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2009年5月 6日 (水)

敵主砲の危険球負傷退場を企てる悪徳ペンタゴン

 ゴールデンウィークも終盤に差し掛かり、いよいよ本格的な「政治の季節」を迎える。2009年は総選挙の年。国民が政権交代を選択するか。「政権交代」こそ、総選挙最大の争点である。

民主党を中心とする野党勢力は、2005年9月の郵政選挙で大敗して以来、捲土重来(けんどじゅうらい)を期してゼロからのスタートを切った。

ところが、前原誠司氏が民主党の代表に就任して、民主党は解党の危機に陥った。前原誠司氏は小泉元首相とも内通していると見られ、民主党のつまずきを自ら演出したのかも知れない。

2006年4月に小沢一郎氏が民主党代表に就任してから野党の反転攻勢が始まった。民主党は2006年4月の千葉7区衆院補選で劇的な逆転勝利を収めた。

2007年7月の参議院選挙では民主党が大勝し、参議院第一党の地位に躍進した。野党は参議院過半数の議席を確保し、これ以後、自民党の独断専行が許されなくなった。「衆参ねじれ」現象は「政権交代」が実現する過程で生じる「過渡期」特有の現象である。

2009年の総選挙で野党が衆議院の過半数を確保すれば、本格的な政権交代が実現する。日本の歴史上、初めて「民衆の力による政治体制刷新」が生じる。

1993年に一時的に政権交代が実現したが、2004年に自民党による細川政権内部分裂工作が実行され、政権を自民党に奪還されてしまった。本格的な政治体制刷新は未完のまま、旧勢力が政治権力を奪還してしまったのだ。

爾来(じらい)、15年の年月を経て、本格政権交代実現のチャンスが到来した。自民党は1955年以来、60年余にわたり政治権力を掌中(しょうちゅう)に維持してきた。官僚機構は1887年の文官試験以来、120年余にわたって権力機構の中枢に位置し続けてきた。

自民党は結党以来、大資本と米国と親密な関係を維持し続けてきた。自民党が大資本優遇の政策を推進してきた背景に「企業献金制度」がある。自民党は大資本から巨額の企業献金を受け取り、その見返りに大資本優遇の政策を推進してきた。

大資本は「労働」である一般国民と利害の上で対立する関係に位置する。大資本は常に、
①労働者をいつでも好きなときに解雇でき
②低い賃金と低い社会保障負担
③高い株主利益と高い役員報酬
④低い法人税
⑤多額の政府からの補助金
を求める。

2001年の小泉政権発足以後、政治権力は一般国民を支配するためのトゥールとして、マスメディア支配を著しく強化した。マスメディアは利害得失から権力への迎合の道を選択し、「御用メディア」になり下がった。

政治権力によるマスメディア支配を実行した先駆者は吉田茂元首相だった。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第二章「炎」第16節「消えた放送委員会」、第17節「政治権力に支配されるNHK」に詳述したが、吉田茂元首相が主導した1949年の「電波三法」制定、1952年の電波監理委員会廃止などにより、NHKの独立性は排除され、NHKが政治権力の支配下に置かれるようになった。

5月4日放送のフジテレビ『桑田佳祐の音楽寅さん』に関して記述した5月5日付記事
「フジ桑田佳祐音楽番組にまで偏向の魔手」
について、「カナダde日本語」の美爾依さん、「神州の泉」主宰者の高橋博彦氏が貴重なコメントを提示下さったのをはじめ、「時空」様「播州武侯廟遍照院」様「ギャラリー酔いどれ」様「高橋敏男のブログ」様などの多くの皆様が有益なメッセージを提示下さった。

麻生内閣が15.4兆円もの巨大な国費を投入する追加景気対策を決定したが、
経団連企業自動車産業への補助金
②経団連企業電機メーカーへの補助金、
③日本政策投資銀行を焼け太りさせる大企業救済策
④中小企業救済にかこつけた日本政策金融公庫の焼け太り策
⑤資産家優遇の贈与税減税
⑥資産家と住宅メーカー優遇の住宅減税
⑦定額給付金、高速1000円、子育て手当の選挙買収策
⑧117億円アニメ・マンガ・ゲーム博物館
などの政策が目白押しである。

障害者、高齢者、母子世帯、失業者、生活困窮世帯、一般労働者へのきめ細かい施策、支援、負担軽減策を、一回限りでない「プログラム」として整備することが求められている。しかし、このような必要不可欠な政策はまったく提示されなかった。

「官(特権官僚)」、「業(大資本)」、「外(米国)」、「電(御用メディア)」と癒着する「政(自公政権)」の実態が如実に示されている。

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「政官業外電の悪徳ペンタゴン」は巨大利権死守に死に物狂いだ。

民主党を中心とする野党は、
①特権官僚の「天下り」利権を根絶
②企業献金を全面禁止して大資本優遇を根絶
③米国隷属を根絶
④消費税大増税を阻止
⑤議員世襲を大幅に制限
を公約に掲げて政権交代実現を迫る。

野党連合が「献金・消費税・天下り」の旗を掲げて総選挙を闘い、日本政治の刷新を目指すなら、有権者の多数は野党に投票するだろう。その先頭に立つべきリーダーは小沢代表をおいて他にない。いまから総選挙までに野党連合を結束できるリーダーを擁立することは困難だ。

小沢氏のこれまでの政治家としての歩みに対する評価は、人により千差万別だろう。しかし、正当な理由なく御用メディアが圧力をかけて小沢氏を辞任させることは許されない。3月3日の秘書逮捕に正統性は存在せず、このことを理由とした小沢退陣論は不当である。

小沢氏に対する評価は主権者である国民に委ねるべきものだ。国民の多数は小沢氏が率いる野党連合に政権を委ねる選択を示すだろう。小沢氏辞任を求める声は自公政権支持者に多いのだ。その理由は、小沢氏が総選挙で強いリーダーシップを発揮するからだ。

自公支持者の小沢代表攻撃は敵チームの主砲を危険球で負傷退場させようとするようなものだ

民主党は西松事件の真相を国民に説明するとともに、次期総選挙に向けてのマニフェストを確定し、「献金・消費税・天下り」をスローガンにしたキャンペーンを早期に立ち上げるべきだ。

単純化したスローガンを国民に浸透させることが、国民が「目くらまし政策」に騙されずに、正しい判断を下すために不可欠だ。

民主党幹部には、党内抗争を仕掛ける党内反党分子を処分する程度の気魄(きはく)が求められる。

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