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2009年1月

2009年1月31日 (土)

「かんぽの宿疑惑」に見る「郵政利権化」の深層

「かんぽの宿疑惑」は小泉竹中政治の基本問題の一端を示す事例であり、この際、徹底的な真相究明が求められる。

小泉竹中政治は、
①「企業の利益=効率」を最優先して、勤労者の生活の安定性を無視する制度変更を強行し、
②「特権官僚の天下り利権」を温存し、
③「民営化」を強行し、国民生活に直結する各種公的サービスを政府や国民の監視外に移設した。

  

「かんぽの宿疑惑」は上記した小泉竹中政治の第三の実績にかかる問題の氷山の一角である。

「かんぽの宿」全国70施設プラス首都圏9箇所の社宅施設が109億円でオリックス不動産に売却されることについて所管大臣である鳩山総務相が疑義を表明したことを契機に、「郵政民営化」に関連する国民資産売却の不透明な実態が明らかになりつつある。

鳩山総務相が不透明な日本郵政資産売却について疑問を提示したことについて、日本経済新聞、朝日新聞は総務相を批判する社説を掲載し、産経新聞は竹中平蔵元総務相の鳩山総務相批判を掲載した。また、日本テレビ系列の幸坊治郎氏なども同様のコメントをテレビ番組で示した。

しかし、本ブログでも記述してきたように、中立公平の視点から見て、鳩山総務相の問題提起は明らかに正当性を有している。

「かんぽの宿」の取得費用は約2400億円に達する。70施設のひとつである「ラフレさいたま」だけでも取得費用は300億円近くに達する。また、首都圏9箇所の社宅施設は土地の時価評価だけで47億円にも達することが明らかにされた。

日本郵政や竹中平蔵氏は、
①オリックスへの一括譲渡が2度にわたる入札結果として決定されたこと、
②政府の「財産評価委員会」による資産評価において「かんぽの宿」70施設の評価が142億円とされ、負債金額49億円を差し引いた純資産金額が93億円とされており、109億円の売却価格は適正である、

と反論している。

しかし、日本郵政の説明によると、入札情報は昨年4月1日に日本郵政HPに掲載され、5月15日に参加表明応募を締め切ったとのことだ。問題は、この告知がどのような形態で、どれだけの期間なされたのかだ。

日本郵政株式100%が政府に保有されており、現段階で日本郵政は完全な国有会社である。したがって日本郵政が売却しようとしている「かんぽの宿」は純然たる国有財産=国民資産である。

その売却にあたっては、国民に不利益を与えぬよう、最大限、高価格で販売されるように最善を尽くす必要がある。HPページに告知して、入札を実施したとしても、情報が広く行き渡り、多数の企業が入札に参加しなければ、適正な価格で売却することはできない。

銀行が保有する担保不動産を売却する場合でも、「競売」の形態を取りながら、実態としては「出来レース」で特定の買い手に資産が売却される事例は多数存在する。このような場合では、特定の顧客に利益を提供する目的で、「出来レース」の資産売却が実行されることが多い。

総務相が「入札の経緯」を精査したいとするのは当然のことだ。貴重な国民資産を売却するのであるから、少なくとも入札情報を広く告知することは不可欠である。日本郵政は巨額の費用を投入してテレビなどでの広告活動を展開している。テレビCMでの入札情報の告知は効果的であると考えられるが、そのような企業努力を注いだのかも検証されなければならない。

一方、日本郵政は政府の財産評価委員会による資産評価金額を売却価格算定の根拠とする説明を示しているが、財産評価委員会は事業の収益性を基準にした資産評価を示しただけではないのか。

売却条件に、利用料金や賃金条件などを含めて現状の事業形態を永遠に維持することを義務付けているのであれば、売却価格の基準に財産評価委員会の資産評価額を利用することも一案であると考えられる。

しかし、売却条件には再譲渡制限の期間が2年しか付されていないとのことだ。2年後には資産が売却される可能性すら存在する。

旧日本郵政公社が2007年3月に売却した鳥取県岩美町の「かんぽの宿」が土地代を含めて東京の不動産開発会社に1万円で売却され、半年後に鳥取市の社会福祉法人に6000万円で売却されたことが明らかにされた。

 1万円で「かんぽの宿」を取得した東京の不動産開発会社はまさに「濡れ手に粟」の暴利を得たことになる。事業運営収支が赤字であることを根拠に、資産評価が「ゼロ」と査定されていたのではないか。査定が「ゼロ」だから、1万円で売却することが正当であると曲解したのではないか。

事業評価をベースにした資産価値評価が1万円だからと言って、売却する際の基準価格が1万円にはならないのである。

6000万円で売却できる資産を1万円で売却したなら、商法会社であれば「特別背任」の疑いさえ発生する。

竹中平蔵氏は産経新聞およびネット上で繰り返し稚拙な反論を提示しているが、その主張の中心は、
①「かんぽの宿」は年間40億円の赤字を生み出す「不良債権」である、
②日本郵政の事業における経営判断は民間に委ねるべきで、政治が介入するのは根本的に誤っている、
というものだ。

しかし、本ブログ記述し、鳩山総務相も発言したように、事業の赤字は料金設定などに大きな原因がある。減価償却費が過大に計上されている可能性もある。

事業収支だけを基準に売却価格が計算されるなら、事業に供されていない社宅の価値は「ゼロ」近辺となってしまう。「経済学」等の基礎知識を保持しているのかが極めて疑わしくなってしまう。

また、「政治が介入することは根本的に誤っている」との竹中氏の主張そのものが「根本的に誤っている」。

「かんぽの宿」は純然たる国有財産であり、その売却が適正に行われるように監視することは所管官庁、所管大臣、国会の責務である。竹中氏は「郵政民営化」関連法が成立したら、国民資産を好き勝手に、不透明で処理して良いとでも考えているのだろうか。

「かんぽの宿」1施設を1万円で売却することが適正であるとするなら、麻生内閣が実施しようとしている「定額給付金」を一人12,000円ではなく、すべての国民に、「かんぽの宿」1施設を提供してはどうか。「かんぽの宿」1施設は常識で考えて1万円以上の価値を有する。

全国紙では中日新聞(東京新聞)が社説で「かんぽの宿譲渡の不透明さ晴らせ」の論評を掲載した。日本郵政の「かんぽの宿」一括譲渡決定過程が不透明であるとの正論を示している。

産経新聞は1月31日「主張」で、「かんぽの宿日本郵政は情報開示せよ」と題する論評を掲載したが、偏向報道姿勢は是正されていない。

産経新聞は以下のように主張する。
「2400億円は長年にわたる取得額の累計である。建物の老朽化や土地の値下がり、年間50億円近くもの赤字を生み出す事業であることを織り込んだ現時点での評価額93億円と比較する議論は乱暴といえる。むしろ2400億円の責任は、採算を度外視して建設費用を投資してきた歴代の郵政公社幹部や、それを許してきた政治家に求められるべきだろう。」

この記事の表現は誤解を招くものである。1月28日に社民党と国民新党が実施した日本郵政に対するヒアリングにおける2400億円に含まれる建設費について、保坂展人氏次のように記述している。

「ヒアリングでは、譲渡対象施設のかんぽの宿+社宅+ラフレさいたまの取得原価が明らかになった。土地が2948千万円、建物が21074千万円、合計で24022千万円だという。ただし、建物は老朽化した施設を建て直した場合には、新たな建物だけの価格だとした。」

つまり、2400億円には老朽化して立て直された古い建物の建設費は含まれていないのである。現存する施設の建設費用だけが計上されているのが2400億円の意味であり、産経新聞の記述は誤りに近い。また、上記産経新聞記事の後半は問題のすり替えである。

産経新聞は、「鳩山氏側も、独自の鑑定結果を早急に提示すべきだろう」と記述して、鳩山氏側の責任を強調するが、現段階では、まず日本郵政が完全な情報開示することが求められるのであり、鳩山氏の責任を追及するのは筋違いだ。

こうしたなかで、適切な論評を掲示したのが北海道新聞である。北海道新聞は1月31日社説で、「かんぽの宿白紙に戻し見直しては」と題する論評を掲載した。同紙は記事のなかで次のように指摘する。

「問いたいのは、国民の目の届くところで事業譲渡が行われているかだ。日本郵政は施設ごとの資産評価額や入札参加企業などを公表していない。これでは譲渡が適正だったか、判断しようがない。

 検討委では譲渡のあり方を論議するが、入札過程の検証までは踏み込まないという。 」

  
「一時凍結ということではなく、売却をいったん白紙に戻してはどうか。経緯や資産価値を洗い直し、国民の理解を得る必要がある。」

 これが正論である。日本郵政は検討委員会を設置して譲渡のあり方を論議すると言うが、入札過程の検証を行わないとしている。

 問題は入札過程の不透明性にある。この不透明性を明らかにすることで、問題の本質が初めて見えてくる。鳥取県および鹿児島県の1万円落札を含むこれまでの資産売却についても、徹底的な検証が求められる。

 日本郵政はマンション用地の販売も進めているが、「利益を生んでいない社宅用地」が不当廉売されていないかも検証の対象になる。

 「郵政民営化」の真相は「郵政利権化」であったとの疑いが日増しに増大している。国会は「かんぽの宿疑惑」を徹底検証しなければならない。また、日経新聞、朝日新聞、産経新聞は「過ちて改むるに憚ること勿れ」である。

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2009年1月30日 (金)

「かんぽの宿疑惑」を報道しないワイドショーの偏向

「かんぽの宿疑惑」はますます拡大し、ついに日本郵政の西川善文社長がオリックスへの一括譲渡方針を凍結することを表明した。オリックスへの「かんぽの宿」売却が公明正大に正当で最適な方法で決定されたのであれば、日本郵政は関係情報を全面開示して、所管の総務省の了解を取り付けるために全力をあげて行動するはずである。

所管大臣である総務相に十分な資料開示も行わないままに、一括譲渡方針の凍結を発表したことが、売却先決定の後ろ暗さを示唆している。

日本郵政は売却価格が「政府の財産評価委員会の評価額に近く問題ない」としているが、そもそも財産評価委員会の評価額が適正であるのかについての吟味が欠けている。

「かんぽの宿」についての政府の評価額算定では、試算評価額142億円に対して負債が49億円あることから純資産額を93億円としている。オリックスへの売却価格は109億円で、この純資産額93億円を上回っているから問題がないとするのだが、109億円と93億円が極めて近接した金額であることも見落とせない。

政府の資産評価額は収益還元法から算出されたものであると考えられるが、売却条件における再譲渡制限は2年間でしかないとのことだ。2年経過すれば売却されることは排除されていないのではないか。雇用確保が条件とされているとのことだが、雇用についても2年以上の雇用継続が確約されているのだろうか。

売却対象は不動産であり、売却価格算出の最大の根拠が物件そのものの時価評価であるべきことは当然だ。2400億円の費用を投入した物件の売却価格が109億円であることについて、「不当に安い」との判断が生まれるのは極めて常識的である。

この「直感」から出発し、入札にかかる経緯を詳細に精査しようとする総務相の行動は、貴重な国民資産の売却という、国民の利益に直結する問題であるだけに、賞賛されても批判される理由は存在しない。入札にかかる経緯を詳細に精査したうえで、一点の曇りも存在しないことが明らかになれば、その時点で売却にゴーサインを出せば良いだけだ。

日本郵政は現状では株式を100%政府が保有する完全な国有会社である。ということは、日本郵政が売却しようとしている「かんぽの宿」資産は紛れもない国民資産である。国民資産の売却が不透明に実行されることが許されるはずがない。詳細を再調査したいとする総務相に対して向きになって竹中氏がなぜ稚拙な反論繰り返すのか。竹中氏の不自然な行動に焦点が当たることになるだろう。

日本郵政は「入札を実施した」との形式ばかりを強調するが、問題は形式ではない。入札情報が広く一般に告知されていなければ、「実質的には」ごく一部の関係者だけで情報が共有され、広く一般に情報が行き渡る前に売却にかかるプロセスが進行した可能性がある。

オリックスの購入金額109億円が、日本郵政内部の純資産算定金額93億円をわずかに上回る水準に設定されていることが、まず注目される。公共事業における「談合」が摘発される際、その重要な状況証拠として、落札価格が最低落札価格を小幅上回っていることが指摘される。この金額は、オリックスが事前に日本郵政内部の純資産算定金額を知っていた可能性を示唆するものである。仮にその疑惑が表面化すれば、問題は「道義」の問題から「刑事」の問題に発展する。

また、日本の銀行が不良債権処理を進展させた際に、外資系の不良債権処理業者が「濡れ手に粟」の巨大利益を獲得した経緯と、今回の売却と通じる部分がある。

銀行が不良債権について、銀行内部で貸し倒れ引当金を積み立てて、不良債権の償却を終えてしまうと、銀行は償却後の不良債権評価額以下で不良債権を売却しても追加損失を計上せずに済む。例えば2400億円の債権があったとしよう。ところがこの債権が不良債権化して、銀行が評価額を90億円に修正してしまう。2310億円の損失処理を済ませてしまうのだ。

こうなると、銀行はこの2400億円の簿価の不良債権を90億円以上の価格で売却すれば利益を計上できる。銀行が不良債権を束にして内部で償却し、不良債権処理業者にこの不良債権を90億円+αで売却したとしよう。

外資系の不良債権処理業者はこの束になった不良債権を例えば109億円で買い取り、それぞれ形を整えて、市場で売却する。109億円で買い取った不良債権=担保不動産を例えば500億円で売却できれば差し引き約400億円の利益を懐にすることが出来る。

私は日本で外資系の不良債権処理業者を立ち上げた人物から直接事例を聞いているので、この事業が極めて収益性の高い事業であることを知っている。

企業が財務会計あるいは税務会計上の要請から資産の時価評価を行うことと、資産を売却する際に売却価格を算定する根拠となる基準価格を算定することは、まったく別の事項である。

日本郵政が財務会計上の要請から「かんぽの宿」の時価評価を93億円と算定し、それをそのまま資産売却の基準価格に設定したのなら、その行動は適正でない。日本郵政がこの程度の知識で経営を行っているとしたら、これは国民に対する背信行為になる。経営者を直ちに交代させる必要がある。

日本郵政は株式会社形態に事業運営の形態が変更されたが、現段階では日本政府が株式を100%保有する純然たる国有企業である。貴重な国民資産の売却にかかる事項は、当然、所管大臣、所管官庁、ならびに国会が厳しく監視しなければならない。

日本経済新聞、朝日新聞が総務相批判の社説を掲載し、また産経新聞は竹中平蔵氏の稚拙な反論を掲載した。

①2400億円を投入した国民資産が109億円で売却されようとしていること
②「ラフレさいたま」1施設だけで300億円近い資金が投入されていること
③首都圏9箇所の社宅施設も売却物件に潜り込ませられており、その時価評価だけで47億円にも達すること
などを踏まえれば、オリックスへの109億円での売却方針決定が極めて不透明であることは、誰の目にも明らかである。

 こうしたなかで、さらに驚くべき事実が明らかになった。2007年3月に旧日本郵政公社が売却した鳥取県岩美町の「かんぽの宿」が土地代を含めて東京の不動産開発会社に1万円で売却され、半年後に鳥取市の社会福祉法人に6000万円で売却されたことが明らかにされた。

 これが日本郵政の「かんぽの宿」売却の実態である。

 この問題は、テレビの報道番組が飛びつくべき話題である。日本郵政は100%政府出資の国有企業である。「かんぽの宿」は紛れもない日本国民の貴重な資産である。その貴重な国民資産が、小泉竹中政治と密接な関わりを持ってきた人物が率いる企業に破格の安値で売却される。

 2400億円の資金が投入された全国の70施設に47億円の時価の社宅が付け加えられた物件が、たったの109億円で売却される。「ラフレさいたま」は単独で300億円もの資金が投入されている。その映像など、テレビ番組のために用意されたものと言っても良いほどだ。

 そこに鳥取と鹿児島で1万円売却のニュースが浮上し、鳥取の施設は売却の半年後に6000万円で転売されていたことが明らかになった。

 まさに格好の「ワイドショーねた」である。「わたしのしごと館」を繰り返し報道したように「ラフレさいたま」が実況放送されるのが自然の成り行きだろう。

 ところが、テレビ朝日もテレビ東京も、日本テレビなどは、問題を大きく取り上げない。

 マスメディアは昨年なかばから、「偽装CHANGE集団」に報道の焦点を合わせている。現在は渡辺喜美氏がその中心に位置する。日本経済崩壊の第一級戦犯の竹中平蔵氏に対して、異常なまでの反論機会提供の偏向報道も展開されている。

小泉元首相-中川秀直氏-渡辺喜美氏-竹中平蔵氏-高橋洋一氏-江田憲司氏-田原総一郎氏-屋山太郎氏-三宅久之氏-北野武氏-テリー伊藤氏などが連携して、「偽装CHANGE集団」を形成している。

「偽装CHANGE集団」への偏向報道と「かんぽの宿疑惑報道」とでは、報道の方向が逆行してしまう。これが、「かんぽの宿疑惑報道」が著しく抑圧されている理由だろう。朝日、日経などの報道姿勢も著しく偏向している。

中日新聞(東京新聞)が全国紙で初めて妥当な論説記事を掲載した。「偽装CHANGE報道」と「かんぽの宿疑惑報道」の偏向した対照に注目する必要がある。

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2009年1月29日 (木)

「かんぽの宿疑惑」竹中平蔵氏の稚拙な反論Ⅱ

Photo_3 「かんぽの宿疑惑」について、1月19日付産経新聞が掲載した竹中平蔵氏による稚拙な反論に対して、鳩山総務相が1月20日の閣議後記者会見で反論した。竹中平蔵氏は鳩山総務相の反論に対して1月27日に再反論した。しかし、その内容は1月19日の主張の繰り返しで、反論としての体をなしていない。

竹中氏は
①「かんぽの宿」は日本郵政の「不良債権」であり、資産処分等の経営判断については、民間の経営者に任せるべきだ、
②宮内氏は「2003年以降の」郵政民営化論議には関わっておらず、正式な売却の手順に従ってオリックスが「かんぽの宿」一括譲渡の決定を受けたのであり、「出来レース」の批判は妥当でない、
と主張する。

まず、竹中氏は「かんぽの宿」を「不良債権」と表現するが、「かんぽの宿」は「不良債権」ではない。全国70箇所の「かんぽの宿」は、全国の風光明媚な優良な観光地に立地する豪華な宿泊施設である。「かんぽ」はこの70箇所の施設を2400億円の資金を投入して入手した。

70施設に含まれる埼玉県の「ラフレさいたま」だけでも、用地費と建設費用は合計で278億円に達する。用度品を加えれば300億円の巨費が投入されている。

社民党の保坂展人議員がブログに「ラフレさいたま」の写真を掲載くださったが、豪華絢爛(けんらん)な施設は、いまも十分、利用に堪え得るものである。

週刊誌報道によれば、一括売却には70箇所の「かんぽの宿」に加えて、首都圏の9箇所の社宅施設が含まれているとのことだ。この9箇所の社宅施設だけでも、土地代のみの時価評価が47億円にも達するとのことだ。

これらの全施設がわずか109億円の安値で売却されることに対して、疑問を抱かぬことの方が、はるかに不自然である。竹中氏は「かんぽの宿」が年間50億円の赤字を計上していることをもって「不良債権」と表現しているが、赤字の大きな原因は、減価償却費が大きいことにもあると考えられる。

取得費用が2400億円にも達することが巨大な減価償却負担を生んでいるのではないか。減価償却費用を差し引いた収支でどの程度の赤字が生まれているのかを見なければ、適正な判断は不可能である。竹中氏は企業経営のこのような初歩的な知識さえ保持していないのではないかと推察される。

減価償却費を差し引いてもなお赤字であるのは、利用料金が低く設定されているか、業務にかかる経常費用が過大になっていることが原因と考えられる。もともと「かんぽの宿」は福祉向上を通じる利用者への利益還元を目的に創設されたものである。その目的を満たすことから利用料金が低く設定されている。収支を改善するための利用料金の見直しや経常費用見直しを実行すれば、「かんぽの宿」の赤字を日本郵政が保有している期間に圧縮することも可能であるはずだ。

「かんぽの宿」は断じて「不良債権」でない。きわめて貴重な、巨額の国民資金が投入された創設された資産である。したがってその売却に際しては、当該資産が適正な価格で売却され、国民に不利益を与えないように、最大の努力を注ぐことが強く求められる。

NTTやJRの民営化に際して株式を民間に売却する際、国民に対して十分な時間を確保し、情報を十分に提供して株式売却が実施されたはずだ。また、売却時期についても、市場環境を勘案して、株価が不当に低く設定される局面では株式売却が延期されたこともあった。

貴重な国民資産を売却するのであるから、国民の不利益が発生しないように、万全の対応が取られることは当然である。その当然の対応を日本郵政が取っていない可能性が存在することが問題とされているのだ。

巨大な資産価値を持つ「かんぽの宿」および「9箇所の社宅施設」が合計109億円で売却されるのは、常識的な判断基準に照らして、あまりにも不自然である。ここに問題が顕在化した原点がある。

竹中氏は「資産処分等の経営判断については民間の経営に委ねるべきだ」と主張するが、日本郵政は民間企業ではない。100%の株式を日本政府が保有する歴然たる国有企業なのである。この国有企業の資産売却について、所管大臣が疑義を差しはさむことは当然であるし、国会が問題として取り上げることも当然だ。

巨大な資産価値を保有する貴重な国民資産が不当に低い価格で、規制改革に関与した人物が代表を務める企業に払い下げられようとしているから、問題が顕在化している。

①問題となっている「オリックス」が株式の過半を外国人が保有する外国企業であること、
②「かんぽの宿」売却についてメリルリンチ日本証券がアドバイザーとして選定されていること、
③オリックス会長の宮内義彦氏が総合規制改革会議議長を務めた経歴を有し、「規制改革は最大のビジネスチャンス」を持論としていると伝えられ、『小泉改革を利権にした男』と題する著書が出版されてもいる。宮内氏が会長を務めるオリックスが一括譲渡の売却先に選定されたこと、
を踏まえて、所管大臣が譲渡方法の選択や入札の詳細を精査しようとすることは、順当である。

 1月22日付記事にも記述したが、形式上は「競争入札」の形態が取られたとしても、入札情報が十分に広く告知されず、実質的に「出来レース」であったとの疑惑を払拭できないのだ。

 メリルリンチ証券とオリックスとの関係、オリックスに対する支配権を有しているとされる米国の投資ファンド・サーベラスとメリルリンチ日本証券の関係など、チェックしなければならない事項は多い。

 重要なことは、国民の貴重な資産を売却するのであるから、情報が広く公開され、透明性の高い方法で売却が実施されることなのである。竹中氏は形式論だけを主張し、国民の利益を極大化するために不可欠な論点を素通りしている。

 向きになって稚拙な反論を繰り返すことが疑惑をさらに強めていることに竹中氏は気付いていないのだろうか。日本郵政の資産売却には、不自然で不透明な部分があまりにも多い。マンション用地の売却についても再調査が必要になった。竹中氏は自らパンドラの箱を開けて墓穴を掘りつつあるのではないかと推察される。

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「かんぽの宿疑惑」渦(うず)中の日本郵政の実態

「かんぽの宿疑惑」が拡大している。本ブログでは
1月10日「「オリックスーかんぽの宿」疑惑の徹底検証が不可欠」
1月19日「「かんぽの宿」疑惑-竹中平蔵氏の稚拙な反論」
1月22日「「かんぽの宿疑惑」と「小泉竹中政治研究-その金脈と人脈」」
でこの問題を取り上げた。

社会民主党衆議院議員の保坂展人氏がブログでこの問題を取り上げ、国会でも疑惑を追及している。

1月26日記事で保坂氏が明らかにした、「かんぽの宿」入札経過は以下の通りである。(以下の部分は保坂氏のブログからの引用)

  

200841日~15日 譲渡候補先の応募についてホームページで告知(募集要項を配付)

  

2008
515日 入札参加表明応募を締め切り。27社が応募。
(
)27社の内訳大手不動産会社5社 国内投資ファンド3社 ホテル運営会社5社 その他 レストラン運営等4社 海外投資ファンド10

  

2008
5月中旬~620日 応募者(27)について、その信用力、ホテル運営実績等の予備審査を行い、第1次提案参加者を決定(22)22社にはかんぽの宿等事業に関する資料を配付。

  

2008
815日 第1次提案を締め切り、7社が応募(15社は辞退)

  

2008
8月中旬~827 7社の提案について、取得後の事業戦略、取得価格、従事する社員の取扱い等の審査を行い、3社によるデューディリジェンス実施。

  

2008
1031日 第2次提案を締め切り。2社が応募(1社は辞退)

  

2008
11月上旬~129 2社の提案について、事業の継続・発展性、譲渡対価、社員の雇用確保等の内容を慎重に審査し、オリックス不動産株式会社を最終審査通過者に決定。

  

2008
12月中旬~12月下旬 その後、同社と契約の詳細について交渉。

  

2008
1226日 権利義務の包括承継等円滑な譲渡遂行の観点から会社分割(新設分割スキーム)を採用したため、総務大臣認可を条件として1226日の取締役会決議を経て、オリックス不動産株式会社と株式譲渡契約を締結。

 

(ここまで引用)

三つの問題を改めて提示しておく。

第一は、ホームページ上の入札公告が、広く国内に入札情報を伝達するのに十分であったのかどうかだ。

第二は、日本郵政がメリルリンチ日本証券とアドバイザリー契約を締結し、メリルリンチ日本証券が「一括譲渡」を「絶対条件」としたというが、この判断が適正であったのかどうかだ。また、メリルリンチとアドバイザリー契約を締結する必要があったのか。

第三は、売却予定の「かんぽの宿」70施設および付帯する9箇所の社宅施設の売却価格として109億円が適正であったのかどうかだ。入札に際して最低落札価格を設定しておく必要があったのではないかという点だ。

日本郵政は第一次入札の応募企業27社に対して予備審査を実施して入札参加資格のある企業を22社に絞り込んだが、実際に入札に参加したのは7社だった。27社が7社に減少した経緯が明らかにされなければならない。

第一次入札企業に対して日本郵政が審査を行い、第2次入札企業を3社に絞込み、最終的に2次入札に参加したのは2社だったとのことだが、この間の経緯も明らかにされなければならない。

民主党が日本郵政に対して求めた資料から、「かんぽの宿」70施設の取得費用は用地代が295億円、建設費が2107億円であることが明らかになった。用地費と建設費だけで2400億円の費用が投入されている。備品代を含めると投入金額はさらに拡大する。また、70施設以外に9箇所の社宅施設が払い下げられる予定だが、こちらは土地の時価評価だけで47億円に達すると見られている。

