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2009年7月 4日 (土)

コンビニの食品廃棄率をゼロにするための方策

 弁当などを販売期限前に値下げして売る「見切り販売」を不当に制限していたとして、コンビニエンスストアチェーン最大手、セブン-イレブン・ジャパンが6月22日、公正取引委員会から独占禁止法に基づく排除措置命令を受けた。

 これを受けてセブン-イレブンは6月23日、食品廃棄で加盟店に生じる損失(仕入れ原価)の15%を負担することを決めた。しかし、見切り販売に対しては、「過当競争をもたらし、結果として加盟店の利益を奪う」として反対の姿勢を変えていない。

これに対して一部加盟店オーナーは「場当たり的な施策でコメントをするに値しない」として、見切り販売の継続を貫くとした。

公正取引委員会は価格の決定権は加盟店側にあると指摘し、セブン‐イレブン・ジャパンが加盟店に対して、優越的な立場を利用して見切り販売をしないよう圧力をかけることは許さないとの見解を示した。

テレビメディアはセブン‐イレブン・ジャパンを傘下に持つセブン&アイ社が大手スポンサーであることから、奥歯にもののはさまったような論評しか示していない。

セブン‐イレブン・ジャパンは販売データをコンピュータ管理し、欠品率、廃棄率が最小になるように商品供給量を調節しており、定価販売を基礎に据え、廃棄率の縮小は商品供給量の調節によって達成しようとしていると考えられる。

技術的な分析については、日経Biz Plusのコラムに詳しいので、こちらを参照いただきたい。

ここでは、消費者の立場から、この問題についての一考察を示しておきたい。

問題になっている対象は弁当やパン、チルド棚に並ぶデザートや飲料などの「日配食品」、いわゆる「デイリー品」である。

弁当やサンドウィッチなどの食品は「生鮮食料品」である。商品価値は時間の経過とともに低下する。入荷したての商品と廃棄目前の商品は同価格で販売されているが、商品価値には明確な差がある。

消費者が合理的に行動すると、陳列されている商品のなかから「より新しい商品」を選別して購入することになる。消費者のこの合理的な行動を禁止することはできない。

消費者がきめ細かい対応を取ると、陳列棚では後から入荷した商品が先に販売され、先に入荷した商品が売れ残る現象が生じやすい。

したがって、コンビニエンスストアの供給本部は、各店舗での販売数値を睨(にら)み、欠品になる寸前のタイミングで商品供給を行なう工夫を行なっている。それでも、欠品を回避するためには、必要商品をやや過大に供給することが求められることになり、その結果として、必ず廃棄食品が生まれてしまうのだ。

これらのコンビニエンスストアでは、商品販売をすべてコンピュータで管理している。したがって、生鮮食品について、特別な価格決定方式を採用することが可能になる。

商品が店舗に到着してから販売終了期限までの時間を100としよう。店舗の商品棚に陳列されてから50の時間が経過した時点から商品の価格引き下げをデータにインプットすることを検討すべきだと考えられる。

店舗に陳列されてから、時間が50までの期間は定価販売、それ以後、時間に比例して価格が低下し、販売終了時間には価格が、例えば70まで低下することをあらかじめ決めて、消費者にも情報を公開する。

消費者は陳列棚の商品のなかで、販売終了期限に近付いた商品を選択すれば自動的に割引を受けることができる。割引は必要ないから新しい商品を定価で購入したい消費者は入荷したての商品を選択すればよい。

値引き開始のタイミングと、最終販売価格水準を操作することにより、廃棄率をゼロに近づけることが可能になるはずである。

正確な価格を値札に表示できないとの問題があるが、価格割引ルールを明確に告知しておけば問題はないと考えられる。

この問題を考えるにあたり、見落とせない最重要のポイントは、生鮮食料品の場合、入荷したての商品と販売終了期限間近の商品とでは、消費者にとっての商品価値が異なることである。

これまでの方式では、消費者は価値の下がった販売終了期限間近の商品を入荷したての商品と同じ価格で買わされていることになるのだ。

商品に貼り付けられるバーコードにデータを入力すれば、時間経過に伴う商品割引を瞬時に表示することが可能になる。割引はレジ瞬時に受けることができる。

生鮮食料品の廃棄率を低下させることは、さまざまな側面から望ましいことで、この要請を合理的に解決するには、生鮮食料品の販売価格を時間の経過にしたがって低下させるシステムを導入することが、最も合理的な解決方法になると考えられる。

コンビニ各社における検討を強く求めたい。

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