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2009年3月 6日 (金)

国策捜査と情報操作がまかり通る暗黒国家日本

自民党政権は、総選挙を目前にしたタイミングで次期首相に就任する可能性が最も高い人物にターゲットを絞り、不透明な部分の多い強制捜査を実行したと考えられる。検察、警察は行政部門に属する組織であり、広い意味での意思決定のトップには内閣総理大臣が位置する。

内閣のなかで行政官庁を統括する職務が事務の内閣官房副長官である。官僚組織のトップに位置する職務である。麻生首相は霞ヶ関を統括する事務の内閣官房副長官に警察庁長官を務めた漆間巌氏を任命した。麻生内閣は「警察国家」の色彩を強めている。

小沢一郎氏の秘書は西松建設が政治団体を通じて行った献金が、西松建設からの献金であると認識して受け取ったとの嫌疑をかけられている。認識の問題が問われている。

小沢一郎議員の政治団体が西松建設の政治団体から献金を受け入れたことについて強制捜査を受けたが、まったく同じ形態で献金を受けた国会議員の政治団体が自民党に10団体も存在する。献金リストは3月5日付記事「選挙妨害に見える国策捜査は世論操作に逆効果」に掲載した。

3月5日、6日になって驚くべき情報が報道された。

ひとつは、政府高官が「今回の疑惑追及が与党に波及することはない」と明言したと報道されたことだ。

いまひとつは、西松建設と小沢一郎氏の事務所との間で献金額などの詳細を話し合っていたのは、逮捕された大久保氏ではなく、大久保氏の前任の秘書であったとの報道がなされたことだ。

「きっこのブログ」様が指摘されるように、逮捕された大久保氏は、現在、接見禁止の措置が取られて取調べを受けている。大久保氏がどのような話をしているのかは、捜査当局と接見している弁護士しか知りえない。

私が冤罪事件で逮捕、勾留された際には、マスメディアによる虚偽情報に加えて、山口正洋氏が、私に接見した事実もまったく存在しないのに、「債券・株・為替中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら」に事実無根の捏造記事を掲載してネット上で重大な情報誘導を行なったため、大変な迷惑を蒙った。

山口氏は昨年、山口氏のブログ記事を福島中央テレビの男性アナがブログに盗用したことを訴え、訴訟提起も辞さないとの発言を示した。毎日新聞、産経新聞、朝日新聞は山口氏を賞賛する記事を掲載、あるいは雑誌連載を行っていたため、私は内容証明郵便の送付、または本ブログを通じる意見表明により、お詫びと訂正、新聞社としての適正な対応を求めたが、山口氏をはじめ、すべての関係者が頬かむりをしたままである。

話が横道にそれたが、接見禁止の取り扱いを受けている被疑者の発言は捜査当局がリークしない限り、表には出てこない。捜査当局は世論誘導を図るために情報をリークするが、3月5日記事に記述したとおり、その内容には虚偽がふんだんに盛り込まれている。

「きっこのブログ」様が「関係者の話」の胡散(うさん)臭さを指摘されているが、指摘の通りである。「関係者の話」としておけば、メディアは無責任な内容を記述したい放題になる。

この意味で、連日、マスメディアが大きく取り上げるさまざまな「リーク情報」には、十分な警戒感をもって接しなければならない。私が巻き込まれた冤罪事件の場合、メディアが流布した虚偽報道のごく一部を対象に訴訟を提起したが、メディアが裏づけをまったく取らないまま情報を流布した実態が明らかにされた。

「政府高官が今回の疑惑が与党に波及することはない」と発言したとの報道についても、その真偽を確かめる必要があるが、ネット上ではこの政府高官が漆間巌官房副長官ではないかと伝えられている。仮に、この発言が事実だとすれば、今回の措置が「国策捜査」であることが明白に裏付けられることになる。

しかし、仮に与党にも捜査が波及したとしても、次期首相候補NO1の小沢一郎氏周辺を標的にすることと、与党議員をターゲットにすることとの間には天と地の差が存在するのであり、「国策捜査」の疑いはまったく晴れない。

むしろ、自民党の一部にも問題を波及させることにより、「国策捜査」批判をかわすとの戦術が取られることも想定される。したがって、自民党議員への波及が生じたからといって、「国策捜査」疑惑を否定することはできない点に注意が必要だ。

「国策捜査」とは、政治的な背景をもって司法・警察権力が活用されることを指す。小泉政権発足後、この意味での「国策捜査」が積極的に活用されてきたことは、紛れもない事実だと私は判断している。

与党議員は民主党が「国策捜査」批判をすることについて、「民主党が政権を獲得したら、国策捜査を実行することを表明しているようなもの」だと批判する。このことは、与党のなかに、政権交代が生じる場合、悪事が白日の下に晒(さら)されて罪を問われることを心配する議員が多数存在することを自白しているようなものだ。

