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2008年12月

2008年12月31日 (水)

弊ブログ記事を推薦くださり感謝申し上げます

「カナダde日本語」の美爾依様、ならびに「BLOG版ヘンリー・オーツの独り言」のヘンリー・オーツ様、「アルファブロガー・アワード2008:ブログ記事大賞」に弊ブログの記事をご推薦くださいましてありがとうございました。心よりお礼申し上げます。弊ブログは「賞」とは独立に進む決意でおりますが、身に余る推薦を賜りましたことに心より感謝申し上げます。

ブログを始めたばかりの初心者で、他のブロガー様のように多様な技術を駆使することも出来ず、よちよち歩きで地味に記事を掲載させていただいておりますが、多くの皆様の身に余る温かなご支援のお陰で、今日までたどり着くことが出来ました。

試行錯誤を繰り返しながら、弊ブログをご高覧下さる皆様とともに、明日の日本を考えてまいりたく思います。

美爾依さんに推薦いただいた記事は

6月17日付「メディアコントロールの深い闇」

ヘンリー・オーツさんに推薦いただいた記事は

6月19日付「政治の対立軸(1)市場原理至上主義VS弱者保護」

になります。

これらの記事のほか、

12月12日付「市場原理主義に代わるもの」

12月28日付「小泉竹中政治を明確に否定すべし-NHK日曜討論より-」

も再読賜れればありがたく思います。

私も「アワード2008」に記事を推薦させていただきました。
「カナダde日本語」様
『消費税と社会保障:日本増税とカナダの減税』
「BLOG版ヘンリー・オーツの独り言」様
『日本の歴史にも偽装CHANGEと真正CHANGEが存在する!』
「神州の泉」様
『月刊現代に小泉・竹中構造改革路線の本格批判記事が出た』

「100年に一度の信用TSUNAMI」(アラン・グリーンスパン前FRB議長)が米国の金融市場を襲い、世界的に深刻な景気後退が進行している。景気後退が小泉竹中政治の化けの皮を剥(は)ぐ結果をもたらした。10万人単位の非正規雇用労働者が何の説明もなく「解雇」され、寒空の下に放り出されている。不安定な非正規雇用労働者の雇用形態、低所得、保障の欠如、は小泉竹中政治がもたらしたものだ。

人間を機械部品のように取り扱い、人間の尊厳を無視する政策姿勢は、「市場原理主義」=「新自由主義」から生まれた。総選挙の前に「市場原理主義」の根本的な欠陥があらわになったことは、不幸中の幸いである。2005年9月の「集団ヒステリー」による「錯乱状態の下での政権選択」の誤りを繰り返さない環境が生まれている。

人間を機械部品のように取り扱う「市場原理主義」から明確に訣別し、すべての国民の、「人間としての尊厳」を尊重する「人間尊重主義」への転換が求められている。

政治はつらい立場にある国民のために大きな力を発揮することを求められる存在である。「市場原理主義」の下での政府は「国民=労働」ではなく、「資本=企業」の利益増大を追求して政策を決定した。「資本」にとっては、①労働者の賃金が低く、②いつでも企業の都合で労働者を解雇でき、③法人税を低くしてもらう、ことが望ましい。小泉竹中政治は「資本」の利益増大を追求した政策運営を実行した。

この政策は「資本」の利益を増大させるが、「労働」は劣悪な状況に追い込まれる。日本の労働者がいま直面しているのは「生命の危険」である。年間に3万人以上の国民が自ら命を絶つ状況に疑問を感じないのが小泉竹中政治だった。

「市場原理主義」から「人間尊重主義」への転換は、「セーフティネットの再構築」によって具体化される。セーフティネットとは、①雇用の安定・労働条件の改善、②医療・年金・介護の社会保障制度、③生活保護等の公的扶助、によって構成される。財政バランスの悪化を理由に、小泉竹中政治は「セーフティネット」を破壊し続けた。

しかし、高級官僚の天下り利権を死守し続けた。不透明なドル買い外為介入で100兆円のドル資産を買い集め、30兆円もの損失を発生させている。

「カナダde日本語」の美爾依さんは、「消費税を上げるなら、福祉と経済の両立を目指す北欧を見習え」の記事も掲載された。

マイケル・ムーア監督は米国の悲惨な医療保険制度を描いた作品「シッコ」で、「国民が医療=健康と教育と自信を持つと士気が高まり、コントロールしづらくなる」との説明を施している。国民は国家を隷属させるために「医療、教育、自信」を奪い取るのだと説明する。

私たちは「弱肉強食社会」と「福祉社会=共生社会」のどちらを望んでいるのだろうか。私が大学の教職にあったとき、学生の指向を尋ねると、「結果における格差」を容認する傾向が強いことに驚いた。新自由主義的な空気が蔓延(まんえん)していたのだと思う。

しかし、不況が深刻化するときに問題は顕在化する。自分が「勝ち組」に入ると考える者は、「結果における格差」を容認する傾向が強いのかも知れないが、それは単なる自己中心主義であると思う。

豊かな者が貪欲(どんよく)に、飽(あ)くことなく金銭を追い求めるのが、「市場原理主義者」の平均的な姿だが、ある程度の豊かさを得た者が、金銭を追求することを放棄して、所得再分配に資金を配分するのが「福祉社会=共生社会」である。

「自分が豊かに暮らせれば、他人が路上生活で凍死しても構わない」生き方と、「自分がことさら贅沢三昧(ぜいたくざんまい)しなくても、すべての隣人が人間らしい豊かさを享受(きょうじゅ)出来ることを望む」生き方の、どちらを私たちは望ましいと考えるのか。

私は後者の社会が望ましいと思う。問題は一生懸命がんばろうという意欲が低下してしまうのではないかということだ。美爾依さんは、北欧の問題意識が「福祉と成長の両立」にあるとの指摘を示している。

また、ヘンリー・オーツさんは、オーストリアの刑務所の写真を紹介されて、「北欧の経済システムと社会民主主義を学ぼう!」と題する貴重な記事を掲載された。

ヘンリー・オーツさんの「歴史における偽装CHANGE」の記事では、副島隆彦先生の著書を紹介され、歴史を見る新しい視点を紹介された。日本が米国の特定勢力に支配される図式は小泉竹中政治に始まったことではないことを、解説された。

個別の史実については賛否両論があると考えるが、日本の歴史を考える際、外国勢力が明治以降の日本の歴史にどのような関わりを持ってきたかは、見落とすことのできない極めて重要な視点である。

「神州の泉」主宰者の高橋博彦氏は、私が巻き込まれた冤罪事件について、一貫して私の無実を主張して来てくださっている。深層が闇に覆われている部分も少なくなく、事件の解釈には幅が存在するが、私が無実であることは私が間違いなく知っている。その真実を揺るぎ無く信じてくださってきていることに心から感謝申し上げる。

高橋様のブログ記事では、2009年1月号が最終号になった講談社の『月刊現代』について記述されている。私も本ブログで「りそなの会計士はなぜ死亡したか」と題するシリーズ記事を掲載した。2002年9月から2004年3月にかけての竹中金融行政については、徹底的な検証が求められる。

とりわけ「りそな問題」では、関係者がさまざまなアクシデントに遭遇しており、真相と背景を明らかにしなければならないと思われる。

推薦申し上げたい記事は無数にあった。本ブログ記事について、ありがたいコメントを賜ったブログ記事についてのご紹介も十分できておらず、大変申し訳なく感じている。多くの貴重な内容を含む記事に心を打たれる記述がたくさんあった。推薦数に制約があり、大変残念に感じている。

微力ではありますが、今後とも少しでも役に立つ情報の提供に努力してまいる所存ですので、変わらぬご支援とご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。

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2008年12月29日 (月)

マッド・アマノさん新著および『知られざる真実』第四刷出来の紹介

世界的に知られる高名なパロディストであるマッド・アマノさんが新著を出版された。タイトルは『マッド・アマノの「謝罪の品格」』(平凡社新書)

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あまた溢れる頭下げの謝罪会見。
いまや「日本文化」の一角に鎮座。
まさに「謝罪文化」と言っていい。
それは、誰のためなのか、何のためなのか。
この十余年、集めに集めた三○○件から厳選。

そのウソと真実を睨んで、
異才マッド・アマノが衝く。

これでいいのか!?
とりあえず
「お詫びする」
あの人たちと、
平気で
「水に流す」
わたしたち。

稀代の
パロディストが厳選、

謝罪会見50傑!

(以上新著表紙および帯からの引用)

私たちが何気なく見過ごし、巨悪に対しても何気なく水に流してしまう「謝罪会見」。アマノさんは「水に流せない」謝罪と「そもそも謝罪する必要のない」謝罪を冷徹な目で見極める。

私が巻き込まれた事件が冤罪であることも記述してくださった。心から感謝申し上げる。

稀代のパロディストの記述する「謝罪会見」への鋭いコメント。貴重な写真映像と併せてじっくりとご高覧賜りたい。

拙著『知られざる真実-勾留地にて-』(イプシロン出版企画)第四刷が出来上がりました。ご購読ご希望の皆様に大変ご迷惑をおかけしましたことをお詫び申し上げます。

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帯の文章が新しくなりました。

  

小泉竹中経済政策の
深い闇を抉る。
戦慄の告発書。

満身創痍
にひるまず
権力に立ち向かう著者が
小泉竹中経済政策を

一刀両断に斬る
救国の
告発書

「りそな銀行救済」の深い闇。今後、このブログで明らかにする「竹中金融行政の深い闇」について、全体像を分かりやすく記述している。

『月刊現代』2008年12月号および2009年1月号(講談社)に掲載された佐々木実氏による「小泉改革とは何だったのか-竹中平蔵の罪と罰-」、山口敦雄氏著『りそなの会計士はなぜ死んだのか』(2003年、毎日新聞社)と合わせて、三部作としてご高覧賜りたい。

 

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2008年12月28日 (日)

小泉竹中政治を明確に否定すべし-NHK日曜討論より-

12月28日のNHK日曜討論では、「雇用悪化・・・2009年・政府は暮らしどう守る」をテーマに若手の論客による論議が行われた。各発言者の発言が簡潔で意味が明瞭であり、有意義な討論だった。

私は番組に出演した政策研究大学院大学教授の飯尾潤氏とは、佐々木毅元東大総長が代表を務めた「21世紀臨調」の政治部会で共に主査を務めた関係で、旧知の関係にある。私は「21世紀臨調」の政治部会で小泉政権に対する批判を明言していたことから、2003年7月に「新21世紀臨調」に組織が再編された際、一切の説明なくメンバーからはずされた。

政治に対して提言する超党派機関である「21世紀臨調」も政治権力から強い圧力を受けたと考えられる。しかし、政治に対して外部から提言を示す超党派の組織であれば、政治権力からの圧力をはねつける強い姿勢が求められる。

それはさておき、今日の討論を通じて、いま私たちが直面している問題が改めてクローズアップされたと感じる。

麻生政権の行き詰まりの大きな原因のひとつは、小泉竹中政治に対する明確な評価を示していないことにある。小泉政治を否定するのか継承するのかはっきりしない。小泉政権は「市場原理主義」、「財政再建原理主義」、「対米隷属主義」を採用した。今日の討論で「対米隷属主義」は論議の対象にならなかったが、麻生政権の小泉政治に対するスタンスが明確でない。

中川秀直氏、渡辺喜美氏、小池百合子氏、竹中平蔵氏、小泉チルドレンなどに代表される「偽装CHANGE勢力」は、麻生内閣の支持率暴落の機に乗じて、政治的復権を画策している。しかし、冷静に見つめれば、麻生政権の支持率が暴落した最大の原因は小泉政権の負の遺産にある。小泉竹中政治に対する明確な「否定的評価」を定めることが求められている。

番組に出演した飯田泰之氏は、グローバルな競争条件が変化するなかで、非正規雇用への労働者のシフトなどのコスト削減を進展させなければ企業そのものが存続できないとして、労働市場の規制緩和を正当化する。雇用問題の解消には成長の誘導が必要であると主張する。

しかし、飯田氏の指摘は間違っている。1998年度から2006年度にかけての分配所得の推移を比較してみよう。この期間に雇用者報酬は274.1兆円から263.0兆円へ4.0%減少した。一方、民間法人企業の企業所得は35.6兆円から48.5兆円へ36.2%増加した。また、法人企業統計における法人企業経常利益は21.2兆円から54.4兆円へ156.6%増加した。

大企業が史上空前の利益を計上する一方で、労働者の分配所得全体が減少し、さらに労働者のなかでの所得格差が急激に拡大した。その結果、多数の低所得者が生み出され、しかも大半の低所得者層が非正規雇用労働者となって、極めて不安定な雇用形態に追い込まれた。

「資本」=「企業」の生き残りのために、ぎりぎりの選択が実行されたのではなく、「資本の論理」=「企業の利益拡大」の目的のために労働者の所得水準、雇用安定が犠牲にされたのが実態である。

また、飯田氏は財政政策の効果がないと主張したが、主要国が同時に財政政策を活用する局面では、為替レート変動に伴う財政政策効果の減殺(げんさい)は生じない。また、財政政策の効果を否定しようとする論者は、馬鹿の一つ覚えのように「マンデルフレミング効果」を唱えるが、マンデルフレミング理論は特定の仮定の下での理論的推論を示しているだけで、実証的に裏付けられたものでない。

本題に戻るが「自由と平等」のバランスをどのように取るのかが問われる。小泉竹中政治は「新自由主義」=「市場原理主義」の看板を掲げて、①分配に対する規制を取り除いて「格差拡大=弱肉強食」を奨励し、②所得再分配を縮小し、③セーフティーネットを破壊してきた。

サブプライム金融危機を契機にした世界的な景気後退により、小泉竹中政治の歪(ひず)みが一気に表面化した。セーフティーネットは、①雇用に対する安全網、②年金・医療・介護の社会保障、③生活保護などの公的扶助、によって構成されるが、これらのすべてが冷酷に切り込まれてきた。

番組で自殺対策支援センター・ライフリンク代表の清水康之氏は、「自由」が行き過ぎて「人間の安全保障」が揺らいでいることを指摘した。日本の自殺者は1998年に3万人を突破して以来、10年連続で3万人を超えた。清水氏は多くの自殺者が「覚悟の死」ではなく、「生きる希望」を持ちながら「生きる手段」を失って死に追いやられていると指摘する。

2009年度予算で国債発行額が33兆円に急増する。本来国債発行するべき財源が、いわゆる「埋蔵金」と呼ばれる政府資産取り崩しによって調達される。実態上の財政赤字は38兆円を突破する。小泉政権が追求した財政健全化政策は破綻した。

財政健全化路線の破綻は、金融危機によってもたらされたものではない。セーフティーネットを破壊した結果、経済が後退局面に移行する局面では、巨大な生活支援策が必要になる。財政再建政策の破綻(はたん)は小泉竹中経済政策の破綻を意味している。

小泉竹中政治の破綻は、人間を資本の利益追求のための道具、機械部品として捉える、「市場原理主義」の人間性否定の哲学がもたらした必然の結果だった。飯尾氏も番組で指摘したが、政府はつらい立場にある人間をしっかりと支えるために存在するものと考えるべきである。飯田氏は「企業=資本」の利益増大に貢献するのが政府の役割だと認識しているのかも知れないが、不況深刻化に伴う未曾有の生活破壊を目の当たりにして、大多数の国民が小泉竹中政治の根本的な誤りに気付いた。

財政活動は多数の国民から少額の税を徴収して公共の目的のために財政支出配分を決定する行為である。定額給付金はその財政資金を、一人12,000円という少額にして均一な金額に細分化して配分する政策である。北海道大学公共政策大学院准教授の中島岳志氏は、麻生政権の定額給付金政策を「政治の放棄」だと切り捨てた。

麻生政権が政権末期の様相を強めるなかで、悪徳ペンタゴン「偽装CHANGE勢力」の復権を画策し始めている。「小泉一家」に連携する勢力をテレビに登場させる頻度(ひんど)が増加している。「偽装CHANGE勢力」は、「市場原理主義」=「新自由主義」の政策を推進してきたグループである。しかし、いま私たちは、「市場原理主義」を否定して「人間尊重主義」に、政策の目指す方向を転換することを求められている。

私たちが目指すべき社会の方向を誤りなく転換しなければならない。雇用、社会保障、公的扶助のセーフティーネットを完備すること、同一労働・同一賃金の規制を確立するとともに、不況時の労働者の生活を確実に支える制度を構築するべきだ。

「偽装CHANGE勢力」に国民の支持を誘導する「悪徳ペンタゴン」策謀(さくぼう)を見破らなければならない。飯尾氏が指摘するように「100年に1度の暴風雨」は「100年に1度のチャンス」かも知れない。「100年に1度の暴風雨」を日本刷新の原動力として活用する「逆転の発想」が大切だ。

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2008年12月26日 (金)

渡辺喜美氏をメディアがヒーロー扱いする深層

「大資本(業)」、「特権官僚(官)」、「米国(外)」の利権構造を維持することが「自公政権(政)」の至上命題である。利権互助会の一角に組み込まれた「マスメディア(電)」が利権互助会の利権維持に全面協力している。これが「政官業外電=悪徳ペンタゴン(五角形)だ。

民主党を中心とする野党が総選挙に勝利して政権交代が実現すると、これまでの利権構造が根底から破壊される。最大の脅威は小沢一郎民主党代表である。2006年4月に小沢一郎氏が民主党代表に就任して以来、「悪徳ペンタゴン」は小沢一郎氏の影響力を排除することに注力してきた。

2007年7月の参議院選挙に際して、マスメディアは小沢氏がかつて自民党を支配した田中派の中心に位置したことを強調するなどのネガティブ・キャンペーンを展開した。

2007年秋には、自民・民主大連立構想が浮上したが、これも小沢氏の影響力を排除するために仕組まれた工作であったと考えられる。

2008年前半の与野党対立の象徴になった日銀総裁人事では、密かに民主党小沢代表の権威失墜(けんいしっつい)が画策(かくさく)されたと見られる。小沢代表がNHK日曜討論に単独出演して渡辺博史元財務省財務官の副総裁就任に反対する見解を表明した局面で、民主党内で渡辺氏の副総裁就任を認める工作が展開されていた。渡辺氏の副総裁就任が実現していたなら、小沢氏の権威は失墜し、民主党は一気に弱体化したはずだ。

2008年9月の民主党代表選では、与党とマスメディアが複数候補による代表選実施を執拗に要請した。全国紙は社説で繰り返し複数候補による代表選を求める力の入れ方を示した。公明党も太田昭宏代表の無投票再選を決めたが、マスメディアはまったく批判しなかった。

小沢氏の対立候補が発する小沢氏批判を針小棒大に報道することが画策されていたと考えられる。結局、民主党は小沢氏の無投票三選を決めた。小沢氏が民主党代表に就任した2006年4月以降、民主党は重要な国政選挙で連戦連勝を収め、2007年の参議院選挙では第一党の地位確保と野党による過半数制覇に成功した。年内にも総選挙が実施される状況で、不要な党内対立をもたらしかねない代表戦を回避したのは当然のことだった。

自民党は民主党の複数候補による代表選実施工作に失敗すると、福田前首相の政権放り出しに伴う自民党総裁選を総選挙対策に全面活用した。「政権担当能力を備えた開かれた政党である自民党は堂々と総裁選を実施して、新総裁を選出し、挙党一致体制を作り上げる」と宣伝した。

たらい回し政権の後継首相に就任した麻生首相の唯一の自慢は、「首相にふさわしいのは誰」の世論調査で小沢代表よりも高順位に位置されることだった。麻生首相は党首討論でも小沢代表に勝てると思い込んでいたのだろう。11月28日に実施された初めての党首討論でも、「やっと国民の見ている前で堂々と討論できることを喜ばしく思う」と述べた。

国民は初めて麻生氏と小沢氏の言動を自分の目で見て比較することになった。小沢氏に対する印象は、マスメディアの情報操作によって歪(ゆが)められてきた。「剛腕」、「独裁」、「強権」などの印象操作が繰り返され、そのためにこれまで世論調査で高得点が付与されてこなかった。

しかし、現実にこの二人の政治家の言動を見て、国民の評価は急変した。麻生氏よりも小沢氏が首相にふさわしいと考える国民が急増したのである。

「悪徳ペンタゴン」がもっとも恐れる事態が現実化している。麻生内閣の支持率は暴落し、総選挙後の政権では民主党を中心とする勢力による政権樹立を求める声が圧倒的多数を占めつつある。本格的な政権交代が実現してしまう可能性が高まりつつある。

自民党議員の一部が、総選挙での政権交代実現を視野に入れた行動を開始し始めた。また、「悪徳ペンタゴン」も総選挙での自民党敗北を視野に入れた政界工作を開始し始めた。自民党は9月の総裁選に際して、堂々と総裁選を実施し、新総裁を選出したあとは挙党一致で国政に臨むと明言していたが、総裁選から3ヵ月しかたたないのに、自民党内で麻生首相批判が噴出(ふんしゅつ)している。

「悪徳ペンタゴン」は総選挙での自民敗北を視野に入れ始めた。自民敗北を前提に次善の目標は、野党単独での衆議院過半数確保阻止である。そのための工作が、「共産党と他の野党との対立促進」と、「偽装CHANGE新党」創設である。

テレビ朝日は衆議院解散決議案に賛成し、麻生内閣に反旗を翻(ひるがえ)した渡辺喜美元行革相をヒーローに仕立て上げる演出を執拗に繰り返している。渡辺氏が改心、転向して自民党を離脱して民主党に入党するなら、独自の判断で行動すればよい。ただしこの場合、渡辺氏は自身の政治洞察力不足を率直に認め、支持者に謝罪する必要がある。

しかし、渡辺氏の行動は次期総選挙での自民党敗北予想を踏まえた、政治的打算に基づいた政治行動である可能性が極めて高い。渡辺氏の行動は自民党内「小泉一家」の先兵としての役割を担うものであると考えられる。「小泉一家」の先兵であることは、同時に外国資本の先兵であることを意味する。

次期総選挙で自民党と民主党がいずれも過半数を獲得しない場合、「偽装CHANGE」新党がキャスティングボートを握る可能性が生まれる。この可能性を念頭に置いていると考えられる。民主党を中心とする野党が過半数を確保する場合も、野党勢力と連立して政権の一端に食い込むことも計算されている。

「小泉一家」の特徴は、「機を見るに敏」、「変節」、「米国資本の代理人」であり、渡辺喜美氏の行動は、「小泉一家」=「偽装CHANGE勢力」の利害と打算を背景にしたものと考えられる。

テレビ朝日、テレビ東京を中心に、「偽装CHANGE勢力」を「反麻生」=「改革派」として賞賛する報道姿勢を強めている。狙いは次期総選挙で地すべり現象が予想される「反麻生票」を民主党を中心とする野党にではなく、「偽装CHANGE新党」に振り向けさせることにある。

もうひとつの工作は、共産党と民主党との対立を促進することである。共産党は反麻生票が民主党に集中する傾向に焦燥感を強めている。野党共闘よりも民主党との違いを際立たせようとする共産党の行動は、次期総選挙での党勢拡大を目指す目的から導かれていると思われる。

最近のテレビ番組が共産党の党勢拡大を大きく取り上げている背景に、「悪徳ペンタゴン」の計算が働いていると見られる。「共産党」をアピールして、反麻生票が民主党を中心とする共産党以外の野党に集中して流れることを阻止しようとしているのだと考えられる。

