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2008年11月18日 (火)

補正予算案提出先送りは麻生首相問責決議に該当

日本の国民にとっていま、最も切実な問題は景気の悪化だ。日本経済はつるべ落としで悪化している。年末を控えて、多くの日本国民が、切実な気持ちで暮らしている。麻生首相が首相の座に居座ることだけを考えて、国民感情を無視した行動を続けるなら、遅かれ早かれ国民の厳しい審判が必ず自身に降りかかることになるだろう。

「カナダde日本語」の美爾依さんが、麻生内閣の支持率急落の理由を9つ列挙されて、分かり易い解説を示されている。

補正予算の先送り、理念も哲学もない選挙向け買収活動でしかない定額給付金、庶民感覚とかけ離れた連夜のホテルバー通い、麻生邸見学ツアー主催者違法逮捕の渋谷事件へのだんまり、非正規雇用労働者への侮辱発言、KYに新しい意味を吹き込んだ漢字読み間違い連発、不況が深刻な状況下で消費税増税を宣言する元祖KYな感覚、など、どれも共感を呼ぶ麻生首相批判である。

経済悪化で先行したのは不動産・建設部門だった。昨年6月に改正建築基準法が施行されたが、政府の準備不足が致命的な影響を与えた。建築確認が下りず、マンション建設が完全にストップしてしまった。

このタイミングで米国のサブプライム金融危機が顕在化した。日本の不動産は外国資本の積極的な投資活動により、2003年から2007年にかけて、ミニバブルの様相を示した。その投資主体の外国資本の逆流が始まった。

連動して首都圏を中心に不動産価格が急激な下落に転じた。官製不況、サブプライム危機、不動産価格急落のトリプルパンチに見舞われて、不動産・建設業から深刻な不況が始まった。中小企業だけでなく、中堅企業、上場企業の破綻が激しい勢いで広がっている。

本年7月以降、経営環境が急変したのが輸出製造業である。2000年から2008年にかけて、日本円と米ドルは主要通貨に対して激しい下落推移をたどった。日米の超金融緩和政策が米ドルと日本円の長期暴落の理由だった。

本年7月以降、欧州経済の悪化、原油価格の急落が表面化し、米ドルと日本円は主要通貨に対して急激な上昇を示した。「円高」と言うよりも「円安是正」と表現すべきだが、日本円はユーロ、英ポンド、加ドル、豪ドルなどの主要通貨に対して急激な上昇を示した。米ドルに対しても、10%程度の上昇を示した。

急激な円高は輸出製造業の企業収益を直撃する。企業収益は軒並み3割、5割、7割減少し、赤字に転落する企業も生まれている。日本経済を牽引してきた輸出製造業の業況が急変した。

日本のGDPの56%を個人消費が占めている。個人消費が景気の基調を決定すると考えて間違いない。その個人消費が急激に萎縮し始めた。日経平均株価は10月27日に7162円まで下落した。2003年4月28日のバブル崩壊後最安値7607円を大幅に超えて、1982年10月7日以来、26年ぶりの安値を記録した。

日経平均株価は2007年7月9日の18261円から、本年10月27日の7162円まで、11099円、60.8%の暴落を演じた。株価暴落に連動して、個人の消費者心理が急激に冷えている。個人消費が減速傾向を強めている。日本の実質GDP成長率は本年4-6月期以降、マイナスに転落した。2009年に向けて、景気悪化が加速する可能性が高い。

日本経済は2002年2月から2007年12月まで景気回復を持続したとされているが、改善したのは企業収益だけだった。大企業労働者の一部は浮上したが、一般労働者に景気回復の恩恵は回ってこなかった。

小泉政権が日本社会に強制した「弱肉強食奨励」=「市場原理主義」=「新自由主義」の経済政策は、一般国民に苦しみしか与えなかった。労働市場の規制緩和が非正規雇用労働者と働く貧困層を激増させた。一生懸命に働いているのに、年収が200万に届かない労働者、雇用の安定を得られずに、いつ「雇い止め」の通知があるかを心配し続けなければならない労働者、「雇い止め」に直面しながら、失業給付を受け取ることができず、病気になっても医療を受けられない無保険労働者が激増した。

障害者、高齢者、生活困窮者、母子世帯など、社会が特段のケアをしなければならない人々に苦しみだけが押し付けられ、多くの人々の生存権が脅かされてきた。景気回復の期間が長かったと言っても、一般国民の生活は向上することがなかった。

米国発の金融危機は、ブッシュ政権、小泉政権が推進した市場原理主義の経済政策の破綻を意味する。市場原理にすべてを委ね、弱肉強食を奨励し、結果における不平等が日米両国で著しく拡大した。しかし、利益のあくなき追求を是認する新自由主義は、利益追求の欲望を制御不能なレベルにまで拡散させ、最終的に経済の破壊的な混乱をもたらしている。

経済政策運営の根幹を抜本的に修正することが迫られている。「市場原理主義」=「弱肉強食奨励」=「新自由主義」から、「セーフティーネット重視」=「生存権重視」=「社会民主主義」への路線転換が求められている。

国民生活に目線を合わせれば、急激な経済悪化に対応することが最優先の政策課題だ。麻生首相は「政局より政策」と発言し、国民に宣言した臨時国会冒頭の衆議院解散と総選挙実施を先送りした。先送りした以上、臨時国会に第2時補正予算案を提出するのは当然のことだ。

鳩山総務相は民主党を政局優先と非難したが、麻生政権の閣僚の一人として、麻生政権が補正予算案を国会に提出しないことをまず謙虚に批判するべきだ。

国民の視点に立てば、補正予算を早期に成立させた上で、早期に衆議院の解散、総選挙を実施すべきだ。麻生内閣の支持率が急落している。11月15、16日に実施されたテレビ朝日系列のANN世論調査では、麻生内閣の支持率が29.6%となり、先月の調査より13.2ポイント急落した。9月の政権発足直後の支持率50.4%から2ヵ月で3割を切った。一方、不支持率は46.8%と、10月の約37%から急増した。

麻生首相は麻生政権の「政局より政策」の方針が国民に支持されていると強弁しているが、麻生政権自身が国民からすでに支持されていないのだ。政治は国民のためのものである。政治家が私的な利害で政治を弄(もてあそ)んではならない。

政策優先を宣言したのだから、まず、補正予算案を今国会に提出すべきだ。麻生政権が補正予算案を国会に提出することが、テロ特措法、金融機能強化法を参議院で採決する前提条件だとする民主党の戦術は、政府に補正予算案の国会提出を迫る、極めて有効な手法である。

法案採決を人質にとる国会戦術を批判する意見は存在するが、①麻生政権が国民を無視した政治運営を押し通そうとしていること、②補正予算案の国会への早期提出が国民の視点から不可欠であること、を踏まえれば、民主党の戦術を非難することはできない。

民主党がお人好しに参議院での法案採決に応じても、麻生政権が補正予算案を国会に提出しない可能性が高いのだから、国民の視点に立った政策運営を実現するには、他に方法がない。

論点は明確だ。政策優先を明言しながら、補正予算案を国会に提出しようとしない麻生政権の不正義が糾弾される対象である。補正予算案提出を来年まで先送りすることを正当化する理由は存在しない。臨時国会への補正予算案提出を求める世論の喚起が求められる。麻生政権が補正予算案を臨時国会に提出しない場合、参議院が麻生首相の問責決議を可決することが正当化される。世論喚起にメディアも力を注ぐべきだ。メディアがその役割を積極的に担わないなら、政治的偏向の批判を免れない。

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