日本郵政の前身である日本郵政公社が、すでに2006から07年にかけて、建設費約311億円をかけた「かんぽの宿」15箇所を計約13億円で売却したことも明らかにされた。このうち鹿児島県指宿市と鳥取県岩美町の「かんぽの宿」はそれぞれ1万円で売られていた。

1万円売却は明らかに「利権付き売却」である。「郵政民営化」の実態の一端を垣間見せる事例である。

「郵政民営化」の方針に沿って、郵政事業が株式会社形態での運営に移行した。この株式会社の株式が民間に売却され、郵政事業の権限が民間に移行することが「民営化」であるが、現段階では日本郵政の株式は100%政府保有であり、郵政事業は完全な国営事業である。

「民営化」とは何を意味するのか。「民営化」されてしまえば、今回の「かんぽの宿」売却のような「不透明極まりない取引」が、「民間会社の経営権に属すること」として、国民の監視が届かなくなる。現に竹中平蔵氏などは、100%国営の現状においてさえ、保有資産売却は「経営判断」に属することであり、「経営判断に政治が介入することは根本的に誤っている」と嘯(うそぶ)いている。

ここに、「民営化」の真の狙いが露見(ろけん)している。「民営化」は日本国民の貴重な優良資産が、特定の個人や資本の「私的な利益」追求の目的のために蹂躙(じゅうりん)されることを意味する。

幸いなことに、政府が100%の株式を保有している間に、悪事が露見した。2400億円の資金を投入した優良な国民資産が109億円で特定の資本に払い下げられることを、まずは白紙に戻す必要がある。

オリックスの発行済み株式の57.6%は外国人投資家が保有している。オリックスは「外国資本企業」なのである。

日本長期信用銀行が米国の投資ファンドである「リップウッド・ホールディングス」に、たったの10億円で払い下げられたとき、政府はゴールドマン・サックス証券とアドバイザリー契約を結び、ゴールドマンのアドバイスによって長銀をリップルに売却した。

しかし、契約には「瑕疵(かし)担保特約」の毒薬が仕込まれており、日本政府は一番札でないリップルの入れた札を落とした。この問題についての責任処理もなされていない。

そもそも、日本国民の貴重な資産を売却するのに際して、十分な広報活動が行われていないことが問題である。「かんぽの宿」は全国の優良な観光地に立地しており、地元資本に適切な価格で払い下げられれば、それぞれの地域振興に役立てることが可能になる。

「かんぽの宿」事業が赤字というが、原価償却費が高く設定されている面も影響していると考えられ、利用料金の見直しや、業務の効率化を実施すれば、黒字化することは十分に可能であると考えられる。

企業の保養施設を利用して低料金で宿泊サービスを提供する民間事業者も存在する。不動産事業に対する事業資金融資環境が激烈に悪化している環境を踏まえれば、拙速に売却することは合理的でないし、売却物件をいくつかの地域に分割することも検討されるべきである。少なくとも、物件売却情報を広く告知すれば、より多数の優良事業者が入札に名乗りを上げるはずだ。入札情報の告知から応募締め切りまでの期間が短すぎるのが「出来レース」疑惑を裏付けている。

日本郵政が保有する資産は、紛れもない日本国民の共有財産であるとの基本が改めて確認されなければならない。日本郵政が入札経過の詳細な情報を国会や政府に提出しないのは言語道断である。

国会は国政調査権を活用して、詳細情報の全面的な開示を日本郵政に求める必要がある。また、関係者を国会に参考人として招致して、疑わしい点を糾(ただ)す必要がある。

「郵政民営化」全体が外国資本と結託した売国勢力による「利権政策」であったとの重大な疑惑が存在する。「かんぽの宿疑惑」を突破口にして、「郵政民営化利権」の全容を解明し、国民の利益を外国資本に流出させる「郵政民営化」に「待った」をかける必要がある。

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2009年1月28日 (水)

思慮を欠く小泉元首相一院制提言

衆参両院の統合による一院制移行を目指す自民党有志の議員連盟(会長・衛藤征士郎元防衛庁長官)の総会で、1月16日、同連盟顧問の小泉元首相が「この議連を一院制への原動力にしたい」とあいさつした。同連盟は次期衆院選での自民党の政権公約(マニフェスト)に盛り込むため、4月をめどに提言をまとめる方針を決定した。
 総会では、同連盟会長の衛藤氏が提示した、
(1)議員定数を現在の両院合計722から500に削減
(2)選挙制度を都道府県単位の大選挙区制度に変更
(3)2019年に移行
の案をたたき台に議論を進めることを決めた。

民主党元参議院議員である平野貞夫氏がメルマガ記事「小泉元首相らの気狂い騒ぎに直言する」で指摘するように、国会議員を3割削減する提言は、「不況に苦しむ国民にとって、役に立たない国会議員や政党を懲らしめる格好の主張」である。

提言は、現在の「ねじれ国会」に不満をつのらせている国民に結構支持を受けているが、平野氏はこの点について、「これがきわめて危険な政治の兆候であることが、マスコミ・有識者にわかっていないことが、日本の悲劇である」と指摘している。

「カナダde日本語」の美爾依さんも、1月17日付記事「1月の麻生内閣支持率と一院制」で、
「本来は、国民の僕である政治家の数を減らすことは、ますます官僚のやりたい放題になるわけで、全く賛成できない。これまでも、小泉の言うことに従ってきて、恐ろしい目にあっている国民が小泉の言うことに耳を傾けるとは思わない」、
「衆院選では一院制を主張する小泉チルドレンはみな落選させるべきだ」、
「議員数が722から500に削減されるということは、地方の議員数が減り、いまでさえ、地方の声が届きにくいのに、この上議員数を減らしたら、ますます届きにくくなる。逆に東京、大阪、神奈川などの大都市に議員が集中し、ますます都心と地方の格差が広がることになる」
と述べて、小泉元首相提案を批判している。

米国の「大統領制」に対して日本の政治制度は「議院内閣制」と呼ばれる。11月28日の党首討論で麻生首相は「議院内閣制」を「議会制民主主義」と間違えたが、日本では議会が内閣総理大臣を指名して内閣が組織される。この内閣が行政権を担う。

一般に「大統領制」における大統領は強大な権力を有すると理解される。大統領は国民から直接選出されており、強いリーダーシップを発揮しうる。大統領は議会決定に対する拒否権なども保持している。

しかし、「政治権力」に対する抑制力の面から捉えると、米国の大統領制が「権力を抑止する」側面を強く持つのに対して、「議院内閣制」は「権力を創出する」側面を強く持つと理解されている。

それはなぜか。

「大統領制」では大統領選出と議会議員選出が独立している。大統領が所属する政党が議会で多数を確保するとは限らない。オバマ政権の発足時点では民主党が上下両院で過半数を確保しているが、比較的珍しいケースである。

「大統領制」は強い権限を持つ大統領に対して、議会に大統領の権力を牽制(けんせい)する役割を担わせているのである。大統領制は「権力を抑制する」側面に配慮した制度である。

これに対して、「議院内閣制」では、通常、議会多数派から内閣総理大臣が選出される。議会の多数派と内閣総理大臣の所属会派は一致することが通常である。内閣の提案は議会で承認され、政治の運営が円滑に進む。「議院内閣制」は「権力を創出する」側面を強く持つ。

内閣総理大臣は裁判所の人事権を有している。したがって、内閣総理大臣が保持する権限を最大に活用すると、三権を掌握することも不可能ではなくなる。小泉元首相は自分の意見に反対する自民党議員を党から追放し、刺客を放つ行動を取った。民主主義政党の党首としての行動を逸脱していたと言える。

議院内閣制の下で「権力濫用者」が首相に就任することが、「民主主義の危機」とも呼べる極めて危険な事態を引き起こすことが判明した。

「権力を創出する」側面を強く持つ「議院内閣制」を採用する国では、何らかの形で「権力を牽制する」仕組みを備えることが重要である。

2005年9月の総選挙で国民は自民党に多数の議席を付与した。国民全体が集団催眠にかかったような、異常な状況下で自民党は多数の議席を確保した。マスメディアが集団催眠に大きく貢献したことも見逃せない。「権力を濫用する」首相は、電波をも支配し、政治権力に有利な情報操作を実行した。

一院制下の議院内閣制が採用されると、このような局面で、政治権力が暴走することを防ぐことができなくなる。国民が常に冷静に、最適な投票行動を示す保証はない。集団催眠、集団ヒステリーに陥れば、2005年9月のような選挙結果がもたらされることも生じ得る。

2007年7月の参議院選挙で、国民は参議院の過半数を野党に付与した。国民は2005年7月の投票行動が誤りであったとの意思を表示したのである。たった一度の選挙結果に国の運命をすべて委ねることには極めて大きなリスクが付きまとう。

こうしたことを踏まえると、議院内閣制を採用している日本が、二院制を採用していることは賢明である。特定の政治勢力に強い政治権力を付与するに際して、一定の時間的猶予が国民に与えられるからだ。

現在、衆議院では自公が、参議院では民主、共産、社民、国民の野党が過半数を確保している。次期総選挙で国民が野党に強い政治権力を付与しようとすれば、国民は野党に衆議院の過半数を付与するだろう。野党に強い政治権力を付与する選択をしなければ、野党に過半数の議席を付与しないだろう。

たしかに、現在のような「衆参ねじれ現象」の下では、政治の意思決定が遅れやすくなる。しかし、それは「政治権力の暴走を防ぐコスト」である。政治権力は議会で圧倒的多数を確保すれば、憲法改正を実現できる強大な力を保有することになる。憲法改正などの問題で誤りは許されない。

権力が暴走し、国民が不幸の地獄に引き込まれることを防ぐために、一定の安全装置を備えることは賢明な選択である。

一院制が実施されれば、政治が極端から極端に振れることが誘発されやすくなる。選挙がごく短期間の熱病的な空気の変化に大きく左右される現実を踏まえても、一度きりの選挙に国の運命をすべて委ねてしまうことは危険である。

衆参ねじれ現象を、時の政治権力に対して、野党の意向を十分に汲み取って政治を運営することを、国民が要請している局面と理解するべきである。福田首相も麻生首相も主権者である国民の意思を踏みにじる行動を示して窮地に追い込まれている。国民の6-8割が反対する政策を強行実施すれば、その咎(とが)は必ず自分に帰ってくる。

「衆参ねじれ」から次にどう進むか。それを選択するのは国民だ。次期総選挙で国民が野党に衆議院の過半数を付与するなら、それは覚悟の選択である。一時的な熱病による選択ではない。野党は国民の選択を受けて、本格政権を樹立する正当性を確保する。

「カナダde日本語」の美爾依さんが指摘するように、国会議員の数を減らすことの弊害を考慮するべきだ。膨大な無駄を生んでいる「天下り」は根絶するべきだが、国民にとって最も重要な機関である国会の機能強化を考えるべきだ。無駄を排し、重要な事項に資源を集中して配分する、メリハリが重要である。定額給付金政策を検討する際にもこの視点が問題になる。

参議院を有効に活用する知恵が求められている。

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2009年1月27日 (火)

野党の正論と与党の横暴

2兆円の定額給付金を含む2008年度第二次補正予算案は衆議院で可決されたが、1月26日、参議院本会議で修正案が可決された。参議院は国民の6-8割が賛成していないと見られる定額給付金を削除した補正予算案を可決した。参院での予算修正案の可決は現行憲法下では初めてである。

補正予算修正案は衆議院に回付されたが、衆議院で不同意とされたため、日本国憲法第60条の規定にしたがい、両院協議会が設置された。両院協議会は、参院側が議事録の全面公開を要求して衆院側との調整が難航し、予定より5時間近く遅れ、午後9時過ぎに開会された。

議長には、国会法90条に基づき「くじ引き」で民主党の北沢俊美参院議員が選ばれた。協議が順調に進展しないため、北沢氏は午後11時前に「27日午後に再開する」と散会を宣言し、両院協議会は27日に再開されることになった。

与党は27日に衆議院本会議での麻生首相の施政方針演説など政府4演説を実施することを決めたが、野党は両院協議会開会中の政府演説実施に反対しており、与党が政府演説実施を強行する場合には、衆議院本会議を欠席する可能性を示している。

日経新聞は「民主、異例の引き伸ばし」の見出しを付け、また、産経新聞は「主張」で「2次補正予算、審議拒否は経済悪化招く」の表題を付けて野党の行動を批判している。

予算審議については日本国憲法で衆議院の優越が定められているため、野党がいたずらに審議を長引かせる可能性は低い。与党が政府演説を28日に延期すれば事態は収束すると予想される。

自公政権に迎合するマスメディアは思慮なく政治権力に擦り寄る論評を示すが、ものごとを考えるに際しては、日本国憲法が国会を国権の最高機関と定めている基本を見つめ直す必要がある。

日本国憲法は国会について以下のように定めている。
41 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
42 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

国会は衆議院と参議院の二院で構成されている。内閣総理大臣の指名も衆議院の優越が定められているため、一般的には衆議院の多数派勢力から内閣総理大臣が指名され、内閣を組織する。この多数派勢力が与党になる。

2005年9月の郵政民営化選挙で自民党が大勝したため衆議院では自民、公明の両党が多数を占めている。しかし、直近の国政選挙である2007年の参議院選挙では民主党が参議院第一党の地位を確保し、野党が参議院の過半数を占めている。

福田政権が政権運営に行き詰まったのは、衆議院と参議院の多数勢力が異なる状況下で、与党の主張を国会でゴリ押ししようとしたからだ。日銀幹部人事では、民主党が財務省からの天下りに反対する意向を明確に示していたにもかかわらず、福田首相は繰り返し財務省からの天下り人事案を提示し、人事のたな晒し状態を続けた。

二院制が採用され、参議院で野党が過半数を占めている以上、政権は野党の主張に真摯(しんし)に耳を傾けて、謙虚な姿勢で政権を運営することを求められる。しかも、直近の国民の意思は参議院の議席構成に示されている。

衆議院の議席構成は2005年9月の総選挙の結果としてもたらされたものだが、その後に自民党は郵政民営化に反対した議員を自民党に復党させるなど、2005年9月の選挙公約に反する行動を示している。

内閣総理大臣も政権放り出しとたらい回しのあげくの4人目であり、国民に信認された政権の正当性を保持していない。

麻生首相が独断専行で政策運営を強行しようとするなら、その前に総選挙を実施して国民の審判を受けることが不可欠だ。そもそも麻生首相は首相就任時点での総選挙実施を月刊誌で高らかに宣言していたのだ。

民主党の石井一議員の「月刊誌で宣言したからには総選挙を実施しろ、実施しないなら月刊誌の宣言を撤回しろ」の指摘は正論そのものである。

麻生首相は10月30日の記者会見で、「景気対策の最大のポイントはスピード、迅速に」と発言しながら、補正予算案の国会提出を2ヵ月間も先送りした。また、その中心政策である定額給付金については、国民の6-8割が明確に反対している。

自分たちが払った税金を財源に定額給付金が支払われるのだから、実施される場合に受け取るのは当然だ。「実施されたら受け取る」ことを、定額給付金を国民が肯定的に捉えていると解釈する麻生首相の唯我独尊(ゆいがどくそん)の解釈には唖然(あぜん)とする。

国民の6-8割が反対する定額給付金を補正予算から削除して、その該当分について、国民生活に直結する優先順位の高い対象に集中的に振り向けるべきとの野党の主張は、国民の声を代弁するものである。

麻生首相は定額給付金が支払われれば内閣支持率が上昇すると考えていると伝えられているが、国民感情をまったく理解できないとしか思えない。麻生首相が私財を投じて定額給付金が支払われるならありがたいと思う人はいると思うが、財源は国民が支払った税金なのだ。

小泉元首相が次期総選挙に向けて、議員定数削減および二院制廃止=一院制への制度変更を提言し始めた。国民の目先の支持を集めることだけを考えた理念も哲学もない提言だ。この問題については改めて論じるが、現状は二院制が採用されているのであり、この制度を踏まえた対応がとられるべきことは当然だ。

有権者は2007年7月の参議院選挙、世論調査、山形県知事選挙などを通じて、国民の意思についての情報を明確に発信している。麻生政権が国民の声に謙虚に耳を傾けなければ、次期総選挙では厳しい審判を受けることになる。民の声を離れて政治の安定はありえない。

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2009年1月26日 (月)

山形知事選野党勝利「真正CHANGE」へ力強い一歩

総選挙の前哨戦(ぜんしょうせん)として「与野党全面対決」の構図で戦われた1月25日投開票の山形県知事選で、無所属新人で民主、社民両党が支援した吉村美栄子氏(57)が自民党支援の現職で再選を目指した斎藤弘氏(51)を破り、初当選を果たした。

自民党王国の山形県での与野党全面対決の知事選で、自民党が支援した現職候補が敗れたことで、次期総選挙に向けて政権交代を求める国内全体のうねりが一段と高くなるのが必至の情勢になった。

敗れた斎藤弘氏は現職2期目の選挙で、敗北は異例である。加藤紘一元幹事長ら同県選出の三名の自民党衆院議員ほか、自民党県議の大半が支援に回った。公明党は自主投票を決定したが、選挙戦終盤では公明党も斎藤氏支援に動いた。

選挙戦終盤には民主党の小沢一郎代表が現地入りして「山形から政権交代を」と訴えた。選挙は終盤まで激戦だったが、当初は斎藤氏が優勢と見られていた。激戦の選挙区に足を運び、勝利を確保するところに小沢代表の強さが如実に示された。麻生政権にとっては極めて打撃の大きな結果になった。

当選した吉村氏は斎藤氏が実行してきた行財政改革の路線を行き過ぎた改革と批判し、「経済性が優先された県政を転換し、対話のある温かい山形を実現する」と訴えた。

小泉政権以降の自公政権が推進してきた「市場原理主義経済政策」、「財政収支改善を優先して国民生活支援を切り捨てる政策運営姿勢」が有権者によって否定されたものと理解できる。

次期総選挙の争点は以下の三点だ。
①「弱肉強食奨励」VS「セーフティネット重視」
②「官僚利権温存」VS「官僚利権根絶」
③「対米隷属外交」VS「自主独立外交」
である。

麻生首相が2011年度の消費税増税にこだわった結果、
④「消費税増税」VS「消費税増税阻止」
の争点が加わったが、実際に選挙戦に入ると、この4番目の争点がクローズアップされる可能性が高い。

新たに公表された毎日新聞および日本経済新聞の世論調査では、麻生内閣の支持率がさらに低下して2割を下回った。不支持率は日経新聞が76%、毎日新聞が65%の高率に達した。

麻生首相は1月25日の大相撲千秋楽の表彰式に参加し、朝青龍に内閣総理大臣杯を授与した。その際、麻生首相は「内閣総理大臣朝青龍明徳殿」と読み上げ、麻生首相が朝青龍関に首相の座を禅譲するのではとの憶測が蔵前では取り沙汰されているとも言われているとか。

小泉政権以降の自公政権は「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」の利益だけを追求する政策運営を続けてきた。一般国民の生活は破壊され尽くされてきた。個人所得税は増税され、年金や医療保険の保険料が引き上げられ、医療費の本人負担も大幅に引き上げられた。また、「障害者自立支援法」や「後期高齢者医療制度」が導入され、生活保護政策が圧縮されるなど、経済的弱者に対する冷酷な政策が推進されてきた。

派遣労働の製造業への解禁など、「資本の論理」に沿う労働行政が推進された結果、労働者が生存権を脅かされるような事態が生み出された。

「官(僚)」、「(大企)業」、「外(国資本)」の利益追求「政(治)」を「電(マスメディア)」支配による世論操作で推進してきた「政官業外電=悪徳ペンタゴン」の利権政治を刷新することが求められている。

政治の刷新は「本格的な政権交代」でしか実現しない。「本格的な政権交代」こそ、2009年の「日本版CHANGE」である。

自公政権は「官僚政治」そのものである。自公政権が「天下り」を根絶することは不可能である。小泉政権、安倍政権、福田政権が公務員制度改革を掲げても、「天下り」に手を入れることをしなかった。安倍政権、福田政権で行革相を担当した渡辺喜美氏も「天下り」を温存する制度改正を誘導した。

次期総選挙で自民党が惨敗する可能性が濃厚になるなかで、「悪徳ペンタゴン」は「次善の策」を模索し始めた。それが、民主党を巻き込んだ政界再編、大連立構想である。

既得権益を守ろうとする勢力は、とにかく与党の一角に何としても留まることに目標水準を引き下げた。

そのための戦術が渡辺新党の創設である。渡辺喜美氏が主張する「天下りの根絶」も「定額給付金の撤回」も民主党などの野党が主張してきたものである。渡辺氏が民主党の政策支持に方針を変更するなら、自民党を離党してそのまま民主党に入党すれば良いだけだ。

行革相に就任しながら、何の成果もあげられなかったことを反省するなら、三年くらいは謹慎する程度の真摯(しんし)さが求められる。

ところが、この渡辺氏をマスメディアがヒーローとして扱い、渡辺新党を全面支援する様相を示している。渡辺新党は民主党分断を狙っているように見える。

そこまで作戦が成功しない場合でも、次期総選挙で民主党、社民党、国民新党の野党三党に過半数を確保させなければ目的を達成する。この場合、渡辺新党がキャスティングボートを握ることになり、既得権益維持に動くだろう。

テレビ朝日番組「TVタックル」が渡辺新党の広報番組と化している。渡辺新党は「小泉一家」、「小泉チルドレン」、「脱藩官僚の会」、「民主党内市場原理主義者」、「自民系知事」の連携によって創設される可能性が高いが、「TVタックル」は完全にこの五つのグループのためのプロパガンダ番組になっている。

この番組に登場する民間人は、ほとんどがこれらのグループの「御用言論人」である。反対勢力には、ほんの申し訳程度の発言機会しか与えていない。

テレビ朝日では「サンデープロジェクト」および「ワイド!スクランブル」などが渡辺新党に対する偏向報道を展開している。

他方、日本経済新聞系列のテレビ東京が「週刊ニュース新書」で偏向報道を展開している。同番組は昨年秋以降、竹中平蔵氏、中川秀直氏、東国原宮崎県知事、渡辺喜美氏をゲストとしてスタジオに招いている。渡辺喜美氏については、昨年12月27日、本年1月10日に番組で取り上げた上で、1月24日に本人出演を実施している。

司会の田勢康弘氏は渡辺氏を絶賛するだけで、ジャーナリストとして渡辺氏に批評を加える姿勢を完全に失っている。テレビ局の報道スタンスが影響しているにしても、あまりにもお粗末な、田原総一郎氏並の番組運営振りである。

マスメディアは政権の移行が生じる場合に、それを自公政権から自民と民主による連立に誘導しようとし始めている。しかし、自民党あるいは偽装自民勢力が政権内部にとどまる限り、本格的な政治の転換、利権政治の刷新を期待することはできない。

民主、社民、国民を軸にする政権を樹立し、完全な政権交代を実現することが必要である。民主党は「資本の論理」を離れて、「労働者=一般国民の論理」を基軸に据えることを明確にした。「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」の利権を排除して「一般国民」の幸福を追求する政治を確立することが求められている。

民主党の山岡賢治国対委員長を攻撃するニュースが報道されているが、「悪徳ペンタゴン」は利権維持を目的に、手段を選ばぬ野党攻撃を仕掛け、「偽装CHANGE新党」を軸に、さまざまな揺さぶりを演じてくると考えられる。

国会議員削減、二院制廃止提案などの動きも「くせ球」の一類型である。あらゆる陽動作戦の本質を洞察し、本格的な政権交代実現に向けて総力を結集しなければならない。

山形県知事選挙結果に表れているように、「CHANGE」を求める国民の声は一段と強まっている。「偽装CHANGE」ではなく「真正CHANGE」を実現しなければならない。

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2009年1月24日 (土)

リフォーム詐欺は「96年総選挙-増税」再現を狙う

麻生首相が提示した2011年度消費税増税問題は「玉虫色」の取り扱いで決着した。

2009年度税制改正関連法案の付則に消費税率の引き上げを含む税制抜本改革について「11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と明記する一方、引き上げの実施日については別の法律で定める「2段階方式」を採用することになった。

1月23日付記事「消費税増税:選挙にマイナスだから知らん顔ですか」に記述したように、今回の決着は二つの意味を持つ。

第一の意味は、2011年度消費税増税の布石を打ったことである。増税を実現するには総選挙前に増税の痕跡(こんせき)を残す必要がある。「アリバイ工作」と表現するのが適切だろう。

増税を実施する場合、財政当局は国政選挙の日程を最重視する。国政選挙直前の増税実施は難しい。増税実施は国政選挙の直後ということになる。2010年に参議院選挙があるため、政府にとって増税実施のベストタイミングは2011年度ということになる。

1986年の衆参同日選挙に際して、当時の首相だった中曽根康弘氏は「投網をかけるような増税はしない」と発言した。中曽根政権は総選挙で大勝した国会の新勢力を背景に「売上税」導入を試みたが、総選挙前の発言が障害となって、「売上税」断念に追い込まれた。

麻生首相は増税で歴史に名を残したいと考えているのだと考えられる。中曽根政権の教訓を踏まえて、麻生首相は消費税増税明記にこだわったのだと考えられる。

自公政権が維持される場合には、2011年度に消費税大増税が強行される可能性が高い。「景気回復等を見極めて増税を実施する」とされているが、政権が維持される場合には、「千載一遇の増税チャンス」と捉えられて、増税が強行されるだろう。

第二の意味は、次期総選挙に際して、自民党議員の多数が2011年度の増税実施について、否定的な発言を示すと予想されることだ。総選挙に際して増税を明示すれば、惨敗を免れない。個別の候補者は、「景気回復を確認できない限り増税を実施しない」ことを強調することになるだろう。

しかし、自民党が与党にとどまる場合には、自民党は増税を強行実施することになるだろう。谷川秀善参議院議員が公言するように、「選挙にマイナスになるようなことは知らん顔する」のだが、選挙さえ済んでしまえば、選挙に際しての言葉は効力を失うことになる。国民は年金問題での教訓を忘れてはならない。

このなかで、総選挙に際して予想されることは、渡辺喜美新党が設立されることだ。「偽装CHANGE新党」である。この「偽装CHANGE新党」は、①「天下り根絶」と、②「消費税増税反対」を公約に掲げることになる。