国民は「悪徳ペンタゴン」の意図を正確に読み取らなければならない。「悪徳ペンタゴン」は次期総選挙での野党による単独過半数確保を深刻に恐れているのである。「偽装CHANGE勢力」こそ、いまの日本の「格差問題」、「労働者の生存権危機」、「日本の植民地化」をもたらした元凶なのである。麻生政権は「小泉一家」=「偽装CHANGE勢力」の負の遺産を引き継いだために窮地に追い込まれている。

「偽装CHANGE勢力」の基本路線は、①市場原理主義、②官僚利権温存、③対米隷属、である。①人間尊重主義、②官僚利権根絶、③自主独立外交を基本路線とする「真正CHANGE勢力」とは、文字通り「水と油」の関係にある。

共産党がどれだけ党勢を拡大させても、政権交代が実現しなければ日本の現状、構造は変わらない。日本の現状を変革するには「本格的な政権交代」が、まずは何よりも求められる。共産党のアピールが自民党の政治的計算によって利用されることの弊害を熟慮(じゅくりょ)することが求められる。

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2008年12月25日 (木)

与党議員17名造反で「バカヤロー解散」へ

『金利・為替・株価特報081号』の発行日を12月25日に変更させていただきました。2008年の年間回顧、2009年の見通し、景気情勢、政局、「日本版CHANGE」、為替変動、投資戦略など、8項目について記述しました。ご購読者のお手元に配送されるのは12月26日以降になりますので、なにとぞご了承賜りますようお願い申し上げます。

麻生首相12月24日の記者会見で、通常国会に提出する第二次補正予算案について、民主党が提案している定額給付金を切り離す提案について民主党との協議に応じることを拒否した。

政府が提出する予算関連法案審議について、野党が政府案に反対すると3分の2条項を活用せざるをえなくなることなどについて記者から質問されると、麻生首相は次のように答えた。

「これが通らなければ減税にならないという状況に置かれるということになるにもかかわらず、それを通さないとか、引き延ばすということの方が、国民からの理解を得にくいのではないか。

基本的に今の景気の厳しさというものを、分かっている国民にとりましては、この減税というのは極めて大きいと、私はそう思っていますので、その意味で、この種の関連法案が通らないというようなことは、私どもとしてはなかなか考えにくいと。基本的にはそう思っています。」

世界は麻生首相を中心に回っていない。子供のころから、すべてが自分中心に回ってきたのかも知れないが、それはあくまで私的な世界でだけ通用することだ。

首相は日本で最も大切な公的な職務だ。政治は政治家のために存在するのでない。国民のために存在する。日本国憲法やさまざまな法律で制度が決められているが、根本の規定として、「日本国民が主権者であること」を踏まえて首相の職責を果たさなければならない。

世論調査によると麻生内閣を支持する国民は17%しかいない。65%の国民は麻生内閣を支持していない。定額給付金については、国民の7-8割が評価していない。また、総選挙の早期実施を求める国民が6割-8割に達している。

麻生首相が「100年に1度の暴風雨が荒れているから、補正予算、本予算、関連法案審議を迅速に行なって欲しい。野党が予算や関連法案の成立を阻止することに対して国民が批判するだろう」と発言しても、「唇寒し」だ。

麻生首相は10月10日発売の月刊誌で、臨時国会冒頭の解散総選挙を宣言したのに、自民党の選挙予測調査で自民党敗北予想が出たために、解散総選挙を先送りした。首相は自分の言葉に責任を持たなければならない。解散総選挙を宣言したからには総選挙を断行すべきだ。総選挙を実施しないなら、月刊誌での宣言を撤回して謝罪すべきだ。予算委員会で民主党の石井一代議士麻生首相厳しく追及したのは当然だ。(なお、youtube映像のタイトル「石井一氏の質疑が酷い」の「酷」は「凄」の漢字間違いと考えられる。)

麻生首相は10月30日の記者会見では「追加景気対策で重要なのはスピード、迅速にということだ」と述べた。「企業の年末の資金繰りが大変だ」とも述べた。誰もが「スピードが大切だ」と思った。

ところが、麻生首相は補正予算案の国会提出を2009年にまで先送りした。民主党の小沢代表が党首会談を申し入れて、予算案の臨時国会提出を強く求めた。麻生首相がかねてから念願していた党首討論が11月28日についに実現した。

「国民の前で堂々と論議すること」を強く要望したのは麻生首相だった。党首討論でも小沢民主党代表は補正予算案の臨時国会提出を求めた。麻生首相は「第一次補正予算で年末までの対策は十分だ」と、10月30日の発言と完全に矛盾する説明をして、補正予算案の国会提出を拒絶した。

小沢代表は「100年に1度の金融危機で、景気対策が優先されるから総選挙を先送りしたと言うが、景気対策を迅速に具体化しないで良いと判断するのなら、12月に1ヵ月の時間があるから、十分に選挙を実施できるではないか」と詰め寄った。

麻生首相は国民に理解できる説明を示せなかった。党首討論後の世論調査で麻生内閣の支持率が暴落した。首相にふさわしい人物についての質問でも、小沢民主党代表が麻生首相を完全に上回る状況が生じた。

国民は一連の経緯をしっかり注視している。麻生首相がいかにいい加減な発言を繰り返しているのかをよく知るようになった。解散総選挙を宣言したのに、自民党敗北の予想が出たから総選挙を先送りする行動は、理解できなくはないが、総選挙を先送りするなら、潔(いさぎよ)く発言を撤回するべきだった。総理の椅子にしがみつく麻生首相の卑怯(ひきょう)な言動が国民の不興(ふきょう)を買っている。

12月には野党が雇用対策関連法案を参議院に提出し、参議院では可決した。参議院が可決した雇用対策関連法案は麻生政権が提案している政策の多くを取り込むものだった。年末を控えて日本経済はつるべ落としに悪化し、多数の国民が不当な解雇に遭遇(そうぐう)して「命の危険」に直面している。

湯浅誠氏のように困難に直面する人々に対して直接支援の力を注ぐ素晴らしい人物が存在する一方で、麻生首相「政局」を理由に、雇用対策関連法案を衆議院で廃案にしてしまった。国民の幸福よりも総理の椅子の方が大切であることを、取り返しのつかない行動で示した。

「それを通さないとか、引き延ばすということの方が、国民からの理解を得にくいのではないか。」と、通常国会での野党の行動を牽制(けんせい)しても、「国民から理解を得にくい」行動を取ったのは「あなたの方ですから!」と国民は判断している。

24日の衆院本会議で野党が提出した衆議院解散決議案に自民党の渡辺喜美議員が賛成した。決議案は否決されたが自民党から造反者が出た影響は極めて大きい。麻生首相に対して明確に反旗をひるがえしたにもかかわらず、自民党は渡辺議員に対して、造反容認と受け止められる「戒告」の処分しか行なえなかった。

「定額給付金」政策は、国民の7-8割が評価していないだけでなく、与党議員の多数が疑問視している政策である。野党が補正予算案から定額給付金を切り離して、定額給付金以外の補正予算を早期成立させようと提案するのは、極めて建設的である。

麻生首相が野党の建設的な提案を拒絶する結果として、補正予算成立、本予算成立、関連法成立が立ち行かなくなるとすれば、国民の批判が麻生首相に向かうことは間違いない。

野党が反対する法律案を成立させるには衆議院での3分の2以上の多数での再可決が必要だ。与党から17名以上の造反が生じると再可決は成立しない。自民党から17名以上の造反が出ることは確実な情勢だ。

福田前首相が行き詰まったのも国会の現実を直視しないことが原因だった。国会は衆議院だけで構成されていない。衆議院と参議院の二院構成になっている。予算と首相指名については衆議院の決定が参議院に優越するが、一般の法案については、参議院の同意を得られない場合、衆議院で3分の2以上の多数で再可決しないと衆議院の決定を生かすことができない。国会同意人事には3分の2規定が適用されない。

参議院の過半数を野党が確保している。野党が参議院で過半数を制したのは2007年7月の参議院選挙の結果だ。直近の国政選挙は2007年7月の参議院選挙だが、このとき安倍晋三首相は参議院選挙が政権選択の選挙だと明言した。この選挙で野党が大勝した現実、安倍元首相の言葉を自民党は噛みしめるべきだ。

福田首相は野党の主張を無視して「財務省出身者の日銀幹部への天下り」に執着し続けた。党首討論で「かわいそうなくらい苦労している」と愚痴をぶちまけたが、参議院の過半数を野党に付与した国民の意思を無視した政治行動が、福田首相を「無責任極まりない政権放り出し」に導いたのだ。直近の国政選挙で国民は野党を信任し、与党に不信任を突きつけた。

「議会制民主主義」ではない「議院内閣制」のルールに則(のっと)って麻生太郎氏が首相の地位にあるのは事実だが、「国民主権」の根本原則を踏まえるなら、衆議院だけでしか多数を確保していない与党を代表する首相は、野党の主張を最大限尊重して政権運営に臨まなければ、政権運営は確実に行き詰まる。

麻生首相が自分の信念と価値観、哲学に基づく政策を全面的に展開したいのなら、その前に国民の意思を確認することが不可欠である。総選挙のマニフェストに麻生首相の掲げる政策を掲げ、国民が麻生政権を支持するなら、麻生首相は国民の支持を原動力に強いリーダーシップを発揮すればよい。

国民に信を問うこともせず、野党が過半数を確保している参議院の意思を無視して、自らが主張する政策をゴリ押ししようとしても、円滑(えんかつ)に議会を通過するはずがない。

麻生首相は「政治は国民のために存在すること」、「意思決定の主権は国民にあること」という、議会制民主主義制度の「いろは」から学び直すべきだ。

17名以上の与党議員が造反するとき、麻生内閣は崩壊する。内閣総辞職か衆議院解散・総選挙のいずれかが選択されることになる。麻生首相は恐らく造反議員に対して「バカヤロー」の言葉を浴びせて解散・総選挙の道を選ぶだろう。

日本の命運を分ける歴史的な総選挙が2009年4月までに実施される可能性が濃厚になった。

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2008年12月24日 (水)

「天下りを死守して消費税大増税しますけど、何か」

自民、公明両党は税制の「中期プログラム」に、消費税を含む税制の抜本改革を2011年度に実施することを明記することで合意した。「100年に一度の暴風雨が吹き荒れる」なかで、消費税大増税の方針を明確に示したわけで、歴史に残る意思決定になるだろう。

1929年の株価暴落に端を発した世界大恐慌では、米国の共和党大統領バーバート・フーバーが、大恐慌下で財政均衡主義に基づく経済政策運営を実行した。NYダウは1929年のピークから1932年の安値まで、9割の暴落を演じた。

米国議会ライブラリーの礎(いしじ)に「歴史に学ばぬ者は歴史を繰り返す」の言葉が刻まれているそうだ。経済活動が未曾有(みぞう)の落ち込みを示し、株価が暴落している局面で大増税の方針を明示することが何を意味するのかを麻生首相はまったく理解していないように見える。

1996年から1998年にかけての株価暴落は橋本内閣の消費税率2%引き上げ方針の閣議決定が起点になった。橋本内閣が閣議決定したのが1996年6月25日。株価は6月26日の22,666円をピークに暴落に転じ、1998年10月9日の12,879円まで、2年間で1万円の暴落を演じた。

今回の日本の景気悪化は世界経済の急激な悪化と急激な円上昇を受けて、製造業の生産活動が急落したことから深刻化した。生産活動の減少は生産に従事する労働者の所得減少をもたらす。所得減少がいま個人消費の急激な減少をもたらしている。消費の急減は生産活動の一段の低下をもたらす。

生産-所得-支出がマイナス方向の縮小循環に突入しており、経済活動の落ち込みは今後加速することが予想される。GDPの57%を民間消費支出が占めており、個人消費が落ち込めば景気悪化はより深刻になる。

個人消費を決定するのは懐具合と消費心理だ。経済の先行きに自信を持つことができれば、個人消費の急激な落ち込みは回避できる。しかし、現状は逆だ。雇用不安が一気に広がっている。非正規雇用労働者は一方的な雇い止め通知による生存権の危機に直面している。当然のことながら、個人消費の財布の紐(ひも)は極限まで絞り込まれることになる。

このような情勢のなかで2011年度に大増税が実施されるとなれば、財布の紐(ひも)は一段と固く閉ざされることになる。仮に天下の愚策である定額給付金が給付されるとしても、気前よく使うことなどできないはずだ。

「100年に1度の暴風雨が荒れている」と言いながら「2011年度の大増税」を提示するのは、台風の直撃に合わせて船出するのに等しい。麻生首相が首相の任務を遂行するに足りる判断能力を有しているのかが疑わしく感じられる。

「中期プログラム」は12月24日に閣議決定される見通しだが、1996年6月25日以降の日本の株価暴落の再現が生じないことを願う。

麻生首相は10月30日に追加景気対策を決定して記者会見を行ったときに、「100年に1度の暴風雨が荒れている」との現状認識を示したうえで、「ポイントはスピード、迅速にということだ」と述べた。「年末の企業の資金繰りが重要で、第一次補正予算では足りないから第二次補正予算を編成する」ことを力説した。

第一次補正予算編成の元になる景気対策は8月29日に決めたものだった。麻生首相は臨時国会に第一次補正予算案を提出し、臨時国会冒頭で衆議院の解散・総選挙を実施することを10月10日発売の月刊誌で宣言した。

ところが9月中旬以降、米国の金融危機が急激に深刻化し、追加政策対応が不可欠になり、麻生首相は追加景気対策を迅速に実施するために衆議院の解散・総選挙を先送りすることを決定したという。民主党を中心とする野党は早期の解散・総選挙を求めてきたが、経済危機に対応するための政策対応が急務であるなら、その対応には協力するとの方針を示した。

ところが、麻生首相は衆議院の解散・総選挙を先送りすることを決定した後、追加景気対策を具体化する第二次補正予算案の臨時国会提出を拒絶してしまった。多くの国民が生存権を脅かされる危機に直面しているにもかかわらず、完全な「政策サボタージュ」に突入してしまったのだ。挙句の果てに今度は「2011年度大増税」を提示した。

内閣支持率が17%に暴落し、不支持率が65%にまで上昇した現実は、主権者による「リコール」が成立している状況である。国民の生命の危険が顕在化している。麻生首相は「公より私」の政権運営基本方針を直ちに撤回し、内閣総辞職するか、衆議院の解散・総選挙に踏み切るべきである。政治を私物化して国民を犠牲にすることは許されない。

「2011年度消費税大増税方針」を受け入れることは断じてできない。その理由は、経済状況に鑑(かんが)みて大増税が正気の沙汰(さた)でないということだけにとどまらない。一般国民に巨大な税負担を強(し)いる前に実行すべきことがいくつも残されている。「特権官僚の天下り利権」を温存したままでの「消費税大増税」を容認することは絶対にできない。

  

麻生首相は「天下りを死守して、なんとなーく消費税を大増税しますけど、何か」と嘯(うそぶ)いているように見える。

  

小泉政権以降の自公政権は、特権官僚の天下り利権を死守する方針を貫いている。日経新聞をはじめとする「御用メディア」が「小泉改革」が「官僚利権」に切り込もうとしてきたかのような論評を掲載するが、嘘八百である。

自公政権は特権官僚の天下り利権を温存し続け、麻生政権もこの方針を着実に継承しているだけである。渡辺喜美元行革相などが低次元の三文芝居を演じてきたが、渡辺氏の主導する制度変更が「天下り利権」を温存するものであることは明白である。

麻生首相は特権官僚が公務員を退職する際の「天下り」制度を温存するだけでなく、「天下り」先からの再就職(=「渡り」)まで温存する方針を明示した。論議されてきた「雇用・能力開発機構」についても、廃止の方針が消滅し、別機関に統合される可能性が強まっている。

「天下り」機関に1年で国費が12.6兆円も投入されている。「天下り」を根絶し、不必要な政府支出を排除すれば巨大な財源を確保することができる。「消費税大増税」を検討する前に、「特権官僚」の天下りを根絶すべきことは当然だ。

本ブログで指摘し続けている外国為替資金特別会計に基づく外貨準備で、巨大な為替差損を発生させていることが国会で追及されなければならない。日本政府が100兆円もの外貨準備を保有する理由は皆無である。外為特会を所管する財務省は外為特会から巨額の海外渡航費などを吸い上げている。

1ドル=95円の為替レート時点で24兆円もの損失が計上されている。1ドル=90円にまで円が上昇した現時点では、為替差損がさらに拡大していると考えられる。30兆円の資金があれば、どれだけ社会保障を充実できるのかを考える必要がある。

「天下り利権」の膨大な国費負担、売国政策の象徴とも言える外貨準備での為替損失だけで数十兆円単位の財源が消滅している。これらの問題を解決しようともせずに一般国民に巨大な増税を強制することを絶対に許してはならない。

「天下りを死守して消費税大増税」の是非が次期総選挙の最大の争点のひとつになることが明白になった。御用マスメディアの偏向報道に惑わされることなく、麻生政権を粉砕(ふんさい)し、国民本位の新しい政権を樹立しなければならない。

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2008年12月22日 (月)

「大政奉還」を決断すべき麻生首相

12月22日の月例経済報告で政府は景気の基調判断を「景気は悪化している」に下方修正した。景気の基調判断に「悪化」の表現が盛り込まれたのは2002年2月以来6年10ヵ月ぶりである。

年の瀬を控えて、多くの国民が未曾有(みぞう)の不況に苦しんでいる。麻生首相は政策運営をサボタージュして相変わらず社会科見学を楽しんでおり、政権交代を求める国民の声は日増しに強まっている。ハローワークを訪問した人の実情を考えようともしない首相のKYな応対は迷惑以外の何者でもない。「カナダde日本語」様「晴天とら日和」様動画を掲載してくだっさっているのでご高覧賜りたい。

経済状況の深刻化に対応して麻生政権は景気対策を提示しているが、政策対応のちぐはぐさが際立っている。2011年度に財政再建目標を実現するとの方針を定めた2006年度の基本方針をどのように位置付けるのかがはっきりしない。景気対策を提示しながら2011年度に消費税を増税する方針を示している。

麻生内閣は不況深刻化、内閣支持率暴落に狼狽(ろうばい)して手当たり次第に政策を掲げているが、政策の目指す方向が明確でなく、また、「迅速、スピードが大切」と示すのに具体的対応を先送りするなど、支離滅裂(しりめつれつ)振りが際立っている。

不況が深刻化して多くの国民の生存権が脅かされているのだから、まずは緊急対応として国民の生存権を保障する政策対応が求められる。国民が年の瀬に仕事も住まいも失い、路頭に放り出される事態を解消するために政府は全力を注ぐ責務を負っている。「政局」を理由に予算審議を来年に先送りするなど言語道断の対応だ。

ただし、今回の不況への対応を一時的な対症療法だけで済ませてはならない。問題の根は深い。小泉政権が日本社会に強制した「市場原理主義」経済政策の弊害(へいがい)がいっぺんに表に表れたのが、今回の経済社会混迷の深層である。経済政策の基本路線転換が求められている。

小泉政権の経済政策を推進した「市場原理主義者」は「市場原理主義」の表現を嫌う。「市場原理主義者」は、市場原理を最大限に活用することを主張したのであって、市場に「失敗」がつきものであることを認識していると主張する。欧米でも市場原理そのものを否定する論議は存在しないと言う。

「市場原理主義」を否定する主張も「市場原理」そのものを否定しているわけではない。「市場原理主義」と表現される理由は、「分配の格差」をどのように捉えるか、「セーフティーネット」の重要性をどこまで重視するかという点についての基本判断にある。

私は「市場原理主義」を否定する立場に立って主張を示している。私が「市場原理主義」と表現している対象は、①「市場メカニズム」に委ねる結果として生まれる「格差」を放置するスタンス、②労働市場の無制限な規制緩和方針、③「セーフティネット」を取り除く政策スタンス、である。

「市場メカニズム」に過度の信頼を置いて、「市場の失敗」を補完するための諸施策=「分配」に対する規制、労働市場の規制、「セーフティネット」の強化、などを軽視する政策路線を「市場原理主義」と表現しているのだ。

不況深刻化で問題が表面化しているのは、単なる景気循環上の問題ではない。小泉政権が推進した「市場原理主義」政策の歪(ひず)みが表れた現象なのである。

小泉政権は「効率」、「成長」を重視して、「分配の公正」、「セーフティネット」を軽視した。その背景には、政治が「資本」と「国民=労働」のどちらの利益を重視するのかという問題が横たわっている。小泉政権の「改革」政策=「市場原理主義」政策は「資本」の利益を優先する政策路線なのだ。

「大企業」=「資本」の利益を優先する立場に立てば、①労働者の賃金が低く、②労働者をいつでも解雇でき、③企業の社会保障負担が低く、④法人税負担が低く、⑤株主および経営者の所得が高い、ことが望ましい。

小泉政権の「改革」政策路線は、「資本」の利益を優先する政策方針だった。労働市場の規制を撤廃した結果、非正規雇用労働者が激増し、非正規雇用労働者の雇用保障は消滅した。一生懸命に働いても年収が200万円に届かない低所得労働者が激増した。

問題は不況の局面で顕在化(けんざいか)する。不況に直面して日本を代表する大企業が一方的な解雇=雇い止めを通告している。不安定な労働条件の下で労働してきた多数の非正規雇用労働者が寒空の年末の路頭に放り出される事態が全国で一斉に発生している。

小泉政権は財務省の「財政再建原理主義」路線に沿って、「セーフティネット」の破壊(はかい)にいそしんできた。「高齢者」、「障害者」、「母子世帯」、「低所得者」、「非正規雇用労働者」に対する冷酷な政策が激しい勢いで推進されてきた。社会保障関係支出を年間2200億円切り込むなどの非人道的な政策が大手を振ってまかり通ってきたのだ。

一方で、財務省の天下り利権は完全に温存されてきた。最も分かりやすい事例として、私は日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫のいわゆる「財務省天下り御三家」への天下りが廃止されるかを注視し続けてきた。2005年から2006年にかけて、小泉政権が政権末期にこの問題を提示したので、「天下り」問題に対する最後の意思表示の機会として注目したが、結局、小泉政権は「天下り」を完全に温存する選択を示した。

中川秀直氏、竹中平蔵氏などが官僚利権根絶と主張しても、まったく信用できないのはこのためだ。彼らは小泉政権の中枢に存在しながら、「天下り」根絶をまったく推進しなかった。小泉政権の「市場原理主義」は「国民の利益」ではなく、「官僚の利益」実現を目指す政策路線でもある。

渡辺喜美元行革相は官僚の天下りをこれまでの各省庁による斡旋(あっせん)から、政府の「人材センター」に移管する制度変更を主導したが、これは「天下り根絶」ではなく、「天下りの合法化・制度化」である。「天下り」を制度的に確立する渡辺氏を「改革派」としテレビで紹介するところにマスメディアの堕落(だらく)が鮮明に示されている。

人材センターによる斡旋を再就職等監視委員会が監視することになるが、同委員会委員が国会同意人事の不調で選出されていない。そのため、天下りが一時的にでも中断する可能性が生まれていたが、政府は監視委員会に代わって、麻生首相が天下りにお墨付きを与える方針を決定した。この結果、「天下り」は今後も従来通りに実行されることになった。「カナダde日本語」の美爾依さんがこの問題も伝えてくれている。

サブプライム金融危機は市場原理に全幅の信頼を置き、金融市場での金融機関の活動を「自由放任」した結果として生じた「人災」である。金融機関の行動を「自由放任」する政策スタンスが「市場原理主義」と批判されているのだ。

