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2008年10月31日 (金)

「渋谷事件」と総選挙の争点

自民党が実施した総選挙情勢調査で自民党惨敗予想が示されたために、麻生首相は月刊誌で明言した衆議院の解散総選挙を先送りすることを決定した。自民党の細田博之幹事長は、総選挙の早期実施を公言していたが、麻生首相と示し合わせて三文芝居を演じていたのだと思われる。

総選挙実施となれば候補者は選挙事務所開設などの対応を迫られる。当然、経費もかさむ。野党候補を疲弊させるための姑息な三文芝居が演じられたのだろう。また、総選挙実施に向けて、すべての国民に対する「給付金支給」、高速道路料金の引き下げが提案されている。

「政治権力を維持するためには手段を問わない」行動が示されている。日本経済は急激に悪化し、国民の生活は日を追って苦しさを増している。たしかに、給付金も高速道路料金引き下げも朗報には違いない。

しかし、有権者は次の総選挙で、より重要な判断を下さなければならない。目先の利益誘導政策に惑わされてはならない。

時代は重要な潮流変化の局面に差しかかっている。1980年以来、30年にわたって主要国を覆ってきた「市場原理主義」=「新自由主義」が馬脚を表し、転換の局面を迎えている。米国でもこのタイミングで大統領選挙が実施される。イラクへの侵略戦争にも終止符が打たれることになるだろう。

麻生首相は、支持率回復に必死だが、有権者は麻生政権の政治理念、哲学を吟味しなければならない。小手先の買収的手法、バラマキ政策に惑わされてはならない。

現在の日本政治を考察する際、10月26日の「渋谷事件」を曖昧に処理するわけにはいかない。「渋谷事件」には、いまこの国を覆っている、政治権力と警察権力との暗い不透明なつながり、警察の腐敗、メディアと政治権力との癒着の構造の片鱗が、くっきりと浮かび上がっているからだ。

野党は国会でこの問題を糺さなければならない。野党がその責任を放棄するなら、野党も現状への責任を負うことになる。

「渋谷事件」の概要は以下の動画をじっくりと見ることにより、明確に捉えることができる。問題を風化させないために、改めて動画にリンクを張る。

①麻生首相私邸へのウォーキングツアーを計画した若者が、渋谷警察署職員の指導と了解を得ている場面

②信号待ちを終えて歩き始めた若者グループ先頭の男性に、帽子をかぶった公安警察職員が接触して、先頭男性を「公務執行妨害」だとして逮捕した場面

③若者グループを逮捕する直前の信号待ちの時点で、公安職員と見られるグループが打ち合わせをし、帽子をかぶった公安職員に耳打ちした直後、若者に公安職員が接触して「公務執行妨害」だとして逮捕した場面

これらの動画により、事件の全容が明らかにされている。

なお、①の動画で、若者グループが渋谷警察署職員の了解を得ている場面では、右後方に公安職員の姿が明確に映し出されている。

問題はマスメディアが、事実とは異なる警察発表の情報をそのまま報道していることだ。一般の国民は、マスメディア情報を真実として理解してしまう傾向が強い。国民は不当逮捕の真実を知ることができず、逮捕された人々の重大な人権侵害が不問に付されてしまう。

麻生政権は10月30日に追加景気対策を発表した。総額2兆円の定額給付金、高速道路料金引き下げ、中小企業向け融資の緊急保証枠拡大などの措置が盛り込まれた。総額2兆円の定額給付金は年度内に実施する方針が示された。

定額給付金では、夫婦と子供2人のモデル世帯では6万4千円の給付になる見通しである。麻生政権はこれらの施策を含む補正予算案を国会で審議し、野党が反対する場合、補正予算の是非を問う形で解散総選挙に向かう戦術を描いているのだと考えられる。

また、第2子以降の未就学児に対しては、年間3万6千円の「子育て応援特別手当」を支給する方針も固めている。民主党が創設を公約に掲げた「子ども手当」を模倣した政策が盛り込まれている。

麻生首相は「解散につきましては、私が決めさせていただきます」の言葉を繰り返し、解散権が首相の特権であるかのような発言を示すが、日本国憲法に「衆議院の解散が首相の大権である」との規定が存在しているわけではない。憲法第7条に「天皇の国事行為」が規定されており、そのなかに「衆議院の解散」が掲げられている。

