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2008年9月19日 (金)

NHK「クローズアップ現代」の偏向報道

 NHKは「日本偏向協会」に名称変更した方が良い。9月18日、薬害肝炎原告団の福田衣里子さん次期衆院選への立候補を表明した。民放各社はニュース報道したが、NHKは定時ニュースで報道しなかった。

「政権放り出し首相後継総裁選」をあたかも国民的行事であるかのように過剰報道するNHKは、福田さんが「民主党」からの出馬を決めたから、無視を決め込むのか。自民党からの出馬だったら、大きく報道したに違いない。

「放送法」第3条の2は、国内放送の編集にあたって、「政治的に公平であること」を規定している。NHKと視聴者との間の受信契約は、「NHKが放送法にもとづいた放送をおこない、受信者が受信料を支払う双務契約」である。

したがって、放送法に違反した番組があれば、受信者には、その部分に関して受信料を支払う義務はない(民法第533条)。

受信契約を規定した放送法第32条には、「ただし、放送の受信を目的としない受信設備を設置した者については、この限りでない」との規定がある。「放送の受信を目的としない受信設備」の定義には各種見解があるが、法律上の定義は存在しない。

NHKは受信料の支払い義務化を盛り込んだ法改正を求めている。法改正には政権与党の同意が必要であり、そのために意識的に「偏向報道」を実施している可能性が高い。

NHKの活動を支えている受信料支払者である国民はNHKの行動を是正するために結束して行動を起こす必要がある。多くの視聴者がNHKの「偏向報道」を望んでいない。また、「偏向報道」であるなら放送法に違反している。

NHKの受信料問題については、「NHK受信料を考える」様が、詳細な情報を提供してくれているので、是非参考にされたい。

9月18日夜のNHK定時ニュースは、イチローの8年連続200本安打を長時間放送した。イチロー選手の活躍には拍手を送るが、米大リーグ関連ニュースをNHKが過剰報道するのは、NHKのBS放送契約を促進する狙いがあるからだ。重要な国内ニュースを報道せず、大リーグ情報を偏重するのも、NHKによる自己利益目的の行動だ。

「雑談日記(徒然なるままに、。)」様が指摘されているように、9月18日の参議院農林水産委員会での閉会中審査をNHKは放送しなかった。国民の生命に関わる重大事案について、国会が緊急に集中審議を行ったのだ。NHKが「公共放送」だと言うのなら、このような重要審議を中継するべきだし、ニュースでは重点的に取り上げるべきだ。このような審議が実現したのは、参議院で野党が過半数を確保しているからだ。

 

「船場吉兆」の「使い回し」問題では、「用語の選択」が大きな問題になった。船場吉兆の「ささやき女将(おかみ)」は「食べ残しの料理」と「手付かずの料理」との違いを強調し、「手付かずの料理」と表現して欲しいと要求し、顰蹙(ひんしゅく)を買った。

今回の米の不正流通事件は、正確に表現すれば「猛毒米」が正しい。メタミドホスが混入した餃子が発見されたとき、各報道機関はどのように報道しただろうか。「猛毒」と報じたはずだ。「猛毒米」が「汚染米」、「事故米」などへイメージが緩和されて報道されている。

NHKに至っては、「非食用米」の表現が使用されている。「健康被害が報告されていない」ことが強調されるが、このような問題では、毒物の体内での蓄積が問題となり、症状が現れる、あるいは自覚症状が生まれるのに長い時間がかかる。「猛毒米」を継続して摂取した場合の健康被害の甚大さは、恐ろしいものになるはずだ。「非食用米」とはあまりにも現実離れした表現だ。

 

「猛毒米」の猛毒には「メタミドホス」だけでなく、より毒性の強い「アフラトキシン」も含まれている可能性が高い。一部には「カドミウム米」を懸念する指摘すらある。これらの問題については、「ふじふじのフィルター」様「低気温のエクスタシーbyはなゆー」様「晴天とら日和」様「村野瀬玲奈の秘書課広報室」様「カナダde日本語」様が有益な情報を提供されているのでぜひ参照賜りたい。 

NHKは9月16日の「クローズアップ現代」でこの問題を取り扱った。タイトルは「“コメ”不正転売の闇 手口は」だ。番組は「三笠フーズ」がいかに巧妙に不正転売したのかを強調した。農水省事務所による検査が不正を見抜けなかったのは、「三笠フーズ」の不正行為が極めて悪質で巧妙だったことを強調した。