小泉政権以来の「市場原理主義」経済政策は
①「弱肉強食奨励」=「大企業の利益」
②「官僚利権死守」=「特権官僚の利益」
③「対米隷属外交」=「外国(資本)の利益」
を追求する政策路線である。麻生政権もこの政策路線を基本的に踏襲(とうしゅう)している。

いま求められている政策路線の転換は、
①「セーフティネット強化」=「国民の利益」
②「官僚利権根絶」=「国民の利益」
③「自主独立外交」=「国民の利益」
を政策路線の基本に据えることだ。

「市場原理主義」の経済政策においては、「大資本」、「特権官僚」、「外国資本」の利益追求を「政治屋」と「マスメディア」が結託して推進した。これを私は「政官業外電=悪徳ペンタゴン」による「利権互助会の利益追求政治」と表現している。

「市場原理主義」を排して、「人間尊重主義」に基づく経済政策路線を基本に据えなければならない。セーフティネットを強化し、官僚利権を根絶し、自主独立外交を展開しなければならない。麻生首相が首相の座に1日でも長く居座るために、理念も哲学もなく政策手段を濫用することは、主権者である国民には、はなはだ迷惑なことだ。

政治は首相の私物ではない。国民の支持を完全に失っている首相は政治を私物化せずに、一刻も早く政治権力を主権者である国民に返還するべきである。「大政奉還」されれば国民は直ちに総選挙を実施して、危機に対応する本格政府を樹立することになる。

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2008年12月20日 (土)

適切な日銀利下げと不適切な日銀批判

日銀は12月19日の政策決定会合で短期政策金利の誘導目標を0.1%に引き下げることを決定した。米国ではFRBが16日のFOMCでFFレートの誘導目標を0-0.25%に引き下げることを決めた。

12月15日付記事「日銀短観が示す大不況下の政策サボタージュ」に以下のように記述した。
「米国ではFFレートが0.5%ないし、0.25%に引き下げられる可能性が高い。日本では短期政策金利が0.1%に引き下げられる可能性が高い。」

予想通りの金融緩和措置が決定された。バーナンキFRB議長は大恐慌の研究を専門としており、積極的な金融緩和措置が米国の金融危機を回避するために不可欠であると判断している。FRBはFFレートの誘導目標を0-0.25%に引き下げた。

日銀は短期金利引き下げの経済効果に懐疑的であるが、グローバルに金利引き下げ措置が実行されており、日本円の主要通貨に対する上昇傾向が強まっていることを踏まえて利下げを決定した。

10月31日の政策決定会合で日銀は短期政策金利を0.5%から0.3%に引き下げた。引き下げ幅を0.2%ポイントとするか0.25%とするかで意見対立があったが、0.2%ポイントの引き下げになった。このことから、今回は0.1%への利下げになると予想した。

日銀の政策対応は妥当である。元財務省職員の高橋洋一氏などが日銀の政策対応を批判しているが、政治的な背景を伴ったものであり、妥当な批判でない。

「上げ潮派」と自称する勢力と「小泉一家」、「偽装CHANGE集団」はほぼ重なっている。小泉元首相-中川秀直氏-武部勤氏-小池百合子氏-渡辺喜美氏-小泉チルドレン-竹中平蔵氏-高橋洋一氏に連なるグループである。「脱藩官僚の会」および橋下徹氏とも連携する可能性がある。

「政官業外電の悪徳ペンタゴン」の利権互助会は利権を死守するため、政権交代の阻止に全力を注いでいると見られる。麻生内閣の支持率が暴落し、次期首相にふさわしい人物として民主党代表の小沢一郎氏を支持する国民が急激に増大している。

このまま総選挙が実施されれば本格的な政権交代が実現し、日本の政治が本当の意味で「CHANGE」することになる。既得権益は破壊され、特権官僚が死守してきた「天下り利権」も根絶される可能性が高い。

民主党を中心とする野党による政権樹立を阻止することが悪徳ペンタゴンの至上命題である。「小泉一家」を中心とする「偽装CHANGE勢力」は年内に「偽装CHANGE新党」を創設する可能性がある。

「偽装CHANGE勢力」は官僚利権抑制を主張しているが、信用できない。小泉政権は5年半も政権を担いながら、天下り利権の根絶に注力しなかった。財務省の「天下り御三家」である日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫への天下りは完全に温存されて現在に至っている。

「上げ潮派」は金融緩和政策の強化を主張してきた。しかし、2002年から2006年にかけての日本の行き過ぎた金融緩和政策が、米国の不動産バブル生成の遠因になった点を見落とせない。

2002年から2006年にかけての米国の超金融緩和政策は米ドルの下落圧力を招いた。日本が超金融緩和政策を維持しなかったなら、米国は早期の金利引き上げ政策実施を迫られたはずである。

ところが日本政府は2002年10月から2004年3月にかけて47兆円ものドル買い介入を実施し、超金融緩和政策を強化した。その結果として米国は低金利政策を維持できたが、この超金融緩和政策が米国の不動産価格バブルを生み出した。

日本政府は外貨準備残高を100兆円にまで膨張させたが、その外貨準備のドル資産がいま、円高進行によって巨額損失を発生させている。外貨準備の為替評価損失は円ドルレートが1ドル=95円の段階で24兆円にも達している。1ドル=88円にまで円高が進行した現段階では為替評価損失が30兆円程度に拡大している可能性がある。

これだけの資金があれば、雇い止めの暴挙に直面した非正規雇用労働者のすべてを救済し、障害者、高齢者、生活困窮者のすべてを救済することができる。外貨準備での巨額損失の責任を厳正に追及しなければならない。

日銀の金融緩和政策強化を主張する高橋洋一氏、竹中平蔵氏、中川秀直氏、渡辺喜美氏は、外貨準備や郵貯資金をサブプライム金融危機対策に流用することを主張してきた。彼らの主張を取り入れて日本政府がさらに巨大な資金を米国金融機関救済資金に充当してきたなら、日本国民が負担する損失金額はさらに膨張していたはずだ。「亡国の売国政策」と言わざるを得ない。

日銀への過度の金融緩和政策の要求は、ハイパーインフレ発生によって政府債務の帳消しを狙う財政当局の意向と一致する。高橋氏は財務省と敵対する装いを凝らしながら、実は財政当局の意向を実現するために行動していると考えられる。日銀に対するまったく説得力のない攻撃は、日銀プロパー職員が日銀幹部に就任したことに対する財務省の腹いせを代弁しているに過ぎないと判断される。

「偽装CHANGE集団」は、①市場原理主義に基づくセーフティーネット排除、②官僚利権温存、③対米隷属、を基本政策に据えていると考えられる。中川秀直氏、小池百合子氏、渡辺喜美氏などが「官僚利権打破」を唱えるが、これらの人々の「官僚利権排除」は偽装に過ぎないと判断される。渡辺氏が主導した公務員制度改革も、方式を変更するだけで天下り制度を温存するものであり、「改革」ではない「偽装改革」である。

深刻な不況を打破するには財政政策を活用することが不可欠である。高橋氏は財政政策の活用は円高をもたらし、景気拡大効果を減殺(げんさい)すると主張するが、諸外国が財政政策を活用している現状では、この指摘は妥当性を欠いている。

高橋氏は財政政策を活用する際の財源について、新規国債発行と政府資産取り崩しの相違を論じるが、経済学的にまったく無意味な主張である。政府資産取り崩しと政府債務増大は政府の純債務金額に与える影響が同一である。「埋蔵金取り崩し」と「国債発行」の差異の論議は意味がない。

重要なことは、財政政策を活用して「セーフティーネット」を強化するかどうかである。「弱肉強食奨励」=「セーフティーネット破壊」を推進してきた「市場原理主義」=「新自由主義」の政策路線を否定し、「セーフティーネット強化」=「人間尊重主義」の政策路線を基本に据えるのかどうかが問われている。「偽装CHANGE勢力」が「セーフティーネット強化」に反対する存在であることを確認しておく必要がある。

米国ではビッグスリー救済、ゼロ金利政策実施で、政策メニューが出尽くしてしまった。経済の悪化は加速しており、今後の株価下落、経済悪化に十分な警戒が必要である。経済金融情勢および投資環境分析については『金利為替株価特報081号』(=2008年12月24日号)に掲載する。(なおスリーネーションズリサーチ株式会社のHPは現在メンテナンス中のため開けない状態になっておりますが、週明け24日までには復旧する予定です。ご迷惑をおかけ申し上げますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。)

2009会計年度の米国財政赤字は1兆ドルを突破する可能性が高い。米国は最終的に中央銀行が政府赤字をファイナンスすることになるだろう。米ドルの下落傾向は持続することが予想される。

日本政府は外貨準備の為替評価損失を縮小させるために、保有ドル資産の売却を検討するべきである。趨勢的な円高進行が予想される局面でのドル買い為替介入には慎重でなければならない。今後の「偽装CHANGE勢力」の行動に対する監視が重要である。

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2008年12月18日 (木)

雇用対策法成立を妨害する麻生内閣の背信

民主・社民・国民新党の野党3党が参議院に提出した雇用対策関連4法案は、18日午後に参議院厚生労働委員会で採決、可決される見通しになった。同法案は19日に参議院本会議で可決され、衆議院に送付される見通しだ。

100年に一度の暴風雨が吹き荒れ、不況が日増しに加速している。年の瀬を控えて日本を代表する製造業各社が派遣労働者に対する一方的な雇い止め通告を発し、多くの労働者の生存権が脅かされている。

政府が全力をあげて問題に取り組むのは当然だ。麻生首相は10月30日の追加景気対策決定に伴う記者会見で「ポイントはスピード、迅速に」ということだと強調した。

ところが、麻生政権は10月30日に景気対策を決定したきり、いまも景気対策を具体化する補正予算案を国会に提出していない。臨時国会の会期は12月25日まで延長されたから、政府が予算案を臨時国会に提出すれば、年内に補正予算を成立させることは十分に可能だった。

民主党の小沢代表は、麻生首相が補正予算案の国会提出を来年まで先送りする姿勢を示したため、党首会談開催を求めて直談判した。11月28日の党首討論でもこの問題が追及された。

それにもかかわらず、麻生首相は補正予算案の臨時国会提出を拒否した。多くの国民が深刻化する不況に苦しみ、年の瀬を控えて仕事や住まいを失い、路頭に迷いかねない緊急事態が生じているのに、麻生首相は「政局」を優先して「政策」をサボタージュしている。

こうした状況を踏まえて、野党が共闘して雇用対策関連4法案を参議院に提出したのだ。与党が検討している雇用対策と野党が国会に提出した法案は、多くの部分で内容を共有している。自民党が国民生活の支援を重視するなら、衆議院での「スピード」審議を実行して、「迅速に」法律を成立させるべきだ。

「スピード」、「迅速に」がポイントだと記者会見で明言したのに、年内に成立できる法律審議を来年まで先送りする理由は皆無だ。自民党が法案審議を拒絶するのは「政策より政局」、「国民の利益よりも自民党の利益」を考えているからである。麻生首相は「公より私」を政治行動の基本に据えているのだと考えられる。

メディアが野党の行動を批判するのはまったくの筋違いだ。評論家の木村太郎氏はフジテレビ番組「スーパーニュース」で、「衆議院で否決されるのが分かっているのに野党が国会に提出するのがおかしい」と発言したが、「国民にとって必要不可欠な政策を盛り込んだ法案で、与党と野党の違いを超えて超党派で取り組むべき課題に対する対応を含む法案成立を衆議院が拒絶するのがおかしい」のではないか。

野党が参議院で与党提出、政府提出法案に反対すると「党利党略の行動はおかしい」と与党は主張する。第一次補正予算案、金融機能強化法案などについて与党は、「国民にとって迅速な対応が必要だから、野党は審議を引き延ばすべきでない」と強く主張した。

野党は与党の主張を受け入れて、第一次補正予算および金融機能強化法の成立に協力した。多くの国民が不況深刻化で苦しむ現実が広がっているのである。与党が党利党略で年内の法律成立を妨害するのは、国民に対する背信行為である。

12月17日記事で指摘した有馬晴海氏も木村太郎氏も、まともな判断力を失っているとしか考えられない。野党の政治行動に国民の支持を取り付けようとする狙いが含まれているとの指摘は正しいかも知れない。しかし、正しい行動を実行して、国民の支持を獲得しようと努力することは間違った行動ではない。

自民党の党利党略で、国民が求める政策実現を妨害することを正当化する論理は存在しない。雇用対策関連4法案の年内成立を阻止しようとする与党の行動を、メディアが批判しない現状は、日本のメディアが根元から腐りきっていることの証左である。

小沢一郎民主党代表に対する一般的な印象はこれまであまり良いものではなかった。自民党田中派に所属していたこと、自民党内での剛腕が伝説のように語られ、一般国民は小沢氏に対して「恐い」との印象を持たされてきたようにも思われる。

麻生首相は内閣支持率が暴落するなかで、「首相としてふさわしいのはどっち」の世論調査で小沢氏を上回っていることが最後の支えだった。ところが、直近の世論調査では逆転されてしまった。

11月28日の党首討論は、これまでになく国民に注目される党首討論になった。国民は党首討論を見て、小沢氏に対する認識を大きく修正し始めたのだと考えられる。小沢氏は演説を得意としていない。大変失礼な言い方になるが、口べたと言っても良いだろう。

しかし、孔子は「巧言令色鮮し仁(こうげんれいしょくすくなしじん)」との言葉を残した。立て板に水のようにぺらぺらと相手を言いくるめ、常に、論争に勝っているかのような態度をとり続ける人物が、実はものごとの本質、真髄をまったく見落としている実例を、私たちは多く知っている。

ぺらぺらと軽薄な言葉を並べることが大切なのではない。政治家として、ぶれぬ信念、国民生活を真摯(しんし)に見つめて、行動力をもって進む姿勢が大切なのだ。党首討論などを通じて小沢氏の言動を直接知ることによって、国民の意識は確実に変化すると考えられる。孔子は「剛毅朴訥、仁に近し(ごうきぼくとつ、じんにちかし)」の言葉も残している。

12月16日、小沢代表はTOKYO-FMの渋谷スペイン坂スタジオで行われたWONDERFUL WORLDの公開生放送に出演した。「カナダde日本語」の美爾依さんが「小沢一郎が「解散は年明け早々だと思います“うぃっしゅ”」ポーズ」と題する記事を掲載くださった。美爾依さんの記事には「晴天とら日和」様が掲示くださった公開生放送を撮影した映像がアップされており、60分におよぶ小沢氏の素顔を伝える映像を公開してくださっている。

「カナダde日本語」様「晴天とら日和」様は、いつも連携して貴重な情報を伝えてくださるので、チェックを怠れない。

インタビューによると、小沢代表の子息もコンピューター関連の仕事に派遣労働者として従事されているとのことだ。小沢氏はそのこともあって、労働市場の厳しさを知っていると述べた。

テレビメディアはこれまで、意図的に小沢氏の印象を悪化させる工作を続けてきたと考えられる。「政官業外電=悪徳ペンタゴン」の利権互助会は、小沢民主党による政権交代を警戒し続けている。本格的な政権交代が実現すれば、官僚利権を含む既得権益が根底から破壊されてしまうと考えているのだと思われる。

「TVタックル」、「サンデープロジェクト」では、執拗に小沢氏に対するネガティブ・キャンペーンが繰り返されてきたが、田原総一郎氏、三宅久之氏、屋山太郎氏、浜田幸一氏に共通するのは、小泉元首相との距離の近さである。テリー伊藤氏なども執拗に小沢氏のイメージダウンのための発言を繰り返す。

小沢氏のイメージは、政治権力にコントロールされたメディアによって意図的に低下させられてきたと考えられる。国民は自分の目で小沢氏の言動を見て、予断を持たずに判断してゆくことが必要だ。

国民生活を支援するための雇用対策関連法案を衆議院で可決して成立させるべきだ。自民党が党利党略を優先して、国民に背を向けた政治行動を強行するなら、次期総選挙で与党は有権者の強烈な批判を浴びることになる。政権交代が実現すれば、御用言論人も一掃されることになるだろう。

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2008年12月17日 (水)

「市場原理主義」VS「人間尊重主義」

12月16日、米国の11月住宅着工件数が発表された。新聞報道は18.9%の減少と伝えたが、間違えてはいけない。18.9%減は前月比変化率である。年率換算62.5万戸で前年同月比では47.0%の減少である。消費者物価指数は前月比1.7%下落した。

米国の住宅着工件数は2006年1月には、年率換算227.3万戸を記録した。わずか3年前の水準から約4分の1の水準に激減している。米国消費者の消費行動は住宅建設と密接に連動している。

FRBは16日のFOMCでFFレートを1.0%から0-0.25%に引き下げることを決定した。FRBはゼロ金利政策への突入を決定した。NYダウは大幅金利引き下げを好感して前日比359ドル上昇して8924ドルに達した。

自動車の販売がグローバルな規模で前年比3割も減少している。生産活動は所得を生み出す源泉である。所得が減少すれば支出も減少する。生産-所得-支出は連動する関係にあるから、現在観測されている生産活動の急激な落ち込みは、本格的な景気後退の入り口を示すものであることを警戒しなければならない。

日本でも輸出製造業を中心に景気の景色が一変した。海外経済の停滞と日本円の急激な上昇が重なった。日銀短観2008年12月調査でも製造業の景況感の悪化が鮮明になっている。

製造業は生産水準を大幅に切り下げ始めている。操業率が低下し、生産に必要なマンパワーが大幅に減少している。これが、非正規労働者を中心とする労働者の雇い止め急増の背景である。

その結果、年末を控えて仕事も住まいも失う国民が急増している。年の瀬の寒空の下に住まいと仕事を奪う所業が何のためらいもなく実行される現実に対する政治の鈍感さに驚きを禁じえない。

「市場原理主義」が跋扈(ばっこ)して、人々の生活の根幹である「労働」に関するルールが作り変えられてしまった。労働者の生存権を守るセーフティーネットが破壊されてしまった。

「市場原理主義」=「新自由主義」の跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)がもたらしたのは、際限のない「格差拡大」だけでなく、国民の「生存権」そのものの危機である。経済運営の基本を「市場原理主義」から「人間尊重主義」に転換するべきである。

麻生内閣の支持率が暴落し、自民党内の反麻生勢力が新党創設への動きを示している。そのなかで観察される奇異な現象は、「市場原理主義」を日本社会に強制し、生存権を脅かす格差社会を生み出した元凶である小泉竹中一派を、メディアが批判勢力として登場させていることだ。

日経新聞、テレビ朝日がその最たるものだが、日本社会が直面している問題を国民の目線で捉える姿勢が欠落している。「小泉竹中「改革」政策」を絶賛し、日本社会の崩壊を側面支援したメディアが、「小泉竹中「改革」政策」を真摯(しんし)な姿勢で総括することは、メディア自身の自己批判に直結する。

しかし、主権者である国民の麻生内閣に対する厳しい視線は、「小泉竹中「改革」政策」に対する根本的な見直しに起因している。2005年9月の郵政民営化選挙で国民は一種の「集団ヒステリー」の状況に陥った。「郵政民営化」を「正義の政策」と錯覚してしまった。「偽装された改革」方針に目をくらまされて、間違った判断を下してしまったのだ。

小泉元首相は「痛みのある改革」と言った。「いまの痛みに耐え、より良い明日を目指す改革」と述べた。小泉政権は超緊縮経済政策を実行し、日本経済は激烈な悪化を示した。失業、倒産、経済苦自殺が戦後最悪の状況を示した。

多くの人々が「改革」政策に賛同する姿勢を示したが、「痛みのある改革」には大きな特徴があった。それは「改革」を叫ぶ人と「痛み」を受ける人が重ならないことだった。

「痛みのある改革」を正確に表現すると、「他人に痛みのある改革」だった。年間3万人を突破する自殺者数は、絶対数としてとてつもない大きな数である。しかし、1億2000万人の人口に対する比率は0.025%に過ぎない。失業、倒産、経済苦自殺が戦後最悪を記録したといえ、直接、このような苦しみに直面した国民の比率は、せいぜい1割だった。

1割の人々は「格差拡大」の潮流のなかで大きく浮上した。竹中平蔵氏が「改革の旗手」として絶賛した堀江貴文氏なども、浮上した「成功者」の中に入る。9割の国民は浮上せずに没落し、4割の国民が大きく沈んだ。しかし、「悲惨な痛み」に直面したのは、全体の1割に過ぎなかった。

「痛みに耐える」と言うものの、「改革を訴える本人の痛み」ではなかった。「ひと(他人)の痛み」なら10年でも20年でも耐えられるだろう。「いまの痛みに耐えより良い明日を目指す改革」といっても、この政策を提唱した人物自身が「痛み」とまったく無縁の存在だった。

麻生首相の連日のレストラン&バー通いが話題になったが、小泉元首相も負けていなかった。2003年4月22日の「六本木ヒルズ」のオープニング・セレモニー。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に記述したが、小泉元首相が祝賀挨拶した。

りそな銀行の2003年3月期決算について、朝日監査法人が本部審査会で繰延税金資産5年計上を否認した日である。朝日監査法人の担当会計士は4月24日にマンション12階から落下して死亡している。

日本経済が戦後最悪の大不況にあえいでいた局面だ。小泉元首相は六本木ヒルズの賑わいを見て、「こんなに賑わっていてどこが不況か」と発言した。クリント・イーストウッド監督作品『父親たちの星条旗』について、評論家の沢木耕太郎氏は、クリント・イースドウッド監督が伝えたかったメッセージは「戦争を美しく語る者を信用するな。彼らは決まって戦場にはいなかった者なのだから」ではなかったかと記述した。

経済は循環変動する。竹中氏などはIT革命により景気循環が消滅するとまで言い放っていたが、竹中氏が推進した「新自由主義」=「市場原理主義」が景気循環を空前の規模に拡大したとも言える。「市場原理主義」に基づく「自由放任」が金融産業の暴走を生み出すとともに、労働者のセーフティーネットが破壊された。

不況のしわ寄せは、経済の鎖のなかの最も弱い部分に押し付けられる。鎖は破壊され、国民の生存権さえ脅かされる状況に追い込まれている。「痛みに無縁の人」にはいささかの「痛み」も生じないが、「痛み」の直撃を受けた国民は「痛み」の激烈さに震撼(しんかん)する。

「小泉竹中「改革」政策」にうっかり賛同してしまった国民の多くは、自分は「痛み」と無縁の存在だと錯覚してしまっていた。しかし、世の中で何が起こるかは分からない。自分は無縁と思っていた「痛み」にいつ直面するか分からないのだ。「市場原理主義」は大多数の国民を下層に没落させるメカニズムを内包している。

私は「人の痛みの分かる改革」でなければならないと訴えてきた。「1割」は比率で言えば小さな比率だが、「絶対数」ではとてつもない「多数」である。4割もの国民がかつてない苦しみを背負わされるようになった。

政治は強い者のために存在するべきでないと思う。セーフティーネットを強固に構築し、すべての国民の生存権、生活を守ることが政治の最大の役割だと思う。

麻生政権は多数の国民が生存権を脅かされる状況に直面しているというのに、国民生活支援のために、全身全霊の努力を注いでいない。物見遊山(ものみゆさん)気分での社会科見学ばかりが目に付く。与党が政策運営をサボタージュしているから野党が臨時国会に法案を提出して会期末までの法律成立に最大限の努力を傾注している。

