江戸幕府末期症状の自民党と古賀氏辞意の背景
自民党の内紛が拡大している。江戸末期の様相を示している。自民党に活路があるとすれば、下野を覚悟して挙党一致で総選挙を戦うことである。しかし、無血開城を誘導した勝海舟がいない。
昨年9月に自民党はお祭り騒ぎの総裁選を実施して総選挙の顔を決めた。7割もの国会議員が麻生太郎氏を支持した。開かれた総裁選を実施して、新総裁を選出した以上は新総裁を挙党一致で支えると説明していた。
しかも、自民党は2005年9月の総選挙以降、1年ごとに総裁の首をすげ替えてきた。新たに就任した安倍首相、福田首相が就任1年足らずで、相次いで政権を放り出してきたからだ。
麻生太郎首相は、小泉元首相以降、4人目の首相である。麻生太郎首相の実績を見れば、麻生太郎氏は首相の職責を担うには明らかに力不足だった。その力不足がさまざまな局面で露見し、順当に支持率を低下させてきたのだと考えられる。
総選挙を目前にして、総選挙前哨戦である大型地方選挙5連戦が実施された。民主党を中心とする政権交代推進勢力は破竹の5連勝を果たした。
民主党は3月3日に小沢一郎民主党代表秘書逮捕という、政治謀略によって激しい攻撃を受けた。この影響で内閣支持率などに大きな変化が生じたが、5月11日に小沢一郎民主党代表が政権交代実現を最優先するために代表職を辞する英断を示した。本ブログで予測したように、この英断を境に逆風は順風に変わった。
東京都議選では自民党と民主党の得票率が25.88%対40.79%になった。
1996年10月20日総選挙、2005年9月11日の総選挙結果を見ると、以下の通りだ。
自民 得票率32.76% 議席239
新進 得票率28.04% 議席156
自民 得票率38.18% 議席296
民主 得票率31.02% 議席113
(得票率はいずれも比例区のもの)
自民党が地すべり勝利を収めた2005年9月の総選挙でも、比例区の得票率は
自民38%VS民主31%
だった。それが、今回の都議選では、
自民25%VS民主40%
を記録した。選挙方式が異なるので単純比較はできないが、都議選は議席数以上の民主圧勝であったことが明白である。
このままの情勢で進めば、次期総選挙で、本格的な政権交代が実現する可能性は極めて高い。
7月6日付記事
に記述したが、「偽装CHANGE新党」などの第三勢力が登場しても、民主の得票が自民を上回っていれば、民主が多数議席を確保することが可能になる。
「偽装CHANGE新党」が自民別働隊であることが認知され、「偽装CHANGE新党」への投票が、民主党からではなく、自民票から流れれば、民主党と自民党の獲得議席数はさらに拡大し、民主党に有利な状況が生み出される。
自民党内では麻生首相が解散、総選挙の日程を示したにもかかわらず、内紛状態が続いている。これまで55年にわたって維持してきた政治権力を喪失する現実に直面して、その現実を受け入れられない人々が、右往左往している。
この期に及んで、麻生首相に斬りかかるのは、いささか見苦しい。伊吹文明氏などは、「麻生首相の下で総選挙を戦うのが当然である」との正論を述べているが、権力に執着しようとする人々の見苦しい姿がテレビ画面に映し出されている。
中川秀直氏、武部勤氏、塩崎恭久氏、世耕弘成氏、山本拓氏、清水鴻一郎氏などが、麻生おろしを懸命に仕掛けているが、解散日程がすでに示されているなかで、麻生おろしのエネルギーは急激に後退しているように見える。
小泉純一郎氏-中川秀直氏-武部勤氏らの小泉一家、小泉チルドレン、官僚OB、自民党別働隊知事グループ、民主党内市場原理主義者が、「偽装CHANGE新党」を設立する可能性を示しているが、自民党から「市場原理主義者」が分離独立すれば、政党の性格が分かりやすくなり、望ましい。また、民主党から市場原理主義者が離党して、「偽装CHANGE新党」に合流すれば、民主党の性格も明瞭になる。
