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2009年1月16日 (金)

手段を選ばぬ「悪徳ペンタゴン」次の一手

一連の経過を簡単に振り返ってみよう。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に詳細を記述しているので、ぜひ一度ご高覧賜りたい。

小泉政権は2001年4月に発足した。「痛みのある改革」を訴えて、超緊縮経済政策と企業の破綻処理推進を経済政策の基本に据えた。「国債を30兆円以上出さないこと」と「退出すべき企業を市場から退出させること」を掲げた。

「市場原理主義」を基本に据えて、セーフティネットを圧縮し、労働市場にも「市場原理」を浸透させた。医療保険制度、年金制度、介護保険制度、公的扶助、学校教育などの生活関連分野で財政支出削減を優先し、国民負担が増大する一方で、政府支出は削減された。

日本経済は未曽有(みぞう)の悪化を示した。2002年9月の内閣改造で竹中平蔵氏が金融相を兼務した。竹中氏はニューズウィーク誌のインタビューで、大銀行について「大きすぎるからつぶせないとの方針を取らない」ことを明言した。

大銀行を破綻に追い込む政策が推進されて、2003年4月から5月にかけて、「りそな銀行」の自己資本不足が問題化した。この経緯については「りそなの会計士はなぜ死亡したか」のシリーズ記事に詳細を記述した。

日経平均株価は2000年4月に20,800円の水準にあった。小泉首相が所信表明演説を行った2001年5月7日の日経平均株価は14,529円だったが、2003年4月28日には7607円に暴落した。

景気悪化、失業、倒産、経済苦自殺が日本列島を覆った。「りそな銀行危機」は人為的に創作され、株価暴落とその後の急反発が演出された疑いが濃厚である。日本国民は本来直面する必要のない灼熱(しゃくねつ)地獄に誘導されたのだと考えられる。

その目的は、金融庁による「恐怖による支配」の浸透、外国資本への巨大な利益供与にあったと考えられる。外国資本による破格の安値での日本資産取得が激しい勢いで広がった。小泉政権の一枚看板であった「郵政民営化」も米国が米国資本の利益のために日本に要求した施策だった。

2005年8月に郵政民営化法案が参議院本会議で否決されると、小泉首相は衆議院を解散し、「郵政民営化の是非を問う総選挙」と宣言した。郵政民営化に反対した議員には刺客が放たれ、マスメディアは郵政民営化を絶賛する偏向報道を繰り広げ、自民党は地すべり的な大勝利を収めた。

竹中平蔵氏は「がんばった人が報われる社会」を唱えたが、竹中氏が絶賛した「がんばった人」の成功事例の代表はライブドアの堀江貴文元社長などの金融錬金術師だった。小泉竹中政治が推進した「市場原理主義」経済政策が、非正規雇用労働者と働く貧困層を激増させ、日本社会を冷酷な「格差社会」に変質させた。

2006年秋に安倍晋三政権が発足して以降、小泉竹中政治の負の遺産が表面化し始めた。年金記録の不備や不正は小泉政権時代のものだった。財政事情だけを優先して高齢者の尊厳を踏みにじる「後期高齢者医療保険制度」も小泉政権の負の遺産である。

セーフティネットが破壊され、新しい貧困問題が重大な問題になった。2007年7月の参議院選挙で安倍政権は惨敗したが、自民党敗北の原因が小泉政権の負の遺産にあったことは明らかである。

衆参ねじれ現象が広がり、国会運営の困難が増大した。2007年7月の参議院選挙で国民は民主党に参議院第一党の地位を付与し、野党に参議院の過半数の議席を付与した。一般の法案は参議院で否決される場合、衆議院で3分の2以上の多数で再可決しないと成立しない。直近の国政選挙で示された民意は参議院の議席数に反映されており、政権が衆議院の多数の力で法律案をゴリ押しすることは世論の批判の対象にもなる。

福田首相は衆参ねじれ国会の本質を理解しない政権運営を強行しようとした。日銀幹部人事などの国会同意人事は参議院の同意を得ることを求めている。福田首相は与党提案をゴリ押ししようとして、政権運営に行き詰まった。また、後期高齢者医療保険制度に象徴的に示されるセーフティネットの破壊が、社会における格差拡大が深刻化するなかで、改めて重大な問題としてクローズアップされた。

昨年9月に福田首相が突然、政権を放り出したのは、次期総選挙の日程が差し迫り、福田首相の下で総選挙を実施しても、与党が大敗する恐れが高まったためだった。自民党総裁選を実施すれば、一時的にでも内閣支持率の上昇を見込める。政権発足直後の内閣支持率が高い局面を利用して総選挙を行うことで、政権交代を回避できる可能性が高まるとの判断が持たれたのだと考えられる。

