「かんぽの宿」不正売却の新事実が判明
私自身はアワードに興味はなく、主催者に対する疑念も有しているのだが、「アルファブロガー・アワード2008」がブログ記事大賞の投票を受け付けている。
「カナダde日本語」様、「きっこのブログ」様など、尊敬すべきブログがアルファブロガーに名前を連ねられている一方で、ブロガーとしての基本的要件を満たしていないと考えられる人物の手によるブログまでがアルファブロガーにリストアップされており、背景に対する疑念の気持ちを拭えない。
本年は個別記事への投票で、2月18日に投票を締め切るとのことだが、このような機会に、もし審査が公正に行われるなら、読者の皆様には大変ご面倒をおかけしてしまうことになり、また、自薦になってしまい大変恐縮だが、下記記事に投票してくださることを希望する。大変ご面倒をおかけするが、2月17日中の投票を謹んでお願い申し上げたい。(「カナダde日本語」の美爾依さんには、せっかく記事を推薦くださったのに大変申し訳なく感じておりますが、なにとぞ事情をご理解くださいますようお願い申し上げます。)
私の個人的な利益のためではない。記事内容を一人でも多くの人に伝達したいと思うからだ。時間的な制約が大きいが、趣旨に賛同してくださる皆様にはご協力をお願い申し上げたい。審査が「かんぽの宿」のような「出来レース」である場合は、リストアップされる可能性はゼロだと思うが、そうではない可能性に期待してお願い申し上げたい。
ブログ記事:「「根本的に誤っている」のは竹中平蔵氏、の歪んだ「郵政民営化」」(2009年2月16日付記事)
すでに多くの方が紹介されているが、2月15日のTBS番組「時事放談」で、野中広務氏と鳩山邦夫氏が極めて重要な発言を示した。私は放送を見逃したが、天木直人氏が概要を紹介してくださった。2月14日の同局番組「ニュースキャスター」と好対照を示した。
以下は天木氏のブログからの引用である。
「今朝早朝に流されたTBS系時事放談は野中広務と鳩山邦夫がゲストだった。その中で両者は驚くべき率直さで次の三点を国民の前で明言した。
1.小泉発言は「かんぽの宿」疑惑の追及が自分に向かってくる事を恐れた目くらまし発言だ。
2.「かんぽの宿」疑惑を追及している内に、小泉・竹中構造改革は米国金融資本に日本を売り渡した事がわかった。
3.日本のメディアは小泉・竹中売国奴構造改革に加担し、疑惑を必死に隠そうとしている。政局報道に矮小化しようとしている。
この三点セットこそ、これまで様々な人々がネット上で指摘してきたことだ。素人が何を言っても国民はそれを信じない。しかし裏を知り尽くした元自民党政治家と、現職の政権政党閣僚の口からこのいかさまが発せられ、全国の国民に流されたのだ。
この番組はユーチューブで繰り返し、繰り返し流され、何も気づかない多くの国民が知るようになればいい。
国民の覚醒によって、日本は崩壊のがけっぷちから、まだ救われる可能性が残っている。」
(ここまで引用)
まったくの同感だ。私が主張してきたことを、二名の政治家が代弁してくれた。
「ネットゲリラ」様、「株式日記と経済展望」様、「チラシの裏」様が貴重なメッセージを発してきてくれたのも事実だ。政治権力に支配されたマスメディア情報の嘘を暴き、ネットから真実の情報を発信してゆかなければならないと思う。
「ネット・IT」を絶賛してきた竹中平蔵氏秘書官だった天下り大学教授が、一転して「ネットはゴミの山」などと慌てているのが滑稽である。
これも、すでに「ネットゲリラ」様などが記述されているが、2月15日放送の「新報道2001」は、「かんぽの宿」売却プロセスがでたらめであったことを明確に示した。もっともスタジオ出演の政治家は、小泉一家およびチルドレンである山本一太氏、片山さつき氏、小泉一家と連携していると見られる渡辺新党の江田憲司氏、民主党の原口一博氏の4名で、偏向ぶりは明らかである。
番組では「かんぽの宿」の「競争入札」の実態の一部が暴露された。
「雇用維持」と「転売規制」の条件がどのように明確に示されていたのかが疑わしいことを、私は本ブログで何度も記述してきた。竹中氏、日経新聞、産経新聞、朝日新聞が、「公明正大な競争入札のプロセス」がとられたとの前提に立って、鳩山総務相の「横やり」を批判したが、そもそも「公明正大な競争入札のプロセス」が取られてきたのかが疑わしかった。
HPページ上の告知も、重要情報を広く公開するものであったのかが疑わしい。「公明正大な競争入札」を実施するには、「雇用維持についての条件の詳細」、「転売規制の詳細」を明確に定め、そのうえで「一般競争入札」を実施すれば良いだけだ。
このような条件を設定するのに、高額手数料を支払って外部アドバイザーを雇う必要などない。「雇用維持」、「転売規制」を隠れみのにして、不正な売却が進められた疑いが浮上したのである。
「新報道2001」によると、譲渡を希望した事業者に対する説明がばらばらだったとのことだ。
