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2009年7月14日 (火)

8月30日総選挙に勝利し「無血革命」を実現しよう

麻生首相がようやく解散・総選挙を決断した。7月21日に衆議院を解散し、8月30日に投票を行なう方針を示した。

一方、野党は7月13日、衆議院に内閣不信任決議案を、参議院に麻生首相の問責決議案を提出した。野党は今後一切の審議に応じない姿勢を固め、国会は事実上の会期末を迎える。

自民党内部には、麻生首相を降板させ、首相を選挙用の新しい顔にすげ替えようとする勢力が存在するが、日程的に困難であり、麻生首相体制で総選挙になだれ込む可能性が高まっている。

麻生首相は昨年10月10日に発売された月刊誌に、「臨時国会冒頭での解散・総選挙を決断した。私は逃げない。」と明言した。しかし、その後、解散総選挙を逃げ続けてきた。

江戸川柳に

「本降りに なって出てゆく 雨宿り」

とある。麻生内閣の支持率は、紆余曲折はあったが、就任直後から、基本的に右肩下がりで推移してきた。解散のベストなタイミングは結局、政権発足直後だった。

6月には、日本郵政西川善文社長の更迭問題が焦点になった。西川社長の更迭を求める鳩山邦夫総務相の主張に理があった。「かんぽの宿」疑惑はまったく解消されずに残存しているが、この問題は小泉竹中改革政策の実態を示す「縮図」であった。

西川社長を更迭し、直後に衆議院を解散し、8月2日の総選挙に臨むことが最後の決断のタイミングだった。

昨年10月以来、麻生首相は優柔不断に決断を先送りし続けてきた。4月以降、名古屋市長選さいたま市長選千葉市長選静岡県知事選東京都議選と大型地方選5連戦があった。

この5連戦で全敗し、とりわけ東京都議選では惨敗し、このまま決断を先送りすれば、麻生おろしの突風のなかで、首相退陣に追い込まれざるを得なくなった。ぎりぎりの状況に追い込まれ、「究極の選択」としての解散、総選挙を選ばざるを得なくなった。

麻生首相は東京都議選の各候補者の応援に全力を注いだ。その結果として自民党が惨敗(ざんぱい)したのだから、通常の感覚であれば、責任を痛感するところだろう。それにもかかわらず、責任をまったく感じないと言うのは、大したものかも知れない。

麻生首相が都議選の応援で、「惜敗を期する」と発言したことが話題になったが、結果的に見ると、言い間違いではなかったとの見方も可能である。麻生首相は「惨敗すること必至」と情勢を読み抜いて、「惨敗(ざんぱい)」ではなく「惜敗(せきはい)」を目標に掲げたのかも知れない。

そうだとすれば、現実を最も正確に読んでいたとも言える。

首相の職責が麻生首相の器を超えていることが、すべての問題の根源にあるのだと思われる。麻生自民党は、東京都議選でも民主党の鳩山由紀夫代表の政治資金問題を攻撃することに終始した。

御用マスコミ人筆頭と言える田原総一朗氏は、7月12日、都議選投票日のテレビ朝日放送「サンデープロジェクト」で、鳩山由紀夫民主党代表攻撃に全力を注いだ。選挙妨害の意図が明瞭に読み取れる行動だった。

しかし、政治資金の問題で言えば、自民党の与謝野馨氏、二階俊博氏、森喜朗氏、尾身幸次氏などの問題の方が、はるかに重大である。自民党の重大な問題には蓋をしておいて、鳩山由紀夫氏の問題だけをあげつらう自民党やマスメディアの姿勢を、国民は冷ややかな視線で見つめていたと思われる。

自民党東京都連会長の石原伸晃氏は、都議選の街頭演説でも鳩山由紀夫氏攻撃を続けていた。惨敗結果が明らかになると、東国原宮崎県知事に古賀誠自民党選対委員長が出馬を要請した件でのごたごたが敗戦の原因であるとの見解を表明した。責任を他人に転嫁するような人物が都議選を指揮していたことも明らかになった。

自民党議員の多数が麻生おろしの発言を繰り返している。しかし、自民党は昨年9月の自民党総裁選で、7割の国会議員の支持で麻生首相を選出したのではなかったのか。しかも、この総裁選は通常の総裁選ではなかった。

安倍晋三元首相、福田康夫元首相が二代続いて、任期1年足らずで総理大臣職を放り出して、総理大臣職が空白になったために実行された総裁選である。そのたびに自民党はお祭り騒ぎの総裁選を繰り返してきた。

「自民党は開かれた党だから、複数の候補が立候補して正々堂々と党内論戦を実行し、民主的に総裁を選出する。選挙で総裁を選出した以上は、挙党一致で総裁を支えて、総選挙に臨む」と大見栄を切ってきたのではないのか。

その人々が、内閣支持率が下がり、政権喪失の危機を感じ、また自らの選挙に自信が持てなくなると、舌の根も乾かぬうちに、公然と麻生批判を始め、麻生おろしに奔走(ほんそう)している。中川秀直氏、武部勤氏、世耕弘成氏、塩崎恭久氏、山本拓氏、清水鴻一郎氏などの行動を、国民は冷ややかに見ている。

