テレ朝サンプロ竹中氏偏重と選挙妨害疑惑
政権交代が実現すれば表舞台からの退場を迫られる田原総一朗氏と竹中平蔵氏がテレビ朝日「サンデープロジェクト」にまたしても登場した。
公共の電波が私物化されているのか、外国資本の意向を受けた電通が差配しているのか。偏向番組が持続することにはいささか辟易する。
田原総一朗氏は、6月28日の放送で、「かんぽの宿」問題について、7月5日放送で取り扱うことを明言した。疑惑の中心人物である竹中平蔵氏を出演させるなら、なぜ、「かんぽの宿」問題を徹底討論しないのか。
竹中平蔵氏-田原総一朗氏-高野孟氏-財部誠一氏-大谷昭宏氏のサンプロペンタゴンは、手を携えて日本郵政西川善文社長続投支持の意見陳述を展開し続けてきたが、その主張は破綻している。
①オリックス不動産が売却先に決定された経緯が不透明
②「かんぽの宿」固定資産税評価基準額は857億円、時価は1000億円程度と推定される。109億円での売却は明らかに不正廉売である。
③日本郵政がかんぽの宿の簿価を123億円に引き下げた根拠は、収益還元法に基づく鑑定評価によるが、この鑑定評価に重大な問題がある。
④雇用維持と転売規制が安値売却の根拠とされているが、雇用維持は3200人の従業員のなかの620人の正社員のなかの550人だけについて、1年限り雇用条件を維持するというものだった。転売規制も抜け穴規定が用意されていた。これらは、安値売却の正当な理由になっていない。
⑤オリックスの宮内義彦氏は総合規制改革会議議長として郵政民営化論議に関わり、自著のなかで「かんぽの宿」の大きな価値について記述していた。
詳細には立ち入らないが、「かんぽの宿」不正売却未遂問題の重大犯罪疑惑はまったく払拭されていない。
竹中平蔵氏は国会に参考人としての出頭を再三求められながら、すべて拒絶している。テレビ番組に出演する暇があるなら、テレビ番組で適正な論客を出演させて徹底討論させるべきである。
竹中平蔵氏がその場その場で発言をくるくると変えるのは、いつものことだ。しかし、テレビ番組での発言がくるくる変わる場合、公共の電波を使用する放送局は、少なくとも過去の発言をVTRで視聴者に紹介する程度の責任ある姿勢を示すべきである。しかし、テレビ朝日にその姿勢はまったくない。
竹中平蔵氏は経済の先行き変化を「W字型」と表現したが、竹中氏の発言は、世間の経済観測の「一致指標」と考えればよいと思われる。世間の多数派が先行き楽観の時は、先行き楽観を述べる。2008年3月にサンデープロジェクトに出演した際、米国の金融波乱について、金融と実体経済は別のものだとして、2008年末には米国経済が立ち直るとの見解を示していた。
ここにきて株価が下落に転じると、一転して「W字型」だと述べる。このような「一致指標型」の見通しが語られても得るものは少ない。この番組では、必ず後方から竹中氏援護の発言が示される。この日は竹中氏が関与する東京財団の渡辺恒雄氏が援護発言を示した。
竹中氏の行動様式については、副島隆彦氏との共著『売国者たちの末路 私たちは国家の暴力を闘う』に詳述したので、ぜひご高覧賜りたい。
総選挙を目前に控えて、同書は「総選挙前、有権者必読の書」とのご高評を賜っているので、ぜひ総選挙までにご高覧賜りたい。
サンデープロジェクトでの竹中氏の発言のなかに、見逃せない誤りがあったので指摘しておく。
竹中氏は米国におけるGM処理などに関連して、米国はGMにしても破綻処理を実行し、責任処理を明確にしているが、日本は政府主導で企業救済を実行しており、これでは資本主義ではなく社会主義だと批判したが、竹中氏にこのような批判を行なう資格はない。
「退出すべき企業を退出させる」ことを基本に据えていたはずの小泉竹中政権は2003年のりそな銀行処理において、極めて不透明な「りそな銀行救済」を実行した。竹中氏が重用した木村剛氏が繰延税金資産の計上はゼロないし1年しかあり得ないと主張し続けるなかで、りそな銀行には繰延税金資産計上が3年認められ、りそな銀行には法律の抜け穴規定が適用され、公的資金での救済が実行された。
経営陣が小泉政権近親者に入れ替えられただけで、りそな銀行株主は責任を問われるどころか、巨大な利益が供与された。究極の「モラルハザード」を生み出した銀行救済を実行した竹中氏に、麻生政権の企業救済政策を批判する資格はない。
麻生政権は、公的金融機関を活用して、日本航空、エルピーダメモリー、パイオニア、オリックスなどの救済を実行している。これらの政策が自由主義経済の根本ルールから外れていることは間違いない。田原氏は竹中氏がオリックスに対する政府の救済策をどう評価するのかを聞く必要があった。
番組後半では静岡空港問題と関連させて、静岡県知事選の分析が示された。
番組の主張は以下のようなものだ。
静岡空港建設は静岡県のオール与党体質のなかで決定された。民主党の支持母体である連合静岡が空港建設賛成に回った影響が大きかったとする。
静岡県知事選に出馬した海野徹氏は静岡空港建設に反対したため、連合静岡の支援を得られず、参院選再選を果たせなかったとする。知事選に再度立候補し、県議会のオール与党体制に抵抗したが、敗北した。
このようなストーリーが述べられ、空港建設に賛成した連合静岡が批判の対象とされた。同時に、県議会のオール与党体制が批判の対象とされ、民主党も議会では与党として空港建設に賛成したことが暗に批判されていた。
この放送は、東京都議会議員選挙当日の特集としては、重大な問題をはらんでいる。東京都議選では共産党が民主党などに対して、石原都政の政策に民主党が賛成してきた経緯を批判し、共産党への投票を呼び掛けている。
共産党の主張は共産党の主張として尊重されるべきであるが、民主党や社民党は、「政権交代へのうねりを都議会選挙でも明示しよう」と、政権交代推進政党への投票を呼び掛けている。
東京都議選当日に、静岡空港問題を放送し、県議会の「オール与党体制」を批判することは、東京都議選での民主党や社民党への投票に対する「選挙妨害」の疑いが濃厚である。
自公政権は政権交代を阻止するために、民主、社民、国民新党への投票集中を阻止しようと血眼になっている。この意味で、この日の特集は重大な問題を孕(はら)んでいる。
有権者の多くは「政権交代」を望んでおり、大連立やオール与党を望んでいない。この考えを持つ有権者は、本日の投票に必ず足を運び、政権交代推進勢力に投票する必要がある。
投票率を高め、民意を正確に反映する議会の議員構成を生み出すことが、民主主義を正当に機能させる方策である。今日の都議会議員選挙の投票率をできるだけ高めなければならない。
「サンデープロジェクト」は冤罪問題なども取り上げるが、すべての問題を公平に扱っているとは考えられない。政権交代を実現させ、「サンデープロジェクト」のような偏向番組が消滅する状況をできるだけ早期に生み出す必要がある。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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