8月2日総選挙を選択するしかない麻生首相
6月25日の記者会見で、麻生首相は「そう遠くない日」に解散することを明言した。同時に麻生首相の手で解散・総選挙を実施する意向を明言した。
自民党議員はこれまで、解散は「首相の専権事項」だと言いながら、ここへきて言いたい放題の状況に陥っている。
細田博之幹事長くらいは、思っていなくても「首相の専権事項」と言わねばならぬところ、「重要法案があるから早期解散が難しい」と発言している。
中川秀直氏に至っては公然と首相退陣論を述べ始めた。中川秀直氏は日本郵政西川社長更迭問題でも、西川氏更迭方針を明示した鳩山邦夫総務相について、「堂々と内閣から退出されたらよい」と述べて、鳩山氏更迭論を展開した。
日本郵政株式会社法は取締役選任に関する総務大臣の認可権を明記している。日本郵政株式の100%を日本政府が保有しており、日本郵政取締役および指名委員会は株主である政府の意向を意思決定に反映させる責務を負っている。
西川氏の続投方針を決めた日本郵政取締役会および指名委員会は意思決定に際して完全出資者である日本政府の意向を斟酌(しんしゃく)する行動をまったく取らなかった。
鳩山総務相が認可権を行使して日本郵政取締役会の決定を認めないのは当然である。中川秀直氏の行動には「正統性の根拠」がない。
日本郵政の西川体制は、かつて認可権を有していた竹中平蔵氏と菅義偉氏が決めたものであって、現時点でこれらの人々が介入することには、何らの正統性もない。中川秀直氏の主張は、小泉竹中一家による日本郵政占拠に部外者は一切手を入れるなというようなものである。
「郵政私物化」の主張でしかない。日本郵政には解明しなければならない巨大な闇が渦巻いている。「かんぽの宿疑惑」、「日本郵政公社による不動産払い下げ」に関する疑惑は、必ず解明されなければならない。
疑惑解明には政権交代が不可欠である。日本郵政の巨大疑惑を解明するためにも政権交代を何としても実現しなければならない。
自民党は昨年9月に麻生首相を選出した。2005年9月の総選挙以来、小泉首相、安倍首相、福田首相、麻生首相と4人の首相が政権をたらい回しにしてきた。安倍首相も福田首相も、政権を担って1年もしないうちに、無責任に政権を放り出した。そのたびに自民党はお祭り騒ぎの総裁選を実施してきた。国民不在の政治行動である。
自分たちが選挙で総裁を選出しておきながら、政権支持率が低下すると総裁交代を口にするのは不見識も甚だしい。中川秀直氏などは昨年9月に総選挙の顔として麻生首相を自分たちの手で選出した事実を忘れてしまっているのか。
また、解散権が首相の専権事項であるなら、首相以外の者が、解散時期についてあれこれ見解を述べるのも不見識である。自民党はもはや泥船状態である。
私は6月22日付記事
に次のように記述した。
「麻生首相に真実の情報を届ける人物がいるなら、次の事実を伝える必要がある。麻生首相が自身の手で国民に信を問うなら、衆議院を7月2日までに解散するしか道がないことを。」
この記事を読んでのことかは分からないが、誰かが麻生首相に真実の情報を届けたと考えられる。
7月2日までに衆議院を解散しない限り、麻生首相は確実に自民党総裁の地位から引きずり降ろされるだろう。麻生首相の手で総選挙に臨むことはできなくなる。
臓器移植法案が廃案になる恐れがあるが、その場合には秋の臨時国会で対処するしかない。2005年には悪名高い障害者自立支援法が臨時国会送りにされた。
麻生首相が自身の手で解散総選挙を打つ考えを持つのなら、7月2日までに解散するしか道はない。ここまで来れば8月2日も30日も大差はない。それにもかかわらず、8月2日に対する反論が極めて強いのは、麻生おろしが念頭にあるからだ。
この情報も必ず麻生首相に届けられることになる。そのうえで麻生首相がどのように判断するのかは麻生首相に委ねられる。
海部俊樹元首相は1991年に「重大な決意」を表明しながら自民党内の反対に直面して解散権を封じられ、解散権を行使できないまま退陣に追い込まれた。
麻生首相は海部元首相の徹(てつ)を踏まないことを考えていると思われる。
自民党役員人事と同時に解散を決定する可能性が高い。