つまり、番組は農水省の情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)の余地が大きいことを提示するものに仕上がっていた。取ってつけたように農水省の責任に言及する場面はあったが、政府擁護の番組制作と言われて反論できないだろう。

最大の問題は、昨年1月に「三笠フーズ」の不正転売を指摘する告発が農水省に対して行われていることだ。農水省は事故米を「工業用のり」の使用に限定して販売していたと言うが、工業用のり生産業界では「米」を原料として使用していない。

「食用」とすることが許されない「猛毒」を含む事故米の販売にあたっては、厳重な調査が不可欠であり、「工業用のり」生産の現状を調べないはずがない。しかも、「三笠フーズ」は「食品流通業者」である。「食品会社」に「猛毒米」を販売することのリスクを、「食品」に関する主管省庁である農林水産省が考えないわけがない。

農水省は輸入米が事故米になってしまった大手商社に対しても、「三笠フーズ」を紹介していたとのことだ。不良な外国産米を大量に輸入し、莫大な在庫費用を支払いながら輸入米を保管する農水省が、「三笠フーズ」の不正転売を知りながら、「三笠フーズ」への「猛毒米」販売を続けてきた可能性が高いと思われる。

ゴールデンタイムに30分の時間をかけて番組を放送するなら、昨年1月に内部告発があり、検査を重ねながら問題が表面化しなかった「闇」に光を当てなければ意味がない。NHKが本当に「公共放送」ならば、「“猛毒米”不正流通隠ぺいの闇 農水省の手口」とのタイトルで番組を制作するのが当然なのだ。

しかし、NHKは「御用放送」だから、政府を擁護し、一民間業者に全責任を転嫁する番組を制作するのだ。1997年1月13日放送の「クローズアップ現代」は同年1月7日から10日にかけての株価急落を取り扱った。私はVTRでコメントを提供したが、発言の中核はカットされた。橋本政権の大増税予算編成が株価急落の主因であることを私は指摘したが、番組は「構造改革に逆行する新幹線予算調査費計上が株価下落の原因」と断じた。

私の指摘が正しかったことは、のちの事実が証明した。詳細は『知られざる真実-勾留地にて-』に記述したので、参照賜りたい。

「猛毒米流通事件」における政府の責任が追及されなければならないが、小池百合子氏から「トンデモ発言」が飛び出した。9月17日の出雲市、岡山市での街頭演説会で小池氏は「猛毒米」について、「やるべき調査もせず、責任をたらい回しにしている行政に税金を払う意味はない」と農水省を批判した。

小池氏は政党・国会・内閣・行政の関係を理解していないとしか考えられない。農水省は内閣の指揮下にあり、その最終責任は農水相、さらに首相にある。自民党は内閣をつくる政権与党であり、政権の責任は与党の責任でもある。小池氏の発言は「こんな政権に対して税金を払う意味がない」との意味になる。自民党の政権担当能力を自ら完全否定した発言だ。

自民党は農水相と農水次官の辞任によって幕引きを図る目論見だろうが、そんな「茶番」に騙されてはならない。NHKは「政権放り出し首相後継総裁選」の「祭り騒ぎ」にうつつを抜かしている候補者のうち、与謝野馨経財相が「遊説予定を途中でキャンセルして金融問題を検討する会議に出席した」と与謝野氏を賛美していたが、このような緊急事態下で地方遊説していることが異常だ。

NHKはニュース報道に際して、問題の概略を説明する「まくらことば」をニュース原稿の冒頭につける。「リーマンブラザーズ社の破綻に伴い内外の株式市場で株価が暴落している問題で、政府は今日の閣議で・・・」といった具合だ。

自民党総裁選については、本来、「福田首相が突然政権を放り出したことに伴い実施されることになった自民党の総裁選挙で、・・・」との「まくらことば」をつけるべきだ。NHKは自民党の丸川珠代議員の事務所費不正計上疑惑問題も報道していない。

報道を注意して見ると、さまざまな「操作」が行われていることがわかる。注意しないと気付かない。そして、気付かぬうちに「マインド・コントロール」される。テレビメディアによる「情報操作」は恐ろしい。NHKの「偏向」を正すことが急務だ。受信料を支払う視聴者が正当な示威行動をNHKに対して示すことが求められる。

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