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2009年2月13日 (金)

KYキング小泉元首相と「報道ステーション」の誤算

民放各局は「かんぽの宿疑惑」を封印して「小泉元首相わらっちゃうくらいあきれてる」発言を懸命に報道した。

「小泉さんて人気ありますよね」と話す街の声をまぶす。ナレーション原稿に「依然として永田町に影響力を持つ小泉元首相」、「眠れるライオンの尾を踏んだ麻生首相」などの言葉を盛り込む。

何気なくニュースを聞き流す視聴者の耳に、「人気のある」、「影響力を持つ」、「ライオン」などの言葉の響きが残る。これを「サブリミナル効果」と呼ぶ。

こうしたなかで、NHKが「かんぽの宿」報道をやや丁寧に実行している。NHKは総務相の支配下に置かれている。総務相の意向を尊重せざるを得ない。メディアの報道には裏がある。

コウモリのように行動する麻生首相が支持を失うのはやむを得ないが、小泉元首相は労害なのか、大きな勘違いをしているとしか思えない。国民は麻生氏を支持していないのと同じくらい、小泉氏を支持していないと思う。

大騒ぎするのは外資系保険会社から巨額の資金が注がれている、偏向テレビメディアくらいではないか。もっとも、これまで指摘してきた「偽装CHANGE工作」がいよいよ本格的に始動する可能性を否定することはできない。詳しくは「「敵を欺くにはまず味方を欺く」手法に警戒すべし」をはじめとする「カテゴリー「偽装CHANGE新党」を参照されたい。

2月13日のテレビ朝日「報道ステーション」では、司会の古舘伊知郎氏が完全にはしごをはずされた。「かんぽの宿」疑惑が拡大するなかで、古舘氏は懸命に、「国民の多数が支持した郵政民営化」と「個別問題である「かんぽの宿疑惑」」とを完全に切り離して考えなければならないと絶叫し続けてきた。

ところが2月13日の「報道ステーション」では、古舘氏の意図と裏腹に、コメンテーターの寺島実郎氏が「「かんぽの宿」疑惑は郵政民営化が一体なんだったのかという根本的な問題を投げかけるテーマだ」とコメントして、古舘氏は言葉をつげなくなった。ゲストコメンテーターを突然差し替えることもできず、番組の意図に反するコメントが表出してしまったのだと思われる。

日本は小泉竹中政治で破壊し尽くされた。昨年後半以降の急激な景気悪化のなかで、「派遣切り」の問題が一気に表面化した。小泉竹中政治は「市場原理主義」を基軸に据えて、また財界の意向を反映して労働市場の規制緩和を推進した。企業が容易に人員を削減できるように非正規雇用拡大を後押しした。

労働市場の規制緩和を進めるなら、雇用調整の対象になる労働者の生活をしっかり守る「セーフティネット」を整備することが不可欠だった。「セーフティネット」を整備しないで規制緩和を進めたから、不況が深刻化しているいま、深刻な問題が広がっているのだ。

小泉竹中政治は高齢者、障害者、母子世帯、低所得者、一般労働者に冷酷だった。役人の天下りは死守したが、経済的弱者に対する施策を冷酷に切り込んだ。国民の老後の生活を支える年金に対する対応も無責任極まりないものだった。

2005年9月の郵政民営化選挙で自民党が勝利したのは、国民の多数が「リフォーム(改革)詐欺」に嵌(はま)ったからだ。2007年の参議院選挙で自民党が大敗したのは、小泉竹中政治に対して国民が再評価した結果である。小泉竹中政治に対する否定的評価は時間を追うごとに強まっている。

小泉元首相の影響力が地に落ちていることは、昨年9月の自民党総裁選で証明されているのではないか。小泉元首相はひょっとすると再び総理に帰り咲くことを目論んでいるのかも知れない。しかし、それは「錯乱」としか言いようがない。いまや、小泉元首相が「KYキング」に見える。定額給付金法案が衆議院で再可決される場合、小泉元首相は完全に影響力を失うことになる。

仮に再可決が成立せずに解散総選挙が行われるとしても、小泉元首相の主張が国民に支持される可能性はゼロである。小泉元首相は国民の痛みをまったく理解していない。

小泉元首相は「かんぽの宿疑惑」解明の動きに、慌てふためいていると感じられる。それほど「かんぽの宿」疑惑の根は深いのだ。

「国際評論家小野寺幸一の政治経済の真実」主宰者の小野寺光一氏が、日本郵政がオフィシャルサイトから削除した重要な情報を伝えてくれている。

削除されたとされる情報は以下のとおり。

1 郵便貯金資金の委託運用 
(1)
投資顧問会社
【国内株式】  
シュローダー投信投資顧問株式会社 
大和住銀投信投資顧問株式会社
日興アセットマネジメント株式会社 
三井住友アセットマネジメント株式会社  
メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ株式会社  
UFJアセットマネジメント株式会社  
【外国株式】  
興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社  
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社  
以上8社(50音順)

  

簡易生命保険資金の委託運用 
(1)
投資顧問会社  
【国内株式】  
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社 
シュローダー投信投資顧問株式会社
大和住銀投信投資顧問株式会社 
富士投信投資顧問株式会社 
メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ株式会社 
【外国株式】 
興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社 
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社 
大和住銀投信投資顧問株式会社  
東京海上アセットマネジメント投信株式会社 
メリルリンチ・インベストメント・マネージャーズ株式会社 
【外国債券】
興銀第一ライフ・アセットマネジメント株式会社 
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社
富士投信投資顧問株式会社 
三井住友アセットマネジメント株式会社
以上8社(50音順)

  

 2002年12月11日、竹中平蔵金融相は東京都内で三井住友銀行の西川善文頭取、ゴールドマン・サックス証券CEOのヘンリー・ポールソン氏、同証券COOのジョン・セイン氏と密会した。竹中氏が示した「金融再生プログラム」により、大手金融機関が資本不足への対応を検討していたさなかである。 

 その後、三井住友銀行は2003年1月にゴールドマン・サックスから1500億円を優先株発行で調達すること、2月にはゴールドマン・サックスを通じて3500億円を優先株で調達することを発表した。ゴールドマン・サックスはこの取引で100億円近い手数料を得たと見られている。

 竹中金融相を猛烈に批判していた西川氏の態度が豹変したのは密会のあとである。そして、竹中氏が西川氏の日本郵政株式会社初代社長就任を推進した。

 今回、メリルリンチ日本証券が「かんぽの宿」一括売却のアドバイザイーに指名され、法外な手数料を得ることになっていた。このメリルリンチのCEOに2007年11月に就任したのが、2002年に西川氏が竹中氏とともに密会した、ゴールドマン・サックスに所属していたジョン・セイン氏である。

 日本郵政が「かんぽの宿」一括売却を白紙撤回した。当然の着地である。しかし、これで幕引きを図ってはならない。「かんぽの宿」疑惑の全容を解明しなければならない。同時に「郵政民営化」の実態が「郵政利権化」、「郵政米営化」であることを広く国民の前に明らかにしなければならない。

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