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2009年6月 2日 (火)

TVタックル小沢氏攻撃屋山太郎氏転向ですか

6月1日放送のテレビ朝日『TVタックル』では、MCの北野たけし氏が、5月27日の党首討論について、双方がけなし合いをしているだけでひどい党首討論であったとの趣旨の発言を示した。

党首討論をじっくりと見た人はよく理解するが、この批評は間違っている。本ブログでも何度も指摘してきたが、鳩山由紀夫民主党代表の発言は、実に多くの内容を含むものだった。

①北朝鮮核実験情報に関する政府の情報入手時期報道の混乱
②「友愛」社会についての具体的事例を用いた説明
③「官僚主権国家」の現状=「天下りの実態」の追及
④「政治とカネ」の問題に関する「企業献金全面禁止」提案
⑤補正予算における巨大な無駄、官僚利権焼け太り政策批判
⑥消費税大増税方針への反対方針提示
⑦世襲立候補規制への具体的提案
が鳩山代表発言には盛り込まれた。

非難の応酬があったのは、麻生首相がひたすら西松建設問題に執着し、不適正な発言を繰り返したからだ。鳩山代表が党首討論の初めから非難合戦を始めたわけではない。鳩山代表の麻生首相への非難は、麻生首相の「不適切な」発言に対応するもので、討論上必要不可欠な正当性のある反論だった。

つまり、常識的な感覚で党首討論を見る限り、鳩山代表の圧勝は明確であり、御用メディアはこのことを熟知しているはずだ。

だからこそ、この「真実」の認識を妨げるための「イメージ操作」が多用されているのだと考えられる。今回の事例で用いられた「イメージ操作」の手法は、次の三つに分類される。

①カットなし生映像「党首討論」をできるだけ放映しない
②鳩山代表圧勝と発言しないコメントだけを拾い集める
③「非難合戦でどっちもどっちだった」と討論そのものを批判する
の三つが用いられた。

①本来は討論をそのまま放送すれば良いはずだ。NHK放送時間を弾力的に扱えるのだから、平日夜に党首討論をそのまま再放送するべきだった。45分の時間など、いくらでも調整できるはずだ。

テレビ朝日「サタデースクランブル」、「サンデースクランブル」は、党首討論を取り扱わなかった。これまで散々「党首討論」を開催するべきだと主張してきたのに、番組で取り上げないのはおかしいだろう。

②テレビが報道した党首討論の感想では、
a.自民党細田博之氏、菅義偉氏の麻生首相勝利発言、
b.鳩山邦夫氏による鳩山由紀夫代表15点、「小沢代表の操り人形」発言、
C.民主党渡部恒三氏の「いい勝負」
発言ばかりが繰り返し放映された。

社民党福島瑞穂代表、国民新党糸川正晃氏の鳩山代表圧勝発言は、ほとんど放送されなかった。

③北野たけし氏の「非難合戦でひどい党首討論」発言は三つ目の分類に入る。

「TVタックル」、「サキヨミ」での北野氏発言には、首尾一貫した「偏り」が観察される。「特命」を帯びていると判断される。

5月31日付記事
「総選挙接近で御用メディア偏向報道が全開」
に、テレビ東京「週刊ニュース新書」での田勢康弘氏発言、
「党首討論は五分五分だった」発言を記述した。鳩山代表圧勝と思いながら、このように発言したのだろうと書いた。

このことについて、「ensyu」様が「植草一秀事件の真相掲示板」様に次のように記述して下さった。番組エンドの「今日のあとがき」コーナーで田勢氏が次のように発言したのだという。

「麻生vs鳩山討論を、かつての祖父どうしの対立になぞらえて、田勢氏曰く、
鳩山さんは、かつてお爺さんがそうだった様に、現実を観ずに夢みたいなことばかり言っているんだそうな。」

 私はこの部分を見落としたが、田勢氏も「特命」を帯びて行動していると推察される。

 日本のジャ-ナリズムの堕落は目を覆うばかりである。

 「カナダde日本語」様が、5月31日付記事
「小沢スキャンダル報道で、日本のメディアは権力の言いなり(NYタイムズ全文和訳)」
に、NYタイムズ(アジアパシフィック)5月28日付記事の全文和訳と論評を掲載された。記事は、社会民主党の保坂展人議員によるメディア批判と保坂氏のブログ記事も取り上げた。美爾依さんが貴重な記事を紹介して和訳して下さったので、ぜひご高覧賜りたい。

 日本のメディアの偏向はすでに国際的に認知されるレベルに達している訳だ。

 6月1日の「TVタックル」で、ひとつの異変が起きた。これまで、徹底的に小沢一郎批判、民主党批判を展開してきた屋山太郎氏の民主党攻撃が突然、後退し、攻撃の対象が麻生首相に切り替えられた。

 政権交代実現の可能性が高まり、突然、保身に走ったのか。あるいは、テレビ局、番組全体が、屋山太郎氏を使って路線修正を図ろうとするのか。あまりに白々しい発言に、スタジオはすぐに言葉をつなげない状況に陥った。

 「悪徳ペンタゴン」の一角を担う御用メディアは、政権交代が実現すれば、総括の対象になる。「ペコラ委員会」ではないが、「偏向メディア検証委員会」を設置して、偏向報道の真実を明らかにしなければならない。

 それにしても、この段階で、行動を急変させるのは、あまりにも目立ち過ぎる。

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