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2009年2月 7日 (土)

「かんぽの宿」&「4分社化見直し」封殺を目論むマスゴミ報道規制

民主党の原口一博議員、社会民主党の保坂展人議員が2月6日の衆議院予算委員会で「かんぽの宿疑惑」を追及した結果、日本郵政の西川善文社長はオリックスへの「かんぽの宿」一括売却について、「白紙撤回することもありうる」と述べた。

貴重な国民資産が不透明なプロセスによって、特定業者に不当に低い価格で譲渡されることが回避される見通しがついた。この点で鳩山総務相の行動は高く評価される。しかし、問題究明は始まったばかりだ。疑惑の全面解明を実現しなければならない。

テレビ、新聞のマスメディアは、「かんぽの宿疑惑」が拡大して、「郵政民営化」に対する根本的な見直し論議が高まることを警戒する、異常な報道体制に移行している。

麻生首相「郵政民営化の4分社化について見直すべき時期に来ている」、「個人的に郵政民営化に賛成ではなかった」と国会答弁で述べた意味は極めて重い。「4分社化の見直し」は首相が明示した方針になった。また、「郵政民営化に賛成ではなかった」と明言したことから、郵政民営化選挙によって獲得された衆議院の多数議席を活用した3分の2条項による再可決手法は利用できなくなった。早期の衆議院解散の可能性が高まったと言える。

「かんぽの宿」のオリックスへの一括売却が、西川善文日本郵政社長が当初述べたように、「公明正大な競争入札」が実施され、「疑わしい部分がまったくない」ものなら、関係資料、およびプロセスをすべて開示して、「公明正大さ」を国会で十分に説明すればよいだけだ。

総務相は当初から、プロセスに不透明な部分があることを問題にしたのであって、不透明な部分が全面的に解消されても職権を濫用して「白紙撤回」を強行するなどと発言していない。

国会での問題究明が始まった途端、西川社長が自ら「白紙撤回」の可能性を表明したこと自体が、「プロセスの不透明性」を告白したようなものである。

日本経済新聞産経新聞朝日新聞は、一括売却が「入札」によって公明正大に実施されたのであり、総務相が横やりを入れるのは不当であるとの論説記事を掲載した。

朝日新聞はその後、報道の路線を若干軌道修正したが、産経新聞、日本経済新聞は、依然として日本郵政擁護の報道姿勢を維持している。

産経新聞は2月6日付で「日本郵政“四面楚歌” かんぽの宿で膨らむ赤字」と題する記事を掲載して、一括譲渡を白紙撤回する方針について批判を続けている。

また、日本経済新聞は2月7日付で「「かんぽの宿」一括譲渡「白紙に」、郵政、赤字事業譲渡仕切り直し」と題する記事を掲載し、「政治圧力による経営への介入」を強く批判している。こうした腐敗したマスコミの体質が、日本を誤った方向に導く一因になってきたことを、改めて見つめ直す必要がある。

テレビ朝日「報道ステーション」は、2月6日放送で、MCの古舘伊知郎氏が必死の形相で、「かんぽの宿疑惑」と「郵政民営化」はまったく別のものだから、「かんぽの宿」問題を「郵政民営化見直し」論議につなげてはならないと、懸命に主張を展開した。

日本テレビ「NEWS ZERO」は、2月2日とほぼ同様に、年間30-40億円の赤字を発生させており、3200人の雇用を維持しなければならない事情があり、そのなかで「事業譲渡」の入札が今回のような形で実施されたことには、特に問題があったとは考えられないとの説明を繰り返した。赤字規模については以前の放送よりも小さな数字が紹介されたように思う。

「年間赤字の実態が不透明であること」、「雇用維持の条件が不明確であること」、「入札経過を調べ始めた途端に疑惑が一気に浮上していること」については一切触れずに、国会審議ですでに破綻してしまっている日本郵政サイドの説明だけを繰り返した。「偏向報道」もここまで来ると告発が必要になってくると思われる。赤字は「低料金」と「減価償却費」が大きな要因と考えられる。郵政公社時代の詳細な財務データを国会に提出させなければならない。

2月6日の衆議院予算委員会はNHKが中継しなかったが、質疑の中で西川社長が明確に「一般競争入札ではなかった」と明言している。このような重大な事実を報道もせずに、日本郵政サイドの説明だけを繰り返すことが許されるはずがない。また、NHKは予算委員会質疑を完全放送するべきだ。NHKが公共放送としての役割を果たさぬなら、NHKを民間放送に移行させるべきである。

2月7日の情報報道番組では、「かんぽの宿疑惑」がほぼ全面的に無視された。

①「かんぽの宿」の「入札」が「一般競争入札でなかった」こと、
②麻生首相が「4分社化がよいのかどうかを見直すべき時期に来ている」と国会答弁で明言したこと、
は、報道情報番組がトップニュースとして扱うべき重大さを帯びている。

 2月7日午後9時からTBS「ニュースキャスター」が「郵政見直し政局について緊急激論」と題して、橋下徹大阪府知事、東国原宮崎県知事を出演させて討論を行なう。「郵政民営化」の「時計の針を逆戻りさせることは間違いである」との方向が誘導される可能性が高い。「見直し派」の強力な論客を同数出演させなければ、公平な討論は行われない。

