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2009年6月 9日 (火)

参院総務委日本郵政西川社長更迭問題集中審議

6月6日付記事
「西川社長続投誘導は麻生首相おろしの策略か」
に記述したように、本日6月9日午後、参議院総務委員会が日本郵政に関する問題で集中審議を行なった。

審議の冒頭で、民主党・新緑風会、国民新党、新党日本を代表して質問に立った国民新党の長谷川憲正氏が次の事実を指摘した。

今日の集中審議は日本郵政の西川社長続投問題などを議題としており、関係各位に参考人としての出席を求めた。

そのなかで、日本郵政指名委員会の委員長を務める牛尾治郎氏に出席を求めたが拒絶された。牛尾氏に代わり、2名の指名委員に出席を要請したが、やはり拒絶された。

また、かんぽの宿問題について検討した「第三者検討委員会」委員長の川端和治氏にも出席を要請したが拒絶された。さらに、同委員会委員の黒田克司氏、澁井和夫氏にも出席を要請したが出席を拒否された。

さらに、「かんぽの宿」売却の担当部長である伊藤和博執行役は、体調不良で出席を拒否したことが明らかにされた。

日本郵政の取締役等を選任したのは日本郵政の指名委員会であるが、委員会の5名の委員は、全員が日本郵政の取締役である。5名の委員は以下の通りである。

委員長 牛尾 治朗(うしお じろう)

    ウシオ電機株式会社代表取締役会長

委員  西川 善文(にしかわ よしふみ) 

委員  高木 祥吉(たかぎ しょうきち) 

委員  奥田 碩(おくだ ひろし)

    トヨタ自動車株式会社取締役相談役 

委員  丹羽 宇一郎(にわ ういちろう)

    伊藤忠商事株式会社取締役会長

集中審議に出席したのは高木祥吉氏1名だけであった。この指名委員会が西川社長を含む9名の日本郵政取締役全員の再任を決定した。委員会では実質的な審議がほとんどなされなかったとのことである。

 他方、日本郵政が設置した第三者検討委員会のメンバーは以下の通り。

 Photo6月1日付記事
「かんぽの宿が戦後最大の疑獄事件に発展の可能性」
に以下の記述を示した。

「委員長は弁護士の川端和治氏。詳しくは「東京サバイバル情報」様を参照いただきたいが、ポイントは川端氏が「放送倫理検証委員会委員長」であること。

「放送倫理検証委員会」はNHKと民放連で構成する放送倫理・番組向上機構(略称BPO)が作った、
「虚偽放送と疑われる事案が発生した場合に放送倫理上の問題の有無を審理する委員会」
である。

つまり、放送メディアは川端氏を批判できないところがポイントだ。

また、川端氏は旧長銀の内部調査委員会委員長を務めたが、日本郵政公社による不動産バルク売却と旧長銀出身者が密接な関わりを持つことも明らかにされている。

澁井和夫氏は日本不動産鑑定協会常務理事だが、この「日本不動産鑑定協会」がもうひとつのポイントである。

「日本不動産鑑定協会」副会長に緒方瑞穂氏が在任し、この緒方氏が株式会社緒方不動産鑑定事務所代表を務めている。

「かんぽの宿」の帳簿価格が不正に引き下げられた疑惑が存在するが、「かんぽの宿」の著しく低い帳簿価格にお墨付きを与えた本尊である
「郵政民営化承継財産評価委員会」
委員のなかにただ一人、不動産鑑定士が名前を連ねている。その不動産鑑定士が
奥田かつ枝氏
であり、奥田氏が緒方不動産鑑定事務所取締役を務めるとともに、オリックスが出資する企業の社外取締役を務めているのだ。

不動産鑑定協会の常務理事が協会副会長の鑑定事務所の業務を否定できるはずがない。また緒方瑞穂氏と竹中平蔵氏との関係を論じる怪文書も存在する。

また、日本公認会計士協会は金融庁の実質的監督下に置かれている。金融庁は竹中氏、元金融庁長官で現日本郵政副社長の高木祥吉氏とともに西川氏のお仲間である。」
(ここまで転載)

「かんぽの宿疑惑」を原因として西川社長更迭問題が浮上している。この問題を論じるために、国会の委員会で集中審議が行われるのに、関係当事者の大半が国会からの参考人招致を拒絶している。竹中平蔵氏も再三にわたって国会への参考人招致を拒絶しているが、これらの当事者は最低限の責任を果たす責務を負っている。

竹中氏などは、国会への出頭を拒絶しながら、場外の「やらせ舞台」では好き勝手な発言を繰り返している。竹中氏に関しては「証人喚問」を検討するべきである。

本日の集中審議では、多数の重要な論点が改めて明らかになった。ここでは、その中から9点を取り出して提示する。

①総務大臣の位置づけ

 長谷川憲正氏は、日本郵政の「ガバナンス」に関して、根本的な問いを西川氏に投げかけた。総務大臣が日本郵政の人事などに介入する権限を持つのかどうかという問題である。

竹中平蔵氏は著書の中で、日本郵政の「ガバナンス」について著書「構造改革の真実」239ページに次のように記述している。

「辞書によると、民営化とは、「民間の経営に任せること」とある。文字通り郵政民営化とは、郵政の経営を民間に任せることであり、政府はそれが可能なように、また効率的に行われるように枠組みを作ることである。これで、西川氏に、経営のすべて、民営化のすべてが委ねられることになった。」

 「これで」とあるのは、日本郵政の社長に西川氏が内定したことを示している。この言葉は、2005年11月に西川氏起用を決めた時点での竹中氏の判断を示している。 

 竹中氏はこの判断をベースに置いていると見られ、本年1月19日付産経新聞への寄稿「かんぽの宿は“不良債権”」でも、同様の主張を展開し、鳩山総務相の行動が「根本的に誤っている」と批判した。

