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2009年7月 3日 (金)

総選挙前哨戦:官僚派・売国派・国民派の闘い

7月3日、東京都議選が告示された。衆議院総選挙の前哨戦となる大型地方選5連戦の最終戦になる。

4月名古屋市5月さいたま市6月千葉市に続き、7月5日に静岡県知事選、7月12日に東京都議選が実施される。

名古屋、さいたま、千葉と民主党を中心とする野党が3連勝した。また、6月28日に実施された横須賀市長選では、小泉純一郎元首相が全面支援した現職市長が33歳の新人候補に敗北した。

政治の潮流に大きな変化が生じている。総選挙に向けて、この大きなうねりをさらに拡大させてゆかねばならない。

横須賀市長選についてマスメディアは、民主党が相乗りで現職市長を支援したと伝えたが、正確には民主党市議の一部が現職市長を支援しただけであった。細かな違いだが報道のイメージはまったく異なる。こうしたイメージ操作が日常的に繰り返されている。

大型地方選5連戦の最後に実施されるのが静岡、東京の選挙である。

静岡では、民主党系候補の一本化が実現しなかった。民主党は民主、社民、国民新が推薦する川勝平太氏への一本化を試みたが民主党元参議院議員の海野徹氏が立候補し、民主が分裂選挙になった。

このため、自公が推薦する坂本由紀子氏が圧倒的に有利な状況で選挙戦が展開されている。

海野氏の立候補は、坂本由紀子氏への援護射撃の意味合いを含んでいると考えられる。海野氏に対しては、元自民党議員の渡辺喜美氏が応援に入った。

この意味で、静岡県知事選は、総選挙に向けての選挙戦術を考察する上で極めて重要な意味を持つことになる。

昨年から本ブログで取り上げてきた「偽装CHANGE新党」の構想。

「天下り禁止」や「地方分権」を掲げる「自民党別働隊」の旗揚げがあるのではないかとの見方である。

①「小泉純一郎氏-中川秀直氏-小池百合子氏-塩崎恭久氏-石原伸晃氏」などを中心とする自民党内市場原理主義グループ、

②小泉チルドレン、

③「渡辺喜美氏-江田憲司氏-高橋洋一氏-岸博幸氏-上山信一氏」を軸とする「脱藩官僚グ-プ」、

④「東国原宮崎県知事-橋下徹大阪府知事-中田宏横浜市長」を軸とする自民党別働隊地方首長グループ、

⑤「竹中平蔵氏-屋山太郎氏-テリー伊藤氏-北野たけし氏-江口克彦氏」などを軸とする外野グループ

による「偽装CHANGE新党」の創設だ。

「偽装CHANGE新党」の特徴は二つある。

第一は、自民党別働隊であること。「偽装CHANGE新党」創設は、日本政治の刷新を求める国民の投票が野党勢力に集中して流れるのを防ぐことに最大の狙いがあると考えられる。

第二は「偽装CHANGE新党」が「市場原理主義」を基礎に据えていることだ。セーフティネットを排除し、弱肉強食を容認する。弱者切り捨てが「偽装CHANGE新党」の特徴のひとつである。

「偽装CHANGE勢力」が最近になって「天下り禁止」を提示し始めているが信用できない。中川秀直氏などは、小泉政権の中枢にいた人物である。しかし、小泉政権は「天下り禁止」に完全に背を向けていた。「天下り」を徹底的に温存した実績を持つ。

麻生政権も「天下りや渡りの禁止」を打ち出しているが、「あっせん」は禁止するが、天下り機関が独自に官僚OBを受け入れることを容認する。まったく無意味な「天下り・渡り禁止」なのだ。

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地方分権について、渡辺喜美氏らのグループが「道州制」を主張するが、これは行政改革にならず、行政改悪になる。

中央政府に代わって、新たに道州の行政組織を作ると言うのだ。

日本全国を人口40万人の単位地方自治体約300団体に区分し、この単位団体に強い自治権を与えることが望ましい。日本のような狭い国土の国では、単位団体と国の間に中間団体である道や州を設置する必要性は低い。

国が担わねばならぬ仕事を国が担い、それ以外を単位地方公共団体が担うようにすればよい。地方の財政自主権を確保するには、直轄事業の地方負担金制度を廃止しなければならない。

ただし、財源の地域間格差が大きいから、財政調整制度は維持すべきである。

「偽装CHANGE新党」が登場すると有権者は戸惑うと思われる。政治の刷新を求める国民が「偽装CHANGE新党」に投票してしまいがちになる。これが、「偽装CHANGE新党」設立の狙いである。

「偽装CHANGE新党」の基本性格を明確に把握することが不可欠である。既得権益を保持する「悪徳ペンタゴン」勢力は、次期総選挙での最重要課題を「本格政権交代阻止」に置いている。「偽装CHANGE新党」は、この目的に沿って創設されることを認識するべきだ。

_72 「政・官・業・外・電」のうち、「偽装CHANGE新党」が「政・外・電」のトライアングルを担う。この勢力を「売国派」と位置付けることができる。

「政・官・業・外・電」のうち、旧来の自公勢力が「政・官・業」のトライアングルを担う。この勢力を「官僚派」と位置付けることができる。

これに対して、本格政権交代実現を目指す野党勢力は、「政・民・労」のトライアングルを担う。政治が生活国民、地域住民、そして勤労者、労働者と結束するのだ。「国民派」と言い換えれば分かりやすい。

「偽装CHANGE新党」が創設されると、次期総選挙は「官僚派」、「売国派」、「国民派」の三つ巴で闘われることになる。

このうち、「官僚派」と「売国派」は裏でつながり、選挙が終わると合体して、元の「政官業外電=悪徳ペンタゴン」利権政治を復活させる。

したがって、国民本位の政治実現を目指す国民は、「偽装CHANGE新党」に投票してはならない。「偽装CHANGE新党」への投票は、「売国派」への投票を意味し、「悪徳ペンタゴン政治」温存につながる。

「官僚派」、「売国派」、「国民派」の三つ巴の闘いの前哨戦になるのが静岡県知事選挙である。国民本位の政治実現を目指す有権者は、誰がどの派であるかを示すことはしないが、「売国派」にではなく「国民派」に投票しなければならない。

静岡県知事選で「偽装CHANGE新党」創設がどの程度の影響を生み出すかの調査が行なわれる側面を十分に留意しなければならない。

東京都議選では、①新銀行東京、②築地市場移転、③オリンピック利権、の三点が最大の争点になる。石原軍団に惑わされない冷静な投票行動が求められる。この問題については、改めて記述する。

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