「偽装CHANGE新党」を構成するのは、
①中川秀直氏-小池百合子氏-山本一太氏-竹中平蔵氏などに連なる「小泉一家」=「上げ潮派」
②飯島勲氏-武部勤氏に連なる「小泉チルドレン」
③江田憲司氏-高橋洋一氏-寺脇研氏-岸博幸氏などの「脱藩官僚の会」
④大阪府、宮崎県などの自民系知事グループ
⑤前原誠司氏をはじめとする民主党内市場原理主義者
と考えられる。

渡辺喜美氏が「消費税増税反対」と「天下り根絶」を主張するなら、民主党に移籍すればよいだけのことだ。ところが、渡辺氏は民主党と連携しようとしない。渡辺氏の言葉を言葉通りに受け取るわけにはいかない。

また、渡辺氏に対するマスメディアの異常な偏向報道は、マスメディアもこの「偽装CHANGE新党」に深く関わっていることを明白に物語っている。

「偽装CHANGE新党」の狙いは、民主党を中心とする野党勢力による本格政権樹立を阻止することにある。反自民票が民主党に集中することを防いで、共産党を除く野党単独での衆議院過半数を力づくで阻止することだ。

1996年10月20日に小選挙区制度の下での最初の総選挙が実施された。橋本政権の消費税増税提案が最大の争点だった。結果は自民党が勝利して、97年に消費税増税が実施された。

実はこの選挙で自民党は勝利していない。比例区の得票率は自民党が32%、新進党が28%、民主党が14%だった。反自民票が新進党と民主党に割れた。新進党と民主党の得票率は合計で42%に達し、自民の32%を大幅に上回った。

しかし、小選挙区制度の特性で、最大の得票率を獲得する政党が多数の議席を確保する。選挙の投票率は約60%だったから、自民党は有権者全体の2割弱の得票しか獲得しないのに、国会で過半数を獲得し、消費税増税を強行実施したのである。

総選挙に向けて渡辺新党を創設すると、反自民票が民主党と偽装CHANGE新党に分散する。また、共産党が得票を伸ばせば、共産党以外の野党の議席数は減少する。民主党は1996年に創設されて、新進党の政権獲得を結果的に妨害してしまった。96年の民主党が果たした役割を「偽装CHANGE新党」が担うことが期待されているのだ。

マスメディアは昨年なかばから、「偽装CHANGE新党」創設に向けて、着々と広報活動を展開してきている。日本テレビ-フジテレビ-テレビ朝日-テレビ東京が連携して、渡辺喜美氏の過剰報道を展開して現在に至っている。

総選挙で共産党を除く野党が衆議院の過半数を確保しない場合、2011年度に消費税大増税が実施されることになる。もちろん、「天下り根絶」など実行されるはずがない。

「政官業外電=悪徳ペンタゴン」はこのシナリオで着々と動いている。麻生政権と渡辺氏の対立も「出来レース」の疑いさえある。マスメディアの偏向報道については、回を改めて説明する。渡辺喜美元行革相が「天下り根絶」ではなく「天下り温存」を強行したことを突くテレビ番組は存在しない。日本のマスメディアは腐り切っている。「ゴミ」より酷(ひど)い。

次期総選挙で「消費税問題」をクローズアップし、野党による本格政権を樹立しない限り、「悪徳ペンタゴンによる利権政治」は終焉しない。「偽装CHANGE新党」による「リフォーム(改革)詐欺」を防止するための国民運動が不可欠な情勢になった。

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2009年1月23日 (金)

消費税:選挙にマイナスだから知らん顔ですか

 「かんぽの宿疑惑」について、社民党の保坂展人議員が本ブログ記事の内容を引用してくださった。保坂議員には国会での問題の徹底追及を強くお願い申し上げたい。保坂氏のブログ記事を読むと、日本郵政による入札が極めて短期間に行われたことがわかる。

HPのトップページなどに「重要なお知らせ」などとして、情報が行き渡る姿勢がとられていたのかどうかも確認する必要があると思われる。日本郵政は日本政府が株式を100%保有する国営事業であり、入札情報の詳細を、国政調査権を活用して調査することが当然求められる。国会での徹底的な対応をくれぐれもお願い申し上げたい。

消費税をめぐる自民党内の内紛が収束した。自民党は1月22日、09年度税制改正関連法案の付則案について、「11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」と明記する一方、施行時期は別法案で定める「2段階方式」を採用することで決着した。

麻生首相が主張した「条件が整えば2011年度に消費税増税を実施する」との方針と、「総選挙に向けて消費税増税を明記したくない」自民党の方針を両立させる「玉虫色」の決着が図られた。

この自民党の決定の意味は次の通りだ。
①総選挙に際して自民党候補者は、「2011年度に消費税増税を行うことを自民党は政権公約に盛り込まなかった」、「消費税増税などしない」とアピールする。
②総選挙が終わり、自民党が政権与党の地位を維持する場合には、今回の法律付則を盾に消費税増税を断行する。大型増税は国政選挙直後でなければ実施できない。2010年には参議院選挙がある。タイミングとしては2011年度しかない。自民党は景気情勢にかかわりなく消費税大増税を実行するだろう。

自民党が分裂騒ぎにまで発展するような内紛を演じたのは、総選挙に向けて「増税隠蔽(いんぺい)」の偽装工作を演じなければならなかったからだ。しかし、一方で増税を実施するための「アリバイ」を残しておかなければ大増税を実施することはできない。

1986年の衆参同日選挙に際して、当時の首相だった中曽根康弘氏は「投網をかけるような増税はしない」と発言しながら、総選挙で大勝すると「売上税」導入を試みた。しかし、有権者から強い反発が生じて増税構想は挫折した。

大増税を実施するには、選挙前に何らかの「痕跡(こんせき)」を残すことが不可欠なのである。麻生首相は財務官僚に操られている。財務省の意向を受けて、消費税増税を実施しようとの意思を固めていると考えられる。

民主党は政権を獲得する場合、「天下り利権根絶」を実現することを明確に政権公約に盛り込んでいる。国家予算では毎年度、12.6兆円もの国費が天下り機関に投入されている。民主党は政府支出全体を根本から見直し、天下りを根絶することによって、年間21兆円の財源を絞り出すことを公約として掲げている。

ところが、自民党は天下りを温存し、麻生首相にいたっては「渡り」まで温存しようとしている。「特権官僚」の利権を根絶しないのなら、政府が財源不足に直面することは当たり前である。自民党は必ず消費税大増税に向かう。

麻生首相が消費税増税方針を示す一方で、自民党全体が消費税増税色を薄める「玉虫決着」に血道をあげた理由を端的に示しているのが、自民党議員2名の次の発言だ。

「(選挙に)勝とうと思うと(有権者に)一種の『目くらまし』をしなければしょうがない」(7月16日:伊吹文明自民党前幹事長)

「選挙にマイナスになるようなことは知らん顔するようなことでないと。勝ってなんぼやから」(1月15日:自民党町村派代表世話人谷川秀善参院議員)

「天下り」についても、自民党のスタンスは明確である。安倍政権、福田政権が公務員制度改革を検討したが、結局はこれまで各省庁が取り仕切ってきた天下りを、「人材交流センター」が一元管理する変更を示しただけで、「天下り」を完全に温存する方針が定められた。

この方針決定の最高責任者が渡辺喜美元行革相だった。「渡り」禁止についても、法律に明確な定めを置かなかったから、のちに「政令」で「渡り」を容認する文言が書き加えられる事態が生じたのだ。

「天下り利権」問題にもっとも敏感な官庁のひとつが、警察・検察勢力である。非常に多くの企業が警察OBを警察対応用心棒として採用している。警察関係の事案で手心を加えてもらうためである。

警察・検察権力も民主党を中心とする野党勢力による本格的な政権交代実現を強く警戒している。

自民党議員は麻生発言を本音では容認していると見られる。総選挙に向けて増税を明記したくはないが、総選挙さえ済んでしまえば、財布の規模が大きくなる消費税大増税には大賛成である。「玉虫色」の文言で総選挙を乗り切って、総選挙後に大増税を実施することに、すべての議員が本音では賛成していると考えられる。

「目くらまし」

 「選挙にマイナスになることは知らん顔するようでないと」

  
の言葉は、自民党現職議員の言葉であるだけに重みがある。

有権者は「目くらまし」や「選挙用の知らん顔」をしっかり頭に置いて、投票行動を決めなければならない。

自民党町村派は小泉元首相が所属する派閥である。1997年に橋本政権が「財政構造改革法」という名の緊縮財政を法制化する法律を制定した。この法律制定の中心人物が中川秀直氏だった。

小泉政権は超緊縮財政を強行実施して日本経済を破壊した。財政赤字を減少させると主張したが、経済を破壊して税収が減り、結局、景気対策も必要になって財政赤字を激増させた。

当時、私は経済成長を維持することが日本経済にとっても財政収支改善にも必要であることを訴えた。成長維持政策の重要性を唱えた。これに対して、小泉元首相、竹中平蔵氏、中川秀直氏などは次のように反論した。

世界的に財政政策の有効性を唱える主張は完全に消えた。財政政策の有効性を主張するのは「オールド・ケインジアン」だけだ。経済が改善して税収が増加することを期待することはできない。だから、歳出を削減するか増税を図るしかない。

その中川氏や竹中氏がいつの間にか「上げ潮派」と名乗って、経済成長による税収増加、経済成長による財政再建を主張するようになった。竹中氏は「財政政策の発動が重要だと思っています」と恥ずかしげもなくテレビで話している。すべての言葉を信用できない人々である。

自民党は総選挙を控えてがたついているが、有権者は自民党の政策を次の通りに理解しておくべきである。

①総選挙に際して自民党は消費税増税を全面的に否定する発言を繰り返す。
②しかし、総選挙後に自民党が与党の地位を維持すれば2011年度中の消費税増税を断行する可能性が限りなく高い。

 次期総選挙の争点として
①「弱肉強食奨励」VS「セーフティネット重視」
②「官僚利権温存」VS[官僚利権根絶]
③「対米隷属外交」VS「自主独立外交」


④「消費税増税」VS「消費税増税阻止」
が加わることになった。有権者は「目くらまし」や「知らん顔」にだまされないように十分注意しなければならない。

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2009年1月22日 (木)

「かんぽの宿疑惑」と「小泉竹中政治研究-その金脈と人脈」

 1月20日、アメリカ合衆国第44代大統領に民主党のバラク・フセイン・オバマ氏が就任した。欧州から新天地を求めた人々が1776年に、すべての人民の権利と平等を宣言して建国された米国だが、一方でアフリカ大陸から黒人を奴隷として強制連行したダブル・スタンダードの影を引きずってきた。

 1862年にエイブラハム・リンカーン大統領が奴隷解放宣言を発表したが、人種差別は制度的に温存された。1964年7月にリンドン・ジョンソン大統領の下で公民権法が制定され、人種・宗教・性・出身地による差別が法律で禁じられた。

 しかしながら、実態としての差別が消えたわけではない。そのなかで米国はアフリカ系黒人を父に持つオバマ氏を大統領に選出した。世の中の理不尽、不条理が消えることはないだろうが、より望ましい社会を実現するために、一歩ずつ歩みを進めてゆく。それが本当の意味での“CHANGE”である。

 日本は明治維新で封建制度を脱した。第二次大戦後に民主主義、国民主権が導入されたが、明治以来の官僚制度が温存された。2000年代を迎えたいまも、日本の政治は「大資本」、「特権官僚」、「外国資本」の利益を追求する状況を脱していない。

 「大資本」、「特権官僚」、「外国資本」の利益を追求する政治を、「国民」の利益を追求する政治に変えなくてはならない。これが、2009年の日本が実現すべき“CHANGE”である。

「CHANGEは政権交代」

 これが2009年の日本の最大の課題である。

 さて、「かんぽの宿疑惑」を国会が追及し始めた。1月20日の参議院予算委員会では、社会民主党の福島瑞穂委員長が日本郵政の西川善文社長の出席を求めたが、西川氏は予算委員会を欠席した。福島議員は「かんぽの宿疑惑」の徹底解明を強く要求し、予算委員会での徹底審議を求めた。

 「晴天とら日和」様が引き続きこの問題についての情報を整理して提供してくださっている。1月15日に「「かんぽの宿」の叩き売りを見逃せない」を掲載された社民党の保坂展人議員が、1月20日付記事「「ラフレさいたま」は「かんぽの宿」ではなかった(視察速報)」の続報を掲載された。

 すでに「週刊朝日」2009年1月30日号が「「郵政民営化」でオリックス丸儲け!?」と題する記事で、日本郵政がオリックスに一括譲渡方針を決定したのが、全国70箇所の「かんぽの宿」だけでなく、「かんぽの宿等の各施設に附帯する社宅等の施設及び首都圏社宅9施設」を含むことを明らかにしている。

 「週刊朝日」が不動産調査会社に照会した結果では、9箇所の社宅施設の価値は約47億円とのことである。

 オリックスへの一括譲渡価格は109億円だが、これは「かんぽの宿」全国70施設プラス首都圏社宅9施設の譲渡価格なのだ。このなかの社宅9施設だけで47億円の時価評価が成り立つというのである。

 1月20日付の保坂展人議員のブログ記事を拝見すると、さらに疑惑は拡大する。国民新党が「ラフレさいたま」の視察を実行した際に、保坂議員と民主党の原口一博議員が参加したそうだ。保坂氏のブログに「ラフレさいたま」の写真が掲載されているので見ていただきたいが、これまた、目もくらむような豪華施設である。

 記事によると、施設の取得時期と費用は
土地 1993年3月 61億8000万円
建物 1992年11月 216億4000万円
両者合計で278億2000万円
である。

 この費用には各種調度品、家具などの物品費が含まれていないので、物品費を含めると300億円程度になるとのことだ。

 この300億円が70施設のなかのたったひとつの施設の取得費用なのである。鳩山総務相が訪問した大分県日田市の「かんぽの宿」も豪華な宿泊施設で温泉施設も充実していたそうだ。

 これらは日本郵政が保有する資産であるが、日本郵政の株式は日本政府が100%保有している。事業運営形態が株式会社形態に移行したが、日本郵政の保有資産は紛れもない国民資産である。今後、仮に日本政府が日本郵政保有資産、あるいは日本郵政を売却するとしても、国民の利益を最優先すべきことは当然で、最大限に高い価格で売却することが不可欠である。

 全国の70施設の「かんぽの宿」と9箇所の社宅施設のすべてを109億円で一括譲渡することは、あまりにも不当である。

 日本郵政や竹中平蔵氏は「入札」によって売却先を決定したのだから正当である、の一点張りの主張を展開しているが、「入札」そのものがどのように実施されたのかが問題なのだ。

 銀行保有の担保不動産が競売に掛けられることが多数存在するが、こうした裁判所を通じる「競売」であっても、いわゆる「出来レース」であることはいくらでも存在する。

 競売情報は「官報」などで公開されるが、すべての情報が多数の関係者に周知徹底されることは難しい。一般市民や一般企業がすべての個別物件についての詳細な情報を短期間に精査することは不可能である。

 個別の詳細情報を保有する銀行などが、あらかじめ詳細な情報を特定の物件購入者に提供し、入札参加者が極めて少数である状況下で、物件の売却が決定されることは少なくない。最低落札価格などの制約はあるものの、不動産の売却が「競売」を通じても「恣意的に」行われることはよくあることだ。

 日本郵政は2008年4月1日のホームページに「かんぽの宿」一括譲渡の譲渡先を公募したと説明しているが、この公募情報がどこまで周知徹底されるような形態を取ったのかが重要である。

 貴重な国民資産の売却であるから、新聞広告やテレビ広告など、広く国民全体に知らせる方法が取られなくてはならなかったはずである。日本郵政は膨大な広告費用をかけて、さまざまな広報、宣伝活動を展開しているはずだ。貴重な国民資産売却については、最重要広報事項としてその詳細情報を広く国民に周知させる義務を負っているはずだが、実情はどのようなものであったのか。情報が広く行き渡ることと比例して、落札価格の上昇を期待できる。

 また、日本郵政はメリルリンチ日本証券とアドバイザリー契約を結び、メリルリンチ日本証券が一括譲渡の方針を示したとされるが、売却対象の施設を詳細に調べると、個別売却で相当の売却価格を見込むことが出来る物件が多数存在する。

 「週刊朝日」記事によると、「週刊朝日」からの質問に対するオリックスの文書での回答には、「一括譲渡がFA(フィナンシャルアドバイザー)のメリルリンチからの絶対条件」であったことが記されている。

 「かんぽの宿」は歴然たる国民資産である。各地域の振興を考えるなら、それぞれの地域資本が施設を取得して、地域振興および地域の福祉向上に役立てることが望ましい。個別売却か、少なくとも地域を区分しての売却が取られるべき対応であったと考えられる。

 オリックスの発行済み株式の57.6%は外国人投資家が保有する。オリックスはれっきとした外国企業である。

 入札情報の詳細が日本国民全体に周知徹底されぬなかで、メリルリンチが「一括譲渡」を絶対条件に設定し、外国企業であるオリックスが貴重な国民の優良資産を109億円という破格の安値で取得しようとしているのが、現在の図式ではないか。

 サブプライム金融危機が発生し、世界的な「信用収縮」が深刻化していることは周知の事実である。サブプライム金融危機は2007年なかばに金融機関の巨額損失が表面化し、2007年秋には世界の主要金融機関の資本不足が表面化した。

 2008年3月にはベア・スターンズ社の経営危機が表面化して、FRBが異例の特別融資まで実行した。その後も昨年9月のリーマン・ブラザーズ社の破綻に象徴されるように「100年に1度の信用津波」が世界金融を覆っているのだ。

 このような状況下で、日本国内では金融機関の信用引き揚げが本格化して、2008年だけで史上最多となる33社の上場企業が倒産した。その大半が不動産会社だった。不動産会社に対する金融機関の「貸しはがし」姿勢は一段と激しさを増している。このなかで日本郵政は昨年4月に一括譲渡の譲渡先公募をひそかに発表したのだ。

 不動産会社への銀行融資が完全に停止するなかで、「一括譲渡」の条件を設定したのは、入札参加企業を極力圧縮するためだったとしか考えられない。入札に対応するための情報調査=デューデリジェンスに時間と費用を投入することが難しい企業が大半であったと考えられる。そもそも情報が広く行き渡っていたのか疑問である。

 いま、日本の不動産市況は冷え切っている。このような情勢下で貴重な国民資産を、広く買い手を募ることもせずに拙速に売却することは、明らかに国民の利益に反している。特定企業に巨大な利益を供与することを目的に、資産売却が進められているとの疑惑は、生まれてこないことが不自然な状況だ。

 立花隆氏が「田中角栄研究-その金脈と人脈」を発表して、田中角栄政治が金権政治の代名詞のように取り扱われるようになった。小泉竹中政治は「改革」の言葉を用いることで「反利権」のイメージを創作することに成功したが、そのイメージは本当に正しかったのだろうか。

 「小泉竹中政治」には、「民間人を登用する人事利権」、「規制改革を利権として活用する規制改革利権」、「外国勢力と結託して日本の国益を売り渡す売国利権」の匂いが充満している。

 「かんぽの宿疑惑」には「小泉竹中政治研究-その金脈と人脈」を解き明かす突破口となる潜在的な爆発力が潜んでいる。「改革利権」の実態を明らかにすることが、日本国民を「リフォーム(改革)詐欺」被害から救済する正道である。

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2009年1月21日 (水)

西松建設事件に立ち込める政治謀略の匂い

1月16日付記事に「手段を選ばぬ「悪徳ペンタゴン」次の一手」を掲載した。末尾に以下の記述を示した。

「検察当局が西松建設の裏金疑惑解明に動き出した。「悪徳ペンタゴン」による政権交代阻止活動の一環としての行動であるとの見方が存在する。

 日本の政治を「悪徳ペンタゴン」から「一般国民の手」に取り戻す、千載一遇のチャンスである。「悪徳ペンタゴン」はあらゆる手段を用いて、本格的政権交代阻止に全力を尽くすと考えられる。あらゆる工作活動の本質を洞察して粉砕(ふんさい)し、本格政権交代を成し遂げなければならない。」

 「国際評論家小野寺光一の「政治経済の真実」」主宰者の小野寺光一氏が、1月17日記事に西松建設裏金摘発問題を取り上げられた。タイトルは「小沢一郎を守れ<西松建設事件は政権交代を阻止するために「亡国の人物」によって用意された国策捜査か?>」である。

 さらに、「喜八ログ」様に1月19日、「謎の憂国者「r」さん」が「ネオリベ最終戦争」と題するメッセージを寄せられた。

 「r」さんのメッセージから一部を引用する。

「ブロガーの皆様にお願いがあります。
「西松建設」政治献金問題に関して、小野寺光一さん(評論家)が「何とかして小沢一郎を失脚させたい」勢力によって企てられた「政権交代を阻止するための国策捜査」の疑いがあると指摘されてます。
「小沢一郎を守れ<西松建設事件は政権交代を阻止するために「亡国の人物」によって用意された国策捜査か?>」
(「国際評論家小野寺光一の『政治経済の真実』2009-01-17

私「r」も小野寺光一氏と同様の危惧を持っています。
これについても書きたいのですが、時間が足りず頭が回りません。
「反自公」ブロガーの皆様に「謀略に気をつけろ!」と注意喚起をお願いできないでしょうか?」
(引用ここまで)

 「政官業外電=悪徳ペンタゴン(五角形)」の活動が一段と活発化し始めた。麻生政権の支持率が暴落し、不支持率が7割を突破した。このまま進めば、小沢一郎代表が率いる民主党を中心とする政権が樹立される。「悪徳ペンタゴンの巨大利権」が根幹から破壊される可能性が現実味を帯び始めた。

 「悪徳ペンタゴン」は本格的政権交代を阻止するためには、手段を問わない行動を実行に移し始めたと考えられる。

 「カナダde日本語」の美爾依さんが「1月の麻生内閣支持率と一院制」と題する記事で、本ブログの記事を紹介してくださるとともに、自民党「小泉一家」の蠢(うごめ)きについてスパイスの効いた記述を掲載されている。

 自公政権が危機に直面した原因はどこにあるか。

 第一に、小泉竹中政権以降の「市場原理主義」経済政策、
第二に、特権官僚が天下り利権を独占し、政治を支配してきた構造、そして、「官僚主権構造」を容認してきたこと、

第三に、政治が米国に隷属し、日本国民の幸福ではなく外国勢力への利益供与を優先してきたこと、
 にある。

「米国-「小泉一家」-マスメディア」は、一気通貫で結束し、マスメディア情報を操作することによって世論誘導を図ってきた。2005年9月の総選挙では、メディアによって「正義」と「悪魔」が創作され、多数の国民が「集団催眠」状況に陥(おちい)ってしまった。

米国流の「市場原理主義」はサブプライム金融危機によって、その欠陥を露わにした。小泉竹中政治は財政再建原理主義を盾に、経済とセーフティネットの破壊を推進した。マスメディアは、不良債権問題処理の断行により株式市場が2003年の危機を脱したと報道したが、その真相は「不正と欺瞞に満ちた人為的な金融危機の創出」であった。

小泉竹中経済政策は労働市場のセーフティネットを破壊した。高齢者、障害者、母子世帯、生活困窮者など、政府が手を差し伸べなければならない国民に対する冷酷無比な政策を実行した。小泉竹中政治は一般国民の不利益という犠牲の上に成り立つ「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」の利益だけを追求した。

麻生内閣の支持率低下は麻生首相の資質によるところも大きいが、根本的な国民の不支持は小泉竹中政治に対する評価に基づいている。

民主党を中心とする野党は、小泉竹中政治を否定し、政治の根本的な「CHANGE」を主張している。

第一に、「市場原理主義」を排除して、強固な「セーフティネット」を構築すること、
 第二に、「天下り根絶」を軸に、「特権官僚の利権」を根絶すること、
 第三に、「外国資本の利益」ではなく、「日本国民の利益」を追求すること、
を、明確に政権公約に掲げている。

自公政権の政治に対する国民の評価が定まり、昨年9月にお祭り騒ぎを演じて自民党が党をあげて選出した麻生首相の支持率が2割を割り、不支持率が7割を超えたなら、次の「CHANGE」は「政権交代」でしかありえない。

ところが、マスメディアは渡辺喜美議員の政策グループを常軌を逸した勢いで宣伝し始めている。

私は昨年6月3日に「「敵を欺くにはまず味方を欺く」手法に警戒すべし」と題する記事を執筆した。小野寺光一氏がいち早く警鐘を鳴らした政治プロパガンダドラマ『CHANGE』の背後にある政治的思惑について記述した。

このドラマの監修者が小泉元首相の元秘書である飯島勲氏であり、「政治指導」を担当したのが渡辺喜美議員の秘書である田中良幸氏だった。渡辺喜美氏は昨年9月の自民党総裁選では小池百合子候補の陣営に所属した。

1月17日付記事で警戒を呼びかけたが、1月19日のテレビ朝日番組「TVタックル」は渡辺喜美政策グループの宣伝番組と化していた。明らかに放送法第三条に抵触する番組制作であったと考えられる。番組MCの北野たけし氏は、発言が少ないが、注意して観察すると、民主党の小沢代表を批判し、渡辺喜美氏グループを賞賛する傾向を明確に有している。それが北野氏のミッション=役割であるのだと考えられる。

「神州の泉」主宰者の高橋博彦氏が1月19日付記事「ネオリベ構造改革派の徹底抗戦とマスコミの協働」でこの問題を取り上げられた。敬意を表したい。また、「村野瀬玲奈の秘書課広報室」様「渡辺喜美議員を評価しません」で渡辺氏の評価をまとめてくださっている。

次期総選挙対策と「小泉一家」=「市場原理主義者」の復権という二重の目的により、いわゆる「偽装CHANGE」新党結成への動きが、昨年半ば以降、水面下で推進されてきたのだと考えられる。関連する系列は、①小泉元首相-中川秀直氏-小池百合子氏-山本一太氏-竹中平蔵氏などの「小泉一家」、②武部勤氏-飯島勲氏-小泉チルドレン、③江田憲司氏-高橋洋一氏-岸博幸氏-寺脇研氏などの「脱藩官僚の会」、④前原誠司氏などの民主党内市場原理主義者、⑤橋下徹氏-東国原氏-橋本大二郎氏などの自民系知事グループなどである。

「TVタックル」で北野たけし氏は「どうー考えても、渡辺喜美さんのやっていることは間違いなく正しいと国民が考えるから」と表現して、露骨な世論誘導を図っていたが、いまになって渡辺氏が「天下り根絶」を唱えるとは、笑止千万(しょうしせんばん)である。

