「かんぽの宿」詭弁を弄する竹中氏と「郵政利権化」の策謀
「目からウロコの、ホンモノ探し」様、「こづかい帳」様、「パタリ」様、ありがたいお言葉をありがとうございます。『あの金で何が買えたか』の竹中氏の記述は、機会があれば紹介いたしたく思います。「かんぽの宿疑惑」を徹底究明できれば、国民にとって「目からウロコが落ちる」成果を得ることができると思います。
「郵政民営化」の実態が「郵政利権化」=「郵政米営化」であることを国民は正確に知らなければなりません。そして、巨大な国民資産の「私物化」を阻止しなければなりません。「利権勢力」は死に物狂いで実態解明を阻止しようとすると考えられます。「草の根」の力を結集しなければならないと思います。
麻生首相が昨年9月の総裁選で「郵政民営化は私の担当だった」と発言したことを最初に伝えられたのは、「低気温のエクスタシーbyはなゆー」様であるとのことでした。はなゆーさんのブログからは、いつも貴重な情報をいただいております。「雑談日記(徒然なるままに、。)」様には、貴重なご指摘をいただきましてありがとうございました。
竹中平蔵氏が「かんぽの宿」一括売却の正統性を訴える詭弁を弄し続けているが、いよいよ鮮明になる疑惑に何も答えることができていない。
偏向報道を続けるテレビ局が竹中氏に詭弁演説会の機会を無尽蔵に提供しているが、竹中氏がそれほど説明したければ、衆参両院の予算委員会に参考人として出席することを志願すればよい。偏向テレビ局の「出来レース」演説会ではない、国会の質疑に堪えられると考えるなら、ぜひ参考人として国会で演説会を行ってほしい。すでに参議院予算委員会では石井一議員が参考人招致を要請したので、何回でも参考人として登院していただきたい。
竹中氏の反論のポイントは以下の5点である。
①「かんぽの宿」は1年に40億円も赤字を出している「不良債権」である。
②「2400億円投じた資産を100億円で売る」のが問題なのではなく、「100億円の価値しか評価されないものに2400億円もの資金を投じた」ことが問題なのだ。
③「かんぽの宿」売却価格が低いのは「雇用維持」を定めた国会決議があるからだ。
④「かんぽの宿」一括売却先は「競争入札」によって決められたことで、疑義をさしはさむ余地はない。
⑤「民営化」した企業の経営判断に政治が介入することは根本的な誤りだ。
④、⑤については、すでに決着がついている。
問題が拡大した最大の背景は、一括売却先決定が極めて不透明であることだった。公明正大なプロセスが取られていれば、そもそも問題は生じていない。日本郵政の西川社長が国会で虚偽答弁したことも明らかになった。
「一般競争入札ではなかったこと」と「最終選考に応募したのが1社しかなく、日本郵政が存在しない架空の入札価格を創作して発表したこと」がすでに明らかになっている。
竹中氏は「民営化」した企業の経営判断に政治が加入するのは根本的な誤りだとするが、「民営化」をはき違えているのではないか。日本郵政は株式会社形態に移行したが、株式は100%政府が保有している。現段階では国有会社である。「民営化」はまだ実現していない。
株式が民間保有になった時点で「民営化」されたと言えるのだ。竹中氏が「株式会社形態に移行すれば、その瞬間から好き勝手に「私的利益」を追求して構わない」と考えて、実行に移していたとするなら大間違いだ。
郵政民営化法には以下の規定がある。
第十四条 会社は、総務大臣がこの法律の定めるところに従い監督する。
第十五条 総務大臣は、この法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。
3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
日本郵政は100%政府出資の国有会社である。したがって、日本郵政保有資産は完全なる「国民資産」であって、政府、国会、国民は、日本郵政の行動を監視する義務と責任を負っている。
日本郵政の資産売却に不透明な点があるとき、所管大臣の疑問を明らかにしようとする行動を「根本的に誤っている」と批評する人物が、「郵政民営化」を取り仕切ってきたことは驚きを超えて恐怖である。
「かんぽの宿疑惑」を解明する鍵は、
①毎年40-50億円の赤字が持続するとされる収支構造
②約100億円と評価した政府の「承継財産評価委員会」の財産評価
③「雇用維持」に関する規定
である。
