依然として不安定な内外経済金融情勢
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本レポートでは、5月26日号より、内外株価反発後の調整局面への移行の可能性を警告してきた。内外株式市場は6月11日頃を境に調整局面に移行している。
また、本レポートでは、日経平均株価の推移が円・ユーロレートの変動に連動しており、円・ユーロレートの変動が日経平均株価の変動にやや先行していることを指摘し続けてきた。
サブプライム金融危機に対して、米国政策当局は迅速な対応を示した。日本の政策失敗の事例を反面教師として活用する対応が示されたと言えるだろう。
1990年代以降、日本のバブル崩壊は14年も持続した。政策対応を誤ったことが問題長期化の主因だった。日本政府は大きな失敗を3回繰り返した。
1回目は1992年。不良債権問題処理を先送りした。2回目は1997年。財政再建を急いで金融問題が深刻ななかで大増税を実行した。3回目は2000年から2003年。2回目と同じく、金融問題が深刻ななかで緊縮財政を強行した。小泉竹中政治は橋本元首相の警告を無視して同じ失敗を繰り返した。
バブルが崩壊し、金融危機が表面化するとき、取られなければならない対応策は、①金融緩和政策、②財政政策、③資本増強策、の三つの政策を組み合わせることである。
日本でこの対応を示したのは、1998年から2000年の小渕政権だった。小渕政権は三つの政策を組み合わせた施策を大胆に実行し、日本を金融危機から救出した。今回、米国政府が示した対応は、小渕政権の政策対応を範とするものであった。
オバマ政権は、政権発足直後に7800億ドルの財政政策を発動した。FRBはゼロ金利政策の採用に踏み切った。さらに、米国政策当局は巨額の公的資金を金融機関に注入した。この三つの政策を総動員した結果、米国金融市場の波乱がとりあえず沈静化された。
しかし、米国政府は、自由主義経済、資本主義経済の根源ルールを乗り越えてしまった。自由主義経済の根源ルールは「失敗の責任を自己で負う」ことにある。唯一、このルールが適用されたのはリーマン・ブラザーズである。しかし、昨年9月15日にリーマン・ブラザーズを破綻させた結果、際限のない金融破綻の連鎖が差し迫った。
米国政策選挙当局は、自由主義経済の根源ルールを踏み越えなければならないところにまで追い込まれ、自由主義経済の根源ルールを放棄した。
詳細は『売国者たちの末路』(祥伝社)をご高覧賜りたいが、デリバティブ金融の暴走の果ての爆発の前に、米国政策当局は「自己責任原則」を放棄せざるを得なくなった。「市場原理主義」が必然的にその破綻の終末を迎えたのである。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
ベア・スターンズ、AIG、ファニー・メイ、フレディ・マック、シティ、などの巨大金融機関が公的資金によって救済された。米国の自由主義経済は死を迎えた。
財政金融政策と巨額の資本注入で、米国金融市場は小康状態を回復した。株価は3月から6月にかけて3割から4割の反発を示した。
しかし、確実にその代償が広がり始めている。米国連邦政府の財政赤字は2009会計年度に180兆円に激増する。そして、この高水準の財政赤字が数年間持続することは間違いない。
米国は経常収支が赤字の国である。経済が円滑に回ってゆくために、海外からの資金供給が不可欠な国である。財政赤字を国内の資金で賄うことができない。
細かな説明を省くが、中期的な米ドル下落は不可避である。海外の投資家は下落する米ドル資産への投資に慎重な姿勢を一段と強めるだろう。
4月のロンドンG20では、500兆円の財政政策発動が決定されたが、欧州諸国は財政政策発動に慎重な姿勢を崩さなかった。欧州だけが財政政策発動を控えれば、ユーロは少なくとも日本円に対しては下落しやすくなる。
1929年に始まる世界大恐慌の局面では、各国が通貨切り下げと保護貿易に走り、世界経済の大停滞を招いた。その兆候が欧州の政策対応に示され始めている。
デリバティブ金融の想定元本は600兆ドル=6京円規模に拡大した。その潜在的な破壊力を軽視することができない。株価下落と経済悪化が再び強まる場合には、この地雷が次々に暴発するリスクが存在する。
グラフに示されるように、NYダウは中期下落トレンドからまだ完全に抜け出したとは言えない状況にある。日本の株価は円・ユーロレートとの強い連動関係を有しているが、円・ユーロレートが徐々に円高傾向を強めていることにも警戒が求められる。
デリバティブ金融の巨大マグマが水面下で蠢(うごめ)いている現実を軽視するべきではない。内外経済金融情勢に対する警戒感を当面解くことはできない。
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売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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