メディアは法律制定を全面支援して当然だ。ところがテレビ朝日番組でコメントを提供した政治評論家の有馬晴海氏は「与党と野党のアドバルーン合戦」と評した。麻生政権は法案提出を2009年に先送りし、野党は年内成立を目指している。中立公正の論評をせずに御用評論に徹する人物をコメンテーターとして採用する堕落し切ったメディアが、国民の苦しみ増大に加担している。

麻生政権は国民の生存権危機を直視せずに、この期に及んで、法人税減税、株式等の資産課税軽減、高額住宅建設優遇などの「新自由主義」経済政策を提示している。財政資金を集中投入すべき対象は、セーフティーネット構築である。「障害者自立支援法」見直しでも冷酷な姿勢は維持されたままだ。

「市場原理主義」を否定し、「人間尊重主義」を基本に据える政府の一刻も早い樹立が求められている。

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2008年12月16日 (火)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(8)

「退出すべき企業を市場から退出させる」
これが、小泉竹中経済政策の基本政策のひとつだった。

もうひとつの基本政策は
国債を絶対に30兆円以上発行しない=いまの痛みに耐える政策
だった。

超緊縮経済政策を実行し、企業の破たん整理を促進する。これが小泉竹中経済政策の基本方針だった。経済は坂を転げ落ちるように悪化した。企業の破たんが急増し、株価が暴落した。連動して不動産価格も暴落した。

私はこの政策が実行されれば、日本経済は最悪の状況に陥ることを確信した。小泉政権の発足時点から、このことを警告した。

現実は懸念した通りのものになった。日経平均株価は2001年5月7日の14,529円から2003年4月28日の7607円に暴落した。日本経済はマイナス成長に陥り、物価も下落し、深刻なデフレが日本を覆った。史上最悪の失業、倒産、経済苦自殺が国民を追い詰めた。

竹中金融相が「大銀行の破たんも辞さない」方針を明示して、銀行の財務計数を人為的に悪化させる方針を示したことが株価暴落を加速させた。竹中金融庁はりそな銀行を俎上(そじょう)に載せて破たん処理を断行する構えを示した。

ところが、最終局面で政策は手の平を返した。りそな銀行を「破たん処理」せず、2兆円の公的資金を投入して「救済」したのだ。「責任ある当事者に適正な責任を負わせる」「自己責任原則」は破棄された。小泉政権が政権発足時点から掲げていた「退出すべき企業を市場から退出させる」基本方針は撤回された。

金融危機に直面したりそな銀行は、責任を問われずに2兆円の公的資金の提供を受けた。りそな銀行株主は国から巨大な利益供与を受けた。

「退出すべき企業を市場から退出させる」政策が破棄され、「大銀行は税金により救済する」方針が示されたために、株価は急騰に転じた。「金融恐慌が発生する」との警戒感から株価は暴落していたが、政府が公的資金で銀行を救済する方針が明示されれば、「金融恐慌リスク」は消滅し、株価は大幅な水準修正を示す。現実に日経平均株価は2003年8月18日に1万円の大台を回復した。

資産価格が上昇に転じたことを背景に経済活動が改善に転じた。経済の改善は新たな株価上昇の要因になる。株価に連動して不動産価格も上昇に転じた。資産価格の上昇に連動して金融機関の不良債権は急激に減少していった。

2003年から2006年にかけての日本経済改善、不良債権問題の縮小は経済政策の成果としてもたらされたものではない。金融恐慌寸前の状況まで悪化した日本経済、金融情勢の反動として生じた現象に過ぎなかった。

38度の高熱は、それ自体が懸念される状況だが、一度42度の瀕死の状況を経過したあとで38度に到達すると、大幅に病状が回復したと認識される。本来なら38度の病状から36度の平熱に戻ることが可能だった患者が、治療の失敗で42度の死線に誘導された。そこで副作用の強い劇薬を使用して死を免れたのである。

2001年から2003年の日本経済悪化誘導は本来、まったく必要のない経路だった。経済悪化で税収が激減し、また景気対策が必要になって財政赤字も激増した。多くの国民が失業、倒産、経済苦自殺の経済苦地獄に送り込まれた。「百害あって一利なし」の経済政策運営だった。

あげくの果てに、最終的に「自己責任原則」が破棄されてしまった。金融行政で最も重要な基本原則が「自己責任原則」であり、税金によるりそな銀行救済は、日本の金融行政に歴史的な汚点を残すものだった。2003年5月17日のりそな銀行救済は、小泉竹中経済政策の破たんを意味するものだった。

小泉竹中経済政策が破たんした背景として二つの仮説を提示することができる。第一の仮説は、「意図せざる政策失敗と窮余の一策としての銀行救済」というものだ。第二の仮説は、「意図的な株価暴落誘導と銀行救済」である。

前者の筋書きは以下の通りだ。竹中経財相は、日本経済を回復させる処方箋として(a)緊縮財政と(b)企業の破たん処理推進、を位置付けた。不良債権の処理を進めることによって金融機関の与信活動が活発化するとの見通しを前提に置いた。

ところが、現実には緊縮財政が経済悪化を加速し、そのなかで企業の破たん処理を加速させたために、不良債権問題は見通しとは逆に拡大してしまった。新たに増加する不良債権が、処理を終えた不良債権をはるかに上回ったからである。

小泉竹中経済政策は当初の目論見とは逆に「金融恐慌」突入の絶体絶命の危機に直面してしまった。窮余の一策として竹中金融庁は預金保険法第102条第1項の「抜け穴規定」を活用して、「自己責任原則」を放棄した。ぎりぎりのところで小泉竹中経済政策は「金融恐慌」を回避した。これが第一の仮説だ。

第二の仮説は、小泉竹中経済政策が意図して日本経済の崩壊を誘導し、また資産価格暴落を誘導し、金融恐慌寸前の状況で預金保険法102-1の「抜け穴規定」を利用することを当初から念頭に入れていたとするものだ。

日本国民の視点に立てば、第二の仮説が生まれる可能性は皆無である。第二の仮説に沿った現実が生じても日本国民はまったく利益を得ないからだ。無数の罪無き善良な日本国民が小泉竹中経済政策を原因とする戦後最悪の不況に巻き込まれ、失業、倒産、経済苦自殺に追い込まれた。

ところが、2001年から2006年にかけての日本経済、日本の資産市場で生じた出来事を鳥瞰(ちょうかん)すると、別の絵が見えてくる。経済の悪化推進、株価・地価の暴落推進、その後のりそな銀行救済によって巨大な利益を獲得した勢力が確実に存在するのだ。

竹中金融相は2003年2月7日の閣議後懇談会で株価指数連動投信(ETF)について、「絶対儲かる」と発言した。証券取引法は株式や投信の販売にあたって「絶対に儲かる」などの断定的な表現を禁止している。証取法を所管する金融相が「絶対儲かる」と発言して物議を醸(かも)した。

りそな銀行をスケープゴートに定め、りそな銀行を自己資本不足に追い込むための工作活動は2002年10月からスタートしている。11月12日には、竹中金融相が公認会計士協会に対して繰延税金資産の厳正な監査を要望した。

2003年2月25日には、公認会計士協会の奥山章雄会長が「主要行の監査に対する監査人の厳正な対応について」と題する会長通牒を提示した。繰延税金資産の合理性の確認を要請している。りそな銀行を自己資本不足に追い込むための工作が進められていたったと考えられる。

ただし、りそな銀行の決算を本当に厳格なルールに基づいて監査したなら、りそな銀行は「破たん処理」されなければならなかった。木村剛氏が5月14日まで強くその主張を提示した。しかし、最終決着は「3年計上」に基づく「救済」だった。竹中金融相、金融問題タスクフォース、奥山公認会計士協会会長、新日本監査法人が密接に連携して、「人為的な救済」決着が決定されたと考えられる。

りそな銀行は「破たん処理」ではなく「救済」でなければならなかったのだ。りそな銀行が救済されたことによって、日本の資産市場の資産価格は方向を転換した。りそな銀行が破たん処理されたなら、日本の金融市場は金融恐慌に突入していたはずだ。

「金融恐慌」のリスクが煽(あお)られて、日本の投資家は泣くに泣けない暴落価格で株式や不動産を投げ売りした。投げ売りによって資産価格は法外な安値を記録した。問題は誰が安値の資産を買い占めたのかである。

最終的に102-1の「抜け穴規定」を利用してりそな銀行が税金によって「救済」されることを知りうる立場の勢力が存在したなら、暴落価格の優良資産を買い占めたはずだ。

「金融恐慌」のリスクを喧伝(けんでん)し、最終的に税金による銀行救済を実行して株価の急騰を実現させ、これらのシナリオを事前に用意して安値で資産を取得して急騰後に売り抜けたなら、これらの行為は「風説の流布」、「株価操縦」、「インサイダー取引」に該当すると言ってよいだろう。

日本政府は2002年10月から2004年3月にかけて47兆円もの巨額のドル買い為替介入を実施した。米国国債を保有する外国資本に47兆円の円資金を提供したと捉えることもできる。暴落価格の日本の優良資産買い付け資金を日本政府が提供したとも考えられるのだ。

金融機関は不良債権の損失処理を会計上で済ませてしまうと、不良資産を二束三文で売却することが可能になる。金融機関が売却する暴落値の不良債権をまとめ買いして債権を回収すると、巨大な利益を確保できる。この種の不良債権ビジネスは外国資本の独壇場(どくだんじょう)だった。

りそな銀行はその後、自民党に対する融資を激増させた。この重大ニュースをスクープしたのが朝日新聞だった。しかし、この重大事実をスクープしたと見られている朝日新聞の敏腕記者はスクープ記事掲載と同時に東京湾で死体で発見されたと伝えられている。

①りそな銀行が標的にされた背景
 ②UFJが東京三菱に吸収された経緯
 ③ミサワホームの再生機構送りの背景
 ④金融行政スクープ記事の情報源
 ⑤郵政民営化への米国政府の関与
については、今後「竹中金融行政の深い闇」の続編シリーズ記事で記述してゆくこととする。

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2008年12月15日 (月)

日銀短観が示す大不況下の政策サボタージュ

本日12月15日、日銀短観12月調査結果が発表された。
日銀短観は日銀が企業に対して実施しているアンケート調査で、企業部門の経済状況の変化を的確に示す。

業況判断DIの前回(9月)、今回(12月)、先行き見通し(3月)の推移は以下のとおりである。
大企業全産業     0→ -16→ -25
大企業製造業    -3→ -24→ -36
大企業非製造業    1→ - 9→ -14
中小企業全産業  -21→ -28→ -44
中小企業製造業  -17→ -29→ -48
中小企業非製造産業-24→ -29→ -42

業況判断DIは、景況感について全体で100となる回答のうち「良い」から「悪い」を差し引いた数値である。プラス100からマイナス100の間で数値が変動する。

大企業製造業の業況判断DIは9月調査比で21ポイント悪化した。悪化幅は第1次石油危機直後の1974年8月調査(26ポイント下落)に次ぎ、1975年2月調査と並ぶ過去2番目の大きさで、33年ぶりの大幅な落ち込みになった。

すでに大幅に悪化していた中小企業の業況判断も悪化が続き、製造業、非製造業、大企業、中小企業のすべてが深刻な不況に突入したことが明らかになった。

大企業製造業の業況が急激に悪化したのは、サブプライム危機に伴う海外経済の急激な悪化に加えて、日本円が主要通貨に対して急激な上昇を示したことが大きく影響している。

本年7、8月以降、日本円は主要通貨に対して大幅に上昇した。
1米ドル:110円 →  88円
1ユーロ:170円 → 113円
1ポンド:215円 → 132円
1加ドル:107円 →  70円
1豪ドル:104円 →  55円

海外経済の急激な悪化と急激な円上昇が輸出製造業の収益環境を急激に悪化させた。今回の日銀短観12月調査で企業が前提条件として設定している2008年度の想定為替レートは1米ドル=103.3円である。円ドルレートは1米ドル=90円を上回る円高・ドル安への推移を示しており、今後も円高傾向が持続すると、製造業の業況悪化がさらに強まる恐れがある。

2002年から2007年までの日本経済を牽引(けんいん)したのは輸出製造業だった。長期間持続した円安傾向と米国、欧州、中国などのアジア諸国の経済好調が日本の製造業の好調を支えた。

本年夏以降、この図式が完全に崩壊した。麻生首相は日本経済が諸外国と比較して堅調であると発言していたが、現状認識が甘い。本年夏以降、日本経済の状況は急変しており、一気に戦後最悪の経済状況に突入している。

また、金融機関の財務状況も急変している。株価の下落が金融機関の財務状況を直撃している。政府は金融機関が保有する有価証券を時価評価しない決算処理を容認する方針を示したが、問題を解決する施策ではなく、問題を隠蔽(いんぺい)するだけの措置であり、極めて不健全である。

株価下落と同時に、不動産価格の急激な下落も進行している。不動産業を中心に財務状況が著しく悪化する企業が多数発生しており、金融市場の重大な問題と化していると同時に、深刻な雇用不安を生み出している。

もっとも深刻な影響は、輸出製造業が操業率を一気に引き下げていることによって発生している。自動車の販売はグローバルな規模で前年比3割程度の減少を示している。その結果、生産水準の大幅引き下げが実施されている。

そのしわ寄せが非正規雇用労働者に集中している。低賃金、低保障、低福利厚生が非正規雇用労働者の処遇の特徴である。「資本」の論理だけを尊重し、「労働」に対する虐待を推進する新自由主義=市場原理主義の経済政策が、人間性を無視した冷酷な労働法制を日本社会に植え付けてきた。

政府は全力をあげて、戦後最悪の不況に突入する日本経済に対して、とりわけすべての労働者の生活を守る政策実施に取り組まなければならない。ところが、麻生政権は10月30日に約束した補正予算案の国会提出を2009年まで先送りして、政策運営サボタージュに徹している。

麻生政権は慌てふためいて追加景気対策を打ち出しているが、誠意の見られない国会運営の姿勢の下では円滑な国会審議を期待することもできず、実効性のある政策が実行に移されるのがいつになるのか、極めて不透明な状況が生まれている。

米国では自動車産業を代表するビッグスリーの経営不安が深刻化している。150億ドルのつなぎ融資を内容とするビッグスリー支援策が米国議会に拒絶された。責任ある当事者に対する責任処理が不明確であることが、その大きな要因とされた。

ブッシュ政権が金融安定化法で確保した7000億ドルの公的資金枠の一部をビッグスリー支援に充当することを検討しており、米国株式市場は小康状態を得ているが、ビッグスリーの経営不安が解消されたわけではない。

今週は日米で金融政策決定会合が予定されている。米国では15、16日にFOMC(連邦公開市場委員会)が開催される。米国の短期政策金利であるFFレートはすでに1%の水準にまで引き下げられているが、16日には0.5%ないし、0.25%の水準に引き下げられる可能性が高い。

日本では18、19日に金融政策決定会合が開催される。10月31日の政策決定会合で日本の短期政策金利の誘導目標が0.5%から0.3%に引き下げられた。19日の決定会合では短期政策金利が0.1%に引き下げられる可能性が高い。

不況に際しての金融緩和政策の景気支援効果は限定的である。後ろ向きの資金繰り目的の資金需要以外に資金需要が存在しないなかで、短期金利を引き下げても融資拡大を期待することはできない。財政政策の迅速な発動を伴わなければ、経済悪化を食い止めることは困難で、この意味で、麻生政権の政策サボタージュの弊害(へいがい)は甚大(じんだい)である。

それでも、金利引き下げ政策の決定は、経済悪化に対抗しようとする政策スタンスを表示することになり、心理効果の面からは重要である。日銀内部には利下げ慎重論が存在するが、日本経済を取り巻く状況を踏まえれば、日銀による利下げ拒絶は市場の強い失望を生むことになるだろう。日銀の柔軟な判断が求められる。

経済政策において最も重要な役割は、すべての国民に安定した雇用機会を確保することである。制度改革において最も重要な課題は、「所得分配」、「所得再分配」のルールを根本から変革することである。

12月12日付記事「市場原理主義に代わるもの」に記述したが、この問題について「BLOG版ヘンリー・オーツの独り言」主宰者のヘンリー・オーツさん、ならびに「私好みのimagination」様が見解を共有されていることを表明してくださった。日本の政治を根本から変革することが求められる。「政治屋」、「特権官僚」、「大資本」、「外国資本」、「マスメディア」の「政官業外電の悪徳ペンタゴン」の利権維持を目指す政府を打倒して、「一般国民」の生活、幸福を追求する政府を一刻も早く樹立しなければならない。

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2008年12月14日 (日)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(7)

拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第一章第16節に「1・3・5の秘密」を記述した。2003年3月決算でりそな銀行の繰延税金資産を最終的にどう取り扱うのかが焦点だった。

1年:りそな銀行は破たん=一時国有化
3年:りそな銀行を救済=実質国有化
5年:りそな銀行は健全銀行として決算をクリア
という図式だった。

 選択されたのは3年計上だった。3年計上すると自己資本比率は2.07%になる。健全銀行として決算をクリアできる自己資本比率は4%だった。自己資本比率がマイナスに転じれば、債務超過となり銀行は「破たん」する。

繰延税金資産計上がゼロないし1年であったなら、りそな銀行は「破たん」処理されていた。木村剛氏は、5月14日の時点でりそな銀行について言及したと読み取れるネット上のコラム記事で、繰延税金資産計上はゼロか1年しかありえないことを強く主張していた。

他の銀行同様にりそな銀行の繰延税金資産の5年計上が認められていれば、りそな銀行は2003年3月決算をクリアしていた。中立・公正の立場に立てば、この選択が最も順当であったはずだ。将来時点の収益見通しが不明確だったのはりそな銀行だけではない。

りそな銀行と同様の財務状況、収益環境にあった複数の大手銀行の2003年3月末決算では、繰延税金資産の5年計上が認められて、決算がクリアされている。りそな銀行は、何らかの理由により標的にされ、人為的に自己資本不足に追い込まれた可能性が高い。

りそな銀行を自己資本不足に追い込んだロジックを提示し続けたのは木村剛氏である。木村氏の主張は「将来の収益回復を前提に一定年数繰延税金資産計上を認める」との1999年11月の公認会計士協会指針第4項但し書きを認めないとするものだった。りそな銀行サイドは欠損金が出るとしても、それは合併や会計監査の厳格化といった特別な理由によるもので、5年を限度とする繰延税金資産計上は認められるべきだと主張した。

結果的に、りそな銀行の繰延税金資産計上は木村氏の主張に沿う形で否認された。木村氏は金融PT、金融問題タスクフォース、金融庁顧問として強い影響力を行使したと考えられる。りそな銀行の繰延税金資産計上を否認した朝日監査法人に対しても、直接的な接触を持ったことが確認されている。また、木村氏が代表を勤めていた企業は朝日監査法人、新日本監査法人の海外提携監査法人関連の日本法人であった。

木村氏の主張するロジックを根拠にりそな銀行の繰延税金資産計上が否認されたのであれば、最終的な着地はゼロないし1年計上しかありえなかった。木村氏は5月14日付のインターネット上のコラム記事で「破たんする監査法人はどこか」と題する主張を示した。りそな銀行の繰延税金資産がゼロないし1年以上計上されることがあれば、決定を下した監査法人が破たんに追い込まれるだろうと読み取れる内容だった。

ところが、決着は3年計上だった。3年計上は預金保険法102条第1項規定という「抜け穴」を活用できる着地だった。102-1は、金融機関への破たん前資本注入を認める規定だった。

りそな銀行は102-1の規定に基づいて約2兆円の資本注入を受けた。自己資本比率は一気に12.2%に上昇した。りそな銀行の所有者はりそな銀行の株主である。りそな銀行の株主は、いささかのペナルティーを払うことなく、国から2兆円の資金提供を受けて救済された。

「破たん」処理されれば株価はゼロになる。株主は出資した資金を失う形で責任を問われる。1998年に破たんした日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の株主は、株価がゼロになる形で出資責任を負わされた。

しかし、りそな銀行の株主は国から2兆円の資金提供を受け、その後の株価が猛烈に反発したことにより、国からの巨大な利益供与を受けた。りそな銀行の株価は2003年5月の47円から10月には185円に暴騰した。株価は3.93倍に暴騰した。りそな銀行の株主はペナルティーではなく巨大な利益供与を受けた。

竹中金融相は2002年10月以降、「大銀行破たんも辞さず」のメッセージを発して株価暴落を誘導した。2001年以降、超緊縮経済政策によって経済悪化を促進し、そのなかで「退出すべき企業を市場から退出させる」方針を示して企業の破たんを促進した。この政策が推進されれば、経済が大混乱に陥るのは当然だった。

大銀行が破たんすれば、企業破たんと金融機関の破たんが連鎖的に拡大する。いわゆる「金融恐慌」が発生する。竹中経済政策は日本経済を「金融恐慌」に誘導するものだった。私が2001年の小泉政権の発足時点から小泉政権の経済政策を強く批判したのはこのためだ。

「退出すべき企業を市場から退出させる」政策を基本に据え、りそな銀行を俎上(そじょう)に載せた以上、りそな銀行の処理は「破たん」処理以外にはなかった。金融行政の二大基本原則は「金融システムの安定確保」と「自己責任原則の貫徹」だ。責任ある当事者に適正な責任を負わせることが「自己責任原則の貫徹」である。

りそな銀行が失敗を犯して破たんするなら、責任ある当事者には責任を負わさなければならない。責任ある当事者の第一は企業の保有者である株主である。株主が出資した資金を失うことが適正な責任処理の第一である。

ところが、りそな銀行の「実質国有化」では、りそな銀行の株主は責任を問われるどころか、国から巨大な利益供与を受けた。責任ある当事者が国から利益供与を受けるのは理に反している。

この措置が認められるなら、各銀行は競って財務内容の悪化に努めるだろう。財務内容が悪化すれば、国からの巨大な利益供与を受けることができるからだ。政策が企業の適切でない行動を促してしまうことを「モラル・ハザード(=倫理の欠如)」と呼ぶ。りそな銀行の救済は典型的な「モラル・ハザード」を生み出す政策だった。

しかし、「金融システムの安定確保」の視点に立つと、2003年5月の段階でりそな銀行を破たんさせる選択はありえなかった。この時点でりそな銀行を破たんさせていたなら、日本経済が金融恐慌に突入したことは間違いない。大銀行破たんが一般企業、金融機関の連鎖的な破たんを一気に生み出すからだ。

竹中金融庁はりそな銀行を標的として定め、りそな銀行の決算数値を精査した上で、りそな銀行の繰延税金資産3年計上を決めたのだと考えられる。しかし、「3年」という不自然な決着にせざるを得なくなったために、人為的操作の印象がクローズアップされてしまった。

仮にりそな銀行の繰延税金資産計上がゼロないし1年で102-1が適用されたなら、人為的操作の印象をある程度、覆い隠すことに成功したかも知れない。木村氏が主張したロジックと「りそな銀行救済」の矛盾を表面化させずに済んだかも知れない。

しかし、「3年計上」では合理的な説明が不可能である。「3年計上」という不自然な決着が、「抜け穴規定」である102-1規定を活用するための人為的操作であるとの印象を際立たせる結果を生んだ。

2003年5月にりそな銀行が破たん処理されていれば、小泉政権はその後の総選挙で大敗して崩壊していただろう。しかし現実には、小泉政権は「退出すべき企業を市場から退出させる」基本方針を放棄して、税金による大銀行救済を選択した。

