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2009年6月 8日 (月)

世論調査で西川社長続投に圧倒的多数が反対

6月7日放送のフジテレビ「サキヨミ」が、西川善文日本郵政社長更迭(こうてつ)問題について、独自に行った世論調査結果を公表した。

6月6日記事
「西川社長続投誘導は麻生おろしの策略か」
に記述したように、世論調査が大好きなマスメディアが、5月27日の鳩山由紀夫民主党代表と麻生太郎首相とによる初めての党首討論後、まったく世論調査を行なっていない。

3月3日に小沢一郎民主党前代表の公設第一秘書が逮捕されてから、5月16日に鳩山由紀夫氏が民主党の後継代表に選出されるまで、マスメディアは誰も頼んでいないのに、毎日のように世論調査を実施していた。

マスメディアは、世論調査で小沢代表の辞任を求める声が多いことを、小沢代表辞任要求の最大の論拠とした。

同じ理屈で考えるなら、日本郵政西川社長更迭問題こそ、世論調査で民意を探るべきでないのか。また、党首討論の勝敗も世論調査で確かめるべきではないのか。

小沢前代表の進退問題は、ひとつの政党内部の人事問題である。民主党支持者には重要な問題だが、一般国民に意見を求めることは適正でない。

自民党はそもそも、小沢氏の力量が非常に高いから、小沢氏の代表辞任を熱望し続けてきた。自民党支持者は、道義上の判断からではなく、自民党にとっての損得勘定から小沢氏辞任を唱えた可能性が高い。この意味で、小沢氏辞任の是非を問う世論調査は適正な調査と言い難い。

他方、西川社長更迭問題、鳩山総務相の政治姿勢を有権者がどのように捉えるのかは、世論調査にふさわしい調査項目である。

「かんぽの宿」は貴重な国民資産であって、これを郵政民営化と関わりの深い宮内義彦氏が総帥を務めるオリックスグループに不正廉売しようとしたことの是非を、国民がどのように受け止めているのかは、重要な世論調査のテーマになる。

ところが、マスメディアはこの問題での世論調査をまったく実施してこなかった。今回のフジテレビ調査が初のケースであると言ってよいだろう。

サキヨミの調査結果は以下の通り。

①西川社長続投を認めないとの鳩山総務相の姿勢を
支持する  58%
支持しない 42%

日本郵政西川社長は
辞任すべき 80%
続投すべき 20%
だった。

 国民は「かんぽの宿」疑惑を正しく捉えている。

 コメンテーターの森永卓郎氏が指摘したように、「郵政民営化」の実態は
「郵政私物化」
「郵政米営化」
であった。

 「かんぽの宿」疑惑は「郵政民営化」が「郵政私物化」であったことを示す「氷山の一角」である。

 ネットから多くの情報が提供され、多くの国民が「かんぽの宿」疑惑の内実を知るようになっている。

 「かんぽの宿」不正売却問題は、三井住友銀行出身の西川善文社長が、日本郵政内部の三井住友人脈による「特命チーム」に担当させたプロジェクトであり、「郵政私物化」の実態を、非常に分かりやすく示す事例である。

 マスメディアの大半は、事実を中立公正の視点から正しく国民に伝えることをしないが、ネットから真実の情報が数多く発信され、多くの国民に真実に近い情報が届いていると考えられる。

 朝日新聞、産経新聞、日本経済新聞、テレビ朝日、TBSテレビの偏向が顕著である。

 「ライフログ ダイアリー」様が実施されたアンケート調査では、
日本郵政西川社長続投
 賛成 10%
 反対 90%
 (投票総数1397票)

竹中平蔵氏の国会での証人喚問
賛成 96.3%
反対  3.7%
(投票総数3045票)

の結果が示されている。

 国民は日本郵政西川社長の更迭(こうてつ)に賛成であり、
鳩山総務相の西川社長続投を認可しない姿勢を支持している。

 最終的には麻生首相が判断しなければならない。この点については、6月7日付記事

「麻生首相が仕切れる総選挙は8月2日しかない」

 
に詳述した。

 麻生首相が自分の手で解散・総選挙を断行して国民の審判を仰ぎたいのなら、その唯一のチャンスは6月末解散、8月2日総選挙しかないと考えられる。

 7月12日の都議会選挙は自民党に厳しいものになるだろう。7月12日を待つと、解散・総選挙を打つことが非常に難しくなる。国会は、6月末で、実質審議を完了してしまう。