紆余曲折はあっても、結局、自民党は麻生首相の下で総選挙を戦うことになるだろう。いよいよ、決戦の総選挙が実施されることになる。

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決戦の総選挙が行なわれ、選挙後に新政権が発足する最も重要な時期に、発言を封じられることに、激しい憤怒の念を拭えないが、政権交代を希求する多くの国民が賢明な選択を示してくれることを私は確信している。

7月9日付記事

「都議選の投票率を高め政治革命を成就させよう」

に記述したように、日本政治の歴史を振り返るとき、次期総選挙を通じて達成されるかも知れない政権交代は、日本の歴史上初めて実現する「民衆の力による革命」の意味を持つ。

徳川時代が終焉し、明治が始まったのは1868年である。爾来(じらい)、140年、日本は官僚が支配する国であった。第二次大戦後に民主化改革が実行されたが、統治者としての官僚機構が温存された。

1955年体制は、官僚と結託する自民党が政治を支配しつつ、見かけだけ、決して強大化しない野党勢力が与党に抵抗する演出が施された仕組みだった。政治権力の中心には自民党が居座り、事実上の一党独裁政治が50年以上も維持されてきた。

当初から存在した「政官業のトライアングル」に加えて、小泉政権以降、この利権複合体に、新たに「外国資本」と「御用メディア」が加わり、「政官業外電=悪徳ペンタゴン」の政治利権構造が構築されて現在に至っている。

次期総選挙を通じて実現する政権交代は、これまでの政治利権構造を破壊して、日本の歴史上、初めて一般国民を主役とする政府を樹立しようとする、「政治革命」である。

民主党を中心とする野党による新政権が樹立されても、本当の仕事はそれから始まる。

大資本のための政治

官僚のための政治

外国勢力のための政治

を排除し、

 国民のための政治

を確立することが政権交代の目的なのである。

 国民の幸福を実現する政治とは、経済運営における「市場原理主義」を排除することでもある。「弱肉強食」ではない「共生」を政治哲学の中心に据えなければならない。

民主党内の①市場原理主義者、②大資本偏向者、③軍事拡張主義者を排除してゆかねばならない。

新政権を樹立する際に、もうひとつ重要な緊急課題が存在する。メディアの民主化である。日本のマスメディアは腐り切ってしまった。ごく一部を除いて大半のマスメディアが権力の走狗(そうく)になり下がってしまった。

テレビに頻繁に登場する人々の9割以上が、「走狗」に塗り固められてしまった。第二次大戦後、GHQによる「公職追放」が実施されたが、新政権樹立後、マスメディア人材の「パージ」を実行する必要がある。偏向報道を主導した関係者の責任を明確にしなければならない。

「かんぽの宿」疑惑もその全容を解明しなければならない。また、警察、検察、司法の近代化、民主化も最重要課題のひとつである。

8月30日の総選挙投票日まで1カ月半の時間が存在する。悪徳ペンタゴンは、あらゆる死力を尽くしてくることになるだろう。野党勢力はここから気を引き締めて進まねばならない。とりわけ、権力走狗のマスメディアによる情報操作に警戒が必要だ。

テレビに登場する走狗たちも、自らの生活がかかるから必死になるだろう。野党勢力は総選挙後の適正な責任追及の方針を示し、走狗たちが早期の投降に向かうことを勧誘するべきだろう。

総選挙に向けて最重要の戦術は

①投票率を最大限高めること

②政権交代推進勢力に投票を集中すること

「偽装CHANGE新党」が結成されても、決して「偽装CHANGE新党」には投票しないこと

である。

「偽装CHANGE新党」は野党勢力の二番煎じの政策を掲げる。同じ政策を掲げるのなら、野党勢力と連携すれば良い。野党勢力と連携しない新勢力は「自民党別働隊」である。野党への投票を減少させ、自民党を側面支援することが目的になる。

「悪徳ペンタゴン」は権力死守の最後のよりどころとして、「偽装CHANGE新党」を活用しようとするだろう。権力走狗のマスメディアが「偽装CHANGE新党」を徹底的に宣伝することも考えられる。この「偽装CHANGE」勢力の「真実」をすべての有権者に伝えなければならない。

「自民党内小泉一家」、「小泉チルドレン」、「官僚OBグループ」、「自民別働隊知事グループ」、「民主党内市場原理主義者」、が連携する可能性が高い。

「民主党内市場原理主義者」は総選挙後に「偽装CHANGE新党」を新政権に引き込もうとする可能性がある。この動きは「大連立」に結びつく。

「大資本・官僚・外国資本のための政府」を「国民のための政府」に刷新する上で、大連立の方向は「百害あって一利なし」である。この意味で、総選挙後の新政府樹立の枠組みが極めて重要になる。

いずれにせよ、「偽装CHANGE新党」には投票しないことが重要である。7月21日以降の「決戦の40日」に必ず勝利を収めねばならない。

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