御用メディア全体を覆う党首討論偏向報道
昨日5月27日に実施された、民主党鳩山由紀夫代表と自民党麻生首相とによる初めての党首討論について、マスメディアがそれぞれに報道したが、昨日付け本ブログ記事
「党首討論鳩山代表西松発言核心をカットしたNHK」
に記述した問題が、広範に広がっていたことが判明した。
麻生首相が最も強調した問題点は、西松事件についての小沢前代表の「説明責任」だった。麻生首相は小沢前代表ならびに民主党の説明が不十分であることを問題とした。
これに対し、鳩山由紀夫代表は、「民主党が設置した有識者会議がすでに小沢代表から2時間程度のヒアリングを実施して、近く報告書が出るので、その報告書をよく読んでいただきたい」と明言した。
マスメディアはこれまで念仏のように「説明責任」と叫び続けてきた。麻生首相もそうだ。その疑問を党首討論で麻生首相が執拗に問いただした。
この質問に対して、民主党が真摯に取り組み、「説明責任」を果たすために取った行動を説明した。民主党鳩山代表が、マスメディアが騒ぎ続けてきた質問に対する「回答」を示したのに、テレビ各社は私が確認した範囲では、1社も鳩山代表のこの発言を放送しなかった。
メディア各社は世論調査にいそしんで、「国民は説明を求めている」と言い続けてきたのではないのか。その「質問」に真正面から答えているのに、一切報道しないのは一体どういうことなのか。
御用メディアが、「民主党攻撃」を目的に行動していることを明白に示す証左(しょうさ)である。民主党はこのような「偏向メディア」の存在を前提に、次期総選挙で勝利しなければならないのだから、勝利のハードルは極めて高い。
アウェイのゲームで、かつ、「中東の笛」以上の偏向レフェリーの審判で試合をするのだから、サッカーで言えば10対0以上の大差で勝利しないとならないことになる。
TBS、フジテレビは「各党の反応」の放送から、社会民主党と国民新党を除外した。国会勢力から社会民主党と国民新党を排除するのは、テレビ朝日「サンデープロジェクト」方式だが、メディアの権力迎合汚染が深刻に広がっていることを端的に示している。
党首討論に関連して、もう一点、明確にしておくべきことがある。
麻生首相は鳩山氏が民主党代表に就任し、小沢前代表が代表代行に就任したことについて、「これが責任の取り方なのか」と批判した。
5月11日付記事
「逆風を順風に転じさせる小沢民主党代表の英断」
にすでに記述したが、麻生首相は小沢前代表の辞意表明記者会見の内容を自分の目で確認したのだろうか。確認したうえで、今日のような質問をするのなら、麻生首相は日本語を理解する能力を持っていないとしか考えられない。
5月11日の記者会見で、小沢前代表は、代表辞任が「引責辞任」でないことを明言している。政治資金の処理に関しても「一点のやましいところもない」ことを明言している。
3月3日の秘書逮捕そのものを、「政治謀略」、「不正な検察権力行使」であるとの認識を示しているのだ。そのなかで、マスメディアが政治権力の手先と化して、不正で不当な民主党攻撃を続け、民主党に非はないが、次期総選挙に対する激しい妨害が展開される恐れが高まったため、小沢代表が筋を曲げて代表を辞任することで、政権交代実現に向けての障害を取り除く判断をしたのである。
小沢前代表はこのことを、非常に分かりやすく記者会見で説明した。仮に記者会見の録画を見ていなくても、発言内容を確認すれば、この内容を知ることは可能である。
小沢氏の主張、見解に対してどのような意見、感想を持とうとも、それは自由である。麻生首相が、小沢氏の考え方を正しくないと思うなら、その考えを述べることは妨げられない。
しかし、代表をやめたのに代表代行に就任したのが理解できないとか、鳩山氏が「殉ずるときには共に殉ずると言っていたのに代表に就任するのはおかしい」と批判するのは、批判内容が間違っている。
小沢氏は「引責辞任」したのでないから、堂々と党の要職に就任したのだ。鳩山氏が代表に就任する正統性を備えているのも、小沢代表の辞任が「引責」ではなく、「戦術的」なものだったからである。小沢氏が「引責辞任」したのであれば、鳩山氏が後継代表に就任する可能性はゼロだったと断言できる。
私が後継代表に就任するのは鳩山氏が最適であると主張したのも、小沢氏の辞任が「引責でない」ことが明確だったからである。
麻生首相が批判するなら、「小沢氏は引責辞任でないことを明言して辞任したが、責任を感じないのはおかしいのではないか」と主張するべきだ。
これに対し、鳩山氏も、小沢氏も、「政治資金の処理は適正に行っており、引責の事由は存在しない」ことを明言して反論するだろう。
麻生首相は「逮捕されたんだから悪いことがあったのではないか」との趣旨の発言を繰り返したが、この発言に麻生首相の前近代的な理解が示されている。
フランス人権宣言第9条(無罪の推定)に以下の条文がある。
「何人も、有罪と宣告されるまでは無罪と推定される。」
さらに、裁判所の「有罪」にも多くの間違いが存在することが随所で明らかになっている。
鳩山代表は、検察権力の不正行使の疑いに対して、民主党として、毅然とした態度で対峙することを鮮明に示した。この事実ひとつをもって、民主党が代表選で最善の選択を示したことが証明されている。
国民は、小沢代表が「引責辞任」ではなく、マスメディアの集中攻撃が政権交代実現の妨げになるから、筋を曲げて代表を辞任し、その後に前幹事長であった鳩山氏が代表に就任し、小沢氏が筆頭代表代行に就任して総選挙の責任者を務めるとの布陣を確認したうえで、世論調査に回答した。
その世論調査では、
次期首相には麻生氏よりも鳩山由紀夫氏がふさわしく、
総選挙比例区ではより多くの人が自民党でなく民主党に投票し、
自民党よりも民主党を支持する、
との見解が示されたのだ。
鳩山代表が麻生首相に指摘したように、麻生首相が「国民世論の声」を強調するなら、民主党代表選後の世論調査結果やさいたま市長選結果などに示された国民の声にも耳を傾けなければ、辻褄が合わないのではないか。
岩見隆夫氏もまったく麻生首相とおなじ誤りを犯している。小沢代表の発言を、まずは言葉通りに受け止めるのが基本だろう。そのうえで論評すればよいのに、自分の頭の中だけで、勝手にストーリーを決めて、小沢氏の行動がそのストーリーから外れるからといって小沢氏を非難するのだ。さすがに、麻生首相に会食に呼ばれて食事をする関係だけのことはある。
どのような論評を示そうと、それは自由だが、民主党の小沢前代表が「引責辞任」したのでないことは、紛れもない事実で、このことは数千万人が注視する記者会見で明言したことなのである。その事実を踏まえない議論は、議論として失格である。
西松事件を通常の事件と見なす見地と、これを卑劣な政治謀略と見なす見地との間に大いなる隔たりが存在することを忘れてはならない。そして、この二つの見地のいずれか一方を無条件に正しいとする論拠は存在しない。与党の見地と野党の見地は対等に扱われねばならない。
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知られざる真実―勾留地にて― 著者:植草 一秀 |
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