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2008年11月 2日 (日)

金融機能強化法改正での不正を許すな

ブログへのアクセス禁止措置に際しましては、多くの皆様にご心配をおかけしまして、誠に申し訳なく存じます。ココログ様からのメール確認が遅れたことが、ブログ一時閉鎖の原因になりましたが、若干の補足説明をさせていただきます。

ブログへのアクセス禁止措置が取られた後で確認できた内容ですが、10月28日付のココログ様からのメールには、以下の記述がありました。

「毎日新聞社より著作権に関するご連絡をいただいた内容について、権利者の許諾を得ていない場合は速やかに該当箇所を削除いただくよう弊社より連絡させていただきましたが、あらためて確認いたしましたところ、現在も状況に変化が見受けられませんでした。

つきましては、1030日(木)正午までに、下記の項目についてご対応いただきますようお願いいたします。期限までに対応を行っていただけない場合には、弊社会員規約に基づき、やむを得ず弊社側で該当記事を削除させていただきますので、ご承知おきください。」

ところが、その後、期限日時経過とともに、突然、ブログへのアクセス禁止措置が取られ、事後的にブログを閲覧できない状況にしたとの通知がありました。

ココログ様の事前通知通りに、該当記事が削除されたのであれば大きな混乱は生じなかったはずですが、事前予告なく突然、ブログへのアクセス禁止措置が取られたために、皆様に大変なご心配をおかけしてしまうことになってしまいました。当日午後は、朝日放送で民事訴訟和解に基づく「お詫び放送」が実施されましたので、ブログへのアクセス数が急増することが予想されておりましたが、そのタイミングに合わせてブログへのアクセス禁止措置が取られたことについては遺憾に感じております。

 

世界的な金融危機深刻化を背景に、日本でも地域金融機関などへの公的資金による資本注入を可能にする金融機能強化法改正案が国会で論議されている。

民主党などの野党は、農林中央金庫(農中)および新銀行東京への資本注入に反対の意向を示している。

米国発の金融危機が拡大して政策当局による資本投入が進展している。自由主義経済の基本原則のひとつが「自己責任原則」である。自由主義経済の下では経済活動の自由を認めているが、結果に対する責任は自己で負わなければならない。

今回の金融危機は「市場原理主義」=「新自由主義」のなれの果てである。資金余剰主体から資金不足主体への資金の循環を担うべき金融が、その本分から逸脱し、金融工学の技術を活用してデリバティブと呼ばれる金融派生商品を生み出し、自己増殖的に拡大させた。杜撰(ずさん)なリスク管理の下でデリバティブの想定元本を、制御不能な規模に拡大させてしまった。

米国の不動産格は2006年6月のピークから本年8月までで、22%しか下落していない。問題とされているサブプライムローンもその残高は200兆円に満たない金額でしかない。200兆円の20%が損失になったとしても、損失額は40兆円で、経済規模との比較では、さほど大きな金額ではない。

それにもかかわらず、世界の金融市場では「大恐慌の再来」が真剣に懸念されている。米国政府はすでに100兆円以上の公的資金枠を確保した。それにもかかわらず、金融市場の安定は確保されていない

その理由は、デリバティブ金融が想定元本を幾何級数的に拡大させているためだ。欧米の金融機関は四半期決算ごとに兆円単位の損失を計上している。米国の不動産価格下落は4合目に差しかかった段階であり、2010年にかけて価格下落の持続が予想されている。金融市場の不安定性は持続することが予想される。

市場原理主義の名の下に経済のカジノ化が進展した。拡大した虚業が生み出すバブルの利益に多くの金融機関が膨大な不労所得を蓄積した。破綻したリーマン・ブラザーズ社のCEOが2000年以降に490億円もの報酬を受け取っていたのは、その氷山の一角である。

経済状況が変化してデリバティブ金融のバブルが破裂した。その影響が世界経済に金融恐慌の危機をもたらしている。金融システムが崩壊すれば、その影響は金融バブルとは無縁の一般国民にも及ぶ。したがって、金融システムの安定を確保することは重要な課題になる。