「2年の雇用維持、5年の転売規制」を告げられた業者も存在した。
まったく説明のなかった業者もいた。
「雇用維持の年限が示されず、転売規制が2年」だった業者もいた。
「でたらめ」と言う以外にない。
最終的にオリックス不動産に提示された条件は「1年の雇用維持と2年の転売規制」だった。
第2次募集締め切りで、オリックス不動産は105.2億円、HMI社は105.5億円の札を入れた。HMI社が落札する札である。
日本郵政はこの後に条件を変更して、HMI社が応募を辞退し、オリックス不動産への一括売却方針が定められた。
メリルリンチにはこれまでに1.2億円の手数料が支払われ、ディール成立段階で6億円が支払われる約束になっていたとのことだ。
オリックス不動産に法外に低い価格で売却する方針が、当初から定められていた疑いが濃い。2007年に日本郵政に入社し、「かんぽの宿」売却を担当した伊藤和博執行役が在籍していた不動産会社「株式会社ザイマックス」はオリックスが出資する企業である。
2005年10月21日に成立した「日本郵政株式会社法」附則第2条に「かんぽの宿」を2012年までに売却ないし廃止することが規定されている。原口議員によると、「この附則は法案決定の2日前に潜り込まされた」とのことだ。
「郵政民営化法」は2005年10月に成立したが、「ゆうちょ」、「かんぽ生命」、「郵便事業」、「郵便局」の4社に、資産や人員をどのように配分するかは、日本郵政が作成する「承継基本計画」に基づき、やはり日本郵政が作成する「承継実施計画」によって定められることとされた。
「承継基本計画」は2006年1月に決定され、「承継実施計画」は2007年4月に総務省に認可申請され、2007年9月に認可された。
細かい話になっているが、要するに、具体的な資産や人員の配分は、2007年4月に認可申請された「承継実施計画」に盛り込まれたのである。
ところが、旧簡易保険の「かんぽの宿」、旧郵便貯金の「メルパルク」だけが、2005年9月の郵政民営化関連法成立の際、「日本郵政株式会社法」に潜りこまされたのである。
「出来レース」の第一のポイントが、この2005年9月の「日本郵政株式会社法」にある。なぜ、「かんぽの宿」と「メルパルク」だけが突如、十分な論議もなく、期限付き売却の対象とされたのかが明らかにされなければならない。
低価格で払い下げを実行するためには、日本郵政内部の「かんぽの宿」簿価が低く設定されることが必要になる。これが第二のポイントだ。日本郵政は今回の「かんぽの宿」および「ラフレさいたま」、社宅79施設の売却について、109億円が日本郵政内部の簿価よりも高いことを、「適正売却」の根拠としている。
ところが、簿価が人為的に低位に抑制された疑いが存在するのだ。
この点について、2月16日の衆議院財務金融委員会で、重要事実が明らかにされた。
民主党の松野頼久議員の執拗な追及により、日本郵政が「ラフレさいたま」の日本郵政評価額と固定資産税評価額が明らかにされた。日本郵政の説明によると、「ラフレさいたま」は
日本郵政評価額 15億6700万円
に対して、
固定資産税評価基準額 85億3700万円
であることが明らかにされたのだ。
一般に不動産を売買する際、一般的に売買される「時価」とかけ離れた価格での売買が実行される際、「時価」と「売買価格」との差が「贈与、寄付金」として認識され、課税対象になる。「不当廉売」と認定されるのである。「ラフレさいたま」以外のすべての施設の固定資産評価額が明らかにされなければならない。
85億円の資産を15億円で売却したら、これは「不当廉売」である。この「不当廉売」を「正当な売買」に「偽装」するための手法が、「事業譲渡」であり、「事業収支に基づく不動産評価」なのだ。
この「不動産評価」を担当したのが「郵政民営化承継財産評価委員会」である。
検察当局がどのように動いているのかが確かでないが、「かんぽの宿疑惑」を刑事問題として追及することが必要な段階に移行しつつある。
テレビ朝日「サンデープロジェクト」は「かんぽの宿疑惑」を無視し続けている。麻生首相批判が、小泉元首相を批判した中川昭一財務相批判にまで拡大し、「郵政民営化見直し」封殺の動きが拡大しているが、「かんぽの宿疑惑」を封殺することは絶対に許されない。引き続き、本ブログでも追及を続けてゆく。
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これは現職の総務大臣鳩山邦夫と自民党の長老野中広務の発言である。
総務大臣は郵政の親分である。
彼は私たちが知らない情報をたくさん握っている。その彼がこう発言しているのだ。
おそろしい事実である。
小泉竹中は国民の財産を売り渡した売国奴である。
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