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2009年6月19日 (金)

西松事件初公判と政権交代実現への課題

6月17日の党首討論でも鳩山由紀夫民主党代表は圧勝した。次期総選挙に向けて、政権交代実現の機運は盛り上がりつつあるが、政権交代を阻止しようとする「政官業外電の悪徳ペンタゴン」の執念はすさまじく、総選挙投票日まで、悪徳ペンタゴンは手段を選ばずに攻撃を仕掛けてくると考えられる。

また、政権交代を目指す野党勢力も気の緩みに警戒しなければならない。政治には権力をめぐる闘争の側面がある。闘いに勝ち抜くには、一瞬の気の緩みにも警戒を怠れない。政権を奪取するには、野党勢力が盤石の共闘体制を構築することが不可欠である。

総選挙に向けて、三つの警戒が求められる。このハードルを越えなければ、政権交代の大願成就は見えてこない。麻生太郎首相は6月末から7月初解散、8月2日総選挙日程を描いていると考えられる。このタイミングを逃せば、麻生おろしに直面する可能性が極めて高い。麻生首相が自ら進んで身を引くとは考えにくい。

三つの警戒要因とは、

 
①警察・検察権力の政治利用

偽装CHANGE勢力などを用いた野党票分断工作

③野党共闘のほころび

である。

①警察・検察権力の政治利用では、西松建設事件公判と郵便割引制度不正利用事件に警戒が求められる。さらに鳩山由紀夫代表の政治資金についても、政治的な追及が行なわれる可能性がある。

西松建設事件では本日6月19日に初公判が開かれる。この公判日程の設定そのものが、事件の政治利用を象徴している。今回の公判は1日で結審する。西松建設の国沢前社長が起訴事実を全面的に認めているためだ。

検察側の主張を被告が全面的に認めているため、メディア各社は公判で示される検察側冒頭陳述の内容などを、事実同様に取り扱って報道するだろう。被告側が認めているのだから、事実と考えて間違いないとの説明を施すだろう。

しかし、この判断には大きな落とし穴がある。被告側が検察側に全面協力して、その見返りとして判決での刑の軽減を期待している場合があるからだ。

刑事事件の判決において決定的に重要なのは、実刑と執行猶予の相違である。小室哲哉氏の詐欺事件でも、メディアは判決に執行猶予が付くかどうかを注目した。被告人への実体的な影響では、執行猶予の有無が決定的に重要になる。

したがって、被告側には、判決における執行猶予を獲得するために、検察側主張を全面的に認めようとする誘因が存在するのである。したがって、本日の公判で示される「事実経過」をそのまま鵜呑みにすることはできない。被告サイドが検察サイドのストーリーに同調している可能性があるからだ。

小沢民主党前代表秘書逮捕事件との関連で言えば、本日の公判には、三つのポイントがある。

①西松建設が小沢氏サイドへの献金を偽装するために二つの政治団体を設立したのかどうか。

②小沢氏サイドのへの献金に関するいわゆる「迂回献金のシステム」を、小沢氏サイドと協議の上で構築したか。

③小沢前代表の公設第一秘書であった大久保隆規氏が、この「迂回献金システム」を認知していたか。

である。

 国沢前社長は、これらの点について、検察側が用意したストーリーを全面的に認める可能性がある。政権交代阻止を使命として与えられているマスメディアは、この説明を利用して一斉に民主党攻撃に向かうかもしれない。

 しかし、冷静な判断が必要である。

第一は、すでに述べたように、国沢氏には検察のストーリーを全面的に認めることについて誘因が存在していることだ。この点を念頭に入れる必要がある。

 第二は上述のストーリーがすでに明らかにされている事実と整合的でないことだ。この点については、Easy Resistance」様6月15日付記事に記述されている。民主党の第三者委員会報告書7ページに記載されているように、西松建設関連の二つの政治団体から小沢氏サイドへの献金は、2002年までは政党支部である「改革国民会議」宛てに行なわれていた。

 小沢氏個人の資金管理団体である「陸山会」への献金は2003年から2006年にかけて行なわれたものであることが明らかにされた。

 政党支部への献金は合法であり、したがって、「新政治問題研究会」「未来産業研究会」という二つの政治団体が、偽装献金を行なうために設立されたとのストーリーは完全に否定されているのである。

 大久保氏に対する起訴事実は、2003年から2006年にかけて二つの政治団体から陸山会に献金された2100万円について、寄付行為者を西松建設と記載しなかったことを「虚偽記載」とされ、追加的に、同期間に二つの政治団体から政党支部に献金された1400万円も「虚偽記載」とされたことである。

 これ以前の献金は、政党支部に行なわれており、政治家個人への献金をそうではないように偽装したとの仮説は成り立たないのだ。

 二つの政治団体を設立して行なわれた献金の仕組み作りに関与したのは、大久保氏ではなく、以前に小沢氏の秘書を務めていた高橋嘉信氏であると指摘する情報が多い。高橋氏はその後自民党に籍を移し、次期総選挙で小沢氏の地元である岩手4区から自民党公認候補として立候補する予定になっている。公判で高橋嘉信氏の関わりが明らかにされるのかどうかも注目される。

 公判では大久保氏が一連の献金システムに関与したとの説明がなされる可能性があるが、この点については、慎重な見極めが求められる。検察サイドが求めているのは、突き詰めればこの一点であり、この点に国沢氏が「協力」することが十分に予想されるからだ。