だが、このときに忘れてならないことは、守るべき対象が金融システムの安定性であって、金融機関そのものではないことだ。金融機関の責任によって生じた経営上の困難の責任は当事者である金融機関自身が負わなければならないのだ。

金融システムの安定を確保するために、公的資金投入は必要になりつつあると考えられる。しかし、公的資金は税金であり、その使用は公共の目的に限定されなければならない。金融機関に公的資金を投入する際には、適正な責任追及が不可欠なのである。

麻生政権が提案している金融機能強化法改正案では、当初、経営責任を問わない資本注入が認められていた。この点について、野党が反対するのは当然だ。与党は必要な責任を追及することに同意したが、問題はその運用である。

農林中金は農林系金融機関の中央組織であり、その系列下に各都道府県の信用農業協同組合連合会、個別農協が連なっている。これらの農林系金融機関は政治との関わりが深く、金融機関への資本注入が政治的に利用される可能性が高い。

米国の金融危機の中心に、ファニーメイ、フレディマックと呼ばれる政府系住宅金融公社(GSE)の経営危機がある。2社が発行する債券残高は2008年6月末時点で1兆6308億ドル、2社が発行、保証するMBS(住宅ローン担保証券)残高は4兆2689億ドル存在し、両者合計5兆8997億ドルは、米国財務省証券発行残高5兆2506億ドルを上回る。日本円に換算すれば、600兆円近くに達する。日本のGDPの規模を上回る。その2割強を海外投資家が保有する。

このGSE関連債券の日本での最大の保有金融機関が農林中央金庫なのだ。その保有残高は5兆5000億円に達すると見られている。一般的に日本の金融機関は米国の金融危機との関わりが欧米金融機関と比較して大きくないが、個別金融機関によっては、リスクの高い資産を大量に保有しているケースが存在する。

大和生命が破たんした際、中川昭一金融相は、大和生命は資金運用におけるリスク管理に問題があり、日本の金融機関一般の動向とは切り離して評価するべきであるとの趣旨の発言を示した。この文脈からすれば、農林中金に対しても、行政府および立法府は、同金庫のリスク資産の内容を十分に吟味したうえで対応策を検討する必要がある。

また、新銀行東京は石原慎太郎東京都知事の強い誘導によって設立された銀行だが、杜撰な経営により巨大な損失を発生させてきた。今回の金融危機とは無関係に経営危機が生じており、改正される金融機能強化法の対象から除外することは当然の措置である。新銀行東京の杜撰な経営実態の詳細が明らかにされる必要があり、当然、責任が追及されなければならない。

すでに、新銀行東京を舞台にした不正融資が刑事事件として表面化しており、これまで指摘されてきた政治家による口利き、融資斡旋に関わる疑惑が解明されなければならない。

金融危機の名の下に安易な公的資金投入論が横行していることに対して、立法府は歯止めをかけなければならない。「金を出さなければ金融恐慌が起こるぞ」との言葉で、「責任追及なき公的資金投入」がごり押しされるのは、「恐喝」と言わざるを得ない。

金融システムの安定確保は不可欠だが、公的資金を活用する以上、適正な責任追及が不可欠なのだ。政治権力は金融資本と癒着しやすい傾向を有している。立法府が毅然とした姿勢で監視しなければ、「金融危機」の名目の下に、「公的資金による金融機関救済」が横行することになる。

りそな銀行の事例では、政府が不正と欺瞞に満ちたりそな銀行救済を実行したのち、りそな銀行は自民党に対する融資を激増させた。この事実を指摘した朝日新聞記者の鈴木啓一氏はスクープ記事掲載と同時に原因不明の死を遂げたと伝えられている。

麻生政権は金融機能強化法改正に民主党が反対すると、民主党が政府の金融危機対応を政局の視点から反対していると誹謗中傷すると予想されるが、野党は筋の通らない麻生政権の歪んだ主張に対して、毅然とした姿勢で対応するべきだ。

「金融システムは守る。しかし、責任ある当事者には適正な責任を求める」の基本を崩してはならない。

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