公的資金で大銀行を救済すれば株価が猛烈に反発するのは当然である。株式市場は「金融恐慌」の可能性を現実のものと判断し暴落していた。国内投資家は暴落価格で株式や不動産を投売りした。明らかに割安な価格であっても金融恐慌が発生すればさらに価格は下がる。この判断に立って貴重な資産を投売りした。

最終的に「自己責任原則」を放棄して税金で銀行を救済するなら、2003年にかけての株価暴落、経済混乱は不要だった。国民は絵空事の金融恐慌恐怖症に踊らされたことになる。

竹中氏はりそな銀行の責任処理が実行されたと言うが、実行されたのはりそな銀行の経営陣の入れ替えだけである。旧経営陣が追放され、小泉政権の近親者がりそな銀行経営陣に送り込まれた。りそな銀行はその後に何をしたか。

りそな銀行処理を取り巻く闇を明らかにしなければならない。闇に光を当てる三つの手がかりがある。
①2003年2月7日の竹中金融相による「絶対儲かる」発言
②2002年10月から2004年3月までの47兆円に達する日本のドル買い外為介入
③「りそな銀行から自民党への融資激増」スクープと朝日新聞編集委員の急死
である。

死亡したのはりそなの会計士だけではなかった。

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2008年12月13日 (土)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(6)

渡邉恒雄氏は『文藝春秋2009年1月号』掲載の御厨貴東大教授によるインタビュー記事「麻生総理の器を問う」のなかで次のように述べている。

「僕は竹中さんから直接聞いたことがあるんだが、彼は「日本の四つのメガバンクを二つにしたい」と明言した。僕が「どこを残すんですか?」と聞くと、「東京三菱と三井住友」だと言う。あの頃はまだ東京三菱とUFJは統合していなかったんだが、「みずほとUFJはいらない」というわけだ。どうして三井住友を残すのかというと、当時の西川善文頭取がゴールドマン・サックスから融資を受けて、外資導入の道を開いたからだと言う。「長銀をリップルウッドが乗っ取ったみたいに、あんなものを片っ端から入れるのか」と聞くと、「大丈夫です。今度はシティを連れてきます」と言った。今つぶれかかっているシティを連れてきて、日本のメガバンクを支配させていたらどうなったか、ゾッとする。」

竹中金融相は金融行政を「事前調整型」から「事後チェック型」に転換すると主張していた。上記記述から読み取れる金融行政の基本スタンスは、金融産業の国家による統制管理である。「事後チェック」はむろんのこと、「事前調整」をはるかに飛び越えた行政当局による強権支配の構図である。民主主義国家の行政とは完全に異質の、国家による金融市場の独裁的支配=「権力の横暴の構図」が鮮明に浮かび上がる。

2002年10月に竹中金融プロジェクトチーム(PT)が「金融再生プログラム」を決定した際、強烈な反発を示したのはメガバンク首脳だった。竹中氏が金融行政の根幹ルールを突然、強権によって変更しようとしたのだから、銀行首脳が猛烈に反発するのは当然だ。強烈な反発を示した筆頭が三井住友銀行頭取の西川善文氏だった。

繰延税金資産の自己資本への組み入れが5年分認められてきた。この上限が1年に変更されれば、ほとんどの大銀行が自己資本比率規制をクリアできず、破たんしてしまう。2002年10月に検討し始めた重要事項の変更を2003年3月期決算から適用するというのは、意図的な銀行潰しとしか言いようがなく、正気の沙汰ではなかった。

竹中金融相は結局、繰延税金資産計上ルール変更を断念したが、その後、スケープゴートを選定し、公認会計士協会と監査法人を活用して、大銀行破たんシナリオを演出していったと考えられる。

りそな銀行がいけにえとなって毒牙にかかったとき、私は西川善文氏がどのように金融庁に対して抗議するのかを注目した。しかし、西川氏の姿勢は2002年10月とは別人のものになっていた。金融行政に対して一切の反発を示さない、恭順の姿勢だけが観察されたのだ。

その裏側に、2002年12月11日の竹中金融相、西川善文氏、ゴールドマン・サックスCEOのヘンリー・ポールソン氏らによる密会があった。竹中氏は日本のメガバンクを二つにし、そのメガバンクを外国資本の手に渡すことをミッション(任務・使命)としていたと推察される。渡邉恒雄氏の証言は、この推論を明確に裏付けている。西川氏はこうしたプログラムに完全に取り込まれたのだと考えられる。

竹中金融行政の深い闇の第1幕が「りそな疑惑」だとすれば、第2幕が「新生銀行上場承認疑惑」であり、第3幕が「意図的なUFJ銀行潰(つぶ)し疑惑」である。

UFJ問題については、菊池英博教授森永卓郎氏が記述し、またElectronic Journal」様がさまざまな指摘をされている。

りそな問題に話を戻す。竹中金融相は表向き、「りそな銀行の自己資本不足はプロフェッショナルの監査法人が独立に判断したもので、金融庁は監査法人の判断に介入しなかった」と説明しているが、2003年5月17日のりそな銀行による公的資金注入申請に至る経緯を詳細に追跡すると、この公式発言を信用することはできない。

そもそも、なぜ「りそな銀行」の繰延税金資産だけが5年計上を否認されたのかについての合理的な説明が存在しない。りそな銀行だけが、「スケープゴート」として選定された可能性が高い。その理由の一部はすでに述べてきた。

りそな銀行の繰延税金資産5年計上の否認には、木村剛氏が密接に関わっていると見られる。木村氏は竹中金融PT、および金融問題タスクフォースのメンバーであり、朝日監査法人と新日本監査法人の海外提携監査法人であるKPMG系列の日本法人代表を務めていた。

『月刊現代2009年1月号』の佐々木実氏の論文によると、2003年3月17日に木村剛氏が朝日監査法人の亀岡義一副理事長と会食した理由は、亀岡氏が木村氏に株式会社オレガの代表取締役落合伸治氏を紹介するためだったという。

落合氏はその後、銀行設立の申請を金融庁に提示し、金融庁は異例のスピードで銀行設立の許可を出した。この銀行こそ、「日本振興銀行」である。日本振興銀行は当初、落合氏が社長で発足したが、その後に木村氏が名目的にも支配者の地位に就任した。しかし、発足時点から「木村銀行」の本質を内包していた。

落合氏は木村氏の協力を仰いだ理由について、木村氏がいつも「金融庁と竹中さんがバックについている」ことを述べていたので心強いと思ったからと述べている。この点も佐々木氏が『月刊現代』で指摘している。

2002年10月30日に発表された「金融再生プログラム」には、中小企業向け銀行の新規参入促進に関する記述が盛り込まれていた。

「中小企業の資金ニーズに応えられるだけの経営能力と行動力を具備した新しい貸し手の参入については、銀行免許認可の迅速化や・・・」との記述が唐突に盛り込まれた。

木村氏は中小企業向け銀行ビジネスに強い関心を有していたと見られる。「金融再生プログラム」に中小企業向け銀行設立促進に関する条項が盛り込まれ、落合氏を社長とする銀行設立の申請が提出された。金融庁は異例のスピードで銀行免許を付与した。設立された銀行=日本振興銀行では、結局木村氏が支配者の地位に就任した。「日本振興銀行」の深い闇についても、解明しなければならない問題が多い。

りそな銀行の自己資本不足を最終的に確定する役割を担ったのは新日本監査法人だったが、12月11日付記事に記述したように、新日本監査法人はりそな問題の着地点について公認会計士協会の奥山章雄会長に相談し、奥山氏は金融問題タスクフォースで金融庁の了解を何度も確認したとのことだ。

りそな銀行処理の着地点は竹中金融相、公認会計士協会、新日本監査法人との間の協議により決定されたと考えられる。実態としては、竹中氏の意向が最終決定に反映されたと考えられる。

りそな銀行の自己資本不足を強制する理論的根拠を提供したのは木村剛氏であると考えられる。木村氏は裸の自己資本が2%以上ある場合に繰延税金資産計上を1年認めるとの原則論に固執して、「将来の収益回復を前提に一定年数繰延税金資産計上を認める」との1999年11月の公認会計士協会指針第4項但し書きを認めないとするものだった。ここでいう「一定年数」とは5年以内の年数を指す。

木村氏の主張を採用するなら、りそな銀行の繰延税金資産計上はゼロないし1年しかありえなかった。木村氏は2003年5月14日の段階で、なお、強硬にこの主張を提示していた。

ところが、最終決着は「3年計上」だった。私は『知られざる真実-勾留地にて-』第一章第16節に「1・3・5の秘密」と題して、この問題を記述した。りそな銀行への公的資金投入の根拠とされた預金保険法第102条には第1項措置から第3項措置まで規定が存在した。このなかの第1号措置が「抜け穴規定」だった。「Electronic Journal」様が、この点についてのわかりやすい解説を示してくださっている。

「退出すべき企業を退出させる」=「自己責任原則」、を根本から否定する、「退出すべき企業を税金で救済する」=「自己責任原則の破壊」を意味する抜け穴規定が預金保険法第102条に盛り込まれていたのだ。

竹中金融庁はこの「抜け穴規定」を利用した。「抜け穴」を利用することを前提とすると、繰延税金資産計上「ゼロないし1年」の選択肢はなかった。「4年ないし5年計上」では、りそな銀行は決算をクリアしてしまう。これも選択肢から除外された。「3年計上」が「抜け穴」を利用する唯一の選択だった。

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2008年12月12日 (金)

市場原理主義に代わるもの

12月11日のテレビ東京番組「E morning」で、コメンテーターとして出演した日本経済研究センター主任研究員の竹内淳一郎氏が雇用情勢の悪化について「非正規雇用労働者の雇い止めは企業経営の安全弁」、「雇用調整が企業の生き残りにとって有効である側面を見落とせない」と発言した。

多くの勤労者が年の瀬を控えて、仕事も住まいも失う非常事態に直面するなかで、企業の冷酷な論理を肯定するコメントを臆せずに述べる姿勢に驚きを禁じ得なかった。

小泉政権が強引に日本社会に浸透させた「効率至上主義」=「市場原理主義」=「新自由主義」=「弱肉強食奨励」=「格差拡大容認」=「弱者切り捨て」の政策路線に対する根本的な見直しが求められている。

麻生内閣の支持率が暴落して、麻生政権は政権末期の様相を強めている。自民党内部では、渡辺喜美議員のメディアへの露出が急増するなど反麻生の方針を掲げるグループの蠢(うごめ)きが活発化している。

しかし、わずか2ヵ月余り前に、自民党は日本の不況が深刻化するなかで、3週間もの時間を空費してお祭り騒ぎの総裁選を実施したのではないか。首相は行政の最高責任者で、自民党総裁が首相の仕事を放り出せば国政の空白が生じる。たび重なる無責任な政権放り出しとその後の自民党内の目を覆うばかりの混乱は、自民党が政権担当能力を完全に失っていることの証左である。

小泉政権以降の経済政策が日本国民の生活を破壊している。「生き抜く力」様が指摘するように「労働は命そのもの」である。不安定な雇用形態に安心を感じることのできない非正規雇用労働者に対して、企業は操業率の低下を理由に、恐ろしい勢いで一方的に雇い止めの通知を発している。

派遣労働者は失業するまでの期間、職探しをする時間も与えられない。雇い止めと同時に寮からの退出を迫られる。年の瀬を控えて、住まいも所得も奪われる国民が多数発生する状況を傍観しているのが自公政権の悲しい現状である。

ところが、自民党内で反麻生の旗を掲げる「小泉一家」を軸とする「偽装CHANGE集団」の基本政策は、①市場原理主義、②対米隷属外交、③官僚利権擁護、である。そもそも、弱肉強食を奨励し、弱者を冷酷に切り捨てる政策を強行に推進した勢力の中心が「小泉一家」だった。

反麻生の政治行動は国民生活を救済するためのものではなく、麻生政権が「小泉一家」を政権中枢から排除したことに対する反攻を軸にした、単なる権力争奪をめぐる諍(いさか)いでしかない。「小泉一家」の政治行動からは、国民の幸福を追求する、国民を雇用不安の窮状から救出することへの熱意はまったく感じられない。

すべての問題は「分配」の問題に帰着できる。

経済活動の結果得られる果実を誰にどのように「分配」するか。分配された所得の一部を税や社会保険料負担として政府が徴収する。これらを財源として政府支出が実行されるが、それを誰にどのように「再分配」するか。これが政治の課題である。

「市場原理主義」は分配の方法決定を市場メカニズムに委ねる。「市場に委ねる」と言うと聞こえが良いが、市場では意思決定の権限を持つ者が優位に立つ。企業では経営者が強い立場に立つし、銀行融資ではお金を貸す側がお金を借りる側より強い立場に立つ。

「市場原理主義」の下では、企業を支配する側=「資本」が「資本」に有利なルールを設定し、働く人々=「労働」に不利な状況、ルールが設定される。小泉政権は「資本の論理」だけを尊重して、「資本」の「労働」に対する横暴を全面的に後押ししてきた。これが「分配」における「市場原理主義」である。

小泉政権の「市場原理主義」が吹き荒れたのは「所得分配」の側面だけではなかった。小泉政権は財政活動という「所得再分配」の側面においても「市場原理主義」を推進した。

「資本」に対する課税である「法人税」を軽減して、「労働」=「一般国民」の税および社会保障負担を大幅に増大させた。また、政府支出においては、「労働」=「一般国民」に対する政府支出である「社会保障支出」や「教育支出」を歳出削減の標的に定めた。

つまり、「市場原理主義」は「資本」を優遇して「労働」を虐(しいた)げる政策路線なのである。「市場原理主義」の暴走により、日本国憲法第25条が保障している生存権が根本から脅かされる状況が生まれた。

若者が将来に夢を持つどころか、生活の基盤さえ奪われる状況を放置する政府を私たちは求めていない。政策の基本路線の転換が求められている。「市場原理主義」=「新自由主義」から「セーフティーネット重視」=「社会民主主義」への転換が求められている。

麻生政権は多くの国民が生存権を脅かされている時代に、「法人税減税」、「相続税減税」、「証券課税軽減」、「高価格住宅取得減税」の方針を打ち出している。麻生政権は「市場原理主義」=「格差拡大奨励」の方針を変更する発想を有していない。

「一般国民」=「労働者」の生活を重視する方向に政策の基本方向を転換するべきである。労働市場の政策においては、どのような労働法制を敷くのかが決定的に重要である。すべての労働者の安定した雇用を保証する制度の構築が求められている。

正規雇用-非正規雇用の区分を撤廃することが求められる。米国の企業経営者の高額報酬が話題になるが、企業経営者の法外に高い報酬に合理的な根拠は存在しない。

雇用、教育、医療の保証が政府の最大の役割である。高齢者、障害者、母子世帯、生活困窮世帯に対する、生存権を確実に保障する制度を確立すべきだ。

100年に1度の経済危機を、日本社会を再生させる、日本の経済政策の基本路線を根本から転換する契機として活用すべきだ。抜本的な不況対策が求められているが、経済政策の基本路線を転換する大胆な政策を打ち出すことが求められている。

政策路線を根本的に転換するためには本格的な政権交代が不可欠である。本格的な政権交代を実現し、一般国民の幸福を追求する政府を樹立しなければならない。所得分配についての諸制度の改革、所得再分配に関する財政政策方針を根本から転換することが急務である。

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2008年12月11日 (木)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(5)

Electronic Journal」様が引き続きりそな問題について、詳細な記事を掲載してくださっている。私は十分に追跡できていなかったが、Electronic Journal主宰者の平野浩氏は2003年の時点から、りそな問題を追跡されてきたようである。貴重な記述を多数発表されてきておられるので、ぜひご高覧賜りたい。

2002年9月30日の内閣改造で竹中平蔵氏が金融相を兼務することになった背景に、米国のブッシュ政権の強い意向が働いていたことは確かな事実のようだ。筆者は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』に記述したが、詳細な経緯を佐々木実氏が『月刊現代』で記述された。

米国は日本の資産価格暴落を渇望(かつぼう)した可能性が高い。金融恐慌の可能性が高まり、日本の投資家が株式や不動産を投売りすれば、日本の資産価格は理論値をはるかに超えて下落する。暴落した価格で日本の投資家が投げ売りした資産を買い占めれば、資産価格が反発した時点で莫大な不労所得を獲得できる。

資産価格が暴落すれば、日本企業は相次いで破綻する。金融機関が不良債権に対する損失処理を終えてしまえば、金融機関は不良債権を破格の安値で売却する可能性が高い。破格の安値で売却した不良債権を買い取り、他方で、資産価格の反転上昇が生じれば、やはり莫大な不労所得を手にすることができる。不良債権ビジネスも米国資本の重要な標的だった。

小泉竹中経済政策は2001年から2005年にかけて、①まず日本経済の徹底的な悪化を誘導し、②金融恐慌への突入を辞さない政策スタンスを示すとともに、③金融行政に人為的な操作を行い、④株価、不動産価格の暴落を誘導し、⑤最終局面で公的資金による大銀行救済を実行して、資産価格の反転上昇を誘導した。

2002年から2003年にかけて、暴落した日本の資産を破格の安値で買い占めた中心は外国資本だった。これらのシナリオが意図されたものであったなら、まさしく犯罪的行為である。

2001年から2003年にかけて日本経済は戦後最悪の状況に誘導された。多くの罪無き国民が失業、倒産、経済苦自死に追い込まれた。2000年に日本経済は浮上したのだ。浮上した日本経済を安定的に保つことは困難ではなかった。

しかし、小泉竹中経済政策は日本経済を崩壊させる方向に意図的に経済政策の舵を切った。私は小泉政権の発足時点から、小泉政権が提示した経済政策を実行すれば、日本経済は間違いなく最悪の状況に向かうことを警告し続けた。

小泉政権が誕生した局面では、熱病のような空気が日本を支配し、小泉政権を批判する者はほとんど存在しなかった。私は圧倒的な少数派であったが、現実の経済は私が警告した通りに変化した。日経平均株価は小泉元首相が所信表明演説を行った2001年5月7日の14529円をピークに下落し続けて、2003年4月28日に7607円に暴落した。

小泉政権は「退出すべき企業を市場から退出させる」ことを政策の柱の一つに位置づけた。そのなかで、竹中金融相は2002年10月に、大銀行について、「大きすぎるからつぶせない」との考え方をとらないことを明言した。

同時に「金融再生プログラム」で、金融機関の資産査定を厳格化し、繰延税金資産の計上を1年分までとする、驚天動地(きょうてんどうち)のルール変更を強行しようとした。

米国のルールをそのまま日本に適用しようとしたのだが、米国では不良資産に対する引当金積立が無税扱いであるのに対し、日本は有税扱いだった。有税償却だからこそ繰延税金資産5年計上が容認されていたのであり、繰延税金資産計上を1年分とするなら、無税償却を認めなければ釣り合いが取れない。竹中金融PTは極めて初歩的な誤りを含む、行政の横暴だった。

金融機関首脳が猛烈に反発したのは当然であった。結局、竹中金融PTは繰延税金資産計上ルール変更を断念せざるを得なかった。面目を丸つぶれにされたリベンジがりそな処理の背景であったと考えられる。

りそな処理の経緯の詳細を追跡すると、そこには民間経済活動に中立、公正でなければならないはずの行政が、驚くべき逸脱を犯している姿が浮かび上がる。りそな銀行は人為的に自己資本不足に追い込まれた可能性が高い。そして、りそな銀行が「一時国有化」という「破たん処理」ではなく、「実質国有化」と呼ばれる「救済処理」を適用されたことは、あまりにも不自然である。

銀行の収益環境が急激に悪化していたのは、りそな銀行に限ったことではなかった。収益状況から判断してりそな銀行の繰延税金資産の5年計上が認められないというなら、同様に5年計上を認められなくなる大手銀行は複数存在した。りそな銀行だけが標的にされたことがまず不自然である。

朝日監査法人の岩村会計士(仮名)が、りそな銀行の繰延税金資産の複数年計上を強く主張したとされることは順当である。朝日監査法人は結局、木村剛氏が主張していた決算処理方法をそのまま採用したと判断することができる。木村氏は竹中金融PT、金融問題タスクフォースのメンバーであり、国際監査法人KPMG系列日本法人の代表だった。

そして、りそな銀行の監査を担当していた朝日監査法人と新日本監査法人の提携国際監査法人はKPMGだった。木村剛氏は2003年3月17日に朝日監査法人の亀岡義一副理事長と会食している。朝日監査法人がりそな銀行の速報ベースの2003年3月期決算計数を入手したのが4月16日で、この日以降、朝日監査法人幹部は木村剛氏の主張と完全に重なる主張を展開し、りそな銀行の繰延税金資産計上を否認する方向に大きく舵を切ったのである。

朝日監査法人でりそな銀行担当実質責任者であった岩村会計士は、朝日監査法人上層部の方針と大きく対立したと考えられる。そのなかで、4月24日、自宅の所在するマンションの12階から転落して死亡した。自殺と処理されているが、他殺の可能性を完全に排除することはできない。

竹中平蔵元金融相は、りそな銀行の決算処理、監査法人の対応について、2003年5月17日の記者会見で次のように述べている。
「決算ないしは監査に対して、特に監査人の判断に対して我々は一切口を挟む立場にはありません。独立した監査法人がプロフェッショナルとして独立した立場で判断する」

5月12日の金融問題タスクフォースで、竹中氏は「金融庁は監査法人の判断にはいっさい介入しない」と発言し、5月17日の説明の前提となる発言を示した。しかし、この言葉を言葉通りに受け取る者はいない。

三つの問題点を指摘する。

第一は、『月刊現代』で佐々木実氏が指摘している、金融問題タスクフォースメンバーの証言である。佐々木氏は金融問題タスクフォースのメンバーだった野村修也中央大学教授から、極めて重大な証言を得ている。

それは、タスクフォースでは、メンバーである野村氏と川本裕子氏が竹中氏と竹中氏の補佐官の岸博幸氏と綿密に裏で打ち合わせをしながら、正式な会合では、久しぶりに会ったかのように挨拶して裏会議の存在がばれないようにカムフラージュしていたとの内容だ。5月12日の会合も同様であったという。

第二は、5月12日の会合で、奥山章雄公認会計士協会会長が「本当にいいんですか」と金融庁側に何度か聞いていることだ。そして、新日本監査法人関係者は、繰延税金資産の関係で、銀行が実質的に破たんするような監査をするのに、金融庁の意向を聞かなくてよいのかどうかを奥山氏に相談したことを認めている。この点も、佐々木氏が『月刊現代』のなかで明らかにしている。

第三は、朝日監査法人の方針に甚大な影響を与えたと考えられる木村剛氏が、5月14日のインターネット上コラムで、りそな銀行を念頭に置いたと明確に読み取れる文章の中で、繰延税金資産の計上はゼロないし1年分しかあり得ないと強く主張しながら、3年計上の決定に対して、その後、一切の批判を示していないことだ。

木村氏は5月14日付記事タイトルを「破たんする監査法人はどこか」とした。りそなの監査法人が繰延税金資産計上について、ゼロないし1年以外の決定をするなら、その監査法人こそ、破たんに追い込まれるべきであるとの主張を展開した。

りそな銀行の自己資本不足の道筋を付けたのは木村氏であると見ることができる。その木村氏の主張が最後の段階で修正されることに、木村氏は強く抵抗したのだと考えられる。

ところが、決着は3年計上だった。1年と3年の間には天と地の相違があった。竹中氏は1年の決定を選択できなかった。1年計上はりそな銀行の破たんを意味した。りそな銀行の破たんは金融恐慌への突入を意味した。「大銀行破たんも辞さず」と公言しながら、竹中氏は「破たん」を選択できなかったのである。