 より重要な問題は、仮に大久保氏が二つの政治団体が西松建設と関わりを持つことを知っていたとしても、それだけでは政治資金規正法の虚偽記載の罪を問えないことだ。二つの政治団体に何らかの実体があれば、政治資金規正法が「資金拠出者」ではなく、「寄付行為者」を記載することを求めている以上、二つの政治団体名の記載は正当な報告ということになるからだ。

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 第三の問題は、二つの政治団体から自民党議員への献金が立件から除外されたことだ。この点については、第三者委員会 報告書の10~11ページに詳しい記述がある。

 国沢前社長は「他人名義での100万円の寄付」容疑で逮捕されており、この基準にあてはめれば、「時効完成前の同様の寄附の事実として、藤井孝男衆議院議員の資金管理団体に100万円、藤野公孝参議院議員の政党支部に100万円、林幹雄衆議院議員の政党支部への100万円などの自民党議員側への寄附の事実」が不問に付されているのは整合性を持たないのである。

 また、同報告書10ページには、「新政治問題研究会」の名称が用いられたことに関連して、東京都港区に故橋本龍太郎氏が代表を務める同名の資金管理団体が存在することとの関係を取り上げている。報告書は、
「橋本氏の資金管理団体と同一の名称の団体を千代田区内に設立することで、西松建設から自民党議員への寄附の具体的内容を、所在地を区までしか記載しない官報では容易に知り得ない状態にすることにあったのではないかとの推測も成り立ち得る」
と記述する。自民党議員への献金の方がより悪質との評価も成り立ちうる。

 また、全体を貫く大きな問題として、犯罪構成要件としての法令の解釈・罰則適用基準について事前に明確な定めが示されていない問題の重要性を指摘しなければならない。この点は、6月11日付本ブログ記事
「読売社説 民主「西松」報告批判は的外れだ」
に詳述したが、「罪刑法定主義」の根本原則が踏みにじられているのだ。

「何が罪になり、何が罪にならないのか」が明確でなければ、警察、検察が、恣意(しい)的に市民を逮捕したり、起訴できることになってしまう。

 西松建設事件公判報道を冷静に受け止める必要があるが、政治権力が御用メディアを総動員して民主党攻撃を展開することには、十分な警戒が必要だ。

 また、郵便割引制度不正利用事件では、民主党議員がターゲットにされていると伝えられている。総選挙を目前にしたこの時期に、このような検察捜査が集中することは、「国策捜査」疑惑を自ら認めるようなものである。国民は「国策捜査」の現実に目を向けて、このような陽動作戦に惑わされないように気を付けなければならない。

 二番目の大きな問題は、民主党・社民党・国民新党への投票集中を妨げるための工作活動が活発化していることだ。

 静岡県では、元民主党参議院議員が渡辺喜美議員の応援を受けて知事選に立候補する。民主党推薦候補の得票を減らすことが目的であると考えられる。

 本ブログで指摘してきた「偽装CHANGE」勢力創設は、民主党への投票集中を阻止することに最大の狙いがあると考えられる。本心は、自民党が野党に転落することを回避する点にある。

 読売新聞の渡邉恒雄氏が鳩山邦夫氏を支援し、場合によっては新党設立が考えられる状況が生まれているのも、自民党を含む連立政権樹立を目指すことを目的とするものと考えられる。

 民主、社民、国民新党は、野党三党による連立政権樹立を目指すべきである。「政官業外電=悪徳ペンタゴン」による利権政治=これまでの自公政権を打破するには、本格的な政権交代を実現することが不可欠である。

 自民党を含む連立樹立に向けての工作活動を十分に警戒しなければならない。静岡知事選では本格政権交代を目指す有権者の投票を川勝平太氏に集中させなければならない。民主党と関わりの深い候補者が二名出馬することで、自民系候補が圧倒的に有利な状況が生まれている。この意味で、単純な与野党決戦にはならないが、勝利することの意味は大きい。

 第三の大きな問題は、民主党が野党共闘を盤石にするために注力すべきことだ。参議院選挙で単独過半数を確保したら連立解消などの暴言を示してはならない。

 社民党と共闘することにより、「平和主義の重視」が確保される。国民新党と共闘することにより、「郵政民営化の不正を暴く」ことが可能になる。

 民主主義の健全な発展のためには少数意見を尊重することが不可欠だ。比例区定数の削減は、二大政党には有利だが、少数政党を消滅に向かわせるものである。

_72   

日本の国会議員定数は諸外国と比較して決して多すぎない。国会議員を削減すれば、官僚の横暴は間違いなく拡大するだろう。民主党は国会議員定数削減方針を撤回し、少数政党を尊重するスタンスを明示するべきだ。

 野党共闘が崩壊すれば、政権交代は雲散霧消するだろう。自民党、あるいは自民党の一部との連立政権が樹立されても、日本政治の構造は変わらない。これまでの「悪徳ペンタゴンによる利権政治構造」が永遠に固定化されるだけだ。

 民主党が歪んだ方向に進むことを阻止し、野党共闘による本格政権交代を実現させるために、ネットから有権者が強い牽制力を働かせることが求められる。ネットから政党行動に圧力をかけてゆかねばならない。

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