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2009年1月17日 (土)

「リフォーム詐欺」防止の国民運動を発足させよう

渡辺喜美議員が政策グループを結成した。メンバーには江田憲司衆議院議員、評論家の屋山太郎氏、PHP総合研究所社長の江口克彦氏が名前を連ねた。

テレビ朝日番組「TVタックル」が、常に民主党の小沢一郎代表批判を展開してきたことは、これまで繰り返し記述してきた。江田氏は同番組の常連出演者の一人であり、屋山太郎氏はVTR出演で小沢代表批判、民主党批判を表明し続けてきた。

1月19日放送で、同番組が渡辺氏の政策グループをどのように報道するかを注視しなければならない。テレビ番組が常に特定の政治勢力を攻撃し、他方で特定の政治勢力の宣伝活動に注力することは、放送法第三条が定める「政治的公平」に反すると考えられる。

渡辺氏が主張してきた
①補正予算案の臨時国会への提出
②早期の解散総選挙実施
③公務員天下りでの「渡り」の禁止
④政令に記載された「渡り」容認規定の撤回
⑤定額給付金政策の撤回
のすべては、民主党が主張してきたことで、目新しい内容は何ひとつ含まれていない。

渡辺氏が行革相に在職していたときに取りまとめられた国家公務員制度改革では、「天下り」が制度的に確立され、「特権官僚」を生み出す源泉である第一種国家公務員制度が基本的に温存された。

渡辺氏は「渡り」の禁止を強調しているが、「天下りの根絶」を実現する具体的提案をまったく示していない。

新政策集団がこの時期に立ちあげられ、マスメディアが異常な過剰報道を展開している理由は、次期総選挙での本格的な政権交代実現を阻止することにあると考えられる。

次期総選挙での政策対立軸は以下の三点であると考えられる。
①「市場原理主義」VS「人間尊重主義」
②「官僚利権温存」VS「官僚利権根絶」
③「対米隷属外交」VS「自主独立外交」
 小泉政権以来の自公政権は、①「市場原理主義」、②「官僚利権温存」、③「対米隷属外交」を基本に据えて政策を運営してきた。

「市場原理主義」の経済政策は、「資本の論理」に沿って規制を撤廃し、あらゆる分野で資源配分や所得分配を「市場原理」に委ねるものである。「市場原理主義」は「結果における平等」を軽視するから「所得再分配政策」は縮小され、「セーフティネット」の破壊が推進された。

経済政策における「市場原理主義」推進が、日本社会の構造を変質させた。

大企業は常に、
①労働者の賃金が低く、
②労働者をいつでも解雇でき、
③労働者に対する福利厚生負担が低く、
④法人税負担が低く、
⑤株主と経営者の分配所得が高いこと、
を望む。

小泉竹中政治の「市場原理主義」政策は、製造業への派遣労働を解禁するなど、労働行政の規制撤廃を推進したが、その結果、「分配の格差」が著しく拡大するとともに、労働者の生存権までもが脅かされる状況が生み出された。また、障害者、高齢者、母子世帯、生活困窮世帯などに対するセーフティネットが冷酷に切り込まれた。

次期総選挙での第一の争点は、一般国民である労働者の生活を支えるために、諸制度の根本的見直しを進めるかどうかである。大資本は小泉竹中政治によって獲得した、「資本」にとって好都合な諸制度を変革されたくない。本格的な政権交代が実現して、労働者の権利保障が拡充することを阻止したいと考えている。

渡辺喜美氏に連なる人脈は、①小泉元首相-中川秀直氏-小池百合子氏-山本一太氏-竹中平蔵氏などの「小泉一家」、②武部勤氏-飯島勲氏-小泉チルドレン、③前原誠司氏を中心とする民主党内「市場原理主義者」、④江田憲司氏-高橋洋一氏-岸博幸氏-寺脇研氏らの「脱藩官僚の会」、⑤橋本徹大阪府知事-東国原宮崎県知事-橋本大二郎高知県知事などの自民系知事グループ、などである。

渡辺喜美氏は、わずか4ヵ月前に実施された自民党総裁選で小池百合子氏支持陣営に所属した。小池陣営が「小泉一家」であることは言うまでもない。「小泉一家」の基本政策路線は、①「市場原理主義」経済政策、②「官僚利権温存」、③「対米隷属外交」である。

麻生政権は製造業への登録型派遣労働の禁止に消極姿勢を貫いている。「大資本」は労働者を機械部品のように取り扱える、安価で使い捨て可能な「派遣労働」制度を死守しようとしている。「小泉一家」が基本に据えてきた「市場原理主義」経済政策は、基本的に「資本の論理」に則っており、渡辺氏らの政策グループも、労働行政の基本路線転換には消極的であると考えられる。

また、渡辺喜美氏は、日本の外貨準備資金をサブプライム金融危機対策に流用することなどを提唱してきた。日本郵政資金をサブプライム金融危機対策に流用すべきと主張してきた竹中平蔵氏などとともに、日本の国民資産を安易に米国に献上する政策を提唱してきた。

自公政権の利権追求構造を私は「悪徳ペンタゴン」と表現してきた。「特権官僚(官)」、「大資本(業)」、「外国資本(電)」、「マスメディア(電)」が「政治権力(政)」と癒着して、相互の利権を温存する「利権互助会」を形成しているとの理解である。

渡辺喜美氏は行革相の立場にありながら、官僚利権を実質的に温存するスタンスを維持し続けた。国家公務員制度改革においては、カメラの前で「涙を見せる」パフォーマンスを演じたが、内容は「天下り制度の確立」でしかなかった。

「振り込め詐欺」と同様に「リフォーム詐欺」被害は根絶されていない。渡辺氏が「見せ涙」の三文芝居を演じた時も、「TVタックル」はこのパフォーマンスを誇大宣伝した。

マスメディアの誇大宣伝によって、渡辺氏が「特権官僚の天下り利権根絶」を追求していると錯覚しまう国民が多数発生してしまう可能性がある。マスメディアは「振り込め詐欺」防止に取り組むが、「リフォーム詐欺」では詐欺行為を支援する側に回っている。

小泉竹中政治も天下り廃止に動く権力を持ちながら、徹底して「天下り」温存に注力した。霞が関官僚の「天下り利権」は、堅固に維持されている。民主党は「天下り根絶」を明確に政権公約に掲げているが、渡辺氏および「小泉一家」は「天下り根絶」を明確に示したことがない。

「小泉一家」-「米国資本」-「マスメディア」は一気通貫でつながっているように見える。マスメディアではとりわけ、「テレビ朝日」の偏向ぶりが際立っている。

次期総選挙に向けて、「官僚利権根絶」の「偽装CHANGE」=「リフォーム詐欺」を実行しなければ、反自公政権票は民主党を中心とする野党に集中してしまう。マスメディアが本当に「官僚利権根絶」を追求するなら、民主党の政策を紹介すれば済むことなのだ。

①「市場原理主義」から決別し、「人間尊重主義」を基軸に据えて「セーフティネット」再構築に注力すること
②「特権官僚」の「天下り利権」を根絶すること
「対米隷属外交」を廃して「自主独立外交」を構築すること
を明確に掲げる野党に投票を集中させ、本格的な政権交代を実現しなければならない。

 「悪徳ペンタゴン」が次期総選挙での本格政権交代回避を目的に、渡辺氏を中心に国民運動を開始させた。「悪徳ペンタゴンによる利権互助会政治」を打倒するためには、「『偽装CHANGE新党』による『リフォーム(改革)詐欺』被害に注意しましょう」のキャッチフレーズによる救国国民運動を直ちに発足させる必要がある。

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