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2009年2月18日 (水)

中川財務相辞任より重要な西川日本郵政社長解任

2月5日の衆議院予算委員会で麻生首相が「郵政民営化見直し」、「郵政4分社化見直し」方針を表明して以降の、マスメディアの麻生内閣攻撃は異常と言わざるをえない。

2月12日に小泉元首相が「郵政民営化を堅持し推進する集い」で麻生首相に対して、「笑っちゃうくらい、ただあきれている」と発言したことを、テレビメディアの多くが、まるで「皇帝閣下の発言」であるかの如くに祭り上げて繰り返し放送した。不自然な報道には「笑っちゃうくらい、ただただあきれる」ほかなかった。

「郵政民営化を堅持し推進する集い」への参加者は、「喜八ログ」様が指摘されたように12月の63人から18人に激減した。この重要な事実をまったく伝えず、「永田町に依然として影響力を持つ小泉元首相」などの事実とは恐らく異なる「サブリミナル演出」を織り交ぜた報道が繰り返された。

中川昭一財務相は、小泉元首相が定額給付金関連法案の衆議院再可決に反対する意向を表明したことについて、「あの方も(定額給付金に)賛成されたんでしょう。総理までやられたお方がそういうことを言うのは理解に苦しむ」と発言し、小泉元首相を痛烈に批判した。

1月6日以降、「かんぽの宿疑惑」が表面化した。詳細が明らかになるに連れて、疑惑は拡大の一途をたどった。遂に日本郵政は「かんぽの宿」一括売却を白紙撤回した。「公明正大で疑われるようなことは絶対にない」ディールなら、日本郵政は詳細を開示して、粘り強く総務相の認可を求めればよい。ところが、日本郵政はいとも簡単に白紙撤回に応じた。このことが、ディールの不正を証明していると言える。

麻生首相の「郵政民営化見直し」発言は、「かんぽの宿疑惑」拡大のなかで示されたものだ。麻生首相の行動は典型的な「コウモリ」であり、昨年9月の総裁選では「郵政民営化は私の担当」と述べたのに、一転して、「私は担当ではなかった。このことだけは忘れないでほしい」などと述べたことなどから、麻生首相は首相の資質を欠いていることを自ら立証してしまった。

この意味で、私は麻生首相が直ちに総辞職ないしは衆議院解散を実行するべきだと考える。ただ、麻生首相に主張する資格はないが、「郵政民営化を見直すべき」との主張は正しい。

「3年ごとの総合的な見直し」は「郵政民営化法」第19条に明記されている事項である。麻生首相が「郵政民営化見直しを行わない」と主張したのなら、袋叩きに遭うのは当然だが、法律の規定通りに「郵政民営化見直しを行う」と発言して、集中砲火を浴びるのは理に適わない。

「総合的な見直し」の文言が郵政民営化法の条文に明記されているから、「4分社化の見直し」も除外されるものでない。「かんぽの宿疑惑」によって、「郵政民営化」が「郵政利権化」、「郵政米営化」であるとの真実が誰の目にも垣間見えてきた。この機会に「抜本的な見直し」を実行しなければ手遅れになる。

マスメディアが麻生首相叩きを異常な激しさで実行し、竹中平蔵氏や小泉元首相が驚くほどの狼狽(ろうばい)ぶりを示しているのは、「郵政利権化」の実態が白日の下に暴かれ、「郵政民営化」の抜本的な見直しが実行されることを真剣に恐れているからだと考えられる。

中川財務相の辞任は、ローマでの記者会見の失態を踏まえれば、避けがたいものだ。しかし、小泉元首相に対して痛烈な批判をした直後の「もうろう会見」であっただけに、「小泉元首相批判」と「もうろう会見」の二つの事象の因果関係についても関心を払わないわけにはいかない。

「酒と薬」の混合が、人の神経を麻痺させることの意味を、私は自分が巻き込まれた冤罪事件に照らし合わせて、改めて強い関心を持った。

「かんぽの宿疑惑」について、日経新聞、朝日新聞、産経新聞は、社説等で鳩山総務相に対して激しい批判の言葉を浴びせかけた。しかし、売却先決定のプロセスが明らかになるに連れて、売却先決定プロセスがあまりにも不透明であることが明白になった。

そもそも、売却方法としては「一般競争入札」、「指名競争入札」、「随意契約」のいずれかでしかありえなかった。しかし、実際に取られた方法は「企画提案コンペ」とでも呼ぶべきもので、いずれにも当てはまらなかった。あえて分類すれば「随意契約」である。この点については社民党の保坂展人議員が国会追及で明らかにされた。