『文藝春秋2009年1月号』に「麻生総理の器を問う」と題する記事が掲載された。このなかで、渡邉恒雄読売新聞会長が竹中氏の金融行政に関する、極めて重大な事実を明らかにした。竹中金融行政の深い闇が少しずつ明るみに引き出されつつある。

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2008年12月 9日 (火)

麻生政権みぞうゆの危機と偽装(CHANGE)新党

麻生政権がみぞうゆの危機に直面している。内閣支持率が軒並み危険水域の30%を下回った。「晴天とら日和」様各社世論調査を網羅してくださっている。国民は2009年年明けまでの解散総選挙実施を求めている。

「麻生太郎対小沢一郎、太郎対一郎の戦い」だとマスメディアは報じてきた。各社調査では首相にふさわしいのは麻生太郎氏ではなく小沢一郎氏であるとの世論調査結果を公表した。

「政権交代を求める有権者」が世論調査結果を中立公正の立場から伝える論評であるはずだ。ところが、主要メディアの報道は屈折している。

「カナダde日本語」の美爾依さんが偏向産経新聞客員編集委員の花岡信昭氏の偏向論説記事について的確な解説を示してくださっている。また、「私好みのimagination」様が偏向読売新聞の「自民ダメ、民主もダメ論」への強引な誘導記事を紹介してくださった。

1年間に2度も無責任に政権を放り出して、国民に宣言した解散総選挙を自己都合で先送りしても謝罪の一つ示さず、「100年に1度の暴風雨」が吹き荒れて年末の企業の資金繰りが厳しくなっていると説明し、「スピードと迅速さがポイント」の景気対策を発表したきり、来年まで補正予算案を国会に提出しない「サボタージュ首相」を国民が支持しないのは当然だ。

昨年7月の参議院選挙では安倍晋三首相が「安倍総理を選ぶのか小沢総理を選ぶのかを問う選挙」だと明言した。政権交代を求める世論が大きなうねりとなり始めた。民主党を中心とする野党に、政権交代に備えて政策研究の深化を求めるのがメディアの役割であるはずだ。

ところが、メディアは執拗に民主党攻撃、小沢氏攻撃を繰り返し、自民党の「偽装CHANGE集団」の広告宣伝活動に注力し始めた。

「憂き世の日々に埋もれて、たまには温泉へ」様「ラサ#lhasaのブログ」様「杉並からの情報発信です」様およびJANJANニュースに寄稿くださいました山崎康彦様、ありがたい記事の掲載をありがとうございました。心より感謝申し上げます。

また、「神州の泉」様ならびに「ギャラリー酔いどれ」様、過分なお言葉をありがとうございます。皆様の温かいお心に深く感謝申し上げます。不当な弾圧に見舞われておりますが、天に向かって恥じるところはなく、堂々と進んで参りたいと思っております。今後ともよろしくお願い申し上げます。

また、「~山のあなたの空遠く幸い住むと人の言う_」様には、いつもビジュアルな記事を掲載くださいまして、心よりお礼申し上げます。

テレビ朝日、テレビ東京、日本テレビを中心に、自民党内の「偽装CHANGE集団」に光を当てる活動が活発化し始めた。

本ブログでは、6月3日付記事「「敵を欺くにはまず味方を欺く」手法に警戒すべし」以降、「偽装CHANGE集団」の動向に警戒すべきことを訴えてきた。「国際評論家小野寺光一の政治経済の真実」主宰者の小野寺光一氏が、いち早くフジテレビドラマ「CHANGE」の政治的背景を鋭く指摘されてきた。

「敵を欺くにはまず味方を欺く。これ権謀術数の第一歩と心得よ」の言葉は、小泉元首相の元秘書であった飯島勲氏の著書『代議士秘書-永田町、笑っちゃうけどホントの話』(講談社文庫)に記述されている。小野寺光一氏はこの点も指摘された。

麻生内閣の支持率が暴落して、テレビメディアが一斉に画面に登場させているのが渡辺喜美元行革相である。渡辺氏は自民党からの離党も匂わせている。しかし、自民党はわずか2ヶ月半前にお祭り騒ぎの総裁選を実施したのだ。「自民党は開かれた政党で、総裁選を堂々と実施し、透明に総裁を選出する。福田政権の政権放り出しで国民に迷惑をかけたが、総裁を選出すれば一致団結して国民のために尽力する」と説明していたのではないか。

麻生首相が総選挙を先送りして、迅速に成立させるべき補正予算案の国会提出を来年まで先送りすることが、国民に対する背信行為であることを皆が知っている。しかし、そのような意思決定をする総裁を選出したのは、自民党自身なのだ。

渡辺氏は自分は麻生氏には投票しなかったと言うが、多数決で総裁を決定するルールが採用されているのだから、渡辺氏は自民党所属議員の一人として、麻生総裁を選出した責任を負っている。自民党の外部に対して麻生首相批判を示すなら、自民党を離脱するのが先だ。自民党にとどまりつつ批判をするなら、それは自民党の内部で行うのが正しい手順だろう。

マスメディアが渡辺氏を過剰露出するのは偏向であるが、その背景には既得権益を死守しようとする「政官業外電=悪徳のペンタゴン」の至上命題がある。

「小沢民主党に政権を渡してはならない」ことが至上命題である。麻生首相は総選挙を2009年秋まで先送りしたいとの意向を有していると考えられるが、状況はそれほど甘くない。麻生首相が第2次補正予算の臨時国会提出を拒否したため、2009年1月召集の通常国会は冒頭から与野党が全面対決モードに突入する。補正予算、2009年度本予算の成立が大幅に遅れる可能性が極めて高い。

麻生首相は民主党を批判するだろうが、2008年10月30日に決定した景気対策を具体化する補正予算案の提出を麻生首相は2009年まで先送りした。麻生首相は民主党を批判できる立場にない。

また、予算は衆議院の優越で成立するが、一般の法案は参議院が否決すると、衆議院で3分の2以上の多数で再可決しないと成立しない。自公から17名の造反者が出ると、法律は成立しない。衆議院自民党内で反麻生の行動を共にする議員が17名以上集まると、麻生政権の政策運営は完全に立ち行かなくなる。

この場合、麻生首相は自暴自棄解散、自爆テロ解散に打って出るだろう。造反議員に対して「バカヤロー」と怒鳴って解散を決するかもしれない。

また、政党助成金は年末までに政党としての届出を済ませると、翌年に交付を受けられる。渡辺氏を含む「偽装CHANGE」集団は年内に「偽装CHANGE新党」を結成する可能性が高い。マスメディアは「偽装新党」を政界再編の目玉として、全面的な広告支援活動を展開することになるだろう。

問題は「偽装新党」の政策路線だ。次期総選挙の対立軸は次の三つである。
①弱肉強食奨励VSセーフティーネット重視
②官僚利権死守VS官僚利権根絶
③対米隷属外交VS自主独立外交

12月8日付記事に記述したように、


①は「大資本の利益VS国民の利益」
②は「官僚の利益VS国民の利益」
③は「外国(資本)の利益VS国民の利益」
と置き換えることが出来る。

「政官業外電=悪徳ペンタゴン」の利権互助会は既得権益を死守することを至上命題にしている。「既得権益を死守する」ことと「小沢民主党に政権を渡すな」は同義なのだ。民主党を中心とする野党による本格的な政権交代が実現する場合、特権官僚の天下り利権は本当に根絶される可能性が高い。

霞ヶ関特権官僚を軸とする「政官業外電の悪徳ペンタゴン」がこれまで維持し続けてきた既得権益が、根本から破壊される可能性が生じている。12月1日のテレビ朝日番組「TVタックル」における江田憲司議員の指摘は正しいと思われる。

「偽装新党」は「悪徳ペンタゴン」が既得権益を死守するために放つ「最終兵器」と言ってもよいだろう。「偽装新党」の基本政策は
①弱肉強食奨励
②官僚利権死守
③対米隷属外交                 
であると考えられる。

「偽装新党」は
「大資本の利益」
「官僚の利益」
「外国(資本)の利益」
を追求する政党と考えられる。

「偽装新党」が「官僚の利益」を擁護することに疑問を感じる人が多いだろう。渡辺元行革相や「脱藩官僚の会」が官僚利権根絶を目指していると勘違いしている人が多いからだ。

ここで、「敵を欺くにはまず味方を欺く。これ権謀術数の第一歩と心得よ」の言葉を思い起こさなくてはならない。国民を欺くために、まず官僚を欺いているのだ。「偽装新党」は間違いなく官僚機構と通じていると思われる。

小泉元首相、中川秀直氏、渡辺喜美氏、竹中平蔵氏は、「改革」の言葉を念仏のように唱えながら、官僚利権を最後まで徹底擁護した。「偽装新党」の官僚利権根絶方針は「偽装」であるとしっかりと認識しておかなければならない。

民主党内部に「偽装新党」と基本政策を共有する議員勢力が存在する。「偽装新党」の結成に合わせて、これらの議員は民主党から「偽装新党」に移籍することが望ましい。他方、自民党議員で「セーフティネット重視」、「官僚利権根絶」、「自主独立外交」の基本政策を共有し得る議員および議員候補者は民主党に移籍することが望まれる。

政府の最大の役割は国民の幸福実現である。国民にとって最も重要な状況は、安定的な雇用情勢の確保である。「生き抜く力」様が指摘するように、「労働は命そのもの」なのである。

「偽装新党」は小泉政権の政策路線をそのまま継承する集団である。小泉政権(政)こそ国民生活の安定を切り捨てて、「大資本(業)」、「特権官僚(官)」、「外国資本(外)」の利益だけを徹底して追求し、多くの国民を生活不安の地獄に突き落とした元凶なのである。「偽装新党」がその政策路線をそのまま継承することを忘れてはならない。小泉政権の政策強行を全面支援したのが「マスメディア」=「電波(電)」だった。

「大資本」、「官僚」、「外国資本」、「電波」の利益だけを追求する「政治」を排して、「一般国民」の生活の安定、「一般国民」の幸福実現を追求する政治を実現しなければならない。そのためには、「偽装」を排して、「真正の改革」=「本格的な政権交代」を実現しなければならない。

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2008年12月 8日 (月)

支持率暴落の麻生政権と「偽装CHANGE集団」の蠢(うごめ)き

麻生政権の支持率を問う各社世論調査が出揃った。
共同 支持21% 不支持67%
読売 支持21% 不支持67%
朝日 支持22% 不支持64%
毎日 支持21% 不支持58%
産経 支持28% 不支持58%
日経 支持31% 不支持62%

政権維持の危険水域とされる支持率30%を軒並み下回った。不支持率は支持率の2倍から3倍に達している。

世論調査では、半数以上の国民が年明けまでの解散総選挙を望んでいる。また、麻生太郎氏と小沢一郎氏のどちらが首相にふさわしいかとの質問に対しては、小沢氏がふさわしいとの回答が、麻生氏がふさわしいとの回答を上回った。

100年に1度と言われる経済危機が日本経済を襲っているのに、日本の政治対応が停滞している背景に国会のねじれ現象がある。衆議院では与党が圧倒的多数を確保しているが、参議院では野党が過半数を制している。与野党の意見が対立すると、法案を成立させることが困難になっている。

直近の有権者の審判結果は参議院の議席構成に示されている。参議院では野党が多数を占めている。与党は衆議院で多数を確保しているが、直近の民意は与党を支持していない。したがって、政策運営にあたっては、野党の意向を尊重し、謙虚な姿勢で行動することが求められる。

2007年の参議院選挙で、安倍晋三元首相は参議院選挙を首相選択の選挙と位置付けた。自民党は惨敗し、民主党が参議院第一党の地位を確保した。安倍首相の退陣は避けられなかった。安倍元首相は進退の判断を誤り、臨時国会で所信表明演説を行ない、代表質問を受ける直前に政権を放り出した。

後継首相に就任した福田康夫首相は、野党の意向を尊重して政権を運営する責務を負っていたが、日銀幹部人事では、財務省からの天下り人事をゴリ押ししようとして行き詰まった。給油法案、ガソリン税暫定税率復活などで、参議院の意向を無視して、衆議院の数の力で法律成立を強行した。しかし、結局、政権を引き継いで1年もたたぬうちに、またしても、無責任に政権を放り出してしまった。

自民党は1年の間に2度も政権を無責任に放り出した。国民不在の無責任政治の極みと言わざるを得ない。重要問題が山積するなかで無責任に政権を放り出してしまったのだから、自民党は直ちに後継総裁を選出し、政治空白を作ることを回避しなければならなかったが、3週間にわたるお祭り騒ぎの自民党総裁選を実施した。

複数候補による代表戦を実施しなかった民主党を攻撃し、「開かれた自民党は総裁選で正々堂々と論戦を繰り広げて、政権担当能力を明らかにする」との大義名分を掲げて総裁選を実施した。その自民党が総裁選から2ヵ月しか経(た)たぬのに、内乱状態を示している。自民党議員に麻生首相を批判する資格はない。

自民党は、総裁選を実施して内閣支持率を浮上させ、その勢いで解散総選挙を実施することを計画した。政権を放り出したことに対する責任を痛感して、国民のために全身全霊を注ぐとの、政治に求められる基本姿勢は微塵(みじん)も存在しなかった。これまで維持してきた政治権力を、何が何でも離さないとの「党利党略」だけが行動の基本原理だった。

麻生首相は10月10日発売の月刊誌に解散総選挙を宣言する手記を発表した。臨時国会冒頭の解散総選挙のシナリオが確実に進められていた。

ところが、自民党が実施した選挙予測調査で自民党惨敗予想が示されたために、総選挙実施が先送りされた。その矛盾を覆い隠す隠れ蓑(みの)に、世界的な金融危機が利用された。麻生首相は「100年に1度の暴風雨が荒れている」と述べて、いまは「政局より政策」と訴え、総選挙を先送りして追加景気対策を発表した。

「政局より政策」と訴えた以上、全力をあげて景気対策の実施に突き進むことが求められるのに、麻生首相は補正予算案の国会提出を来年に先送りする姿勢を示した。民主党の小沢代表は麻生首相に党首会談開催を要請して補正予算案の国会提出を要請した。

11月28日に初めて実施された党首討論で小沢代表はこの問題を追及した。麻生首相は年内の景気対策は第1次補正予算で十分であることを力説した。小沢氏は、それでは年内に総選挙を実施するのが筋ではないかと述べた。麻生首相は明確な説明を示せなかった。

衆参の支配勢力が異なっているため、政権が野党に歩み寄らない限り、政策運営は必ず行き詰まる。この問題を解消するには、解散総選挙を実施して、国民の負託を受けた本格政権を樹立するしかない。

総選挙の結果、現在の与党が衆議院で再び多数を確保するなら、野党は与党の政策運営に協力すべきである。参議院で多数を確保していても、直近の有権者の審判が衆議院の議席構成に反映されるのだから、その意向を尊重すべきだ。

総選挙の結果、現在の野党が衆議院でも多数を確保すれば、政治のねじれ現象は解消する。政権交代が実現し、新たな政権が大胆に政策を実行してゆけばよい。

日本経済は未曾有(みぞう)の経済危機に直面している。年末を控えて、多数の国民が雇用不安、生活不安に脅えている。失業した場合のセーフティーネットが最も脆弱(ぜいじゃく)な非正規雇用労働者が、いま最も深刻な事態に直面している。政治が全力をあげて危機に対応するべき局面だ。

国民の視点に立てば、「総選挙をしないなら補正予算を提出しろ、補正予算を提出しないなら総選挙を実施しろ」となる。麻生首相は「選挙を先送りしたのに、補正予算も先送り」した。「国民より自分」、「政策より政局」、「公より私」の基本路線を明確に示した。世論調査結果は国民の正しい認識を示した。

国民の利益に反する、党利党略優先の政治行動がまかり通っている大きな原因は、マスメディアがこのような歪んだ政治行動を厳しく糾弾しないことにある。

二つの事例を示しておく。

テレビ東京は土曜日昼に「ニュース新書」と題する番組を放映している。MCは日経新聞政治部に所属していた田勢康弘氏だ。日経新聞は社長が鶴田卓彦氏から杉田亮毅氏に交代して以降、小泉元首相支援の色彩を鮮明に示して現在に至っている。

経緯は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』をご高覧賜りたいが、現在もその延長上で、小泉元首相-中川秀直元自民党幹事長-小池百合子氏-渡辺喜美氏-竹中平蔵氏などに連なる、いわゆる「偽装CHANGE集団」支持のスタンスを維持している。

「ニュース新書」でも日経新聞の基本路線に沿った放送内容が示されている。MCの田勢氏は、衆議院の解散総選挙の時期について、福田政権の時代から任期満了の可能性を一貫して主張してきた。現在でも、任期満了の選挙の可能性が高いことを述べている。

問題はその理由だ。田勢氏は自民党にとって最も有利な時期を考察する結果として解散時期の予測を述べている。確かに純粋に予測の精度を競うのなら、この手法で構わないのだろう。しかし、全国紙の政治担当ジャーナリストとしての役割を考えたとき、政治専門家とされる田勢氏のような立場の人間は、自分の言葉の持つ意味をもっと重く考えるべきである。

政治家が国民の幸福を第一と考えず、自らの利権、利益、党利党略ばかりを考えるようになったことが、日本の政治の貧困を象徴している。政治は国民のために存在するのであって、政治家のために存在するのではない。

衆議院の解散総選挙という、最も重要な政治決定は国民の幸福実現という一点のみに立脚して決定されるべきものであって、政治家の打算、利害得失によって決定されることは邪道である。田勢氏のような立場の論者が、利害得失、党利党略による解散時期決定の思考プロセスを肯定することは許されない。世辞評論家がいささかの批判的論評も加えずに、党利党略の行動を是認して評論することが、政治家の党利党略行動を助長している。

政治のあるべき姿、政治家としてのあるべき行動を論じない政治評論は、単なる「予想屋」の論評に過ぎない。政治を論じる識者は日本の政治を糺(ただ)す視点からの論評を示す責任を負っている。

第二の事例は、テレビ朝日番組「サンデープロジェクト」MCの田原総一郎氏の行動だ。これまでも記述してきたように、田原氏の偏向ぶりには目に余るものがある。テレビ朝日の会長が日経新聞会長の杉田氏と同様に、小泉元首相と極めて近いことも大きな要因であると考えられる。

「サンデープロジェクト」では、「偽装CHANGE集団」を著しく優遇して取り扱っている。この傾向は同テレビ「TVタックル」にも共通している。

次期総選挙で民主党を軸とする野党勢力が勝利して、本格的な政権交代が実現する場合、日本の「官僚主権構造」は崩壊する可能性が高い。これまでの「官僚主権構造」によって利権を維持し続けてきた「政官業外電=悪徳ペンタゴン」は、政権交代実現阻止に向けて総力を結集している。

この「悪徳ペンタゴン」の最終秘密兵器が「偽装CHANGE集団」である。私は次期総選挙の争点が
①弱肉強食奨励VSセーフティーネット重視
②官僚利権死守VS官僚利権根絶
③対米隷属外交VS自主独立外交
であると述べている。

三つの対立軸の
①は「大資本の利益VS国民の利益」
②は「官僚の利益VS国民の利益」
③は「外国(資本)の利益VS国民の利益」
と置き換えることが出来る。

「偽装CHANGE集団」は「大資本の利益」、「官僚の利益」、「外国(資本)の利益」の代弁者である。「官僚利権根絶」を掲げるが、だまされてはならない。「小泉一家」は5年半も政権を維持しながら、官僚利権を廃絶しようとはまったくしなかった。「小泉一家」直系の「偽装CHANGE集団」は、「官僚利権根絶」の面をかぶった「官僚利権擁護者」であると考えるべきだ。

「真正の改革」=「真の政権交代」を阻止するために「偽装CHANGE集団」を創出して、改革を求める国民の清き1票をかすめ取ろうとしている。その目的は「真正の改革」=「官僚主権構造の破壊」を回避することである。その詳細については回を改めて論じたい。

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2008年12月 7日 (日)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(4)

佐々木実氏は『月刊現代』に寄稿した記事に、政界関係者の「スケープゴートをつくること、監査法人の手でやらせることの二つがポイントだった」との発言を紹介したが、この言葉が問題の本質を端的に示している。

小泉政権の下で竹中経財相が主導した経済政策は、日本経済を破壊し尽くした。2002年9月30日に金融相を兼務した竹中氏は「大銀行の破綻も辞さない」とのメッセージを発した。株価が暴落したのは当然だった。

2000年4月に2万円を突破していた株価は、2003年4月28日に7607円に暴落した。史上空前の株価大暴落が生じた。日本の金融機関は株式を大量に保有しており、株式評価額の変化が金融機関の自己資本比率変動に直結する。株価暴落は金融機関の自己資本比率急落の主因であった。

2000年度に2%台の実質経済成長を実現し、日本経済は金融危機を克服して景気回復軌道に回帰したが、その回復初期の日本経済を小泉竹中政権の経済政策が木っ端微塵(こっぱみじん)に破壊した。偏向メディアは日本経済を破壊し、悲惨な格差社会を生み出した元凶である竹中氏を頻繁(ひんぱん)にテレビメディアに登場させているが、政権交代実現後に、すべての真相が必ず白日の下に晒(さら)されることになるだろう。

2001年から2003年までの経緯を冷静に観察すると、小泉政権は無理やりに大銀行を自己資本不足に誘導したと見られる。自己資本不足について、金融機関の責任が追及されるが、政府が経済を破壊し、株価暴落を誘導するなら、どれだけ優れた経営を実現しても銀行の財務内容の急激な悪化を回避することは出来ない。

経済を破壊し、株価を暴落させつつ、金融機関の自己資本比率算出方法を突然変更するとの政策は、まさに「悪魔の政策」だった。DCF方式による資産査定は、デフレ進行に連動して不良資産認定が拡大するメカニズムを内包している。また、繰延税金資産計上の圧縮が、銀行の自己資本比率を劇的に低下させることは明白である。

小泉竹中経済政策が実行した経済政策は、日本国民の利益を重視しては決して生まれない政策だった。その背後には、日本の株価暴落とそれに伴う巨大な利益機会獲得を狙う米国資本の強い意図が存在していたのだと推察される。

スケープゴートに選ばれたのは「りそな銀行」だった。りそな銀行の繰延税金資産計上が否認された最大の理由は、りそな銀行の将来の収益見通しの不確実性だった。しかし、りそな銀行の収益見通しが不確実だとするなら、同様に将来の利益計上の不確実性が疑問視される銀行は幾つも存在した。

しかし、繰延税金資産5年計上が否認されたのはりそな銀行だけだった。ここに明らかな恣意を読み取らないわけにはいかない。りそな銀行は狙い撃ちされたのである。りそな銀行の監査は最終的に新日本監査法人が担当したが、新日本監査法人は当初、りそな銀行の繰延税金資産の5年計上を容認する姿勢だったと見られる。

ところが、朝日監査法人がりそな銀行の繰延税金資産計上を否認し、監査受嘱を辞退する決定を示したために、結局、繰延税金資産の5年計上方針を変更した。この過程で重要視されるのが、2003年3月17日に木村剛氏が朝日監査法人の亀岡義一副理事長と会食していることである。

木村氏は2003年2月の日本経済新聞ウェブサイト連載記事で大手行に対する特別検査について言及し、外部監査法人の責任を強調するとともに、「翌年度を超える将来時点の利益計上が難しい場合」には、繰延税金資産計上はゼロないし1年にしかできないことを主張していた。木村氏はこの主張を5月14日付記事においても強調している。

