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2009年4月 5日 (日)

西松建設事件『裁判員制度と知る権利』の考察

元地検検事で現在は名城大学教授の郷原信郎氏がテレビ番組やネット媒体で精力的に真実の情報を発信された影響は大きかった。

郷原氏が正しい情報を伝えていなければ、検察の不正な行動がそのまま放置され、不正が押し通されてしまった可能性が高い。

3月3日に小沢民主党代表の公設第一秘書である大久保隆規氏が逮捕された。逮捕された容疑は「虚偽記載」である。小沢民主党代表サイドは「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」から献金を受けた。大久保秘書は政治資金収支報告書に、この政治団体からの献金であることを記載して報告した。

小沢氏サイドがこの献金を西松検察から受け取ったのであれば、小沢氏の政治資金管理団体である「陸山会」ではなく、政党支部が献金を受け入れたと記載すればよかっただけである。政党支部は企業からの献金を受け入れられることになっている。この点を小沢氏は記者会見で明確に説明した。

政治資金規正法は「寄付行為をした者を収支報告書に記載する」と定めており、「実際にお金を出した人」を書くことを求めていない。3月13日の日本テレビ番組で、宮崎哲哉氏が「献金が西松建設からのものであると認識していれば違法」と間違った発言をしたが、郷原氏が直ちにその誤りを指摘した。

小沢代表サイドは上記した二つの政治団体からの献金を西松建設からの献金であると認識していたのではないかと多くのテレビ出演者が指摘し、田原総一郎氏などは懸命に「うそをついた」との印象を視聴者に植え付けようとしているが、小沢氏がこの点について、慎重な発言を示していることには理由がある。

今回、東京地検特捜部は無理な摘発をした。郷原氏は検察の行動を「検察史上に残る大失敗捜査」と断罪している。小沢代表秘書を突然逮捕する正当な理由は存在しない。小沢代表秘書の事務処理は合法であると見るのが適正な判断であろう。それを無理に立件した。

 

検察は、上記した「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」の二つの政治団体が、「まったく実体のない架空団体」であると認定したうえで、小沢代表秘書が「実際に資金を出した者」が西松建設と知っていたと認定し、「虚偽記載」の罪を追及した。犯罪の構成要件の確保に無理があると見られるのだが、この点を踏まえれば、小沢氏サイドは安易に「資金供出者が西松建設だと知っていた」とは言えないのだ。これは、権力から自分自身を防御するための正当な行動である。

小沢氏サイドの「裏献金」、「収賄」、「あっせん利得」などの罪を問うことができるのではないかとの「見込み捜査」による「別件逮捕」であった可能性が高い。郷原氏は地検特捜部が政治資金規正法が定める「会計責任者の選任及び監督」の責任を小沢代表に問うことを念頭に入れていた可能性を指摘するが、郷原氏は法律解釈上、小沢氏の責任を問うことは困難であるとの見解を示している。

3月8日のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」には、偶然田中真紀子議員が出演することになり、小沢氏の秘書逮捕問題を論じることになった。小沢氏の代表辞任を誘導しようとする田原総一郎氏に対して田中議員は、「民主党と日本の国民がどれだけマチュアであるかが試される」と発言した。田中真紀子氏は小沢氏の秘書逮捕が政治謀略である可能性を示唆し、したがって小沢代表が辞任する必要はまったくないことを強調した。

ネット情報では、私を含めて少なからぬ人々が「小沢氏は辞任してはならない」との論陣を張った。これまでのところ、上記の経緯やこうした努力が功を奏して、政治謀略が未達成の状況が生じている。

本年5月21日から裁判員制度が開始される。今回の問題は裁判員制度の開始を目前に控えるなかで、裁判員制度に大きな課題を投げかけるものである。

裁判員制度については、法曹からも重要な問題点が指摘されている。

裁判員制度と知る権利 裁判員制度と知る権利

著者:梓澤 和幸,田島 泰彦
販売元:現代書館
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梓澤和幸・田島泰彦両教授編著『裁判員制度と知る権利』が、裁判員制度の問題点を鋭く、かつ、極めて分かりやすく指摘している。同書は「司法問題と報道」に関する第一人者である気鋭の弁護士、研究者、ジャーナリストによる共著である。