 日本郵政の株式が市場で売却され、日本郵政の支配権が国から完全に離れたのなら、竹中氏の発言も妥当性を持つだろう。それでも、日本郵政株式会社法が残る限りは総務相に強い権限は残る。

 しかし、現状では、日本郵政グループの株式は100%が政府に保有されており、日本郵政の運営形態が「株式会社」に変わっただけである。日本郵政株式会社法は総務大臣の強大な権限を規定しており、所管大臣であると同時に強大な監督権限を有する総務大臣が、日本郵政の適切な運営に関与することは総務大臣の権限であると同時に責務である。

 竹中氏の考え方は完全に間違いである。

 この点に関する長谷川氏の質問に対し、西川氏は、日本郵政は100%政府出資会社であり、株主が権限を行使することは当然であることを明言した。

 竹中平蔵氏の見解と竹中氏の発言をなぞらえた中川秀直氏、石原伸晃氏などの見解が、西川氏自身によって完全に否定された。

 長谷川氏はマスメディアの一部が、「民間の経営に総務相が口出しするのは間違いだ」と主張したことも批判したが、マスメディアも同様の間違いを犯したことが明確になった。

②指名委員会の行動の誤り

 日本郵政は100%政府出資の国有会社である。企業経営が株主の意向を反映して執行されるべきことは当然であり、日本郵政の指名委員会が取締役等選任に際して、株主である日本政府の意向を尊重するべきことは当然である。

 今日の質疑で高木祥吉氏が陳述した内容によると、日本郵政は株主の意向を取締役等選任に反映する行動を取っていない。日本郵政は指名委員会の決定を西川氏続投の正統性の根拠とするが、そもそも指名委員会が、本来取るべき行動を取っていないことが明らかになった。

③取締役等選任にかかる総務大臣、財務大臣の権限

 日本郵政株式会社法における総務大臣の権限については、本ブログ6月4日付記事
「日テレNEWS ZERO西川社長関連偏向報道」
に記述した。取締役等選任に関する権限は総務大臣の専権事項である。

 財務大臣と総務大臣の共管事項ではない。

 財務大臣が株主として株主総会に出席するのは株式を保有する日本政府を代表して出席するものである。帳簿上での株主は財務大臣となっているが、財務大臣は株式を100%保有する政府を代表しているだけであって、株主総会で財務大臣は政府を代表する立場に立って行動することが求められている。

政府のなかで日本郵政の取締役等の選任について権限を持つのは総務大臣であり、財務大臣は株主総会における日本郵政取締役人事に関する決議においては、総務大臣の判断に従って行動することが求められる。総務大臣の判断と異なる判断に基づく行動を財務大臣が取ることは、「閣内不一致」に該当する。内閣の「ガバナンス」の崩壊を意味する。

鳩山総務相はやや異なる見解を表明しているが、与謝野財務大臣は株主総会で鳩山総務相の判断に基づいて人事決議案に対処しなければならない。

④西川社長更迭問題と政局との関わり

マスメディアが西川社長更迭問題を「政局絡み」と報道している点について、長谷川氏が鳩山総務相の見解を質した。

鳩山総務相は、これらの報道の誤りを一刀両断に切り捨てた。「かんぽの宿疑惑」は、国民の貴重な財産が不透明に、また不適切な手続きによって、郵政民営化に関連した人物が経営する企業に「出来レース」のような形で売却されようとした問題である。

そして、この問題が西川社長に直結する「チーム西川」と呼ばれる三井住友グループと関わりの深い幹部によって仕切られたものであることから、西川氏の責任を追及するものであって、「政局」とはまったく関わりがないことが明言された。

「売国勢力」に支配されるマスメディアが、西川社長更迭を阻止するために、このような偏向した報道を展開しているのだと思われる。

 これ以外に、
⑤クレジット・カード業務で三井住友カードが選択されたこと等に関する疑惑
⑥メリルリンチ日本証券が不自然な選考過程を経てアドバイザーに選任された疑惑
⑦「かんぽの宿」売却に際し、社宅9件が簿価を下回って売却されようとした問題
⑧博報堂とのCM関連一括契約に関する疑惑
⑨メリルリンチ日本証券が3回にわたって「かんぽの宿」売却提案をしたのに無視された問題
などが改めて指摘されたが、詳細は紙幅の関係で省略する。

①日本郵政の経営への総務大臣の介入は、総務大臣が果たすべき当然の責務であること。

②日本郵政指名委員会が取締役選任案決定に際して100%株主である日本政府の意向を踏まえる必要があったのに、これを怠ったこと。

③日本郵政株式会社法が日本郵政の取締役等選任について、総務大臣に専権を付与しており、財務大臣は総務大臣の判断を踏まえて株主総会での取締役等人事決議案に対処する必要があること。

などが明らかになった。

麻生首相が最終決断を国会での重要法案の衆議院再可決後に先送りしようとしていると見られるが、党内の造反を恐れて西川社長更迭の決断を示せないのなら、その時点で、麻生首相は自民党を代表する総裁を務める資格を失っていることになる。

麻生首相が西川氏を更迭し、自民党議員の一部が造反して、衆議院再可決で3分の2の賛成を得られぬなら、自民党は分裂して総選挙になだれ込むことになる。このような自爆行為を自民党議員が取れるはずがない。このことを恐れて麻生首相が決断できないなら、麻生内閣が総辞職するべきだ。

結局、麻生首相には、西川社長更迭を決断し、6月末衆議院解散、8月2日総選挙に向かう以外に道は残されていないと考えられる。

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