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2009年4月12日 (日)

「サンプロ」竹中平蔵氏「存在の耐えられない」誤謬

 4月12日のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」に、度重なる国会での参考人招致にもかかわらず、国会への出頭を拒否し続けている竹中平蔵氏が出演した。竹中氏と仲良しグループを形成している御用電波芸者とも呼ばれる田原総一朗氏も、竹中氏に対して国会に出頭すべきと苦言を呈する必要があるのではないか。

竹中氏がこの番組に出演するのは、番組コメンテーターの財部誠一氏が決まって援護射撃をするからだ。やらせのような出来レースの場以外に竹中氏は出て来ない。

しかし、郵政民営化は竹中氏が法案策定に深く係わって実行された政策である。竹中氏と法案策定の係わりは、竹中氏が自著で「大臣が法案作成にこれだけ直接かつ詳細に係わったのは前代未聞のことだった」と記述するほどのものだった。

2004年4月から2005年4月までの1年間に郵政民営化準備室は米国関係者と17回も会合を重ねて郵政民営化関連法案を策定した。このことを衆議院郵政民営化特別委員会の質疑で明らかにした城内実氏は、竹中氏サイドからこの質問を竹中氏に直接糺(ただ)すこと勘弁して欲しいと懇願されたことを明らかにされている。

かんぽの宿売却規定は法案確定の直前に、竹中氏の指示で日本郵政株式会社法の附則に盛り込まれたことも国会審議で明らかにされた。

貴重な国民資産が破格の安値でオリックス不動産に売却されようとしていた。ギリギリのところで、この不正売却は回避されたが、問題の全容はまだ明らかにされていない。竹中氏は、出来レースや「やらせの場」でのみ、稚拙な反論を繰り返しているが、単なる「犬の遠吠え」にしかなっていない。

国会で国民が十分に納得できる説明をする責任を負っている。竹中氏がどうしても参考人での出頭を拒否するのなら、国会は竹中氏を証人として喚問することを検討するべきだ。

今日の番組では、リチャード・クー氏との討論が行われ、経済の底入れが実現しつつあるのかどうかがテーマとされたが、そもそも竹中氏は内外経済の深刻な悪化を完全に見誤ってきたのであり、このような人物に先行き見通しを聞いても意味はない。

市場原理主義経済政策の破たん、セーフティネット破壊の経済政策の失敗が明らかになったいま、小泉竹中経済政策の破たんは誰の目にも明らかになっている。竹中氏と同じ主張を示した中谷巌氏もすでに、自らの過ちを認め、懺悔(ざんげ)している。竹中氏を出演させ、自己批判と懺悔を迫るのなら理解できるが、その竹中氏にさらに経済展望を聞こうとするのだから、笑止千万としか言いようがない。

実際に竹中氏の発言は「改革が不十分だから景気が悪くなった」の一点張りで、示唆に富む発言は皆無だった。

番組のなかで竹中氏が「日本の不良債権処理に失敗と成功があったことをはっきりさせなければならない」と述べて、小泉政権の下で竹中氏が実行した不良債権問題処理が、あたかも成功であったと主張しているかのような発言があった。

これは、客観的に見て完全な誤りである。小泉竹中経済政策は不良債権問題処理失敗の典型的事例である。米国は今回のサブプライム危機に際して、小泉竹中経済政策の失敗を「反面教師」として役立てた。公共放送で間違った情報を流布するのは大きな罪である。

19942006 グラフは1994年から2006年にかけての日経平均株価を示している。竹中氏は不良債権の金額を明らかにすることが必要で、竹中氏がそれを実行した趣旨の発言を示したが、これも正しくない。

日本は不良債権問題処理を三回間違えた。

一度目は1992-93年である。住専問題が最初に表面化したのは1992年である。この段階で不良債権の実態を明らかにして抜本処理を実行していれば問題の深刻化を回避することが可能だった。私は1992年秋に公的資金投入を含む抜本処理を主張し、多くの媒体に主張を提示した。日経新聞経済教室にもその主張を示した。しかし、大蔵省は不良債権問題に対して「場当たり、隠ぺい、先送り」の対応を示して、最初の抜本処理のチャンスを潰した。

二度目の失敗が1996年から1998年の対応だった。95年の本格経済政策対応の効果も表れて、1996年に日本経済はバブル崩壊不況から脱出した。私は経済の安定成長持続を最優先課題に位置付けるべきだとしたうえで、1997年の増税規模圧縮を強く主張し続けた。

不良債権問題の規模が巨大であり、行き過ぎた緊縮策が、経済悪化-株価下落-不良債権問題爆発、の悪循環を発生させることを強く警告した。

しかし、橋本政権は1996年6月に消費税増税方針を閣議決定した。株価は96年6月の22,666円から98年10月の12,879円まで暴落し、私が警告した通り、金融問題が爆発した。拓銀、山一証券、長銀、日債銀などが相次いで破たんした。

私は97年1月のNHK日曜討論で不良債権は100兆円存在すると発言した。経済企画庁の吉冨勝氏は「ふざけたことを言うな」との対応を示した。大蔵省は不良債権が20兆円台であると主張していたが、98年後半になってようやく約100兆円の不良債権の存在を認めた。