「渡り」の問題にしろ、渡辺氏は行革相だったのだから、「渡り根絶」を確実にする手法を取ればよかっただけだ。渡辺氏がまとめた法律改正は「天下りを制度的に確立するもの」であって、「天下り根絶」とは天地の開きのある代物だ。このことは、6月3日付記事にも記述した。

マスメディアが結託して、渡辺新党を全面支援し、「かんぽの宿疑惑」でも「市場原理主義者擁護」の姿勢を示している。渡辺喜美氏は、「当面、政党の結成を急がずに、国民運動を展開する」と述べたが、その狙いはマスメディアの全面支援を受け続けることにあると思われる。「かんぽの宿疑惑」については、いつものように「晴天とら日和」様が重要情報を整理してくださっている。

新党となると、メディアは「政治的公平」の視点から渡辺新党だけを取り上げることが難しくなる。国民運動であれば、これまで通り、突出したメディアでの支援活動を展開できるのだ。

マスメディアを完全支配する「偏向」がここまで露骨に展開されるのは、背後に巨大な力が働いているからとしか考えられない。米国諜報機関の影が見え隠れしている。

メディアが共産党を突然VIP待遇し始めたのは、非自民票が民主党に集中することを妨害することに狙いがあるのだと考えられる。至上命題は「本格的政権交代の阻止」にある。

突然浮上した西松建設裏金問題は、民主党攻撃の一方策として仕組まれた可能性が高い。「悪徳ペンタゴン」は「目的のためには手段を選ばぬ」ところにまで危機意識を高めている。

日本の政治を「悪徳ペンタゴン」の手から国民の手に奪還するためには、決死の覚悟が求められる。「敵を知り己を知れば百戦危うからず」である。これから表に出る政治スキャンダルには、必ず「政局的」背景があると見るべきである。スキャンダルが捏造される可能性もある。「国民の幸福を追求する政府」を樹立するには、これからの激闘に勝利しなければならない。敵は目的のために手段を選ばない。究極の覚悟が必要だ。

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2009年1月19日 (月)

「かんぽの宿」疑惑-竹中平蔵氏の稚拙な反論

Photo 日本郵政によるオリックスに対する「かんぽの宿」一括譲渡問題は「郵政民営化」の本質に関わる重大性を帯びている。私は1月10日付記事「「オリックスーかんぽの宿」疑惑の徹底検証が不可欠」でこの問題を取り上げた。

この問題に、「郵政民営化」の本尊の一人である竹中平蔵元総務相参戦した。竹中氏は1月18日放送のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」にも出演し、「市場原理主義」のもたらした経済の荒廃について必死の弁明を展開したが、まったく説得力のある説明を示すことができなかった。

竹中氏は
①「かんぽの宿」は毎年50億円の赤字を生み出す「不良債権」であり、早期売却は適正である。「民営化は民間の判断に任せることであり、経営判断の問題に政治が口出しすること、しかも機会費用の概念を理解しない政治家が介入することは、根本的に誤っている」。
②宮内氏は郵政民営化の論議には直接関わっておらず、「民間人が政策過程にかかわったからその資産売却などにかかわれない、という論理そのものに重大な問題がある」。
と主張する。

竹中氏の主張を読む限り、竹中氏が企業経営や経済学の基礎知識を持っているのかが極めて疑わしくなる。

「かんぽの宿」が毎年50億円の赤字を計上していると言うが、その理由は単純である。「かんぽの宿」の年間収入が年間支出を上回っているからだ。年間収入は「かんぽの宿」の利用者が支払う料金である。年間支出に減価償却費が過大に計上されている可能性もある。

保坂展人氏がブログ記事「「かんぽの宿」叩き売りを見逃せない」で指摘されているように、「かんぽの宿」は旧簡易保険法101条の規定に基づいて、「加入者の福祉を増進するために」創設されたものである。最終的に巨大な損失を生むことになった宿泊施設事業を簡易保険が手がけたことは間違いであったと考えるが、こうした経緯で生まれた「かんぽの宿」は赤字を生み出す低料金で「宿泊サービス」を提供してきたわけだ。

つまり「かんぽの宿」は「赤字出血サービス価格」の料金設定をしているから赤字を計上しているのである。竹中氏は、この施設を民間業者が買い取り、まったく同条件で事業を営めるとでも考えるのだろうか。民間事業者が施設を買い取った後は、事業が赤字を生み出さないように事業内容を見直すはずである。まさか施設を一括譲渡する条件に、「毎年50億円の赤字を今後も計上し続ける」との規定が設けられているとは考えられない。

現行の事業運営体制と料金体系を維持する場合に50億円の赤字が生まれるのであって、民間事業者が施設を購入すれば、料金体系などを見直して、事業の黒字化を図ることは間違いない。かんぽ会社がそのような事業見直しを実施すれば、赤字を解消することは不可能ではない。

施設売却の条件に雇用の確保義務が盛り込まれていると言うが、具体的内容が明らかでない。労働条件が完全に継続されるのか。また、雇用確保義務を負う期間は何年なのか。

竹中氏は「民営化は民間の判断にまかせること」だとするが、かんぽ会社は現状ではまだ民営化されていない。経営形態が株式会社形態に移行しただけである。政府保有株式が民間に完全に売却された段階で「民営化」が成立する。「民営化」されてしまえば、国民の貴重な資産が完全に「私的に」好きなように処分されてしまう。

「民営化」される前に、貴重な国民資産が「私的に」不透明に処分されることは許されないのである。この意味で、このようないかがわしい取引が実行に移される前に、国会の場で問題として取り上げられたことは、極めて意義深いことである。

現段階では「かんぽ会社」は民営化されていない。株式は100%政府が保有している、「正真正銘の」国有資産である。国有資産であるかんぽ会社の資産売却について、政府、国会、国民が、正当で透明な処理を求めるのは当然のことである。国会や内閣の閣僚が、国民資産の売却について、疑惑を解明しようとするのは当然の行動であり、こうした行動を批判するのは、売却決定のプロセスに重大な問題が存在したことを推察するようなものである。

オリックスの宮内義彦会長は小泉内閣の総合規制改革会議議長を務めた人物で、郵政民営化推進論者の一人でもあった。

総合規制改革会議は労働市場、医療など重点6分野の規制緩和を提言した。現在問題になっている派遣労働の自由化を推進した主力機関でもあった。

総合規制改革会議には宮内氏が会長を務めるオリックスと関わりの深い企業幹部が委員に名を連ねた。政府が推進した派遣労働拡大と密接な利害関係を有する企業経営者が会議のメンバーに数多く名前を連ねること自体、小泉構造改革の「利権体質」を雄弁に物語っている。

データ・マックス社が提供するサイト情報
「かんぽの宿」譲渡問題でオリックスにブーイングの嵐(上)(下)」が
、宮内氏のオリックスと小泉竹中政権が推進した規制緩和政策との関わりの一端を紹介している。1月10日付記事ではオリックスの保険事業と規制緩和政策および郵政民営化事業との関わりについて触れたが、上記サイト記事は

「宮内氏が享受する改革利権は、3つに分かれる。1つは、本業である金融部門の規制緩和による改革利権。2つは、行政に保護された統制経済の規制緩和による改革利権。ターゲットは農業・医療・教育の分野。3つは官業開放による改革利権である」と記述する。

竹中氏の反論と比較すると、はるかに大きな説得力を持つ説明である。村上ファンドもオリックスが出資母体であった。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に執筆したように村上ファンドへの出資者リストは検察が情報を隠蔽(いんぺい)したが、出資者リストを改めてチェックする必要もあると考えられる。

「かんぽの宿」70施設の一括譲渡価格が108億円というのは、いかにも安すぎる。現状では「かんぽの宿」は紛れもない国民資産である。「かんぽ資金」はかんぽ加入者の有償資金であり、利害関係者の利益を損なうような、不透明な資産売却は排除されなければならない。旧長銀がリップルウッド社に払い下げられたときも、形式的には入札が行われた。しかし、瑕疵(かし)担保特約まで含めると、リップルウッド社は日本政府にとって、最も有利な払い下げ先ではなかったはずだ。

一連の資産売却は明治の「官業払下げ」に通じるものがある。「官業払下げ」を取り仕切ったのは「悪徳政治屋」と「政商」である。いずれも、「公」の利益ではなく、「私」の利益を優先した。

「郵政民営化」全体が「現代版官業払下げ」の性格を強く有していると評価できる。竹中氏は「不動産事業」そのものを全面否定しているが、「日本郵政」は「不動産事業」に本格進出する行動を示しているのではないか。

「かんぽの宿」一括譲渡で見落とせない点は、雇用維持などの条件を付けることによって、破格の安値での政府資産売却が強行されようとしていることだ。「郵政」や「かんぽ」の株式売却などにおいても、株式売却当初のみ、さまざまな「付帯条件」が付けられる可能性が高い。「雇用維持」や「特定郵便局維持」などの条件の詳細が決定的に重要である。「期間についての規定」も重大な意味を持つ。瑕疵担保特約と同様に、付帯条件が付くことによって、入札が極めて不透明になっている可能性がある。

また、「付帯条件」が付せられているために、日本郵政株式が売却される際も、株式が安値で放出される可能性がある。株式を買い集めた外国資本などが経営権を取得した時点で、さまざまな制約を解き放して、巨大な利益を収奪する恐れが高い。「民営化」がこうした「利益動機」によって推進されている可能性が濃厚である。オリックスの発行済み株式の57.6%は外国人投資家が保有している。オリックスが外国企業であることも念頭に入れなければならない。

まずは、国会で「かんぽの宿-オリックス一括譲渡疑惑」の全容を解明する必要がある。入札および落札の最終責任者が誰だったのか。また、入札条件の詳細などについて、国会の国政調査権を活用して事実関係を明らかにする必要がある。その上で問題があれば、関係者を参考人として招致して適正な処理方法を再考しなければならない。

 

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2009年1月18日 (日)

テレ朝「サンプロ」の偏向「市場原理主義者」擁護

1月18日のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」では、渡辺喜美氏が発足させた政策グループを、渡辺氏と江田憲司氏をスタジオに招いて紹介するとともに、竹中平蔵氏と金子勝氏の討論を放映した。

竹中平蔵氏は2001年から2006年にかけて小泉政権の下で閣僚を務め、小泉竹政治を推進する中核的な役割を担った。竹中氏と金子氏の討論のあとに登場した伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長は、「いまどき市場原理主義を唱える人など1割も存在しない」と市場原理主義者を切り捨てたが、番組での討論では、市場原理主義者の総括がまったく実行されなかった。

田原総一郎氏は小泉竹中政治の市場原理主義政策を全面支援してきた経緯がある。小泉竹中政治=市場原理主義が糾弾(きゅうだん)されることは、田原氏自身が糾弾されることを意味する。番組の進行では、市場原理主義が批判一色にさらされることを防止しようとする姿勢が色濃く示された。

米国のサブプライム金融危機は、新自由主義=市場原理主義の破綻を象徴的に示している。小泉竹中政治は金融産業を、21世紀を代表する中核産業と位置付け、金融産業の技術的進化を肯定的に捉え、金融産業のグローバルな活動を絶賛してきた。

サブプライム金融危機は、新自由主義を標榜(ひょうぼう)する政策当局が提供したリスク感覚を欠いた自由放任の市場環境の下で、21世紀の中核産業と位置付けられた金融産業が、野放図に業務を膨張させた結果として発生したものである。デリバティブ金融商品の想定元本残高は600兆ドル規模に膨張したと見られている。

制御不能なレベルにまで膨張させた金融取引のバブルが、全人類の経済活動を麻痺(まひ)させるリスクをはらみながら破裂した。金融機関は政府の税金投入無くして存立しえない状況に追い込まれている。また、「市場原理主義」は市場原理に過度の信頼を置いて各種規制を撤廃するとともに、結果における格差拡大を放置して、経済的弱者を支えるセーフティネットを冷酷に切り込んでいった。

自分自身の労働力以外に資産を持たぬ労働者は労働を提供することによってしか生活を支えてゆくことができない。市場原理に委ねれば、「労働」が「資本の論理」に振り回され、労働者が不安定な雇用条件と低賃金に追い込まれることは、歴史が明白に証明してきたことだ。小泉竹中政治は労働行政にも「市場原理」を強制した。その結果として、深刻な格差拡大、非正規雇用労働者の激増、働く貧困層の激増などがもたらされてきた。

昨年末に日比谷公園に設置された「年越し派遣村」が象徴的に明示した「市場原理主義経済政策」が労働市場にもたらした災厄は、小泉竹中政治が促進した派遣労働の製造業への拡張がもたらした当然の帰結であった。

1月18日の放送では、「市場原理主義=小泉竹中政治」が糾弾(きゅうだん)されるどころか、市場原理主義者に空虚な弁明の機会が提供されただけであった。その原因は、事前に争点を明確にしたうえで、批判者に適正な批判を示すための十分な準備機会が提供されなかったことにあると思われる。「市場原理主義者」を擁護したい番組制作サイドが、「市場原理主義」の問題点を明示すること、批判者に十分な準備機会を提供することを、意図的におろそかにしたのだろう。。

竹中氏の弁明について、三つの問題点を指摘する。

第一に、竹中氏は現在の日本の政策対応について、「財政政策の発動が必要」と述べた。2001年から2003年にかけて、小泉竹中政権は超緊縮の財政政策を実行した。竹中氏は「財政政策を経済政策のなかに積極的に位置づけるとの考え方は時代遅れである。そのような考え方を取る先進国は存在しない」とまで言い切っていた。

ところが、小泉竹中政権は2001年度も2002年度もそれぞれ5兆円規模の財源調達を含む大型補正予算編成に追い込まれた。財政赤字を減少させると主張しながら、28兆円の財政赤字を36兆円にまで激増させた。

竹中氏は「埋蔵金があるから財政出動できる」と述べたが、2001年から2003年こそ、中立の経済政策を維持して、日本経済の破壊を回避するべきだった。小泉竹中政権は意図的に経済を破壊させる経済政策を実行して、第2次大戦後最悪の不況を招き、罪なき多くの日本国民を失業、倒産、経済苦自殺の灼熱(しゃくねつ)地獄に追い込んだ。

金融危機を回避するために財政政策を発動することが正当であり、財源として巨額の「埋蔵金」が存在するなら、2001年から2003年こそ、当初から超緊縮財政政策ではなく、中立の財政政策運営を実施すべきだった。小泉政権が景気破壊政策を実行しなかったなら、2001年から2003年の日本経済の地獄を回避できた。

第二の問題は竹中氏が2002年から2003年にかけての金融行政を正当化する発言を繰り返していることだ。残念ながら金子勝氏はこの問題の本質を的確に把握していない。番組制作者は、金子氏がこの問題を的確に把握して批判していないことを確認したうえで、番組に登場させているのだと考えられる。金子氏が「資産査定の厳格化と資本注入を主張していた」と発言すると、竹中氏の政策が正当化される印象が視聴者に与えられてしまう。

竹中金融行政の問題は、2003年にかけて日本経済の破壊を誘導し、「大銀行破綻容認発言」などにより株価暴落を誘導しつつ、預金保険法102条の抜け穴規定を活用して、犯罪的とも言える「欺瞞(ぎまん)」と不正に満ちたりそな銀行処理を強行した点にある。番組ではこの問題について、一言も触れられなかった。

日経平均株価は2001年5月の21,500円から2003年4月には7600円に暴落した。小泉政権の日本経済破壊政策によって、本来健全経営を維持できた金融機関が自己資本不足に追い込まれた。

竹中氏は2003年の金融危機で、金融機関の責任を追及して公的資金を注入して金融危機を克服したと説明するが、詐欺師の弁明とでも言うべきものである。詳細は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』ならびに、本ブログのシリーズ記事「りそなの会計士はなぜ死亡したか」を参照いただきたいが、三つの問題がある。

①そもそも、2003年にかけて日本経済を意図的に破壊する必要はなかった。
②2002年9月から2003年5月にかけての金融行政は、正当性と透明性を備えたものでなかった。金融機関の資産査定を厳格化し、自己資本充実を目指すべきことは当然で、私はその主張を1992年から一貫して示し続けた。竹中金融行政の問題は、金融行政のルール変更に求められる正当なプロセス、時間的猶予の提供を欠き、極めて不透明な密室処理によって恣意的な行政運営が強行された点にある。

③2003年のりそな処理においては、適正な責任処理がまったく行われていない。小泉政権はりそな銀行株主を全面的に救済する一方で、りそな銀行を実質的に乗っ取る行政運営を実行した。その後、りそな銀行は自民党の機関銀行と化し、この重大情報を朝日新聞1面トップでスクープしたと見られる記者が東京湾で死体となって発見されたとの後日譚が付いている。

 第三の問題は、格差拡大、深刻な雇用不安、労働者の生存権危機発生の原因が、小泉竹中政治の「市場原理主義」政策にあったことが明白であるにもかかわらず、竹中氏が一切の非を認めずに、詭弁を弄し続けていることだ。丹羽宇一郎氏は「非を非として認めない論議は不毛だ」と述べたが、竹中氏は最低限求められる潔ささえ保持していないように見える。

 小泉政権の下で製造業にまで派遣労働を解禁した最大の理由は、企業にとって「安価で切り捨てやすい、極めて便利な労働力」である派遣労働が好都合だったからだ。竹中氏は「同一労働・同一賃金制度」の重要性を申し送りしたと強弁していたが、それらのセーフティネット整備、あるいは制度変更は派遣労働解禁とセットで実行しなければまったく意味はない。

 好況があれば不況がある。竹中氏は「ITの進化によって景気変動が消滅する」と唱えていたから、不況が到来することをまったく想定していなかったのかも知れないが、そうだとすれば経済政策担当者としてあまりにもお粗末な能力しか備えていなかったことになる。

 日本経済が未曽有の不況に突入して、労働市場のセーフティネット不備の深刻な問題点が明らかになった。不況下で顕在化する問題に対する対応を、不況が到来してから慌てふためいて論議する失態は、小泉竹中政権時代の思考能力の欠如が原因である。

 テレビ朝日は、「市場原理主義者」と連携する渡辺喜美氏を軸とする「偽装CHANGE新党」を全面支援する一方で、糾弾されなければならない「市場原理主義者」の不適切な弁明の機会提供に尽力している。中立、公正の正当な論議によって、「市場原理主義者」を適正に糾弾しておかなければ、国民が再び悪質な「リフォーム詐欺」の被害者になることを防げない。公正で透明性の高い公開論議が求められる。

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2009年1月17日 (土)

「リフォーム詐欺」防止の国民運動を発足させよう

渡辺喜美議員が政策グループを結成した。メンバーには江田憲司衆議院議員、評論家の屋山太郎氏、PHP総合研究所社長の江口克彦氏が名前を連ねた。

テレビ朝日番組「TVタックル」が、常に民主党の小沢一郎代表批判を展開してきたことは、これまで繰り返し記述してきた。江田氏は同番組の常連出演者の一人であり、屋山太郎氏はVTR出演で小沢代表批判、民主党批判を表明し続けてきた。

1月19日放送で、同番組が渡辺氏の政策グループをどのように報道するかを注視しなければならない。テレビ番組が常に特定の政治勢力を攻撃し、他方で特定の政治勢力の宣伝活動に注力することは、放送法第三条が定める「政治的公平」に反すると考えられる。

渡辺氏が主張してきた
①補正予算案の臨時国会への提出
②早期の解散総選挙実施
③公務員天下りでの「渡り」の禁止
④政令に記載された「渡り」容認規定の撤回
⑤定額給付金政策の撤回
のすべては、民主党が主張してきたことで、目新しい内容は何ひとつ含まれていない。

渡辺氏が行革相に在職していたときに取りまとめられた国家公務員制度改革では、「天下り」が制度的に確立され、「特権官僚」を生み出す源泉である第一種国家公務員制度が基本的に温存された。

渡辺氏は「渡り」の禁止を強調しているが、「天下りの根絶」を実現する具体的提案をまったく示していない。

新政策集団がこの時期に立ちあげられ、マスメディアが異常な過剰報道を展開している理由は、次期総選挙での本格的な政権交代実現を阻止することにあると考えられる。

次期総選挙での政策対立軸は以下の三点であると考えられる。
①「市場原理主義」VS「人間尊重主義」
②「官僚利権温存」VS「官僚利権根絶」
③「対米隷属外交」VS「自主独立外交」
 小泉政権以来の自公政権は、①「市場原理主義」、②「官僚利権温存」、③「対米隷属外交」を基本に据えて政策を運営してきた。

「市場原理主義」の経済政策は、「資本の論理」に沿って規制を撤廃し、あらゆる分野で資源配分や所得分配を「市場原理」に委ねるものである。「市場原理主義」は「結果における平等」を軽視するから「所得再分配政策」は縮小され、「セーフティネット」の破壊が推進された。

経済政策における「市場原理主義」推進が、日本社会の構造を変質させた。

大企業は常に、
①労働者の賃金が低く、
②労働者をいつでも解雇でき、
③労働者に対する福利厚生負担が低く、
④法人税負担が低く、
⑤株主と経営者の分配所得が高いこと、
を望む。

小泉竹中政治の「市場原理主義」政策は、製造業への派遣労働を解禁するなど、労働行政の規制撤廃を推進したが、その結果、「分配の格差」が著しく拡大するとともに、労働者の生存権までもが脅かされる状況が生み出された。また、障害者、高齢者、母子世帯、生活困窮世帯などに対するセーフティネットが冷酷に切り込まれた。

次期総選挙での第一の争点は、一般国民である労働者の生活を支えるために、諸制度の根本的見直しを進めるかどうかである。大資本は小泉竹中政治によって獲得した、「資本」にとって好都合な諸制度を変革されたくない。本格的な政権交代が実現して、労働者の権利保障が拡充することを阻止したいと考えている。

渡辺喜美氏に連なる人脈は、①小泉元首相-中川秀直氏-小池百合子氏-山本一太氏-竹中平蔵氏などの「小泉一家」、②武部勤氏-飯島勲氏-小泉チルドレン、③前原誠司氏を中心とする民主党内「市場原理主義者」、④江田憲司氏-高橋洋一氏-岸博幸氏-寺脇研氏らの「脱藩官僚の会」、⑤橋本徹大阪府知事-東国原宮崎県知事-橋本大二郎高知県知事などの自民系知事グループ、などである。

渡辺喜美氏は、わずか4ヵ月前に実施された自民党総裁選で小池百合子氏支持陣営に所属した。小池陣営が「小泉一家」であることは言うまでもない。「小泉一家」の基本政策路線は、①「市場原理主義」経済政策、②「官僚利権温存」、③「対米隷属外交」である。

麻生政権は製造業への登録型派遣労働の禁止に消極姿勢を貫いている。「大資本」は労働者を機械部品のように取り扱える、安価で使い捨て可能な「派遣労働」制度を死守しようとしている。「小泉一家」が基本に据えてきた「市場原理主義」経済政策は、基本的に「資本の論理」に則っており、渡辺氏らの政策グループも、労働行政の基本路線転換には消極的であると考えられる。

また、渡辺喜美氏は、日本の外貨準備資金をサブプライム金融危機対策に流用することなどを提唱してきた。日本郵政資金をサブプライム金融危機対策に流用すべきと主張してきた竹中平蔵氏などとともに、日本の国民資産を安易に米国に献上する政策を提唱してきた。

自公政権の利権追求構造を私は「悪徳ペンタゴン」と表現してきた。「特権官僚(官)」、「大資本(業)」、「外国資本(電)」、「マスメディア(電)」が「政治権力(政)」と癒着して、相互の利権を温存する「利権互助会」を形成しているとの理解である。

渡辺喜美氏は行革相の立場にありながら、官僚利権を実質的に温存するスタンスを維持し続けた。国家公務員制度改革においては、カメラの前で「涙を見せる」パフォーマンスを演じたが、内容は「天下り制度の確立」でしかなかった。

「振り込め詐欺」と同様に「リフォーム詐欺」被害は根絶されていない。渡辺氏が「見せ涙」の三文芝居を演じた時も、「TVタックル」はこのパフォーマンスを誇大宣伝した。

マスメディアの誇大宣伝によって、渡辺氏が「特権官僚の天下り利権根絶」を追求していると錯覚しまう国民が多数発生してしまう可能性がある。マスメディアは「振り込め詐欺」防止に取り組むが、「リフォーム詐欺」では詐欺行為を支援する側に回っている。

小泉竹中政治も天下り廃止に動く権力を持ちながら、徹底して「天下り」温存に注力した。霞が関官僚の「天下り利権」は、堅固に維持されている。民主党は「天下り根絶」を明確に政権公約に掲げているが、渡辺氏および「小泉一家」は「天下り根絶」を明確に示したことがない。

「小泉一家」-「米国資本」-「マスメディア」は一気通貫でつながっているように見える。マスメディアではとりわけ、「テレビ朝日」の偏向ぶりが際立っている。

次期総選挙に向けて、「官僚利権根絶」の「偽装CHANGE」=「リフォーム詐欺」を実行しなければ、反自公政権票は民主党を中心とする野党に集中してしまう。マスメディアが本当に「官僚利権根絶」を追求するなら、民主党の政策を紹介すれば済むことなのだ。

①「市場原理主義」から決別し、「人間尊重主義」を基軸に据えて「セーフティネット」再構築に注力すること
②「特権官僚」の「天下り利権」を根絶すること
「対米隷属外交」を廃して「自主独立外交」を構築すること
を明確に掲げる野党に投票を集中させ、本格的な政権交代を実現しなければならない。

 「悪徳ペンタゴン」が次期総選挙での本格政権交代回避を目的に、渡辺氏を中心に国民運動を開始させた。「悪徳ペンタゴンによる利権互助会政治」を打倒するためには、「『偽装CHANGE新党』による『リフォーム(改革)詐欺』被害に注意しましょう」のキャッチフレーズによる救国国民運動を直ちに発足させる必要がある。

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2009年1月16日 (金)

手段を選ばぬ「悪徳ペンタゴン」次の一手

一連の経過を簡単に振り返ってみよう。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に詳細を記述しているので、ぜひ一度ご高覧賜りたい。

小泉政権は2001年4月に発足した。「痛みのある改革」を訴えて、超緊縮経済政策と企業の破綻処理推進を経済政策の基本に据えた。「国債を30兆円以上出さないこと」と「退出すべき企業を市場から退出させること」を掲げた。

「市場原理主義」を基本に据えて、セーフティネットを圧縮し、労働市場にも「市場原理」を浸透させた。医療保険制度、年金制度、介護保険制度、公的扶助、学校教育などの生活関連分野で財政支出削減を優先し、国民負担が増大する一方で、政府支出は削減された。

