三浦和義元社長死亡の深層
ロサンゼルス銃撃事件で米当局に逮捕された三浦和義元社長(61)の自殺が報じられた。三浦元社長が逮捕されたのは、2008年2月22日金曜日だった。
この直前、2008年2月19日に海上自衛隊イージス艦「あたご」が、千葉県の漁船「清徳丸」に衝突し、「清徳丸」が船体をまっぷたつに切断され、乗船していた2名の漁師が死亡する事件が発生した。
自衛隊によるインド洋での米軍への給油活動を定める旧テロ特措法は、2007年11月1日に有効期限が切れた。海上自衛隊はいったんインド洋から撤退した。政府が2007年10月17日に提出した法案は2007年11月13日に衆議院で可決されたが、2008年1月11日に参議院本会議で否決された。
福田政権は同法案を同日再可決して法律が成立し、自衛隊によるインド洋での給油活動が再開されることになった。日本国内では、政府が衆議院の数の力に頼り、参議院の決定を無視して給油法案を可決成立させたことに対する批判が渦巻いた。
海上自衛隊のイージス艦衝突事件は、こうした状況下で発生した。インド洋での給油活動を日本に強制しようとしていた米国にとって、最悪のタイミングでの事件発生だった。
事件が発生したのは火曜日だった。日本のメディアは連日イージス艦事件をトップニュースで伝えた。石破防衛相の引責辞任も当然の流れになった。週末の情報報道番組はイージス艦事件、給油法の是非をめぐる論議一色に染まることが確実な情勢だった。
そこに、突如降ってわいたニュースが三浦元社長のサイパンでの逮捕だった。テレビ報道はイージス艦事件報道から、三浦元社長逮捕報道に全面転換した。単なる偶然とは考えられない。
三浦氏の逮捕は、一事不再理の原則から判断して、明らかに無理筋だと考えられる。三浦氏は常識的な法律解釈からすれば、当然釈放されるべきものであったと考えられるが、早期に釈放すれば、不自然な逮捕の背景に対する疑惑が取りざたされる可能性が高かった。米国は三浦氏を早期に釈放できない状況に追い込まれたと考えられる。
時間をかけて審理しても、有罪立証するには、あまりにも無理があり過ぎたと考えられる。釈放もできず、有罪にもできない、難しい情勢のなかで、三浦氏自殺の突然の報道が伝えられた。
私の2005年裁判における第2回公判では、事件の数多くの不自然な事実と疑惑が明らかにされた。疑惑を伝える大規模な報道が予想されたが、公判当日の朝、突然、国松元警察庁長官狙撃事件の容疑者が逮捕された。報道はこの逮捕報道に完全に占領された。結局、逮捕された容疑者は勾留期間を経過して、証拠不十分で釈放された。事件発生から長い年月を経た段階での逮捕で、結局、証拠不十分とされた逮捕は、不自然さを象徴するものだった。
三浦元社長は、イージス艦による漁船轟(ごう)沈事件、あるいはテロ特措法の犠牲になったのではないだろうか。政治権力は恐ろしい存在であることを知っておかなければならない。
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