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2008年10月 2日 (木)

威風堂々の民主党小沢代表所信表明演説

10月2日に行われた衆議院の代表質問で、小沢一郎民主党代表は、民主党が政権を担うことを踏まえた所信を表明した。麻生太郎首相は、所信表明で提示した民主党への質問に対する十分な答弁が民主党から得られなかったとの不満を表明した。

偏向メディアの大半は事実を正確に伝えないが、小沢代表の演説は、民主党の政権公約を明確に示すものであり、極めて内容の濃いものだった。代表質問で野党が所信を表明するのは変則的な行動だが、これは、麻生首相が所信表明で代表質問を行ったことに対する「意趣返し」であり、麻生氏が苦情を申し立てるのは筋違いである。

麻生氏の所信表明演説は、民主党への誹謗(ひぼう)中傷に終始する、聞くに堪えないものだった。鳩山由紀夫民主党幹事長が指摘したように、「品格を欠いた」演説だった。鳩山幹事長は、野党には答弁権が認められておらず、代表質問のなかで答弁しろと言うのなら、答弁時間を確保するべきであると発言したが、当然の主張である。

小沢代表は、「首相の省所信表明とは首相の政治理念とビジョンや政策を明らかにするものである」と述べた。小沢氏の所信表明は、政治理念、ビジョン、政策を明確に示すものであったが、麻生氏の所信表明演説には、明白な理念も具体的なビジョンも政策も、まったく示されていなかった。

与党と野党が逆転した所信表明、代表質問だった。国会では、各政党が異なる主義主張を正面から提示して、「建設的な」論戦を交わすことが期待される。民主党の小沢代表が威風堂々と党としての政治理念、ビジョンと政策を具体的に提示したのに対して、麻生首相の発言は民主党に対する誹謗と中傷に終始したのであり、どちらの行動に非があるのかは明白だ。

民主党の小沢代表は総選挙に向けての「政権公約=マニフェスト」の骨格を、国民に向けて発表した。小沢代表は「国民の皆様」と表現するが、麻生首相は「国民」、あるいは「国民の皆さん」と表現する。国民に対する基本姿勢にも両者には大きな隔たりがある。

小沢代表が発表した基本政策案の柱は、

①年金・医療・介護、

②子育て・教育、

③雇用、

④農林漁業・中小企業、

⑤生活コスト

の5分野でセーフティーネットを作り、財政構造の転換、国民主導政治の実現、真の地方分権により日本の統治機構を根本改革し、地球に貢献する国にするというビジョンである。

民主党は総選挙のマニフェスト(政権公約)を取りまとめ、「新しい生活をつくる五つの約束」を中心とする政策公約の骨格を発表した。

「五つの約束」の概要は以下の通りだ。

①官僚の天下りと「税金の無駄遣い」をなくし、税金を国民の手に取り戻すこと。

国から地方への「ひも付き補助金」は廃止し、地方に自主財源として一括交付する。

特別会計、独立行政法人などは原則廃止する。

2009年度に8.4兆円、10年度と11年度はそれぞれ14兆円、12年度には総予算の1割の20.5兆円の新財源を生み出す。

②年金加入者全員に「年金通帳」を交付し、「消えない年金」、「消されない年金」に改める。年齢で国民を差別する後期高齢者医療制度は廃止し、被用者保険と国民健康保険を段階的に統合し、将来の一元化を目指す。

③子育ての心配をなくし、みなに教育のチャンスを作るため、子ども一人当たり月額2万6千円の「子ども手当」を中学卒業まで支給する。公立高校の授業料を無料化し、私立高校、大学も学費負担を軽減する。

④雇用の不平等をなくし、まじめに働く人が報われるようにする。パートや契約社員を正規社員と均等待遇にし、2ヵ月以内の派遣労働を禁止する。中小企業を支援しながら、最低賃金の全国平均を時給千円に引き上げる。

⑤農林漁業の生活不安をなくし、食と地域を再生する。農業の個別所得補償制度を創設、林業と漁業でも検討する。食品安全行政を総点検、一元化し、食の安全を確実にする。中小企業は法人税率の原則半減などで再生させる。

 新政権の初の予算編成となる第一段階の2009年度には、ガソリン税などの暫定税率を廃止し、2.6兆円の減税を実施。高速道路無料化、子ども手当などは09年度に一部実施し、第二段階の10-11年度に完全実施する。農業の戸別所得補償制度は10年度から一部実施、第三段階の12年度に完全実施する。消費税の税収全額を財源として、最低保障年金を確立する年金改革は、3年かけて制度設計などをし、12年度に実施する。