今後、国会が「かんぽの宿」に関するすべての資料提出を求めることになるだろう。国会には国政調査権がある。日本郵政は100%政府出資の国有会社である。国会はすべての資料を請求する権利を持つ。日本郵政はすべての資料を国会に提出する義務を負っている。
「かんぽの宿」の評価額が低くなった根拠として「赤字」があげられているが、財務データの詳細を見なければ、赤字の実態が分からない。「料金設定」にも大きな原因があると考えられるし、「減価償却費」の取り扱いが極めて重要だ。「効率経営」の余地がどの程度あるのかもポイントである。
鳥取県岩美町や鹿児島県指宿市の「かんぽの宿」の事例が如実に示すように、収支から算出する資産価値と、不動産そのものの財産価値はまったく異なる。収支からの評価が「ゼロ」であっても、6000万円で買い手がつくことがこのことを表している。
「かんぽの宿」を、売却以前の諸条件を完全に維持することを条件にして売却するときにだけ、収支をベースにした資産評価額が売却価格の基準になる。「減価償却費も不変」、「料金設定も不変」、「効率経営も禁止」などの条件が付けられて売却が進められていたのなら理解できなくもない。
政府の承継財産評価委員会委員にオリックス関係者である奥田かつ枝氏が名前を連ね、調査部会の委員を務めた。この奥田氏がどのような役割を果たしたのかを明らかにしなければならない。奥田氏にも参考人として国会での証言を求める必要があるだろう。
「雇用義務」がもうひとつのポイントだ。郵政民営化法可決に際して、国会は附帯決議を行っている。この「附帯決議」のなかに「雇用」に関する記述が含まれている。「附帯決議」十一に以下の記述がある。
十一、 職員が安心して働ける環境づくりについて、以下の点にきめ細やかな配慮をするなど適切に対応すること。
①現行の労働条件及び処遇が将来的にも低下することなく職員の勤労意欲が高まるよう十分配慮すること。
②民営化後の職員の雇用安定化に万全を期すること。
③民営化の円滑な実施のため、計画の段階から労使交渉が支障なく行われること。
④労使交渉の結果が誠実に実施されること。
⑤新会社間の人事交流が円滑に行われること。
「かんぽの宿」売却に際して、この国会決議がどのように影響したのかを明らかにしなければならない。また、公社時代に閉鎖した「かんぽの宿」における雇用問題への対応を確認することも必要だ。
日本郵政はメリルリンチ日本証券とアドバイザー契約を結び、これまでに1億2000万円の手数料を払うとともに、成功報酬として6億円の支払いが保証されていたことが明らかにされている。
「かんぽの宿」を売却するのに、これほどの資金を投じてアドバイザーを雇う必要はない。政府が日本長期信用銀行をリップルウッドに売却した際も、政府はゴールドマン・サックスに多額のアドバイザリー・フィーを支払った。しかし、この売却先は日本政府にとって、最善の売却先ではなかった疑いが濃厚である。「不正入札」の疑いが存在する。関係資料がすべて明らかにされていないため、確定は出来ないが、いずれ明らかにする必要がある。詳細は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』を参照されたい。
「雇用維持義務」を含めて「かんぽの宿」の売却条件を明確に定めて、文字通り「公明正大な」一般競争入札を実施すればよかっただけだ。条件設定に際して、外部専門家のコンサルティングを活用する程度の行動は認められるだろうが、日本郵政は高い給与を支払っている従業員を多数雇用しているのではないか。米系証券会社に6億も7億も相談料を払うとの契約も疑惑の対象である。
「雇用維持」が不正売却を実現するための「かくれみの」として活用された可能性が高いと思われる。
私は9月27日付記事「「小泉改革」の評価」に次のように記述した。
「この三つの「民営化」には、すべて裏があった。「裏」とは、特定の利害関係者に利益、利権をもたらす「民営化」だったということだ。かけがえのない「道路資産」が将来、特定の「資本」の所有物になる。「郵政三事業民営化」では、郵貯、簡保の350兆円の国民資金を収奪しようとする外国勢力、銀行界が存在した。さらに外国資本は郵政会社が保有する「莫大な一等地不動産」に狙いをつけている。「郵政会社」は「莫大な一等地不動産」の再開発事業を今後本格化させる。この動向から目を離せない。」
「郵政民営化」は
①小泉元首相の個人的な怨恨
②銀行業界の熱望
