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2008年10月18日 (土)

竹中経済金融行政の深い闇

日本が約100兆円の外貨準備を保有しており、中長期的に円高・ドル安が進行する環境下で、巨大なリスクを抱えていることを説明した。一般会計予算は通常国会の最重要討議課題であり、その詳細について徹底した論議が行われる。一方で、100兆円の外貨準備は、円ドルレートが1円変動するだけで、1兆円の評価損益を生み出す巨大リスクであるにもかかわらず、野放しにされている。

その最大の理由は、外貨準備に関する基本知識がほとんど共有されていないからだ。国会議員や政党が外貨準備に関する基礎知識を持つならば、直ちに国会で問題として取り上げるだろう。外貨準備の管理は国会の厳重な監視の下に置かなければならない。 

外国為替資金特別会計は財務省の所管とされており、100兆円の巨大マネーが国会の監視をまったく受けずに、政府、財務省の一存で管理されてきた。この100兆円に、巨大な闇が隠されている。

中川昭一財務相は10月11日のIMF(国際通貨基金)の国際通貨金融委員会(IMFC)で演説し、金融危機への対応で財政難に陥った新興国などを支援するIMF融資制度の創設を正式に提案した。日本は外貨準備を通じた協力を検討しているとしている。

財務相に就任したばかりの中川氏が発案したものでないことは間違いない。財務省が世界の金融危機のどさくさにまぎれて、権益拡大、権限拡大を狙って提示したものであると考えられる。

国会の承認もなく、国民の了解もなく、このような提案を国際社会で行うことは言語道断だ。外貨準備は政府が日銀から借金して、外貨を購入したものである。政府が外貨を購入するのは、為替市場の乱高下を防ぐために「ドル買い介入」した結果として、蓄積したものである。海外諸国に援助するための資金ではない。

10月15日付記事「100兆円外貨準備野放しの怪」に示したように、日本政府が外貨準備を蓄積する正当な理由はまったく存在しない。巨額の米ドル建て外貨準備は「百害あって一利なし」である。ドル買いが必要な局面で蓄積したドル資産は、ドル高が進行する局面で、売却するべきである。ドルを安く買って、高く売れば、為替利益を実現することができる。これが「正しい外為介入」である。

米国でも外国為替市場での介入に対しては、議会が厳しく監視する。議会が同意する根本ルールは「儲かる介入は良い介入、損する介入は許されない」というものだ。

趨勢的に下落するドルを100兆円も買い持ちにしたままでいるのは、米国に対する利益供与以外の何者でもない。米国は趨勢的に経常収支赤字国である。海外からの資本流入によって、経済を維持している。日本政府が安易に資金供給することが米国の赤字削減への取り組みをおろそかにさせる。

2002年10月から2004年3月までの1年半に日本政府は47兆円のドル買い介入を実施している。この期間に日本の外貨準備残高は4257億ドルも増加した。この期間のドル買い介入は巨大な闇に包まれている。

りそな銀行の自己資本不足誘導、株価暴落と反発の誘導、2003年11月総選挙、UFJ銀行の検査忌避事件、ミサワホームの産業再生機構送り、などの、巨大経済疑惑とすべてが結びついている。

2002年9月30日の内閣改造で、竹中平蔵経財相は金融相を兼務した。すべての疑惑はこの内閣改造からスタートしている。

2002年10月から2004年3月にかけて、日本政府は47兆円ものドル買い介入を行った。米国国債保有者に47兆円の資金が提供された。本来、下落するドルを進んで買う者など存在しない。日本政府が進んで47兆円もの資金を提供しなかったら、米国経済では何が生じただろうか。

米国は海外から経常収支赤字に見合う資金を調達しなければならないから、日本が資本を供給しなければ、金利を引き上げざるを得なかった。2002年から2004年にかけて、米国は史上空前の金融緩和を実行した。2003年から2004年にかけて、FRBの政策金利FFレートは1.0%の史上最低水準で推移した。この低金利持続を可能にしたのは、日本政府の無尽蔵とも言える巨大資金提供だった。

2002年から2004年にかけての超金融緩和政策が米国における不動産バブル発生の原動力になったと考えられる。2002年から2004年にかけて、FRBが早期に金融引締め政策を採用していれば、米国の不動産バブルを小規模にとどめることができたはずだ。

この意味で、2002年から2004年にかけての、日本政府による不自然極まる巨大なドル買い介入が、現在の世界金融危機、サブプライム金融危機の根源的な原因を作り出したとも言えるのだ。

2001年から2003年にかけて、小泉政権は強烈な景気悪化推進政策を採用した。「いまの痛みに耐えて、よりより明日をつくる」とのプロパガンダを流布し、史上最強の緊縮財政政策を実行した。小泉政権の財政政策が史上最大の緊縮策であったことは、一般会計のデータから裏付けられる。詳細は拙著『現代日本経済政策論』(岩波書店)を参照いただきたい。

意図的な景気悪化推進政策と、「大銀行破たんも辞さない」との方針明示により、日本の株価は順当に暴落した。日経平均株価は2001年5月7日の14,529円から2003年4月28日の7607円まで、2年間で半値に暴落した。

