東京中央郵便局視察鳩山総務相を攻撃するメディアの偏向報道
鳩山総務相が東京駅前の東京中央郵便局の建て直し現場を視察した。国会で東京中央郵便局の建物が重要文化財級の価値があることから、建築着工に対して総務相が待ったをかけていた。
現場では、すでに工事が着工されており、鳩山総務相が怒りを爆発させた。テレビメディアは一斉に鳩山総務相の現地視察を報道し、番組コメンテーターが示し合わせたかのように、鳩山総務相批判の大合唱を繰り広げている。
鳩山総務相は金儲け主義を批判し、文化財の保護重視を主張している。日本郵政は外観を保存して高層ビル建設を進めると説明しており、ほとんどのコメンテーターが日本郵政の行動を擁護する。
文化財としての価値が大きい建造物をどのように取り扱うのかについては、賛否両論があるだろう。東京駅前一等地の有効活用の重要性は理解できるが、東京駅丸の内の赤レンガ駅舎は文化財の価値を重視して保存されている。東京駅そのものを高層化すれば経済効率は高まるだろう。しかし、東京駅赤レンガ駅舎は文化財として保護されているのだ。
東京駅前郵便局の再開発に際しては、もうひとつ重要な論点を見落とすことが出来ない。むしろ、この問題が核心である。
マスメディアが一斉に鳩山総務相批判を実行しているのは、「郵政民営化見直し」論議を封殺するためであると考えられる。「かんぽの宿」疑惑が拡大すれば、「郵政民営化」が「郵政利権化」、「郵政米営化」であるとの実体が国民に知れ渡ってしまう。郵政利権の刈り取りの時期にさしかかっての「民営化逆戻り」を絶対に阻止しなければならない勢力が存在するのである。この「闇の勢力」がマスメディアを支配している。
問題の核心は、日本郵政が国民の貴重な財産およびその財産を活用して実行する巨大事業を私物化している疑惑が浮上していることなのだ。
「かんぽの宿」疑惑の核心は、今回売却対象になった「かんぽの宿」79施設が、郵政民営化法策定段階から、特定業者に安値売却するために期限付きの売却規定が設けられていたとの、国民に対する大がかりな背任行為が画策されていたとの疑惑にある。
唐突に「かんぽの宿」売却が日本郵政株式会社法附則に盛り込まれ、2006年3月以降、「かんぽの宿」の簿価が急激に引き下げられた。政府の承継財産評価委員会にオリックス関係者が調査部会委員として送り込まれた。日本郵政では西川善文社長に直結する最高幹部が「かんぽの宿」売却を取り仕切り、極めて不透明なプロセスを経て、不当に低い価格でオリックス不動産に売却することが決定された。
国民、国会、所管官庁の目の届かないところで、日本郵政が国民財産を私物化する行動を取ったとの疑惑が、多くの確証とともに浮上していることが問題なのだ。
東京、大阪、名古屋、福岡など、全国の駅前一等地郵便局の再開発事業が始動しているが、いずれも巨大プロジェクトである。巨大プロジェクトは巨大利権に言葉を置きかえても良いだろう。
「かんぽの宿」売却が国民の利益最大化という最重要の目的を無視して、特定の利害関係者の利益を生み出す形で進められていたとするなら、巨大プロジェクトの業者選定、発注に際しても、同様の行動が存在しているとの疑惑を払拭することが出来ない。
竹中平蔵氏は株式会社形態に移行することを「民営化」と呼び、「民営化」とは民間の経営にゆだねることであり、政治は「民営化」された日本郵政の経営に口を出すなと主張する。政治が日本郵政の経営に介入することは「根本的に誤っている」と主張する。
竹中氏は、著書『構造改革の真実』のなかで、日本郵政社長に西川善文氏を選出したことで、「これで西川氏に、経営のすべて、民営化のすべてが委ねられることになった」(239ページ)と述べている。
政治、国民、所管官庁の監視を許さず、株式会社化した日本郵政は好き勝手に何をしようと自由だと竹中氏が考えているとすれば、それは大きな間違いである。巨大資産を保有する日本郵政で「かんぽの宿」のような行動が全面的に繰り広げられることは断じて許されないのだ。
日本郵政は株式会社化されたものの、その株式の100%を政府が保有している。日本郵政は正真正銘の国有会社、国営会社なのだ。日本郵政トップが関与する事業に不透明な部分が浮上したのであるから、巨大プロジェクトについても、一時的に凍結し、不透明な部分を払拭することが優先される。
事業凍結によるロスが生じるだろうが、巨大な不正がまかり通るリスクと比較すれば、払わねばならないロスであり、公明正大な事業を実施するためのコストと考えるべきである。
東京駅前郵便局建て替え工事視察をめぐるマスメディアによる鳩山総務相集中砲火の不自然さを、われわれは敏感に感じ取らなければならない。鳩山総務相は郵政公社時代の不動産売却関係資料のすべての提出を日本郵政に要請した。この重大な記者会見をNHKは伝えたが、民放は取り上げていない。マスメディアの誘導に騙されてはならない。
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「かんぽの宿問題」でのマスコミの報道を見ていると
日本郵政の第三者検討委員会が設置されてから、あたかもこの委員会で公正な検証がなされる様な論調が目に付く。
オイラ的にはそこがどーも引っ掛かっていたのだが…疑問解消!
川端 和治 (かわばた よしはる)
1945 年生まれ。弁護士・大宮法科大学院大学教授。1970年弁護士登録。現在文部科学省中央教育審議会専門委員(大学分科会)、法務省政策評価懇談会委員、朝日新聞社コンプライアンス委員会委員。元第二東京弁護士会会長、元日本弁護士連合... [続きを読む]
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