 外交・安全保障の基本方針の第一の原則は日米同盟の維持・発展である。同盟とは対等関係であり、米国の言うままに追随するのは同盟とは言えない。米国と対等のパートナーシップを確立し、より強固な日米関係を築く。

 第二の原則は、アジア・太平洋諸国と本当の友好・信頼関係を構築すること。特に日韓、日中関係の強化は日本が平和と繁栄を続けていくうえで極めて重要である。

 第三の原則は、日本の安全保障は日米同盟を基軸としつつ、最終的には国連の平和維持活動によって担保されるということ。日米同盟と国連中心主義は矛盾しない。

 以上が、小沢代表が明らかにした、民主党の政権公約、ビジョン、政策の具体的内容だ。極めて分かりやすく、かつ具体的に内容が示されている。

 小沢代表は当面の政局について、日本の進路について各党の主張を明確にしたうえで、速やかに総選挙を実施し、国民の審判を仰ぐ必要がある、国民の支持を得た政権がリーダーシップを発揮して金融危機などに対処するのが「憲政の常道」である、と発言し、代表質問を締めくくった。

 私は、次期総選挙の争点が以下の三点であると訴え続けてきた。

①弱肉強食奨励VSセーフティーネット強化

②官僚利権死守VS官僚利権根絶

③対米隷属VS独立自尊

 小沢代表が明示した、民主党の政権公約には、この三つの政策方針がもれなく、明確に示されている。

①年金・医療・介護、②子育て・教育、③雇用、④農林漁業・中小企業、⑤生活コスト、の5分野のセーフティーネット整備が①の争点に対応する政策である。

 天下りの全面禁止、特別会計、独立行政法人の廃止は②の争点に対応する。

 日米同盟を基軸に据えつつも、米国の言いなりになる外交から決別し、アジア諸国との関係をも強化し、対等な日米関係を構築するとの方針は、③の独立自尊外交方針に対応する。

 私は拙著『知られざる真実-勾留地にて-』第三章「不撓不屈」5「望ましい政治」(182ページ-194ページ)に、望ましい政治のあり方についての「7つの提案」を記述した。民主党の政権公約には、そのほぼすべてが盛り込まれたと感じている。

 小泉政権以来の自公政権が突き進めた「市場原理主義」=「新自由主義」に基づく政策路線が生み出してきた「弱肉強食」=「格差拡大」=「セーフティーネット破壊」による「国民生活破壊」に対する、明確な対論が正々堂々と示されたことを大変喜ばしく思う。

 「政官業外電の悪徳ペンタゴン」が「利権互助会」を形成し、一般国民を食いものにして、利権の甘い汁を吸い尽くしてきた構造に、抜本的なメスを入れ、政治の構造、統治機構を全面的に再構築する提案を民主党は提示したのである。社会民主党、国民新党と強力な共闘体制を構築し、総選挙で勝利を収め、新しい日本の政治状況を生み出すことが強く求められる。

 共産党は総選挙に向けて、民主党との相違を強調する戦術を示す構えを示しているが、民主党との違いを強調する戦術が、自公政権の政権延命に手を貸す結果につながりかねない点に十分、留意する必要があると思われる。「特権官僚・大資本・外国資本・政治屋」プラス「偏向メディア」の利権維持に加担することは、共産党の目指す方向と矛盾すると感じられるからだ。

 NHKの定時ニュースは、小沢代表の代表質問での発言内容の主要部分をまったく放送しなかった。NHKの偏向は国会で重要問題として取り上げるべき段階に至っていると考えられる。NHK政治部の「政治化」問題を、民主党は国会で本格的に取り上げる必要がある。政権交代が実現した段階で、「NHKの解体的抜本改革」を速やかに実施する必要があると考える。

 日本の言論空間が「開かれた、自由な」ものであるなら、麻生首相の所信表明演説と小沢民主党代表の代表質問を、正当に評価する論評が一斉に示されるはずである。客観的に見て、横綱の小沢代表と格下の麻生首相の感は否めない。自民党に好意的な論評が存在することは順当だが、小沢代表の発言を高く評価する論評が多数提示されるのが当然と思われる。マスメディア報道の大半が、民主党に対する肯定的評価を極力抑制している点に、日本の言論空間の閉塞性、「ファッショ化」が如実に表れている。

 草の根からの情報発信に全力をあげなければならない。「政権交代」を実現し、「利権互助会の利権を死守するための政治」を「国民の生活を第一と考える、国民を幸福にするための政治」に転換しなければならない。いよいよ決戦の火ぶたが切って落とされる。緊張感を維持して戦いに臨まなければならない。

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