自民党・公明党と民主党を軸とする野党は、政権構想を明確に掲げて、堂々と政権選択選挙を戦うべきである。足元の覚束ない「偽装CHANGE新党」のような目くらましの姑息(こそく)な行動に国民は目を奪われてはならない。
「かんぽの宿疑惑」で麻生首相が小泉路線の継承を選択した以上、総選挙の最大の争点は、「小泉竹中政治の是非」になる。具体的には、
①セーフティネット強化の是非
②企業献金全面禁止の是非
③天下り根絶の是非
④消費税大増税封印の是非
⑤議員世襲制限の是非
が五大争点になる。
とりわけ、「アニメの殿堂と生活保護母子加算のいずれを優先するか」に代表される
①セーフティネット強化の是非
が最重要の争点になる。
「かんぽの宿疑惑」に象徴される「郵政私物化」、「郵政米営化」の真相解明に進むのか、疑惑に蓋をするのかどうかも重要争点になる。
これ以上の政治混乱を避けるため、麻生首相は7月2日に衆議院解散を決断し、8月2日の「決戦の総選挙」に臨むべきである。
売国者たちの末路 著者:副島 隆彦,植草 一秀 |
知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
« 東国原知事が“新党・偽装CHANGE”創設を誘導 | トップページ | 痴漢冤罪事件最高裁不当判決について »
「決戦の総選挙(3)」カテゴリの記事
- 反消費税・反TPP・反原発国民会議創設を(2011.12.19)
- 総選挙の隠された最大の争点(2009.09.07)
- 国民が主人公で国民のために存在する政治(2009.08.30)
- 多くの皆様のご厚情に深謝申し上げる(2009.08.29)
- 「無血市民革命」実現に向けて全力を投入しよう(2009.09.01)
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 8月2日総選挙を選択するしかない麻生首相:
» 6月1日、リベラル派のアメリカ民主党オバマ大統領がゲイプライド月間のはじまりを宣言す! [日本国憲法擁護本当の自由主義と民主主義連合〜法大OBのブログ]
アメリカでは6月はゲイプライド月間といわれています。
28日にはサンフランシスコのパレード、他様々なイベントが予定されているそうです。
そんななか、6月1日、リベラル派のアメリカ民主党オバマ大統領がゲイプライド月間のはじまりを宣言したのです。今日はその宣言文をご紹介します。
☆オバマ大統領の宣言
1969年にニューヨークのストンウォールでおきた、ドラァグ・クィーンたちの蜂起に言及し、そこに生まれたアメリカのLGBT権利の歴史は40年に及んでいます。
その後綿々と続く権利獲得運動に... [続きを読む]
» あまりにもタイミングが良すぎる植草氏の判決 [ライジング・サン(甦る日本~世界へ)日はまた昇る]
たった今、日テレの報道で植草一秀氏の実刑確定のNEWSが流れました。 これは2,3日前にYahooで知っていたので、ビックリはしなかったが、今考えてみればちょうど「売国者の末路」が出版したころで非常にタイミングがよすぎる判決だ。 聞くところによると売れ行きはすごいら... [続きを読む]
» [新自由主義][宗教右翼][オーラルヒストリー]ネトウヨ-自民党-アメリカ右派(6-1) [月よお前が悪いから]
※とりあえずは d:id:20090602#1243927225 の続きです。5項は別箇続けます※ ここで、ネトウヨ思想の普及に「2ちゃんねる」が大々的に用いられた事は既に記述していたと思いますが、ここでは「反左翼ネトウヨ」の指令所でもあった「ニュース極東」板の「市民運動観測所」に... [続きを読む]
» 中川秀直 ウィキペディア [ニュースの林]
何でもありんす: 【政治】中川秀直元幹事長「総務相は内閣を去れ ...自民党の中川秀直元幹事長は5日午後、名古屋市内で街頭演説し、日本郵政の西川善文社長の続投に反対している鳩山邦夫総務相に対し「信念をもって本気で西川さんの続投に反対している。このように主張するなら、堂々と内閣から去るべきだ」と自発的辞任を ...(続きを読む)
中川 秀直議員への評価 - 所詮は小泉元総理のイエスマン(1/5点)今回の発言等には正直言って愕然としました。もっともっと骨のある政治家かと思っていましたが・・・残念です... [続きを読む]