次期総選挙では、「悪徳ペンタゴン」が支配する利権政治を維持するのか、それとも「国民の幸福を追求する新政権」を樹立するのかが問われることになる。
①大資本のための政治
②官僚のための政治
③外国勢力のための政治
を排除して、
「国民のための政治」
を確立することが政権交代の目的である。
この目的を確実に実現するために、
が、極めて重要になる。
また、麻生首相は2011年度にも消費税大増税を実施する方針を示しているが、官僚利権などの巨大な無駄を温存したまま、その負担を一般庶民に押し付ける消費税大増税を許すことはできない。鳩山由紀夫民主党代表は、消費税増税を4年間は完全封印することを明確に公約として掲げている。
も、重要な政権公約になる。
また、小泉竹中政治の「市場原理主義」、「弱肉強食」政策を排除し、「共生」の思想を政治哲学の中心に据えることが求められる。この意味で、
の五つが、具体的な政権公約になる。
自民党の古賀誠選挙対策委員長が辞意を表明したが、直接の引き金を引いたのは、石原伸晃氏の発言であると思う。
石原伸晃氏は、自民党東京都連会長で都議選の最高責任者である。7月12日の開票速報のなかで、自民党惨敗の理由を聞かれて、東国原宮崎県知事に衆院選出馬を求めたことに伴うゴタゴタが惨敗の理由だと説明した。都議選の最高責任者が古賀誠氏に責任を転嫁した。
また、石原慎太郎都知事は、麻生首相が示した衆院解散・総選挙方針について、次のように述べた。
「とち狂ってるんじゃないか。」
「世の中、軽蔑(けいべつ)ほど怖いものはない。漢字が読めないとか、(言動が)ジグザグすることは決定的なこと。」
「古賀君も芸人にたぶらかされて、自民党が手玉に取られて大恥かいた。あの騒動もだいぶマイナスになった。」
「この親にしてこの子あり」の感が強い。
古賀誠氏は、石原伸晃氏の発言を受けて、「渡りに船」の気持ちで、選対委員長を辞することにしたのだと思われる。
東国原知事出馬問題を評価する有権者は少ないと思うが、石原伸晃氏が都議選応援演説で、鳩山由紀夫民主党代表攻撃を激しく展開していたことを評価する有権者も少ないはずだ。
東京都自民党は都議選に対してマニフェストも示さなかった。しっかりとした政策論議も示さず、他党のあらさがしだけに走った石原伸晃氏の姿勢も、自民党大敗の大きな要因だったのではないか。
また、都議選での与党大敗は、石原都政に対する東京都民の評価でもある。①巨額累積損失を抱える新銀行東京の延命、②築地市場の豊洲への不自然な移転計画、③本当は都民も支持していないオリンピックの東京招致、などの石原都政に対して、東京都民が「NO」を突き付けたのだ。
それを、他人ごとのように論じ、古賀氏に責任転嫁する息子を叱責しないばかりか、息子と一緒になって古賀氏に責任転嫁する親バカ知事としか言いようがない。
政治権力の走狗であるマスメディアが懸命に政権与党寄りの報道を展開するなかで、主権者である国民の反乱、無血革命が確実に進行している。ネットから真実の情報が発信されていることの影響は、決して小さなものではなくなりつつあると感じる。
①投票率を最大限高めること
②政権交代推進勢力に投票を集中すること
③「偽装CHANGE新党」が結成されても、決して「偽装CHANGE新党」には投票しないこと
を、しっかり浸透させてゆかねばならない。
政治の主役は政党ではない。主権者である有権者である。政権交代実現後も、主権者である国民が監視の目を光らせて、「国民を幸福にする政治」を実現してゆかねばならない。
利権で結合されてきた自民党は、利権喪失を目前に、自己崩壊を始めつつある。ネットから真実の情報を流し続け、日本政治の刷新を必ず実現しなければならない。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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