③米国の熱望
の三つの「私的利益」が「三位一体」に結合して実行されたと考えられる。
米国の狙いは、350兆円の郵貯、簡保資金だとされてきたが、それだけではなかった。日本郵政は「莫大な一等地不動産」を保有しているのである。
民営化会社がこの「莫大な一等地不動産」を手に入れる。この「莫大な一等地不動産」は「眠れる獅子」である。未開発のまま放置されてきた。この開発が巨大プロジェクトになる。日本郵政CRE部門が疑惑の中核のひとつである。「金融」、「建設」、「不動産運用」にビッグビジネスが展開される可能性が高いのである。
現に、日本郵政は不動産事業に注力し始めている。
2月1日記事「外資の標的である日本郵政保有巨大不動産」
2月2日記事「「かんぽの宿疑惑」報道を封殺する巨大な闇の力」
に記述したように、日本郵政は「不動産」に注力している。
しかし、日本郵政グループが保有する資産は、すべて、貴重な国民資産である。その国民資産が、一部の特定の勢力にとっての「利益を生み出す宝の山」に改変されつつある。また、日本郵政株式会社法第一条(会社の目的)および第四条(業務の範囲)に反するのではないか。
これだけの「宝の山」を国が保有するなら、その「宝の山」を国民のために活用しなければならないはずだ。ところが、現実には、「宝の山」を掠(かす)め取ろうとする「強い意志」が働いていると感じられる。
問題は、以下の三点だ。
①日本郵政公社の資産を4つの会社に継承させたが、資産分割が極めて不自然である。
②日本郵政の株式については、「できる限り早期に処分する努めるものとする」とされているが、日本郵政の保有資産価値が売り出す株価に十分に反映されなければならないが、早期売却はその前に売却することを狙うものではないか。
③「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」が受け継ぐ資産が極めて限定的である。
「日本郵政」は、「三菱地所」、「三井不動産」などの日本を代表する不動産会社を目指す方向にある。このことを、「郵政民営化」と国民は理解してきたか。
「ゆうちょ」、「かんぽ」に資金を投入してきた国民に本来帰属するべき資産が、なぜ「ゆうちょ」や「かんぽ」から切り離され、不透明な方法で売却されなければならないのか。
財産承継で、①郵便事業会社、②ゆうちょ銀行、③かんぽ生命、の3社には不動産が最小限度しか配分されていない。主要不動産は「日本郵政」と「郵便局会社」に帰属された。
「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」の株式は全株売却される。この株式を買い集めれば、350兆円の資金を手にすることが出来る。
「郵便事業会社」と「郵便局会社」を傘下に持つ「日本郵政株式会社」株の3分の2が売却される。早期売却では、ユニバーサルサービス義務を負う「郵便事業会社」が含まれるから株価は相対的に低位になる。日本郵政支配を狙う資本は、株式市場が低迷しているタイミングを選べば安い株価で株式を入手できる。
この間、外資が日本郵政株式の2分の1以上を買い集めれば、「日本郵政」は外国企業になる。その後、人員整理を進展させ、「郵便事業会社」を切り離してしまえば、「日本郵政」は「日本地所」になる。
その頃までに東京駅、大阪駅前など、全国の巨大不動産開発を完了させる。高騰した株式を売り抜ければ巨大な利益を確保できる。
このような「郵政利権化」の構造、「郵政米営化」のシナリオを十分に検討しなければならない。
麻生首相の発言を攻撃して「郵政民営化見直し」を攻撃するマスメディアの論調は激しさを増している。「郵政民営化見直し」を必死の形相で批判する国会議員を分類すれば、外国勢力と連携する議員集団を明確にすることが出来る。本当は、「郵政民営化」を見直し、「売国」に歯止めをかけることが、いま求められている。「日本郵政株式」が売却されてからでは手遅れになる。「郵政民営化見直し」、「郵政4分社化見直し」が「正論」である。
「かんぽの宿」売却を義務付けているのは、「日本郵政株式会社法」附則第2条である。株式売却を定めているのは第3条である。「かんぽの宿疑惑」解明を進めつつ、まずは、「日本郵政株式会社法」第2条および第3条を凍結する法改正を実現させなければならない。
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