橋本首相はのちに、96年の政策が誤りであったことを正式に認め、2001年の自民党総裁選では、私の主張に沿う政策提言を示された。

1998年から2000年にかけて、小渕政権が経済改善の経済政策を実行し、同時に60兆円の金融危機対策を示し、また、日銀がゼロ金利政策を実行して、日本経済は浮上した。金融問題も確実に解決に向かい始めた。

三度目の失敗が2000年から2003年の経済政策対応だった。日銀は2000年8月にゼロ金利解除に踏み切る間違いを犯した。このとき、もっとも熱心にゼロ金利解除を主張したのが竹中平蔵氏である。

2000年から2003年にかけての最大の失敗は、不良債権問題が極めて深刻ななかで、史上最強の緊縮財政を実行したことである。私はこの路線を進めば橋本政権が犯した過ちを繰り返すことになることを主張した。2001年に小泉政権が発足したとき、日本経済は間違いなく戦後最悪の状況に転落するとの見通しを示し、一貫して小泉政権を批判した。

実際、日本経済は戦後最悪の状況に陥った。日経平均株価は2000年4月の20,833円から2003年4月の7607円に暴落した。この結果、金融問題が再び火を噴いた。

2003年、俎上(そじょう)に載せられたのは「りそな銀行」だったが、「りそな銀行」の処理がいかに不正と欺瞞に満ちたものであったかは、本ブログや拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に記述してきた通りである。

竹中氏は「経営者の責任を追及した」と言うが、第一に責任を負うべき「株主責任」をまったく追及しなかった。株主に巨大な利益を供与したのが現実である。小泉竹中政治を明確に批判した有能な経営者を追放し、小泉竹中政権の近親者を新経営陣に送り込み、「りそな銀行」を実質的に乗っ取ったのが実態である。

「りそな銀行」はその後、自民党に対する融資金額を激増させたが、この事実をスクープしたと言われる朝日新聞記者がスクープ記事発表と同時に東京湾で水死体で発見されたと伝えられている。

不良債権問題が深刻な場合には、まず、マクロ経済政策で経済の改善を促進しなければならない。経済の改善を誘導しつつ、金融機関の資本不足に対応し、不良債権問題を解決する。

これが、金融危機への対応策としての「鉄則」である。マクロ経済政策とは金融緩和政策と緊縮でない財政政策である。私は96年も、2000-2002年も、この政策を主張し続けた。

竹中氏は何を主張したのか。

2000年に金融引き締め政策を最も強く主張したのが竹中氏であった。2000年8月にゼロ金利政策を解除した日銀は、結局2001年3月にはゼロ金利政策に復帰した。金利引き上げ政策が誤りだったことが判明した。

竹中氏は2001年から2003年にかけて激しい緊縮財政を主張して実行した。このために、日本経済は本来直面する必要のなかった「金融危機」に突入し、多くの国民が苦しみの地獄に追い込まれたのだ。

挙句の果てに、「自己責任原則」を踏みにじる「りそな銀行救済」が実行された。破たんする銀行を税金で救済すれば恐慌は発生しない。株価は反発する。2003年の事態改善は「猿でもできる金融問題処理」だった。

この過程で巨大な利得を獲得したのは、「不正な銀行救済」の情報を事前に入手し、資産価格が暴落するなかで喜んで資産取得を進めた外国資本と一部の事前情報入手者であったと考えられる。拙著『知られざる真実』で私が明らかにしたのは、この国家犯罪的ディールの全貌である。

竹中氏はマクロ経済政策における財政政策発動の主張は、世界の経済学の主流から完全に消滅したことを強調してきた。その竹中氏が、米国の財政政策発動を見るやいなや、「いまの局面では財政政策発動が必要だ」と発言するのだから驚愕(きょうがく)である。

竹中氏の驚異的な「厚顔無恥」ぶりには、学ばねばならぬ点もあるかと自省する必要を感じるが、このような曲学阿世の人物をテレビに登場させることに対する慎重な対応が、公共放送には求められる。

文藝春秋2009年1月号で渡邉恒雄氏が指摘したように、竹中氏はシティグループによるメガバンク実質買収を目論んでいたようである。また、昨年春の段階で郵貯資金での米国サブプライム危機への資金供給を提唱していた。この言葉に乗っていたら、日本国民は巨大な損失を蒙っている。

米国は小泉竹中経済政策の大失敗の教訓を「反面教師」として活用し、経済支援政策を発動したうえでの金融問題処理に取り組んでいるのだ。ブッシュ政権は昨年1680億ドルの景気対策を発動し、オバマ政権は本年2月に7800億ドルの追加景気対策を決定した。

竹中氏を出演させ、事実とまったく異なる弁明を流布することを、これ以上、容認するべきでない。事実に反する間違った情報の流布は国民の利益を損なうものである。竹中氏は出来レース番組で低質な情報を流布する前に、一国民としての責務を国会で果たすべきである。

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