自公政権が脅威と感じたのは、2006年4月に発足した小沢一郎代表が率いる民主党だった。小沢氏は民主党代表に就任した直後の千葉衆院補選で劇的な勝利を収めたあと、2007年7月の参議院選挙で民主党大勝を導いた。選挙に向けての争点の設定、きめ細かな選挙戦術設定の威力が発揮された。

自公政権は支配下のマスメディアを総動員して、小沢代表に対するネガティブキャンペーンを繰り広げてきた。2007年7月の参議院選挙でも小沢氏に対する個人攻撃は激しかった。2008年9月の民主党代表選挙では全国紙が社説で、複数候補による代表選実施を執拗に要求した。民主党の内部分裂を誘導することと、小沢氏に対するネガティブキャンペーンを展開することが目論まれたのだと考えられる。

福田政権時代の大連立構想、日銀人事処理などを通じて、小沢氏の影響力を排除する工作活動が執拗に実施されてきた。しかし、これまでのところ、一連の小沢氏攻撃の工作活動は成功していない。

自公政権は「政官業外電=悪徳ペンタゴン」がこれまで維持し続けてきた巨大利権を維持することを至上命題としていると考えられる。民主党を中心とする野党勢力が次期総選挙で衆議院の過半数を制圧すると、本格的な政権交代が実現する。「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」がこれまで欲しいままにしてきた巨大利権構造が根幹から排除されるリスクが、はっきりと現実の危機として迫っている。

麻生政権は政権発足時に総選挙を実施する腹づもりだった。ところが、政権発足時の内閣支持率が低く、自民党が実施した選挙予測調査結果が自民敗北を示したために、総選挙を先送りした。

その後は、麻生首相の首相としての能力不足が露呈して、内閣支持率がつるべ落としに下落した。この情勢のまま総選挙になだれ込めば、与党惨敗は動かし難い。「悪徳ペンタゴン」は本格的政権交代阻止に向けて新たな活動を本格化させ始めた。

渡辺喜美氏の活動が活発化し、マスメディアが渡辺氏の言動を過剰報道し始めたのは、このタイミングにおいてだ。渡辺氏が主張してきたことは概略以下のとおりである。

①麻生内閣は第2次補正予算案を臨時国会に提出すべきだった、
②補正予算案を臨時国会に提出しないなら、早期に解散総選挙を実施すべきである、
③国民が評価していない「定額給付金」政策は撤回すべきである、
④「天下り」に関して、「渡り」の全面禁止を明示すべきである、
⑤「天下り」に関する政令において「渡り」を容認する記述を削除すべきである、
などだ。

 これらは、すべて民主党などの野党が主張してきたことだ。渡辺氏は昨年9月の自民党総裁選で自民党の一員として麻生総裁選出に関与した連帯責任を負っている。渡辺氏が個人的に麻生首相を批判するのは自由だが、批判内容は野党が主張してきた内容を超えておらず、マスメディアが渡辺氏を過剰報道する合理的理由は存在しない。

 また、本ブログで記述しているように、渡辺氏が「天下り根絶」に全力で取り組んだ形跡は存在しない。渡辺氏が行革相時代に取りまとめた公務員制度改革は、第一種国家公務員制度という「特権官僚」を生み出す制度を温存し、特権官僚の「天下り利権」を制度的に確立するもので、渡辺氏が「天下り根絶」を今になって唱えるのは、工場廃水を垂れ流している企業が環境浄化を主張するのに等しい感を禁じ得ない。

 また、渡辺喜美氏は自公政権に対する国民的不支持をもたらしている根源である小泉竹中政治の「市場原理主義」に同調する立場を示してきた。渡辺氏は小泉元首相-中川秀直氏-武部勤氏-小池百合子氏-山本一太氏の「小泉一家」および高橋洋一氏を軸とする「脱藩官僚の会」と連携するポジションを取ってきた。

 麻生内閣の危機は麻生首相の資質によるところも大きいが、根本的な背景として、小泉竹中政治の負の遺産が存在することは紛れもない事実だ。麻生政権の危機に乗じて、本来の第一級戦犯である「市場原理主義者」を「正義のヒーロー」扱いすることは、余りにも筋違いである。

 「悪徳ペンタゴン」の中枢に「小泉一家」が位置している。この「小泉一家」がマスメディアを依然として実質支配していると考えられる。マスメディアは麻生政権の支持率暴落が民主党支持に直結しないよう、渡辺氏をヒーローとして仕立て上げることにより、本格的政権交代を力づくで阻止しようとしているように見える。

 検察当局が西松建設の裏金疑惑解明に動き出した。「悪徳ペンタゴン」による政権交代阻止活動の一環としての行動であるとの見方が存在する。

 日本の政治を「悪徳ペンタゴン」から「一般国民の手」に取り戻す、千載一遇のチャンスである。「悪徳ペンタゴン」はあらゆる手段を用いて、本格的政権交代阻止に全力を尽くすと考えられる。あらゆる工作活動の本質を洞察して粉砕(ふんさい)し、本格政権交代を成し遂げなければならない。

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