日本経済は未曽有(みぞう)の悪化を示した。2002年9月の内閣改造で竹中平蔵氏が金融相を兼務した。竹中氏はニューズウィーク誌のインタビューで、大銀行について「大きすぎるからつぶせないとの方針を取らない」ことを明言した。

大銀行を破綻に追い込む政策が推進されて、2003年4月から5月にかけて、「りそな銀行」の自己資本不足が問題化した。この経緯については「りそなの会計士はなぜ死亡したか」のシリーズ記事に詳細を記述した。

日経平均株価は2000年4月に20,800円の水準にあった。小泉首相が所信表明演説を行った2001年5月7日の日経平均株価は14,529円だったが、2003年4月28日には7607円に暴落した。

景気悪化、失業、倒産、経済苦自殺が日本列島を覆った。「りそな銀行危機」は人為的に創作され、株価暴落とその後の急反発が演出された疑いが濃厚である。日本国民は本来直面する必要のない灼熱(しゃくねつ)地獄に誘導されたのだと考えられる。

その目的は、金融庁による「恐怖による支配」の浸透、外国資本への巨大な利益供与にあったと考えられる。外国資本による破格の安値での日本資産取得が激しい勢いで広がった。小泉政権の一枚看板であった「郵政民営化」も米国が米国資本の利益のために日本に要求した施策だった。

2005年8月に郵政民営化法案が参議院本会議で否決されると、小泉首相は衆議院を解散し、「郵政民営化の是非を問う総選挙」と宣言した。郵政民営化に反対した議員には刺客が放たれ、マスメディアは郵政民営化を絶賛する偏向報道を繰り広げ、自民党は地すべり的な大勝利を収めた。

竹中平蔵氏は「がんばった人が報われる社会」を唱えたが、竹中氏が絶賛した「がんばった人」の成功事例の代表はライブドアの堀江貴文元社長などの金融錬金術師だった。小泉竹中政治が推進した「市場原理主義」経済政策が、非正規雇用労働者と働く貧困層を激増させ、日本社会を冷酷な「格差社会」に変質させた。

2006年秋に安倍晋三政権が発足して以降、小泉竹中政治の負の遺産が表面化し始めた。年金記録の不備や不正は小泉政権時代のものだった。財政事情だけを優先して高齢者の尊厳を踏みにじる「後期高齢者医療保険制度」も小泉政権の負の遺産である。

セーフティネットが破壊され、新しい貧困問題が重大な問題になった。2007年7月の参議院選挙で安倍政権は惨敗したが、自民党敗北の原因が小泉政権の負の遺産にあったことは明らかである。

衆参ねじれ現象が広がり、国会運営の困難が増大した。2007年7月の参議院選挙で国民は民主党に参議院第一党の地位を付与し、野党に参議院の過半数の議席を付与した。一般の法案は参議院で否決される場合、衆議院で3分の2以上の多数で再可決しないと成立しない。直近の国政選挙で示された民意は参議院の議席数に反映されており、政権が衆議院の多数の力で法律案をゴリ押しすることは世論の批判の対象にもなる。

福田首相は衆参ねじれ国会の本質を理解しない政権運営を強行しようとした。日銀幹部人事などの国会同意人事は参議院の同意を得ることを求めている。福田首相は与党提案をゴリ押ししようとして、政権運営に行き詰まった。また、後期高齢者医療保険制度に象徴的に示されるセーフティネットの破壊が、社会における格差拡大が深刻化するなかで、改めて重大な問題としてクローズアップされた。

昨年9月に福田首相が突然、政権を放り出したのは、次期総選挙の日程が差し迫り、福田首相の下で総選挙を実施しても、与党が大敗する恐れが高まったためだった。自民党総裁選を実施すれば、一時的にでも内閣支持率の上昇を見込める。政権発足直後の内閣支持率が高い局面を利用して総選挙を行うことで、政権交代を回避できる可能性が高まるとの判断が持たれたのだと考えられる。

自公政権が脅威と感じたのは、2006年4月に発足した小沢一郎代表が率いる民主党だった。小沢氏は民主党代表に就任した直後の千葉衆院補選で劇的な勝利を収めたあと、2007年7月の参議院選挙で民主党大勝を導いた。選挙に向けての争点の設定、きめ細かな選挙戦術設定の威力が発揮された。

自公政権は支配下のマスメディアを総動員して、小沢代表に対するネガティブキャンペーンを繰り広げてきた。2007年7月の参議院選挙でも小沢氏に対する個人攻撃は激しかった。2008年9月の民主党代表選挙では全国紙が社説で、複数候補による代表選実施を執拗に要求した。民主党の内部分裂を誘導することと、小沢氏に対するネガティブキャンペーンを展開することが目論まれたのだと考えられる。

福田政権時代の大連立構想、日銀人事処理などを通じて、小沢氏の影響力を排除する工作活動が執拗に実施されてきた。しかし、これまでのところ、一連の小沢氏攻撃の工作活動は成功していない。

自公政権は「政官業外電=悪徳ペンタゴン」がこれまで維持し続けてきた巨大利権を維持することを至上命題としていると考えられる。民主党を中心とする野党勢力が次期総選挙で衆議院の過半数を制圧すると、本格的な政権交代が実現する。「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」がこれまで欲しいままにしてきた巨大利権構造が根幹から排除されるリスクが、はっきりと現実の危機として迫っている。

麻生政権は政権発足時に総選挙を実施する腹づもりだった。ところが、政権発足時の内閣支持率が低く、自民党が実施した選挙予測調査結果が自民敗北を示したために、総選挙を先送りした。

その後は、麻生首相の首相としての能力不足が露呈して、内閣支持率がつるべ落としに下落した。この情勢のまま総選挙になだれ込めば、与党惨敗は動かし難い。「悪徳ペンタゴン」は本格的政権交代阻止に向けて新たな活動を本格化させ始めた。

渡辺喜美氏の活動が活発化し、マスメディアが渡辺氏の言動を過剰報道し始めたのは、このタイミングにおいてだ。渡辺氏が主張してきたことは概略以下のとおりである。

①麻生内閣は第2次補正予算案を臨時国会に提出すべきだった、
②補正予算案を臨時国会に提出しないなら、早期に解散総選挙を実施すべきである、
③国民が評価していない「定額給付金」政策は撤回すべきである、
④「天下り」に関して、「渡り」の全面禁止を明示すべきである、
⑤「天下り」に関する政令において「渡り」を容認する記述を削除すべきである、
などだ。

 これらは、すべて民主党などの野党が主張してきたことだ。渡辺氏は昨年9月の自民党総裁選で自民党の一員として麻生総裁選出に関与した連帯責任を負っている。渡辺氏が個人的に麻生首相を批判するのは自由だが、批判内容は野党が主張してきた内容を超えておらず、マスメディアが渡辺氏を過剰報道する合理的理由は存在しない。

 また、本ブログで記述しているように、渡辺氏が「天下り根絶」に全力で取り組んだ形跡は存在しない。渡辺氏が行革相時代に取りまとめた公務員制度改革は、第一種国家公務員制度という「特権官僚」を生み出す制度を温存し、特権官僚の「天下り利権」を制度的に確立するもので、渡辺氏が「天下り根絶」を今になって唱えるのは、工場廃水を垂れ流している企業が環境浄化を主張するのに等しい感を禁じ得ない。

 また、渡辺喜美氏は自公政権に対する国民的不支持をもたらしている根源である小泉竹中政治の「市場原理主義」に同調する立場を示してきた。渡辺氏は小泉元首相-中川秀直氏-武部勤氏-小池百合子氏-山本一太氏の「小泉一家」および高橋洋一氏を軸とする「脱藩官僚の会」と連携するポジションを取ってきた。

 麻生内閣の危機は麻生首相の資質によるところも大きいが、根本的な背景として、小泉竹中政治の負の遺産が存在することは紛れもない事実だ。麻生政権の危機に乗じて、本来の第一級戦犯である「市場原理主義者」を「正義のヒーロー」扱いすることは、余りにも筋違いである。

 「悪徳ペンタゴン」の中枢に「小泉一家」が位置している。この「小泉一家」がマスメディアを依然として実質支配していると考えられる。マスメディアは麻生政権の支持率暴落が民主党支持に直結しないよう、渡辺氏をヒーローとして仕立て上げることにより、本格的政権交代を力づくで阻止しようとしているように見える。

 検察当局が西松建設の裏金疑惑解明に動き出した。「悪徳ペンタゴン」による政権交代阻止活動の一環としての行動であるとの見方が存在する。

 日本の政治を「悪徳ペンタゴン」から「一般国民の手」に取り戻す、千載一遇のチャンスである。「悪徳ペンタゴン」はあらゆる手段を用いて、本格的政権交代阻止に全力を尽くすと考えられる。あらゆる工作活動の本質を洞察して粉砕(ふんさい)し、本格政権交代を成し遂げなければならない。

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2009年1月15日 (木)

渡辺喜美氏第三極の狙いは本格政権交代の阻止

国民は政治の本質の“CHANGE”を求めているのであって、政治権力を私物化する勢力の“CHANGE”を求めているわけではない。

「カナダde日本語」の美爾依さんには、いつもアクセス解析でありがたいご紹介を賜っている。本ブログにおいても「カナダde日本語」様からの逆アクセスは常に多数カウントされている。機会があればアクセス解析を紹介させていただきたい。

小泉政権以降の自公「政」権は
特権「官」僚の「天下り利権」を死守し、
「業」=大資本の利益極大化を追求し、
「外」=外国資本による日本収奪に全面協力してきた。

小泉政権はこうした特定利害関係者の利権維持拡大政策を、「電」波=マスメディアを完全コントロールすることによって推進した。

小泉竹中政治は労働市場の規制緩和を推進した。大企業=資本にとっては、
①労働者の賃金が低く、②労働者をいつでも解雇でき、③労働者に対する福利厚生負担が低く、④法人税負担が低く、⑤株主と経営者の分配所得が高いこと、が常に望ましい。小泉竹中政治の「改革」政策が、非正規雇用労働者と働く貧困層を激増させ、日本を世界有数の格差社会に変質させる原動力になった。

急激に悪化する日本経済の下で、派遣切り被害者が激増して「年越し派遣村」が設置されたのも、小泉竹中政治の「市場原理主義政策」が基本背景だった。

渡辺喜美氏の自民党離党は、自民党内で権力中枢から「窓際」に追いやられた自民党内「市場原理主義者」の権力回復活動と表裏一体をなしていることを、十分に認識しておくべきである。

麻生政権を早期解散・総選挙に追い込む上では、麻生内閣に造反する与党議員が多数生まれることが望ましい。渡辺氏が主張する「早期の解散総選挙」、「天下り根絶」は正論であるが、民主党は渡辺氏の行動を、警戒感を持って見極めるべきである。

民主党が政権を獲得して、これまでと代わり映えのしない政治を行うのなら、政権交代を実現する意味はない。国民が政権交代に期待するのは、政治の主役を転換し、「利権互助会のための利権政治」を「すべての一般国民を幸福にする政治」に転換することだ。民主党が数合わせの論理に陥り、政権交代を実現しながら現在の自公政権の政治を引き継ぐなら、新政権は瞬く間に支持を失うことになるだろう。

 「政官業外電=悪徳ペンタゴン」の「利権追求政治」は
①「市場原理主義」に基づく「資本」による「労働」からの収奪を支援し、「生存権」を保障する「セーフティネット」を破壊して深刻な「格差社会」を生み出し、
②「特権官僚」の天下り利権を死守し、
③「対米隷属」を外交の基本に据えて、外資による「日本収奪」および「郵政民営化」、外貨準備を通じる巨額資本供与を実行、
するものだった。

 政権交代によって実現するべき基本政策の方針は、
「人間尊重主義」に基づいて「セーフティネット」を構築するとともに労働者の生活を防衛する諸制度を確立すること、
②「特権官僚」の「天下り特権の根絶」、
③対米隷属を排して自主独立外交を確立すること、
である。

 渡辺喜美氏は安倍政権および福田政権で行革相の職にあった。国家公務員制度改革を取りまとめたのは渡辺氏である。渡辺氏はインタビューで涙を見せる「三文芝居」を演じたが、実現した公務員制度改革は完全な「骨抜き」だった。

マスメディアは渡辺氏を「改革の旗手」として絶賛し、渡辺氏をヒーロー扱いして報道してきた。マスメディアがかつて小泉元首相を不自然に絶賛した手法が再現されている。

これらの諸点について「チラシの裏」様がいつも奥の深い考察を示されている。メディア情報に踊らされることなく、多くの国民が真実を洞察しなければ、世直しは実現しない。真実を見つめる貴重な情報がより多くの国民に行き渡る方法を考えてゆきたいと思う。

渡辺氏が取りまとめた制度改革は「天下りの根絶」ではなく、「天下りの制度的確立」だった。渡辺氏は小泉元首相-中川秀直氏-武部勤氏-小池百合子氏-山本一太氏-竹中平蔵氏などの「小泉一家」と深い関係を有してきているが、この「小泉一家」は「天下り根絶派」ではなく、「天下り温存派」である。

「小泉一家」が財務省の「天下り御三家」をどのように取り扱ったかを見ればすべてが分かる。「天下り御三家」とは、「日本政策投資銀行」、「国際協力銀行」、「日本政策金融公庫」であり、「小泉一家」は財務省の「天下り御三家」への「天下り利権」を完全擁護した。

「脱藩官僚の会」の高橋洋一氏が中川秀直氏や竹中平蔵氏が提唱する政策の起案者と見られるが、高橋氏が「天下り根絶」を目指しているとは考えられない。「小泉一家」は「天下り根絶」を実行できる立場にありながら、終始一貫して「天下り」擁護に回った。

飯島勲氏は著書に「敵を欺くにはまず味方を欺く。これ権謀術数の第一歩と心得よ」と記述したが、高橋洋一氏は財務省と敵対する風を装いながら、財務省利権の温存に動いていると考えられる。

「特権官僚」を根絶するには、第一種国家公務員制度を廃止することが不可欠である。民間企業では多数の入社社員のなかから、入社後の競争によって幹部が登用される。大学卒業時点で将来の幹部職員への登用を約束する第一種国家公務員制度が、不遜(ふそん)で、公僕である本質を忘れ、自分を国家の主権者と勘違いする「特権官僚」を生み出す原因になってきた。渡辺氏は第一種国家公務員制度の廃止も提案しなかった。

渡辺元行革相は、竹中平蔵氏などとともに、郵貯資金での米国金融危機への資金提供、日本における政府系ファンド(SWF)創設、外貨準備による金融危機対応策への資金拠出、などを提言してきた。これらの施策が日本国民に巨大な損失を与える「売国政策」であることは明白である。

日本経済が未曾有(みぞう)の不況に突入し、日本政治の歴史的転換が求められる現在、渡辺氏が基本に据える政策方針は、否定されるべき政策方針そのものである。

こうした基本政策に対する吟味をおろそかにして、民主党が「敵の敵は味方」の単純図式に基づいて渡辺氏との提携による国会での多数派工作に動くなら、民主党の行動も「権力獲得優先の背信行為」と言わざるを得なくなる。

「政官業外電=悪徳ペンタゴン」は、本格的政権交代実現による巨大利権喪失の重大な危機に直面している。麻生政権の誕生により「窓際」に追いやられた「小泉一家=市場原理主義勢力」は、渡辺喜美氏を軸にする新勢力を、利権維持を目的とする次期総選挙に向けての「秘密兵器」として始動させた可能性がある。

「悪徳ペンタゴン」にとっては、大連立でも、新勢力と野党勢力との連立でも、巨大利権を維持できるのなら、何でも構わない。「悪徳ペンタゴン」広報部隊のマスメディアは、渡辺喜美氏をヒーローに祭り上げる過剰報道を実行して、民主党の地すべり勝利阻止に全力を投入し始めたのではないか。

渡辺氏はつい最近まで自公政権中枢で閣僚職にあった人物だ。麻生首相の失態が続く現状において渡辺喜美氏は、本来連帯責任を負うべき立場にある。その渡辺氏を英雄として祭り上げるところに、マスメディアのいかがわしさがある。

景気対策の早期実施、定額給付金の撤回、天下りの根絶、「渡り」の禁止は、すべて民主党が主張してきた政策だ。適正なロジックを辿るなら、マスメディアは政権交代待望論を打ち出すべき局面だ。

「派遣労働の見直し」において、民主党は「資本の論理」から「分配の公正」に明確に舵を切らなければならない。民主党が目先の数の論理に惑わされて「悪徳ペンタゴン」=「市場原理主義者」と手を結ぶことがあれば、日本政治刷新のチャンスは水泡(すいほう)に帰す。渡辺喜美氏の第三極構築に向けての行動が「偽装CHANGE新党」工作である可能性に特段の警戒が求められる。

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2009年1月13日 (火)

自民離党の渡辺喜美氏をめぐる権謀術数

自民党の渡辺喜美元行革相が1月13日午後、自民党に離党届を提出し、記者会見を行った。麻生首相の政権運営に対して反対の意向を表明したが、麻生首相が真摯(しんし)に批判を受け止めなかったことに抗議し、政治家としての「義命」により自民党を離党することを決意したとのことだ。

「義命」とは「大義よりも重い道徳の至上命令」を意味するとのことだが、渡辺氏が本当に「天下り根絶」などの「大義」を追求しているのか。「天下り根絶の大義」なる「偽名」により離党した可能性はないのか。慎重な見極めが求められる。

渡辺氏が麻生首相を批判する対象は、
①国民がまったく評価していない定額給付金を強行実施しようとしていること
②官僚の「天下り」について、「渡り」を容認する姿勢を示していること
③「天下り」の「渡り」を容認する文言が政令に書き込まれたことを容認していること
などである。

麻生首相が「景気対策のポイントはスピード、迅速に」と主張しながら、第2次補正予算案の国会への提出を2009年にまで先送りしたことについても、渡辺氏は、年内に提出すべきだったこと、提出しないなら総選挙を実施すべきだったことを主張してきた。

渡辺氏の主張は正論である。私が本ブログで主張してきたこととも基本的に重なる。

定額給付金の撤回、天下りの根絶は、民主党をはじめとする野党の主張とも重なる。

素朴な疑問が浮かび上がる。そうであれば、渡辺氏は自民党を離党して民主党と連携することが自然である。小選挙区制の選挙制度の下で、政治勢力は二大政党に収斂(しゅうれん)する傾向を有している。渡辺氏が自民党に見切りをつけ、同時に渡辺氏が主張する政策の基本方向が民主党と同一であるなら、渡辺氏は民主党に移籍するのが自然である。

ところが、渡辺氏の口から民主党との連携が明確には示されていない。「離党」は「復党」の道を閉ざすものでないことも伝えられている。いずれまた、自民党に復党する可能性も取りざたされている。

渡辺氏を中心に「偽装CHANGE新党」を創設し、反自民票が民主党に集中して流れることを妨害する策略が企(くわだ)てられている可能性を否定できない。

渡辺氏は「天下りの根絶」と発言するが、渡辺氏が安倍政権や福田政権の下で実行しようとした制度改革は「天下り根絶」からは程遠いものだった。各省庁があっせんする「天下り」は禁止するが、官民人材交流センターに天下りあっせんを移し、この人材センターによる「天下り」あっせんを公式に認めるものだった。

「特権官僚」を制度的に根絶するには第一種国家公務員制度を廃止するしかない。しかし、渡辺元行革相がそのような抜本策を実現させようとした痕跡(こんせき)はない。

渡辺氏が「天下り」根絶への第一歩として、改革の端緒を開いたのなら理解できる。民主党が国家公務員制度改革に賛成したのも、抜本的な制度変更への第一歩として当面の制度改正を位置付けたからだ。

渡辺氏が本当に「天下り根絶」を目指すなら、民主党と合流して、天下り根絶実現を目指すべきだ。次期総選挙で野党が圧勝すれば、「天下り根絶」を実現することは十分に可能になる。渡辺氏の今後の行動がきわめて重要になる。

福田政権の末期に、小泉元首相が自民党と民主党を横断するメンバーでの会合を開いたことがあった。「小泉一家」、「小泉チルドレン」、「民主党内市場原理主義者」を束ねたものだった。

「小泉一家」とは小泉元首相-中川秀直氏-武部勤氏-小池百合子氏-山本一太氏-竹中平蔵氏に連なるグループである。「小泉チルドレン」を取りまとめているのは飯島勲元秘書である。「民主党内市場原理主義者」とは前原誠司氏を中心とするグループである。これらに江田憲司氏-高橋洋一氏-岸博幸氏-寺脇研氏などによる「脱藩官僚の会」および橋下徹大阪府知事-東国原宮崎県知事などの「自民系知事グループ」が連携して、「第三極」の創設を目論む動きが存在すると考えられる。

民主党は党としての方針として、「市場原理主義」を排除して「セーフティネット再構築」を重視するスタンスを明確にした。次期総選挙における第一の争点は「市場原理主義VS人間尊重主義」であり、民主党は「人間尊重主義」に軸足を置くことを明確に定めた。しかし、民主党内部に少なからず「市場原理主義者」が存在する。これらの民主党内「市場原理主義者」は民主党を離脱して、「小泉一家」と合流するべきだ。

「小泉一家」を中心とする自民党内「市場原理主義者」勢力は、米国資本と手を結び、外国勢力に巨大な利益を供与する政策を実行してきた。「市場原理主義」と「対米隷属外交」がこの勢力の政策基本方針になっている。また、小泉一家は2001年から2006年にかけて政権を担いながら、「天下り」を完全に擁護してきた。「改革」の言葉とは裏腹に、小泉一家は「天下り温存」の政策スタンスを示し続けたのだ。

渡辺喜美氏は「天下り根絶」と口にしながら、実際の行動では「天下り温存」を確実に確保してきた。こうした経緯を踏まえて、渡辺氏が「小泉一家」、「小泉チルドレン」、「民主党内市場原理主義者」、「脱藩官僚の会」、「自民系知事グループ」と連携して第三極を形成するなら、その狙いは間違いなく「本格的政権交代阻止」に置かれることになるだろう。

「政官業外電の悪徳ペンタゴン」はこれまでに築いた巨大な「利権構造」を死守しようと懸命である。次期総選挙で小沢一郎代表が率いる民主党が大勝し、本格的な政権交代が実現すれば、「悪徳ペンタゴン」が築いてきた巨大利権構造が根幹から破壊される可能性が高いのだ。この本格的政権交代の阻止が「悪徳ペンタゴン」の至上命題になっている。

敵を欺くにはまず味方を欺く-これ権謀術数の第一歩と心得よ」とは、「小泉一家」参謀を務めた飯島勲氏の言葉だ。行革相時代の渡辺喜美氏の行動は「天下り廃絶を唱えるように装いながら天下りを温存しようとするもの」だった。

次期総選挙で本格的な政権交代が生じる可能性が高まるなかで、「悪徳ペンタゴン」が「偽装CHANGE新党」を立ち上げ、反自民票が民主党に集中するのを阻止し、「自公+偽装新党の連立政権」を樹立して、巨大利権構造の本格破壊を回避しようとしているとの仮説を否定することが出来ない。

「偽装新党」は民主党などの野党との連立さえ視野に入れている可能性がある。その目的も、巨大利権の本格的破壊の回避である。

渡辺氏が本当に「天下り根絶」を追求するなら、「天下り根絶」方針を明確に提示している民主党に合流するか、民主党と提携するべきだ。これが渡辺氏の行動が「真正CHANGE」を追求するものか、「偽装CHANGE」の「偽名によるもの」であるかを見極める「踏み絵」になる。

渡辺氏が民主党との協調を否定するなら、渡辺氏を中心とする行動は「偽装CHANGE」である可能性が確実である。マスメディアが渡辺喜美氏をヒーロー扱いすることも、「偽装」であることを示唆(しさ)するものだ。渡辺喜美氏の今後の行動を、最大の警戒感をもって注視することが求められる。

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2009年1月12日 (月)

「世論を笑う者は世論に泣く」ことになる麻生首相

1月11日のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」。司会の田原総一郎氏は以下の点で強引な論議の誘導を行った。

①派遣切りの問題が生じたのは「連合」が悪い。連合が正規雇用労働者の権利だけを主張し、非正規雇用労働者を置き去りにした。
②民主党は製造業への派遣労働解禁に賛成しただけでなく、現在もその禁止に反対している。
③定額給付金政策は定額減税政策の一変形であって、景気対策として有効。いつまでも定額給付金政策に反対するのはおかしい。

自民党広報番組であるなら、このような司会進行もありえるだろう。しかし、民間放送の内容は「放送法」の制約を受ける。田原氏の議論誘導は放送法が定める「政治的公平」を逸脱するものだ。

「連合」は民主党の支持団体のひとつである。田原氏の連合叩きには、総選挙を前にしての民主党攻撃の意図が込められていると考えられる。田原氏は元日放送の「朝まで生テレビ」でも連合攻撃の発言を繰り返した。このときは、湯浅誠氏が、連合が正規社員の賃上げを要請することで非正規雇用労働者の処遇改善が導かれると発言し、田原氏は黙り込んだ。

1月11日の放送では朝日新聞編集委員である星浩氏が、「政府、経営、組合の対応すべてに問題があったわけで、誰が悪いとの犯人探しの論議は建設的でない」と発言して、田原氏の連合攻撃が封じられた。

派遣労働に対する見直しの機運が高まっている。民主、共産、社民、国民の4党は製造業への登録型派遣労働を禁止する法改正を共同で提案する動きを示している。登録型派遣労働を原則禁止して、派遣労働を例外的に認める99年時点の状況にまで制度を戻すことについては、民主党内で考えがまだまとまっていない。田原氏はこの違いを針小棒大に取り上げて、野党共闘を分裂させることを狙う発言を示したのだと考えられる。

1月13日以降の国会審議では、定額給付金政策の是非が最大の焦点になる。野党は定額給付金を補正予算から切り離して補正予算審議を進めることを提案している。麻生首相が野党提案を拒否して定額給付金政策を含む補正予算審議を強行する場合、野党は参議院で補正予算案の審議を拒否する方針を示している。

補正予算案に対して野党が反対の姿勢を貫くと、補正予算の成立は大幅に遅れることになる。また、関連法案の成立には衆議院での3分の2以上での再可決が必要になる。不況が深刻化するなかで、補正予算の成立および執行が大幅に遅れることになる。

