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2008年11月17日 (月)

政局優先の麻生政権とNHK偏向報道を糺(ただ)す

11月17日夕刻、自民党の麻生太郎首相と民主党の小沢一郎代表による党首会談が開催された。民主党の小沢代表が申し入れたものだった。

小沢代表は麻生首相に対して補正予算案を今臨時国会に提出することを求めた。これに対し、麻生首相は明確な回答を示さなかった。

小沢代表の主張は明快で、正当性を備えている。麻生首相は『文藝春秋2008年11月号』に手記を寄稿し、臨時国会冒頭での衆議院解散を明確に宣言した。「私は逃げない」とまで言い切った。

ところが、自民党が実施した選挙区調査が自民党惨敗を示唆したために、解散を急遽先送りした。自民党が輩出した首相は1年間に2度も政権を放り出した。国民に対して無責任極まりない対応を示した。

本年9月に政権を放り出した福田首相は、政権を放り出す決断を示した段階で、後継首相が直ちに衆議院の解散総選挙を実施して国民の審判を仰ぐことを麻生氏に言い含んだと見られている。麻生首相も総選挙で勝利して初めて天命を担うことができるとの発言を繰り返した。

ところが、自民党惨敗の予想が広がったことから麻生首相は逃げの一手に転じた。国民に解散総選挙を高らかに宣言したのに、敗色が濃厚となったために総選挙から逃げ回る姿は、見るに耐えないが、麻生首相は折りしも拡大した金融危機を、総選挙先送りの口実に使い始めた。

その口実を表現するのが「政局より政策」のフレーズだ。10月30日に追加景気対策を決定した際に麻生首相は記者会見で、国民の経済対策について、「ポイントは、スピード、迅速にという意味です」と明言した。「100年に1度の暴風雨が吹き荒れている」との認識の下に、追加景気対策を決めた。ポイントはスピードだという。

国民に宣言し、先代の首相からも申し送りされている解散総選挙を先送りする理由は、100年に1度の金融危機であり、危機に対応する政策の策定、決定、実行を優先することにあるのだという。

ならば、当然、臨時国会に補正予算を提出し、早期成立を目指し、早期執行が目指されなければ、辻褄が合わない。

ところが、麻生政権が臨時国会の会期を延長せず、補正予算案の国会提出を来年まで先送りするスタンスを示し始めた。

民主党がこうした事態に対応して、党首会談を求め、補正予算案の臨時国会提出を直接、麻生首相に要請したのは当然である。世界経済の急激な悪化は日本経済にも波及し、株価急落、急激な円安是正、消費者心理の急激な悪化により、日本経済は急激に冷え込んでいる。失業、倒産が2008年末に向けて、一般国民を厳しく追い詰めることが確実な情勢だ。

政府が政策対応を優先して、明確に宣言した解散総選挙を先送りするなら、臨時国会の会期を延長して補正予算早期成立、予算の早期執行に全精力を注ぐべきことは当たり前だ。政策優先と言いながら、補正予算をたな晒(ざら)しにして、国民生活の困窮に対して、無為無策を決め込むなら、そのような政権には直ちに退場してもらわなければならない。

メディアは麻生政権が政策優先を主張しながら、補正予算案の国会提出を来年に先送りする国民生活無視の政策運営姿勢を厳しく糾弾して当然である。

ところが、御用放送媒体に成り下がったNHKは、11月17日の午後7時定時ニュースで、またしても偏向報道を繰り返した。「日本偏向協会」に名称を変更すべきだと思う。

麻生首相と小沢代表による党首会談を民主党が急遽要請したのはなぜか、と問題提起した上で、麻生首相が衆議院の解散総選挙を来年に先送りする方針を示唆したため、揺さぶりをかけて、麻生政権を解散に追い込むためだと説明した。

極めて偏った解釈をニュース原稿のなかに盛り込むのは、あまりにも異常である。民主党が党首会談を求めたのは、麻生政権が政策優先と主張しながら、補正予算案の国会提出を来年まで先送りするのは、矛盾しており、政策優先を主張するのであれば、当然、臨時国会に補正予算案を提出すべきであるとの、正当性を備えた、国民の視点に立脚した主張を首相に直接伝えるためである。

こうした客観的な事実を伝えずに、あたかも、民主党が政局優先の行動をとっているかのような報道をするのは、重大な問題である。NHKの偏向問題は国会で論議されなければならない。

しかも、放送ではこの問題についての麻生首相のコメントだけを放送した。麻生首相は小沢代表からの申し入れを紹介した後、補正予算案は現在策定中であることを述べ、この問題をテロ特措法、金融機能強化法改正案の採決と絡めるのはおかしいとの発言を示した。

民主党は国民の視点に立って、日本が世界的な金融危機と自公政権の自壊に直面するなかで、解散総選挙を実施して、本格政権を樹立することが、いま、最優先されるべきとの判断に基づき、国会審議の迅速な進行に協力した。

ところが、麻生政権が国民への約束を守らず、総選挙を先送りしつつ、「ポイントはスピード」と述べた補正予算審議を来年まで先送りするとの、国民無視、傍若無人の政権運営に突き進むなら、民主党が国会運営に対する基本路線を根本的に変更しても、自民党は民主党の行動を批判できるはずがない。

不偏不党、政治的な公平を定めた「放送法」の規定を踏まえるまでもなく、麻生首相のコメントを放送するなら、民主党執行部の見解も併せて放送することが、当然の対応である。ニュース報道では麻生首相のコメントを放送して党首会談の話題を打ち切り、日本の景気後退の話題に移った。

NHKの活動は視聴者が支払う受信料で支えられている。視聴者はNHKが「不偏不党」、「政治的公平」という、放送法の規定を遵守して放送することを前提に受信料を支払っている。NHKがこのような偏向報道を維持するなら、多数の視聴者が受信料の支払いを拒絶しても、NHKの自業自得としか言いようがなくなる。

次期総選挙で自公政権が政権を失う危機に直面していることはよく分かる。しかし、最終的に審判を下すのは主権者である国民だ。国民が正しい判断を下すには、事実が正確に国民に伝えられることが不可欠な前提条件になる。国民は知る権利を有する。国民の知る権利を保障する上で、メディアの担う役割は極めて大きい。

そのメディアが偏向し、政治権力に迎合して、政府寄りの報道を繰り広げることは、日本の民主主義の危機を意味する。

NHKの偏向をすべての視聴者が監視し、NHKが行動を是正するように、NHKに対して「対話と圧力」で臨む必要がある。

麻生政権は政策を優先するなら、補正予算案を臨時国会に提出するべきだ。補正予算案の国会提出を来年にまで先送りして、「政策優先」の言葉は通用しない。麻生政権が筋の通らない対応を強行するなら、野党が国会審議で全面対立の姿勢を強め、法案審議が空転し、また、麻生首相に対する問責決議が参議院で可決されても、その責任は麻生政権にあると言わざるを得ない。

政治権力に支配されたマスメディアが正論を示さないなら、ネットの草の根から正論を広げてゆかなければならないと思う。

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