« 「朝まで生テレビ」田原総一郎氏の偏向 | トップページ | 麻生首相の非正規雇用労働者蔑視発言ほか »

2008年10月27日 (月)

森田実氏が入手した「米国国債を売らない約束」

急激な円高は日本国民に巨大な損失を与えている。日本は1兆ドル(100兆円)の外貨準備を保有している。10円の円高が進行すると10兆円の損失が発生する。

100兆円の外貨準備を蓄積した期間の円ドルレートは1ドル=100円から1ドル=135円のレンジを中心に変動してきたから、ドル買いの平均コストは1ドル=110円程度だろう。円ドルレートが1ドル=90円になれば、20兆円程度の評価損が生まれてしまう。

外貨準備を100兆円に膨張させ、ドル上昇時にも外貨準備を減少させてこなかった責任を追及しなければならない。外貨準備を100兆円も蓄積する理由はまったく存在しない。

2002年10月から2004年3月にかけての1年半に外貨準備は47兆円も増加した。この期間に日本が米国に47兆円の資金を提供してドルを買い支えなかったなら、米国は超低金利政策を維持できなかった。金利引き上げに追い込まれていたはずだ。

日本政府が47兆円ものドル買いを実行したから、米国は超低金利政策を長期間維持した。この超低金利政策が米国の不動産バブルを生み出す原動力になった。米国の不動産バブル発生の遠因は日本政府の過剰なドル買い介入にあったと言うこともできる。

今回の金融危機に際して、日本の外貨準備を活用するとの話が浮上しているが、国民の同意を取ることもなく、政府の一存で外国に資金を提供することは間違っている。自公政権内部に、米国への資金提供を推進する勢力が存在するが、国会は「売国政策」の実態を明らかにして、「売国勢力」を早急に排除しなければならない。

この問題に関連して、政治評論家の森田実氏が2007年2月25日に、極めて重大な記事を掲載されていた。ある法曹家がメールでこの重要な事実を知らせてくれた。

記事は森田実氏のHP内の連載「森田実の時代を斬る」の2007年2月25日付記事だ。以下に引用する。

 
森田実の言わねばならぬ[82]

アメリカ国債を売らない約束

 05年5月に発売された週刊新潮で、櫻井よしこさんは「必ず中国は、台湾を軍事的に攻める。それを跳ね返すのは、日本の軍事力だ」という趣旨のことを書きました。この主張は、アメリカは戦争ができないという見方を前提にしているように見えます。
 アメリカは、日本に国債を買わせてアメリカの財政をつないできたのですが、もう日本だけでは足りないのです。日本も2015年くらいになると、アメリカにすべて吸い取られてしまうという分析もありますが、アメリカは、中国とインドに国債をもたせて「アメリカ帝国」を維持する方針のようです。中国にたくさんのドルを持たせて、その一部を国債にさせているのです。
 2002年2月18日の日米首脳会談で、アメリカに対し「日本がもっている国債は売りません」と、小泉が約束してしまっています。日本では明らかにされていませんが、事実です。ブッシュは帰国後、興奮して「アメリカ外交の勝利だ」と言ったそうです。
 そのことを教えてくれたチェイニー副大統領のスタッフに、「小泉は『あるとき払いの催促なしでいいよ』と言ったのか」と聞いたのですが、「アメリカには、そんな曖昧な表現はありません」と言うのです。「ブッシュの報告は、どのように理解されたのか」と聞くと、「いただいたとアメリカ側は理解している」と言いました。
 「アメリカはただただ奪うだけではないか、ひどすぎる」と私が言うと、彼は「ブッシュは小泉に、小泉が一番ほしいものを与えています」という返事が返ってきました。それは「小泉さんには、ブッシュは日本の政治史上最も偉大なるリーダーだという誉め言葉を与えています。ブッシュが歯の浮くようなお世辞を小泉に言い続けてきたのは、400兆の金をくれたことに対するお礼なのです」と彼は言いました。日本人にとっては冗談ごとではないと思います。
 中国は、相当のアメリカ国債をもっています。アメリカが中国に対して変な行動をしたら、アメリカ国債を売り払うことができます。そうするとアメリカ国債は暴落し、アメリカはパニックに陥ります。ですからアメリカは、中国に戦争を仕掛けたりオリンピックを潰すとかはできないでしょう。中国は安全保障の目的で、アメリカ国債をもっているのです。中国が、アメリカ国債を手放せば、アメリカの経済は潰れてしまいます。「どうぞ」といって金をあげてしまった日本は、まったく愚かです。
 4月の都知事選と7月の参院選で、共和党の手先になってしまった石原と安倍を信任したなら、日本は世界の笑い者になると思います。アメリカでは、昨年11月の中間選挙で「もうブッシュはたくさんだ」という結果がでました。下院においては大差で民主党が勝利し、ブッシュは完全に潰れたのです。ブッシュ政権は、自分たちの考える政治システム、アメリカの言葉どおりいえば「アメリカの民主主義」を、力をもってでも押しつけるという力の政策です。もう1つの側面は、アメリカ共和党が推進する経済政策を、世界の基準・グローバル・スタンダードにするのだという姿勢です。
 この両方が、11月の中間選挙で否定されたのです。 