景気対策の執行が遅れることの責任を誰が負うのかが問われる。定額給付金政策を撤回することが正しい判断ということになれば、定額給付金政策を強硬にゴリ押しする麻生首相が責任を負わねばならない。逆に、定額給付金政策が容認されるべき正当な政策であるとの評価が成り立つなら、定額給付金政策に反対する野党が景気対策執行の遅れの責任を負うことになる。

田原氏の強引な論議の誘導は、定額給付金政策に正当性を無理やり付与しようとするものだった。1月10日前後に実施された報道各社の世論調査で、定額給付金政策の是非が問われた。世論調査では国民の6-8割が定額給付金政策を「評価しない」と断じた。

1月12日のフジテレビ番組に生出演した麻生首相は、議院内閣制の下では、国会で内閣総理大臣に選出された首相は正当性を有しているのであり、民意を問う必要はないとの見解を繰り返し表明した。

しかし、日本国憲法は主権在民を明記している。政治の意思は国民の意思を踏まえて決定されなければならないことが定められている。国民は政府が定額給付金政策を撤回して、早期に景気対策を実行に移すことを強く求めている。麻生首相が主権者である国民の声に謙虚に耳を傾ける姿勢を持つなら、定額給付金を撤回して、補正予算の早期成立と早期執行に全力をあげるべきだ。

年明け後の各社世論調査結果が明らかになった。
「晴天とら日和」様が早速、各社世論調査結果をとりまとめて下さっている。「晴天とら日和」様には、いつも本ブログ記事をご紹介下さいましてありがとうございます。

共同通信社世論調査結果を紹介する(単位:%)
麻生内閣を支持する  19.2 支持しない 70.2
定額給付金を評価する 23.7 評価しない 70.5

  
衆議院の解散時期
今すぐ 33.7 予算成立後4月ころ 32.7
通常国会後6月ころ 12.5 任期満了 15.1

  
次の政権のかたち
 自民党中心の政権 30.5 民主党中心の政権 51.4

  
次の衆院選比例区の投票先
 自民 26.3 民主 39.7 公明 3.1 共産 5.9
 社民 3.1 国民 1.0 改革 0.1 新党日本 0.2

  
首相にふさわしいのは
 麻生太郎 22.1 小沢一郎 46.4

  
政党支持率
 自民 27.5 民主 31.1 公明 2.2 共産 3.6
 社民 2.4 国民 0.4 改革 - 新党日本 0.2

内閣支持率が2割を切り、不支持率が7割を突破した。4月ころまでに解散総選挙を求める声が65%を超えている。7割以上の国民が定額給付金政策に反対している。こうした主権者である国民の意思を麻生首相が無視し続ける正当な根拠は存在しない。

定額給付金政策を強行し、予算の成立、執行を遅らせ、国民が求める解散・総選挙を麻生首相が先送りするのは、麻生首相自身の「私的な利害」だけが理由である。「公よりも私」を優先する首相を選出した自公両党の責任は重い。麻生首相が国民の意思を無視した政治の「私物化」を続ければ続けるほど、国民の反発はさらに強くなる。

政治権力に迎合し、歪(ゆが)んだ世論操作に加担する、御用言論人およびタレントも連帯責任を負う。有害な御用言論人をリストアップして政権交代実現後に責任を明確化することも不可欠だ。

「世論を笑う者は世論に泣く」ことを為政者の胸にしっかりと刻み付けなければならない。

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2009年1月11日 (日)

政権交代阻止を目論む断末魔の逆襲

「官」僚は「天下り」の利権が何よりも大切。役所には大臣官房秘書課というセクションがある。企業の総務部人事課に該当する。役所内の人事もあるが、「天下り」を一括管理する。役所のなかでの最重要セクションである。財務省の場合、大臣官房に「秘書課」と「文書課」があり、事務次官に上り詰める人物はどちらかの課長を務めるケースが圧倒的に多い。「文書課」は国会に提出する文書を統括する部署で、各省庁を統括する部署でもある。

「天下り」を統括する責任者が官房長で事務次官に就任する者がほぼ確実に経験するポストになっている。

民主党を中心とする野党が衆議院選挙に勝利して政権交代を実現する場合、「天下り」が根絶される可能性が高まっている。もちろん、「渡り」も排除される。霞ヶ関は特殊法人、独立行政法人、公益法人、民間企業に膨大な「天下り王国」を築いてきた。

「官僚主権構造」の根幹に位置付けられるのが、この巨大な「天下り王国」である。民間企業への天下りを除外しても、公益法人などの「天下り機関」に国は毎年度12.6兆円もの国費を投入している。「天下り」を根絶すれば、巨大な財源を確保することが出来る。国民生活を苦しめるセーフティネットの破壊と庶民大増税を回避することが可能になる。

しかし、「霞ヶ関」は「巨大利権」を失うことになる。「霞ヶ関」は全精力を注いで、本格的な政権交代阻止に動いている。

大企「業」=大資本は、経済政策の基本が「市場原理主義」から「人間尊重主義」に転換することを、全力をあげて阻止しようとしている。小泉竹中政治は「市場原理主義」の経済政策を一気に日本に定着させた。

年末年始の「年越し派遣村」がクローズアップした製造業による一方的な「派遣切り」の横暴は、小泉竹中政治が生み出したものだ。

大資本にとっては、
①労働者の賃金が低く、②労働者をいつでも解雇でき、③労働者に対する福利厚生負担が低く、④法人税負担が低く、⑤株主と経営者の分配所得が高いこと、が常に望ましい。小泉竹中政治が追求した方向である。

製造業に対する「登録型派遣」解禁は、大資本にとっての福音(ふくいん)だった。企業は派遣労働者を「機械部品」のように扱うことになった。多くの企業で派遣労働者を管理する部門が人事部でなく調達部門であることが、企業の派遣労働者に対する基本姿勢を物語っている。

企業はせっかく手に入れた「魔法の杖」を手放したくない。2000年から2008年にかけて企業は、労働分配率を引き下げる一方で、役員報酬を倍増させ、史上最高益と史上最大の内部留保を蓄積してきた。「資本の利益拡大」は「非正規雇用労働者の犠牲」の上に実現したものだった。

重要なことは、政府が「働く国民の生活を確実に守る」ことを基本に据えて、労働市場のルールを設定することである。企業が自由に「派遣切り」を実行しても、「派遣切り」の被害者の生活を政府が責任をもって支えるのなら問題は生じない。

しかし、「超短期」の派遣労働従事者に対して長期の生活保障を実行すれば、労働者の生活を支える「雇用保険」的な制度は財政的に破綻してしまうだろう。

したがって、企業に対して一定の「責任ある雇用」を求めることが必要になる。製造業においては工場の稼働率の操作によって生産量が大きく変動しやすい特性がある。働く人間が「機械部品」であるなら、企業の事情で生産を急拡大したり、急減させたりすればよいだろう。

しかし、人間に対するこのような対応は「人間性」を無視した企業の蛮行(ばんこう)としか言いようがない。「法令遵守(じゅんしゅ)=コンプライアンス」、「環境問題重視」、「社会的責任投資重視」などを提唱する企業が労働者に対してだけ、「人間性無視」の行動を取ることは許されない。

労働者に対する企業の責任を重視することは、「企業の社会的責任」を重視する立場から当然に要請されることだ。現状での「派遣労働制度」は企業にとって好都合な制度であるだけで、「労働者」の生活を守る視点が完全に欠落している点に問題がある。賃金、各種社会保険、雇用の安定性、雇用保険のすべての面で「派遣労働者」の処遇が低位に設定されている。

企業の事情で「いつでも首を切れる一番便利な社員」(坂本哲志総務政務官HPに見られる表現)が「派遣労働者」であるとの派遣労働制度の本質を踏まえれば、現状では「製造業」に対する「派遣労働」を禁止することがもっとも現実的な対応である。

民主、共産、社民、国民の野党4党は協調して製造業に対する派遣労働禁止に動き始めた。「大資本」は「資本の利益」にとってきわめて有利な、非人道的な「労働者の機械部品化」を容認するこの制度を手放したくない。麻生首相は「資本の論理」を代弁して、製造業への派遣労働を存続させようとしている。

「外」国資本は、外国資本に巨大利益を供与し続ける自公政権の存続を強く求めている。ブッシュ政権がイラクに軍事侵攻したときも、小泉政権は正当性の根拠を精査することもなく、「ポチ」のように従順に米国の行動を絶賛した(詳しくは拙著『知られざる真実-勾留地にて-』を参照されたい)。

米国は米国の利益のために「郵政民営化」を強力に要請した。小泉竹中政権は米国の指示通りに郵政民営化を実現した。また、小泉竹中政権は2003年にかけて日本経済を破壊して、日本の資産価格を暴落させ、米国資本に日本の優良資産を破格の安値で提供した。日本企業を容易に買収できる制度変更も実施した。

米国に隷属し、米国の指示通りに動き、米国に巨大な利益を供与する政権は米国にとってかけがえのない存在である。イラク戦争での米国の不正義が世界の常識になった今も、ひたすら米国に隷属し続ける自公政権を米国資本は必死で温存させようとするだろう。

小泉竹中政権時代の外貨準備を通じた50兆円もの米国への資金提供も、帰ってこない金になる危険が日増しに高まっている。麻生首相は総理に就任すると、米国への「恭順の意向」を示す印なのか、すぐさま10兆円の外貨準備資金をIMFに、2000億円を世界銀行に献上することを国会の承認も得ずに約束してきてしまった。

もはや日本は独立国ではない。米国の完全な植民地と化している。

小泉竹中政権は「官」、「業」、「外」の利権を追求する政治を実現するために、マスメディア=「電」波の完全支配戦略を重視して実行した。新聞、テレビのマスメディアが政治権力によって完全支配されるようになった。

田原総一郎氏、みのもんた氏などの報道番組司会者だけではなく、北野たけし氏、テリー伊藤氏、宮崎哲哉氏などのタレント、三宅久之氏に象徴される政治評論家などが、情報操作に総動員されてきたと考えられる。

民間放送局、新聞社は事業活動の大半を企業からの広告収入に依存している。政治権力、大資本、広告代理店の意向に逆らえないのがマスメディアの宿命であり、企業の営利目的とより強い情報源獲得のために、マスメディア自身が進んで、政治権力に擦り寄る行動が拡大した。

「霞ヶ関」で圧倒的な権力を有するのが財務省だが、マスメディアは財務省関連の審議会等に取り込まれ、「霞ヶ関」とも「利権互助会」の一員として癒着するようになった。「警察」、「検察」へのマスメディアの迎合も持続している。

「官」、「業」、「外」、「電」の巨大利権を死守することが「麻生政権」=「自公政権」の至上命題である。「市場原理主義」の破綻が明白になり、「郵政民営化が売国政策の一部であったこと」が誰の目にも明らかになり始めて、「政官業外電=悪徳ペンタゴン」の利権構造が崩壊に危機に直面している。

しかし、巨大利権を維持しようとする「断末魔」のエネルギーが、想像を絶するほどに強烈であることを十分に認識しなければならない。

衆議院解散権が内閣総理大臣の「私物」のように取り扱われ、総選挙が先送りされている最大の理由は、自民党惨敗の可能性が濃厚であるからだ。田原総一郎氏は相変わらず権力の走狗(そうく)として偏向報道を続けている。具体的内容については機会を改めて記述する。

渡辺喜美新党が創設される場合、その目的は本格的政権交代の阻止にある可能性が高い。最後の最後まで気を抜くことは許されない。「敵」はいかなる手段をも用いる勢力である。政治を「利権互助会」の手から「国民」のもとに取り戻すまで、全力をあげて闘い続けることが不可欠である。

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2009年1月10日 (土)

「オリックス-かんぽの宿」疑惑の徹底検証が不可欠

鳩山邦夫総務相が日本郵政によるオリックスに対する「かんぽの宿」一括譲渡に待ったをかけた。

問題は「かんぽの宿」だけの問題ではない。「郵政民営化」の本質に関わる重大さを帯びている。すでに「晴天とら日和」様も詳しく紹介してくだっさっている。

オリックスの宮内義彦会長は小泉内閣の総合規制改革会議議長を務めた人物で、郵政民営化推進論者の一人でもあった。

総合規制改革会議では労働市場、医療など重点6分野の規制緩和提言が示された。現在問題になっている派遣労働の自由化を推進した主力機関でもあった。

オリックスの宮内氏が会議議長を務めたほか、株式会社ザ・アール代表取締役社長の奥谷禮子氏、八代尚宏氏、株式会社リクルート代表取締役兼CEOの河野栄子氏も委員に名を連ねた。

「わんわんらっぱー」様によると、オリックスは株式会社ザ・アールの第2位の株主であり、株式会社リクルートはザ・アールの取引先であることが、衆議院厚生労働委員会で問題にされたこともあったとのことである。

医療における混合診療の解禁は、公的医療保険でカバーできない医療行為を解禁する規制緩和である。病気になったときに十分な医療を受けるためには巨額の費用がかかる。国民は疾病への備えとして、民間の医療保険商品を購入せざるを得なくなる。

米国が日本に対して突きつける内政干渉の公文書である悪名高い「規制改革年次要望書」の存在を世に知らしめた関岡英之氏は、米国資本が郵政民営化の次の大きなターゲットにしているのが民間の医療保険商品であるとの警告を発している。オリックスは系列企業でいわゆる第三分野の保険商品を販売しており、混合診療の解禁を含む医療分野の規制緩和を論議する総合規制改革会議の議長をオリックスの代表が務めることに対する懸念が、これまでも関係者から表明されてきた。

派遣労働の自由化については、「資本の論理」だけが優先されて、労働者の処遇および雇用の安定性が著しく損なわれたことが問題であるが、規制緩和を論議する内閣府の政令に基づいて設置された会議のメンバーに、多くの利害関係を持つ営利企業経営者が組み込まれたことがそもそも重大な問題である。

派遣労働においては、派遣元である人材あっせん業者が、不当に大きな利益を獲得し、労働者の権利が侵害されることが、大きな懸念要因である。派遣労働を急激に拡大させた背景に人材あっせん企業業界の利権拡大動機が潜んでいたことも確かであると思われる。

日本郵政が「かんぽの宿」をオリックスに一括譲渡することのどこに問題があるのか。この問題にも「郵政民営化」の本質が投影されている。日本国民の貴重な資産、財産が、十分な正当性に支えられた手続きを経ずに、私的な利益に転換されることが問題なのだ。

そもそも「郵政民営化」が、特定の資本、なかんずく外国資本が、不当に日本国民固有の財産を収奪することを目的に仕組まれた可能性が高いことが問題なのである。

小泉竹中政治は「郵政民営化」を「正義の政策」として国民にアピールした。「民間にできることは民間に」、「公務員を20万人以上削減する真の改革を実現しなければならない」と小泉首相は絶叫した。

2005年8月には、「郵政民営化の是非を問う」ことを目的に衆議院を解散までした。総選挙の投開票日が、同時多発テロが発生した9月11日に設定されたのも偶然ではないと考えられる。

日本郵政は、雇用の確保を重視してオリックスに一括譲渡することを決めたと説明しているが、雇用の確保について、具体的にどのような契約を交わすことになっているのかを公開する必要がある。

特定郵便局ネットワークの維持についても同様だが、「いつまで」、「何箇所の特定郵便局」を「どのような形態で」維持するのかが「契約」で確約されているのかが問題なのだ。とりわけ、「契約が守られない場合のペナルティー」が明記されていなければ有効性を持たない。

「かんぽの宿」の現在の雇用が維持され、「かんぽの宿」利用者の利用条件が維持されると伝えられているが、現在の雇用者の終身雇用が確約されているのか、「かんぽの宿」の利用形態が例えば今後50年は現状維持とすることが確約されているのか、などの契約内容の詳細が問題である。

一括譲渡された直後だけ、雇用と利用形態が維持されて、短期間に状況が転換されるのと、その契約が長期間有効であるのとでは、天と地の開きがある。

一括譲渡先を決定するために一般競争入札を実施したとされるが、入札は告知の方式により、実質的に「公開入札」の意味を持たない場合がある。形式のみ「一般競争入札」の体裁を整えて、実体上は「出来レース」で、特定の業者に「破格の条件」で譲渡されることなど、民間では日常茶飯事だからだ。

日本政府は破綻した長銀を入札方式で「リップルウッド」に10億円で譲渡した。譲渡後に発生する損失を日本政府が補填する「瑕疵(かし)担保特約」までついていた。日本政府はゴールドマンサックスとアドバイザリー契約を結び、多額のアドバイザー・フィーまで支払った。「旧長銀不正譲渡疑惑」も「りそな銀疑惑」とともに、全貌(ぜんぼう)がまだ明らかにされていない。

郵政事業が国営であれば、例えば「かんぽの宿」を払い下げるにしても、より厳格で透明性の高い方式が選択されなければならない。譲渡の時期にしても、日本政府にとって最も有利な時期が選択されなければならないことになる。

ところが、株式の売却はされていないものの、日本郵政という株式会社形態になっただけで、その意思決定は決定的に不透明になるのだ。日本郵政の事業決定は、基本的に民間の商取引と分類されて、さまざまなことがらが、「守秘義務」のベールに覆われてしまうのだ。

間違いのないようにはっきりさせておかねばならないことがある。それは、郵貯資金、簡保資金、日本郵政保有資産、なかんずく不動産の資産は、まぎれもない国民資産であることだ。

郵政三事業が株式会社形態に移行して以降、さまざまな利権獲得行動が広がっている。文字通り「政商活動」だ。「政商ブローカー」が私的利益を積み上げている可能性を排除できない。

「郵政民営化」については、郵政三事業を抜本的に縮小して、そののちに「民営化」すべきだとの「正論」が厳然と存在していた。私も大筋ではこの立場で意見を主張した。

しかし、小泉竹中政権は、巨大資産を抱えたままでの郵政民営化即時実行を強硬に主張した。その理由の一端が、「かんぽの宿」一括譲渡方針決定から透けて見えてくる。小泉竹中政権は、「巨大な資産を保有する郵政」を「民営化」しなければならなかったのだ。事業を縮小した「郵政」には「巨大利権」はもはや付属しないからだ。

2008年9月末時点でオリックスの発行済み株式のうち、57.6%が外国人投資家の所有である。つまりオリックスは「日本企業」でないのだ。宮内義彦氏、八代尚宏氏、奥谷禮子氏などは小泉竹中政治時代を代表する「市場原理主義者」の代表でもある。

2009年という時代の転換点にあたって、「市場原理主義者」と「市場原理主義」、そして「小泉竹中政治」を総括することが絶対に必要である。

「かんぽの宿」の譲渡先選定に際しての、応札状況および落札決定の実情を、国会でまず明らかにしなければならない。株式会社形態に移行した日本郵政における、重要な意思決定過程の実情を明らかにしなければならない。

日本郵政は「かんぽの宿」だけでなく、保有不動産の譲渡および再開発も進展させている。これらの資産売却にかかる商取引が、国民資産の取り扱いの見地から、十分に公正さと透明性を確保して進められているのかについて、徹底的な検証が求められる。国会は国政調査権を全面的に活用しなければならない。

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2009年1月 9日 (金)

民意から遊離する麻生首相の末路

①製造業に対する派遣労働禁止に反対。
②定額給付金を補正予算から削除することに反対。
③「天下り」および「渡り」の禁止に反対

これが1月8日の衆議院予算委員会で麻生首相が示した基本姿勢だ。

「最近は派遣社員が増えています。企業の生き残りを考えるといつでも首を切れる社員が一番便利です。」
 これは、自民党国会議員で麻生内閣の総務政務官である坂本哲志氏HPにある表現である。これが、政府が派遣労働を推進してきた基本的背景である。

企業=資本にとっては、
①労働者の賃金が低く、②労働者をいつでも解雇でき、③労働者に対する福利厚生負担が低く、④法人税負担が低く、⑤株主と経営者の分配所得が高いこと、が常に望ましい。

派遣労働拡大を推進した原動力は、こうした「資本の論理」である。

「多様な働き方の要請に応えた」というのは、聞こえのよい大義名分に過ぎない。「市場原理主義」は「資本の論理」、「資本の利益極大化」だけを追求するものである。小泉竹中政治による労働市場の規制撤廃推進は、大企業=大資本の利益極大化を追求する「市場原理主義」に基づいていた。「資本の論理」に基づく「資本の利益極大化」を容認し、「市場原理」にすべてを委ねた。これが「市場原理主義」である。

その結果として、製造業の新規雇用が「派遣労働」に集中した。働き手である労働者が「派遣労働」を求め、「派遣労働」に集中したわけではない。「派遣労働」は上記の①~③を満たしていることから、企業が新規求人を「派遣労働」に集中させたのである。

この結果、「低賃金」と「不安定な雇用形態」を特徴とする「派遣労働」が急激に拡大した。「資本」にとってこれほど好都合な雇用形態はない。しかし、裏を返せば、労働者にとってきわめて悲惨な状況が一気に広がったのだ。

急激な景気悪化に連動して、大企業が一斉に「派遣労働者の雇い止め」=「派遣切り」に動いている。突然、住居と所得を失う労働者が大量発生して、大きな社会問題になった。

しかし、資本は資本に有利な派遣労働制度を温存したいと考えている。資本は「多様な働き方を求めるニーズが存在するし、派遣労働制度の導入によって失業率が低下したのだ」と主張する。しかし、この主張も正しくない。

たしかに、どのような働き方を望ましいと考えるかについての価値観は変化している。日本の労働市場の特徴であった「年功賃金」と「長期雇用」は崩壊しつつある。労働者も学校を卒業してから定年退職するまで、ひとつの企業で働き続けようとしなくなった。しかし、国民の労働観の変化は、派遣労働の現状を正当化する理由にはならない。

問題は派遣労働従事者の不安定な雇用、社会保障の不備、賃金を含めた処遇の低さにある。正規雇用労働者と非正規雇用労働者の賃金格差、社会保障の格差を大幅に縮小する規制が求められているのだ。また、非正規雇用労働者が仕事を失った場合の保障を拡充することが求められている。

基本的に「同一労働・同一賃金制度」の導入、非正規雇用労働者に対する雇用保険および各種社会保険の適用を拡充する必要がある。

すべての労働者の生存権と尊厳を確実に確保する制度設計が求められている。すべての企業と労働者に対して均等に規制が適用されれば、企業はその「枠組み」のなかで労働者を雇用しなければならなくなる。「枠組み」のなかで市場原理が働くから、平時の経済状況の下では「完全雇用」が達成されることになる。重要なことはすべての企業と労働者に対して、この「枠組み」=「ルール」が例外無く適用されることだ。

麻生首相製造業の派遣労働禁止に反対の姿勢を示しているのは、麻生首相が「市場原理主義」の立場に立ち、資本の利益を重視して国民の利益を軽視しているからである。

「定額給付金」の経済効果は、「定額給付金」がどの程度、消費に充当されるのかによって変化する。「定額給付金」を受け取らない場合の消費水準から、「定額給付金」を受け取った場合にどれだけ消費が増えるかが問題になる。

多くの人々が経済の先行きに対する不安を強く感じている。このような局面では、定額給付金が消費ではなく貯蓄に回る傾向が強くなる。また、麻生首相が2011年度の消費税大増税を提唱している。この政策提示も消費を抑制させる効果を発揮する。

2兆円の国費を投入して定額給付金を給付しても、GDPを押し上げる効果は0.2%ポイントに満たない可能性が高い。

一人に12,000円を一律支給する定額給付金制度を評価しない国民は各種世論調査で6-8割に達している。菅直人民主党代表代行が指摘するように、2兆円あれば、派遣切りなどの被災者など100万人に対して年間200万円の給付を実行することさえ可能になる。限られた財源を用いて最大の効果を得るには、歳出の内容を十分に吟味する必要がある。定額給付金の一律給付は政治の思考停止に等しい。総選挙に向けての買収工作と批判されるのは当然である。

野党は補正予算案から定額給付金を削除した補正予算修正案を国会に提出した。国民の多数が賛成しない天下の愚策は、撤回されるべきだ。国民の支持を完全に失っている麻生首相が定額給付金をゴリ押しするために補正予算の成立、執行が遅れることになれば、麻生首相が責任を追及されることになる。

麻生首相は「天下り」について、「温存・死守」のスタンスを明示した。国家公務員の再就職あっせんを監視・承認する再就職等監視委員会の委員長人事が国会で同意されていないため、国家公務員の天下りあっせんが行えない事態が生まれた。

この事態に対して麻生政権は、麻生首相が監視委員会に代わって、天下りあっせんを承認することを政令で定めてしまった。また、渡辺喜美元行革相が「「渡り」は認めない」としていたにも拘らず、政令に「渡り」を容認する規定を盛り込んだ。

1月8日の衆議院予算委員会で民主党の仙谷由人議員が追及したが、麻生首相は「渡り」の全面禁止を確約しなかった。

天下り機関には年間12.6兆円もの国費が投入されている。「天下り」の存在が膨大な政府支出の無駄が生まれる最大の原因になっている。医療保険、年金、介護、雇用のセーフティネット、障害者支援、生活困窮者支援、教育など、国民生活に直結する費目に対する激しい支出切込みが実行されている一方で、「天下り利権」を維持するための国費投入は温存されている。

「天下りの根絶」こそ「改革の本丸」である。小泉竹中政治は「改革」を叫びながら「天下り」を温存し続けた。小泉竹中政治の実態は「大資本」、「特権官僚」、「外国資本」の利益追求だった。「改革」の言葉が「よい方向に制度を変えること」を意味するなら、小泉竹中政治が実行したのは「改革」ではなかった。「改悪」、「えせ改革」、もしくは「リフォーム(改革)詐欺」と呼ぶべきものだ。

「資本の論理」だけを追求した小泉竹中政治の「労働市場改悪」が現在の社会不安を招いた原因である。「郵政民営化」も米国資本と特定資本に巨大な利益を供与する政策にすぎなかった。このことはオリックスに対する「かんぽの宿」一括譲渡構想にも端的に示されている。

①「市場原理主義」から訣別し、「人間尊重主義」に基づく「セーフティネット」を確立すること
②「天下り」=「官僚主権構造」を根絶し、「国民主権構造」を確立すること
「対米隷属外交」から訣別し、「自主独立外交」を確立すること
が次期総選挙での政権交代実現の目的である。

 主権者である国民の意向から完全に遊離(ゆうり)した麻生首相は、首相の地位に居座り続ける正当性を完全に失っている。国民の支持を完全に失って首相の地位に居座り続けることは、民主主義の根本原則に矛盾する。麻生政権の崩壊は時間の問題だが、被害を最小限に食い止めるための早期退陣が求められる。

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2009年1月 8日 (木)