民主党が政権を獲得する場合、新政権は「国策捜査」を実行するのではなく、「国策捜査」の疑いがある過去の事案について、徹底的な真相解明を実行するのだと考えられる。その「真相解明」によって、問題が明確になれば、適切な対応が取られなければならない。

また、政治力によって隠蔽されてきた重大な犯罪事実が存在するなら、法の正義に基づいて、適正な対応が取られることになるだろう。与党議員は、政権交代が生じる場合の、新政権のこのような適正な法の運用を強く恐れているのだと考えられる。

日本国憲法は内閣総理大臣に行政権を委ね、また裁判所人事についても内閣に基本的な任命権を付与している。その結果、日本の議院内閣制においては、内閣総理大臣の制度運用の手法によっては、内閣総理大臣が三権を掌握してしまう危険性が内在していると言わざるを得ない。この問題は、いずれ、根本的に再検討される必要があると思われる。

小沢氏の秘書にかけられている嫌疑が、単に企業からの献金を政党支部でなく政治団体で受け入れたというものであるなら、今回の検察の対応、マスメディアの対応は常軌を逸していると言わざるを得ない。与党議員に対しても「法の下の平等」に基づく適正な対応が求められる。

マスメディアは小沢代表秘書の大久保氏が、西松建設に請求書を出していた、あるいは献金額を話し合っていたとの報道を繰り返したが、3月6日になって、そのような行動を取っていたのが大久保氏ではなく、前任者であるとの情報が浮上した。

前任者とは高橋嘉信元衆議院議員であると見られる。すでに「宮崎信行氏のブログ」「カナダde日本語」の美爾依さんが高橋氏に関する詳しい情報を提供してくださっている。高橋氏とは私も面識があるが、元々は小沢代表の秘書をされていた人物だが、現在は小沢氏と敵対する位置に立っている。

次期総選挙では小沢氏の所属選挙区である岩手4区から自民党公認候補として立候補する予定である。ここから先は推測になるが、今回の一連の捜査は、小沢氏を政敵とする自民党公認候補である高橋氏サイドからの情報提供が出発点になっている可能性がある。「政治的謀略」の匂いがもとより強く立ち込めている。

麻生首相は「マキャベリ」の権謀術数から学ぼうとしているのかも知れないが、権謀術数の底が浅いと、すぐに目的、手口が明らかになってしまう。

西松建設が東北地方での事業拡大を期待して献金をしてきたと述べていると伝えられているが、企業の献金は基本的に利潤動機に基づいているだろう。政党助成金制度を拡充したのであるから、企業献金を全面的に禁止することを検討するべきではないのか。

日本経団連会員企業が自民党に1年間に29億円も企業献金を行っているが、その結果として、自民党が発表する政策には、ハイブリッドカーに対する巨大な補助金政策、エコ事業に対する巨大な補助金政策が盛り込まれているのではないか。

マスメディアの行動に二つの目に付く点がある。ひとつは、西松からの献金を受け入れたことを「受託収賄」の印象を伴って報道する傾向があることだ。このことは昨日付記事に記述した。本日、小沢代表が記者の質問に、「収賄のような伝えられ方をしているのは遺憾」との趣旨の発言を示していたが、当然のコメントである。

いまひとつは、マスメディアが民主党内の「反小沢勢力」の言葉だけを拾って強調して報道していることだ。

これまで、本ブログで記述してきたように、民主党内には「市場原理主義」と「対米隷属外交」を基軸とし、自民党内の「小泉竹中一家」と通じる勢力が存在する。これらの勢力は民主党内で、小沢氏からの権力奪取を虎視眈々と狙っている。マスメディアは民主党内の反小沢勢力の発言を誇大報道し、小沢氏辞任の世論操作を懸命に展開しているのだと考えられる。

「悪徳ペンタゴン」勢力にとって、当面の最大の目標は小沢一郎氏の影響力排除である。政権交代を恐れる「悪徳ペンタゴン」勢力にとって、最大の脅威は小沢一郎代表なのである。小沢一郎氏が代表を辞任して、「小泉竹中一家」と通じる人物が民主党代表に就任すれば、「悪徳ペンタゴン」の目的は達成されるのだ。

問われているのは、国民の賢明さと、民主党議員の見識である。国策捜査の主張を躊躇する民主党議員が多数存在するが、警察・検察権力が政治的に利用されているのは覆い隠すことのできない真実であると考えられる。

国の命運を定める総選挙を目前にしての、驚くべき国家権力の行使に対して、民主党は腹をくくって正々堂々の闘いを展開するべきであると思われる。一般国民が偏向メディアの土石流のような情報操作によって影響を受けることは回避しがたいが、国民に真実の情報を伝達する努力を全力で注ぐべきである。

日本の命運が不当な権力行使と不正な情報操作によって歪められることを、何としても阻止しなければならない。

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