(ここまで引用)

「400兆円の金をくれたこと」とは、郵貯、簡保、外貨準備を指している。

郵政民営化は米国政府の要請に沿って細目が定められた。郵政民営化は、小泉元首相の個人的怨恨(ルサンチマン)、銀行界の要請、米国の要望の3者の意向が融合して推進されたと見られる。小泉元首相は落選した最初の総選挙の際、特定郵便局が選挙支援してくれなかったことに強い恨みを抱いたと伝えられている。

米国は1994年以降、日本政府に突き付けてきている内政干渉文書=「年次規制改革要望書」で、郵政民営化を最重要要請事項に位置付けてきた。郵貯・簡保の350兆円の資金に狙いをつけている。

要望書では郵便貯金、簡易保険の商品特性を低下させるための具体的提案が満載されている。一方で、日本で米国保険会社が得意とする医療保険商品の販売戦略を急激に拡大させた。

また、郵貯資金を米国金融危機対応に流用するための工作活動も活発化させている。日本郵政は一等地不動産を大量保有しているが、民営化会社は不動産開発を積極化させている。将来、郵政会社株式が売却された段階で、米国資本が株式を取得することも念頭に入れていると考えられる。

外貨準備の100兆円、郵貯・簡保の350兆円の資金を、米国は丸取りしようと考えているのだ。問題は、日本の政治中枢に売国勢力が入り込んでしまったことだ。その中心が小泉竹中政権であったと考えられる。現在の自公政権は、その延長上に位置する。自民党では、清和政策研究会(町村派)が実権を握っている。清和研政治が対米隷属政治の基礎を支えていると判断される。

日本は経常収支で黒字計上を続けているが、経常収支の黒字は国民が働いて稼いだお金を国内で使い切らずに余らせて、その余剰資金を海外に提供していることを意味している。

汗水たらして働いたお金を稼いでも、倹約でお金を使い残し、そのお金を海外に提供している。しかし、海外に提供したお金は、円高で目減りしたり、債務免除で棒引きされてきた。

米国にとってこれほど便利な国はない。ブッシュ政権が小泉政権を絶賛したのは、小泉政権が米国の言いなりになって、侵略戦争に率先して協力し、米国への巨大な利益供与に応じてくれたからだと考えられる。

この危険な構造を維持してはならない。外貨準備問題を追及することで、小泉政権以来の政権の「売国体質」の実態を人々に知らせることができる。外貨準備を早急に圧縮すると同時に、日本政府の外国政府への資金融通を全面的に円建てに切り替える制度変更を決定するべきだ。

日本国民を犠牲にして、外国勢力に利益供与する政権を、直ちに排除しなければならない。

人気ブログランキングへ

ランキング

« 「朝まで生テレビ」田原総一郎氏の偏向 | トップページ | 麻生首相の非正規雇用労働者蔑視発言ほか »

外国為替資金特別会計」カテゴリの記事

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 森田実氏が入手した「米国国債を売らない約束」:

» コリン・パウウェル(共和党)がオバマ支援・日米の相手 [木霊の宿る町]
★ コリン・パウエルをおぼえていますか 立候補したらアメリカ初の黒人大統領なるだろうと言われた軍人です。暗殺を恐れてパウエル夫人が立候補に反対したそうです Colin Luther Powell, 1937年4月5日 - ★ ブッシュ親子の閣僚をつとめました パパブッシュの時は国防長官。湾岸戦争で毎日のようにテレビに出てきて多くのアメリカ国民の支持を得ました 沈着冷静なたたずまい、重厚な物言いが印象的でした。米内光政はこんな感じだったのだろうかとオノマの期... [続きを読む]

» 「ブッシュさん400兆円上げるね」小泉より愛をこめて [パタリ]
小泉は国民の財産である、郵便貯金、簡易保険、外貨準備金の、400兆円をブッシュにプレゼントした。 2002年2月18日の日米首脳会談で 「アメリカ国債は売りません」と小泉が約束をしたからだ。 ブッシュは大喜びで、帰国して 「アメリカ外交の勝利だ」と言ったらしい。 そして、小泉は、自分の欲しいものを手に入れた。 ブッシュの褒め言葉である。 「日本の最も偉大なるリ-ダ-」という言葉である。 この言葉を貰い、ブッシュにシッポを振るために、 我々の400兆円を小泉は献上した。 これは、売国行為である。 小泉... [続きを読む]

» 株価は41%、約5000円下落、麻生は疫病神!! [パタリ]
今日も、株式市場は大幅下落した。 麻生が何をしても、株価は下がり続ける。 麻生が総理になったのは9/24だった。 株価は、12,115円 今日の株価は7,162円 4,953円下落した、ほとんど5,000円だ・・ 下落率は約41%である・・ もし、麻生が自分で雑誌に書いたとおり さっさと解散総選挙していたら おそらくこんなに下がらずにすんだろう。 そして、今日も下落しつづける。 自民党は、解散総選挙を引き伸ばすつもりだ。 でも、麻生や自民党が政権に居座り続ける限り、株式市場は落下しつづける・・ 自民... [続きを読む]

» 森田実氏が入手した「米国国債を売らない約束」(植草一秀の『知られざる真実』) [リアルの現在]
森田実氏が入手した「米国国債を売らない約束」(植草一秀の『知られざる真実』) ... [続きを読む]

» 「首相ごっこ」がなぜ悪い・・ [パタリ]
麻生太郎君は、今、「首相ごっこ」に夢中です。 4回目で、やっと手に入れたこの役を手放したくありません。 そのためには、お家の周りを歩こうとしていた、普通の国民をタイホするくらい何でもないです。 公安のおじさんに頼めば、すぐしてくれます。 NHKに頼めば「麻生君はすばらしい」 そういう、番組をいくらでも捏造してくれます。 新幹線の橋に使うものすごく悪いパネルのことも、警察には、捜査させません。 もし、捜査すると、社長である可愛い弟が、困るし、自分の妻も役員なので、 困るからです。 こくみんが、死んでも... [続きを読む]

« 「朝まで生テレビ」田原総一郎氏の偏向 | トップページ | 麻生首相の非正規雇用労働者蔑視発言ほか »

有料メルマガご登録をお願い申し上げます

  • 2011年10月より、有料メルマガ「植草一秀の『知られざる真実』」の配信を開始いたします。なにとぞご購読手続きを賜りますようお願い申し上げます。 foomii 携帯電話での登録は、こちらからQRコードを読み込んでアクセスしてください。

    人気ブログランキング
    1記事ごとに1クリックお願いいたします。

    ★阿修羅♪掲示板

主権者は私たち国民レジスタンス戦線

  • 主権者は私たち国民レジスタンスバナー

    主権者は私たち国民レジスタンスバナー

著書紹介

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
2024年12月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

関連LINKS(順不同)

LINKS1(順不同)

LINKS2(順不同)

カテゴリー

ブックマーク

  • ブックマークの登録をお願いいたします
無料ブログはココログ