津波第二波が「ドル暴落」を生み出すリスク

米国の2009会計年度(2008年10月~2009年9月)の財政赤字が激増する。米国議会予算局(CBO)は1月7日、米国の2009会計年度の財政赤字が1.2兆ドル=約110兆円に達する見通しを発表した。オバマ米国次期大統領は1月6日、記者団に対して米国の財政赤字が仮に景気が回復しても、数年間は1兆ドル規模の水準で推移する見通しを示した。

米国の08会計年度の財政赤字は4548億ドルで、09会計年度は一気に2倍以上に拡大する。09会計年度の財政赤字のGDP比は8.3%に達し、過去最悪を更新する。

CBOが7日に発表した財政赤字見通しは、オバマ次期米大統領が準備中の景気対策を反映していない。実際の赤字額はさらに膨らむ。

オバマ次期大統領は2年間で7750億ドル(約72兆円)規模の景気対策を策定しており、09年度の財政赤字は1.5-1.6兆ドル(約150兆円)に達することになる。

問題はこの赤字をどのようにファイナンスするかだ。米国は2007年に7300億ドルの経常収支赤字を計上している。米国国内の個人、法人、政府を合算して7300億ドルの赤字を計上していることを意味する。09年度は財政部門の赤字が4500億ドルから一気に1.5兆ドルに拡大する。

その大半を海外からの資本流入に頼らなければならないだろう。FRBが不足する財政赤字をマネーの供給でファイナンスするなら、過剰なドル供給はドルの信認を揺るがすことになる。

二つの大きな問題が浮上する。

第一は、政府部門の巨大な資金調達が米国の長期金利を急激に引き上げるリスクを発生させること。
 第二は、米国の巨大な財政赤字の発生がドルの先行き下落期待を急激に高めること。

米国の10年国債利回りは昨年6月に5.3%の水準にあった。原油価格が1バレル=147ドルに達する過程で、FRBによる金利引き上げ観測が強まったためだ。

ところが、その後、原油価格が急落し、金融危機深刻化を背景にFRBが大幅利下げに動き、同時に景気悪化が加速したため、米国10年国債利回りは2.0%にまで低下した。

為替レートは2000年から2008年央まで、米ドルが日本円以外の主要通貨に対して暴落していたため、昨年央以降、米ドルは日本円以外の主要通貨に対して反動の上昇を示した。

しかし、今後、米ドルの信認が低下し、米国に対する資本流入が縮小すると、米国ではドル安進行の下で長期金利上昇が発生する可能性がある。景気後退下の長期金利上昇は米国経済にさらに下方圧力を加えることになるため、米国株価はさらに下落圧力を受けることになる。

これが「ドル暴落シナリオ」であり、米国金融市場は株安・債券安・通貨安の「トリプル安」に直面することになる。

日本は小泉竹中政治の巨大な「負の遺産」の処理に苦闘することになる。竹中平蔵氏が金融相に就任して以降、日本政府は巨額のドル買い為替介入を実施して、現在、日本の外貨準備残高は1兆ドルに達している。

ドルの下落は日本の外貨準備の時価評価の減少を意味する。1ドル=95円時点で、すでに外貨準備の為替差損は24兆円に達したことが明らかにされている。財政が逼迫しているなかで、24兆円の損失が日本国民に対するどれだけの背任行為であるか。計り知れないものがある。

2005年から2008年にかけてのドル堅調時に、日本政府はドル資産残高を大幅に圧縮しておくべきだった。為替損失を計上せずに、外貨準備残高を20億ドル程度に圧縮することは十分に可能だった。

ところが、小泉政権は米国政府の要請に基づき、保有するドル資産を売却しない約束をした可能性がある。もし、約束の存在が事実だとすれば、許されざる売国行為である。

1月5日付日本経済新聞は、中国の社会科学院世界経済政治研究所の余永定所長が1月5日付の中国紙『中国証券報』で、世界最大の外貨準備の運用について「米国債をある程度売って、ユーロや円の資産を増やすべきだ」と語ったことを伝えている。中国政府は昨年もGSE(政府支援住宅金融公社)債の信用リスクが高まる局面で、GSE債券を積極的に売却した。外貨準備の運用に際しては、中国の国益を優先して対応していることがよく分かる。

日本の外貨準備の成り立ちが一般によく理解されていないので、簡単に解説する。日本政府は急激なドル安=円高局面で、ドル下落=円上昇を抑制するために、外国為替市場でドルを購入することがある。これが「ドル買い介入」である。ドルを買うのは日本政府=財務省で、その買い付け資金は、全額日銀からの借金である。政府が「外国為替証券」と呼ばれる政府短期証券(国債)を発行して、その全額を日銀が引き受ける。

これまでの累計で、政府は1兆ドルの外貨準備を保有している。ところが、ドルが下落したため、ドルを購入した費用と保有するドルの時価総額の差額において24兆円の損失が生まれているのだ。

この損失は、日本国民の負担になる。24兆円もの為替損失を生み出した小泉竹中政治に財政再建を語る資格はまったくない。外為会計の損失発生については、国会で責任を厳しく追及しなければならない。

これだけ損失を重ねているなかで、麻生政権は11月15日の金融サミットで、さらに10兆円もの資金を金融危機対策のために外貨準備から拠出することを約束してきてしまった。麻生首相はこのことを得意げに語るが、言語道断だ。

外貨準備は麻生首相のポケットマネーでない。日本国憲法第83条、第85条は、財政処理および国費支出について国会の議決を必要とすることを定めている。ポケットマネー感覚の麻生首相の外為特別会計資金の取り扱いは憲法違反である。

米国は日本政府による1兆ドルの外貨準備の売却に対して、強いプレッシャーをかけてくる可能性が高い。しかし、日本政府は日本の国益を基準に判断しなければならない。1兆ドルの損失は日本の死活問題に直結する。

日本経済の悪化のスピードは想像を超えている。鉱工業生産指数は昨年7月の108.3から11月の94.0に急落している。12月、1月の予測指数はそれぞれ、8.0%、2.1%の低下を示している。予測指数に基づくと、本年1月の生産指数は84.7まで落ちることになる。昨年7月比21.8%の減少になる。まさに「みぞうゆう」の生産減退である。

連動して企業収益が激減する。失業率が急上昇し、家計所得も急減する。不況は2009年に本番を迎えることになる。

米国金融市場は、昨年9月のリーマン・ショック以来の諸懸案に対する緊急対応が出揃って、小康状態を回復している。シティグループ、GSE、ビッグスリー、AIGなどへの対応が一巡したためだ。しかし、問題の根源にある不動産価格下落は勢いを低下させていない。財政赤字の急拡大とファイナンスの困難、その際の米国長期金利上昇とドル下落圧力の試練が表面化するのはこれからである。

金融市場の展望と投資戦略については『金利・為替・株価特報082号』に執筆する。米国12月雇用統計の発表が1月9日にずれ込んだため、082号は1月10日発行になる。ご了承賜りたい。

グリーンスパン前FRB議長が「100年に一度のTSUNAMI」と表現したことを重く受け止める必要がある。「津波」の重要な特性のひとつは、津波が「複数回」、時には「10回以上」押し寄せることだ。

スマトラ沖地震の際には、津波が押し寄せる前の引き潮につられて沖に向かった人々が帰らぬ人となった。「デリバティブ金融崩壊津波」を軽く見ることはできない。

麻生政権の遅すぎる対応が日本経済の悪化を加速させている。総選挙を実施して本格政権を早期に樹立することが、最優先されるべき不況対策である。

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2009年1月 7日 (水)

「偽装CHANGE」売国勢力のくせ球に警戒を

「あのころと時代が大きく変わってしまった」

「高額所得者は辞退するのが当然」が明言していた麻生首相が、こんどは定額給付金を高額所得者も受け取り、消費に回すことを主張し始めた。理由は
「あのころとは時代が大きく変わってしまった」
からだという。

麻生首相はかつて高額所得者が定額給付金を受け取るのは「さもしい」と表現し、「矜持(きょうじ)の問題」だと話していた。
大辞林によると、「矜持」とは、
「自信と誇り。自信や誇りを持って、堂々と振る舞うこと。きんじ。プライド。」
時代が大きく変わった「あのころ」とはいったいいつのことなのか。

重要問題についての首相発言がころころ変わるのが「矜持の問題」だ。

坂本哲志総務政務官は、
「年越し派遣村には本当にまじめに働こうとしている人が集まっているのか」と発言したが、
「麻生政権には本当にまじめに働こうとしている人が集まっているのか」
との感想を漏らすべきだった。

「低気温のエクスタシーbyはなゆー」様が紹介してくださったが、坂本哲志氏のHPには、
 「最近は派遣社員が増えています。企業の生き残りを考えるといつでも首を切れる社員が一番便利です。」
と記述されている。

文脈としては、「しかし、派遣労働者の社会保障の充実、企業の社員に対する責任が重要」と続くが、「市場原理主義者」が派遣労働を製造業にも拡張した背景が端的に示されている。

「年越し派遣村」が大きく報道され、派遣切り被災者が都内の4箇所の公共施設に期限付きで収容されたが、「年越し派遣村」の支援活動を、雇用問題に対する単なる「ガス抜き」の話題に終わらせてはならない。

日本政治の基本路線が問われている。小泉竹中政治が主導した「市場原理主義」の諸施策は「資本の論理」を追求して、「セーフティネット」を次々に破壊した。「財政再建」の美名の下に実施した政策は、「教育」、「社会保障」、「公的扶助」、「弱者保護」の諸施策の破壊だった。一方で「官僚利権」である「天下り」は温存されて現在に至っている。

郵政民営化は「外国資本」の要請に沿って強行された。民営化された郵貯資金について、竹中平蔵氏は2008年4月21日放送のBS朝日番組で、「民営化された日本郵政はアメリカに出資せよ」と発言した。この問題をElectronic Journal」様「チラシの裏」様などが指摘されてきた。

竹中氏は次のように発言している。
「翻って考えると、日本にはかつてとんでもなく巨大なSWF(ソブリン・ウェルス・ファンド=政府系ファンド)がありました。それが今の日本郵政なんです。資金量でいうと300兆円。他のSWFとは比べ物にならないほどのSWFがあったんです。民営化したので、今はSWFではない。だからアメリカから見ると安心して受け入れられる、民間の資金なんです。アメリカに対しても貢献できるし、同時に日本郵政から見てもアメリカの金融機関に出資することで、いろいろなノウハウを蓄積し、新たなビジネスへの基礎もできる。」

日本の外貨準備を米国金融危機対策に流用する、郵貯資金を流用する、など、日本の国益を損なう可能性の高い重大な問題である。竹中氏の提言に従って、300兆円の郵政資金を米国金融危機に投入していたら、すでに数十兆円単位の損失が生まれているはずだ。

竹中氏が金融相の時代に激増させた日本の外貨準備100兆円では、すでに23兆円の為替評価損失が発生している。

「かんぽの宿」をオリックスに一括譲渡することが内定し、麻生内閣閣僚から異論が噴出しているが、日本は「売国市場原理主義者」たちに蹂躙(じゅうりん)されている。

Electronic Journal」様が1月6日付記事「福田首相が辞任した本当の理由」で重大な疑惑を記述された。浜田和幸氏の記述を紹介されたのだが、米国が日本の100兆円の外貨準備をそっくり流用することを求めたというのである。

麻生首相は11月15日の金融危機サミットで日本の外貨準備から10兆円を金融危機対策に流用することを、国会の承認も得ずに決めてしまった。

元旦のテレビ朝日番組「朝まで生テレビ」では、堀紘一氏がSWF創設を民主党議員に強く迫っていた。日本の外貨準備の流用、SWF創設を強く主張してきた国会議員の一人が渡辺喜美氏である。

話があちこちに飛んだが、日本政治の基本路線が問われている。

これまでの基本路線が小泉竹中政治の
①「市場原理主義」経済政策=「資本の利益」の追求=「セーフティネット」破壊
②「官僚利権温存」=「特権官僚の利益」の追求
③「対米隷属外交」=「外国資本の利益」の追求
であったことをしっかりと認識しなければならない。

小泉竹中政治は「大資本(業)」、「特権官僚(官)」、「外国資本(外)」の利益を実現する政策を、「マスメディア(電)」を完全支配下に置くことによって実現した。これを私は「政官業外電=悪徳ペンタゴンの利権互助会政治」と呼んでいる。

「市場原理主義」の帰結として発生した「サブプライム金融危機」がもたらしている日本の「非正規雇用労働者の生存権危機」も、小泉竹中政治がもたらした「政治災害」である。

政権交代を実現し、
①「人間尊重主義」経済政策=「国民の利益」の追求=「セーフティネット」再構築
②「官僚利権根絶」=「国民の利益」の追求
③「自主独立外交」=「国民の利益」の追求
の基本路線に転換することが求められている。

「政官業外電の悪徳ペンタゴン」は、この意味での本格的政権交代阻止に全力を注いでいる。

渡辺喜美氏は自民党内「小泉一家」=「市場原理主義者」に連携するポジションを維持してきた人物である。中川秀直氏-武部勤氏-小池百合子氏-竹中平蔵氏-山本一太氏との強い連携関係が存在する。

①「小泉一家」を軸に、②飯島勲氏&小泉チルドレン、③高橋洋一氏-江田憲司氏-岸博幸氏らの「脱藩官僚の会」、④東国原宮崎県知事-橋下徹大阪府知事らの知事グループ、⑤前原誠司氏を軸とする民主党内「市場原理主義者」グループ、が渡辺喜美氏と連携する可能性がある。

これが「偽装CHANGE新党」である。狙いは反自民票を分断することである。民主、社民、国民新党の野党三党に衆議院の過半数を付与させないことが目標になっている。「悪徳ペンタゴン」の指令により、マスメディア(電)は共産党を支援するとともに「共産党と民主党との対立」を促進する。共産党が得票を伸ばすことが、民主・社民・国民新党の得票を減らす効果を発揮するからだ。

自民党内の麻生内閣造反者が増加することは、解散総選挙の早期実施の環境を整備する意味で歓迎されることだが、「悪徳ペンタゴン」の利権維持に向けての執念を甘く見ることはできない。

「偽装CHANGE新党」を立ち上げて、「偽装CHANGE新党」が一定の集票能力を確保する時点が解散解禁の時期になる。

「大資本」、「特権官僚」、「外国資本」の利益を追求する政治に終止符を打ち、「国民」の利益を追求する政府を樹立することが「真正の改革」=「真正のCHANGE」である。「偽装CHANGE勢力」の繰り出す「くせ球」に、十分な警戒を払わなければならない。

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2009年1月 6日 (火)

「泥船」脱出の先陣を切った渡辺喜美議員

11月20日に「麻生政権の致命傷になる補正予算案提出先送り」の記事を掲載した。その後、民主党の小沢一郎代表が党首会談を申し入れ、11月28日には党首討論が実施された。小沢代表は、「麻生首相は景気対策のスピードが大事だと言って解散・総選挙を先送りしたのだから、補正予算案を臨時国会に提出すべきだ」と迫った。麻生首相は小沢代表の要求を拒絶したが、明確な理由を示せなかった。

中国の古典『韓非子(韓非子)』に次の逸話(いつわ)がある。「どんな盾(たて)も突き抜く矛(ほこ)」と「どんな矛も防ぐ盾」を売っていた男が、客から「その矛でその盾を突いたらどうなる」と問われて答えられなかった。「矛盾」という言葉はこれに由来している。

「年末の資金繰りが大切で景気対策のポイントはスピード」と明言した10月30日の記者会見と、「11月、12月を空費して、2009年の1月になって補正予算案を国会に提出する政策サボタージュ」は、同一人物の言動として説明のつけようがない。ひとつの決定的な「矛盾」が全体を崩壊させる原動力になる。

日比谷の「年越し派遣村」。湯浅誠氏を中心とする市民団体、労働組合の行動力が偉大な変化の契機を生み出した。派遣切りの被害に直面して、底冷えのする年末に仕事と住居を失った国民が派遣村で生存権を確保した。多数の被災者を救出したのは政府ではなかった。民間のボランティア活動が被災者を救出したのだ。

日比谷公園と目と鼻の先の国会議事堂では自民党議員が晴れ着で記念撮影をする映像がニュースで伝えられた。自民党国会議員である坂本哲志総務政務官は「年越し派遣村」について、「本当にまじめに働こうとしている人が集まっているのか」と批判した。

国民が生存権を脅かされて苦しんでいるのに、政府の行動は致命的に遅れた。そのうえでの派遣切り被災者や支援者を冒涜(ぼうとく)する発言は、麻生政権の雇用問題に対する基本姿勢を端的に示すものだ。晴れ着で正月気分を楽しもうとする麻生政権にとって、「年越し派遣村」は目障りな存在でしかないのだろう。

1月5日に召集された通常国会では、2008年度第二次補正予算と2009年度当初予算が当面の争点になる。野党は国民の8割が評価していない「定額給付金」を補正予算案から切り離して、補正予算の早期成立を図るべきだと主張している。

「カナダde日本語」美爾依さんが紹介してくださっているが、民主党の菅直人代表代行は、「2兆円あれば、100万人の失業者に月17万円ずつ1年間支給しても賄える」と指摘している。菅代表代行は「定額給付金を補正予算案から切り離し、雇用・景気対策を急いで実現させるよう、通常国会で麻生太郎首相に迫っていきたい」と述べた。

日本の財政収支が悪化していることはよく知られている。財政状況が悪化していることを理由に麻生首相は消費税増税を主張し始めた。不況が深刻化している局面で消費税大増税を唱える麻生首相のKYな感覚は、麻生氏が首相の任務を遂行する能力を失っていることを物語っているが、いずれにせよ、日本の財政に無駄遣いをする余裕はない。

2兆円の財源を投入して定額給付金を全国民にばら撒く積極的な理由は存在しない。「総選挙に向けての買収工作」というのが的確な表現だろうが、財政資金を買収資金に使われてはたまらない。

急激な景気悪化が日本経済を襲い、多くの国民が悲惨な状況に追い込まれている。甚大(じんだい)な自然災害に見舞われて多数の被災者が発生すれば、政府は被災者の支援に全力をあげるだろう。

小泉竹中政治の「市場原理主義」経済政策が「派遣切り被災者」を大量発生させる原因を生み出した。「年越し派遣村」に見られる不当解雇に直面した派遣労働者の惨状は「市場原理主義者」の間違った政策によって生み出された「人災」である。

限られた財政資金を、もっとも重要な支出対象に集中して投入することが、正しい政策対応である。「政局」を除外して「政治が全身全霊を注いで最善を尽くす」ことを基本に据えるならば、政治の対応についての答えはおのずと明らかになる。

補正予算案から「定額給付金」を切り離し、補正予算ならびに本予算の早期成立を実現させることが正しい対応である。

11月28日の党首討論後の世論調査で麻生内閣の支持率が暴落し、首相にふさわしい人物として小沢代表を支持する世論が麻生首相を大きく上回る変化が生じたのは、小沢氏の主張に「理」があるからだ。麻生氏の言動には深刻な「矛盾」があった。

「理」に支えられた主張を「政局」と呼ばない。野党が「定額給付金」を補正予算案から切り離すべきだと主張して、補正予算審議が紛糾しても、国民の批判は野党には向かわない。野党の主張は「大義」に支えられているからだ。

麻生首相が「矛盾」を抱えたまま、国会運営を強行すればするほど、麻生内閣の支持率は下がる。政治は麻生首相の「私物」ではない。政治の主権者は「国民」である。「国民」の8割が「定額給付金」を望ましくない政策だと評価し、同時に、補正予算の早期成立を求めている現実を踏まえれば、定額給付金を補正予算から切り離し、補正予算および本予算の早期成立に全力を注ぐほかに、選択する道はない。

世の中には「理」に適(かな)わないこと、「不条理」、「理不尽」が無数に存在する。「理」に適わないことがしばしば起こる。私も「不条理」、「理不尽」に直面してきたから、よく知っている。

しかし、国民が監視する政治の世界では「理」に適わないことは長続きしない。安倍晋三元首相が2007年7月の参議院選挙で「政権選択」を明言して惨敗したのに首相の座に居座ろうとした。しかし、長く首相の座に居座ることはできなかった。

「理」に合わない行動をしてしまったら、引き返すしかない。山道を歩いて「けものみち」に迷い込んだら、引き返すしかない。「引き返す勇気を持つこと」が命を守る。道に迷ったことを自覚しながら、「けものみち」を突き進むのは自殺行為である。「引き返す選択」を妨げるのは「面子(めんつ)」である。

麻生首相が「命」をつなぐには、「定額給付金」を補正予算から切り離し、補正予算と本予算の早期成立に全力を注ぐ以外に道はない。「矛盾」を押し通せば、「矛盾」は拡大するばかりだ。麻生首相が「面子」を乗り越えるぎりぎりの「器量」を持つのか、注目される。

補正予算の執行には関連法案の成立が必要である。野党が反対する関連法案を成立させるには、衆議院での3分の2以上での再可決が必要になる。与党議員から17名の造反が生まれると再可決はできず、法案は廃案になる。

渡辺喜美氏の離党宣言は、泥船からの脱出行動である。麻生丸が矛盾を抱えたまま荒海を突き進めば、多数の与党議員が次期総選挙で落選する。その意味で渡辺氏は「機を見るに敏」だ。このまま進めば造反議員は確実に17名を超えるだろう。そのとき、麻生首相は「理」を伴わない「自暴自棄(じぼうじき)解散」を決断するだろう。

麻生首相が「政治は国民のために存在する」基本をおろそかにして「政局」だけを追求し続けるなら、「麻生丸」の難破は時間の問題だ。「泥船」から脱出する「造反者」が急増するのは確実な情勢だ。

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2009年1月 5日 (月)

2009年を「セーフティネット元年」にしよう

湯浅誠氏が村長を務める日比谷の「年越し派遣村」での、派遣切り被害者への支援活動が大きな成果を生んだ。厚労省の講堂の利用期限である5日から12日まで、都内4箇所の公共施設に500人分の宿泊場所と食事が確保されることになった。12日以降の政府の対応に課題が残るが、湯浅氏をはじめ支援活動に尽力された方々に心より敬意を表したい。

湯浅氏などのボランティア活動が、非正規雇用労働者のセーフティネットを提供したわけだが、これらの人々がこのような活動を実行していなかったなら、多数の国民が生命の危機に直面していたはずだ。国家が整えるべきセーフティネットを民間のボランティア活動に依存する姿は異常である。

全国各地で派遣切りの猛威が非正規雇用労働者を襲っている。東京日比谷の派遣村に到達するには多くの時間と費用がかかる。年越し派遣村の存在を知りながら、東京に向かうことを断念した人々が多数存在するはずである。

政府は全国規模で、派遣切り被害に遭遇した国民を支援する活動を開始すべきである。日本国憲法は第25条に、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めている。住居と仕事を失い野外生活を強いられている国民は、憲法で保障された最低限度の生活を営むことができない状況に置かれている。現状を放置するのは憲法違反と言ってよいだろう。

人は仕事をして所得を得て生活を維持する。政府の経済政策の第一の課題は完全雇用の実現だ。供給はそれ自体の需要を生み出すから、経済活動の均衡が取れていれば、完全雇用が実現する。しかし、さまざまな要因で需要と供給がずれることがある。サブプライム金融危機が世界的に広がり、日本の製造業は戦後最悪の生産減退の局面に直面している。企業が生産活動に必要とする労働力が急減してしまった。

企業は小泉政権以降の政権による労働行政の規制緩和政策に依拠して、派遣労働者の一斉解雇に動いている。企業の行動は企業の社会的責任の視点から批判されるべきだが、本質的な原因は政府が企業の一方的解雇を認める制度変更を行ったことにある。

小泉竹中政治が基本に置いた「市場原理主義」は、「資本」の利益極大化のために、企業が「労働」を機械部品のように「使い捨て」にすることを容認する制度変更を実施した。「労働者」がどうなろうと、企業の「効率」と「利益」が向上し、経済成長が促進されればそれで良しとしたのだ。

竹中平蔵氏や八代尚宏氏などが「市場原理主義者」の代表で、このような制度改正を推進したが、現在の社会問題を目にして、「同一労働・同一賃金」などの制度改革が遅れた、だの、セーフティネットが必要など、と恥知らずな発言を示しているが、彼らは、「資本の論理」に基づく制度改正を推進する過程で、セーフティネットの重要性を強く主張しなかった。

飛行機の航行持続のために、乗員を減らすことが必要であるとの意見が浮上したとしよう。乗員が飛行機から飛び降りて総重量を軽くすることを決めるなら、飛行機から飛び降りる乗員にパラシュートを用意するのは当然だ。ところが、竹中氏や八代氏は、パラシュートを用意せずに、乗員を飛び降りさせることを決定してしまったのだ。

景気が急激に悪化して、決定したとおり、各飛行機は一斉に乗員の飛び降ろしを実行した。しかし、飛び降りさせられた乗員はパラシュートをつけていないから、生命の危機に直面した。日本中で問題が一斉に顕在化して大騒ぎになっている。

当の竹中氏、八代氏は「パラシュートは大切だが、そこまで議論がたどり着かなかった」と弁解し、パラシュートなしで飛び降りている乗員の身の上を考えようともせず、飛行機に残った乗員が甘えすぎていると、残った乗員をも飛行機から突き落とすかのような発言を示している。

競争激化に対応して、企業の雇用人員調整を一定の条件の下で認めるなら、職を失う労働者の生活を確実に支える制度をあらかじめ整備することが不可欠だった。国はすべての国民に住居と食事を確実に提供しなければならない。最低限のセーフティネットを確保する責任を国が負わないのなら、企業に一方的な雇用人員調整の自由を付与することは許されなかったのだ。しかし、市場原理主義者は「セーフティネットなき解雇の自由」を企業に付与した。

政府の経済政策においては、「効率」よりも「生存権」が優先されなければならない。定額給付金のために確保する2兆円の資金があれば、セーフティネットを格段に強化することができる。毎年度2200億円削減しようとしている社会保障費の削減を5年分取りやめても1.1兆円だ。

財務省は日本の財政事情の悪さを強調する。財政収支を改善するために財務省が実行したことは、社会保障費、教育費、地方への支出の削減だった。年金保険料、医療保険料は大幅に引き上げられた。同時に、医療費の自己負担が増大し、年金給付開始年齢が引き上げられた。高齢者だけ医療保険を別枠にして、将来的に高齢者の医療を切り捨てる、悪名高い「後期高齢者医療制度」まで導入された。

障害者の生存権を脅かす「障害者自立支援法」が強行採決で成立され、障害者が極めて深刻な生活難に直面している。母子世帯や老齢世帯に対する生活保護給付も切り下げられた。