日本郵政は「雇用」と「転売規制」が低価格売却の最大の原因だったと説明していたが、入札参加希望を表明した企業に対する「雇用」と「転売規制」に関する説明が、企業によって異なっていたとの証言が浮上している。

メリルリンチ日本証券に対する法外な手数料支払いも不透明極まる。

驚くべきことは、日本経済新聞が、この期に及んで、なお、日本郵政サイドに立った主張を展開していることだ。日経新聞が当初の主張の誤りを認めることは辛いことかも知れないが、「過ちて改むるに憚る勿れ」である。言論機関の一角を担う全国紙としての「矜持の問題」だが、あまりにも見苦しい。

テレビメディアが中川氏の辞任問題報道に集中して「かんぽの宿疑惑」が脇に押しやられている。また、一部の報道機関が日本郵政サイドのまったく説得力のない説明を紹介して、売却先決定が「不正入札ではなかった」かの印象を与えかねない報道を展開している。

一括売却の白紙撤回で問題に幕引きを図ろうとする姿勢が垣間見られているが、幕引きは断じて許されない。

三つの重大な問題が存在している。
①日本郵政保有の巨大不動産が国民から収奪されようとしていること。
②日本郵政保有不動産が不正に売却されてきたこと。
③日本郵政が展開する不動産関連ビッグビジネスが「私的利益」を満たすために実行されること。
である。

中川昭一財務相が辞任したが、その前に西川善文日本郵政社長を解任するべきだった。「かんぽの宿一括売却先決定プロセス」における日本郵政の不適切な対応を明らかにして、西川社長をまずは解任するべきだ。中川財務相辞任よりも西川社長解任が本来は優先されるべきだった。

そのうえで、上記の三つの重大な問題を解決する方法を確立しなければならない。

第一の問題は、「巨大な価値を有する資産を、事業の収支をベースに極めて低い価格に置き換える手法」が悪用されることから生まれる。詳細については改めて解説するが、巨大不動産を保有する「日本郵政株式会社」株式が低価格で売却される恐れが高いことが問題である。

6000万円で転売された「かんぽの宿」が日本郵政公社から1万円で売却されていた事例が問題になっている。この事例も、事業の収支を基準にするDCF手法による資産評価方法の悪用が問題なのだ。「赤字の事業だから、資産評価金額が低水準になる」ことが、「安値売却を正当化する弁明」に使われているが、この手法を用いると、企業会計数値の人為的な操作によって、資産評価金額を人為的に操作することが可能になるのだ。

「かんぽの宿」の不当廉売と同じことが、日本郵政株式売却で実行されるリスクが極めて大きい。

日本郵政資産を不当廉売するとき、損をするのは国家、国民である。得をするのは不当に低い価格で資産を購入する事業者である。山崎行太郎氏が元日本郵政公社常務理事の稲村公望氏の言葉をブログで紹介されたように、「かんぽの宿疑惑」は明治の「北海道開拓使官有物払い下げ事件」と酷似している。

第二は、今回の「かんぽの宿」だけではなく、日本郵政公社時代に資産が不正廉売された可能性が濃厚に存在することだ。過去の資産売却についても、全容解明が求められる。

第三は、日本郵政はグループ全体で2.8兆円もの巨大不動産を保有している。日本郵政および傘下の「郵便局会社」と「郵便事業会社」だけで2.6兆円の不動産を保有する。日本郵政はこの巨大不動産を活用するビッグビジネスを展開する。

これらの事業が、特定の利害関係者の利益を生む形で実行されることは正統性を有しない。国民資産の開発にかかる事業であるだけに、透明性と公正性が強く求められる。

日本郵政人事で社外取締役などに民間人が採用されたが、これらの人材が私的な利益を得ることについてのチェックがまったく行われていない。「郵政民営化」が「郵政利権化」になっている側面が極めて大きい。

日本郵政人事を全面的に見直し、日本郵政の活動が特定の利害関係者の利益獲得に結びつかないための制度設計を再構築する必要があるのだ。この意味での「郵政民営化見直し」を実行しないわけにはいかない。

「郵政民営化見直し」を封じ込めようとする、小泉竹中一家と、連携するマスメディアの異常とも言える反応の意味を見抜き、「郵政民営化見直し」を断行しなければならない。

最後に、昨日付記事でお願い申し上げました、「アルファブロガー・ブログ記事大賞」への投票が本日2月18日に締め切られます。マスメディアに一石を投じる意味で重視しており、なにとぞお力添えを賜りますようよろしくお願い申し上げます。投票ページ最下段に当該記事URLを貼り付けていただくだけで投票が可能です。お忙しいところ誠に恐縮ですがよろしくお願い申し上げます。

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