佐々木実氏は、4月16日に朝日監査法人が速報ベースのりそな銀行決算見通しを受け取って以降の朝日監査法人の最高幹部が示した見解が、木村氏の主張と瓜二つであることを指摘している。朝日監査法人は木村剛氏の主張と同一の見解を監査法人として提示し、りそなの監査から辞退したのである。

朝日監査法人は2002年3月にKPMGと提携契約を締結している。また、新日本監査法人の海外提携監査法人もKPMGであった。新日本監査法人は朝日監査法人がりそなの監査を辞退して以降、単独でりそなの監査を担当したが、最終的に繰延税金資産計上を3年とする決定を下した。木村氏はKPMG関連の日本法人の代表を務めていた。

5月12日の金融問題タスクフォースは、「金融庁は監査法人の判断にいっさい介入しない」ことを確認して閉会しているが、この会議は「アリバイ作り」の会合であった疑いが濃厚である。繰延税金資産3年計上は、あまりにも不自然な最終決定であるからだ。

りそな銀行は「救済」された。その結果として、りそな処理を転換点に株価は急騰に転じた。日経平均株価は8月18日には1万円を回復した。

①経済悪化誘導政策による経済崩壊の誘導、②退場すべき企業を市場から退出させる政策推進による株価暴落誘導、③突然のルール変更による金融機関の自己資本比率の意図的な引き下げ、④その延長上での銀行の自己資本不足実現、⑤責任処理を伴わない銀行救済の実行、が一連の経過である。このすべてが合理性を伴っていない。

より正確に表現するなら、政府が日本国民の利益を追求する存在である限り、これらの政策のすべてが、見事に合理性を欠いている。ところが、視点を変えて、米国政府、米国資本が求めてきたこと、そしてこれらの経緯を通じて米国資本が実行したことを踏まえて全体を検証すると、政策のすべてが明確に合理性を備えてくる。

細かな点であるが、竹中金融相は金融機関の不良債権処理を加速させることを念頭に置いて、資産査定の厳格化、繰延税金資産計上根拠の合理性重視の方針を打ち出したとされる。米国では繰延税金資産計上が1年までしか認められていないことを踏まえて、同様のルールを日本の金融機関にも適用しようとした。

しかし、引当金の積み立て、すなわち不良資産の償却に関して、日米で重大な制度の相違が存在した。米国では引当金の積み立てが無税で処理されるのに対し、日本では有税扱いだった。繰延税金資産が計上できることから日本の銀行は有税償却を積極化させていたが、繰延税金資産計上が認められないなら、有税償却のインセンティブは著しく低下する。

繰延税金資産計上の圧縮を提示するなら、同時に引当金積み立ての無税処理を認めなければ、金融機関の不良債権処理は促進されない。竹中氏が提示した「金融再生プログラム」には、このような根幹に関わる初歩的な誤りさえ含まれていた。

大きな謎はりそなの繰延税金資産計上がなぜ、木村氏が強硬に主張したゼロないし1年でなく、3年とされたのかである。竹中金融行政の深い闇は、その後の金融庁による執拗なUFJ銀行追及へと進む。深い闇を丹念に、ひとつずつ解き明かさねばならない。

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(追記)12月4日付記事の追記に記述したように「スケープゴート」に関する言葉の発言者を訂正しております。

2008年12月 5日 (金)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(3)

2002年9月30日の内閣改造で金融相を兼務することになった竹中平蔵氏は10月3日に、「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム(PT)」を発足させた。メンバーには日本経済研究センターの香西泰氏、木村剛氏、京大教授(財務省)の吉田和男氏、日本公認会計士協会会長の奥山章雄氏、元日銀審議委員の中原伸之氏の5名が就任した。

PTが提示しようとした最大の施策は、①銀行の貸出債権の査定を厳格化することと、②銀行が自己資本に組み入れる「繰延税金資産」を圧縮することだった。

専門的な内容であるので詳細には立ち入らないが概念だけを簡単に説明する。この点については、Electronic Journal」様「金融再生プログラムの矛盾」で解説してくださっているので、ぜひご参照賜りたい。

PTは「貸出債権の査定厳格化」において、DCF方式を提示した。DCFはディスカウント・キャッシュ・フロー方式と呼ばれるもので、貸出先の将来収支を予測して貸出債権の回収程度を測る方法である。

株価が下落しデフレが進行する局面でDCF方式を導入すれば、銀行の貸出債権の評価は著しく悪化する。PTが金融機関の財務評価を大幅に悪化させることを狙いとしていたことは間違いない。

一方、「繰延税金資産」について、驚くべき提案を示した。銀行は融資している企業への貸し出し債権が焦げ付く恐れが生じたときに「引当金」を積み立てる。この引当金は課税対象となる。銀行が税金を支払って引当金を積み立てることを「有税償却」という。企業が倒産すると引当金は損金となり、税金が繰り戻される。支払うべき税額から相当額が差し引かれる。

「繰延税金資産」は、将来繰り戻される可能性のある税額分で、この金額が自己資本比率を計算する際の自己資本に組み入れられてきた。この制度に対して木村剛氏が「繰延税金資産計上の圧縮」を主張していた。PTは木村氏の主張を取り入れる形で「繰延税金資産計上ルール」変更を打ち出そうとした。

PTは2003年3月期から新しいルールを適用することを提案しようとしたが、制度変更により4つのメガバンクの自己資本比率がすべて8%を下回ってしまう可能性が高まった。

銀行界が猛烈に反発したのは当然だ。銀行協会会長の寺西正司氏は「今までサッカーのルールでやっていたものを、急にラグビーに変えるといわれてもできない」と猛反発した。試合が行われている間にルールが変更されたのでは、企業経営は立ち行かない。

PTは10月22日に中間報告を発表しようとしたが、銀行業界と自民党の強い抵抗を受けて、中間発表を見送り、10月30日に報告書が発表された。報告書では「繰延税金資産の計上ルール変更」が決定できなかった。PTが強行しようとしたルール変更は挫折した。

このリベンジを果たしたのが、2003年5月17日のりそな銀行実質国有化だった。前回記事に記述したように、『月刊現代』の論文で、佐々木実氏は事情に詳しい政界関係者からのインタビューで「スケープゴートをつくることと監査法人の手でやらせることの二つがポイントだったと思う」の発言を引き出している。

私は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第一章「偽装」第15節「標的にされたりそな銀」に、次のように記述した。
「竹中氏は振り上げた拳(こぶし)の下ろし処をなくした。リベンジのためのいけにえにされたのが「りそな銀行」だったのだと思う。」(72ページ)

佐々木実氏が紹介した政界関係者の発言は、私が記述した内容と軌を一にしている。「りそな銀行」が標的に選ばれた理由は、りそな銀行の勝田泰久頭取が小泉政権の経済政策を厳しく批判していたからだと私は推測している。りそな銀行と同等の財務内容の銀行は複数存在していた。りそな銀行の繰り延べ税金資産計上だけが例外的に取り扱われる合理的な状況は存在しない。この点については、現在も補強事実を収集中であるが、私の推測は正しいと考えている。

りそな銀行の自己資本不足は、かなり強引に、無理に誘導されたと考えられる。

木村剛氏は『竹中プランのすべて』で、「すでに竹中大臣は昨年(2002年)11月12日、日本公認会計士協会に対して、正式に繰延税金試算に対する厳正な監査を要望しています。もしも、外部監査法人が甘い監査をしたならば、万が一の場合のリスクは銀行経営者ではなく、外部監査人に向かうかもしれません」と記述した。佐々木実氏は論文の中でこの記述を紹介している。

2003年3月決算に向けて、日本公認会計士協会は繰延税金資産計上の厳格化を誘導する姿勢を強めた。2003年2月25日に「主要行の監査に対する監査の厳正な対応について」と題する「会長通牒(つうちょう)」を出した。

監査法人は銀行から監査を委嘱(いしょく)されて監査を実施する。第三者として銀行の決算の正当性を評価するわけだが、銀行から監査を委嘱される以上、監査法人にとって銀行はクライアント(顧客)である。

監査法人はクライアントである銀行に対して、決算の監査を実施するだけでなく、銀行が正しい財務処理、決算処理を実行するために助言する存在でもある。PTが「金融再生プログラム」を発表し、資産査定の厳格化、繰延税金資産計上についての監査の厳正化が強調される環境下で、銀行経営者は決算期末に向けて、最大の緊張感をもって対応する。

監査法人の担当会計士とも密接に情報を交換して決算期末に対応したはずである。朝日監査法人でりそな銀行を担当したのが、岩村隆志氏であった。りそな銀行は監査法人の見解を十分に聞いたうえで3月末を迎えたと考えられる。

佐々木実氏の論文によると、岩村氏は1998年から2000年にかけて、朝日監査法人から金融監督庁ならびに金融庁に送り込まれた同監査法人のエースであった。金融行政のあり方が大きく変化するなかで、岩村氏は銀行監査にかけて会計士業界の若手第一人者とみなされるようになったとも記されている。

変化が生じたのは4月16日である。4月16日にりそな銀行から速報ベースの決算資料が朝日監査法人に送られた。朝日監査法人の代表社員である森公高氏が「繰延税金資産全額取り崩し」を示唆する発言を示したと佐々木氏は記述する。

森氏はりそな銀行監査の最高責任者だが、実質的な担当者は岩村氏であったという。そして当の岩村氏はりそな銀行の繰延税金資産計上を最後まで強く主張したとのことだ。2003年3月上旬から4月にかけて実施された金融庁によるりそな銀行に対する特別検査に際して、金融庁と意見交換した朝日監査法人の担当者は森氏と岩村氏で、このときも主担当は岩村氏であったとされる。

朝日監査法人は4月30日にりそな銀行の監査受嘱の辞退をりそな銀行に通告した。新日本監査法人は当初、りそな銀行の繰延税金資産計上を5年分容認する姿勢だった。ところが、朝日監査法人がりそな銀行の繰延税金資産計上を全額否認したために、当初の方針の変更を迫られることになった。岩村氏の死が本当に自殺だったのか。巨大な問題の渦中にあった会計士の遺書もない死を、簡単に自殺として理解することは適正でない。

りそな銀行の勝田泰久頭取が、繰延税金資産計上が5年認められないとの方針を初めて聞かされたのが5月6日である。まさに「寝耳に水」であったはずだ。その後の金融庁とのやり取り、5月12日の金融問題タスクフォース、木村剛氏が5月14日付ネット記事に記述したコラム、などを経て5月17日にりそな銀行の実質国有化措置が表面化した。

  

「神州の泉」の高橋博彦氏がこの問題について、共通の問題意識に基づく貴重な記事を掲載してくださった。非常に重大な意味を持つこの問題について、徹底的な真相究明が求められている。高橋氏のご尽力に心より感謝申し上げたい。 

本シリーズ次回記事では全体のからくりを分かりやすく説明したい。

  

(追記)12月4日付記事の追記に記述したように「スケープゴート」に関する言葉の発言者を訂正しております。

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2008年12月 4日 (木)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(2)

12月3日付記事「りそなの会計士はなぜ死亡したか(1)」を掲載してから知ったが、Electronic Journal主宰者の平野浩氏が、11月25日以降、りそな問題に関連する記事を連日掲載されている。
11/25
「なぜ柳沢大臣は解任されたか」
11/26
「米国が不良債権処理を迫った理由」
11/27
「なぜ竹中大臣にことは託されたのか」
11/28
「意図的に積み上げられた不良債権」
12/ 1
「金融再生プログラムの矛盾」
12/ 2
「竹中大臣が目をつけた監査法人」
12/ 3
「なぜ、りそなショックというのか」
12/ 4
「りそな救済で儲けたのは誰か」

りそな問題の核心に迫る追跡に少なからぬ人々が強い関心を持ち始めた。ライブドアや村上ファンドが摘発されたが、「りそな問題」は比較にならない重大な意味を有している。国家権力そのものの行動が問題とされるからだ。日本政府が日本国民の利益のためではなく、特定の利害関係者、あるいは外国勢力への利益供与を目的に行動したのなら、国民に対する重大な背信行為になる。

kobaちゃんの徒然なるままに」様「本音言いまっせー!」様、早速のありがたいメッセージをありがとうございます。「こづかい帳」様、いつも心に響くメッセージをありがとうございます。『あの金で何を買えたか』についても、感銘を受け、記述したいことがありました。いずれかの機会に記述させていただきますが、貴重なお言葉をいただきましたことに感謝しております。

 

なお、拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第4刷が完売となり、増刷に入っております。増刷が出来次第、ご提供が可能になります。大変ご迷惑をおかけいたしますが、なにとぞご了解賜りますようお願い申し上げます。

米国は日本の不良債権処理を加速させることを執拗に求めていた。佐々木実氏が『月刊現代』2008年12月号に寄稿した論文で紹介した2001年9月25日の「不良債権処理による日本経済再生のシナリオ」と題するシンポジウム。主催者は経済産業研究所とAEIだった。経済産業研究所は経済産業省の研究所、AEIはブッシュ政権と関係の深い米国のシンクタンクだ。

シンポジウム参加予定者には、竹中平蔵経財相、グレン・ハバードCEA(大統領経済諮問委員会)委員長、RTC(整理信託公社)議長を務めたウィリアム・シードマン氏、ロバート・ダガー氏、リチャード・ギドリン氏などが名前を連ねた。

私はシンクタンク勤務時代、年に数度のペースでNY、ワシントンを訪問し、情報収集を行っていた。ワシントンではほぼ毎回、ロバート・ダガー氏とも会っていた。ダガー氏はヘッジファンドの経営者であると同時に研究者でもあり、不良債権問題に関する強い発言権を有していた。

私はダガー氏に公的資金投入は必要になるかもしれないが、金融機関の責任追及と公的資金による金融システムの安定確保の両立を図る必要性を常に唱えたが、米国の関係者は責任処理に無関心だった。日本の金融システムが崩壊しないことを優先しているように見えた。

米国の関係者にとっては、日本の金融システムが崩壊しないことと、日本における不良債権処理ビジネスに強い関心があったのだと考えられる。国内問題では、金融システムの安定確保と責任ある当事者の責任追及の二つが問題処理にあたっての車の両輪である。1990年前後のS&L処理に際しても、関係者の責任は厳しく追及された。

しかし、これは米国の国内問題での基準であって、日本の問題を考察する際には、「正義の基準」は消滅する。米国資本にとっての利益が優先され、日本の問題処理に際しての「正当性」の視点が消滅するのだ。日本が崩壊することを回避しなければならないが、この点が確保されれば、あとは利益動機だけが軸になる。米国の典型的な「ダブル・スタンダード」を示していると言って良いだろう。国内に適用する基準と植民地に適用する基準は異なるのだ。

米国にとっては、①日本の資産価格が暴落し、日本の投資家が優良資産を破格の安値で投売りする状況が生まれること、②しかし、最終的に日本の金融市場が崩壊せずに、安定を回復すること、の2点が満たされることがベストだった。日本の優良資産を安値で買い占めることが可能になる。同時に、日本で不良債権処理ビジネスを一気に拡大することができるからだ。

実際、2001年から2005年にかけての日本経済は、米国資本が描く理想の軌跡をたどった。日本経済は2000年にいったん浮上しかけた。1998年から2000年にかけて政権を担った小渕政権が金融危機を克服し、経済を2%成長の軌道に誘導することに成功した。

この経済回復を中立の経済政策で維持したなら、日本経済が2003年に地獄に直面することはなかった。緩やかな経済改善の流れのなかで、不良債権問題は順調に改善していったはずである。

ところが、2001年に発足した小泉政権は史上空前の超緊縮政策によって日本経済の崩壊を誘導した。その結果、株価は順当に暴落した。さらに追い打ちをかけたのは、2002年9月30日に金融相を兼務した竹中氏の発言だった。

竹中氏はニューズウィーク誌のインタビューに対し、統廃合の結果残った4つのメガバンクについて、「大きすぎてつぶせないとは思わない」と述べた。竹中氏は弁明に努めたが、「大銀行破たんも辞さず」の政府方針がその後の株価暴落を加速させたことは間違いない。

『月刊現代』2008年12月号の論文のなかで、佐々木実氏は大手銀行の企画部門と大手銀行を監査する監査法人の公認会計士の双方に関係をもっていた政界関係者の言葉を紹介する。
「竹中さんたちは、自分たちの手を汚さず不良債権処理の功績を挙げようという戦略で動いたはずです。おそらく2つのポイントがあって、ひとつはスケープゴートをつくる、二つ目は監査法人の手でやらせるということだったとおもう」

スケープゴートになったのが「りそな銀行」だった。りそなホールディングスの勝田泰久社長は、「りそな銀行実質国有化」が報道された2003年5月17日の記者会見で次の発言を示した。
「ゴールデンウィーク明けの5月7日になって、新日本監査法人の態度が一変した。背信だ。」

この点については、「Electronic Journal」の12月3日付記事に記載がある。りそな銀行は2003年3月に1200億円の増資をしている。この段階で、自己資本不足の可能性があれば、より巨額の増資を実施したはずである。3月末の決算に伴う措置であるから、監査法人と協議しないことも考えられない。

「りそな銀行」の自己資本不足は、表向きは監査法人が金融監督当局とは独立に判断した結果とされている。2003年5月12日の金融問題タスクフォースで、竹中金融相が最後に「金融庁は監査法人の判断にはいっさい介入しない」と述べた。

しかし、2002年10月から2003年5月までの、銀行の自己資本比率算出にかかる竹中金融相を軸とする政策当局と、銀行、監査法人、公認会計士協会との間のさまざまな折衝を検証すると、りそな銀行の自己資本比率を4%割れと決定した新日本監査法人の最終判断が、新日本監査法人の独立の決定であると見なす者はいない。

極めて恣意的であり、政治権力によって歪められた措置であったと言わざるをえない。朝日監査法人の岩村会計士(仮名)は、朝日監査法人でりそな銀行の会計監査の主導権を握っていたと見られる。そして、岩村氏はりそな銀行の繰り延べ税金資産計上を認めるべきとの見解を有していたと見られるのだ。

岩村氏が強硬にりそな銀行の決算を承認したなら、りそな銀行は健全銀行として2003年3月期決算をクリアしていた。そのキーパーソンの岩村氏が4月24日に突然死亡した。自殺と処理されたが遺書も発見されていない。

りそな銀行を念頭に置いて、繰り延べ税金資産計上はゼロないし1年分と強く主張していたのは木村剛氏である。この木村剛氏が2003年3月17日に朝日監査法人の亀岡副理事長と会食をしている。

佐々木実氏は4月16日に速報ベースのりそな銀行決算資料を受け取った朝日監査法人の森公高代表社員が、新日本監査法人に対して「繰り延べ税金資産は全額取り崩しではないか」との判断を直ちに新日本監査法人に伝えたと記述している。佐々木氏は森氏が岩村氏の考え方を確認していないことが極めて不自然であると指摘している。

朝日監査法人に「大きな力」が加えられた可能性が高い。竹中金融相-公認会計士協会-木村剛氏-KPMG-朝日監査法人-奥山章雄氏-新日本監査法人は、りそな銀行処理に関して、密接なつながりを保持していたように窺(うかが)われる。

 少なからぬ人々の尽力により、少しずつ輪郭(りんかく)が見えてきている。真実を知る当事者が、少しずつ真実を語り始めている。最大のキーパーソンは岩村氏であるが、誠に残念なことに命を落とされている。心からご冥福をお祈りする。

(追記)本文中の佐々木実氏が紹介した「スケープゴートをつくる・・」の言葉の発言者について、当初、相沢英之氏としていたのは、佐々木氏の論文からの引用する際の読み誤りでしたので、上記の通り訂正させていただきました。記してお詫び申し上げます。

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2008年12月 3日 (水)

りそなの会計士はなぜ死亡したか(1)

気軽にではなく重たい気持ちで書く記事である。
講談社刊行の『月刊現代』が2009年1月号をもって廃刊になる。最終号を飾る2回連載記事に佐々木実氏による「小泉改革とは何だったのか」が掲載された。副題は「-竹中平蔵の罪と罰-」である。前編は「アメリカの友人」後編は「「勝者」と「敗者」」である。

拙著『知られざる真実-勾留地にて-』(2007年、イプシロン出版企画)、山口敦雄氏著『りそなの会計士はなぜ死んだのか』(2003年、毎日新聞社)と合わせて、三部作として上記記事をぜひご高覧賜りたい。

『月刊現代』所収の連載記事は、加筆、修正のうえ、来春、講談社から刊行されるとのことだ。無事に刊行されることを願う。

私が小泉政権発足時から小泉政権の政策を全面的に批判したのは、以下の五つの理由による。拙著第一章「偽装」第9節「小泉政権五つの大罪」に記述した。

①「財政再建原理主義」
②「官僚利権死守」
③「弱肉強食奨励」
④「対米隷属外交」
⑤「権力の濫用」
の5点を小泉政権の罪として提示した。

 2001年から2003年にかけて、小泉政権は回復の兆しを示していた日本経済に対して超緊縮財政政策を実行して、日本経済を未曾有(みぞう)の大不況に誘導した。財政赤字を削減することが目的だとされた。私は経済の回復を重視しなければ、事態は確実に悪化すると主張した。

 実際、日本経済は大不況に突入して戦後最悪の倒産、失業、経済苦自殺を発生させた。財政赤字は減少するどころか激増した。11月30日のテレビ朝日番組「サンデープロジェクト」に出演した竹中平蔵氏は、「経済危機に際しては財政政策を発動することが当然」との趣旨の発言を示したが、2001年から2003年にかけて財政政策を全面的に否定していた主張から、完全に変節している。

 2003年にかけての日本経済の混乱は「人災」だった。適切な経済政策運営が実行されていれば、多くの国民が大不況地獄に追い込まれることはなかった。後述するように、外国資本に巨大な利益を供与するために、日本経済の破壊が誘導された可能性が高い。

 ②「官僚利権死守」は小泉政権が推進した「改革」が「官僚利権根絶」とは無関係であったことを意味する。郵政民営化、道路公団民営化、住宅金融公庫民営化は、官僚利権を根絶するものでない。「外国資本」、「大資本」、「金融資本」に利益を供与する政策にすぎなかった。真の「改革」は「天下りの根絶」である。小泉政権は財務省の「天下り利権」を徹底的に擁護した。

 ③「弱肉強食奨励」は「市場原理主義」に基づく政策の日本社会への強制だった。高齢者、障害者、生活困窮者、母子世帯など、政府が手を差し伸べるべき国民に対する諸施策を冷酷に切り込んだ。労働市場の規制撤廃は、非正規雇用労働者と働く貧困層の激増を招いた。国民生活の安定を根底から破壊し、日本社会を世界有数の格差社会に変質させたのは、小泉政権の「弱肉強食奨励」政策だった。

 佐々木氏の上記論文タイトルに「格差社会の元凶を本格検証」の言葉が冠せられているのは、竹中氏が小泉政権の経済政策を主導したからである。

 ⑤「権力の濫用」は小泉首相が活用できる権限をすべて活用し、独裁者として行動したことを指す。日本の議院内閣制は、首相が権力濫用に対する自制心を取り払うと、独裁者になりうる制度的な欠陥を内包している。小泉首相はこの意味で権力を濫用した初めての首相であったと言える。

