大型連休を楽しめない多数の国民がいる
ゴールデンウィークが本番を迎え、多くの人々が行楽に出かけている。日頃の疲れを癒そうと、ドライブに出発したのはいいが、高速道路の大渋滞にはまりこみ、かえって疲労を蓄積させてしまっている人も多いのではないか。
休日は高速道路料金の上限が1000円にされたが、多くの国民が休日に集中して高速道路を利用すると、渋滞が激しくなり有害な排気ガス排出量が増加する。
2008年4月にガソリンの暫定税率が廃止された際、自民党は、ガソリン料金が下がると自動車の利用が増加し、有害ガス排出量が増えるとの理由を掲げて、ガソリン税の暫定税率を復活させる大型増税を実行した。
その政府が、今度は休日に限定した高速道路料金引き下げを実施したのだ。その場その場で主張がコロリと変わる。こんな説明をする政府を信用することはできない。
高速道路料金が下がるのは自動車利用者にとっては嬉しいことだが、料金引き下げの恩恵を受けることができるのは、ETCを装備した自動車に限られる。天下り機関への資金拠出を強制する施策は、官僚機構が景気対策に潜り込ませる常とう手段だ。
定額給付金、高速道路料金引き下げ、1回限りの子育て支援金給付。総選挙に向けて、選挙買収政策が目白押しで、十分に気をつけないと、こうした「目くらまし」の政策に騙されてしまう。
しかし、15.4兆円の追加景気対策も、麻生首相らが私財を投げ打って実施する政策ではない。すべて、国民が拠出する財源によるものだ。政府に感謝するなどの筋違いの思い違いをしないように国民はお互いに注意し合わなければならない。
2001年度以降に、大型消費税増税が悪魔の笑いを浮かべて待ち構えている。何のことはない。目先の「目くらまし」政策でおびき寄せられた先は、ピノッキオに登場する「楽園島」ならぬ、消費税の「獄門島」である。
麻生政権は「目くらまし」政策で、日本経済の深刻な現状から国民の目をそらさせようとしているが、実情は依然として深刻である。
総務省が5月1日に発表した3月の完全失業率(季節調整値)は4.8%と前月比0.4%ポイント上昇した。失業者数は前年同期より67万人も増えた。増加幅としては過去最高に並ぶ高水準になった。
失業率が5%ということは、95%の人々は、仕事を確保していることを意味する。圧倒的な多数が仕事を失っていない。こうしたときに、国民の生活を心からケアしない政府は、失業していない多数の国民の方向を向く。95%の国民の支持を得る政策を打てば、ある程度の支持率を確保できるからだ。
しかし、政府が仕事をしなければならない対象は、本当は5%の人々だ。政治は本来、さまざまな事情で厳しい状況に置かれる人々に、しっかりと手を差し伸べるために存在するべきものだ。障害者、高齢者、母子世帯、生活困窮者、失業者、などが、安心して安定した生活を営んでゆけるように活動するのが、本来の政府の役割だ。
しかし、政府が選挙の投票だけを考えるようになると、こうした「少数弱者」への施策が手付かずになり、一般大衆への人気取り政策が幅を利かすようになる。
麻生政権が示している政策は、
①選挙用の買収政策
②大企業と資産家優遇の政策
③官僚利権焼け太り政策
ばかりである。
既得権益権者である「悪徳ペンタゴン」の一角を占める御用メディアは、麻生政権の支持率を高めようと、経済改善のニュースだけを強調して報道するようになり始めている。
「年越し派遣村」問題でクローズアップされた、急激な経済悪化、失業・倒産の多発、生活困窮者の急増、などの現状はまったく変化していない。これらの問題に対する政府の施策は、一時的な場当たり的なものばかりである。
麻生内閣は、この流れを維持しつつ総選挙のタイミングを見出そうとしているように見えるが、経済の現状はそれほど甘くないと考えられる。サブプライム金融危機の根は決して浅くない。
経済の現状と見通し、深刻な悲観論の存在を次回記事に記述する。野党党首を卑劣な政治謀略によって攻撃し、支持率がどん底からわずかに這いあがったことで麻生首相が得意になっているとすれば、その絶頂はこの5月になるのではないか。3月から5月の事態改善は本格的な冬を前にした「小春日和」である可能性が高い。民主党の小沢代表はここがこらえどころであると思う。
私たちは国民の幸福を最優先する政権を樹立するために、自公政権打倒の強い意志を再確認しなければならない。
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(以下、引用開始)
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