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2008年9月13日 (土)

太田農水相は「事故米の食用転換」を宣言すべし

 猛毒を含む事故米の不正流通事件の波紋が広がっている。事故米は政府が輸入したもので、政府は食品会社に販売していた。「三笠フーズ」については、昨年1月に告発があったにもかかわらず、問題は表面化しなかった。

「カナダde日本語」様「晴天とら日和」様が詳細に問題を追跡されているので、是非参照いただきたいが、問題の責任を負っている政府が責任逃れに終始していることは許されない。

舛添厚労相は年金着服問題が表面化した際、「犯人は牢屋に入れる」と啖呵を切ったが、時間が経過すると「再発防止に努める」と発言を変えた。

海上自衛隊のイージス艦「あたご」が漁船「清徳丸」に衝突して乗員2名を死亡させた事件が発生した時、石破防衛相は「再発防止が何よりも大切だ」と述べた。

順序が違うと思う。問題が発生した場合、まず全容解明が求められる。次に適正な責任処理が求められる。問題を処理し終えた段階で再発防止策を検討するのが正しい順序だ。

「再発防止策の検討」は責任問題をうやむやにするための方便である。問題が重大であればなおさら、徹底的な全容解明と厳正な責任処理が、まず求められる。

事故米に含まれた毒性物質は中国の冷凍餃子事件で有名になった「有機リン系殺虫剤メタミホドス」や「カビ毒アフラトキシン」などである。アフラトキシンは強力な急性毒性と発がん性をもつ猛毒である。

猛毒を含む事故米が食用として転売され、給食会社に納入されて高齢者福祉施設や保育所などで使用されていたことが判明した。また、酒造会社がこれらの事故米を原料として酒や焼酎を製造し、製菓会社が事故米を原料にして米菓を製造し、販売していたことも明らかになった。

民間人が猛毒入りの食品を小売店に混入させ、一般消費者が購入して食した場合、重大な刑事事件としての捜査が直ちに開始される。傷害もしくは殺人事件として直ちに捜査が開始されなければならない。

政府や「御用マスゴミ」は「最大の問題は規定に反して事故米を食品として出荷した「三笠フーズ」などの事故米購入業者にある」と説明するが、最大の責任は「食品会社」に事故米を販売しておきながら、事故米を食品として流通させないための厳重な監視体制をとらなかった行政にある。

政府が農水省を批判するコメントを発表するが、そんな暴言を許してならない。年金事務不祥事についても自公政権は「社保庁が悪い」だの、「社保庁の労働組合が悪い」だのと発言するが、言語道断の発言だ。

社保庁も農水省も行政機関である。行政機関は内閣の指揮下にあり、その最高責任者が所管大臣であり、内閣総理大臣なのだ。重大な不祥事を起こした企業の最高責任者が登場して、「○×支店の責任」だの「従業員の責任」だのと発言すれば間違いなく袋叩きに遭う。

輸入米の保管は農水省の天下り機関が管理する。昨年1月に内部告発があって農水省が検査を実施した際も、農水省は「三笠フーズ」に事前通知して検査を行っている。不正を行っている企業が行政官庁から検査の通知を受ければ、不正が発覚しないように工作するのは当たり前だ。北海道の「ミートホープ」社の場合も、事前通告付きの検査で問題発覚が遅れた。

「業」と「官」が癒着しているために、問題が発生するのだ。事故米として低価格で購入した米を「食用」として転売すれば、「濡れ手に粟」の不労所得が生まれる。「官」と「業」がどのように癒着していたのかについて、徹底的な調査が求められる。

太田誠一農水相は、9月12日のテレビ番組のなかで、事故米の転売問題について、「(流通した事故米の残留農薬)濃度は(中毒事件が起きた)中国製ギョーザの60万分の1の低濃度。人体に影響は無いということは自信を持って申し上げられる。だからあまりじたばた騒いでいない」と強調した

まったく人体に影響がなく、食用に供しても安全であると農水省が保証するなら、もともと「事故米」として安価に販売せず、「食用」として高価格で販売すべきである。同時に政府は「品質証明書」と「安全保証書」を添付するべきだ。

「カナダde日本語」様「晴天とら日和」様が紹介してくれた「高発ガン性アフラトキシンB1汚染米 転売問題 データまとめ」の情報によると、アフラトキシンB1というのは、ダイオキシンの10倍の毒性をもったカビ発癌性物質で、200℃以上の高温で加熱しない限り、その毒性は変わらないと証明されているとのことだ。

この猛毒混入米が、10年以上の長期にわたって、焼酎・酒造業者、米菓製造業者、味噌製造業者などに食用として転売され、さらに保育園、病院、高齢者福祉施設などの給食として提供されてきたのだ。

太田農水相は事故米の安全性に関連して、責任をもって「人体に悪影響は生じない」との発言を撤回しないなら、関連資料を添えて「安全宣言」を発表するべきである。同時に、「事故米」を正式に「食用米」に変更するべきだ。

たとえ濃度が低くても、猛毒を長期にわたり摂取し続ければ人体に重大な問題が発生するというのが、常識的な判断だ。

自民党は「政権放り出し首相後継総裁選」にうつつを抜かしており、福田首相が辞任会見してから1ヵ月弱の期間、内閣を放置している。事務所費問題で辞任が必至だった太田農水相がそのまま農水相の座に居座っているが、国民の生命にかかわる重大問題発生に対する無責任極まりない対応を踏まえれば、罷免されるのが適正である。

すでに民主党の鳩山由紀夫幹事長は、太田農水相の罷免を要求する発言を提示しているが、当然の要求だ。福田首相は消費者庁を新設する提案を示し、8月2日に発足させた改造内閣を「安心実現内閣」と名付けたが、「暗心実現内閣」の誤りだったようだ。

太田農水相は12日のテレビ番組で「消費者にも権利があるが、事業者にも権利がある」とも発言した。何を言いたかったのか不明だが、「政」「官」「業」の癒着を象徴する発言だ。

1年間に2度も政権を放り出した自民党に、政権に居座る資格はない。「不祥事」に対する謝罪もなおざりにして、「総裁選ごっこ」にうつつを抜かし、国民の生命にかかわる重大問題に対する適正な対応を示せぬなら、自民党は直ちに政権を野党に引き渡すべきだ。

「カナダde日本語」の美爾依さんが推測するように、「三笠フーズ」が事故米を食品として流通していることを、農水省は認識していたと私も考える。国民の生命と生活を守ることが政府の第一の役割であるのに、自公政権自身が国民の生命と健康を脅かしている。「殺人政権」に権力を握られ続けたのでは、国民は常に生命の危険に直面しなければならなくなる。「薬害HIV」、「薬害肝炎」と通じる問題が横たわっている。

「三笠フーズ」は氷山の一角である可能性が高い。臨時国会開会は、自民党「政権放り出し首相後継総裁選」がだらだらと長期日程で実施されているために9月24日まで先送りされているが、こうした重大問題が発生したのであれば、閉会期中審議を行い、福田首相は太田農水相を即時罷免すべきである。

 日本は本当の「CHANGE」を必要としている。すべての「刷新」は「CHANGE」から始まる。「CHANGE」=「政権交代」である。自民党「政権放り出し首相後継総裁選」での低調な論戦、重大な国民生活問題に生体反応を示すことができない自公政権の現状が際立つなか、「政権交代」を求める有権者の切実な声は日増しに高まっている。

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