 マスメディアが常軌を逸した偏向報道を展開することが、「郵政民営化」の深い闇を如実に物語っている。「かんぽの宿疑惑」により、「郵政民営化が規制改革利権と結びついているとの疑い」が浮上したことは間違いない。国会で野党三党がプロジェクトチームを編成して、予算委員会での集中審議を求め、与党の閣僚が重大な問題であるとの認識を示している。

 国民は確かに2005年9月の総選挙で小泉自民党を大勝させたが、2007年7月の参議院選挙では与党を大敗させた。その後、「派遣切り問題」が表面化して、小泉竹中政治に対する抜本的な見直し気運が広がっているのが現状である。

 マスメディアが国民的な論議を妨げるように、「郵政民営化の見直しなど言語道断」と頭ごなしに論議を封印する姿勢はあまりにも不自然である。

 マスメディアの常軌を逸した報道姿勢は、「郵政民営化」の実態が「郵政利権化」もしくは「郵政米営化」であることに国民が気付いてしまうことを避けるために取られていると思われる。

 テレビ番組は「かんぽの宿」報道を封じ込められなくなると判断して、報道に踏み切った。その狙いは、日本郵政サイドの説明を浸透させることにあった。フジ「サキヨミ」日テレ「NEWS ZERO」TBS「久米宏のテレビってヤツは!?」などがその一例だ。

 ところが、日本郵政の西川社長があっという間に国会で陥落(かんらく)してしまった。そのタイミングで麻生首相が「4分社化見直し」まで発言し始めた。日本郵政サイドの説明は崩れ、「4分社化見直し」にまで問題が広がる可能性が生まれ始めた。メディアは問題の鎮静化をはかるために、再び報道規制を敷き始めたのではないか。

日本経済新聞の記述を以下に一部引用する。
1年間かけて進めてきた赤字事業の売却が仕切り直しになり、年間50億円規模の赤字の垂れ流しも続くことになる。政治圧力による経営への介入が強まれば、民間の発想で効率とサービスを向上させる郵政民営化の後退につながる恐れが大きい」

サイトには記述がないが本紙を見ると、
「ホテルや旅館など事業用物件の価値はそこで生み出される収益から割り出されるのが不動産取引の常識。お金をいくらつぎ込んだ施設でも、収益が上がらない物件の価値は高くならない」
とある。

とても、経済専門紙とは思えない幼稚な記述である。経済学の基礎的知識をも持ち合わせない人材が記事を執筆し、経済専門紙と謳っているとしか思えない。赤字の内容を詳細に分析しなければ、赤字が垂れ流されるのかどうかを判定することはできない。

株価理論でも、通常は企業が生み出す利益水準が理論株価算出の基礎になる。ただし、この場合、問題になる「利益」は「定常状態での利益」である。特殊な要因で企業が赤字を計上しても株価はゼロにならない。「赤字」を「定常状態」と捉えないからだ。

また、一株あたり解散価値が株価の下限になる。企業が赤字を計上していても、不動産などを保有しており、純資産を保有している場合には、資産価値が株価決定の下限を決定すると考えられる。

鳥取県岩美町の「かんぽの宿」は利益水準からの判断で評価額が「ゼロ」と評価されたのだろうが、6000万円で市場で売却された。資産それ自体の価値が不動産価格の下限を決定する要素になる。

「ラフレさいたま」を含む「かんぽの宿」70施設+首都圏社宅9施設の譲渡価格109億円は、明らかに低すぎる。日本郵政はさまざまな付帯条件を付けたが、付帯条件に適合したのが「オリックス不動産」だったのではなく、「オリックス不動産」の希望に適合する付帯条件が設定されたのではないかと考えられる。

全容を解明するための最初のキーパソンになると見られるのが、日本郵政株式会社執行役の伊藤和博氏である。この点については、回を改めて記述する。

「郵政利権化」の基本構造を、2月2日付記事「「かんぽの宿疑惑」報道を封殺する巨大な闇の力」に記述した。

この問題についても、改めて詳しく論じるが、要約すると以下のようになる。

郵政三事業を「ちょきん」、「かんぽ」、「郵便」、「郵便局」の4社に分社化する。「ちょきん」、「かんぽ」は「資金」だけの「丸裸」状態の会社とする。「郵便」には郵便業務に必要な最小限度の資産を帰属させる。これ以外の資産はすべて、「郵便局」または持株会社の「日本郵政」に帰属させる。

「ちょきん」と「かんぽ」を丸裸にするのは、350兆円の資金を低価格で掌握できるようにするためだ。また、「ちょきん」、「かんぽ」からの資金流出も促進される。

「郵便」と「郵便局」を「日本郵政」にぶら下げて株式を上場させた上で、いずれ時期を見定めて「郵便」を切り離す。「郵便」を切り離した「日本郵政」はもはや「日本地所」である。外国資本は安い価格の「日本郵政」を買い取り、高い価格の「日本地所」を売り抜けるのだ。また、株式会社運営の下での透明性のない事業活動によって、今回の「かんぽの宿」売却のようなディールを展開する。

これが「郵政利権化」のシナリオであると考えられる。

だから、「4分社化の見直し」が必要であり、まずは「日本郵政」株式の上場を凍結しなければならないのだ。

逆に言えば、「郵政利権一族」は、ここで「4分社化見直し」や「日本郵政株式上場凍結」などの事態が発生することを、死に物狂いで阻止しようとする。

マスメディアの異常行動の深層を洞察しなければならない。

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