 こうなると、9月10日に臨時国会を召集して衆議院を解散し、10月4日大安総選挙か10月18日先負総選挙のいずれかを選択することになる。

 この場合、自民党は間違いなく8月ないし9月に自民党総裁選を前倒しするだろう。総選挙の顔は麻生太郎氏から別の人物にすげ替えられる。

 したがって、麻生氏が自分の手で総選挙を実施したいのなら、6月下旬解散、8月2日総選挙を選ぶしか道はない。鳩山総務相は麻生首相をこのシナリオに誘導しようとしているのだろう。

 この場合、麻生政権にとっては、日本郵政西川社長更迭を決定する方が、はるかに有利である。国民世論は西川氏辞任を求めており、この問題に関しては、圧倒的に鳩山総務相支持が多いからだ。

 御用メディアが日本郵政西川社長更迭問題を世論調査で取り扱わない最大の理由は、御用メディアの大半が、「売国勢力」に支配されてしまっているからだ。「サキヨミ」では、ニューズウィーク日本語版編集長の竹田圭吾氏が、当然のことながら、「売国勢力」サイドに立った発言を示した。

 しかし、国民の大半は、「郵政私物化」の現状に怒りを感じている。多くの国民は2005年9月の郵政民営化総選挙での投票行動を反省しているのだ。だからこそ、2007年7月参議院選挙で民主党を勝利させ、現在は、政権交代を期待する国民が多数派を形成しているのだ。

 テレビ番組に登場する大半のコメンテーターと政治評論家は、根の腐った「御用」人間である。「御用人間」は、
①日本郵政が民間会社であり、
②内部の指名委員会が西川氏続投を決めた。
③総務相は民間会社の人事に介入すべきでない
④日本郵政は決算で利益を計上した
⑤鳩山総務相の行動は政局狙いのパファーマンスである
ことを述べて、西川氏続投が正しい選択だとする。

 これらの主張がことごとく間違っていることはこれまで何度も指摘してきた。①~③は根本的に間違っている。石原伸晃氏は、ものごとを正確に理解する能力に欠けていると考えられる。6月7日のテレビ朝日「サンデープロジェクト」でも「根本的に間違っている」発言を繰り返した。

日本郵政は株式を100%政府が保有する、純然たる「完全国有会社」であって、現段階では「民間会社」ではない。株式の政府保有比率が2分の1を下回れば、「民間会社」と呼んで差し支えないが、現状では「完全国有会社」である。

日本郵政が「完全国有会社」であることを踏まえると、総務大臣の権限と比較すれば、日本郵政指名委員会など、「吹けば飛ぶ存在」だ。そもそも、指名委員会委員は、日本郵政の9名の取締役のなかの5名が兼務しており、指名委員会は完全な「お手盛り委員会」である。

現段階では、総務大臣に絶大な監督権限が認められるのは当然だ。この絶大な監督権限の正統性の根拠は、郵政民営化推進議員が成立させた「日本郵政株式会社法」の条文にある。石原伸晃氏、竹中平蔵氏、中川秀直氏などは、法律の条文をまともに理解する力すら保持していないとしか考えられない。恐るべき現実だ。

日本郵政が利益を計上するのは、300兆円の資金が存在し、調達コストと運用利回りとの「利ざや」が存在するからだ。誰が社長でも計上できる利益で、西川氏続投の理由にならない。

鳩山総務相が主張する「正義」は「正論」である。常識的に捉えれば、誰が見ても「かんぽの宿」売却は不正売却にしか見えない。2400億円を投じ、固定資産評価基準額が856億円の「かんぽの宿」を109億円で売却しようとした行為を正当化する根拠はない。売却先決定方法が極めて不透明、不適切であったから、日本郵政は売却契約を白紙に戻したのである。

テレビで情報操作を請け負っている人物の「パージリスト」をそろそろ用意する必要がある。これ以上、情報操作の弊害を拡大させないように、リストを公開し、視聴者に注意を呼び掛けることも必要と考えられる。

「きっこのブログ」様が6月7日付記事
「民放連の世論調査に情報操作の疑い」
に、重大な疑惑を記述された。

民放連が行なった「ラジオ・オピニオン2009」の「東京オリンピックの招致」に関するアンケート結果に、悪質な情報操作の疑いが浮上しているのだ。

私はオリンピックの東京招致に反対である。オリンピックに注ぐお金があるなら、その前に国民生活を支えるべきと考えるからだ。いまやオリンピックは「巨大利権」としてもてはやされているのである。オリンピックを招致しようとする人々の大半は、「利権」を主目的としている。

オリンピック招致に賛成の国民が多数とは到底考えられない。石原都知事がオリンピック招致のために強引な手法を展開していることが目につく。

政治が世論調査を都合よく使ったり使わなかったり、使う場合も、姑息(こそく)な数値操作を行なっている現実に、しっかり目を光らせなくてはならない。

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