拙著『知られざる真実-勾留地にて-』(イプシロン出版企画)に詳述したように、小泉政権はりそな銀行を政治的な理由により標的と定め、りそな銀行を極めて悪辣(あくらつ)な手口で、自己資本不足の状況に追い込んだのだと考えられる。

最終的に小泉政権は、りそな銀行を破たんさせずに、公的資金で救済した。欺瞞と不正に満ちた金融問題処理が実行された。日本の金融行政に最大の汚点を残したと言って間違いない。りそな銀行の経営陣には、小泉政権近親者が送り込まれ、りそな銀行は自民党の機関銀行と化していった。

金融市場に対して竹中金融相は「金融恐慌」のリスクを喧伝(けんでん)し、株式の投げ売りを促した。多くの本邦投資家が二束三文で株式資産を処分した。不動産も同様である。しかし、最終局面で銀行を救済し、資産価格を反転させるシナリオが準備されていた。「りそな銀行救済」をきっかけに株価は急反発した。不動産価格も反転上昇に転じた。

この「用意されたシナリオ」に従い、巨大利得を手にした勢力が存在する。外国資本と小泉政権関係者である。確証を持たないから、あくまでも濃厚な疑惑であるのだが、疑惑は限りなくクロに近い。

2002年10月から2004年3月にかけての47兆円のドル買い介入は、外国資本に対する日本資産買収資金提供の側面を強く有すると考えられる。小泉政権は2003年11月に総選挙を実施した。日経平均株価は2003年4月に7607円のバブル崩壊後最安値を記録したのち、2003年8月には1万円の大台を回復した。47兆円のドル買い介入資金が、総選挙に向けての日本株式買い付け代金として提供された側面も重要だ。株価が反発したために、小泉政権は総選挙での大敗を免れた。

「風説の流布」、「株価操縦」、「インサイダー取引」が国家ぐるみで実行された巨大な闇の存在が強く疑われる。そして、一連の経済金融運営は、国民の生活を破壊し、多くの罪なき国民に地獄の苦しみを与えただけでなく、国民の貴重な資産を外国勢力に破格の条件で提供した、巨大ディールであった疑いが濃厚に存在する。

問題はこれだけにとどまらない。「空と大地と気高い心」様が紹介してくださったが、森永卓郎氏が、2006年2月13日付記事「大手銀行の好決算に隠された金融庁の暴走ぶり~UFJ銀行の“作られた”経営危機」で指摘する、もうひとつの重大な疑惑が存在する。

金融庁は2003年10月にUFJ銀行に対して特別検査を実施した。金融庁は金融庁に寄せられた一本の密告電話をもとに、UFJ銀行の検査忌避を追及した。金融庁はUFJ銀行に対する刑事告発を1年間留保することにより、UFJ銀行に対するさまざまな強制力を行使した。

最終的にUFJ銀行は刑事告発されることになったが、金融庁は刑事告発留保の強い立場を利用して、UFJ銀行の保有債権に対する引当率の著しい引き上げを強制した。その結果、多くの融資先が実質破たん処理されていった。

そのなかの一社がミサワホームである。ミサワホームは結局、産業再生機構送りにされ、トヨタ自動車が実質的に買収することになった。創業者の三澤千代治氏は、ミサワホームから追放されたが、2005年8月23日に、東京地検に対して、竹中平蔵元経財相兼金融相を公務員職権乱用罪で告訴した。告訴は2006年3月1日に受理された。

トヨタ自動車の資本傘下に入ったミサワホームでは、本年、竹中平蔵氏の実兄である竹中宣雄氏が社長に就任した。ミサワホームが産業再生機構に送られ、トヨタ傘下に組み入れられた経緯については、「トヨタホームとミサワホームの住宅問題の背景」様が、詳細な情報を提供してくださっている。

ミサワホームが産業再生機構に送られるきっかけになったのは、2005年3月期の中間決算が突然、修正されたことだった。2004年11月19日に発表された中間決算では、経常利益220億円、税引き後利益100億円が計上された。産業再生機構に送られる決算ではなかった。

それが、12月7日に突然修正され、税引き後利益が5.5億円に下方修正された。この決算修正により、ミサワホームは過大債務を抱えることになり、産業再生機構送りされることになる。

ミサワホームの監査法人は中央青山監査法人で、ミサワホームの三澤千代治氏は理事長の上野氏と親交が深かったが、上野氏は2005年5月に理事長職を辞任している。後任の理事長に就任したのが、奥山章雄氏である。奥山氏は竹中金融相が組織した金融再生プロジェクトチーム、および「金融問題タスクフォース」のメンバーでもあり、公認会計士協会会長として、「りそな銀行」の資本不足問題に、重大に関与した人物である。拙著『知られざる真実-勾留地にて-』においても、キーパーソンとして登場する。

UFJ銀行の解体、東京三菱銀行との合併、合併のスクープ報道、トヨタグループによるミサワホームの買収、など、解明しなければならない闇は果てしなく大きい。

2002年から2005年にかけての金融行政、為替管理、経済外交を検証しなければならない。政権交代が実現する場合には、過去の金融行政が適正に行われたかどうかを詳細に検証する、金融行政版の「日本版ペコラ委員会」を設置し、真相を明らかにしなければならない。

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