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2009年7月21日 (火)

衆議院解散と油断できない政権交代情勢

本日、午後1時に開かれる衆議院本会議で衆議院が解散される。

「追い込まれ解散」と命名するのが最も妥当だろう。

麻生首相は昨年10月に臨時国会冒頭での解散を宣言して以来、9ヵ月も解散・総選挙から逃げ続けてきた。

「前向き解散」を決断する最後のチャンスが都議選直後だったが、都議会過半数を与党が維持することが前提だった。都議選では自民が惨敗し、与党が過半数を割り込んだ。最後の「前向き解散」のチャンスが消えた。

このまま解散を先送りすると、麻生首相が退陣に追い込まれることは明白だった。そこで麻生首相は、「うしろ向き解散」に舵を切り替えた。土砂降りのなかで、自らの退陣を回避するための解散である。

自民党内では、落選の危機に直面している議員が「麻生おろし」に向かったが、党内多数の賛同を得られず、麻生おろしは失敗に終わった。

自民党は7月21日午前11時30分に両院議員懇談会を開催し、午後1時に開会される衆議院本会議で衆議院が解散される。その後の閣議で、8月18日公示、8月30日解散の日程が決定される。

麻生首相は「景気回復」を看板に掲げることになる。8月18日の公示は、8月17日の2009年4-6月期GDP統計発表を利用する日程設定である。2009年4-6月期は、それまでの景気急落の反動で高めのプラス成長の数値が発表される可能性が高い。

年率7-8%の高い経済成長率が発表される可能性もある。高めの経済成長率が発表されたからといって、日本経済が順調に浮上している訳ではない。激しく落ち込んだ生産水準が底打ちしただけである。

しかし、政府は選挙用にGDP統計を最大限利用することになるだろう。17日の統計発表日は、総選挙日程から逆算して設定された可能性が高い。

「カナダde日本語」様「晴天とら日和」様が指摘されているように、民主党は大型地方選連勝に浮かれてはならない。

「柔」の「勝つと思うな 思えば負けよ」の言葉をかみしめなければならない。都議選投票結果をより詳細に分析すると、決して油断が許されないことが分かる。

過去の総選挙結果と都議選を比較してみる。以下の数値をしっかりと見つめ直す必要がある。

総選挙の得票率と獲得議席

1996年10月20日総選挙

小選挙区 比例区  議席

自民  39% 33% 239

新進  28% 28% 156

民主  11% 16%  52

2000年6月25日総選挙

小選挙区 比例区  議席

自民  41% 28% 233

公明   2% 13%  31

民主  28% 25% 127

2003年11月9日総選挙

小選挙区 比例区  議席

自民  44% 35% 237

公明   2% 15%  34

民主  37% 37% 177

2005年9月11日総選挙

小選挙区 比例区  議席

自民  48% 38% 296

公明   1% 13%  31

民主  36% 31% 113

に対して、本年7月12日の都議選では、

得票率  議席

自民  26%  38

公明  13%  23

民主  41%  54

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ここで、注目しなければならないことは、自民党と公明党が強力な選挙協力を実施してきたことである。具体的には、

「小選挙区は自民党、比例は公明党」

の選挙協力が実行されてきた。公明党が候補者を立てない選挙区では、公明票が自民党候補者に振り向けられた。

したがって、小選挙区での得票率を考察する際には、比例区での自民党と公明党の投票率を合計して分析する必要がある。

2000年以後の総選挙における比例区得票率と獲得議席数を、自民+公明と民主で比較すると以下の通りになる。

2000年6月25日総選挙

得票率  議席

自民+公明 41% 264

民主    25% 127

2003年11月9日総選挙

得票率  議席

自民+公明 50% 271

民主    37% 177

2005年9月11日総選挙

得票率  議席

自民+公明 52% 327

民主    31% 113

これに対して、本年7月12日の都議選では、

得票率  議席

自民+公明 39%  61

民主    41%  54

であった。

小選挙区制度下での選挙では、最高得票を得た1名だけが議席を獲得する。比例区が180あり、すべての候補者が同一順位で重複立候補すると、150程度の選挙区では、第2位の候補者が復活当選する。

この意味で、民主党候補者は選挙区において、自民+公明の合計得票と対決しなければならないのである。

都議会選では、民主党に極めて強い順風が吹いたが、それでも、自民+公明票と民主の得票率は39%対41%で、接戦であった。

地方においては、情勢はなお厳しい。自民党、公明党は、40日間、徹底して民主党のあらさがしに注力すると考えられる。

民主党はすでにマニフェストの概要を発表しているが、子育て支援を実施する場合に、子供のない家計で、税負担が増加することなど、自民党は、民主党の政策のあらさがしを行ない、その部分を攻撃してくると予想される。

民主党は、そのようなあらさがしに対して、柔軟に対応することが求められる。問題が明らかになれば修正すれば良いのである。頑(かたく)なに微修正を拒絶することは得策でない。問題が明らかになれば柔軟に修正する姿勢が重要だ。

さらに重要なことは、小選挙区での野党勝利を導くために、野党共闘を強化することだ。社民党、国民新党、新党日本、新党大地の共闘政党だけでなく、共産党とも部分的にでも共闘体制を構築することが極めて重要である。小選挙区で野党共闘を構築できれば、自民+公明合算票を確実に上回ることができる。

野党候補の闘いの相手は自公連合体である。野党が結束して対応しなければ勝利を引き寄せることはできない。大型地方選勝利に浮かれている余裕はまったくない。

自公合体政権は、8月17日のGDP統計を政治利用するだろう。14兆円もの規模の補正予算を決定したのだから、景気が底を打たない訳がない。問題は、14兆円もの資金を投入しながら、その大半を大資本と官僚のお手盛りに充当したことだ。

その姿勢は、生活保護母子加算200億円の予算を切り込んで、マンガ博物館に117億円を投入したことに象徴されている。貴重な財源を投入するなら、国民生活に直結する分野に資金を投入するべきである。一時的に改善するGDP統計をプラスに評価することなどできない。

自民党内小泉一家や小泉チルドレンなどが、官僚OB新党などと連携することも予想されるが、これらの「偽装CHANGE勢力」に惑わされてはならない。

野党連合が強固な共闘体制を構築して、本格的政権交代を実現しなければならない。過去の総選挙結果を改めて精査し、野党連合はもう一段、気を引き締めて進まねばならない。

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