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2009年6月21日 (日)

細田博之氏サンプロ田原氏の西川擁護論を暴露

 6月21日放送のテレビ朝日「サンデープロジェクト」

 自民党幹事長細田博之氏が、田原総一朗氏が寄稿した「週刊朝日2009年6月26日号」のコラム「田原総一朗のギロン堂」について言及したために、田原氏が西川社長続投論を主張していることが暴露された。

 「サンデープロジェクト」は麻生首相が鳩山総務相を実質罷免(ひめん)した直後の6月14日放送で、西川社長続投問題に頬(ほお)かむりした。世論が鳩山総務相支持の強い風向きを示すなかで、西川社長続投論を展開することを損だと考えて頬かむりしたのだろう。

 田原総一朗氏-財部誠一氏-大谷昭宏氏-高野孟氏-竹中平蔵氏の「サンプロペンタゴン」が足並みを揃えて西川社長続投論を展開する。サンプロ-テレビ朝日の背後に強い力が働いていると考えるのが自然だ。

 この問題に関する「サンプロ一族」の説明はまったく説得力を持たない。

 小泉純一郎氏-中川秀直氏-竹中平蔵氏-菅義偉(すがよしひで)氏-石原伸晃氏の「郵政××化ペンタゴン」とまったく同じ説明を示す。

 これらの人々の主張は概要以下の通りである。

①「かんぽの宿」は年間40~50億円の赤字を垂れ流している。

②雇用維持条件が付されており、109億円は安すぎる価格でない。

③オリックス不動産選定のプロセスは通常のM&Aの手法によるものである。

④日本郵政は民間会社であり、政府が人事に介入すべきでない。

⑤一連の騒動は郵政民営化反対派による陰謀である。

 この主張が間違っていることを詳しく説明してきた。概要については

「テレ朝報道ステーションの救いようのない欺瞞」(6月13日)

「鳩山総務相更迭問題を逃げたテレ朝サンプロ」(6月14日)

「千葉市長選民主大勝と日本郵政の巨大犯罪疑惑」(6月15日)

を参照いただきたい。

 田原氏は上記週刊朝日コラム記事にいかがわしい記述を示している。

①「オリックス不動産は入札に参加した27社のなかで最も高い値段をつけたのである。」

②「オリックスの宮内氏は「白紙になってホッとした。高い買い物なので経営に自信がなかった」と漏らしている。」

③「要するに、郵政民営化推進派と反対派の露骨な戦いだったのである。」

 「オリックス不動産が入札に参加した27社のなかで最も高い値段をつけた」などの事実と相違する記述されたのではかなわない。

 「かんぽの宿」売却は昨年4月15日にHPで告知された。入札参加意志表明締め切りは5月15日で27社が応募した。日本郵政はこの27社のうち、22社にだけ第一次選考への参加を許可した。5社は門前払いされた。全国79物件を調査して400億円程度の価格を打診した応募者は選考から一方的に除外されたのである。

 22社のうち、8月15日に締め切られた第一次選考に応募したのは7社である。どのようなやり取りがあって15社が参加を取りやめたのかも明らかにされていない。

 8月15日の第1次選考で第二次選考へ参加できる企業が3社に絞られた。この選考過程も明らかにされていない。

 3社のうち、第二次選考に応募したのはオリックス不動産とHMI社の2社だけだった。応募を辞退した住友不動産には、これにやや先立って池袋物件が提供されている。池袋物件が新たな疑惑対象として浮上している。

 10月31日の第二次選考にオリックス不動産とHMI社が応募し、金額で高い価格を提示したのはHMI社だった。ところが、日本郵政は第二次応募提出後に、売却条件を変更した。この結果、HMI社は最終提案提示を行なわなかった。結局、オリックス不動産1社だけが応募して、オリックス不動産への売却が決定されたのだ。

 日本郵政は「競争入札」と説明しながら、「競争入札」を行なっていない。M&Aの手法が必要というが、問題になるのは雇用条件だけである。従業員何名の雇用条件を何年維持するかだけが明らかにされれば良いわけで、透明な価格競争入札を実施することが可能だったはずだが、透明な措置は取られなかった。

最終的にオリックス不動産との間に交わされた契約では、3200名の従業員のなかの620名の正規社員のうち、550人について1年だけ雇用条件が維持される、というのが「雇用維持条件」とされた。また転売規制にも抜け穴が用意されたのである。

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オリックスの宮内氏が「ホッとした」のは理由が別にある。不動産価格の暴落などを背景にオリックスグループ全体が破綻の可能性すら取りざたされる経営危機に直面したからである。「自己責任原則」、「市場原理主義」を唱えてきたオリックスが破綻の危機に直面して、結局政府に救済を求めた。日本政策投資銀行による企業救済融資を受けることになったのだ。この問題も十分な論議が必要である。

「かんぽの宿」79施設の固定資産税評価基準額は857億円で、実勢価格は1000億円を下らないと見られている。これを日本郵政が、偽装された事業収支の赤字数値を活用して129億円の簿価に書き換えたのだ。この簿価引き下げは、不正売却のための行為であるとの疑いが存在する。

「40~50億円の赤字」が独り歩きしているが、この数値の意味を明らかにしなければならない。日本郵政資料では「かんぽの宿」は2009年に10億円の黒字が見込まれているのだ。「偽装された赤字」の真相を白日の下に晒さねばならない。

破綻の危機に直面したオリックスにとっては、「かんぽの宿」売却白紙撤回は渡りに船であったかも知れないが、これは結果論である。日本郵政はサブプライム金融危機が進行するなかで、できるだけ低い価格でオリックスに資産を横流ししようとしたと考えられるのだ。

日本郵政の全株式を日本政府が保有しており、日本郵政株式会社法が総務大臣に取締役選任認可権を含めた強い権限を付与している。

田原氏は、
「日本郵政の幹部たちが、オリックス不動産からキックバックを受けることになっていたという噂もない」
ことを、不正がないことの根拠とするが、巨大な不正が行なわれるときに、その痕跡を見えなくしようとするのは当然で、まともな理由になっていない。

1000億円の財産が不正な手法で小泉改革関係者に100億円で横流しされようとしたのであれば、これは重大な経済犯罪である。その疑いが濃厚に存在する以上、この問題を「小さな問題」として片付けることはできない。

こうした重大な問題を解明しようとすることが、どうして「郵政民営化反対」になるのか。鳩山総務相の行動は「郵政民営化」から不純なものを取り除こうとしただけのものである。

鳩山総務大臣の至極まともな、正当な主張を「郵政民営化反対勢力による陰謀」(竹中平蔵氏の表現)と決めつけて、無理やりに西川社長の続投をごり押しするから、これらの人々の行動がますます怪しく見えるのである。

田原氏を筆頭とする「サンプロ一族」が、まっとうな根拠を示すこともできずに鳩山総務相批判を展開することの「歪み」を明らかにしておかなければならない。

「サンプロ一族」に属する人々の発言全体に対する信憑性が著しく低下すると言わざるを得ない。

6月21日のTBS「時事放談」に出演した鳩山前総務相は、「かんぽの宿」が氷山の一角であるとの判断を示した。鳩山総務相は麻生首相の周りにいる「振付師」が、「郵政××化ペンタゴン」の意向を受けて、麻生首相をねじ伏せたとの認識を示した。「振付師」とは恐らく菅義偉(すがよしひで)氏を指しているのだと思われる。

野中広務氏も外国資本の思惑を指摘し、「西川社長続投論を覆う黒い霧」に言及した。日本郵政の闇を暴き、国民資産の防衛を果たさねばならない。そのためには、どうしても政権交代の実現が必要である。

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