「天皇の国事行為」は「内閣の助言と承認」による、との規定があることから、内閣が解散の決定権を有し、したがって、首相が解散の大権を握ると解釈されているのだ。

しかし、もとより議会制民主主義は主権者である国民が、社会契約によって政治権力を創出しているのであり、首相が国民の意思と無関係に、私的な理由で行動することを認めているわけではない。重要問題に直面し、解散総選挙で国民の意向を確認する必要がある局面で、首相が「公の目的」を達成するために衆議院を解散するものなのだ。

自公政権は1年間に2度も政権を放り出した。2度目の政権放り出しに際して、福田前首相は、国民の審判を受ける必要があるとの認識を示し、後継首相が直ちに解散総選挙を行うことを前提に置いて、首相を辞任した。

麻生首相も『文藝春秋2008年11月号』に臨時国会冒頭での解散を記述した。その解散総選挙を、首相の地位に執着して先送りするのは、あまりに姑息である。

国民は、総選挙に際して、争点を明確にして投票に臨む必要がある。

問われている問題が三つある。

第一は、「誰のための政治であるか」だ。小泉政権以来の自公政権は、「市場原理主義」=「新自由主義」を基軸に据えて、「弱肉強食奨励」=「弱者切り捨て」=「セーフティーネット破壊」の政策を推進した。年金問題、後期高齢者医療制度、働く貧困層、非正規雇用、障害者自立支援法、生活保護圧縮、などの苛政が国民を苦しめてきた。

選挙に向けて、目くらましの政策が提示されても、政策の基本路線は変化しない。目先の利益誘導策ではなく、政策の根幹をしっかりと見極めなければならない。枝葉ではなく幹をしっかり見て、投票しなければならない。

第二は、官僚利権が完全に温存されることだ。高級官僚の天下り機関には、年間12.6兆円もの国費が投入されている。「天下り」を根絶すれば、膨大な資金節約が可能である。また、100兆円もの外貨準備を野晒しにしているために、10円の円高が生じると10兆円もの損失が生まれる状態が放置されている。

日本政策投資銀行、国際協力銀行、日本政策金融公庫人事では、財務省からの天下り特権が完全温存された。麻生政権は天下り廃止の考えをまったく保持していない。「天下り利権」が完全擁護されることを、明確に認識しなければならない。

麻生政権は3年後に消費税大増税を実施する。消費税は10%にまで引き上げられる。国民に過酷な負担を押し付ける前に、特権官僚の「天下り」利権を根絶するべきである。与野党の政策の決定的な相違がこの部分にある。

特権官僚の「天下り」利権を根絶しないままでの消費税大増税を絶対に許してはならない。次期総選挙で自公が過半数を確保し、政権を維持する場合、3年後の消費税増税は国民の了解を得たこととされる。「天下り」根絶がまず優先されるべきだと考える国民は、自公に過半数の議席を付与してはならないということになる。

第三は、いつまで対米隷属を続けるのかだ。アメリカ自身が11月4日の大統領選挙で“CHANGE”する可能性がある。インド洋での給油活動の是非を問う問題も、米国は強大な国だから日本は、戦略戦争であっても米国に加担するのかどうかが問われることがらなのだ。対米隷属から脱して自主独立外交を樹立するのか、今後も対米隷属を続けるのかが問われる。

今回の金融危機に際して、欧米首脳から日本の外貨準備活用、日本の資金負担を求める声があがっている。11月15日のワシントン首脳会議で、麻生首相が日本国民の利益を守り、安易な資金提供に応じない姿勢を貫けるかが注目される。

これまでの自公政権では、「政治」、「大資本」、「特権官僚」、「外国資本」、「メディア」が癒着し、「政官業外電の利権互助会」の利権を維持し、拡大することを目的に政治が運営されてきた。一般国民が搾取され、果実がこの利権互助会に吸い尽くされる構造だった。

政権交代を実現して、一般国民の幸福を実現する政府を樹立することが求められている。適正な所得再分配を実施して、すべての国民が健康で文化的な生活を送ることのできる、利権を排除した新しい政治を打ち立てることが求められている。

「渋谷事件」は警察権力の実態、メディア報道の実態を鮮明に映し出す氷山の一角である。麻生首相が逆切れしたぶらさがり記者会見の詳細なやり取りが、隠蔽されることも、国民の知る権利を妨げるものだ。日本政治の暗黒体質も排除しなければならない。

「政官業外電=悪徳のペンタゴン」は必死だ。心ある国民は、このことをしっかり認識して、不撓不屈の精神で、世直しを実現しなければならない。ネットの草の根から、真実の情報を発信し続けなければならないと思う。

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