同書まえがきには、「本書は法律専門家でない一般の人々に、出来るだけ平易に制度の概要を解説し、批判的コメントを加え、可能な限り実践的対応の提言を試みた。同時に、裁判の公開、知る権利の観点から見た裁判員制度の問題点を解明した。」とある。

全十章の構成で、末尾には新しい刑事手続きの問題点についての座談会の記録も付されている。小沢代表秘書逮捕の問題でも、真偽が明らかでない検察リーク情報が一方的に報道され、一般国民の問題に対する判断に重大な影響を与えたことは間違いない。

田原総一郎氏が検察捜査と報道姿勢を問題にするなら、その是正を迫るべきで、その論議の帰着点を小沢氏の代表辞任とする点に、田原氏のいかがわしさと本性がいかんなく発揮されている。

 

真偽の定かでない一方的な検察情報をメディアが無責任に流布し、世論が特定の方向に誘導されるなら、裁判員制度の下での公正な裁判はまったく実現しない。梓澤教授が指摘されるように、「公判前整理手続き」が非公開で、ここで裁判の方向が定められてしまうと、実際の裁判はすでに敷かれたレールの上だけを歩かされる「形骸化」したものにならざるを得ない。

 

上記著書では、
一.裁判員制度と表現の自由 田島泰彦 
三.刑事裁判の現状から裁判報道の意義を問い直す 坂井 眞
五.公判前整理手続きと知る権利 梓澤和幸
六.捜査段階の取材と報道 日隈一雄
七.弁護人の報道機関への関わり方について 飯田正剛
八.裁判員法と守秘義務 真田範行
など、極めて重要で興味深いテーマについて、非常に分かりやすい示唆に富む指摘が示されている。

映画「それでも僕はやっていない」が描き出したように、痴漢冤罪事件はいつ誰の身に降りかかるかも知れない惨事である。ひとたび事件に巻き込まれれば、人権は蹂躙され、さらに個人の尊厳、人権が無責任で一方的な報道により侵害されてしまう現実がある。

そして、この報道が政治権力によって完全支配されつつある現実が存在している。また、政治権力が政治的な目的を実現するために、警察や検察権力を利用するとの、恐ろしい現実も浮かび上がっている。

民主党は「取り調べ過程の全面可視化」を法定化する刑事訴訟法改正案を社民党と共同で参議院に再提出した。私が巻き込まれた事件では、まったく存在しない警察官発言が捏造され、証拠として採用された。取り調べの全過程が可視化されなければ、警察による「犯罪の捏造」が今後も放置されることになる。

「取り調べ過程の全面可視化」とは、取り調べの模様をすべて、録画ないし録音することで、諸外国ではその完全実施が常識とされている。この制度の実施に反対しているのが警察、検察である。小沢氏に対する攻撃は、民主党が「取り調べ可視化」を推進していることに対する攻撃であるとの見方も存在する。

警察、検察、裁判、報道、刑事手続きを、自分とは関係のない別の世界の問題とする時代は終わった。梓澤和幸教授は、
「たった一人であっても、無辜(むこ)の個人が公権力によってその生命や自由を不当に侵されることはあってはならない。
 
公権力の作用は絶対的に市民の監視にさらされ続けなければならない。」
ことを強調する。

西松建設献金事件は、はからずも、現代日本の警察、検察、裁判、刑事手続き、事件報道、そして国策捜査、不正権力濫用などの問題に対する国民の関心を呼び起こす結果を招いた。

裁判員制度の実施を目前にするなかで、多くの国民が上記啓蒙書などをひもとき、これらの問題について、真剣に考え、より望まし制度を考察することが強く求められている。

知られざる真実―勾留地にて― Book 知られざる真実―勾留地にて―

著者:植草 一秀
販売元:イプシロン出版企画
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1000☆本☆Knockkenmai様が拙著『知られざる真実-勾留地にて-』についての感想を記してくださった。拙著にも刑事裁判の実態と真相を記した。合わせて参照いただければ幸いに思う。

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