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2009年5月 2日 (土)

遠吠えを繰り返す竹中平蔵氏は国会に出頭せよ

5月2日放送のよみうりテレビ番組「ウェークアッププラス」

「徹底検証郵政民営化」のふれこみにもかかわらず、内容のない番組だった。この番組の前身は「ウェークアップ」だった。落語家の文珍氏が司会を務め、私もレギュラーのコメンテーターとして出演していた。

出演者は多岐にわたり、政府批判も封殺されていなかった。

小泉政権の時代に、完全な「偏向番組」に改編された。政府批判を展開する言論人が番組から排除された。御用司会者の辛坊某氏が番組を仕切るようになった。

「徹底検証郵政民営化」と銘打つからには、「郵政民営化」推進派と「郵政民営化」懐疑派の双方から有力な論客を同人数出演させるのが、最低限必要だろう。

日大教授の岩井奉信氏は、私が主査を務めていた21世紀臨調政治部会の委員を務めていた人物だが、千葉県知事選で「完全無所属」の虚偽事項を公表して選挙活動を行なった森田健作氏の行動について、根拠をまったく示さずに「公職選挙法違反で摘発することは難しいのではないか」とのコメントを提供した人物である。典型的な「御用人」と見なして良いだろう。

竹中平蔵氏、偏向司会者、偏向コメンテーターの岩井氏、さらに自民別働隊の橋下徹大阪知事が出演するなかに、国民新党の亀井久興(ひさおき)氏が単身で出演し、論議に応じた。

4対1で論議して、公正な論議ができるとでも言うのか。「ただただ笑っちゃうくらいあきれる」番組制作スタンスだ。

それでも亀井氏は竹中氏の詭弁(きべん)にひるむことなく、堂々と反論を展開した。

ニュージーランドの民営化失敗、ドイチェポスト社長の逮捕などを、亀井氏が的確に指摘した。また、「かんぽの宿」については、アドバイザーのメリルリンチ社が黒字見通しを提示していたことも指摘した。

竹中氏は日本郵政による不動産事業についての積極推進論を示しながら、「かんぽの宿」売却を日本郵政株式会社法に潜り込ませた。「本業でない」ことを理由とするが、それならば、日本郵政の不動産事業も「本業でない」はずだ。「詭弁」は必ず矛盾を来す。「かんぽの宿」売却は別の目的で法律に盛り込まれたのだと考えられる。

辛坊氏は、「かんぽの宿」問題を鳩山総務相が提起したが、「結局、総務省が査定した資産価値から雇用維持分を差し引いた金額がオリックス不動産の落札価格だったのだから、結局何だったのか」といった趣旨の乱暴な要約を示したが、こうした発言が「出来レース」の証拠である。

鳩山総務相のスタンスは3月2日を境に急変した。総務省が委託した資産査定そのものが「恣意的」である可能性がある。「不動産の資産査定」はいかようにも操作しうるものであることを、不動産鑑定士が証言している。

とりわけ、事業用資産については、「事業」として評価し、「事業が赤字」との前提を置いて査定すると、著しく低い査定金額を提示することが可能になる。他方、物件には「事業」ではない「固定資産」としての側面がある。

「事業」を前面に提示し、「不動産」としての価値を下回る査定を実施したことが問題とされているのだ。とりわけ、今回の売却においては、①ラフレさいたま、②世田谷レクセンター、③9か所の首都圏社宅、の取り扱いが重要である。

売却先決定過程が不透明であり、人為的にオリックス不動産に売却先が決定されたとの疑いはまったく晴れていない。疑惑は一段と深まったのが現実である。

竹中氏は、竹中氏を援護射撃する出演者が多数出演する設定でないと、テレビ番組にも登場しない。竹中氏が責任を果たすべき舞台は、「出来レースのテレビ番組」ではなく、国会の委員会である。

参議院総務委員会はすでに二度、竹中氏を参考人として招致要請した。だが、竹中氏は二度とも、国会への出頭を拒絶した。「出来レース」のテレビ番組で詭弁を弄する暇があったら、国会に出頭して、十分に答弁すべきである。

国会は、竹中氏の参考人招致を証人喚問に切り替えるべきだ。

これから、5月末にかけて、西川善文日本郵政社長の引責辞任問題がクローズアップされる。

竹中平蔵氏と西川善文氏の個人的関係は2002年12月11日の密会を境にして転換したと見られている。この密会には当時ゴールドマンサックス証券のCEOを務めていたヘンリー・ポールソン氏、同COOのジョン・セイン氏との4者によるものだ。

竹中金融庁が自己資本増強を求め、ゴールドマン・サックスが三井住友への出資を決めた。竹中氏が橋渡しをしたと見られている。三井住友銀行は2003年に5000億円の資金をゴールドマンから受け入れ、以後、三井住友は実質的にゴールドマンの支配下に入ったと見られている。

その三井住友トップの西川善文氏を日本郵政社長に起用したのが竹中平蔵氏である。竹中氏は、2007年10月の日本郵政株式会社発足によって、郵政関連事業のすべてが西川氏に委ねられることになったと指摘し、政治は西川氏の事業運営に介入すべきでないとの「根本的に誤った」主張を示してきた。

日本郵政の資金運用の委託機関を見ると、ゴールドマン・サックスとメリルリンチが突出していることがよくわかる。また、日本郵政の事業運営においては、三井住友関連企業が突出して採用されてきた。

郵政民営化疑惑の核心のひとつは、巨大な国民財産である郵政事業の巨大利権がゴールドマン・サックスを中心とする外資に引き渡されているとの疑惑だ。

2002年12月に西川氏が密会したジョン・セイン氏がその後、メリルリンチ社のCEOに就任した。日本郵政のゴールドマン、メリル優遇の根源が2002年12月の密会にあると考えられる。

よみうりテレビ、日本テレビは、その創設時から、CIAとの強い関係を有すると見られている。外国勢力は西川善文氏を日本郵政社長として残留させることに強い誘因を保持している。

「ウェークアッププラス」は、西川氏の留任に向けての工作活動を開始したものと考えられる。

①「かんぽの宿」不正売却問題
②日本郵政による三井住友グループ企業優遇問題
③日本郵政によるゴールドマン、メリルリンチ優遇問題
の真相、深層が明らかにされなければならない。

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