年の参議院選挙に比例区から立候補して参議院議員になりながら、2006年9月に突然議員辞職した人物がいた。参議院議員の任期は6年だから、3分の1しか責任を果たさなかった「究極の無責任男」である。
この人物は、小泉政権で経済財政相、金融相、郵政民営化担当相、総務相などの要職を得ながら、2006年9月に任期を約4年も残して議員辞職した。
つい最近では、中田宏横浜市長が突然、辞任の意向を表明した。来年春まで任期を残している。中途半端に辞職する正当な理由などどこにも存在しない。国政に転じるにしろ、政治活動を展開するにしろ、責任をもってひとつの仕事を全うしてからにすることは、基本の基本だろう。
中田氏は女性問題で大きな訴訟をかかえており、この問題との関係も取り沙汰されている。また、中田氏が推進した横浜開港150年博覧会の入場者数が見込みを大幅に下回り、いずれ大きな責任問題が浮上すると伝えられている。責任問題が浮上する前の敵前逃亡であるとの指摘もある。
いずれにせよ、任期途上での自己都合辞任が許されるはずがない。「私は無責任男です」ということを、内外に公表する行為が任期途上の自己都合辞任の意味である。
有権者は選挙の際に、候補者が「責任感のある人物」であるのか、「責任感など持ち合わせていない人物」であるのかを、しっかりと見極めなければならない。
このような「無責任男」の辞任後の行動を見ると、辞任が「自分の利益だけを考えた選択」であることがよく分かるケースが圧倒的に多い。このような人物を選挙で当選させて被害を蒙(こうむ)るのは有権者である。
それでも、選挙の際には美辞麗句(びじれいく)を並べ、全身全霊で仕事に打ち込むようなことを恥ずかしげもなく話すから、有権者が真贋(しんがん)を見極めるのは難しい。「無責任男」ほど、ぺらぺらと内容のない話をもっともらしくまくしたてるのが上手なことが多いからだ。
次善の策として大切なことは、任期途上で自己都合辞任などをした「無責任男」には、その後、絶対に重要な仕事を委ねないことを徹底することだ。日本人は物忘れしやすいので、すぐに「無責任辞任」のことを忘れてしまう。その結果、「無責任男」に重要な仕事を再び任せてしまいやすい。
だから、しっかりとした市民が中心になって、このような「無責任男」には絶対に重要な仕事を任せない市民運動を立ち上げることが必要だ。
落選運動ブログなどの試みも見られるが、これらの人々を列挙した、絶対に重責を担わせてはならない人物を連ねた「リスト」を作成し、主権者である有権者が物忘れしないように、広報活動を展開するべきだ。
マスメディアは任期途上で職責を放り出すような人物を持ち上げて報道するが、メディアの見識が問われる行動だ。元々、メディアに見識があれば、現在の日本の惨状はもたらされなかっただろうから、ないものねだりではあるが、その分、有権者がしっかりしないといけない。
総選挙に向けて「偽装新党CHANGE」が旗揚げされ、御用メディアが過剰報道する危険がある。「政権選択」、「政権交代」を問う総選挙が実施されるなかでの第三極創設はいかがわしいものでしかない。
第三極に関連して登場する人物はいかがわしい顔ぶれに染め抜かれている。第三極創設は野党に流れる有権者の投票を減少させることに最大の狙いがあると考えられる。この偽装第三極を封じ込めることが、政権交代実現への最後のハードルになると思われる。
民主党などが第三極に対して融和的な対応を示しているのは、政権交代に向けて、すべてに慎重な対応を示しているからだ。政権樹立に向けて、最後は数の勝負になる。意味なく数を減ずる意味はないことから慎重な対応を示しているものと理解できる。しかし、本筋が野党連合にあることは明確である。筋の悪い勢力とは適切な間合いを取ることが重要であると考える。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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