また、日本の公的教育支出のGDP比はOECD加盟国で最低水準である。私たちの生活に関連する費目にターゲットを定めて、容赦ない歳出削減が実行されてきたのだ。

一方で、特権官僚の「天下り利権」は温存されたままである。年間12.6兆円もの国費が「天下り機関」に投入されている。各種公共施設は全国どこに行っても豪華絢爛(ごうかけんらん)である。税金から給料をもらっている公的部門の人々の施設だけが豪華に整備され、仕事を失った労働者が野外生活を強制されるのは、どう考えてもおかしい。

中長期の課題として、財政バランスを改善することは重要だが、収支バランスよりも先に、歳出の中味をゼロから総点検することが不可欠である。

「市場による競争」のメリットを生かすというのなら、「競争条件」を整えることが不可欠だ。すべての国民に、「健康で文化的な最低限度の生活を保障すること」と、「すべての国民に十分な教育を受ける機会を提供すること」が第一に重要である。

所得環境に関わりなく高等教育を受ける機会を政府が保証するべきである。

セーフティネットは、「雇用」、「医療・年金・介護の社会保障」、「最低限度の生活を支える生活保護ならびに障害者支援、母子世帯支援」の三つが不可欠である。

初期の競争条件の格差を縮小させるには、「相続税」を強化することも求められる。「富の偏在」を是正することなくして、「競争条件の平準化」は実現しない。

一方で、「天下り」に象徴される「特権官僚の特権」を根絶するべきだ。その代わりに公務員には定年までの雇用を保証する。特権官僚を生み出さないためには、大卒公務員の採用を一元化するべきである。大卒の公務員のなかから、公務員になった後の勤務評定によって幹部を登用するべきである。大卒時に将来の幹部職員を約束する第一種国家公務員制度が「特権官僚」を生み出す原因になっている。

「天下り」の全面廃止と第一種国家公務員制度の廃止により、「官僚主権構造」を確実に根絶できるはずである。公務員に対する定年までの雇用保証があれば、天下りは必要なくなる。定年退職後の再就職については、公務員時代の所管業種への就職を禁止して、それ以外については自助努力での就職を民間同様に認めればよい。

渡辺喜美元行革相は「霞ヶ関」の利権打破と叫ぶが、「天下り根絶」、「第一種国会公務員制度の廃止」などの、根本的な施策をまったく提示してこなかった。官僚利権を切るように見せかけて、官僚利権を死守する姿勢が明白だった。

湯浅氏の「年越し派遣村」を、日本のセーフティネット構築の出発点として活用することが大切だ。湯浅氏らが提起している問題は、単なる一過性の緊急避難的意味だけではなく、日本における政府の役割を根本から見直すうえでの重大な意味を併(あわ)せ持っている。世間には「セーフティネット不要論を唱える市場原理主義者」も多数存在するのかも知れないが、日本の基幹制度として「強固なセーフティネット整備」を求めるのか、それとも不要と考えるのか、これが次期総選挙での最重要の争点になる。

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2009年1月 3日 (土)

市場原理主義者の総括が変革への第一歩

日比谷の「年越し派遣村」では、来村者がキャパシティーを超え、厚生労働省がようやく重い腰を上げて、厚生労働省の講堂を宿泊所として解放した。しかし、1月5日の午前9時までに退去しなければならず、派遣村の要請に基づき民主党の菅直人代表代行が舛添厚労相などと折衝し、中央区の廃校となった小学校を宿泊施設として使用できる見通しがついた。しかし、収容できる人員が小さく、派遣村では厚生労働省に追加施設提供を要請している。

「カナダde日本語」の美爾依さんが関連情報を網羅して提供くださっている。「ブログ版ヘンリー・オーツの独り言」主宰者のヘンリーさんがボランティアとして派遣村で活躍された。その模様を紹介してくださっている。

経済政策の究極の課題は完全雇用の実現だ。「生き抜く力」様「労働は命そのもの」との記事を掲載されたが、自分の体だけが財産である多くの国民にとって、雇用は命そのものである。

物価の安定、成長の確保、完全雇用の実現、が経済政策の主要な課題だが、もっとも重要なのが「完全雇用の実現」だ。人は働くことによって生活の糧(かて)を得る。政府は経済状況を見極めて完全雇用が維持されるように経済を運営しなければならない。

経済が変動して完全雇用が維持されない局面が生まれる。そのときの調整を誰が担うのかが問題になる。企業に雇用を維持する責任を負わせるか、企業に雇用維持の責任を負わせない代わりに政府が労働者の生活を保障するか、のいずれかが選択されなければならない。

1990年代以降、企業を取り巻く環境が激変した。冷戦の終焉(しゅうえん)とITの急激な進歩である。中国が世界の工業生産の拠点として登場した。主要国の企業は労働コストを削減することを迫られた。

BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)と呼ばれる企業行動は、ビジネスプロセスを根本的に組み替えて、生産方式を全面的に変更するものだった。その最大の目的は労働コストの削減だった。ITはこれまでの事務労働者の仕事を代替するものだった。18世紀の英国では「機械」の発明により、「家内制手工業」の職人が職を失った。職人は「工場労働者」に転化した。

ITの進歩により、多くの事務労働者が職を失った。企業は労働コストの高い事務労働正規雇用労働者を削減して非正規雇用労働者を増大させようとした。「資本の論理」を代弁する「市場原理主義者」が、労働市場の規制緩和を推進した。

「市場原理主義者」の特徴は、「資本の利益増大」だけを追求し、「労働者」の分配所得減少、労働者の身分の不安定化にまったく配慮しなかったことだ。「資本」が利益追求に走る場合、「資本」は「労働」を機械部品として取り扱う。

企業は派遣労働者の労働コストを「人件費」ではなく「物件費」として計上する。不況が波及して生産水準を切り下げるとき、企業は労働者の生活への影響を一顧(いっこ)だにせず、突然の「雇い止め」通告を冷酷に発する。

企業を取り巻く競争条件の急変に対応して、企業の雇用人員調整の要請に応じるための制度変更を実施するのであれば、同時に労働者の生活を保障する施策を新たに設けることが不可欠だった。

「市場原理主義者」は労働者の生活を安定化させる施策整備を主張しなかった。市場原理主義者は「資本の手先」としての行動を貫いて現在に至っている。この期(ご)に及んで「法人税減税」を唱える人物に、意見を求める理由は存在しない。

1998年から2006年にかけての分配所得の推移を検証すると、雇用者の所得が減少した一方で、大企業収益、役員報酬、株主配当が倍増した。企業は存続の限界線を歩んだのではなく、史上空前の最高益を謳歌(おうか)したのだ。

結局、労働市場の規制緩和は、「労働」の犠牲のうえの「資本」の利益増大をもたらしただけだった。派遣労働の拡大を中心とする非正規雇用労働の急激な拡大は、労働者のなかの低所得労働者の比率を急激に増大させた。しかも、派遣労働者を中心とする非正規雇用労働者に対する各種社会保険による保障整備は、完全に考慮の外に置かれた。

繰り返しになるが、「同一労働・同一賃金」の基本ルールを早急に構築する必要がある。同時に、雇用を失う労働者に対する保障制度を確立する必要がある。派遣労働者、正社員、役員の所得に天文学的な格差がつく合理的な根拠は存在しない。企業経営に対する影響力の大小をよりどころに、労働者が資本家に搾取(さくしゅ)されているだけだ。

日本の法人税負担は実効税率で比較して、諸外国に比べて突出して高いものではない。法人税が高いと主張して海外に移転するなら、そのような企業は海外に移転すればよい。そのような企業の製品を日本国民はボイコットすることになるだろう。

政府の経済財政諮問会議には4名の民間議員が参加している。橋本政権が諮問会議を発足したときから、民間議員の構成は2名の財界人と2名の御用学者である。これらの「資本」と「財政当局」の利害を代表する「御用人」と「御用学者」がさまざまな制度改革を主導してきた。

彼らは「資本の論理」を国の制度に反映することに注力した。その結果、労働市場の規制緩和が強行され、日本社会が変質した。「格差社会」、「労働者の生存権危機」は、「御用学者」と「資本家」によって導入された制度によって生まれたのである。

経済財政諮問会議の民間議員に「消費者」と「労働者」の意向を反映する人物を登用する必要がある。

小泉政権以降の自公政権は「市場原理主義」=「新自由主義」を表看板に掲げて、
①「弱肉強食奨励」=「大企業の利益」
②「官僚利権死守」=「特権官僚の利益」
③「対米隷属外交」=「外国(資本)の利益」
を追求してきた。麻生政権もこの路線を踏襲(とうしゅう)している。

2009年は政権交代を実現して、
①「セーフティネット再構築」=「国民の利益」
②「官僚利権根絶」=「国民の利益」
③「自主独立外交」=「国民の利益」
を追求する路線に基本方針を転換しなければならない。

「市場原理主義者」が「大資本()」、「特権官僚()」、「外国資本()」の利益だけを追求してきたことを明確に認識しなければならない。「市場原理主義者」は企業を取り巻く環境変化の機に乗じて、「労働」に犠牲を強いる「資本の論理」を日本社会に強引に植え付けた。「市場原理主義者」を総括することが、新しい時代に踏み出す第一歩になる。

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2009年1月 2日 (金)

市場原理主義者の詭弁-NHKスペシャルから-

2009年元日の東京は厳しい寒さのなかで夜明けを迎えたが、美しいご来光を仰ぐことができた。年越し派遣村も厳しい寒さに包まれたと思う。一刻も早く、すべての人々に暖を取る住居が求められる。

2009

年初から「カナダde日本語」様「晴天とら日和」様には、本ブログの過分なご紹介を賜りまして心よりお礼申し上げます。また、多くの皆様が本ブログに対して身に余るコメントを掲載くださいまして心よりお礼申し上げます。

一握りの人々が富を独占して多くの人々が生存権さえ脅かされる世を、すべての人が人間らしく健やかに生きてゆける世に変えるために、小異を残して大同につき、力を合わせてゆきたいと思います。本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。

元日夜にNHKが経済問題、国際政治をテーマに討論番組を放送した。「市場原理主義者」と「反市場原理主義者」の討論が行われた。

竹中平蔵氏と八代尚宏氏が「市場原理主義者」の代表として討論に参加した。旧外務官僚の岡本行夫氏も小泉政権の首相補佐官として「市場原理主義者」を擁護する発言を提示した。

竹中氏は「市場原理主義」の言葉を使われることを好まないらしい。「市場原理主義」は小泉竹中政治が実行した政策を表現する上で、もっとも的確な言葉であるが、的確であるがゆえにこの言葉が市民権を得ることに抵抗を感じるのだろう。

竹中氏の発言はワンパターンである。竹中氏の発言を要約すると以下のようになる。

サブプライム危機と言われるが、株価下落は日本の方が米国よりも大幅である。日本の不況深刻化には日本独自の理由がある。

三つの問題がある。第一は「改革」が停滞して、経済成長の予想が低下したこと。「期待成長率」の低下が株価下落をもたらした。「期待成長率」が低下した理由は「改革」が逆戻りしているためだ。

第二は「コンプライアンス不況」。さまざまな分野で規制が強化されて不況が生じている。これも「改革」の逆行が原因だ。

第三は日銀の金融緩和が不十分であること。ゼロ金利政策解除、量的金融緩和政策の解除が不況深刻化の原因だ。

日銀が金融緩和を強化して、「改革」を進めることが問題解決に不可欠だ。

これが竹中氏の主張だ。番組に出演したほとんどの識者が竹中氏の発言を冷ややかな視線で聞いた。

竹中氏は「分配の格差」、「生存権を脅かされる労働者」、「年金制度の崩壊」、「後期高齢者医療制度」、「セーフティネットにカバーされない多数の国民」の問題に対して、まったく解答を示すことができない。

小泉竹中政治は、財政収支の数字を改善させるために、内容を吟味せずに、社会保障費の削減に突き進んだ。社会保障費を毎年度2200億円削減する方針を定めた「骨太2006」。竹中氏は、「社会保障費そのものを削減しているわけではない。自然増が大きいから自然増を2200億円圧縮するだけだ」と言う。

人口の年齢別構成が急激に高齢化しているのだから、社会保障支出が増加するのは必然だ。自然増を圧縮するのは社会保障のサービス水準を切り下げることを意味する。社会保障費を削減することが、どのような問題を引き起こすのかについて、詳細を吟味せずに財政収支の辻褄(つじつま)合わせのために社会保障費の削減に突き進んだ。その弊害(へいがい)が至るところで噴出(ふんしゅつ)している。

社会保障費削減のひずみは、高齢者、障害者、低所得者、母子世帯など、経済的弱者を直撃してきた。斉藤貴男氏は「競争促進と言うが、競争を開始する時点での条件に大きな格差がついているのだから、正当な競争になっていない」と指摘した。

竹中氏は「がんばった人が報われる社会」が望ましいとして、結果における「格差拡大」を奨励してきたが、現実には、「一生懸命にがんばっているのにまったく報われない国民」がますます増大し、自由放任された金融市場のひずみを活用して、とても正当とは言えぬ不労所得を巨大に築いた人物を、竹中氏が絶賛しただけだった。

財政収支を改善するのなら、まず「天下り特権」などの「政治利権」を根絶するのが先決である。「官僚利権」を根絶し、セーフティネットを強化する「改革」が行われたのなら国民は賛同するだろう。しかし、現実は逆だ。セーフティネットを破壊して「官僚利権」が温存されてきた。

竹中氏は制度を変更することを「改革」と呼び、内容を示さずに「改革」が必要だと繰り返す。しかし、「制度の変更」には「望ましい制度変更」と「望ましくない制度変更」の二つがある。竹中氏が推進した「制度変更」は「望ましくない制度変更」だった。

小泉竹中政治は労働市場の規制緩和を推進した。八代氏もその中心人物の一人だった。竹中氏は働き方の多様化が求められたと言うが、製造業への派遣労働の解禁などの制度変更は、労働コスト削減を求める「資本」の要請を反映して決定されたものだ。「資本」にとっては、①労働者の賃金が安く、②労働者をいつでも解雇でき、③労働者に対する福利厚生を削減できる、ことが望ましい。

「資本にとって望ましい」ということは、「労働にとって望ましくない」ことを意味する。竹中氏や八代氏が推進したことは「労働」に犠牲を強いて「資本」に利得を与える「制度変更」だった。

このような制度変更を実施しつつ、解雇される労働者に対する保障を強化しなければ、深刻な不況が発生する局面で、労働者が厳しい状況にさらされるのは当たり前だ。

深刻な不況が日本を襲っている理由についての竹中氏の説明はまったく実情を説明していない。深刻な不況は「外需依存型経済」を強めた日本経済が、急激な海外景気悪化と日本円の急上昇に直面して発生しているものだ。

2002年から2006年にかけての日本の超金融緩和政策、および過剰なドル買い為替介入政策は、二つの重大な副作用を残した。ひとつは、米ドルに連動する形での日本円の他の主要通貨に対する暴落を招いたこと。いまひとつは、米ドルが日本円に対して下落しなかったために米国の金融緩和を長期化させてしまったことである。

米国の超金融緩和政策の長期化が米国の不動産バブルを生み出し、サブプライム金融危機発生の原因になった。サブプライム金融危機の遠因に日本の超金融緩和政策が存在することを見落とすことはできない。

2000年から2008年にかけて日本円は米ドルとともに他の主要通貨に対して暴落した。この長期円安が、日本の著しい「外需依存型経済」を生み出し、昨年7月以降の急激な日本円上昇の原因になった。竹中氏は日銀の超金融緩和政策をいまだに求めているが、日本の超金融緩和政策の副作用についての認識が完全に欠落している。

企業に対して、景気変動に連動する雇用削減を容認するのであれば、仕事を失う労働者の生活を支えるセーフティネットを強化することが不可欠である。竹中氏と八代氏がそのような施策実現に注力した形跡はない。政府は雇用保険の制度縮小を促進してきた。企業と政府の負担軽減が目的だった。

八代氏は正規雇用労働者と非正規雇用労働者の処遇均等化を主張してきたと述べたが、八代氏が主張してきたことは正規雇用労働者の処遇引き下げであって、非正規雇用労働者の処遇改善ではない。つまり、八代氏も竹中氏も「資本の論理」を代弁してきただけに過ぎない。

「市場原理主義」は「資本の論理」そのものである。「市場原理主義」を追求し続けた結果、日本社会の安定性が破壊された。「市場原理主義」を明確に否定して、「所得再分配」を強化し、国民の「生存権」を確実に確保するための「セーフティネット」を再構築することが求められる。

「市場原理主義者」はみずからの誤りを謙虚に認めるべきである。「所得再分配」、「生存権重視」、「社会民主主義」を重視する論者が「市場原理」を全面的に否定しているわけではない。「市場メカニズム」を基本に据えつつ、「市場原理」にすべてを委ね、「結果における格差拡大」を奨励する「原理主義」に対して、根本からの見直しを求めているのだ。

マスメディアが「市場原理主者」を単独で登場させれば、「市場原理主義者」は自らの過ちを隠蔽(いんぺい)して、自らを正当化する詭弁(きべん)を滔滔(とうとう)とまくし立てる。「テレビ朝日」や「テレビ東京」は、自ら「市場原理主義」を推進してきた経緯を踏まえて、「市場原理主義者」に対して「詭弁」を弄する機会を与えているが、視聴者は「詭弁」を見抜かなければならない。

「市場原理主義者」を総括し、「市場原理主義」から「人間尊重主義」、「社会民主主義」に明確に方向を転換することが求められる。

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2009年1月 1日 (木)

「朝まで生テレビ」に見る社会民主主義思考の再評価

元日の未明にかけて「朝まで生テレビ」が雇用問題をテーマに討論を行った。

「市場原理主義」=「新自由主義」がすっかり色あせて、所得再分配を重視する「社会民主主義」的な主張が支配的になり、隔世の感があった。

司会の田原総一郎氏の横暴さと見識のなさ、偏向振りが際立った討論でもあった。

討論の出発点は「年越し派遣村」だった。企業の一方的な派遣切りに直面して仕事も住居も奪われた非正規労働者が年末の寒空の下に放り出された。湯浅誠氏を中心にする支援活動が活発化して、日比谷で派遣切りに直面した労働者を支援する「年越し派遣村」が創設された。

労働者が生命の危険に直面する状況が生まれている現状。その責任は誰にあるのか。企業か政府か労働者自身か。

司会の田原氏の発言は二転三転した。田原氏は当初、「企業の倫理」が問題であるとの認識を示した。かつてパイオニアやTDKが人員整理を実行しようとした際、企業が批判の対象になった。メディアが企業を攻撃した。しかし、現在はメディアが企業を批判せず、企業が激しい人員削減を実行している。田原氏は「企業倫理」が問題だと指摘した。

ところが、労働者に対するセーフティネットを強化すべきだとの主張が番組内で広がると、
「生活保護や社会保障が厚くすると人間は甘えて働かなくなる」
「昔の日本人は今の日本人よりも倫理観があった。今の若者は恥知らず」
だと述べた。労働者自身の甘えが問題であるとの認識を示した。

ところが、討論をリードしたキーパーソンの湯浅誠氏が
「セーフティネットの重要性を論じてきて、セーフティネットで若者が甘えて働かなくなると発言するのは、これまでの論議をひっくり返すものだ」と反論すると、態度を一変させた。

田原氏は突然、「社会保障が大切だ。政府は社会保障、福祉に政策を集中させるべきだ」と主張し始めた。要するに確たる思想、信念など皆無なのだ。

スタジオに呼ばれた派遣切りに直面した非正規雇用労働者に対して、「派遣元の派遣会社では正社員だったのか」との意味不明の質問を繰り返した。

討論のなかで巧妙に民主党攻撃を織り交ぜる姿勢も継続した。連合が賃上げを要求することを高圧的に批判しようとした。民主党の支持団体である連合を攻撃する姿勢が明瞭に読み取れた。

湯浅氏が「正社員の賃金がかさ上げされて、非正規社員の処遇が改善するのだから、連合の賃上げ要求は正当だ」と発言すると、田原氏は黙り込んでしまった。連合攻撃の目論見が壊された瞬間だった。

民主党の枝野幸男氏に対しては、民主党の内部が一枚岩でないことについての追及が執拗に繰り返された。民主党の小沢代表と枝野氏の発言の食い違いを明らかにして、民主党の分裂を誘導したい田原氏の姿勢が明確だった。

さんざん出演者の発言を大声で遮(さえぎ)っておきながら、自分の発言中に他の出演者が発言すると「うるさい」と逆切レする姿も痛々しかった。

そもそも、小泉竹中政治を全面支援してきたのが田原総一郎氏である。論議の前に田原氏の総括が必要だ。政権交代が実現すれば、御用言論人の総括が行われなければならない。田原氏のこれまでの言動が総括される日は遠くないだろう。

「企業の社会的責任」を求めることは重要だ。日本を代表する企業が、契約期間が満了する前に一方的に派遣労働契約を打ち切ることは非難されなければならない。

しかし、政治が「性善説」に立つことは許されない。企業が一斉に労働者の生存権を脅(おびや)かす派遣切りに動いているのは、その行動を正当化する制度が確立されているからである。労働者の生存権を脅かす制度を確立した政治の責任がまず問われなければならない。

世界の競争が激化し、企業は労働コスト削減にターゲットを定めた。製造業にも派遣労働を解禁した労働者派遣法の改正は、企業の意向に沿う制度改正だった。「労働」ではなく、「資本」の論理を優先する制度改正を実施したことが、今日の問題を生み出す原因であることは明らかだ。

「資本」の論理を優先したのが「新自由主義」=「市場原理主義」だった。企業の労働コスト削減を支援する制度改正を実行した結果、労働者の生存権が脅かされる今日の問題が生まれた。

これまでも主張してきたが、二つの制度変更が求められている。
第一は、派遣切りなどに直面する労働者の生存権を確実に保証するセーフティネットの確立だ。欧州の諸制度にならってセーフティネットを張ることが急務だ。
第二は、同一労働・同一賃金の制度を確立することだ。同じ人間、同じ労働者でありながら、非正規雇用労働者だけが機械部品のような取り扱いを受ける理由は、正規労働者と非正規雇用労働者の処遇の天地の格差を容認している現行制度に原因がある。

財源については、まず、政府の無駄を排除し、そのうえで所得再分配を強化することが適正である。国民負担の増大が将来は必要になると考えられるが、その前に実行すべきことが大きい。

相続税、証券税制などで高所得者を優遇する税制改革が提示されているが、変化の方向が逆行している。

政策対応としては、内需産業を拡大する施策が求められる。医療、介護、教育、職業訓練、生活者支援などに政府資金を集中して投入すべきである。短期的に財政赤字は拡大するが、経済の均衡を回復し、完全雇用状態を回復することが先決事項である。

番組では「渋谷事件」が取り扱われた。出演者が公安警察の不当職員の顔写真を提示したが、不当逮捕を主導した国家公務員である公安警察職員を糾弾することは当然の行動だ。CMで討論が打ち切られたが、テレビメディアで事実関係の一部が報じられた意味は大きい。

しかし、「渋谷事件」で真相が明らかにされ、逮捕された無実の市民が不起訴となったのは、動かしがたい証拠映像が保全され、ネットで公開されたことが決め手だった。証拠映像が保全されなかったなら、事態はこのように展開しなかったと思われる。私が巻き込まれた事件では私の無実を証明する防犯カメラの完全な証拠映像が警察によって破棄された。日本の警察制度の暗部にもメスが入れられなければない。

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日本の命運を分ける2009年の幕開け

新年明けましておめでとうございます。皆さまにとって新年が幸多き明るく実りの多い年になりますことをお祈り申し上げます。本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。

「己丑(キドノウシあるいはツチノトウシ)」の今年は、「これまでの紛糾(ふんきゅう)を清算し、筋を通すはじめの年」になると見られる。

日比谷公園では「年越し派遣村」が開設され、派遣切りの被害に直面した人々に対して民間の組織が支援活動を展開している。本来政府がなすべき仕事を民間の善意ある人々が肩代わりしている。政府の無責任が浮かび上がる。「年越し派遣村」については、「カナダde日本語」の美爾依さんが、みのもんた氏の「市場原理主義」発言のyoutube映像とともに詳しく伝えてくださっている。

2009年に実施される総選挙は日本の命運を定める最重要のイベントになる。人間を機械部品として取り扱い、「大資本」、「特権官僚」、「外国資本」の利益だけを追求する「市場原理主義」から明確に決別し、すべての国民の尊厳を尊重する「人間尊重主義」に転換する道を選択することが求められる。

「労働者の身分保障」、「医療・年金・介護の社会保障」、「生活保護などの公的扶助」のセーフティネットを再構築することが急務である。すべての国民に教育と医療の機会が保障され、すべての国民が生き生きと生きてゆける社会を構築しなければならない。

総選挙を通じて本格的な政権交代を実現し、政治の基本路線を転換しなければならない。小泉政権以来の「市場原理主義」=「新自由主義」の下での政治は
①「弱肉強食奨励」=「大企業の利益」
②「官僚利権死守」=「特権官僚の利益」
③「対米隷属外交」=「外国(資本)の利益」
を追求した。麻生政権もこの路線を踏襲(とうしゅう)している。

求められるのは、
①「セーフティネット強化」=「国民の利益」
②「官僚利権根絶」=「国民の利益」
③「自主独立外交」=「国民の利益」
を追求する路線に転換することだ。

「市場原理主義」の政策は、「政治()」が、「大資本()」、「特権官僚()」、「外国資本()」の利益を追求し、「マスメディア()」が情報操作によって全面協力することによって実現した。「政官業外電=悪徳ペンタゴン」による「利権互助会政治」が日本の政治の実情だった。

この日本の政治を「一般国民の幸福を実現する政治」に転換しなければならない。そのためには、まず、総選挙で本格的な政権交代を実現しなければならないのだ。「悪徳ペンタゴン」は「偽装CHANGE勢力」を創出し、政権交代に向かう国民のエネルギー分散を画策すると予想される。

「悪徳ペンタゴン」の策謀を見抜いて、「真正CHANGE」を実現しなければならない。本ブログでは、総選挙に向けて、微力ではあるが、私たちが正しい判断を下すために必要な情報の提供に努めてまいる所存である。

「100年に一度の暴風雨」は「100年に一度のチャンス」を私たちに提供してくれているとも考えられる。油断することなく、政権交代実現に向けて総力を注がなければならないと思う。

本年もなにとぞご支援賜りますよう心よりお願い申し上げます。

2009年元旦

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