 また、世論が政治を動かす時代において、マスメディアは「第一の権力」と呼ぶべき影響力を保持する。小泉政権は利益誘導によってマスメディアをも支配した。司法権力は建前上は政治権力と独立していることになっているが、首相が権限をフル活用すると、政治権力によって司法が支配されるリスクを抱えている。小泉政権の時代にはこのリスクが顕在化したと言える。

 拙著では、これら、①、②、③、⑤の問題についても記述しているが、ここでの本題は④に関連することなので、詳細(しょうさい)は省略する。

 拙著の主題のひとつが「りそな銀行救済」にかかる、巨大な疑惑だった。
①なぜりそな銀行だけが資本不足と認定されたのか
②2002年9月30日の内閣改造で竹中氏が金融相を兼務することになった背景
③銀行を自己資本不足に追い込むための「繰り延べ税金資産」計上ルールの取り扱いの変遷
④朝日監査法人のりそな銀行担当公認会計士が2003年4月22日に、突然死亡した背景
⑤2003年5月12日の「金融問題タスクフォース」での確認事項と会合前後の経緯
⑥「金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム」メンバーであった公認会計士協会会長(当時)の奥山章雄氏、木村剛氏と朝日監査法人との接触の有無、および「りそな銀行」問題との関わり、
⑦2003年5月17日の「りそな銀行」処理の意味
が、私が拙著『知られざる真実-勾留地にて-』で、改めて整理した主要論点だった。

 佐々木氏の論文では、私が十分に確認できなかった詳細について、丹念な取材が実行され、真実をより鮮明に浮上させている。しかし、その記述によって確かめられた内容は、すべて、私が記述したひとつの推論を補強するものになっている。

 2002年9月30日の内閣改造で竹中氏が金融相を兼務することになった。拙著ではこのことについて、「政治専門家は竹中氏の金融相就任は米国政府の指示によるものと指摘した」とだけ記述した。

 佐々木氏の論文では、前編で竹中氏が金融相に就任する前後の経緯を詳しく論じている。拙著での私の記述の根拠とした情報と、基本的に重なる経緯が記されている。

 この問題を考察する上で、きわめて重要な事実が数多く、佐々木氏の論文に記されている。そのなかから、三つの事例を取り上げておく。

 第一は、朝日監査法人でりそな銀行を担当した公認会計士の人物像が詳細に示されていることだ。佐々木氏は会計士を岩村隆志氏の仮名で表現しているが、この岩村氏が2003年4月22日に死亡された会計士である。佐々木氏は丹念な取材により、岩村氏が「銀行監査にかけては会計士業界の若手第一人者と目されるまでの存在」であったことを明らかにしている。

 極めて重要なことは、この岩村氏が、りそな銀行の繰り延べ税金資産計上を強く主張していたことである。りそな銀行の繰り延べ税金資産が他の主要銀行同様に5年ないし4年計上されていたなら、りそな危機は発生しなかった。

 第二は、2002年12月11日に、三井住友銀行の西川善文頭取、ゴールドマン・サックスCEOのヘンリー・ポールソン氏、同COOのジョン・セイン氏と竹中平蔵氏が密会した事実だ。西川氏の金融問題への対応は2002年と2003年で驚くべき豹変(ひょうへん)を示した。

 第三は、2003年3月17日に木村剛氏が朝日監査法人の亀岡義一副理事長と日本橋の料理屋で会食した事実だ。この会食は、現在までメディアをいろいろな意味で賑わせてきた木村剛氏が関与する日本振興銀行との関連で持たれた会合であったことを佐々木氏は指摘している。

 問題の詳細については、今後の記事で記述してゆきたいが、朝日監査法人のりそな銀行担当会計士が、りそな銀行の繰り延べ税金資産計上を他行と同様に扱うことを強く主張し、朝日監査法人が担当会計士の判断を尊重して決定を下していたなら、りそな銀行危機は浮上しなかった可能性が高いことだ。

 山口敦雄氏は著書『りそなの会計士はなぜ死んだのか』の表紙装丁(そうてい)の帯に、「会計士の「自殺」は何を意味するのか?それは、本当に「自殺」だったのか―」と記述している。

 「りそな問題」の闇はまだ解明されていない。だが、いかなる困難を克服してもその闇を明らかにしなければならないと思う。『月刊現代』の論文、拙著『知られざる真実-勾留地にて-』『りそなの会計士はなぜ死んだのか』の三部作、プラス、ベンジャミン・フルフォード氏著『暴かれた[闇の支配者]の正体』(2007年、扶桑社)をぜひ一度ご高読賜りたい。

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2008年12月 2日 (火)

小沢氏批判&偽装CHANGE集団報道の深層

昨日12月1日記事「麻生内閣支持率急落と高まる金融恐慌リスク」に以下のように記述した。
「米国がシティグループ救済を発表し、FRBが8000億ドルの追加金融支援を発表したことを受けて、NYダウと日経平均株価が一時的に反発しているが、日米の株価チャートは、もう一度、株価が下落に転じることを暗示する危険な状況を示している。」

12月1日のNY市場ではNYダウが前日比679ドル安の8149ドルに下落した。本日12月2日の東京市場では日経平均株価が前日比533円安の7863円に下落した。米国のGMがチャプター11の適用を申請して破たんすれば、株価下落はさらに進行することになるだろう。経済金融市場の見通しの詳細ならびに投資環境分析については、『金利・為替・株価特報』をご高覧賜りたい。

11月20日に「麻生政権の致命傷になる第2次補正予算提出先送り」と題する記事を掲載した。年末にかけて、日本経済の悪化がさらに加速することは確実な情勢だ。世界の主要国が全力をあげて政策対応を進めているときに、日本の麻生政権だけが長期のサボタージュを決め込んでしまった。日本の政策対応は本年12月から来年3月末まで、完全な空白期間となる。

100年に1度の金融災害に見舞われているから、「政局より政策」だと発言し、国民に宣言した解散総選挙まで先送りしたのに、来年になるまで景気対策に手をつけずに、サボタージュを決め込むのだから、内閣支持率が急落するのは当然だ。

自民党は、わずか2ヶ月前に党をあげて祭り騒ぎを演じて麻生氏を首相に祭り上げた。その自民党議員に麻生氏を批判する資格はない。民主党に政権を委ねるか、総選挙を実施して国民の審判を仰ぐのが正道である。

ところが、「政官業外電=悪徳ペンタゴン」に組み込まれるマスメディアは、麻生政権は問題が多いが、小沢民主党も問題が多いと不自然な主張を展開する。

11月28日の党首討論も、客観的に評価して小沢民主党代表の圧勝だった。このことは、「きっこのブログ」様緊急アンケートでも、大手メディアの世論調査でも明らかにされている。フジテレビ番組「サキヨミ」では、麻生首相の岩手県での街頭演説に合わせて、岩手での麻生氏支援の街の声まで紹介して、小沢氏批判を展開したが、党首討論の勝者を問う視聴者投票では、小沢氏が圧勝した。

「サキヨミ」の視聴者投票にはひとつの意図が込められていた。選択肢を「麻生氏の勝利」、「小沢氏の勝利」の二択とせずに、「引き分け」を含めた三択としたことだ。党首討論の内容からして麻生氏勝利はありえなかった。そこで、投票結果を「引き分け多数」に持ち込むことが意図されたのだと考えられる。「引き分け」を印象付ける放送を繰り返して、視聴者の回答を「引き分け」に誘導しようとしたのだと考えられる。しかし、結果は「小沢氏勝利」が圧倒的多数を占めた。

麻生氏の言動、政策、資質に対する評価はほぼ固まってしまった。内閣支持率が3割を切り、不支持率が6割に達している。渋谷の街で社会科見学しても、レジを担当する女性に「レジやってんの?レジで正社員って珍しいな」、「だんなはいくらかせいでいるの」、したり顔で社長に質問して「やっぱりな。そこまで分かっているんならたいしたもんだ」と意味不明な虚勢を張る、などの言動をカメラに撮らせるのだから、支持率低下に歯止めがかかるはずがない。

「悪徳ペンタゴン」の一角のマスメディアにとっての最優先事項は、民主党を中心とする政権樹立を阻止することに転換している。麻生政権を浮上させることが不可能と判断した以上、いま、最も力を入れなければならないことは、民主党の人気浮上を阻止することである。

二つの手法が取られている。ひとつは、民主党を攻撃することだ。小沢代表に対する個人攻撃と、民主党に対する誹謗中傷が繰り広げられている。

もうひとつの方法は、自民党内の反麻生勢力=「偽装CHANGE集団」をクローズアップすることだ。

12月1日のテレビ朝日番組「TVタックル」に出演した江田憲司議員が重要な指摘を提示した。①国会議員を霞ヶ関に100人送り込み、②天下りを廃止し、③特別会計や独立行政法人を抜本的に見直す改革を、民主党を中心とする新しい政権が実行すれば、霞ヶ関には驚天動地(きょうてんどうち)の変化が起こる。江田氏はこのような見解を表明した。

中川秀直氏、渡辺喜美氏、小池百合子氏、小泉チルドレン、高橋洋一氏に連なる「偽装CHANGE集団」は、官僚利権廃絶を装いながら、実態は官僚利権の温存を狙っていると見るべきである。国土交通省、旧郵政省などの利権縮小には熱心だが、財務省利権の廃絶には熱意を示さない。むしろ、財務省利権の擁護を図っていると思われる。

そのなかで、江田憲司氏の発言はこれまでの枠を超えるものであった。江田氏は高橋氏と連携しているが、高橋氏とは同床異夢(どうしょういむ)であるのかも知れない。江田氏のスタンスが客観情勢の変化に連動して揺れ動いているが、明確に官僚利権根絶の路線を選択するなら、「偽装CHANGE集団」とは明確に一線を画すべきである。

「小泉一家」=「偽装CHANGE集団」と連携するテレビ朝日、日本経済新聞は、小沢民主党代表批判に注力すると同時に、「偽装CHANGE集団」を頻繁(ひんぱん)に画面に登場させ始めている。竹中平蔵氏、飯島勲氏、渡辺喜美氏、高橋洋一氏などがこの系譜に属する。「偽装CHANGE集団」の基盤は「市場原理主義」=「新自由主義」=「対米隷属(れいぞく)主義」である。「官僚利権廃絶」は「偽装」の疑いが濃厚だ。

「TVタックル」で民主党の長妻昭議員が指摘したように、渡辺喜美氏が主張している「天下り斡旋機関」の一元化は、天下りを根絶するものではなく、天下りの方式を変更するものに過ぎない。「えせ改革」=「偽装CHANGE」の典型であって、国民はこの種の偽装による「目くらまし」に十分警戒しなければならない。

「悪徳ペンタゴン」は「真正の改革」が実行されることを阻止するために、「偽装の改革」の旗を立てて、国民の目をくらまそうとしているのだと思われる。

麻生首相批判は国民のコンセンサスとなりつつある。このなかで、麻生氏支持を主張しても視聴者に受け入れられない。そこで、「悪徳ペンタゴン」が発する次善の策は「麻生氏は悪いが小沢氏も悪い」とのプロパガンダである。

テレビ番組を注意してみると、番組に登場する司会者やコメンテーターが無理やりこの方向に論議を誘導していることがよく分かる。NHKの日曜討論では、司会の影山日出夫氏が民主党の行動を、意図的に「戦術」、「政局」、「政略」などの用語を用いて説明する。「TVタックル」では、司会の阿川佐和子氏が必ず民主党批判の言葉を重ねる。同番組のVTR出演の常連である屋山太郎氏も麻生氏を批判するが、必ず小沢氏批判を強調する。

タレントのテリー伊藤氏の発言は常に偏向していると感じられる。テレビ朝日番組「サンデースクランブル」が麻生首相と小沢代表の党首討論を取り上げた際も、懸命に小沢氏批判を展開していた。最近コメンテーターとして登場頻度の高い勝間和代氏も、懸命に小沢氏批判、民主党批判を展開する姿勢が鮮明である。

麻生政権の失速が明確になり、政権交代阻止を至上課題とする「政官業外電=悪徳ペンタゴン」は、メディア報道における「小沢民主党批判」、「偽装CHANGE集団のクローズアップ」に注力し始めた。しかし、「偽装」はしょせん「偽装」で、ものごとを本質的に変革する力を持たない。

メディアは懸命に小沢氏批判、民主党批判を展開するが、冷静に、客観的に考察して、小沢氏や民主党の行動に重大な問題点は見出せない。
・自公政権が1年に2度も政権を放り出し、無責任を極めているから、総選挙で国民に信を問うことを求めた
・麻生首相が臨時国会冒頭の解散総選挙を月刊誌で宣言したから、その実行を求めた
・麻生首相の解散総選挙に踏み切るとの宣言を信用して、国会での早期審議完了に協力した
・経済環境が急変し、麻生首相が「政局より政策」と唱えたから、景気対策の早期実施に協力した
・麻生首相が「政局より政策」と唱えて総選挙を先送りする意向を示したから、補正予算案の臨時国会への提出を求めた
・党首討論で麻生首相が第1次補正予算で年内の景気対策に支障は生じないと断言したから、それでは12月に総選挙を実施するのが筋ではないかと主張した

これが、小沢代表および民主党の主張であり、中立・公正の立場から判定して、不当な主張はほとんど存在しない。あえて問題点を抽出(ちゅうしゅつ)するなら、①テロ特措法の審議を短期間で終結させようとしたこと、②麻生政権が第2次補正予算案を国会に提出するまで、テロ特措法と金融機能強化法の参議院での採決を見送ると表明したこと、の2点が、立場によっては問題にされうる。

しかし、日本経済がみぞうゆの経済危機に直面している現状を踏まえて、総選挙で本格政権を樹立して、経済危機に本格的に対処することが重要だと判断し、早期の総選挙実施を実現するために上述の戦術を採用したと考えれば、それはひとつの容認される選択であると思われる。

党首討論の冒頭で小沢氏は、「政権運営に行き詰まる麻生首相が危機を打開するための方策が二つある」ことを明言した上で、麻生氏に対する質問を展開した。

小沢代表はまず、麻生首相が「政局より政策」と主張するなら、補正予算案を国会に提出するのが筋ではないかと主張した。これに対して、麻生首相は年内の景気対策としては第1次補正予算で十分だと繰り返し力説した。

次に小沢代表は、麻生首相の見解に賛同はできないが、麻生首相がそこまで問題なしと主張するなら、首相就任時の宣言に基づいて、12月に総選挙を実施するのが筋ではないかと追及した。

極めて単純な論理構成だが、見事な論理の展開だった。小沢氏の理詰めの追及に麻生氏はぐうの音も出なかった。欲を言えば、小沢代表が日本経済悪化の現状をもう少し細かく説明し、全力をあげての政策対応が不可欠であることを強調して欲しかったが、論理の展開としては完璧だった。

麻生氏の「第1次補正で年内の対応は十分」の答弁を受けて小沢氏が、「それだったら12月に十分、総選挙を実施できるじゃないですか」と質した瞬間に、小沢氏が「一本勝ち」で勝利を収めた。この論評を示した御用コメンテーターはいない。

「私好みのimagination」様が指摘するように、麻生氏批判に小沢氏批判が添付されるマスメディア報道は、意図的な情報操作である。今後、小沢氏批判と「偽装CHANGE集団」報道が目立って増加するはずだ。悪徳ペンタゴンの意図を正確に見抜き、官僚主権構造=対米隷属構造を打破するために、必ず本格的な政権交代を実現しなければならない。

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2008年12月 1日 (月)

麻生内閣支持率急落と高まる金融恐慌リスク

日本経済の悪化が加速している。

①本年の上場企業の倒産が31社に達し、過去最悪の記録をさらに更新した。
不動産関係の倒産が激増している。昨年6月に施行された改正建築基準法。国土交通省の準備があまりにも杜撰(ずさん)だった。マンションの建築許可がまったく下りない状況が持続して住宅着工が激減した。

ここに米国のサブプライム金融危機が直撃した。日本の不動産投資の主役であった外国資本の投資資金が逆流を始めた。都心を中心に急騰していた不動産価格が急落に転じた。

企業倒産を激増させている直接の引き金は金融機関の貸しはがし、貸し渋りである。銀行の不動産業、建設業に対する融資姿勢が一変した。多くの企業倒産が黒字倒産である。銀行が運転資金の融資を拒絶し、企業が資金繰りに行き詰まり、倒産している。

②本年7月以降、急変したのが輸出製造業である。2000年から2008年にかけて、日本円は主要通貨に対して長期暴落トレンドをたどった。主要通貨に対して大幅に下落したのは日本円と米ドルであった。

米国が2002年から2006年にかけて超金融緩和政策を実施した。欧州通貨などの主要通貨は米ドルに対して大幅に上昇した。日本円も自然体の政策運営を維持したなら、米ドルに対して上昇し、欧州通貨などに対して暴落しなかったはずだ。

ところが日本はゼロ金利政策、量的金融緩和政策などの超金融緩和政策を実行して、長期間維持した。同時に、50兆円もの規模で、下落する米ドルを買い支えるドル買い為替介入を実行した。これらの政策を最も積極的に推進したのは竹中平蔵氏だった。

米国が単独で超金融緩和政策を実行すれば、ドルが独歩安を示すことになる。米国は超金融緩和政策を中止せざるを得なかったはずだ。日本がドルを買い支え、超金融緩和政策を実行したから、米国は超金融緩和政策を維持することになった。

2002年から2006年の米国の超金融緩和政策が、米国の不動産価格バブルを発生させる主因になった。日本が理に適(かな)わない超金融緩和政策、巨額のドル買い介入政策を実行したことが、米国の不動産価格バブルを生み出す根源的な原因になったと言える。

本年7月以降、長期円安トレンドの修正が生じた。米ドルが欧州通貨や資源国通貨に対して反発するのに連動して、日本円の反発が急激に発生した。日本円の上昇は極めて急激なものになった。

1ユーロ:170円(7月)→113円(10月)
1ポンド:215円(7月)→137円(11月)
1加ドル:107円(7月)→70円(11月)
1豪ドル:104円(7月)→55円(11月)
1ウォン:0.108円(7月)→0.0615円(11月)

長期円安トレンドの修正が一気に表面化した。長期にわたって、緩やかに円高が進行するなら、輸出産業は緩やかに対応することができる。ところが、長期間、円安が持続し、あるときに急激な円安修正が表面化すると対応が難しくなる。

米国の金融危機は底の見えない深刻さを抱えている。米国の中央銀行FRB(連邦準備制度理事会)は政策金利を1.0%にまで引き下げたが、今後、ゼロ金利にまで誘導する可能性が高い。米国の金利引き下げ政策進行を予想して、日本円は米ドルに対しても上昇傾向を強めつつある。
1米ドル:110円(8月)→90円(10月)
と円高・ドル安が進行している。

米ドルの日本円に対する下落は日本の外貨準備の評価損を激増させており、1ドル=95円で、すでに24兆円に達している。

短期間での急激な日本円の上昇が、日本の輸出製造業の収益を直撃し、価格競争力を急激に低下させている。世界同時不況の影響も加わり、日本の輸出製造業の業況は一気に悪化している。

乗用車の販売台数が世界的に前年比30%も激減している。日本でも自動車産業のすそ野は極めて広い。11月28日に発表された10月の鉱工業生産指数は前月比3.1%減少した。11月、12月も生産減少が見込まれており、予測指数を基準に計算すると、10-12月期の鉱工業生産は前期比-8.6%の、史上空前の落ち込みを示すことになる。

③日本経済が完全に赤信号を点灯したのは、景気悪化が個人消費の全面的な悪化にまで波及し始めたからだ。11月28日に発表された家計調査では全国全世帯の消費支出が前年比実質3.8%減少した。民間消費はGDPの57%を占める。経済動向を決定する最重要のファクターだが、その民間消費の減少が加速している。

④景気悪化は若干のタイムラグを伴って、雇用情勢に波及する。非正規雇用労働者が一斉に、大量に解雇されつつある。雇用調整は非正規雇用労働者から正規雇用労働者にまで波及し始めた。当然、企業の新規採用人員も大幅に圧縮される。新卒学生は極めて厳しい就職難に直面している。

⑤麻生首相は他国の金融支援に外貨準備から10兆円もの資金を提供することを金融サミットで勝手に表明し、新興国の金融機関の資本増強に2000億円もの資金を拠出することを金融サミットで勝手に表明してきた。

ところが、足元の日本の金融機関の財務状況に火がついている。日経平均株価が10月と11月に8000円の水準を下回った。米国がシティグループ救済を発表し、FRBが8000億ドルの追加金融支援を発表したことを受けて、NYダウと日経平均株価が一時的に反発しているが、日米の株価チャートは、もう一度、株価が下落に転じることを暗示する危険な状況を示している。

米国政府がビッグ・スリー救済策を発表すれば、現在の株価反発がなお暫く持続する可能性はあるが、サブプライム問題で影響を受けるハイリスクのデリバティブ金融商品の残高は極めて大きく、巨額損失が今後も計上される可能性が高い。株価の先行きに対する強い警戒感を解くことはできない。

11月27日に農林中央金融公庫が2008年9月中間期決算を発表し、1000億円の損失処理実施を公表した。同時に9月末の有価証券含み損失が1.5兆円に達していることも明らかになった。農林中金は2.9兆円の資産担保証券(ABS)、0.8兆円の住宅ローン担保証券(RMBS)、0.7兆円の商業用モーゲージ担保証券(CMBS)、2.4兆円の債務担保証券(CDO)など、6.8兆円の証券化商品を保有している。極めてリスクの大きな財務体質を抱えている。

生命保険会社の大半が日経平均株価8000円で、保有株式の評価損失を計上する。株価下落に連動して、日本の金融機関の財務状況が危険水域に入りつつある。

金融機関の破たんを回避するために、金融機能強化法の成立が求められているが、この法律が成立しても、中小企業の資金繰りはまったく改善されない。金融機関は破たんを回避するのに精一杯の状況で、中小企業に資金を融通する余裕など存在しない。

2008年の年末を控えて、日本経済、日本金融は風雲急を告げている。

12月1日に発表されたFNN合同世論調査で、麻生内閣の支持率が27.5%に急落し、不支持率が58.3%に達した。日本の首相にふさわしい人物では、小沢一郎民主党代表が麻生太郎首相を上回った。

「100年に1度の暴風雨」が吹き荒れ、日本経済が非常事態に直面し、年末にかけて多数の国民が瀬戸際に追い込まれつつあるのに、自分が総理の座に居座ることのためだけに、景気対策を具体的に実行するための補正予算案の国会提出を来年に先送りしてしまうと言うのだから、支持率はゼロになってもおかしくない。

麻生首相は新聞を読まないそうだから、支持率が低下しても、ぶら下がり会見で記者に教えてもらうまで、その事実を知らないかもしれないが、「公より私」の基本姿勢を変えないのなら、総理の座を辞することを考えるべきだ。

このような事態をも念頭に入れて、憲政の常道は、政権与党が政権担当能力を失ったときには、野党に政権を渡し、野党政権が速やかに総選挙を行うこととしているのだと考えられる。

12月の政策空白の影響は極めて重大である。政府の予算案提出が2009年1月にずれ込むことは、補正予算、本予算、関連法案の成立が、確実に3月末以降にずれ込むことを意味する。12月の政策空白は12月から3月までの4ヶ月の政策空白を意味する。

12月に総選挙を実施すれば、1月から本格政権が本格政策をフル始動させることを可能にする。
「過(あやま)ちては則(すなわ)ち改(あらた)むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ」
である。いまからでも遅くない。補正予算案を臨時国会に提出するべきだ。それができないなら、解散総選挙に踏み切るか、内閣総辞職すべきである。

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